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投稿ログ178 (No.3190 - No.3205)

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board4 - No.3190

Re:宇宙暦799年6月1日付 自由惑星同盟国防委員会辞令

投稿者:イッチー
2002年10月31日(木) 17時35分

 生き残った同盟軍兵士たちに対して、むろんヤンは無原則に寛大であったわけではない。彼にとってその日最後の公務は、バーミリオン直後に逃亡した軍の高官たちを面接することであった。ヤン艦隊の主な幹部は市内の治安や任務引継ぎにあたっていたため、最高司令官の傍にある高級軍人は首席副官のグリーンヒル中佐とヤン艦隊到着までハイネセン警備にあたっていたスールズカリッター少佐だけであった。
 逃亡者たちに面接したヤンは、最初から侮蔑の意思をかくそうともしなかった。彼にしては珍しく、轟然と脚を組んで、ロックウェル元大将以下、11人の逃亡した士官を見下ろした。ぎこちなく敬礼した男たちに、氷点を下回る声を投じる。
 「諸君らのためにさく時間は、私には貴重すぎる。ひとつだけ聞いておこう。諸君らが逃亡をはかったとき、君たちの羞恥心はどの方角をむいていたのか」
 ロックウェル元大将は動揺と不安にサンドイッチされた顔をかろうじて若い最高司令官にむけたが静かな怒りに燃えた瞳に対抗するのは容易ではなかった。
 「我われが恥知らずな者どもだとおっしゃるのですか、閣下」
 「それ以外のことを言ったように聞こえたら、私の言い方が悪いのだろうな」
 「閣下のお側にいるスールズカリッター少佐にしても、ビュコック元帥をお守りできず、あまつさえ帝国軍に命を助けられ、その後も軍務を続けております。我われは既に責任をとって軍を退役しております。であれば我われにも寛大なご処置をたまわってもよいと思いますが」
 ヤンは冷笑で氷の竪琴をかきならした。
 「聞いたか、スールズカリッター少佐、このものたちは、自ら少佐の同類だと称しているぞ」
 「・・・まことに光栄のきわみ」
 少佐の水色の瞳が怒りの蒸気をたゆらせつつ逃亡者たちを直視した。彼はビュコック元帥から逃亡するよう求められても、ビュコックの側を離れず、死ぬ覚悟で彼の命を助けようとしたのだ。彼が未だに自殺せずにいるのは、ヤン艦隊までハイネセンの治安を守らねばならないという責任感からにほかならない。逃亡者たちから同類とみなされる不快感はたとえようもなかった。その表情を見やって、ヤンはうなずいてみせた。
 「よろしい、スールズカリッター少佐、私の心も君のそれにひとしい。本来、戦場の外で流血をなすのは君の本意ではあるまいが、とくに少佐に命じる、この薄汚い二本足のハイエナどもを処理して、せめて宇宙の一隅だけでも清潔にせよ」
 「は!この者たちを敵前逃亡および軍務放棄の容疑で軍法会議にかける。連行せよ!」
 最高司令官のことば半ばにして、すでに逃亡者たちは色を失っている。スールズカリッター少佐が片手をあげると、人の輪が11人の男たちの周囲に軍服の壁をつくった。
 「・・・法の保護を!」
 放った悲鳴はスールズカリッターの一喝にはじき返された。
 「前政権ならいざ知らず、トリューニヒト派が排除された今となっては裏切り者を保護すべき法はない。無益な哀願をするな」

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board4 - No.3191

Re:宇宙暦799年6月1日付 自由惑星同盟国防委員会辞令

投稿者:八木あつし
2002年10月31日(木) 18時08分

イッチーさん。ここまでいってしまうと、何か独裁者ヤンになってしまうような気が……。ヾ(;´▽`A``
私としてもヤン議長よりヤン総統を期待しているのですが、さすがに今回は設定が違うので。( ̄~ ̄;)
ウ~ン。ラインハルトと同じセリフではなく、もう少しヤンらしいセリフに変えてみたら良かったと思います。

あと実際問題として、トリューニヒト議長が出した停戦命令にロックウェル大将は従ったはずです。そしてビュコックは会議の場で地球教徒に防がれたものの、議長に対して実力行使に出ようとしました。ヤンは、命令を無視してラインハルトを倒しました。
結果論を考えずに原則論で考えれば、民主共和制軍隊の指揮官として、国民に選ばれた元首の命令に逆らったヤンとビュコックの方が問題があるとなります。無謀な侵略を行う訳ではなく、国民の生命を守るため停戦するという大義名分もあるからです。
その部分を隠すためにも、ロックウェル大将は哀れスケープゴートになってしまった……と考えても良いかも。これじゃあ、ますます独裁者ヤンだ(笑)

