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- board2 - No.1385
Re: 流動兄弟…もとい竜堂兄弟
- 投稿者:平松重之
- 2000年09月12日(火) 03時55分
冒険風ライダーさん
> しかしアレだけの先天的な超能力を持ち、襲いかかってくる権力者集団を一方的に撃退し、その副産物で多くの公共的な建造物を破壊しておいて、今更「自分達は市井の一市民としてごく平凡な一生をおくりたい」もないと思うのですけどね(笑)。第一、それだけの強大な力を持っていて権力者集団に狙われないと考える方が間違っていますし、そもそも竜堂兄弟の近所の人間もまた、その強大な力を恐れて竜堂兄弟を敬遠して避けようとするでしょう。
> 竜堂兄弟が本当に「自分達は市井の一市民としてごく平凡な一生をおくりたい」と考えるのであれば、たとえ如何なる理由があろうとも力を行使してはいけないのです。力を行使した瞬間から竜堂兄弟は「特別な存在である」とみなされ、平穏な生活を送る事などできなくなります。すでに力を行使している創竜伝2巻の段階でまだそのようなタワゴトをのたまっている事自体、竜堂兄弟の鈍感ぶりを示しているとしか思えないのですけど。二巻で始が語っていたのはあくまで希望に過ぎないのではないでしょうか。まさかあの状態に至ってすんなりと元の生活に戻れるとは思っていなかったでしょうし。それに反撃しなければ船津忠厳を筆頭とする日本の権力者集団や四人姉妹の手下にされるか、ドクター田母沢の手でバラバラの標本にされる(^^;)かのいずれかだったでしょうから、半ば平和な生活を諦めて反撃に出たということなのでしょう。
> それと、これは批評本編でも言及した事なのですが、創竜伝2巻の竜堂続とレディLの交渉以前に、竜堂兄弟が四人姉妹から何か危害を受けたことがありましたっけ? 日本の権力者集団が竜堂兄弟にやたらと攻撃を仕掛けていたというのはありましたけど、四人姉妹はむしろ竜堂兄弟に対して、日本の権力者集団を倒すために共に共闘しようと持ちかけてさえいます。その申し出を何の理由もなく一方的に拒絶し、四人姉妹を敵に回してしまったのは竜堂兄弟の方ではありませんか。すくなくとも最初の段階では四人姉妹が竜堂兄弟の生活を阻害したのではなく、逆に竜堂兄弟の方が自分から積極的に「平穏な生活」を捨てる選択肢を選んでいたわけです。
平凡な生活を望んでいた竜堂兄弟にとって、権力者からの「俺たちと手を組もう」などという申し出は迷惑なものだったのでしょう。権力に関わってしまえば平凡な生活など望みうるはずもないですし、竜堂兄弟にとってレディLの申し出は「平凡な生活を乱す」事に変わりはなかったという事なのでは?
> さらに「染血の夢」について言及すると、そもそも「染血の夢」計画が発動されても、それによって別に竜堂兄弟が被害を受けるわけではないですよね? 「染血の夢」計画において日本は救われる事になっていますし、「染血の夢」計画自体に竜堂兄弟を攻撃するプログラムが組み込まれているわけでもありません。したがって、竜堂兄弟が常日頃から主張している「自己防衛本能」から言っても、竜堂兄弟が「染血の夢」計画に反対する理由は全くないのです。
> これでは竜堂兄弟の行動にマトモな理由をつけることなど、まず不可能ですよ。四人姉妹の支配方針に反対するのであれば、それなりの理由を必要とするはずなのですが。うーむ、これについては確かに竜堂兄弟は「五〇億人を殺すのは傲慢なマキャベリズムだからいかん」という理由のみで動いているように見えますね。まあ、動機としては人間の情にかなってはいますけど、代案もなしに「後の事は世界の国々が解決すべき事だ」とあっさり責任転嫁をしてそ知らぬふりをするのは無責任もいい所でしょう。
ところで、不意に思ったのですがなぜ竜堂兄弟はわざわざ117代3000年もかけて転生したんでしょうか?一通り読み返してみたのですがその点について言及した文章は見つける事が出来ませんでした。転生ってそんなに時間がかかるんですかね?
