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- board1 - No.892
私の創竜伝考察
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年03月16日(火) 08時32分
今回から「私の創竜伝考察シリーズ」と題しまして、私が創竜伝を読んで感じた田中芳樹の独善的・左翼偏向的な社会評論やストーリー上の矛盾点などを1巻から順に全て取り上げ、それらを徹底的に叩くという、田中芳樹ファンにとっては激怒ものの批評を展開していきたいと思います。現実に立脚したバカ正直な批判ですので(相手はフィクション小説なのにね)、「なんだこれは!?」と思う方はたわごとと聞き流してくれても結構です。
なお、こればかりではつまらないので、このシリーズは別の話題と並行しながら、ゆっくりと進んでいくと思います。批判ばかりじゃ不公平ですし、異常に長いですからね。
それでは始めましょう。創竜伝1 「超能力四兄弟」
1987年8月5日 初版発行P22下段
<古田重平というその男は、保守党に所属する代議士で、右翼団体や暴力団との関係が深く、極端に国家主義的な主張と暴力的な言動は、党内からさえうとんじられていた。第2次世界大戦の終結によって死滅したはずの、粗大で独善的で反理性的な価値観を体内にかかえこみ、暴力によって外交問題を解決できない日本の現状を悔しがっている。背はそれほど高くないが、全身の肉づきが厚く、巨大な顔は脂ぎって肉食獣めいていた。>いきなりこの記述です。「古田重平というその男」は思いっきり悪党として書かれていますし、現にそうふるまっていますが、「保守党に所属」とかいて自民党にこのような政治家がいると間接的に攻撃しています。「第2次世界大戦の終結によって死滅したはずの、粗大で独善的で反理性的な価値観」というのは、いくらなんでも戦前の時代を侮辱しすぎていませんか? この言葉はそっくりそのまま田中芳樹に当てはまりますね。それから「暴力によって外交問題を解決できない日本の現状を悔しがっている」などと考える思考能力が超低レベルな政治家など当時も今も日本にはいませんよ。そもそも「暴力」ってなんです? 最初から悪い事として扱い、読者に悪いイメージを植え付けようとしているのが見え見えです。容姿まで非常に悪く書いているし。
P44下段
<始は、世界史の教師としては――あるいは、しても――型破りだった。試験前にどういう問題が出るか、生徒に教えるのである。全部、記述式の問題で、自筆のノートを持参してもいいのだ。>竜堂始氏は高校の先生でしょ? 大学じゃあるまいし、こんな教え方をしてどうするのでしょうか。一番下の生徒の水準に合わせて授業をしていますね。これでは生徒の学習能力は育ちませんし、テストの結果がみんな同じようになってしまうではありませんか。私だったらこんな教師に得意な歴史を教わりたくありませんね。
P53上段
<「私利私欲のために悪事をはたらく人間なんていないさ。ヒットラーがユダヤ人やスラブ人を4000万人も殺したのは、ゲルマン民族の千年王国を地上に建設するためだ。世の中に悪人なんてひとりもいない。正義の味方で満ちあふれているから、こういう素晴らしい世界ができあがったのさ。余を誘拐しようとしていた連中も、多分、正義感に燃えているんだろうぜ」
始は目に見えない敵にむかって毒づいてみせた。>正論ですね。そして自分達に対してもあてはまる事に気づいていませんね、この主張は。後、ヒットラーがユダヤ人を600万人ほど虐殺した事は知っていますが、スラブ人を(4000万-600万=)3400万人も殺害したとは聞いた事がありませんね。それってソ連の犯行なのでは? 誰かこの辺の事実について知っている人はいませんか?