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board4 - No.3192

Re:宇宙暦799年6月1日付 自由惑星同盟国防委員会辞令

投稿者:イッチー
2002年10月31日(木) 18時40分

> イッチーさん。ここまでいってしまうと、何か独裁者ヤンになってしまうような気が……。ヾ(;´▽`A``
> 私としてもヤン議長よりヤン総統を期待しているのですが、さすがに今回は設定が違うので。( ̄~ ̄;)
> ウ~ン。ラインハルトと同じセリフではなく、もう少しヤンらしいセリフに変えてみたら良かったと思います。
>

まあ、それだけビュコックの死に直面したヤンの怒りが大きかったということで。(笑)実際には、ヤンは憲兵総監のムライ大将に「彼らのことは任せた」とか言って、終わりにしそうですが。(笑)

> あと実際問題として、トリューニヒト議長が出した停戦命令にロックウェル大将は従ったはずです。そしてビュコックは会議の場で地球教徒に防がれたものの、議長に対して実力行使に出ようとしました。ヤンは、命令を無視してラインハルトを倒しました。
> 結果論を考えずに原則論で考えれば、民主共和制軍隊の指揮官として、国民に選ばれた元首の命令に逆らったヤンとビュコックの方が問題があるとなります。無謀な侵略を行う訳ではなく、国民の生命を守るため停戦するという大義名分もあるからです。
> その部分を隠すためにも、ロックウェル大将は哀れスケープゴートになってしまった……と考えても良いかも。これじゃあ、ますます独裁者ヤンだ(笑)

この問題をどのようにヤンが解決したかについては同盟最高裁判例をご参照ください。(笑)

 ところで考えてみたら、ハイネセンに残留していたであろう同盟軍首脳で逃亡しそうもない人にパエッタ中将がいたんですよね。帝国軍撤退後の暫定的な司令官にはパエッタが就任する可能性が高いですね。ただ、帝国軍には同盟軍の序列とかはよくわからないでしょうから、ビュコックの副官だったスール少佐に事後処理を押し付けて撤退したということで。(笑)

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board4 - No.3193

自由惑星同盟最高裁判所判例

投稿者:イッチー
2002年10月31日(木) 19時08分

主文
 ヨブ・トリューニヒト・ジュニア氏による「無条件停戦命令を無視したヤン・ウェンリー元帥の行動は違法で無効であり、ジョアン・レベロ政権の成立、およびロックウェル元大将・ベイ元少将らに対しておこなわれた軍法会議も無効である」という訴えはこれを棄却する。

判決理由
 自由惑星同盟の主権を売り渡し、自らの安全をはかろうとする無条件降伏を同盟議会の同意も得ずして、おこなおうとしたトリューニヒト最高評議会議長の決定は、それ自体が同盟国民の権利を踏みにじり、同盟憲章の趣旨とは到底合致し得ないものである。ヤン・ウェンリー元帥の行為はこのような同盟国民の権利の侵害に対して、同盟憲章の抵抗権規定すなわち「同盟政府が人民の権利を不当に侵害した場合は、同盟国民はこれに抵抗することが出来る」という規定にのっとり、同盟国民の権利の回復につとめたものであって、同盟軍人として当然の行為である。そもそもトリューニヒト政権の無条件停戦命令は同盟議会の同意を得ておらず、合法性に問題がある。そのうえ、同盟国民全体の利益に反し、国家の主権を売り渡そうとしていた時点で、既にトリューニヒト政権の存在自体が合法性を失っていると見なさなければならない。よって、ジョアン・レベロ氏を議長とする新政権が樹立されたのは当然の結果であって、何ら問題はない。
 ロックウェル元大将、ベイ元少将らについては、同盟軍人として同盟国民の生命安全を守る責務を有し、悪逆非道なる帝国軍によるハイネセン市民虐殺に対しては身を呈して、これを防ぐ責任があったにもかかわらず、それを怠ったことは軍法会議にかけられても当然といわざるを得ない。トリューニヒト議長の無条件停戦命令に従っただけだという訴えにも一理あるが、彼らは同盟軍司令部からも逃亡し、ハイネセン・ポリス郊外で身を隠していたことが今日、明らかになっている。これだけでも、軍務放棄と見なされても致し方ないと思われる。よって、ヤン・ウェンリー元帥およびジョアン・レベロ議長による決定はすべて合法であり、いささかも覆されることは許されないのである。

             宇宙暦800年11月1日
     自由惑星同盟最高裁判所長官 ルイス・マックロイ

 まあ、権力を握ってしまえば、どうにでも正当化できるものです。(笑)

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board4 - No.3194

Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?