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- board2 - No.1386
牛種はホントに冷酷な連中(笑)
- 投稿者:平松重之
- 2000年09月12日(火) 04時16分
不意に思ったのですが、どうして牛種は自分達の古くからの支配地域であるヨーロッパ・キリスト教世界において人間が牛を家畜とする事を容認したのでしょうか?(笑)牛種は自分達と同じ顔をした(とは限らないかも知れませんが)動物が家畜にされ、乳をしぼられ、労働力としてこき使われ、挙句に肉にされて食われてしまっても何とも思わなかったのでしょうかね?うーむ冷酷だ(^^;)
さらにはヨーロッパバイソン・アメリカバイソン・ジャコウウシなどの牛の仲間はヨーロッパ人によって絶滅寸前に追いやられていますが、これも牛種はなぜ見過ごしたのでしょうか?
さすが人間の血の流れない牛種!残忍な奴等ですな(笑)。…くだらない事を書いてしまいました。妄文多謝m(__)m
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- board2 - No.1387
Re1385:「毒をもって毒を制する」という発想の欠如
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年09月12日(火) 08時14分
<平凡な生活を望んでいた竜堂兄弟にとって、権力者からの「俺たちと手を組もう」などという申し出は迷惑なものだったのでしょう。権力に関わってしまえば平凡な生活など望みうるはずもないですし、竜堂兄弟にとってレディLの申し出は「平凡な生活を乱す」事に変わりはなかったという事なのでは?>
それは違いますね。というのもレディLが竜堂兄弟に共闘を申し出た時点で、すでに竜堂兄弟の「平凡な生活」は、竜堂兄弟の力を欲する日本の権力者集団によって乱されていたからです。それに対してレディLの申し出は「奴らを叩き潰すために手を組んで共闘しよう」というものであり、「平凡な生活を望む」という観点から見ればむしろ竜堂兄弟の利益にかなうものであったのです。
そもそも竜堂兄弟の立場では、権力の庇護なしで「平凡な生活」など営めるわけがないでしょう。相手は権力を持っているのですから、何も正面から竜堂兄弟に挑むだけでなく、銀行・郵便貯金などの資産凍結や水道・ガス・電気などの供給ストップなどといった「兵糧攻め」、さらには鳥羽茉理一家を人質に取るなど、手段を選ばない攻撃に訴える事すら可能なのです。そんな事をされたら「平凡な生活を望む」どころの話ではなくなるでしょう。そういった策に対抗するためには、竜堂兄弟にも権力の庇護が必要不可欠であり、レディLの申し出は竜堂兄弟にとってむしろ「渡りに船」な話であったはずです。
また、創竜伝で展開されているような単純な力技に限定したとしても、竜堂兄弟のバックに四人姉妹が控えているとなれば、日本の権力者集団だって攻撃に躊躇するようになるでしょう。下手に竜堂兄弟を攻撃すれば四人姉妹まで敵に回すことになってしまうのですから。相対的な権力の格差と抑止力によって、結果的に竜堂兄弟は「平凡な生活」をおくることができるようになるではありませんか。
確かに四人姉妹の申し出は竜堂兄弟の感情とプライド面では不愉快なものであったかもしれません。しかしそれを抑えてあえて手を組み、四人姉妹の権力を巧みに利用していけば、竜堂兄弟にとって大きな利益と安全をもたらしてくれた事は間違いないでしょう。もし四人姉妹が竜堂兄弟を裏切ろうとするのであれば、その時こそ自分達の強大な力を徹底的に思い知らせてやれば良いだけの事です。
竜堂兄弟の立場ならば「毒をもって毒を制する」という選択肢を選ぶ事が充分に可能だったと私は思うのですけど、そのような有効な選択肢について全く考慮することすらなく四人姉妹を敵に回した連中の感情任せで無思慮な思考法はホントに救いようがないとしか言いようがありませんね。<ところで、不意に思ったのですがなぜ竜堂兄弟はわざわざ117代3000年もかけて転生したんでしょうか?一通り読み返してみたのですがその点について言及した文章は見つける事が出来ませんでした。転生ってそんなに時間がかかるんですかね?>
これはまず創竜伝4巻における天界の描写で、「牛種と竜種の戦いの真の決着は3000年後になるだろう」と西王母が主張していた事がありますが(ただし「なぜ真の決着が3000年後なのか?」は全く不明)、それ以前の問題として、創竜伝の前世話である、天界での竜種と牛種との抗争のストーリーがまだ終わっていないのですよ。創竜伝9巻で両者が激突寸前になったまま、ストーリーの流れが止まってしまっています。
おそらく「転生云々の話」はその後に出てくるものでしょう。だから12巻までの創竜伝に「転生」に関する話があるわけがないのです。
