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投稿ログ103 (No.2031 - No.2033)

board1 - No.2031

私の創竜伝考察22 兵器描写編

投稿者:冒険風ライダー
1999年09月17日(金) 15時19分

 創竜伝の軍事関連特集・二回目は「間違いだらけの兵器描写」です。
 以前Marketsさんが詳細に論じられていましたが、田中芳樹はホントに創竜伝をまじめに書いていませんね。田中芳樹が現代兵器をロクに知りもしないというのは、湾岸戦争でイラクが使用していた兵器を「アメリカ製」であると考えているところからも明らかですけど、ああまで基本が間違っているくせに「自衛隊の戦車は道路を走れない」など何の検証もなしにのたまう姿勢は、「性悪説」を誤用した鳥羽靖一郎と全く同レベル、もしくはそれ以下ではありませんか。
 創竜伝における兵器描写は3巻・4巻・6巻にありますが、それを全部読んでみた感想は「よくまあここまでヨタが書けるな~」でしたね(^_^)。田中芳樹は以前、創竜伝文庫本の対談で架空戦記を批判していた事がありましたけど、こと兵器描写に関しては、いくら架空戦記にいろいろヨタな部分があるとしても、創竜伝ほどひどい姿勢で書いているとは思えないのですけどね~。
 さて、兵器描写については、3・4巻の分については以前にも論じられていますので、参考過去ログの紹介と兵器資料の引用を中心にやっていきたいと思います。ただし、過去ログと私の見解と違ったりする個所については、私独自のコメントを入れていきます。
 なお、兵器の見方は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
兵器名 ―――――――兵器種類
兵装:
・ 兵装名1―――――兵装種類
・ 兵装名2―――――兵装種類
兵器説明:
 兵器の概要や歴史などについてのコメントです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

創竜伝3 P111下段~P112上段
<はぐれ戦車が発砲したのである。一四〇ミリ主砲ではなく、砲塔に付設された機銃であったが、一〇時方向から肉薄してきた一両のキャタピラにむけて機銃を撃ちだしたのだった。しつこい追手に舌打ちした続が、ハッチから上半身を出し、機銃のあつかいかたを水地から教わって撃ったのである。数発の機銃が路面で煙をあげると、戦車は大あわてで方向を変えた。それがあまりに急だったので、車道をはずれて歩道に乗りあげてしまう。>

参考過去ログ――No.1085

 90式戦車の兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
90式戦車―――――主力戦車
兵装:
・120㎜滑腔砲――戦車砲
・12.7㎜機銃――機銃
兵器説明:
 自衛隊が1970年代末から開発を開始した戦後第3世代戦車。1990年より量産が開始され、現在最新鋭の装備を誇る。
 主砲には120㎜滑腔砲を、車体・砲塔の主要部には新型複合装甲を採用。日本の国土に合わせた小型化が計られており、西の第3世代戦車より一回り小さい。主砲には自動装填装置を採用。乗員は3名で、射撃指揮装置には高度な電子機材がフル装備されている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

創竜伝3 P112下段~P114下段
<大混乱の地上をあざ笑うように、ヘリの爆音が近づいてきた。
 それは横田基地から飛びたったアメリカ軍のヘリコプターであった。三機で編隊を組み、夜空を引き裂いて近づいてくる。
(中略)
 数奇屋橋、八重洲、江戸通りと走って両国橋を渡りかけたとき、いきなり空中から銃撃を受けた。ヘリの機体に赤い点がきらめき、地上では着弾音がひびく。
「撃って来やがった。何と非常識な奴らだ」
 水地はののしったが、これほど説得力に欠けた台詞もめずらしい。だが、たしかに、隅田川の河上とはいえ、都内で発砲してくるとは思わなかった。このとき、午前一時ごろである。
 路面にバルカン砲がうがたれる。狙いをはずしたのか、それとも故意か。はぐれ戦車は、橋上をゆるやかに蛇行しつつ、銃撃をかわした。
「兄さん、あぶない、ふせて!」
 続が叫んだ。車外の始は、砲塔の陰に身を伏せたが、それほど危険は感じなかった。本気の攻撃だったら、対戦車ロケットでも撃ちこんでくるだろう。>