投稿者:古典SFファン
2002年11月01日(金) 06時11分

Kenさん:
>いつもながらの「科学解説」をしていただき、ありがとうございます。自分の教養が豊かになってゆくようで、喜んでいます。

いえいえ・・
本来の意味での自然科学的な説明をするには数学的なスキルが不足していますので、
正確なイメージを描写できているかどうか・・・(--;;

>コンピュータ能力の「量子論的限界」という話は面白いですね。超伝導を利用したコンピュータも考えられているようですが、不確定性原理の壁はやはり厳存しますからね。
情報を運ぶキャリアとしての電流や電磁波と、信号に関する問題は、古く石原藤雄
さんの短編集「ハイウェイ惑星」で指摘されています。
計算機の能力の量子論的限界は、色々な資料からですが、小説的には故アイザック・
アシモフの「ファウンデーションの彼方へ」で、自らを改良しつづけたR.ダニール・
オリヴォー(「鋼鉄都市」に登場。SF史上初?のロボット刑事)が遭遇した問題
です。
彼は人間型ロボットで、自分の頭部に陽電子頭脳(笑)を積んでいるため、2万年に
渡って自己改良を続けた挙句、それ以上集積化すると不確定性原理により情報を失って
しまう点まで到達してしまいました。

>ただ、言われるような意味での計算能力の限界の問題は人間だって持っているはずですから、最初に提議された「コンピュータが人間に勝てるか?」という問題に関しては、コンピュータ側の限界のみを論じて、不可能と結論することもできないのではないでしょうか?(中略)
そもそも、チェスや将棋や囲碁の達人は、「なぜ」強いんでしょかね?短時間に多くの手を読む能力に優れているから強いのでしょうか?)

推定になりますが(笑)幾つかに分けてお答えできます。

・私は、「コンピュータは人間に勝てない」とは云っていません。
 「航路局のコンピュータが、銀河3Dチェスチャンピオンに勝てるようなシステムを
  組めるとは限らない」
 というのが、先のレスの要旨です。

・何故そうなるのかという点に関して云えば、
 「3Dチェスのルールが天文学的な計算量を要求し、航路局のコンピュータがそれを
  チェスの持ち時間内に応答できるようなターンアラウンドタイムを持たない場合」
 チェスプレイヤーとしては、航路局コンピュータは負けるかも知れないと云う事
 です。
 ディープ・ブルーはそもそも通常のチェスで、プレイヤーとしての条件を満たし、
 必ず所定の時間で応答するように作られたシステムですから、話がまた異なります。
 時間を掛ければ、航路局のコンピュータは必ず最適解に達するでしょうが、
 問題を解けると云う事と、プレイヤーとして強いという事はイコールでないと云う
 見解です。
 が、この問題は、「3Dチェスのルール」が明らかにならないと解けないので、
 私の回答可能なのはこんなものです(笑)。

・人間のプレイヤーが何故強いのかというのは、本来私には全く回答不能の問いです。
 ご存知の通り(笑)私はシステム屋で、脳の研究者ではありません。
 が、興味の種として一つ、以前見た記事を出しておきます。

 粘菌は、脳も神経もないのに、迷路の最短距離問題を解決する能力があります。
ttp://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2000/000926/
 その秘密は、彼らの細胞が計算ではなく、リズムやパターン(物理・化学・
 幾何学的な物性)を使って迷路問題を解く能力を持っている事にあります。

ある種の問題は、計算(特にコンピュータに代表されるブール代数的演算や、数学
的演算)を用いずとも近似的に解決する方法があると云う事です。

この例に漏れず、人間(生物)の脳や肉体には、計算によらない、まったく
別種の問題解決システムが備わっているのかも知れないと、私は考えています。
(粘菌と同じ手を使っているとは限らない。もっともっと、驚くべきものを備えて
いるかも知れません)
われわれはまだ、この種のシステムとしては計算機しか知らないので、ついそれだけ
を基準に考えてしまいがちですが、45億年掛けて作られた生物の体は、まだまだ
多くのびっくり箱を用意しているのかも知れません。

>1.科学技術は政治的な事情で、退歩することがある
>2.とくに情報技術は、非民主的な権力との、両立が困難である
江戸時代の例は、よく分かります。
特に銀河帝国には「外部」がなかったため、鎖国状態の日本宜しく、一部の分野に
ついては必ずしも進歩する必要がなかったとはいえます。

が、コンピュータに付いては、それ自体が反逆材料になり、抑圧される対象と
なるかというと、ちょっと違う気もします。
現在も、実際に抑えようとしているのは、特定コンテンツへのアクセスであり。
コンピュータの計算能力などではありません。
広く情報技術というならば、例えば
「帝国標準倫理プロトコル(笑):このコンテンツを見たら死刑」
のようなものを装備したチップが、ありとある情報機器に装備されているかも
知れません。
(中身はフェザーン資本の会社が廉価で量産していたりして・・・)。

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board4 - No.3195

Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?

投稿者:SAI
2002年11月01日(金) 11時42分

> >ただ、言われるような意味での計算能力の限界の問題は人間だって持っているはずですから、最初に提議された「コンピュータが人間に勝てるか?」という問題に関しては、コンピュータ側の限界のみを論じて、不可能と結論することもできないのではないでしょうか?(中略)
> そもそも、チェスや将棋や囲碁の達人は、「なぜ」強いんでしょかね?短時間に多くの手を読む能力に優れているから強いのでしょうか?)