もっとも、ストーリーが全く考えられていない創竜伝の事ですから、ひょっとすると最後まで全く出てこないまま話が完結してしまうかもしれないのですが(笑)。
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- board2 - No.1388
Re:私が行っていることは・・・・
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年09月12日(火) 15時40分
平松重之さんは書きました
>
> いや、地球教やルビンスキーが「ラインハルトが死んでも痛痒を感じない」と言うのは違います。というのも、彼らは謀略をもってローエングラム王朝を簒奪ないし裏面から支配する事を企図していましたので、(第三巻P76~78・第九巻P83)この時点ではまだラインハルトの死を望んでいなかったはずです。不沈戦艦さんのおっしゃる通り、もしここでラインハルトが死ねば人類社会は分裂してしまいますので、その様な状況を地球教やルビンスキーは望まないでしょう。まあ、それにしては確かに「ウルヴァシー事件」での襲撃がかなり粗雑であったのは妙で、ラインハルトの生命も脅かされましたが、そこまでの細かい事情はロイエンタールは知りえなかったでしょうから、「皇帝襲撃は全て計算ずくのオーベルシュタインないしラングの謀略」との疑惑が生じる余地は充分にあったのでは?ここは違うんですよねぇ~。私が言っている事を要約すると、「オーベルシュタインは、絶対にラインハルトの命を危険に晒す訳にはいかない」と、「ルビンスキーと地球教は、ラインハルトの命を危険に晒しても構わない」ということなんですが。オーベルシュタインはラインハルトに死なれたら全てが終わってしまう(オーベルシュタイン自身も多分破滅する)が、ルビンスキーと地球教は、ウルヴァシー事件でラインハルトを殺すつもりはなくても、仮にラインハルトが死んだところで彼らの構想が全て終わってしまい、破滅することはない、ということです。そこが違うよ、と言っている訳で。オーベルシュタインは「運が悪ければ皇帝が死ぬかも知れない謀略」は行えないんです。ルビンスキーと地球教は「皇帝が死ぬかも知れない謀略でも、有効と信じるものならどんどん実行する。彼らにはラインハルトの生命を守る義務はない」ということ。立場の違いを言っている訳で、「ルビンスキーと地球教は、ウルヴァシー事件ではラインハルトを殺そうとはしていなかった」と言われても、それは反論ではありません。ルッツが死んでしまうような、明らかにラインハルトの命が危険に晒された謀略は、オーベルシュタインのものではない、ということですね。
>
> 自分は「ウルヴァシー事件」においてのラングの策謀をオーベルシュタインが黙認していた、とは言っていません。自分が言いたかったのは『第七巻でラングによって陥れられたロイエンタールは、その時のラングの策謀をオーベルシュタインが少なくとも黙認していたのを察知していたのではないか。そしてその忌まわしい前例を元として「ウルヴァシー事件」においてその背後にラングがいる事を直感し、さらにその策謀をオーベルシュタインは少なくとも黙認していたのではないか、といういらぬ疑惑をロイエンタールは抱いてしまったのではないか』と言う事です。ですから、ロイエンタールが「ウルヴァシー事件」に端を発する一連の件は計算ずくの策謀であり、身一つでフェザーンに出頭すれば処刑ないし謀殺されてしまうと考えたのはそれほど無理はないのでは?
> ちなみにラングは「もし皇帝が死んでしまったらどうなるか」という事態についてはちゃんと考慮していました。自分勝手なものではありましたが(第九巻P89下段~P90上段)。
>
> 「ロイエンタールがオーベルシュタインを過剰に意識し過ぎて判断を誤った」と言うのは確かにその通りで、阿呆と言われても仕方がないかも知れません。ですが、これまで名将の名をほしいままにし、叛乱後も自分の愚かしさを充分に承知していたロイエンタールを「ウルヴァシー事件」での判断を誤ったからといって「単なる阿呆」と斬って捨てるのもどうかと思いますね。むしろ「名将と呼ばれた人物が何故あの様な愚挙を敢えて行ったのか」というテーマを浮き彫りにするのが田中芳樹の意図した所なのではないでしょうか(不沈戦艦さんが指摘したような矛盾点も多々あるにせよ)。上で言っている通り、「ウルヴァシー事件がオーベルシュタインの策謀である、ということはあり得ない」ので、ロイエンタールの行動ははやり不可解です。さっさとフェザーンに出頭して申し開きをする、のが当然でしょう。
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- board2 - No.1389
Re: そもそも名称の定義とは何ぞや?