P93上段~P94下段
<日本の政治ジャーナリズムは、収賄の事実を知っていても書かないことを自慢しているほど腐敗しているが、例外だってあるし、(中略)>戦後一貫したマスコミの過剰な政治批判や政治家への責任追及から見ると、これはウソ八百もいいところですね。いつも朝日新聞が「批判材料」をいろいろ見つけてきては政府を叩き、政治家の汚職を見つけては激しく罵倒していたという「功績」を彼は知らないのではないでしょうか。ところでこの創竜伝を見ていて気づいたのですが、この創竜伝世界には朝日新聞という存在がありません。ある意味では幸せな世界ですね。
P151下段
<「わし同様、きみも日本に生まれ育ったはずだ。厳しさを加える世界情勢のなかで、日本が滅びないよう最大限の努力をするのは当然だと思うのだが」
「人類が滅びるのは一大事だが、日本が滅びるのは世界にとってたいした損失でもないでしょうよ」
辛辣きわまる始のことばだった。>始は何を世迷言を言っているのでしょうか。「人類が滅びるのは一大事だが、日本が滅びるのは世界にとってたいした損失でもないでしょうよ」という論法を使うなら、中国やアメリカが、いや全ての国が滅んでも、人類が残っていたら「世界にとってたいした損失でもないでしょうよ」と主張できるではありませんか。だいたいなんで「世界の損失」などという非常に抽象的なもので国家を論じるのです? 世界的な環境問題を論じるというのならまだ分かりますが。これは、世界がひとつであるという空想的な統一世界政府的発想が根にあるとしか思えません。この問答では船津忠厳の方が正論を主張しているのではないでしょうか。
P154下段
<「そりゃ日本は世界に冠たる先進民主国家ですからね。身寄りのない老人の年金から税金をとりたてて、一度のパーティーで何十億も集める政治家の政治資金は一円も課税しない、公平な社会を実現してる。あなたが半世紀にわたって努力なさった結果だ」
老人は動じなかった。
「若さゆえに、そうも皮肉を言いたくもなるのだろうが、これほど富みかつ栄えた国が歴史上にまれであることは疑えんことだ」
始はゆっくりと首をふってみせた。>始さん、論争で負けたからといって逃げてはいけませんよ(笑)。竜堂始氏は日本より貧しく、しかもより腐敗に満ちた国がこの当時存在していたという事実を知らないのでしょうか。それに比べれば日本はまだましではありませんか。船津忠厳の言っている「これほど富みかつ栄えた国が歴史上にまれであること」はまず間違いありませんから、少しはプラス面も評価したらどうですか?
あ~、長い! 疲れた~。朝日社説批判と違ってコピー&貼り付けで引用できないんだもんな~。今日はこの辺で終わりにしますね。次は創竜伝の大悪党、船津忠厳について論じてみようと思います。
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3人へのお返事
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年03月16日(火) 08時49分
不沈戦艦さん、あかほりさとるのシナリオは、政治的な主義主張に目をつぶればおもしろいものですよ。ギャグがかなりありますしね。私もサクラ大戦をそうやって楽しんでいました。彼は政治的な主張をするシナリオを作らずに、どたばたコメディーの方面に集中すれば良いと思うのですが。
そうそう、銀英伝の名からパクッたとしか思えない「銀河お嬢様伝説ユナ」という名のシリーズもののソフトがPCエンジンにありました。このソフト、2作目からあかほりさとるがシナリオを担当しましたが、それから全く面白くなくなりましたね。あの男の趣味でストーリーが構成され(あの男が名前のモデルであるというポリリーナというキャラが登場する)、3作目以降、ストーリーに大きな矛盾が発生しています。1作目が結構名作だったので、あかほりさとるがシナリオを構成すべきではなかったですね。あれには私も失望したものです。
なぞの高校生さん、こちらこそ始めまして。これからよろしくお願いします。
「シャイニングフォース」という名前は聞いた事がありますね。しかしSLGだったのですか。RPGと考えていましたし、FXゲームに集中していましたからサターンの情報はなかなか入ってこなかったのですよ。私はいろいろな機種をもっていますので、中古でもあったら見てみましょうか。