過去ログNo.1091 Marketsさん
<114ページ、ヘリがやってきて「アイアン・ドラゴン」に威嚇射撃を行ないますが、これって威嚇になるの?
というのも戦車装甲の上面は脆いから、結構やばいんですよね。
しかしそれ以前の問題として、この飛んできたヘリの種類は何なのでしょうか?それを書かないことには、ここの描写はおかしなことになりますよ。
軍用ヘリと一口にいっても、大きく分けて2種類あるんですよね。兵員の輸送を専らとする「汎用ヘリ」と、対地・対潜攻撃を専らとする「攻撃ヘリ」です。
で、飛んできたのが「汎用ヘリ」なら問題無いんです。あれの機銃はたいしたことないから。
よく見てみると「路面にバルカン砲の・・・」という記述があります。とするとこれは「攻撃ヘリ」、それもバルカン砲装備となると「AH-1ヒューイコブラ」となります。実際、自衛隊所持の攻撃ヘリはこれだけなので、そこからも同機だと特定できます。
そこで今一度本文の記述を見ると「それほど危険は感じなかった。本気の攻撃なら、対戦車ロケットでも・・・」となっています。
おいおい、攻撃ヘリの装備はすべて対戦車用であって、バルカン砲でも十分「本気の攻撃」なんだよ。ただ一撃必殺でないというだけ。ここでは竜堂兄弟捕獲命令が出ているんだから、戦車の動きを止めるべく、機関砲掃射にとどめているだけなんだってば。>

<「本気の攻撃なら対戦車ロケット」というのも、なんだかなあ・・・。攻撃ヘリの主兵装はATM(アンチタンクミサイル)なのになあ。そりゃロケット弾も装備しているけど、基本はミサイル一発!だよ。
こうしてみると「バルカン砲」というのもあやしいよなあ。自衛隊のヒューイコブラだとわかって書いたのかどうなのか。弾丸を連続発射するものは何でも「バルカン砲」だと思ってんじゃあないだろうな。
ちなみにバルカン砲は機関砲の一種で、複数の銃身を束ねて回転させながら弾を発射するものです。
もし、やって来たのが米軍のアパッチだったら完全に間違いだよ。あれは30ミリ機関砲なんだから。>

 自衛隊の攻撃ヘリ・AH-1Sコブラの兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AH-1S コブラ ―――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ BGM-71 TOW―――――対戦車ミサイル
・ 20mm3銃身バルカン――――対地機銃
兵器説明:
 陸上自衛隊は対戦車能力を強化するため、対戦車ヘリコプターの導入を決め、アメリカ製のAH-1Sが採用された。
 導入は昭和52年から始まり、昭和59年からライセンス生産も行なわれている。本機はAH-1シリーズのアメリカ陸軍による改良型で、特に対戦車能力が強化されている。
 現在陸上自衛隊では、各方面隊毎に対戦車ヘリコプター部隊の編成を行なっている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 しかし創竜伝の記述から考えると、上記のヘリコプターはアメリカ軍と考えられます。そうなると、アメリカ軍と自衛隊の指揮系統の問題なども絡んでくるのですが、まあそれをいうと話がまたややこしくなるので、ここでは置いておきましょう。
 この場合のアメリカ軍のヘリコプターとなると、該当する兵器は5つあります。兵器及び兵装を全て紹介しましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
UH-1 イコロイ――――――――――兵員輸送ヘリ
兵装:
・ 70mmロケット弾 ―――――――――対戦車ロケット弾
・ 7.62mm機銃 ――――――――――対地機銃
兵器説明:
 ベルUH-1はアメリカで開発された小型汎用ヘリコプターで、この種のヘリの西側でのベストセラーである。
 59年にはHU-1Aが完成、以来HU-1B、命名法が変わりUH-1D、UH-1Hと発展改良が続けられている。兵員12名を搭載でき、小規模ヘリボーン作戦などに使用される。輸送ヘリとしてだけでなく、捜索・救難ヘリとしても有効に活用される。