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年09月12日(火) 15時44分
Merkatzさんは書きました
> 不沈戦艦さんは度々、「感情的になって、理性的な判断ができなくなっていたロイエンタールは阿呆」とおっしゃっていますが、
> 不沈戦艦さんにとって名将の定義とはどんなものなのでしょうか?
> 仮にそれが「感情的にならない、常に理性的判断が出来る」というものだとしたら、
> そんな定義に当てはまる名将など存在しません。
> 如何な名将といえども、人間である以上、感情からは自由でいられません。
> 名将と呼ばれる人が感情面で失敗したり、苦渋の判断を下したりするからこそ、歴史というものは彩りに満ちているわけで、
> それらを不沈戦艦さんの言うように「感情的になって、理性的な判断ができなくなっていた阿呆」と切り捨てていたら、
> 古今東西、ありとあらゆる名将は皆阿呆だということになってしまいます。
>
> ロイエンタールはあれほどの名将でありながら、自虐的・破滅的で女性不信というトラウマを抱えた精神面での脆さがあったからこそ、人間臭い名将であったのであり、
> もしそれらがなかったら、機械と同じで何の面白味もないでしょう。
> 謀叛決起後の戦略について、色々穴があったことが分かったのは面白かったですが、
> 謀叛の動機について阿呆呼ばわりは違うと思います。
>
> 動機については平松さんとほぼ同意見なのですが、私も若干の推測をすれば、
> ラングの存在の方がオーベルシュタインよりも大きかったと思います。
> 最初の謀叛疑惑の時、中心人物はラングでした。
> そのことはロイエンタールがラインハルトの前で釈明に及ぶとき、ラングについて言及することから、周知の事実でした。
> したがって、ロイエンタールはラングが自分に復讐しようと付け狙っていることは十分知っていました。
> この場合、オーベルシュタインという存在が、ラングに対する警戒心をいささか変質させたのではないでしょうか。
> ラングは内国安全保障局々長でありながら、軍務尚書の部下のように振る舞っていました。
> (内国安全保障局は内務省管轄)
> すなわち、表面上はラングの行動はオーベルシュタインがバックアップしているかのように取れるわけです。
> そこまでいかなくとも、周りは「オーベルシュタインはラングの行動を黙認している」と認識していたわけで、
> ロイエンタールもそのように受け取っていました。
>
> やがて帝都に流れた奇妙な噂(皇帝行幸の際、自分が謀叛を起こす)をキャッチしたとき、これはラングの仕業であることも見抜いていたと思います。
> この時点では、根も葉もない噂であるし、ラインハルトは招請に応じたのだから、一応ラングの策動に警戒はするにしても、謀叛は考えていなかったでしょう。
>
> 致命的だったのはウルヴァシー事件です。
> ただし、ロイエンタールはすぐに謀叛を決めたわけではありません。
> なぜなら真相調査のためグリルパルツァーを派遣しています。
> もし、謀叛を起こすなら、調査などに時間を掛けるより、すぐに謀叛のための準備をした方が効率的です。
> 明らかにこの時点では謀叛の意思は固まっていないと思います。
> 決定的になったのは、ルッツ死亡・事件の真相不明とグリルパルツァーが報告したことでしょう。
> ロイエンタールはこの時、ウルヴァシー事件がラングの策謀とは考えていなかったと思います。
> むしろ、この事態を利用してラングが自分に謀叛の嫌疑を掛けることを憂慮したと思います。
> つまり、ウルヴァシー事件が偶然であれ、作為であれ、これは自分を貶める決定的な機会になってしまうということです。
> そして、一度ラングの掌中に落ちれば、どのような運命になるか分かったものではありません。
> 如何に元帥といえども、謀殺(ボルテックが変死した事も当然頭にあっただろう)の可能性すらあります。
> そしてオーベルシュタインがラングの行動を「黙認」しているという事実が、これは一筋縄ではいかない事態になったと絶望したのでしょう。
> (単にラング一人の妄動であったなら、素直に出頭していたであろう)
> したがって、謀叛の嫌疑を掛けられて牢獄に繋がれるよりは、謀叛を起こしてやろうという気になったのでしょう。
>
> 推測材料としては、ロイエンタールがベルゲングリューンに「(事件がラング・オーベルシュタインの策謀であることを)俺がそう思いたいのだから、そう思わせておいてくれ」と言っていることから、明らかだと思います。
> 後付けで自分を納得させている様子が分かります。
> ロイエンタールも理性では、ウルヴァシー事件は偶発ではないかと思っていたのでしょう。
>