後、「サクラ大戦」はストーリーは好きではありませんでしたが、私も水準以上のソフトだと思います。結構楽しめましたですしね。ただ、クリアまでの時間が非常に長いので、全ての女性の攻略が気力の問題で力尽きてしまうのがたまに傷でしたが‥‥。それと1をやった頃は、私は「左」の方に思考が傾いていましたので、「何で戦前の帝都を守るのが正義なんだ!」と、今にして思えばアホな事を考えていたものです。若気の至りってやつですか? う~ん、なつかし~。(ほんの2,3年前の事ですけどね)管理人さん、サクラ大戦が戦隊モノのノリであるのはまさにその通りです(なんと決めポーズまであります(^^;))。それと勧善懲悪も全く間違ってはいないでしょう。ただ、私は「自分達が絶対に正しい」と信じて「一致団結」し、敵の立場や信条を「悪」と決めつけて全否定するのは余り好きではないんですね。気色悪いですもの(^^;)。サクラ大戦で私が嫌いなのはまさにそこです(特に2)。創竜伝の竜堂兄弟と同じような空気を感じましたよ。
それとおとといの投稿では「サクラ大戦」というべき所を「サクラ対戦」と書いていましたね。格闘アクションじゃないっつーの。お詫びして訂正致します。
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すこし間が開きましたが
- 投稿者:ゲインフル
- 1999年03月16日(火) 11時21分
引越しなどの理由でちょっぴりあいだが開いてしまいました。しばらく見ないでいると数多くの書き込みがされていてすごいですね。
少し古くなりますがレスを
>管理人さん
反創竜伝ネタ、最初は、被害を受けた人たち(5巻で被害を受けた自動車工場の従業員やパトカーや戦車を壊された国)による民事での損害賠償、というのも考えてみたんですが、立証がどう考えても難しいので管理人さんの書かれた4巻のあの部分から考えてみました。それと、サクラ大戦の話が出ていたので一言。あのゲーム私もプレーしましたが、政治的思想がどうの、勧善懲悪がこうのという前に、よくも悪くもプレイヤーの欲求を満たす「お約束」でなりたっているゲームという感想でした。
自分が格好の良い海軍士官になって(陸戦指揮なのに)、女性からなる部下を率いて悪と戦う、というのは入り込めれば楽しいです。何が悲しゅうてロボットで市街戦せにゃならんのだ、とか、野砲や航空支援はないんかい、なんて考えてしまう人には入り込めなかったんで1回しかクリアしなかったですが。
だから、カップラーメンの例えは賛成です。少なくとも売り手も買い手もわかってやってるとしか思えませんから。創竜伝の場合はどうでしょうね。わかってやってるのだと思いたいところですが。
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「風刺」するなら
- 投稿者:北村 賢志
- 1999年03月16日(火) 12時49分
>オチは「そして帝国は共和国となりましたとさ」です(何の伏線もなく、歴史的な必然をも描かず)。
昨今は余り見かけませんが、一昔前のライトファンタジーでは良くあったオチです。
しかし民主主義を実現する王様が、大抵は立派な人格者で、何だって民主主義を導入しなきゃならないのかがさっぱり分からないのが普通でしたね。
まあ「この作者は『衆愚政治』と言う言葉を知らないらしい」と突っ込むぐらいに留めておきますが。
ただ、こういった作品が少なくなったのは銀英伝の功績が大きいと思いますので、この点は田中氏を評価してます。>田中芳樹は「創竜伝」を風刺のつもりで書いているんでしょうか?
私見ですが、以前に非難した「ガンダムW」と同じで「作り手は真面目に訴えているつもりだが、読み手にはとてもそうは見えない」と言うやつではないでしょうか。
風刺なら対象を打倒してしまうのは厳禁です。
また主役はあくまでも為政者か民衆(被害者とは限りません。「たくましい民衆と間抜けな為政者」を描くモノは結構あります)でなければなりません。両者を超越した存在を出してしまったら「風刺」ではなく「活劇」です。
前に言った「架空戦記」における「リアルなシミュレーション」と同じなのですが「活劇的な面白さ」と「風刺」はかなりの程度、相反する存在です。
もちろん手がないわけでもありません。反権力的な作品をよく読んでる人は見当がつくと思いますけど、権力者を「越えられぬ壁」として描き、それにぶつかった主人公が足掻きながらも破れるのなら良いわけです。
実際、これまでの反権力を描いた作品は、どちらかと言えばそんなオチが多かったと思います。
古典では「水滸伝」が筆頭ですし、アニメの「太陽の牙ダグラム」、漫画の「男組(雁谷哲)」、「ワイルド7(望月三起也)」、「光る風(山上たつひこ)」のように権力の前に敗北してしまうのは珍しくありません。
(なお昔の「熱血スポーツ漫画」もアンハッピーエンドが多いのですが、当時の作者たちには、まだ「越えられぬ壁」の存在が実感されてたのでしょうね)
結局のところ田中氏をはじめ、昨今の反権力ものは「活劇的な面白さ」と「権力への風刺」と「ハッピーエンド」を全てやろうとするばかりに、どっちつかずの話にしてしまっています。