コンピュータのほうは古典SFファンさんが説明したので、私は人間のほうを。

人間はコンピュータと違い、すべての状況を考慮しません。無意識のうちに感情がほとんどのものを弾く。弾かれなかった残りを人間は意識的に考えます。

チェスや将棋や囲碁の達人はもちろん、普通の人に比べれば短時間に多くの手を読む能力に優れてますが、今のコンピュータに勝てるほどではない。が、コンピュータと違いすべての状況を考慮しなくても最適であろう答えの数を3つ、4つぐらいに絞れるわけです。

これは人間ならみんなそうやって生きてます。

> >1.科学技術は政治的な事情で、退歩することがある
> >2.とくに情報技術は、非民主的な権力との、両立が困難である

江戸時代の例については、問題解決法はひとつではない。
人間物事がうまくいっている限り今までのやり方を変えようとは思わない。必要がない技術は発達しない。

の例だと私は思います。

>
> が、コンピュータに付いては、それ自体が反逆材料になり、抑圧される対象と
> なるかというと、ちょっと違う気もします。
> 現在も、実際に抑えようとしているのは、特定コンテンツへのアクセスであり。
> コンピュータの計算能力などではありません。
> 広く情報技術というならば、例えば
> 「帝国標準倫理プロトコル(笑):このコンテンツを見たら死刑」
> のようなものを装備したチップが、ありとある情報機器に装備されているかも
> 知れません。
> (中身はフェザーン資本の会社が廉価で量産していたりして・・・)。
>

特定コンテンツのアクセスの禁止も、帝国が繁栄し、自信に満ちていた時代はやらないでしょう。そう言うときは国民が何を見ようが、社会が揺らぐことはないので。情報が自由に伝わると、「今の王様よりもっといいリーダーがいるかもしれない」と民衆が探し始めるわけじゃないです。
社会が安定し、未来に希望があって安心があるならそういうことを考えるのは極少数の異端者だけです。
衰退期に入り、自信がなくなればやると思います。帝国標準倫理プロトコル(笑)を使うのか、もっと巧妙にやるのかは書いてないからわかりませんが。

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board4 - No.3196

Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?

投稿者:Ken
2002年11月01日(金) 13時23分

>計算(特にコンピュータに代表されるブール代数的演算や、数学的演算)を用いずとも

そういえば、ニューロコンピュータなど、どうなったのでしょうね。ひと昔前はエアコンや掃除機まで「ニューロ」だ「ファジー」だと謳っていましたが・・・。イメージ先行のブームが去って、地道な開発プロセスに戻ったのかな?

>45億年掛けて作られた生物の体は、まだまだ多くのびっくり箱を用意しているのかも知れません

コンピュータ技術のブレークスルーの可能性の一つに、生物の仕組みを取り入れる、なんてのもあったのではないでしょうか?ジェネティック・アルゴリズムも、(少なくとも名前だけは)技術者なら誰れでも知ってるでしょうし。0(断電)と1(通電)しかない電子素子の代わりに、DNA塩基のような4つの状態を取りうる素子を用いれば、素子の数は半分、結線の数は3分の1以下になって、「ダニールの死」がずいぶん先に延びるのでは?

理研の記事を読んできました。この記事の通りなら、粘菌は一旦は迷路の隅々まで入り込む(つまりすべての経路を探索する)ので、「巡回セールスマン問題」というのは、吹いているような気もしますが・・・。ただ、コンピュータ型の知能活動を行わずに、最適経路を見つけ出すというのはそのとおりかと思います。(考えてみれば、無生物である水だって、最も効率よく位置エネルギーを減らす経路を「発見して」流れますしね。)

>鎖国状態の日本宜しく、一部の分野については必ずしも進歩する必要がなかったとはいえます

これは、私が言おうとしたことを、ずいぶんと「穏やかに」解釈されたと思います。(慎重になられる気持ちは分かりますが。(笑))幕府は、北海道の物産を下関回りで江戸へ送るという、大変な不便を甘受してまで、造船技術の退化を強制したのです。「技術」というものが、人間の合理精神を刺激し、結局は封建制という非合理な体制の否定につながることを、理解していたのではないでしょうか?「飛び道具とは卑怯なり」という珍妙なせりふをはやらせて、銃火器の技術を圧殺したのもこの時代です。サミュエル・コルトの量産型拳銃が「great equalizer」と称されたように、強者と弱者の立場を、より対等に近づける技術の存在は、デモクラシー以外のどんな体制とも、本質的に矛盾するのでは、と私は思います。(別に、NRAの先棒を担いで、銃器の所有を自由化せよなどと、主張しているのではありませんので、念のため。)

