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投稿ログ56 (No.976 - No.986)

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board2 - No.976

Re974:民主主義の理念と同盟崩壊の責任問題

投稿者:冒険風ライダー
2000年06月06日(火) 06時35分

<いや、自分はうろ覚えだから悪いという事を言っていた訳ではなく、単に理念がうろ覚えだったから同盟は建国当初から新たに民主主義の定義を定め直さなくてはならなかったのではないか、と言いたかったのですが。>

 しかし仮に「理念がうろ覚え」で、同盟が民主主義の定義を定め直さなければならなかったとしても、そこから現代的な民主主義に近い考え方をはじき出すのはそんなに難しい事ではないのでは? 「いかにしてルドルフの出現を食い止めるか」という明確な目的意識があれば、それを防ぐための手段を考える事できちんとした「民主主義の定義」がおのずと確立していくはずなのですから。
 しばしば独裁者の出現に悩まされてきたフランスやドイツなどでは、その出現を防ぐために様々な方法を考えてきています。一番代表的な例としては、国民投票によって選ばれる大統領と、議会から選出される首相の両方を同じ行政府においている事です。これによって行政府に強大な権限が集中するのを防ぎ、独裁者が現れるのを制度的に防止しようというわけです。
 銀英伝においても、ルドルフが乗っ取った銀河連邦が同じような制度を採用しており、独裁者が出現するのを防止するシステムが確立されていました。ただ、銀河連邦の場合は「国家元首(大統領)と首相の両方の兼任を禁止する」という肝心要な事が法律で明確に規定されていなかったため、そこをルドルフに突けこまれる形になったわけですけど。
 そのルドルフの悪例を手本にして「独裁者の出現を防ぎ、国民の諸権利が侵害されないシステム」というものを確立していけば、別に民主主義が精確に伝わっていようがいまいが、それがおのずと「民主主義の定義」に近づいていったはずなのです。現にアメリカにしてもEU諸国にしてもそうやって少しずつ民主主義思想を確立していったのですから。
 にもかからわず、同盟の建国者やその子孫達が「ルドルフの出現防止の方法論」について全く考えず、そのシステムを確立しようとすらしなかったというのは少しおかしいのではないでしょうか。

<これは自分の書き方が悪かったです。自分も「禁書の質」自体は大して問題にしていません。ただそれらを継承し、新たな解釈を付け加えていく義務を有しているはずの帝国内の共和主義勢力があまりにも小勢力だった事が少しひっかかったのです。ルドルフの登極以来ゴールデンバウム王朝は約500年ほど続きましたが、その間に帝国内の共和主義勢力はゴールデンバウム王朝を脅かす勢力にまでは成長できませんでした。(カール・ブラッケやオイゲン・リヒターなどの開明派も存在しましたが、彼らも思想的影響力ではなく、ラインハルトの勢力を背景にようやく改革を推進出来ています。)これはおそらくは社会秩序維持局の活動や密告の奨励などが大きな要因であろうと考えられますが、彼ら共和主義勢力の主張や思想が帝国の一般市民に対して共感を得られなかった点もあると思います(前の二つの要因を考慮に入れたとしても)。それを考えれば、彼ら帝国内の共和主義勢力は理念や組織力という点においてはあまり高い評価を与えられないと思います。>

 組織力があまり充実していなかったという点は同感です。彼らは結局、ゴールデンバウム王朝の専制支配に対して何も成しえず、ただ影に隠れて不平をならしていただけだったようですから、民衆の共感を得られなかったのは当然でしょう。
 しかしそれと、

<だから、彼らがゴールデンバウム朝の思想弾圧を逃れた禁書の優劣を見分け、新たな注釈を加えて後世に伝えていくなどという芸当が出来るとは思えず、精確な民主主義のシステムや理念が帝国内でひそかに継承され、発展していったとは考えにくいと思います。>

 というのはちょっと結びつかないのではないでしょうか。
 帝国内の共和主義者たちがまともな政治勢力たりえなかった理由は、民衆の共感が得られるような現実的な政治・戦略・謀略構想が全くできていなかったからであって、それと「禁書の優劣」というのは全く関係ないでしょう。むしろ、なまじ彼らが「優れた禁書」に従って民主主義の理想論を唱えすぎたがために、却って民衆から「現実遊離」と見られ、支持を失っていったのかもしれないではありませんか。
 理論が優れているにもかかわらず現実の政治活動では無為無力、という事はよくあることです。特に帝国の場合は帝国政府と門閥貴族以外の内部勢力がまともな政治力や武力を持つ事は難しかったでしょうからね。帝国において共和主義勢力が台頭しなかった理由はそのあたりにあるのではないでしょうか。