しかも故意かどうかわかりませんが「フィクションの話」なのか「現実への批判」なのか境界が曖昧にされているのは読んでいて首を捻らざるを得ません(こんなところも「架空戦記」と同じです)。>評論部分や台詞で散々「正義は一面的に相手を否定するから悪い」だとか「抵抗できない相手に暴力を振るうのは想像力の欠如で人間性の欠如だ」という類の説教を垂れているくせに、自分がその絶対的正義そのものなのですからね。
こういった「非難した相手の悪いところを真似ているが、本人はそれに気づいていない」というのはよくある話です。
特定の対象を否定すると、当然「~はあり得ない」事になります。しかし人間の考えることなど立場はどうあれ、たかがしれています。否定する側にも、その対象と同じような要素が含まれているのはむしろ当然です(政治腐敗を糾弾する政治勢力が、権力を握ったときに腐敗しないと誰が保証できるでしょうか)。
しかし「~はあり得ない」ことになってしまうと、それに対応することはできません。
たとえば最近の例としてはIOCが挙げられましょう。IOCではいかに会計が不明瞭であろうと、これまで全く問題にされてきませんでした。なぜなら建前上IOCは「金と無関係」だから、そんなことをする必要が無いのです。
それどころか「会計の正常化」を訴えることは、それまで「会計が正常でなかった」ことを認めることになりますから、なおさら手が着けられず自浄能力が働きません。
そんなわけで「金と無関係な、善意と良心の団体」は、いともたやすく腐敗してしまいます。これは「金」を「権力」や「暴力」と言い換えても同じ事です(って、銀英伝2巻のパクリだな)。
またこの手の論理を振りかざし始めると、手段と目的の区別が付かず、より悪い事態になることを理解、というか直視できないことも珍しくありません(この点を正面から描いたのが「太陽の牙ダグラム」のクライマックスでした)。
たとえば最近は事実上消滅した非武装中立論において「外国に侵略されれば降伏すればよい」との主張が展開されてました。
ここには重大な矛盾が存在します。元々「非武装の理念」は軍事力に対する不信感から成り立つ存在です。
しかし「降伏論」では「自前で軍隊を持つぐらいなら、外国の軍隊に占領された方がまし」と言ってるわけですから、要するに「日本国民で構成され、日本政府の指揮下にある軍隊」よりも「言葉もろくに通じない、日本国民の管理も及ばない他国の軍隊」の方が信頼できると言ってるも同じことでしょう。
こんな論理が多くの政治家や識者によってまことしやかに流布されていたのが戦後日本の現実です。「非武装の理念」という絵空事を、現実に当てはめようとするとこんな馬鹿げた矛盾を抱え込まねばならなくなるわけです。
まあ田中氏の主張はここまで極端に現実離れしているわけではありませんが、特別悪い例として挙げておきます。
とは言え銀英伝2巻の救国軍事委員会にて、その手の連中を痛烈に非難しておきながら、田中氏自身がその落とし穴に落ち込んでしまうとは、「妖精事件」のコナン・ドイルを彷彿とさせますね。
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感覚のギャップ(おやじの繰り言)
- 投稿者:小村損三郎
- 1999年03月16日(火) 13時29分
>あかほりさとる
> ところで、あのアニメってぽりりん噛んでましたっけ(>あまり興味がなかったので詳しくない)からんでたかどうかはよく知りませんが、私の分類ではあの手の作品は“あかほり系”のカテゴリーに入ります(笑)。
って、実はあかほり氏の作品はほとんど見て(読んで)ないんで偏見があったらすみませんが。
たしか創竜伝のアニメのシナリオは書いてましたっけ?と思ったら・・・
>政治的な主義主張に目をつぶればおもしろいものですよ。ギャグがかなりありますしね。
>私もサクラ大戦をそうやって楽しんでいました。
>彼は政治的な主張をするシナリオを作らずに、どたばたコメディーの方面に集中すれば良いと思うのですが。げげーっ、「政治的な主張」なんてしてるんですかあ!?ちーとも知らんかった(^^;;;)
何せ私はアニメに関しては頭の中が80年代で止まってますので(爆)「ブレンパワード」や「ガサラキ」は見ても、今風のやつには馴染めんのです。
「ナデシコ」はメカが80年代風だったので見てたけどちっとも面白くなかったし。
そういう意味では>私の感覚がもう古くてずれているのかな?と悩まないでもなかったです。
というのは私も同様です(TT)。
>ドラマCD
>そのせいか「蜃気楼都市」と本編の声優は違います。
>「蜃気楼都市」の方はナレーターが富山敬さんでした。4兄弟のキャスティングはどうなってたんでしょうか。
しかし私も昔は大概の声優の声は聞き分けられたんだがなー。
最近の(特に若い女性)は全然ダメです。
丹下桜と国府田マリ子と桜井智とかないみかを同時にしゃべらせて聞き分けろって言われたら絶対ムリだ(笑)。