>穿ってみれば、帝国時代に人口が減少したのも、テクノロジーの衰退に一因があると云う考えも成り立つでしょう。

硬直的社会を維持するため科学を弾圧→テクノロジーが衰退→人口減

というパターンなら、私の理解と非常に一致します。

そもそも「権力」とは、人間を意のままに動かす影響力のことであり、機械には通用しませんので(皇帝が操作しようが、Kenが操作しようが、同じ機械は同じように働く)、非民主的権力者が民衆に対する相対的優越を維持しようとすれば、機械が人間に取って代るのを好まないと思います。

ところで、非民主的社会がインターネットをどう扱うかに関して、何ともタイムリーな記事が、朝日のサイトにありました。消えないうちに、ぜひ、ご一読されてはいかがでしょうか?

ttp://www.asahi.com/international/aan/issen/issen18.html

board4 - No.3197

中国について

投稿者:IK
2002年11月01日(金) 14時11分

横レスですが…

中国でのインターネット普及は確実に中国社会の根幹を変えつつあると思います。
現在の中国社会が民主的なものとは決して言えないと思いますが、果たして民主的であることが至上の価値なのでしょうか。
無論、Kenさんの論旨とずれていることは承知していますが、
中国当局の一部の旧態依然たる態度にも関わらず、
中国は中国なりの近代化、民意の反映を成しつつあると考えています。決してアメリカの方式から言えば百点満点ではないでしょうが。取り敢えず、Kenさんに紹介いただいたサイトとは別の視点を提供する意味で、やや古いのですが、

ttp://home.att.ne.jp/sigma/tsugami/0004.htm

も紹介します。

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board4 - No.3198

Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?

投稿者:八木あつし
2002年11月01日(金) 14時28分

> > 銀英伝に話を戻しますと、ゴールデンバウム家の銀河帝国は、上に挙げた理由で、科学技術を進歩させる最も大切な社会条件と、本質的に矛盾する体制をとっています。これでは、技術は衰えるばかりです。特にコンピュータ技術のような、帝国の支配構造を揺るがす性質のものは、決して進歩しないように、二重三重の封印をかけたと思います。
>
> それでは巨大星間国家たる帝国は維持できないでしょう。維持するためには封印などできないと思います。もし衰えるなら、それは文明の崩壊という事態がおきている状況でしょう。

横レス失礼します。
銀英伝式未来の科学技術がどうっているのかは、何とも私には想像が付きません。
ただ科学技術が衰退、もしくは封印されたいう考えは一部では当たっていると思います。
それは人工知能を積んだ自立思考型のロボット技術です。あれはルドルフ大帝が科学技術史から消したとしか思えません。
現在、軍事技術の中においてロボット兵器が開発されつつあり、一部では実用化もされています。将来はそれが応用され、より進化した警備ロボットなどが生まれるでしょう。それがさらに発展してメイド・ロボ(笑)も生まれると思います。
しかし帝国歴5世紀末、銀河帝国のノイエ・サンスーシーには一台の召使いロボもなく大勢の侍従・女官が仕えています。広大な宮殿の警備もまた警備ロボではなく、かつてあった近衛旅団こそないものの衛兵によって行われています。
ノイエ・サンスーシーには、ルドルフ大帝が「自分の足で歩けないような人物が帝国を支えることは出来ない」ということからエスカレーターのような自走機械は置いてありません。(たしか)
そして人による奉仕をルドルフが求めた結果、ノイエ・サンスーシーに大勢の侍従、女官が仕えることになり、メイド・ロボ(笑)は消えていったと思います。
皇帝がロボではなく人による召使いを大量に持てば、貴族も追従します。皇帝・貴族がロボを使わなくなったら富裕市民も使わなくなり、やがてロボ市場が廃れ消えていったのかもしれません。
軍事ロボも、ルドルフが「戦いは人間が行うべきもの!」とでも考えて陸戦兵器から消したのかもしれないですね。まぁ、陸戦がロボット兵器戦ならシェーンコップとオフレッサーに活躍の場がなくなるので丁度良いのでしょう。

私はゴールデンバウム朝銀河帝国は、アイザック・アシモフのファウンデーションシリーズに出てきた銀河帝国にかなり似ていると思います。バランス感覚の無い支配層。疲弊した市民。一部の有能な軍人。皇帝が死ぬと事実上国家が分裂崩壊したところ。軍事力は宇宙艦隊ぐらいで、ロボット兵器が無いこと。
そんなこんなの科学技術力だと仮定しました。
もっともハイテク戦争しかない銀英伝は、面白味に欠けますね。

board4 - No.3199

あずぎんが英雄伝説再び(笑)

投稿者:Trindskallarna
2002年11月01日(金) 14時55分

どうも、先日挨拶の書き込みをさせて頂いたTrindskallarnaです。
新Q太郎さんのパロディ集を拝読していて、私も拙いながら
思いついたのでご照覧下さい。
新Q太郎さんのご作品には及ぶべくもありませんが…(^^;