UH-60 ブラックホーク――――――兵員輸送ヘリ
兵装:
・ AGM-114 ヘルファイア――――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 7.62mmガトリング砲――――――対地機銃
兵器説明:
 アメリカ陸軍の新型汎用ヘリコプター。兵員輸送・支援・補給などの多目的任務の遂行が可能。
 軽量化と耐弾性を高めるため、ローターや機体各部に複合材が多用されている。乗員3名兵員11名の輸送が可能で、胴体左右にパイロンを装着すれば、攻撃ヘリとして使用することできる。パイロンには増加燃料タンクも装着でき、航続力を延伸可能である。

AH-1 ヒューイコブラ―――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ BGM-71 TOW――――――――対戦車ミサイル
・ 20mm3銃身バルカン―――――――対地機銃
兵器説明:
 ベトナム戦争でアメリカ軍が輸送ヘリコプターを護衛するために開発した高速武装ヘリコプター。現在の攻撃ヘリの草分け。
 軽輸送ヘリコプターUH-1を原型とし、エンジン・動力伝達機構を流用している。高速性能を発揮するため、機体は絞りこまれた細長い断面形をしている。20mmガトリング砲を装備、また胴体左右の小翼に対戦車ミサイル、対地ロケット弾等を搭載する。

AH-64 アパッチ―――――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ AGM-114 ヘルファイア――――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 30mmチェーンガン ―――――――対地機銃
兵器説明:
 夜間や悪天候でも行動でき、対戦車戦闘を遂行できる先進攻撃ヘリとしてアメリカ陸軍が開発した重武装攻撃ヘリコプター。
 1983年に量産開始。夜間行動を可能にする暗視ゴーグルや各種ハイテクセンサーを装備し全天候型行動能力を持つ。機体はきわめて頑丈につくられていて23mm弾の直撃にも耐えられる。ローターも複合素材で被弾に強くできている。

AH-64D ロングボウアパッチ―――攻撃ヘリ
兵装:
・ AGM-114 RFヘルファイア――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 30mmチェーンガン ―――――――対地機銃
兵器説明:
 AH-64をベースにした発展型で、主ローターマスト上にミリ波レーダーを搭載して、索敵攻撃能力を高めている。本機は、現在世界最強の攻撃ヘリコプターである。
 レーダーは前方監視赤外線装置や光増強TV装置が役にたたない雨・霧・霞の中でも目的の追跡が可能。地形を読み取ることができるので、航法援助手段としても使用できる。エンジンも強化され機動力も高い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 長々と資料を引用してみましたが、さて、資料と創竜伝の記述を照らし合わせると、記述で使用されている兵器は、バルカン砲を使用していることからAH-1ヒューイコブラとなります(結局Marketsさんの指摘と同じだったりします(^^;;))が、ヒューイコブラには竜堂始のいう「対戦車ロケット」など通常は装備されていません。では「対戦車ロケット」を装備しているUH-1イコロイではないかとも考えられますが、あれの兵装は7.62mm機銃ですから「バルカン砲」という記述と矛盾してしまいます。
 ということは考えられるオチはひとつしかありませんね。「竜堂始は兵器オンチ」です(^_^)。