> ウルヴァシー事件がラングやオーベルシュタインの策謀だと思ったから謀叛を起こしたのではなく、その事件(偶然か故意かは分からないが)を利用して自分が貶められる事態になったから謀叛を起こした。
> 私はそう推測します。>名将の条件
これを論じる前に、何か勘違いされていません?私は「ロイエンタールは阿呆である。以上終わり」と切り捨ててるのではありませんよ。「何でロイエンタールみたいな『名将』を、莫迦みたいな謀略(ちょっと論理的に考えればあり得ない)で使い潰すのか。この件に関しては、話を作った田中芳樹がどうしようもないほど阿呆なのか?」と言いたい訳で。「どうしても叛乱を起こさせたいにしても、もうちょっとマシな話にして欲しかった。ロイエンタールが杜撰な謀略に感情的になって乗ってしまい、結局順当に負けて死んでしまうってのはヒドイ。どうせならロイエンタールが計画的・主体的に叛乱を起こし、ラインハルトやミッターマイヤーが危機に陥るような話に出来なかったのか」という事です。何しろ、最初に銀英伝を読んだ時から、「何でこんな莫迦な謀略でロイエンタールが叛乱に走ってしまうのだ?田中芳樹は何を考えているのか?」と全く理解に苦しむストーリーだ、と思っていたもので。
さて、「名将の条件」ですが、これはなかなか難しいですね。「政治家」ではなく「将」なので、一応「戦場に出ている軍人」である必要はあるでしょう。いくら勝利を得るのに尽力したからと言って、チャーチルやルーズベルトは「将」ではありませんから。更に、どちらかと言うと、戦場で采配を振るった人物でしょうね。後方勤務ではなく。「戦場で軍を率いて戦功をあげること」が、名将の条件でしょうか。だからと言っても、十万の兵力を率いて一千の相手を全滅させても、「名将」とは言われないでしょう。結局、客観的に有利な条件でない場合に、大きな戦果をあげた場合、一般的に「名将」と呼ばれるようになる、ということではないでしょうか。例えば二倍の敵を、完膚無きまでに叩き潰した司令官、とか。そこまでいかなくても、同程度の数の相手に味方の数倍の損害を与えて勝った、とか。また、困難な状況で、相手に味方以上の被害を与えた場合、などもそう呼ばれるかも知れません。例え最終的には負けたとしても。硫黄島の栗林忠道中将などは、それに入るでしょう。
さて、「度し難いな」などと言いつつ支離滅裂な叛乱に邁進している事を自覚しながら、そのまま突き進んでしまうのでは、さすがに庇えないのではありませんか?別に追い詰められた訳でもないのに。「名将」なら、そのような判断はしないだろう、さっさとフェザーンに出頭して、皇帝の下でオーベルシュタインとラングの非を訴えるのが筋、とは思われませんかね?それを奨めたベルゲングリューンの判断の方が、理性的だしマシな選択だと思いますが。それに、ロイエンタールはかなり誇り高い男ではなかったですかね。その誇り高い男が、濡れ衣の「反逆者」の汚名を無理矢理着せられて、それに唯々諾々と従ってしまう、というのは無茶苦茶なのでは。「戦う事が誇り」ってのは、理屈になっていますか?私にはそう思えませんけど。
さて、そもそもの話なんですけど「ロイエンタールに叛乱を起こさせる」というルビンスキーと地球教の謀略、果たして実現可能なんでしょうか?と、言うのは、私が主張している通り、「ロイエンタールがフェザーンに出頭して申し開きをした場合」には、この謀略は失敗するからです。そうなれば、グリルパルツァーも野心の発揮のしようがなく、素直に「地球教の謀略臭い」という調査結果を報告せざるを得ない訳で。と、なればラインハルトも、ロイエンタールに罪があるとは思わないでしょうね。ロイエンタールがその気にならなければ、「叛乱」は発生しないんですよ。で、ルビンスキーや地球教は、何で「この謀略でロイエンタールが叛乱を起こす筈」と思いこんだんだか、訳が解りません。計画が杜撰云々言う前に、支離滅裂で成立するかどうか解らない事に資金と人的資源を投入する、ってやり口が意味不明でしょう。
- 親記事No.1245スレッドの返信投稿
- board2 - No.1390
Re:ちょいっと間違い
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年09月12日(火) 15時45分
「行っていることは・・・」ではなく、「言っていることは・・・」です。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1391
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(36)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年09月12日(火) 15時49分
更に続き。