<完全な理解とまではいかなくとも、伝聞だけでヤンの人柄を大筋として理解する事は可能だと思います。現にヒルデガルド・フォン・マリーンドルフなどは七巻などでヤンの志向や行動理念などを伝聞だけで精確に推察していますし。ヒルダに比べ感性の点ではともかく知性や認識力ではレベロもそう劣っているはずはありませんし、やはりこれは立場や生来の性格による心理的余裕の差によって、導き出したヤンへの評価がおのおの異なったと考えるべきだと思うのですが。>

 ヒルダのように異常なまでに傑出した人間観察眼を持っているような人間であればともかく、そこまで優れていない普通の凡人が「伝聞」だけでヤンの人柄や思想を精確に把握する事ができるのでしょうか? ましてや、ヤンは一般人には到底理解できないような様々な思想的矛盾を抱え込んでいるのですから、「伝聞」や「表面的な行動」などだけから普通の人間がヤンの人柄や思想を理解するのはほとんど不可能に近いのではないでしょうか。
 それとヒルダは別にヤンと付き合っていく必要がなかったからこそ、比較的客観的にヤンを評価できたという事情もあるでしょうね。それに対して、レベロは立場上どうしてもヤンを意識せざるをえなかったし、「同盟を何が何でも存続させなければならない」という任務の重圧に押しつぶされそうになってもいましたから、それがヤンの評価を曇らせたということもあるかもしれません。
 まあ私の主張の眼目は「レベロがどのような理由でヤンを誤解していたにせよ、誤解があるのであればそれを是正していく義務がヤンにはあった」というものですから、「レベロがヤンを誤解した理由」というのはあまり重要な事ではないのですけど。

<ヤンは高級軍人として政治家との信頼関係を築くべきだったという冒険風ライダーさんの主張は確かにそうだと思います。ですが、ヤンが政治家と距離を置くのは、極力政治に関わりたくないと言う心理と、政治家への子供めいた偏見が根強くあるので、おそらくはレベロやホワンとすらそういう関係を結ぶのは困難だったでしょう。ましてやトリューニヒトやその手下達となど(^^;)。>

 全くその通りで、まさにそれだからこそヤンにシビリアン・コントロールを論じる資格などないわけです。単なる個人的感情で嫌いだからなどという理由で自分の軍人としての義務を怠り、その結果、同盟を滅亡に追いやる原因を作ってしまったわけなのですから。
 それにしても、ヤンが本当にトリューニヒトを「危険人物」だと考えていたのならば、そのトリューニヒトを排除するためにもレベロやホワンと手を組むべきであったと思うのですけど。ヤンの「ケガレ思想」的な感情論はホントに救いようがないですね。

<同盟の不幸は、その末期にレベロが元首に、レンネンカンプが高等弁務官に、ヤンが軍事的英雄に、ラインハルトが大帝国の皇帝にそれぞれなってしまった事でしょうが、さて、誰が最も同盟崩壊について責任があるのでしょうか(まあ、これは意見が分かれると思いますし、厳密に検討してもあまり意味はないと思いますが)。>

 あの銀英伝6巻における暴走行為は、登場人物の誰が欠けても成立しようがなかったのですから、結果的に見れば「主要人物全てに責任がある」とか言いようがないですね。レベロの暴走行為にも、レンネンカンプの独走にも、ラインハルトの高等弁務官の人事と性格にも、その一局面においては責任が問えますが、決定打とはなりえまえんし。
 ただ、その中で「ヤンの責任」というものにも結構重要な責任があるように思えるわけですよ。何しろ「ヤンに対するレベロの不信感」を破局レベルに至るまで放置し、しかも「事の発端(シビリアン・コントロールに背いてまでメルカッツ提督を逃がした事)」を作り上げたのは他ならぬヤン自身です。しかしヤンは同盟の滅亡の原因が自分にもあるという自覚も、自分の行動が実はシビリアン・コントロールに明白に背くものであったという自覚も全くなかったというのですからね。無責任ぶりもここまでくればいっそ見事なほどであると褒め称えるべきなのでしょうか。