ヤン「半個艦隊であのイゼルローンを攻略せよと仰るので?」
シトレ「そうだ」
ヤン「可能だとお考えですか?」
シトレ「可能かどうかはどうでもいい。イゼルローンを攻略するんだ」

ビュコック「我々は敵の侵攻を防ぐのが精一杯だ」
ホーランド「そんな低い志ではダメです!」
ビュコック「そ、そうなのか?」
ホーランド「私の戦いを!生き様をご照覧下さい!」
ビュコック「はあ…」
…戦闘後
ウランフ「…この生き方はダメです」
ビュコック「わしもそう思う」

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board4 - No.3200

Re:宇宙暦799年6月1日付 自由惑星同盟国防委員会辞令

投稿者:僧侶T
2002年11月01日(金) 16時41分

ロックウェルとベイは逃走ですか・・・。となると、ハイネセンの虐殺が起こった理由には、
 1、「解放者」ラインハルトの死の報に帝国軍の兵士や、下級幹部が理性を失った
 2、突発的に決められたことだったので、抹殺リストが整備されていなかった(だからレベロやルイといった重要政治家も、現在政府の公職についていないという理由だけで見逃された)
 のほかにも、3、軍・政府の幹部の多くが逃亡していたため、拘束に向かった帝国軍が逆上してしまった
 というものがあることになりますね。となると、結果的にせよ火に油を注いでしまったのですから、逃亡した政府の幹部は公職追放に、軍の幹部は軍事裁判にかけられても仕方ないですね。
 でも、ロックウェルはともかく議長警護室長のベイでさえ逃げられるのなら、トリューニヒトも逃げられるのではないか、と思えます。救国軍事会議のクーデターのときを思えば、トリューニヒトがおとなしく拘束されるまで待っているとは思えません。そこで、いくつかの説明を考えてみました。
 1・突然、使命感に目覚めて民衆を救うために自ら犠牲になった
 一番ありそうにない説。トリューニヒトの本質はエゴイストの怪物ですから、「私が犠牲になったからといって暴虐な帝国軍が虐殺をやめるわけがない」といって逃亡しそうです。
 2・いったんは逃亡したが、今回も頼ろうとした地球教に密告された
 地球教は救国軍事会議の際トリューニヒトを助け、今回のトリューニヒトの逆クーデターにも加担しています。しかし、地球教はこの前後、それまでの方針を変え、自らの武力をもっての宇宙再制覇へと方針を転換しています。武力育成の時間を稼ぐためには、帝国から疑惑の目を向けられるわけにはいきませんからこうするでしょう。
 この2にもそれなりの説得力がありますが、拙僧にとっての本命は次の3です。
 3・トリューニヒトが、ハイネセンの虐殺の犠牲者第1号であったことにする
 具体的には、
 まず、ハイネセンの衛星軌道上を制圧した帝国軍は、まさかと思いつつも同盟政府が救援要請を行えないよう通信封鎖を行っていた、ということにします。そのためにヤンが停戦命令を無視し、ラインハルトを戦死させたことは帝国軍しか知りえませんでした。帝国軍は、それを利用して報復のための同盟の政府、軍の指導部抹殺をたくらみます。
 「停戦命令にヤンが従ったことは確認された。われわれは、これから総司令官、ローエングラム公からの命令に従って同盟政府の降伏を受理し、それ以降、ハイネセンの治安を維持するために降陸を開始する」とでも命令文を送りつけ、軍・政府の首脳が安心してるところを急襲して一網打尽にしようとしたわけです。
 ・・・が、宇宙港に出迎えのため現れたトリューニヒトを、帝国軍の兵士の一人が「ローエングラム公の仇だ!」と叫んで射殺してしまいます。この報は、命からがら逃げ延びた随員の一人によって、トリューニヒトの逆クーデターにより、監禁されていた軍・政府の高官の元に届けられました。それによって、ヤンが停戦命令を無視したこと、帝国軍はその報復のため軍・政府の高官を抹殺しようとしている事を知った高官たちは、アイランズとドーソン、ビュコックほか数人を除いてすべて逃亡してしまいます。
 アイランズは自ら犠牲になるために、ドーソンは精神が崩壊したも同然になったために、自らそこに残りました。そしてビュコックは宇宙艦隊司令部に戻ると、中将以上の幹部たちにはこのままここにいて一般市民のために犠牲になることを求め、それ以下の部下たちには逃亡を勧めました。しかし、ロックウェル大将はそれに逆らって逃亡し、スールズカリッター少佐以下、少数の部下たちは逃亡の勧めを拒否し、ビュコックを守るために絶望的な先頭を挑むことを決意した。
 一方、計画が崩れ去った帝国軍は方向性を見失い、一般市民の虐殺に走っていた。このために軍・政府の高官のほとんどは逃亡し、「ハイネセンの虐殺」に被害者のほとんどが一般市民であるという結果を招くこととなる。
 と、こんなところでしょうか。3の欠点はトリューニヒトが射殺される際に、そばにつきしたがっていたであろうベイも一緒に射殺されるであろうことぐらいでしょうか。