創竜伝4 P182下段~P183上段
<四〇機のF18E戦闘機。それを製造する経費で、第三世界の一〇〇〇万人の乳幼児を餓死と病死から救う事ができる。三門の三二ミリ・バルカン砲をそなえ、さらに対空ミサイルを保有する。パイロットも、きわだった技倆を持つ空軍のエリートたちだった。
(中略)
 バルカン砲が火箭を吐く。一分間に六六〇発の連射能力があるのだ。八機ずつ五編隊にわかれ、一撃離脱の強襲フォーメーションを実行した。一秒間に八八発の三二ミリ機関砲が、ドラゴンめがけて撃ちこまれた。熱帯草原を闊歩するアフリカ象が、一〇〇万頭もまとめて撃ち殺されるほどの量であった。「覇王」の原子炉に砲弾が撃ちこまれて核爆発を生じさせてもかまわぬ、という命令だった。だが、あわい虹色にかがやく球形が、ドラゴンと「覇王」と一億トンの海水をつつみこみ、すべての砲弾はその球形の表面で消滅していく。狼狽したF18群は、対空ミサイルを撃ち放った。だが同じことだった。>

参考過去ログ――No.1119・1126・1130

 F18ホーネットの兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
F18 ホーネット―――――――――――艦載戦闘機
兵装:
・ AIM-7M スパロー ―――――――中対空ミサイル
・ AIM-9M サイドワインダー ―――短対空ミサイル
・ AGM-84 ハープーン ――――――対艦ミサイル
・ Mk82爆弾―――――――――――――小型爆弾
・ 20mmバルカン砲――――――――――航空機関砲
兵器説明:
 アメリカ海軍・海兵隊の主力機で、戦闘・攻撃両任務に使用可能な万能型戦闘攻撃機。空軍軽量戦闘機計画に応募されたF-17を原型に改良発展された。
 緩い後退翼に長い前縁ストレーキを持つ機体デザインは、優れた機動性を可能にしている。レーダーも高性能の機材を搭載、レーダー誘導ミサイルを装備。全天候型攻撃能力を持ち、対艦ミサイルの搭載も可能だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ちなみに同じ兵器でも、国によって採用している兵装は異なりますし、所属している軍も異なります。たとえばマレーシアのF18は空軍所属で、ロシア製の対空ミサイルなどを装備しているといった風に、国土・経済力などによって同じ兵器でも様々な違いがあるものです。

創竜伝4 P186上段~下段
<かろうじて水没をまぬがれた周辺基地は、ありったけの戦車を動員して、神も大統領も恐れぬ不逞な怪獣を射殺しようとはかった。対空ミサイルと、そして昼夜兼用の対空機関砲。これが彼らの主要武器である。ことに、コンピューター連動式の37ミリ対空機関砲は、五〇〇〇メートル上空をマッハ一・六で飛行する物体すら撃墜可能である。>

参考過去ログ――No.1119・1126・1130

過去ログNo.1119 Merkatzさん
<こういう車両は米軍にはありません。近いものに「ADATS」がありますけど、武装が違います。というかそもそも「対空機関砲」と「対空ミサイル」両方乗せている対空車両という発想自体がなんとも・・・。
対空兵器として、そうできれば理想的ですが、スペースファクターの都合、簡単にはできないんですよね。「ADATS」と旧ソ連「ボルガー」が実現してますが、帯に短したすきに長しという程度になってますし。>

 私も資料をあさってみたのですけど、「対空機関砲」と「対空ミサイル」を両方搭載している兵器としては、ロシアの「2S6ツングースカ」がありましたが、やはり創竜伝の記述に該当するアメリカの兵器はひとつもありませんね。「ADATS」も対空ミサイルオンリー(ただし対戦車ミサイルとしても使用できる)ですし。
 「ADATS」と「ツングースカ」の兵器資料はこれです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ADATS ――――――――――対空ミサイル車輌
兵装:
・ ADATS―――――――――短対空ミサイル 兼 対戦車ミサイル
兵器説明:
 アメリカ軍が開発した対空システム。同じミサイルで対戦車攻撃も可能という特徴を持つ。試作は80年代初めに完成した。
 システムはモジュラー化された砲塔タイプで、多様な車体に搭載できる。誘導はレーザービームライダー方式。対戦車能力を持たせるために、弾頭は成型炸薬弾頭で、900mmの装甲貫通力がある。射程は対空で8km、対戦車で6km。