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board2 - No.977

Re: 追加注文(便乗)

投稿者:モトラ
2000年06月06日(火) 12時21分

平松重之さんは書きました

> 自分としてはこれらに、
> ④小林よしのりさんについてどう思いますか
>  というのを加えたいですね(^^;)。

はわわ、先を越された(笑)では私も便乗して質問。

⑤塩野七生さんについて(以下略)

もう何巻目まで読んだのかも忘れてしまった創竜伝ですが、「タカ派思想の代弁者に陥った『ゴーガニズム暴言』で、傲岸不遜な危険思想をバラ撒き読者を洗脳する悪質なマンガ家(センスない表現…)」とか言って取り上げられたこと、ないのでしょうか?
取り上げられていないとしたら、その理由はやはり「劇中で(仮名で)4兄弟の手でコテンパンにのしてやりたいのはやまやまだが、そうすると「新ゴー宣」の反論で田中芳樹特定個人の名前が出され、あまつさえその姿勢(フィクションの中で名前を挙げずに特定個人をそれと分かるように取り上げて、あしざまに罵る)が白日の元に晒されてしまう」からでしょうか?

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board2 - No.978

Re: 追加注文(便乗)

投稿者:Merkatz
2000年06月06日(火) 13時03分

モトラさんは書きました

> 取り上げられていないとしたら、その理由はやはり「劇中で(仮名で)4兄弟の手でコテンパンにのしてやりたいのはやまやまだが、そうすると「新ゴー宣」の反論で田中芳樹特定個人の名前が出され、あまつさえその姿勢(フィクションの中で名前を挙げずに特定個人をそれと分かるように取り上げて、あしざまに罵る)が白日の元に晒されてしまう」からでしょうか?

うーん。想像するに、ただ単に「たかが漫画家ごとき」と歯牙にも掛けていないのでは?

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board2 - No.979

Re: 共和主義者が台頭できなかった理由

投稿者:Merkatz
2000年06月06日(火) 13時24分

冒険風ライダーさんのシビリアンコントロールについての考察、凄いです。
どうやってもヤン弁護は無理でしょう。
むしろ私自身がヤンに感じていたある種の胡散臭さを明確にしてくれたと感じたくらいでして。(^^;;

>理論が優れているにもかかわらず現実の政治活動では無為無力、
>という事はよくあることです。特に帝国の場合は帝国政府と門閥貴族以外の
>内部勢力がまともな政治力や武力を持つ事は難しかったでしょうからね。
>帝国において共和主義勢力が台頭しなかった理由はそのあたりにあるのではないでしょうか。

これなら私にも説明が付きそうなので少しばかり。
原作にはないですが、OVA版ではクラインゲルトという辺境の領主が出てきます。
領民のことを考える優しい領主で、民に慕われているのですが、
同盟の帝国領侵攻の前に民を苦しめたくないとの理由で早期に降伏します。
推測するにこのような「良き領主」というのは辺境には結構居たのではないでしょうか。
つまり、ゴールデンバウム朝の中枢は陰謀と腐敗が蔓延していたかもしれませんが、
そのような政治闘争とは縁の薄い辺境では、割合のんびりとしていたのではないでしょうか。
「圧政」とやらが広大な帝国領の隅々まで行き渡っていたのなら、
その不満は必ず共和主義者の支持となったはずです。
むしろ帝国全体としてはそこそこバランスのとれた体制であったからこそ、
民の不満もそれほど大きなものではなかったのではないでしょうか。
門閥貴族の争いにしたって、民衆の生活に直接打撃を与えない限り、
「身分のお高い人がなんかやってるな」という程度のことでしかない。
「餓えさせないこと」という基本は出来ていたから、共和主義者の台頭する余地があまりなかったのではと思います。

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board2 - No.981

こんなふうに思ってます。

投稿者:仮想田中芳樹
2000年06月06日(火) 13時38分

①司馬遼太郎さんについてどう思いますか

 作家としてとても尊敬しております。

②石原慎太郎さんについてどう思いますか

 アシスタントさんにお願いして、ねたを収集中です。

③ダライ・ラマ14世さんについてどう思いますか

 宗教にはあまり関心がありません。特に個人的に援助したこともありませんが、話のねたに使わせていただいていることについてはありがたいと思っています。

④小林よしのりさんについてどう思いますか

 よく存じ上げないのでコメントいたしかねます。ただ、私は漫画を馬鹿にしてはおりません。

⑤塩野七生さんについて(以下略)