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小村損三郎さんへ
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年03月16日(火) 16時11分
すいません、言い方が悪かったです。政治的な主張といってもイデオロギーのような物ではなく、「自分の陣営が絶対に正しく、悪の打倒のために一致団結して戦う」と、後「弱者救済絶対主義」という主張です。彼の作品にはそういうのがたくさんあります。味方も敵も分裂して戦い、第3勢力が介入するという事がほとんどありません。敵もひたすら悪く書かれています。
それとあかほりさとるは、田中芳樹の「ウェディングドレスに赤いバラ」のCDドラマでシナリオを担当した事があります。あの2人のコンビは面白そうです。どんな話なのやら。でもそのCDは聞いてませんけどね(--)。
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冒険風ライダーさんへの感想
- 投稿者:石井由助
- 1999年03月17日(水) 08時56分
>P22下段
まあ、この程度なら「小説だったら許される」とは思います。『「暴力によって外交問題を解決できない日本の現状を悔しがっている」などと考える思考能力が超低レベルな政治家など当時も今も日本には』いないからこそ架空のキャラクターとして許されるのですし(逆にモデルがいるキャラクターのほうがたちが悪い)。
>P44下段
この問題はザ・ベストにも収録してありますね。好き嫌いが分かれる方法であるとは思います。
>P53上段
これは指摘されるまで気付きませんでした。また、お得意の正義説教かましてるなくらいにしか思ってなかったので。
確かに、その通りですね。たしかに、ナチスのスラブ系捕虜に対する仕打ちは酷いものだったようですが、この数字は確かに疑問を感じますね。>P93上段~P94下段
朝日新聞だけじゃないですよ。保守の産経だって、「国民新聞」(苦笑)の読売だって、政治批判は毎日(掛詞)のように行われていますからね。
いや、それどころか「こんな首相の言説を批判もしないで垂れ流す大マスコミ・TVの無責任ぶり」の定型句といえば「ゲンダイ」と連想ゲームで使えるほど、エロ記事満載のスポーツ競馬新聞だって政治批判をしている国ですからね。
まあ、こんなふうに現実が歪んで見えているということには、オウムもビックリです。余談ですが、サリン事件の時の「これは警察の陰謀でマスコミは警察の情報を垂れ流しているのです」というオウムの論理が田中芳樹の論理とオーバーラップしたのは私だけでしょうか。>P151下段
どこまで始の真意があるのかという問題はありますが、確かにこういう言葉を「辛辣きわまる」と規定できる思想神のあり方はスバラシイです。この論理で行けば、南京虐殺の30万人の犠牲者たちも世界にとってたいした損失でもないでしょうね。
>P154下段
>身寄りのない老人の年金から税金をとりたてて、一度のパーティーで何十億も集める政治家の政治資金は一円も課税しない
つねづね思うのですが、これ、どこまで本当なんでしょうね。
「そりゃ日本は世界に冠たる先進民主国家ですからね。真面目に書いている新進作家の売れ行きなどは雀の涙なのに、一度のノベルズで何十億も集める作家の小説は手抜きのクソ小説だという、公平な社会を実現してる。あなたが半世紀にわたって努力なさった結果だ」
某作家は動じなかった。
「若さゆえに、そうも皮肉を言いたくもなるのだろうが、これほど富みかつ売れた作家が出版界にまれであることは疑えんことだ」
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まとめレス
- 投稿者:本ページ管理人
- 1999年03月17日(水) 15時28分
>反創竜伝ネタ
創竜伝だと法匪の作った法律には必ずしも縛られる必要はない、「悪法も法なり」は竜堂兄弟にはなじまない、というのが、主人公たちの行動原理になっているように思います。
でも、これで行くと連合赤軍が「敵の作った法律」を無視して暴走していったのと同様のことになりがちですよね。
銀英伝では、救国軍事委員会の主張が連合赤軍の革命理論とよく似ていましたね。ヤンがその主張を強烈に批判する様は、現在見ても共感を呼ぶものですし、ラインハルトを射程に収めながら法に従って(命令であるが悪法に等しい)砲門を閉じたヤンの行動は、愚かながらもその信念には立場を超えて感動を呼びます。
このヤンを否定してひっくり返したのが、竜堂兄弟じゃないでしょうか。>しかし民主主義を実現する王様が、大抵は立派な人格者で、何だって民主主義を導入しなきゃならないのかがさっぱり分からないのが普通でしたね。
