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投稿ログ59 (No.1009 - No.1015)

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board2 - No.1009

Re1007:政府と軍と共和主義運動

投稿者:平松重之
2000年06月11日(日) 18時51分

 冒険風ライダーさん

>  議会や言論界における多くの代弁者のために軍部の影響力が強かったのは否定しませんが、それでも軍部は地球政府の命令には従わなければならず、旧日本軍のような独走行為はできない立場にありました。実際、地球軍の植民地星系に対する弾圧は地球政府の命令によるものだったのですから、地球政府は充分に軍部を掣肘する事ができる立場にあったのです。
>  ですから、
>
> <地球軍は政府のコントロールから半ば離れた、「国家の中の国家」と化していたと言えるのではないでしょうか。>

>  というのはまず考えられません。地球政府の軍部に対するコントロール機能は失われてはいなかったと見るべきでしょう。

 自分は「半ば」軍部が政府のコントロールを離れていたのでは、と主張していたのであって、完全にコントロールを離れていたとは書いていません。軍部が政府の命令に従っていたというより、たまたま利害が一致していた結果に過ぎないと思えるのですが。そもそも、肥大化し続けている軍部を、果たして政府がいつまでも掣肘出来るものでしょうか?

>  しかしその結果、行政府が暴走してしまう可能性について考えなかったのでしょうか? 歴史的にも、アメリカのベトナム戦争では行政府が軍部に対して過剰な政治干渉を行っていた事が敗因の大きな理由のひとつとなりましたし、末期同盟においても似たような現象が見られました。いくら戦争遂行のために行政府の権限を強化したところで、それによって行政府が暴走した挙句に敗北してしまったら意味がないでしょう。「権力というものは暴走しやすいものである」という認識が同盟には必要であったはずです。
>  それにいくら戦争遂行のためとはいえ、それを理由に立法府の権限を無力に近いレベルにまで弱めたりしたら、それは議会制民主主義の否定に繋がってしまうではありませんか。「行政府のなすがままに」では帝国の専制政治を笑えませんよ。やはり立法府をきちんと機能させてこそ、民主主義国家としての存在意義があるのではないでしょうか。
>  もし同盟において議会の勢力が強かったならば、あるいは選挙目的で出兵を決定した帝国領侵攻作戦のような愚行を事前に防ぐ事ができたのかもしれないのですが、これでも立法府が行政府に歯止めをかけることは無用であるというのでしょうか?

 まああくまで非常の策、という事です。まさか150年も戦いが続くとは思っていなかったので、政治的な倦怠感や腐敗が深刻な域になる前に帝国を打倒出来ると考えていた故なのではないかとも思われます(苦しい)。まあ150年経過した時点で、何らかの改革を講じるべきだったのでしょうけど、トリューニヒトが自分にとって都合の悪い改革案(議会の権限を強める等)を推進するはずもないですし。

>  帝国と同盟の最初の大規模な会戦となったダゴン星域会戦で同盟が勝利した後、次のような記述があります。
>
> 銀英伝1巻 P17下段
> <自由惑星同盟にとっては、これが量的な膨張のきっかけとなった。帝国内に対抗する独立勢力の存在を知った帝国内の異分子たちが、安住の地を求めて大量に逃亡し、流れこんできたからである。ルドルフ大帝の死後三世紀を経て、さしも強固だった体制のたがもゆるみ、弾圧に狂奔した社会秩序維持局の威光も薄れて、帝国内には不満の声が高まっていたのだ。>
>
>  このような記述があるのですから、銀河帝国の共和主義者たちが大量に同盟に流れていった事は間違いないでしょう。
>  それに帝国内で民主運動をしたところで、待っているものは密告と弾圧だけなのですから、亡命に際して「帝国に対する愛着」なんて何の妨害にもならない思うのですけど。

 自分が主張していたのは「たがが緩んでいた帝国後期にどうして共和主義者が台頭し得なかったのか」という事についてなのですが、同盟の存在が認知されて以後、共和主義者達が大量に同盟領に流入出来た期間は、それほど長くはなかったのではないかと思われます。時間が経てば亡命を阻止する為のシステムを構築してくるでしょうし、イゼルローン回廊及びフェザーン回廊を集中して監視さえしていれば効率もよく、亡命の成功率は不可能とまでいかなくともかなり低くなるでしょう。となれば、亡命にはある程度の資金やコネも必要になってくるはずです。それを考えれば、帝国後期において帝国内の共和主義運動家が「大量に」同盟に流れ込んだという事はありえないと思うのですが。まあ、リーダーシップを持った有能な運動家は資金もコネもある程度有しているでしょうから、それを利して同盟内に流れていったとも考えられます。かくして、後期の帝国内の共和主義勢力は量はともかく質的には劣弱だったのかもしれません。また、中には郷土愛などで頑固に帝国内での運動に固執する運動家もいるでしょう。「かつて銀河連邦が存在した場所で運動する事に意義がある」という主張も一概には否定できませんし。