 話のねたに使わせていただいていることについてはありがたいと思っています。

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board2 - No.982

Re976:民主主義の変質とヤンの立場

投稿者:平松重之
2000年06月07日(水) 04時41分

冒険風ライダーさん

>  しかし仮に「理念がうろ覚え」で、同盟が民主主義の定義を定め直さなければならなかったとしても、そこから現代的な民主主義に近い考え方をはじき出すのはそんなに難しい事ではないのでは? 「いかにしてルドルフの出現を食い止めるか」という明確な目的意識があれば、それを防ぐための手段を考える事できちんとした「民主主義の定義」がおのずと確立していくはずなのですから。
>  しばしば独裁者の出現に悩まされてきたフランスやドイツなどでは、その出現を防ぐために様々な方法を考えてきています。一番代表的な例としては、国民投票によって選ばれる大統領と、議会から選出される首相の両方を同じ行政府においている事です。これによって行政府に強大な権限が集中するのを防ぎ、独裁者が現れるのを制度的に防止しようというわけです。
>  銀英伝においても、ルドルフが乗っ取った銀河連邦が同じような制度を採用しており、独裁者が出現するのを防止するシステムが確立されていました。ただ、銀河連邦の場合は「国家元首(大統領)と首相の両方の兼任を禁止する」という肝心要な事が法律で明確に規定されていなかったため、そこをルドルフに突けこまれる形になったわけですけど。
>  そのルドルフの悪例を手本にして「独裁者の出現を防ぎ、国民の諸権利が侵害されないシステム」というものを確立していけば、別に民主主義が精確に伝わっていようがいまいが、それがおのずと「民主主義の定義」に近づいていったはずなのです。現にアメリカにしてもEU諸国にしてもそうやって少しずつ民主主義思想を確立していったのですから。
>  にもかからわず、同盟の建国者やその子孫達が「ルドルフの出現防止の方法論」について全く考えず、そのシステムを確立しようとすらしなかったというのは少しおかしいのではないでしょうか。

 銀河英雄伝説第五巻(トクマノベルズ)P22下段19~P23上段6行

 国防委員長ウォルター・アイランズは、平和な時代にあってはヨブ・トリューニヒトの子分にあったにすぎず、しかも必ずしも信任あつい同志と看なされてはいなかった。トリューニヒトが彼を国防委員長の座につけていたのは、独裁者の出現を危惧した同盟の先人たちが、評議会議長と各委員会委員長との兼職を例外なく禁止し、法によって厳しくそれを定めたからである(後略)。

「ルドルフの出現防止の方法」については、一応のシステムを確立してはいたみたいです。まあ、ネグロポンティやアイランズみたいな露骨なトリューニヒトの子分が国防委員長という重要なポストを得ていたのでは、独裁者は出現しなくとも、健全な政治が行えたはずもないでしょうが。いずれにせよ、銀河連邦成立以前のシリウスと地球の紛争や、ルドルフによる思想弾圧などで民主主義のノウハウが部分的に失われ、それを補完していく段階である程度の民主主義のシステムや制度の変質があったという仮説は成り立つのではないでしょうか。

>  組織力があまり充実していなかったという点は同感です。彼らは結局、ゴールデンバウム王朝の専制支配に対して何も成しえず、ただ影に隠れて不平をならしていただけだったようですから、民衆の共感を得られなかったのは当然でしょう。
>  しかしそれと、
>
> <だから、彼らがゴールデンバウム朝の思想弾圧を逃れた禁書の優劣を見分け、新たな注釈を加えて後世に伝えていくなどという芸当が出来るとは思えず、精確な民主主義のシステムや理念が帝国内でひそかに継承され、発展していったとは考えにくいと思います。>
>
>  というのはちょっと結びつかないのではないでしょうか。
>  帝国内の共和主義者たちがまともな政治勢力たりえなかった理由は、民衆の共感が得られるような現実的な政治・戦略・謀略構想が全くできていなかったからであって、それと「禁書の優劣」というのは全く関係ないでしょう。むしろ、なまじ彼らが「優れた禁書」に従って民主主義の理想論を唱えすぎたがために、却って民衆から「現実遊離」と見られ、支持を失っていったのかもしれないではありませんか。
>  理論が優れているにもかかわらず現実の政治活動では無為無力、という事はよくあることです。特に帝国の場合は帝国政府と門閥貴族以外の内部勢力がまともな政治力や武力を持つ事は難しかったでしょうからね。帝国において共和主義勢力が台頭しなかった理由はそのあたりにあるのではないでしょうか。