昔話で悪人がコロリとお坊さんに参ってしまう話がありますが、これと同じようなものじゃないでしょうか。つまり、彼らにとっては民主主義は単なるイデオロギーを超えた絶対肯定するべき宗教なのでしょう。それが、どれだけ民主主義を毒しているかも考えずに。
>結局のところ田中氏をはじめ、昨今の反権力ものは「活劇的な面白さ」と「権力への風刺」と「ハッピーエンド」を全てやろうとするばかりに、どっちつかずの話にしてしまっています。
詳しい説明をありがとうございます。納得です。
>否定する側にも、その対象と同じような要素が含まれているのはむしろ当然です(政治腐敗を糾弾する政治勢力が、権力を握ったときに腐敗しないと誰が保証できるでしょうか)。
まさにこの行動原理がファシズムでありスターリニズムそのものなのですよね。ファシズムは創竜伝では悪の代名詞扱いされていますが、当然ながら本来は政治学のタームです。
原理的には、創竜伝はファシズム小説そのものなんですよ。>>私の感覚がもう古くてずれているのかな?と悩まないでもなかったです。
>
>というのは私も同様です(TT)。ナデシコやブレンパワードを若者感覚の代表とされてしまったら、若者の立場がないですがな(^_^;)
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私の創竜伝考察2
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年03月17日(水) 17時00分
石井由助さん、私の投稿を具体的に指摘してくださった感想をありがとうございます。この感想は、今後の「私の創竜伝考察シリーズ」の参考にさせていただきます。
また、私は中国史は人並みに知っているつもりですが、中国の文献や格言などにはあまり詳しくありませんので、そちらの方の批判は誰か別の方がやっていただきたく思います。
それと前に誰かがやっていた所の批判は、できるだけ重複しないように努力しますが、私の解釈と違う場合は重複して私も別の批判をやると思いますので、どうかその辺の所をよろしくお願い致します。
それでは、創竜伝1の批判の続きを始めましょう。P174下段
<こうも小心者であるくせに、欲ばかり深い叔父に、続は一ミリグラムの同情もいだいていない。
「日本は先進国で自由主義国で民主主義国だと思ってましたよ。少なくとも教科書じゃ創教えている。ところがそうじゃなくて、教科書で嘘を教える国だったのですね」
痛烈にそう言いつのる続の横で、始は沈黙していた。>続さん、もっと寛容になってください。「こうも小心者であるくせに、欲ばかり深い叔父」って、鳥羽靖一郎氏に対してあまりにも酷評かつ一方的な評価だと思いますよ。それに自分達と同じような人間以外は認めないという「イデオロギー絶対主義」が、この主張と態度から透けて見えます。
「教科書で嘘を教える国」というのは、1982年の教科書問題についてのあてつけですかね? あれは創竜伝で存在自体を否定ないしは無視されている(T_T)朝日新聞の歴史的な誤報ですよ? これが誤報だという事も田中芳樹は知らないのでしょうね。この程度の知識でよく社会評論を展開できるものです。P181上段
<「日本の社会なんて奥行きが浅いし、特に政界なんて石器時代から進化していないから、(略)」>始さん、あんた日本の歴史をどう学んでそんな全否定的な結論をだしてるの? 昨今の「自虐史観派」も真っ青な主張ですね。何しろ「政界なんて石器時代から進化していない」のだそうですから。そもそも始さんは2000年以上の日本の歴史を全て正確に知ってこんな結論をだしているのでしょうか? そうでないとしたらこれは日本に対する誹謗中傷であり、歴史に対する冒涜です。
P183下段
<自衛隊の演習場であれば、広大な、しかも閉鎖された空間で、ほしいままに火力を使用できる。(中略)ここでは、日本国内で最大の物理的な破壊力を思うさま行使して、誰からの批判も干渉も受けずにすむのだ。たとえ竜堂兄弟が砲撃で吹っとんでも、死体が発見されることはないだろう。>田中さん、あなたに麻生幾氏の小説「宣戦布告」でもさし上げましょうか? 日本の自衛隊法や、自衛隊の実態を少しは勉強した方が良いと思いますよ。日本の自衛隊が演習で使える火力はかなり制限されていますし、そんな資金もあまりありません。人件費や土地賃貸料などでかなり使っていますしね。しかも自衛隊の演習には自称「市民団体」の皆さんが常に監視の目を光らせていますので、この間も自衛隊員が一人死亡しただけでマスコミが騒いだように、演習場で死体が発見されないはずがなく、「誰からの批判も干渉も受けずにすむ」はずがないではないですか。これは小説ですし、ツッコむべきことではないのかもしれませんけどね。この辺りの知識にもっと詳しい人はいませんか?