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あらかさまに小馬鹿にしたように聞こえるオーベルシュタインの言いように、ビッテンフェルトが激発しかけるが、ロイエンタールはそれを手で制した。
「珍しいな、このようなところに。多忙ななずの参謀長どのが。我らに何の用か?」
あらん限りの悪意を込めたロイエンタールの応酬にも、オーベルシュタインは動じることはない。
「今後の方針を伝えに来た。差し当たっては卿らはしばらくは動けぬ。ここで大人しくしているがよかろう」
「で、その間に何が起こるというのだ。重要な機密だろうに、それを我らに教えても良いのか?」
あくまで皮肉を込めて返すロイエンタールであった。
「現在、リッテンハイム侯爵令嬢を捕縛する作戦が行われている。それに成功した後、人質交換ということになろう。グリューネワルト伯爵夫人を奪回できれば、オーディンの敵、及びガイエスブルグの敵に対し、攻撃可能になる。卿らの出番は、それ以降のことだ」
「リッテンハイム侯爵令嬢を捕縛する・・・・・・卿は、『グリューネワルト伯爵夫人を犠牲にしてでも、オーディンを奪回せよ』と主張すると思ったのだが、突然どうしたことか、宗旨替えかな?」
「無論、ローエングラム侯にはそう申し上げた。残念ながら侯はその提案を退けた。よって、私は次善の策を言上した。以上だ」
「ほう・・・・それでリッテンハイム侯爵令嬢捕縛作戦の実施か。指揮しているのはシュタインメッツ提督だな、他には可能な者がいないからな」
ロイエンタールの指摘に、無言で頷くオーベルシュタインであった。
「案としては悪くない。リッテンハイム侯は、自分の娘を帝位に就けて、自分は帝国宰相を名乗る、といった行動に走るだろうからな。肝心の帝位継承者をこちらで押さえてしまえば、侯も取引に応じるしかなくなる。だが、必ず成功すると言えるのか?大捕物になるのだろうが、網が空振りになる可能性もない訳ではなかろう。しくじった時はどうするのだ?」
「その時は、事態の容易ならぬことをローエングラム侯に申し上げ、最後の決断を願うだけだ」
「卿は、何としてもグリューネワルト伯爵夫人を犠牲にするつもりか。奪回作戦を実施するつもりはないのか?」
「困難過ぎる。タンネンベルク伯はそこまで甘くはなかろう。水も漏らさぬ警備をかいくぐって、人質を救出するのは不可能に近い」
「やってもみないで、何故不可能と言い切れる?卿は、方法を考えることなく、諦めてしまったのかね?」
「可能性が低い方法を、無理に実行することもなかろう。それ以外絶対に方法がない、とでもいうのでない限り」
「何を言っているのだ卿は。リッテンハイム侯爵令嬢捕縛作戦が失敗したら、その『それ以外絶対に方法がない』という状況に追い込まれるのだぞ」
「そうとは限らない。その場合は、あくまでグリューネワルト伯爵夫人にこだわって我ら全てが滅亡するよりは、伯爵夫人を犠牲にしてでも、勝利を得る方がより優れた方策だ。ローエングラム侯にはそう決断していただく」
「卿は、まったく人心というものを考えない男だな。おそらくローエングラム侯は、『自分は滅びても構わないから、グリューネワルト伯爵夫人をお救いする』と命じると思うぞ。卿の案を採用することは先ずあるまい」
「覇者がそれでは困る。そういう選択をローエングラム侯にさせるべきではない。その場合は、我ら全員で反対すべきだ。例えローエングラム侯の意志に反しようとも」
「もし卿の言う通りになったらどうなると思う。ローエングラム侯は虚無に陥って、自暴自棄になってしまうかもしれぬぞ。そうなったらどうなる?ローエングラム侯は真っ当な判断能力を失い、我らに悪戯に犠牲を強いる策を強要するようになるかもしれぬ。帝国の覇権、銀河の覇権などどうでもよい、とお考えになられるようになるのではないか?そのあげく、誤った判断によって、敗北することになったらどうするのだ。卿の策は、実現性に欠けるということが解らぬのか?」
「そのような悲観的な結果になる、と決まった訳ではあるまい。それは卿の空想に過ぎぬ」
「卿の考えは確かに合理的なのだろうが、合理だけでは世の中は動かぬ、ということが明らかに欠落している。ローエングラム侯に、魂の平穏を保っていただくのも部下の勤めだ」
「そのような甘い考えを、生死を分ける戦いで実行しようなど、卿らしくもない。戦はあくまでも理をもって行わなければならぬ、ということくらい当然理解していよう?」
オーベルシュタインとロイエンタールの舌戦は止まるところを知らない。
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<以下続く?>
- 親記事No.1275スレッドの返信投稿
- board2 - No.1392
野望円舞曲?