 自分が言いたかったのは、「禁書を継承し、新たな解釈を加えるだけの能力と識見が帝国内の共和主義勢力にあっただろうか」という事だったのですが、なるほど、民主主義の理想論を唱えすぎたために民衆から支持されなかったというのはあるかも知れません。まあ、そもそも帝国内の共和主義勢力についての記述自体が至って少ないので、彼らについて論じるにしても限界がありますけど。
 あるいは、帝国内の優れた共和主義勢力の指導者達は、孫文やド・ゴールの様に自由惑星同盟やフェザーンに亡命し、そこで彼らは資金調達やコネクションを確立するなどの活動を行っていて、帝国内にはカリスマ性を持った人材が残っていなかったのかも知れません。

>  ヒルダのように異常なまでに傑出した人間観察眼を持っているような人間であればともかく、そこまで優れていない普通の凡人が「伝聞」だけでヤンの人柄や思想を精確に把握する事ができるのでしょうか? ましてや、ヤンは一般人には到底理解できないような様々な思想的矛盾を抱え込んでいるのですから、「伝聞」や「表面的な行動」などだけから普通の人間がヤンの人柄や思想を理解するのはほとんど不可能に近いのではないでしょうか。
>  それとヒルダは別にヤンと付き合っていく必要がなかったからこそ、比較的客観的にヤンを評価できたという事情もあるでしょうね。それに対して、レベロは立場上どうしてもヤンを意識せざるをえなかったし、「同盟を何が何でも存続させなければならない」という任務の重圧に押しつぶされそうになってもいましたから、それがヤンの評価を曇らせたということもあるかもしれません。

 七巻には、ヒルダ以外の帝国大本営の幕僚達も、ヒルダに及ばないにしてもヤンの行動限界をある程度把握していたとありますから、レベロも能力・識見的にはヤンの政治的な行動限界を把握する事は可能だったと思います。そう考えれば、やはり猜疑心がレベロにヤンの予想を上回る行動を取らせたのが要因と考えるのが妥当だと思うのですが。

>  まあ私の主張の眼目は「レベロがどのような理由でヤンを誤解していたにせよ、誤解があるのであればそれを是正していく義務がヤンにはあった」というものですから、「レベロがヤンを誤解した理由」というのはあまり重要な事ではないのですけど。

 仮にヤンが誤解を解こうとしたとして、果たしてレベロはそれによって誤解を解いたでしょうか。正直な所、「巨大な才能と功績と人望を兼ね備えた軍人」への猜疑心は、大部分の政治家にとって普遍的なものであり、それを消し去るのは不可能に近いのでは?まあ、ヤンに「自分がレベロにそこまで強い疑惑を抱かれるとは思っていなかった」という甘さがあったのは確かでしょうけど。