P207下段
<「日本が精神的にも軍事的にも完全な再建を果たし、米ソ両国を屈伏させるまで、わしは死ねん」
「日本が世界一の強国になったって、どこの国も喜びませんよ」
ようやく余裕をとりもどして、今度は続が毒づいた。>船津忠厳の気概には敬意を払いたいくらいですね。こんな主張をする政治家が日本の主流になってくれれば良いのですが。それはともかく、「日本が世界一の強国になったって、どこの国も喜びませんよ」という続氏の主張は、いったい何が根拠なのでしょうか。お隣の韓国だって「日本が強ければ中国や北朝鮮が軽挙妄動しないだろう」という主張がありますし、台湾やインドネシアなど、中国やアメリカの軍事的・経済的脅威にさらされている国はさらにそうです。むしろ田中芳樹の大好きな中国の方が「世界一の強国になったって、どこの国も喜びません」でしょう。
P212上段
<「虚報の責任をとって、警察幹部の誰かが辞任するだろう。新聞は、おれたちを悪逆非道の人非人と書きたてたスペース、一万分の一ぐらいを使って、人目につかないように訂正記事をのせるだろう――それで終わりさ。ジャーナリズムで誰ひとり責任をとる奴がいない点は、賭けてもいいね」>この始氏の主張、この場合はあってますが、新聞についての認識はまだまだ甘いですね。創竜伝世界に存在しない朝日新聞系列の虚報ないし誤報のごまかし方は、そんな生ぬるい手段ではありません。何しろ誤報を正当化するために「自分たちの主張は間違っていたが、もっと問題なのは‥‥」と堂々と主張してどこかに責任転嫁をし、自分たちは知らん顔をするのですから。田中芳樹にはこの朝日新聞の横暴が目に入らないのでしょうか。
さて、ここからは現実と虚構がかなり入り混じった、船津忠厳に対する論評です。この男は創竜伝の中で結構考えさせられる存在です。結構迷走している論評ですので、飛ばしてくれてもかまいません。
まず船津忠厳は、戦後から「20世紀の終わりを数年後にひかえた年」まで日本を影から支配しているという設定になっています。また「日本に対する愛国者」として田中芳樹に否定的に扱われています。
それではこの男を、現実世界の歴史を当てはめた想定で評論してみましょう。まず、船津忠厳はアメリカの言いなりになって日本国憲法を制定しました。自分が尊敬している教育勅語を廃止し、日教組の存在を許しました。
サンフランシスコ平和条約後、船津忠厳がそのアメリカの押し付け憲法を改正しようとすればできたはずなのに、それをやろうとした形跡がありません。また、朝日新聞などの共産圏の礼賛報道にも目をつぶっています。
日本の発展に尽力した田中角栄をアメリカかソ連の陰謀と言われているロッキード事件で血祭りに上げ、1982年の教科書誤報の時は、内政干渉と一蹴すれば良いものを、宮沢をつかって教科書検定に「近隣諸国条項」なるものを制定させ、日本が中国や韓国から内政干渉を受ける体制を作りました。従軍慰安婦問題の時もろくに調べもせずに河野洋平に「従軍慰安婦強制連行はあった」という河野談話を発表させました。最後には1995年に世界史上最低の愚行とされる「謝罪・不戦決議」を国会で可決させました。とまあ、現実と虚構がかなり入り混じった変な歴史を紹介しましたが、これらからの結論を言いますと、
「船津忠厳は愛国者ではなく売国奴だ!」
と断言できますね。田中芳樹や竜堂兄弟は、船津忠厳のどこをみて「愛国者」と断定したのでしょうか。なぜこのような論評をしたのかと言いますと、現実世界と創竜伝世界のギャップがあまりにも大きいということを言いたかったのです。田中芳樹の創竜伝世界は、「日本が右傾化する」という全くありえない間違った前提を批判するために、現実世界が「実は左傾化している」ことを無視した社会評論をしています。この辺りに創竜伝の矛盾点が存在するのではないかと、私は考えています。
非常に長くなってしまって申し訳ありません。次は創竜伝2の批判をしたいと思います。