2S6 ツングースカ ―――――対空機関砲車輌
兵装:
・ 30mm連装機関砲―――――対空機関砲
・ クリゾン――――――――――対空ミサイル
兵器説明:
 ロシア連邦が開発した最新鋭の対空機関砲・ミサイル複合システム。一台で対空ミサイルと対空機関砲を兼ね備え、機関砲では射程外になる目標と、ミサイルでは対処が困難な至近距離の目標の双方を攻撃可能とした。ベースにはMT-S装軌車のものを使用、砲塔に外装式に2基の30mm連装機関砲とミサイル8発を装備。捜索レーダー・追跡レーダーも装備した。チェチェンに出動した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 このように資料を見てみると、対空機関砲よりも対空ミサイルの方が長い射程距離があるのですから、「ことに、コンピューター連動式の37ミリ対空機関砲は、五〇〇〇メートル上空をマッハ一・六で飛行する物体すら撃墜可能である」という言葉も相当おかしく聞こえてきますね。基本的に対空ミサイルは遠距離攻撃で一撃必殺、対空機関砲は近距離攻撃で格闘戦用なのですから、「ことに」などと強調する意味は一体何なのでしょうか。射程距離の長さを強調したかったならばミサイルの方を強調すべきだったし、命中精度を強調したかったとしても、対空ミサイルと対空機関砲は使用目的がそれぞれ異なるのですから、比べるのがお門違いというものでしょう。まあどうせ両者の兵装の違いも理解していないのでしょうけど。

装竜伝6 P207下段
<サンフランシスコの近海にいた通常型潜水艦サウスフォーク、対空ミサイル巡洋艦アパラチア、ヘリ空母ビスケーン、その他の艦艇群が夜の波を蹴たててサンフランシスコ湾に侵入してきた。>

 ここは艦船の呼称がかなりおかしいですね。「通常型潜水艦」というのは動力が原子力かそうでないかを区別する言い方ですから、まあぎりぎり許せる範囲内ですが(でもこれだけでは兵器種類がわからないんだけど)、対空ミサイル巡洋艦とヘリ空母というのは兵器に関する無知丸出しですな。
 別に巡洋艦に限らず、現代の艦船に対空ミサイル標準装備は当たり前です。艦船にとって一番怖いのは航空攻撃と潜水艦攻撃ですから、現代のあらゆる艦船は対空・対潜能力をそれなりに持っているものです。空母だって自己防衛のために対空ミサイルくらいは搭載していますよ。むしろ対空ミサイルを装備していない艦船の方が珍しいのではないでしょうか。
 それにヘリ空母ってねえ……。ヘリの航続距離って航空機に比べればたかが知れているのに、ヘリだけしか搭載しない空母なんてコストパフォーマンスの浪費ですよ。これは「軽空母」ないしは「VTOL空母」の間違いですね。この手の軽空母はヘリ以外にもVTOL(垂直離着陸)機を運用しているものです。VTOL機はその名の通り、滑走路をほとんど必要なしに離着陸できるという利点があるので、軽空母には必須で搭載されているのですけど。さらに下の方でトンデモな事を言っているし↓

創竜伝6 P210上段~下段
<ヘリ空母ビスケーンの甲板では、一二機の最新鋭戦闘ヘリがいっせいにドラゴンめがけて飛びたちはじめた。こうしてまず、ドラゴンとヘリとの夜間空中戦がはじまった。
(中略)
 二頭の巨竜は、うるさそうにヘリの群を見わたした。宙を浮遊するドラゴンの巨体を、四方から包囲すると、ヘリの群はバルカン砲を発射した。
 一分間に一二〇〇発の大口径弾を撃ちだす機関砲だ。アフリカ象の胴も引きちぎるほどの強力な武器である。>