> <ヤンは高級軍人として政治家との信頼関係を築くべきだったという冒険風ライダーさんの主張は確かにそうだと思います。ですが、ヤンが政治家と距離を置くのは、極力政治に関わりたくないと言う心理と、政治家への子供めいた偏見が根強くあるので、おそらくはレベロやホワンとすらそういう関係を結ぶのは困難だったでしょう。ましてやトリューニヒトやその手下達となど(^^;)。>
>
>  全くその通りで、まさにそれだからこそヤンにシビリアン・コントロールを論じる資格などないわけです。単なる個人的感情で嫌いだからなどという理由で自分の軍人としての義務を怠り、その結果、同盟を滅亡に追いやる原因を作ってしまったわけなのですから。
>  それにしても、ヤンが本当にトリューニヒトを「危険人物」だと考えていたのならば、そのトリューニヒトを排除するためにもレベロやホワンと手を組むべきであったと思うのですけど。ヤンの「ケガレ思想」的な感情論はホントに救いようがないですね。
>
> <同盟の不幸は、その末期にレベロが元首に、レンネンカンプが高等弁務官に、ヤンが軍事的英雄に、ラインハルトが大帝国の皇帝にそれぞれなってしまった事でしょうが、さて、誰が最も同盟崩壊について責任があるのでしょうか(まあ、これは意見が分かれると思いますし、厳密に検討してもあまり意味はないと思いますが)。>
>
>  あの銀英伝6巻における暴走行為は、登場人物の誰が欠けても成立しようがなかったのですから、結果的に見れば「主要人物全てに責任がある」とか言いようがないですね。レベロの暴走行為にも、レンネンカンプの独走にも、ラインハルトの高等弁務官の人事と性格にも、その一局面においては責任が問えますが、決定打とはなりえまえんし。
>  ただ、その中で「ヤンの責任」というものにも結構重要な責任があるように思えるわけですよ。何しろ「ヤンに対するレベロの不信感」を破局レベルに至るまで放置し、しかも「事の発端(シビリアン・コントロールに背いてまでメルカッツ提督を逃がした事)」を作り上げたのは他ならぬヤン自身です。しかしヤンは同盟の滅亡の原因が自分にもあるという自覚も、自分の行動が実はシビリアン・コントロールに明白に背くものであったという自覚も全くなかったというのですからね。無責任ぶりもここまでくればいっそ見事なほどであると褒め称えるべきなのでしょうか。

 同盟におけるシビリアン・コントロールの定義云々をおいても、確かにヤンに帰せられる同盟崩壊の責任は大きいですね。ヤンは観察者願望や「国家は必ず滅ぶ」などの個人的な認識をを優先させ、高級軍人としての行動が徹底しませんでしたが、軍の要職についた人間がそういった認識にとらわれ過ぎては、他者に対して与える影響も大きいでしょう。ヤンはその点をあまり考慮していなかった様に思えますね。ヤンはやはり気質的に「気まぐれな芸術家」だったのでしょうか。

board2 - No.983

仮想・竜堂家の食卓

投稿者:優馬
2000年06月07日(水) 06時03分

優馬です。
私もちょっと「仮想」しようかと。
このあいだの「神の国」が好評でしたので、「仮想・竜堂家の食卓」シリーズということで、またやってみようかな、と(笑)。
ついては、「お題」をいただければ幸いです。
本家「創竜伝」の「社会時評」に、いかにも取り上げられそうなネタ、ありましたらお教えくださぃ。

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board2 - No.985

Re979/982:帝国の艦船建造の事情とヤンの責任問題

投稿者:冒険風ライダー
2000年06月07日(水) 10時42分

>Merkatzさん
<原作にはないですが、OVA版ではクラインゲルトという辺境の領主が出てきます。
領民のことを考える優しい領主で、民に慕われているのですが、
同盟の帝国領侵攻の前に民を苦しめたくないとの理由で早期に降伏します。
推測するにこのような「良き領主」というのは辺境には結構居たのではないでしょうか。
つまり、ゴールデンバウム朝の中枢は陰謀と腐敗が蔓延していたかもしれませんが、
そのような政治闘争とは縁の薄い辺境では、割合のんびりとしていたのではないでしょうか。
「圧政」とやらが広大な帝国領の隅々まで行き渡っていたのなら、
その不満は必ず共和主義者の支持となったはずです。
むしろ帝国全体としてはそこそこバランスのとれた体制であったからこそ、
民の不満もそれほど大きなものではなかったのではないでしょうか。>

 しかしリップシュタット戦役の時、平民階級は貴族階級に対して怒りを爆発させ、貴族に対する報復行為を行っていましたよね? それもひとつやふたつなどではなく、大々的に発生しています。いくらラインハルトの台頭によって自分達が貴族階級の支配から解放されるという事が見えてきていたからとはいえ、このような報復行為は平民階級が貴族階級の圧政と暴政にひたすら耐え忍んでいた事に対する潜在的な不満と憎しみを抱え込んでいたという、何よりの証拠なのではないでしょうか。何も怨みがなかったのであれば、貴族階級に対する報復行為など発生しようがないのですから。
 もちろん貴族階級の全てが圧政と暴政を展開していたわけではないでしょうが、善政を行っていた貴族というのは、全体の貴族の数から言えばかなりの少数派なのではないでしょうか。