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board4 - No.3201

Re:自由惑星同盟最高裁判所判例

投稿者:僧侶T
2002年11月01日(金) 16時59分

>  自由惑星同盟の主権を売り渡し、自らの安全をはかろうとする無条件降伏を同盟議会の同意も得ずして、おこなおうとしたトリューニヒト最高評議会議長の決定は、それ自体が同盟国民の権利を踏みにじり、同盟憲章の趣旨とは到底合致し得ないものである。
 それ以前に、無条件停戦命令は軍・政府の高官による国防調整会議においても賛成を得られなかったため、地球教徒の力を借りての逆クーデターを起こすことによってようやく出されたものです。(徳間文庫版第5巻P330~334)である以上、
 「民主制の手続きを無視し、逆クーデターによって民主制を実質的に崩壊させた当時のトリューニヒト政権は、その存在それ自体が同盟憲章に違反していた。したがってその命令も無効である。ゆえに、ヤン提督は命令に違反したとはいえないし、本来無効である命令に従ったロックウェル大将らは、その不見識に対する批判と、無気力な行動に対する処罰とを甘受しなければならない」
 といった判決になると思います。

親記事No.3175スレッドの返信投稿
board4 - No.3202

Re:宇宙暦799年6月1日付 自由惑星同盟国防委員会辞令

投稿者:イッチー
2002年11月01日(金) 18時15分

僧侶Tさんの3の設定が一番ありそうな「ハイネセンの虐殺」の過程だと思います。

 と、こんなところでしょうか。3の欠点はトリューニヒトが射殺される際に、そばにつきしたがっていたであろうベイも一緒に射殺されるであろうことぐらいでしょうか。
>

警護室長はいつも議長の側にいるわけではないでしょう。いつも議長の側にいるのは部下のSPで、自分は執務室でふんぞり返っていると思います。3の場合、空港の入り口で帝国軍幹部と一緒に出てくるであろう議長を待っていたベイが、逃げ出してきた随員からことの顛末を聞き、無線または携帯電話で仲間の軍の高官に逃げるよう伝えて、自分も逃げたということにすればよいのではないでしょうか。(SPは全員殉職)

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board4 - No.3203

Re:自由惑星同盟最高裁判所判例

投稿者:イッチー
2002年11月01日(金) 18時18分

>  「民主制の手続きを無視し、逆クーデターによって民主制を実質的に崩壊させた当時のトリューニヒト政権は、その存在それ自体が同盟憲章に違反していた。したがってその命令も無効である。ゆえに、ヤン提督は命令に違反したとはいえないし、本来無効である命令に従ったロックウェル大将らは、その不見識に対する批判と、無気力な行動に対する処罰とを甘受しなければならない」

すばらしい文章ですね。こちらのほうが最高裁判決にふさわしいと思います。

board4 - No.3204

ハイネセンの虐殺、その後

投稿者:イッチー
2002年11月01日(金) 18時50分

 前スレが長くなったので、新たなスレをたてます。

 アレクサンドル・ビュコックとチャン・ウー・チェンがハイネセン市民の身代わりに帝国軍の銃口に倒れたとき、第一艦隊司令官パエッタ中将は市民の殺戮を食い止めるため、寡兵ながらも帝国軍に戦いを挑んでいた。パエッタは旗艦に攻撃を食らって重傷を負い、戦死を遂げるのは時間の問題だったが、ミッターマイヤー提督より市民の殺戮禁止の厳命が出たために帝国軍が攻撃を中止し、パエッタは死を免れた。視野の狭さをとかく指摘されるパエッタであったが、軍人という職務に対しては盲目的に忠実だったのである。
 パエッタのような例は同盟軍高官のなかでは特異なものである。高官の多くは同盟政府首脳とともに逃亡し、市民の安全のために立ち上がった者の多くはスールズカリッター少佐のような下級将校や名もなき兵士や警察官、そして中下級の官僚であった。
 ハイネセン首都政庁の参事官、ビジアス・アドーラは「ローエングラム公の復讐」を叫ぶ帝国軍兵士たちに対して、「ローエングラム公とは誰のことか。自由惑星同盟では人民は法の下に平等であり、公爵なる身分は存在しない。よって、我われはローエングラム公なる者の死の責任を問われる筋合いはない」と叫び、激昂する帝国軍兵士によって撲殺された。
 財政委員会事務局国庫課長のクロード・モンテイユは、財政委員会に侵入してきた帝国軍兵士の前に立ちふさがり、女性職員を裏口から逃がした。「私はじつのところこわい。生命が惜しい。しかし、ひとたび公僕となったからには市民の安全のために立ち上がらざるを得ない」と部下に語ったと伝えられている。彼は帝国軍兵士によって射殺された。
 最高評議会書記局の二等書記官グレアム・エバート・ノエルベーカーは最高評議会への帝国軍兵士の侵入を「自由惑星同盟の国民以外はこの建物に入る資格はない」と阻止しようとして、帝国軍兵士によって射殺された。