- 投稿者:NNG
- 2000年09月12日(火) 15時56分
> 一応この漫画はCLAMPさんが考えたオリジナルであって、基本的なとこ(キャラとか)は小説からだとしても、
いっそのこと、創竜伝をCLAMPに任せてしまうのが創竜伝を救う?手なのではないでしょうか?
創竜伝を楽しんでいる人の多くは、「評論」や「中国礼賛」ではなく、竜堂兄弟のキャラクターのはずですから。
本屋で田中芳樹ともう一人連名の野望円舞曲という本を見かけたんですけど、これって基本案を田中芳樹が考えたのを、もう一人の方が作品にしたんですよね?
創竜伝もこれと同じで、ある程度の設定を利用して他の作家(漫画家)が書いた方が作品としてまとまると思います。ところでコンビネーションという漫画の妹之山兄弟の認知度ってどれくらいなんでしょうね?
そしてそれを田中芳樹自身はどう考えているのかも知りたいです。
- 親記事No.1245スレッドの返信投稿
- board2 - No.1393
Re:ウルヴァシー事件あれこれ
- 投稿者:平松重之
- 2000年09月13日(水) 03時23分
不沈戦艦さん
> ここは違うんですよねぇ~。私が言っている事を要約すると、「オーベルシュタインは、絶対にラインハルトの命を危険に晒す訳にはいかない」と、「ルビンスキーと地球教は、ラインハルトの命を危険に晒しても構わない」ということなんですが。オーベルシュタインはラインハルトに死なれたら全てが終わってしまう(オーベルシュタイン自身も多分破滅する)が、ルビンスキーと地球教は、ウルヴァシー事件でラインハルトを殺すつもりはなくても、仮にラインハルトが死んだところで彼らの構想が全て終わってしまい、破滅することはない、ということです。そこが違うよ、と言っている訳で。オーベルシュタインは「運が悪ければ皇帝が死ぬかも知れない謀略」は行えないんです。ルビンスキーと地球教は「皇帝が死ぬかも知れない謀略でも、有効と信じるものならどんどん実行する。彼らにはラインハルトの生命を守る義務はない」ということ。立場の違いを言っている訳で、「ルビンスキーと地球教は、ウルヴァシー事件ではラインハルトを殺そうとはしていなかった」と言われても、それは反論ではありません。ルッツが死んでしまうような、明らかにラインハルトの命が危険に晒された謀略は、オーベルシュタインのものではない、ということですね。
第十巻ではオーベルシュタインはヴェルゼーデ仮皇宮にラインハルトを囮にして地球教の残党をおびき寄せる謀略を弄しています。まあ、この時点ではラインハルト自身はすでに死は免れない状態でしたが、仮皇宮にはラインハルトの死後皇帝となるアレクサンデル・ジークフリードと摂政となる皇后ヒルデガルドがいました。この二人が死んでしまえばローエングラム王朝は瓦解する事は分かりきっている事であるにも関わらずオーベルシュタインは策を実行していますけど…。これから考えれば「明らかにラインハルトの命が危険に晒された謀略は、オーベルシュタインのものではない」とは言えないのでは?