 帝国内で共和主義者がなかなか台頭しなかった理由は、やはり彼らがラインハルトのような圧倒的な武力をもたず、明確な目的意識も、それを実現させる政治・戦略・謀略構想がまともに構築されていなかったため、平民が期待をかけようもなかったほどに弱小な勢力でしかなかったからなのではないでしょうか。特に「まともな武力を持てなかった」というのが一番大きかったのではないかと思います。
 何しろ宇宙艦隊を使って戦っているような時代ですからね。銀英伝のようなSF世界でまともな武力を持つためには、戦艦や駆逐艦などの艦船を建造するための資源と、それらを運用するためのノウハウが必要不可欠です。しかしそれらは帝国政府や門閥貴族にほとんど独占され、一般の平民には触れる機会すらめったになかったのです。これでは構造的にまともな武力を持つことすら難しいでしょう。
 アーレ・ハイネセンや彼らの同志達が自由惑星同盟を建国するのに成功したのも、巨大なドライアイスを使用した宇宙船建造などという奇抜なアイデアで上記の命題を克服したからです。そして彼らの場合は「酷寒のアルタイル第7惑星」という恵まれた条件もありましたから、そうでない惑星の住人がこれを真似る事は不可能だったのです。それに帝国当局も、この事件以降はさらに宇宙船の建造に厳しい規制をかけた事でしょうから、ますます共和主義者がまともな武力を持つ事が困難になったというわけです。
 このようなSF世界特有の事情によって彼らがまともな武力を持つ事ができず、しかもそれを打破するための明確な戦略構想を持つ事すらもできなかったために、平民階級は不満を抱きつつも仕方なく貴族階級に従わざるをえなかったのではないか、と考えるのですが、いかがでしょうか。

<むしろ帝国全体としてはそこそこバランスのとれた体制であったからこそ、
民の不満もそれほど大きなものではなかったのではないでしょうか。
門閥貴族の争いにしたって、民衆の生活に直接打撃を与えない限り、
「身分のお高い人がなんかやってるな」という程度のことでしかない。
「餓えさせないこと」という基本は出来ていたから、共和主義者の台頭する余地があまりなかったのではと思います。>

 しかし銀河帝国の人口は、銀河連邦崩壊から約500年の間に3000億→250億にまで減少していますよね? 9割以上も人口が激減しているのに、帝国政府や門閥貴族は善政の基礎である「餓えさせないこと」という項目をきちんと守っていたのでしょうか? アレだけ「門閥貴族は、平民を搾取の対象とか考えていない」といった描写ばかり見ていると、とても彼らが「下賎な平民」のための政治をやったとは思えないのですけど。
 まあ人口の激減については、出生率の低下や大量処刑という事情もあるのかもしれませんが。

>平松さん
<「ルドルフの出現防止の方法」については、一応のシステムを確立してはいたみたいです。まあ、ネグロポンティやアイランズみたいな露骨なトリューニヒトの子分が国防委員長という重要なポストを得ていたのでは、独裁者は出現しなくとも、健全な政治が行えたはずもないでしょうが。いずれにせよ、銀河連邦成立以前のシリウスと地球の紛争や、ルドルフによる思想弾圧などで民主主義のノウハウが部分的に失われ、それを補完していく段階である程度の民主主義のシステムや制度の変質があったという仮説は成り立つのではないでしょうか。>

 考えられない事はありませんが、しかしそれでも「チェックシステム」や「3権分立による相互牽制作用」といったものまで変わってしまったら、民主主義それ自体がまともに機能しなくなってしまうのではないかと思うのですけどね。民主主義の自浄作用が全く働かなくなってしまいますし。
 変質があるのならば、それに代わるシステムが現実においてどのように機能するかについて考えなければ話にならないのではないでしょうか。同盟のような政治システムでは、独裁者の誕生を未然に防ぎ、政府による国民の権利の侵害を防止するには不充分過ぎます。
 別に民主主義国家に限らず、権力というものは何重にもわたる「チェックシステム」と「相互牽制作用」がなければ暴走するものなのであって(ルドルフがその好例)、それがまともに機能していなかったからこそ同盟は破局に至ったのです。「権力とは常に暴走しやすいものであり、権力から国民を守るためのシステムを確立しなければならない」という認識を、同盟の建国者たちは持つ事ができなかったのでしょうか。

<あるいは、帝国内の優れた共和主義勢力の指導者達は、孫文やド・ゴールの様に自由惑星同盟やフェザーンに亡命し、そこで彼らは資金調達やコネクションを確立するなどの活動を行っていて、帝国内にはカリスマ性を持った人材が残っていなかったのかも知れません。>

 これについてはMerkatzさんの返答とダブりますのでそちらを見てもらいたいのですが、ひとつだけ聞きたい事があります。
 上記の解釈の場合、同盟やフェザーンが建国される前の帝国で、なぜ共和主義勢力が台頭しなかったのでしょうか?