 まず戦闘ヘリ→攻撃ヘリですね。これからしてもう違うのですけど、ヘリと空母の兵器運用がまたメチャクチャですな。
 そもそも何で海軍の軽空母に陸軍の攻撃ヘリが搭載されているのでしょうか? どこかに遠征して攻撃ヘリを輸送するというならば話は分かるのですけど、この場合の軽空母は、通常、西海岸の防空警戒・対潜哨戒を任務としているものでしょう。わざわざ別のところから輸送してきたとも考えられないし。それなら何も陸軍の攻撃ヘリを搭載せずともよく、むしろ陸地の陸軍基地から出動する方が自然です。軽空母が普段搭載する兵器は、防空警戒・対潜哨戒の観点からいっても対潜ヘリとVTOL機でしょう。紅竜と白竜を倒すために出動するならば、軽空母からはVTOL機AV-8BハリアーⅡあたりが出動しないとおかしいんですけどね。
 それに対戦車攻撃用のヘリでわざわざドラゴンと空中戦を展開したあげく、「バルカン砲」しか撃っていないのではコストパフォーマンスの無駄遣いもはなはだしいですな。対戦車ミサイルや対空ミサイルを使えば、いくらかドラゴンに効果があるかもしれんだろうに。しかも兵装自体も間違えているし。上の兵器資料を見ると、バルカン砲ってヒューイコブラしか装備していませんからね~(^_^)。「最新鋭」という表現が正しければ、このヘリはロングボウアパッチということになるでしょうが、そうなると「バルカン砲」という表現が違うし。こういうのを「矛盾」って言うんです。

創竜伝6 P215下段~P215上段
<ミサイル巡洋艦アパラチアの放った最後のミサイル六発が一点に集中し、ホワイト・ドラゴンの顎の直下で炸裂した。重戦車三〇両ほどを一度に吹きとばすほどの破壊力だ。>

 ミサイル六発が一点に集中して「重戦車三〇両ほどを一度に吹きとばすほどの破壊力」をもたらす兵装なんて私は知りませんけど。対戦車ミサイルだってそこまでの威力はもっていませんよ。ましてやそれよりもはるかに威力が劣る対空ミサイルに至っては「ミサイル六発が一点に集中」したところで、重戦車一両破壊できるかどうかも怪しいものなのですが。重戦車(これ多分主力戦車のことだろうけど)って航空機と違ってかなりの装甲を持っていますからね~。まあ弱点に集中攻撃すれば何とか一両ぐらいは破壊できるかもしれませんが、それでも「一度に30両」は物理的に無理でしょうし、そもそも対空ミサイルを使って重戦車を破壊するという発想自体が何とも……。

 ところで兵器資料ですけど、私が持っている資料にはアメリカのVTOL空母の資料がないので(T_T)、代わりの兵器を紹介致しましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
インビンシブル(イギリス) ―――――VTOL空母
兵装:
・ GWS30 シーダート――――――防空ミサイル
・ ゴールキーパー ―――――――――対空機関砲
兵器説明:
 1980年に就役した西側最初の軽空母。搭載能力が劣るため、完成当初は疑問視されたが、フォークランド紛争で大活躍し、西側各国の建造した軽空母の見本となった。
 飛行甲板前端にスキージャンプと呼ばれる勾配を持つことが特徴で、この使用によりハリアーの能力が大きく高まった。早期警戒機を持たないのが悩みで、フォークランド紛争時に急遽、早期警戒ヘリが開発された。

AV-8B ハリアーⅡ ―――――――VTOL攻撃機
兵装:
・ Mk82爆弾―――――――――――小型爆弾
・ AGM84 ハープーン――――――対艦ミサイル
・ AIM-9L サイドワインダー ―短対空ミサイル
・ 25mm航空機関砲――――――――航空機関砲
兵器説明:
 原型は、イギリスが1950年代から研究を重ねて実用化した世界初の実用垂直離着陸機。推力偏向ノズルを装備して、滑走路なしで離着陸可能な画期的な機体であった。
 AV-8Bはハリアーの機体設計を全面的に見直したもの。スーパークリチカル翼形の採用、複合材を多用した軽量化、エンジン出力の向上、主翼面積の拡大などを行い、搭載量、航続力は大幅に改善された。