 後に報告を聞いたヤンは「りっぱな男たちだ。そのような者たちが中堅以下の地位にとどまっているようだから、同盟は今日のような危機を迎えたのだ。彼らの家族には十分な補償をしなくてはならないな」と述べた。実際、ハイネセンの虐殺の具体的な犠牲者リストが作成されてみると、被害者のほとんどが名もなき一般市民や警官・兵士であった。政府・軍の高官で被害者リストに載っているのは、トリューニヒト議長・アイランズ国防委員長・ドーソン統合作戦本部長・ビュコック宇宙艦隊司令長官・チェン宇宙艦隊参謀長ぐらいのものであった。同盟軍の高官にいたっては市民の代わりとなるため、中将以上は司令部に残るようビュコック元帥から厳命されていたにもかかわらず、パエッタ中将以外、逃亡するていたいらくであった。さすがに温厚で知られるヤン元帥もこの被害者リストを見たときには、厳しい表情をしていたと言われる。のちにユリアンは「私はヤン提督がここまで激しく怒った顔をみたことがなかった。それは心底からの情けなさとか弱い市民を見捨てて逃亡した軍首脳に対する憎悪がないまぜになっているように思われた」と回想している。

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board4 - No.3205

Re:ハイネセンの虐殺、その後

投稿者:イッチー
2002年11月01日(金) 19時19分

 ヤンは「ビュコック元帥をお守り出来なかった」としてスールズカリッター少佐から提出されていた辞表の受け取りを拒否し、引き続き新任の宇宙艦隊司令長官の副官をつとめるよう命じた。「それがビュコック元帥の恩に報いる唯一の道だと思う」そう語るヤンの言葉にスールズカリッターは涙した。
 生き残った兵士たちに対して、ヤンは無原則に寛大であったわけではない。彼にとってその日最後の公務は、バーミリオン直後に逃亡し、その後退役を申し出た軍の高官たちを面接することであった。ヤン艦隊の幹部の多くが新たに同盟軍の要職に任命され、任務引継ぎに忙殺されていたため、ヤンの傍にある軍最高首脳は第一艦隊司令官の留任が決まったパエッタ中将だけであった。
 逃亡者たちに面接したヤンは、最初から侮蔑の意思を隠そうともせず、頭のベレー帽さえ脱ごうとはなく、逃亡した高官たちを見下した。ぎこちなく敬礼した男たちに、氷点をはるかに下まわる声を投じる。
 「私はこう見えても忙しい身でね。あなたがたに割く時間も実は惜しいのですよ。ひとつだけ聞いておきます。みなさんが逃亡をはかったとき、みなさんの羞恥心はどちらの方角を向いておられたのですか」
 ロックウェル大将は動揺と不安にサンドイッチされた顔をかろうじて若い最高司令官にむけたが、怒りに燃えるその瞳に対抗するのは容易ではなかった。
 「我われが恥知らずとでも言うのですか、元帥」
 「それ以外のことを言ったように聞こえたのなら、私の言い方が悪いのでしょうな」
 「元帥のお側に控えているパエッタ中将にしても、ハイネセンの虐殺を食い止められず、あまつさえ帝国軍に命を救われ、軍務を続けている。私たちは責任を感じて辞表を提出した。寛大な処置があってもいいと思うのだが」
 ヤンは冷笑で氷の竪琴をかきならした。
 「聞きましたか、パエッタ中将。このひとたちは自ら中将の同類だと称していますよ」
 「・・・まことに光栄のきわみだな」
 かねてより勇将の名をほしいままにし、ハイネセン市民の安全のために身を呈して戦ったパエッタが、今日までおめおめと生き続けたのは、ヤン艦隊到着までハイネセンの治安を維持するためにほかならなかった。逃亡者たちから同類とみなされる不快感はたとえようもない。その表情をみやって、ヤンはうなづいてみせた。
 「本来は憲兵総監のムライ大将の仕事なのでしょうが・・・。今回は同盟軍最高司令官として、このひとたちの処遇を中将に一任します」
 「うむ。敵前逃亡および軍務放棄の疑いでこのものたちを軍法会議にかける。連行せよ!」
 最高司令官のことば半ばにして、すでに逃亡者たちは色を失って立ち上がっている。パエッタが片手をあげると、人の輪が逃亡者たちの周囲に軍服の壁をつくった。
 「・・・法の保護を!」
 放った悲鳴はパエッタの一喝にはじきかえされた。
 「前政権ならいざ知らず、トリューニヒト派が排除された今となっては卑怯者を保護すべき法はない。無益な哀願をするな」

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