<七巻には、ヒルダ以外の帝国大本営の幕僚達も、ヒルダに及ばないにしてもヤンの行動限界をある程度把握していたとありますから、レベロも能力・識見的にはヤンの政治的な行動限界を把握する事は可能だったと思います。そう考えれば、やはり猜疑心がレベロにヤンの予想を上回る行動を取らせたのが要因と考えるのが妥当だと思うのですが。>

 う~ん、ちょっと論点がズレてきていますね。
 私が言いたい事は「レベロがヤンを完全に理解していなかったから、ヤンを誤解していたのではないか」という事ですから、私はその「無理解の理由」というものを色々と挙げていたわけで、レベロの暴走がヤンに対する誤解と猜疑心に基づいていたという点に関しては異論はないのです。
 それに私が「レベロがヤンを理解していない」と言うその「理解」とは「政治的な行動限界」の事ではなく、「ヤンの思想や考え方」についてなんです。たとえばレベロは「ヤンが軍隊という職業を否定し、隠居生活にあこがれていた」という考え方を「理解」していたのでしょうか? またヤンがシビリアン・コントロールを頑迷なまでに守っていたその思想の原点を「理解」していたのでしょうか? ヤンのこういった思想や考え方をレベロがきちんと理解していたならば、ヤンに対する誤解と猜疑心はすくなくとも破局レベルに至るまで深刻なものにはならなかったでしょうし、それどころか、むしろヤンが描くような理想的な政治運営すらできたかもしれないのです。
 だからこそヤンは、レベロの自分に対する誤解を是正し、自分の思想や考え方を、すくなくともヤン・ファミリーの理解度の半分程度のレベルくらいは理解させる必要性が絶対にあったと考えるわけです。

<仮にヤンが誤解を解こうとしたとして、果たしてレベロはそれによって誤解を解いたでしょうか。正直な所、「巨大な才能と功績と人望を兼ね備えた軍人」への猜疑心は、大部分の政治家にとって普遍的なものであり、それを消し去るのは不可能に近いのでは?まあ、ヤンに「自分がレベロにそこまで強い疑惑を抱かれるとは思っていなかった」という甘さがあったのは確かでしょうけど。>

 もちろんすぐには無理でしょう。しかしもともと信頼関係というシロモノは一朝一夕に築けるものではありません。ましてや考え方や立場が違う人間であればなおの事です。
 だからこそヤンは、常日頃から政治家と信頼関係を築くための活動をしていなければならなかったわけです。どうしてもレベロがヤンを理解しないというのであれば、別に本心からの信頼関係でなくとも、「あいつを失うと自分が損をする」という利害によって結ばれた打算的な関係でも良かったわけですよ。それでもヤンのように不信の目を向けられているよりはるかにマシですから。
 そこまでやって、それでもレベロがヤンを理解せず、猜疑の目を向けるというのであれば、それはレベロがその程度の器量しか持っていなかったというだけの事です。色々と手を使って政治の座から追ってしまったほうが同盟のためでもあるでしょう。そしてホワン辺りを最高評議会議長に据えてしまえば良いのです。
 本気で「民主主義を擁護する」というのであればここまでやらなければ話になりません。ヤンにはそれを行うだけの覚悟もなければ努力も全くやっていないのですから、ヤンの政治的怠慢ぶりは批判されて然るべきなのではないでしょうか。

board2 - No.986

すごいですね

投稿者:かな
2000年06月07日(水) 12時16分

今日初めてこのHPを見つけました。
何だかすごいですね。
ツッこんで批判する為に本を買ってらっしゃる皆さんは
余裕があってうらやましいです。
本当に田中氏が大嫌いなんですか?それとも逆に
愛情の裏返しですか?

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