バンカーヒル ――――――――――――イージス巡洋艦
兵装:
・ スタンダード SM-2MR――――防空ミサイル
・ RGM-84 ハープーン―――――対艦ミサイル
・ BGM-109A トマホーク―――巡航ミサイル
・ 127mm単装砲2基―――――――大型艦砲
・ RUM-139 VLアスロック――対潜ミサイル
・ バルカン・ファランクス――――――対空機関砲
兵器説明:
 1986年に就役した、アメリカ・タイコンデロガ級イージス巡洋艦の6番艦。
 タイコンデロガ級は世界最初のイージス艦で、空母起動部隊の航空の要。スプルーアンス級の船体を流用し、イージスシステムを搭載、巨大な倉庫のような上部構造物が特徴である。建造時期によってタイプが分かれ、バンカーヒル以降が垂直ミサイル発射システムを搭載した標準型である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 今回は兵器資料の引用を長々と展開しましたが、これで素人目から見ても兵器描写のおかしさが簡単に分かるかと思います。田中芳樹の兵器に関する無知が一目瞭然ですな(^_^)。
 さて、創竜伝では軍事描写といい、兵器描写といい、ここまでいいかげんな記述を展開しているのですから、それに基づいて展開されている軍事関連の社会評論が迷走していないはずがありません。これらのストーリー描写や社会評論を支える田中芳樹の軍事認識のレベルは相当怪しいものがありますが、軍事関連特集の最後を飾る「軍事認識編」でそれを徹底的に叩き潰したいと思います。

参考兵器資料:
「GLOBAL FORCE 新戦闘国家」(PSソフト)

board1 - No.2032

いろいろレス

投稿者:冒険風ライダー
1999年09月17日(金) 15時21分

少し古い投稿に対してですがレスを。

>2018 速水右近さん
<さて質問。創竜伝の敵役って、はじめから「世界を征する悪の結社」だったでしょうか?
なぜこんなことを振るのかというと、『紺碧の艦隊』も何の前振りもなく急に、敵役が秘密結社になってるんですよ。また、両方とも作者が社会変革をアジりつつ、作品はズタズタって。でもベストセラーになって、延長されているという共通項もありまして。>

 「紺碧の艦隊」も、敵がアメリカだった時(5巻ぐらいまでか)はかなり面白く読んでいたのですけどね~(-_-;;)。敵がナチス・ドイツと「影の世界政府」にシフトしたあたりから全然つまらなくなって読むのをやめてしまいました。だいたい作者自身が「このシリーズに終わりはない」というような事を言っていましたし。アレで正直うんざりしてしまいましたね。
 創竜伝の場合はもっと事情は深刻でして、

1巻――――――→「日本を影から支配する満州国の大物老人・船津忠義」
2巻~6巻―――→「世界を影から経済的に支配するアメリカの四大財閥・四人姉妹」
7巻~10巻――→「その四人姉妹を影から支配する宗教的存在・牛種」
5巻・11巻――→外伝ですけど、これも似たりよったり(笑)

 というように、「影から支配する」というコンセプトはそのままに、「悪の組織」の顔ぶれだけが変わりまくるという、なかなか興味深い展開です(笑)。
 田中芳樹の現代物のスタンスって、ほとんど「影から何かを支配する老人なり組織=悪」で統一されていますからね。違うものと言えば「夢幻都市」ぐらいでしょう。いいかげんに同じような手抜きストーリーばかり展開するのはやめてほしいものなのですけどね。