更に言えば「明らかにラインハルトの命が危険に晒された謀略は、オーベルシュタインのものではない」と主張が正しいとしても、問題なのはロイエンタールが「ウルヴァシー事件」における皇帝襲撃の詳しい事情を知りえる立場にいなかった、という事です。(九巻のP124にはロイエンタールの元にもたらされる「ウルヴァシー事件」の情報について「量的に貧弱な上、いちじるしく整合性を欠いた」と書かれています。)となれば当然「本当に皇帝は命を狙われたのか?実はオーベルシュタインないしラングが仕組んだ謀略で、皇帝が生き伸びたのは奴らの緻密な計算通りではないのか?」という疑惑が生じる余地が出来るのでは?いかにルッツが死んだとはいえ、キルヒアイスが自分の進言が一因で死んでも超然とした態度を保っているオーベルシュタインならルッツを犠牲にしてまで謀略を断行しても不自然ではない、という事なのでは?
更には「ルビンスキーと地球教は、ウルヴァシー事件でラインハルトを殺すつもりはなくても、仮にラインハルトが死んだところで彼らの構想が全て終わってしまい、破滅することはない」という主張についてですが、果たして彼らは「破滅しないで済んだ」という消極的な結果で満足するような連中ですかね?ルビンスキーはこの時点で悪性の脳腫瘍を煩っていて死が近づいているのをうすうす感じていたでしょうから、「破滅しないで済んだ」なんて事で満足出来る訳ないでしょう。あの時点で破滅しなくてもいずれは数年以内に病気で死んでしまうんですから。地球教はというと彼らの悲願は地球教の教えを基本とした祭政一致の人類社会統一国家を樹立する事でしたから、彼らにしてみればその悲願が遠のいてしまうのを「破滅しなくて済んだからいいや」で済ませられはしないでしょう。何せ彼らは狂信者なのですから。> 上で言っている通り、「ウルヴァシー事件がオーベルシュタインの策謀である、ということはあり得ない」ので、ロイエンタールの行動ははやり不可解です。さっさとフェザーンに出頭して申し開きをする、のが当然でしょう。
この際問題なのはロイエンタールの主観でしょう。オーベルシュタインの謀略手腕に対しての過大評価・ラングの己への歪んだ憎悪に対する自覚・「ウルヴァシー事件」についての情報の不足等を総合してみれば「ウルヴァシー事件はオーベルシュタインないしラングの策謀である」という結論が生じたのはそれほど無理はないと思うのですが。
ついでに言えばオーベルシュタインがロイエンタールを失脚させようとする、というのはありえない事ではないと思います。というのもオーベルシュタインは強硬な「ナンバー2不要論者」ですから、「新領土総督」という強大な地位とそれに伴う権限(同盟の旧領の支配権及び三万隻の艦隊を擁し、しかも地位は各尚書に匹敵)を手に入れたロイエンタールを「ナンバー2」とみなし、勢力を削りにかかる事は充分にありえたのでは?そしてロイエンタールもそれは承知していたのではないでしょうか。
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田中芳樹の魅力
- 投稿者:優馬
- 2000年09月14日(木) 08時15分
優馬です。ご無沙汰しておりました。
さて、「仮想田中芳樹」氏の言説を見ていて思ったのですが、氏の主張は詰まるところ、
1)たかが娯楽小説に目くじら立てなくてもいいじゃないか。
2)内容はともあれ、売れているからいいじゃないか。
という二点に要約されていると思います。で、この論点は当サイト発足以来繰り返し議論されてきていて、「今さら」の感があります。特に1)は、当サイトは「目くじら立てたい」人たちの集う場所なんで、そもそも勘違いしておられる。巨人ファンのサイトで「長嶋の低脳、松井の醜男」なんて書き込みしたら、集中砲火を浴びてボコボコにされるのは当然。もし、わかってやっておられるなら、これはもう「荒らし」でしかないですしね。
ただ、2)については創竜伝12巻がやっぱりベストセラーになったという事実を踏まえて冷静な分析が必要なのではないかと思います。
「なぜ、田中芳樹は売れるのか」
私自身の感覚では「理屈にあわん!」と無視したい気持ちもあるんですが、それだと「自分の思想と違うように世の中が動いていくのは、世の中が間違っとる!」とのたまう、行き詰まっちゃったおっさんたちと同じになってしまう。
当サイトは、もう少し知的に骨太であると信じますので、皆さま、批判的視点から見た「田中芳樹の魅力」について議論しませんか。ちなみに、私の意見は、
1)文体の魅力。ちょっとスノッブだが、日本の小説ではあまりないエスプリがそれなりに効いている。
2)ストーリーテリング。ハラハラドキドキとはいかないが、一応山も谷もあり、安心して読める。
3)作者の人柄の反映でしょうか、キャラクターが基本的に「いい人」。これまた「安心して」読める。