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- board1 - No.903
長くなってすいません。
- 投稿者:中沢勝英
- 1999年03月17日(水) 22時28分
初めまして。DFAんとこから来ました。
率直に言ってしまえば「あれはあれでカタルシスになってんなら
いいじゃん」て感じですなあ。何も討たなくても。そこにイデオロ
ギー云々を見出そうとするとくだらないですが、娯楽として読むぶ
んにはそんなに酷くないと思いますよ。「あ、この人たぶん西○の
○さんだ」とか、「きっと日本シリーズで○売が勝って怒ってるな」
とか、そういうトンデモ的な楽しみもできますし。「創竜伝」は要するに類型化のお話であって、そこに登場する悪
者は無条件に悪くなきゃダメだし、正義の味方はその悪者に弾圧さ
れなきゃダメなんです。ショッカーが幼稚園を襲うのと一緒です。
「世界征服のために幼稚園を狙うことのナンセンスに気づかぬバカ」
という構図まで含めて。それがあの話の世界観なんだから。
サヨク残滓のガス抜きというか。でも完全にサヨクかというと、
どうもそうでもないらしくて、そのあたりの揺らぎというか矛盾と
いうか、本多勝一が背後に見えるのは気のせいでしょうか。で、「勧善懲悪」という言葉が下のほうにでてるわけなんですけ
ども、創竜伝は勧善懲悪よりは質が低いんです。というより、勧善
懲悪ですらないから余計に問題なんです。
例えば水戸黄門。黄門様一行は先々で「圧政に苦しむ民衆」を見
るわけなんですが、黄門様はそれに反発する「民衆」をなだめて、
自分の思うところの善をなすわけです。そこが封建的という批判は
あるだろうけども、その行為には「先の副将軍」としての責任が生
じるだろうし、少なくとも積極的に悪を懲らすという意図はある。
ところが創竜伝。彼らは自分らに降りかかった災厄に反撃するだ
けで、人間同士が殺し合おうと気にしないというようなことを言っ
ている。これは善とは言えません。究極の“個人主義”。それも戦
後日本式の個人主義です。しかも降りかかる火の粉を払うのは少な
くとも悪じゃありませんから、正義の暴力を振るえるわけでもある。
小林よしのりの言うところの「絶対弱者」の立場で好き放題やって
るだけなんですね。(それがカタルシスである点は否めない。)
つまり、勧善懲悪と言うより勧「絶対弱者」懲「体制」ですね。
絶対弱者は、例えば「薬害天皇」の某氏みたいに、だれも彼らに対
して文句を言えない。一見して善悪を語ってるわけじゃないからこ
そ、より悪質なんです。それでいて倒れてる子供があったら助けた
りもする。これじゃあ俗流のカッコツケ個人主義だ。
民主主義を進めていくと価値相対主義・個人主義になってしまう。
でも子供を助けるには道徳を説く必要がある。でも道徳の根拠は、
価値相対主義のせいで定義できない。それがサヨクの行き詰まりで
あり、「人を殺して何故悪い」に反論できないわけでもあるんでしょ
う。田中芳樹もまんまとこれにハマってます。実際に創竜伝の11巻。
酒鬼薔薇君のことや一連の意見についての言及はほとんど見られなく
って残念でした。どんなに頑張っても今後日本が共産化することはしないでしょうし、
そのぶんだけジンケン派が幅を利かせるのも変わらないでしょう。
田中芳樹よりも「週刊金曜日」のほうがよっぽど「討」ちがいもあ
りますし、何より主張もユニークです。珍左翼そのもの。興味のある
方はホームページ(ttp://www.jca.ax.apc.org/kinyobi/)をご覧
になっては如何? 投書欄だけでも毎週笑わせてくれますから。追伸。「5」の論文の一部と同趣旨の文を呉智英さんが書いていた
気がするんですが(確か「別冊宝島」)、そのへんどうなんだろ。
文の趣旨には賛成なんだが。