<もしも荒巻義雄と田中芳樹の対談なんかあった日にゃあ……、あーっ、読みたくないよみたくない。>

私は逆に読んでみたい(^-^)。
荒巻義雄と田中芳樹って、何だか気が合いそうな気がするのですけどね。トンデモ陰謀論を展開しているところなんか、そっくりですし。

>2021 satokoさん
<あくまで私のみの意見ですが、もし田中芳樹氏がここのHPをみた、またはファンの批判などをきいて作風をまたは持論を曲げるような事があれば(ただ、事実を勘違いしてるとこはいいけど)それこそ私は作家としての田中氏を軽蔑すると思う。それが、私は田中作品の内容についての意見を言わせてもらう事があっても田中氏個人をまたは田中ファンを批判しない最大の理由です。>

 作風に関して言えば、田中芳樹はすでにかつての作風を変えてしまっています。そしてそれによって、最近の作品はどうしようもないレベルにまで堕ちてしまっています。これは「薬師寺シリーズ」と「創竜伝11」を読めば分かると思うのですが、作家としてかなりいいかげんな姿勢で小説を書いているのが、あの出来から透けて見えます。だいたい元ネタがマンガやファンタジア文庫や家庭用ゲームというのはともかく、それをあそこまで駄作に仕上げるというのは少しも誉められた事ではないと思うのですが……。
 だから大雑把に言えば、「さっさとかつての作風にもどって面白い小説を"早く"書いて」というのが、このサイトの常連一同の願いなのではないでしょうか?
 ちょっとファンの話題と関係ない話ですいません(-_-;;)。

ところで管理人さん。
過去ログを採集したところ、過去ログ16に1567~1604までの投稿が欠けています。何か過去ログ更新のたびにいつも同じ指摘をしているような気がするのですが(^^;;)、とにかく修正をお願いします。

board1 - No.2033

え~っ!ちょっと・・・^^;

投稿者:satoko
1999年09月17日(金) 15時34分

「だれもそんなゆーとらんが~!こんなんせつめいするのぶちたいぎ~。」
という気持ちです(この方言がわかる人何人いるんだろう(笑))

すいません錯乱しました^^;
管理人さん、ちょっとひどいですよ(涙)いつ、管理人さんにそんな言い方しました?
書き込みに対して返してますし、文章力がないので誤解を与えてるかもしれませんが、管理人さんに対して私が言ってるのは「田中氏にファンという最大のいい訳をあたえるな。」と言う事は言ってるつもりで、管理人さんがキャラクター楽しむとか、そういうのを否定してるなんて言ってないつもりなんですが・・・。(この論争中に管理人さんも何度も否定している訳ではないとおっしゃってるし)
いろいろな人あてに書いていて誤解を与えたならすいません。そのことに対して特に反論の書き込みがなかったので「そういう風に考えてないのだろう」と勝手に判断してました。すみません。m(__)m

>通りすがりの半端者さん
かばってもらって(?)ありがたいのですが、TAKさんが「おもってるほど相対的じゃない。」というお話べつにおこったりしてないです。自分自身が特に相対的にとか意識していなかったので「私が思ってるほどってどれくらいだろう・・・?」とは思いましたが別に気にするほどの事では・・・(笑)

管理人さんの「~子供たち」と言う言い方についてなんですけど、ここで言う子供たちって「~に影響を受けて育った。」とかそういう意味(だと思うのですが違ったらすいません)での使い方は確かに厳密な意味で言うと他人に対して使うのは失礼な事(となんだかの授業でいってたような気が・・・・自分の事をへりくだって言う言い方だとか云々・・うろ覚え)らしいのですが特にTAKさんが悪意があって使ってる物ではないのはわかるし、これが私たちのおとーさん世代より更に上の人に「あなたも~の子供なんですね。」と言えば大ひんしゅくかもしれないのですが、ここでいうのは仲間意識と言うかフレンドリーないみで使ってるので別にこだわらなくてもいいんじゃないかな・・・。

礼儀にけっこう厳しいかたなのかもしれないですが、できたらそういうことより話の中身をもうすこしはなしあえたらいいなとおもいます^^;

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