>  「ジークマイスターとミヒャールゼンによるスパイ網」というのは帝国政府内部に対するもので、帝国国内の共和主義者と連携を組んだものではありません。

 ミヒャールゼンはともかく、ジークマイスターは共和主義者なのではないでしょうか?それと彼が作ったスパイ網には同じ思想を持った同志もいたでしょうし、その意味で帝国国内の共和主義者との連携と言えるのではないかと思ったのですが。

>  帝国内には同盟に呼応するような内部勢力もいませんでしたし、同盟政府がそれを作ろうとした形跡も全くありませんから、結局同盟はそのような内部工作は行っていなかったのでしょう。呼応する内部勢力としては、別に共和主義者でなくとも、帝国の支配に反感をもつ傍流系の貴族などでも良かったのですが。
>  「敵の中に味方をつくる」というのは諜報・謀略構想の基礎中の基礎なのですけど、何で同盟はこの政治手法を使わなかったのでしょうか?

 ローゼンリッター連隊などは「亡命者の子弟」で構成されたという事を政治宣伝に使われていましたね。これも帝国の将兵に動揺を与える為の謀略と言えるのかも知れません。

>  しかし当時の同盟は帝国から一応の地位を保全されているとはいえ、いつ帝国に口実つけられて滅ぼされてもおかしくない立場にあり、国家体制が磐石なものであったとは到底言えない状態にあったはずです。そんな状況下で「ヤンが軍人として不必要であった」などということがありえるのでしょうか? それどころか、ヤンを殺してしまったら帝国が喜んで同盟併合に乗り出す可能性すらあるではありませんか。何しろ同盟併合を妨害すると見られる軍事的脅威のひとつが消滅してしまうのですから。

 同盟政府が真にヤンを必要だと思っていたならば、退職届を却下したはずです(現に一度却下されている)。帝国にヤンを売り渡そうとした政治家達は同盟の滅亡は必至と考えてヤンを「商品」扱いしましたし、彼らの密告を信じた(がっていた)レンネンカンプはヤンの逮捕を同盟政府に「勧告」しています。レベロはこの「勧告」はラインハルトの意思だとと信じ込み、受け入れなければ帝国に口実を与える事になる、と考えたわけです。つまる所、レンネンカンプの独断がレベロを追い詰め、ヤンを切り捨てる決断を下させたという事でしょう。レベロは「ヤンを排除しなければ帝国に口実を与える」とレンネンカンプの勧告によって思い込まされ、逆に言えばそれを受け入れさえすれば帝国に口実を与えないですむ、この場合は帝国の要求(実はレンネンカンプの独断)を受け入れ、ヤンを排除しよう、と考えたのでは?そうなれば、ラインハルトの気質では有力な敵がいなくなれば却って戦闘意欲を削がれるでしょうし、明確な大義名分がなければ彼は武力の行使をためらったでしょうから、ヤンの死についてレンネンカンプに責任が帰されるとすれば、彼の勧告を受け入れざるを得なかった弱い立場の同盟に強く責任を求める事も出来なかったでしょう。

>  ここでヤンを殺してしまったら却って逆効果になってしまう。その程度の発想すらレベロにはなかったというのでしょうか? だとしたら、レベロは能力・識見的に見ても政治家としては失格ですね。政治家には「柔軟な発想」が必要不可欠なのですから。

「ヤンを逮捕せよ」というレンネンカンプの勧告のせいで、レベロがヤンを排除する決断を下させられた訳ですから、「ここでヤンを殺してしまったら却って逆効果になってしまう」という発想は無意味なのでは?
「ここでヤンを排除しなければ帝国に口実を与えてしまう」という考えが、レベロを動かしていたのですし。問題なのは、レベロがレンネンカンプのいう事をそのまま信じてしまった事ですね。仮にも一国の元首なのですから、ラインハルトと超光速通信で会談をすればラインハルトはレンネンカンプの独走に気づき、レンネンカンプは更迭され全ては丸く治まったかもしれません。

>  上でも言いましたけど「危険だから排除する」なんて考え方自体がそもそも「危険な発想」なのですよ。排除される方にしてみれば「殺られる前に殺る」という考えにいきつくのはむしろ自然な事なのですから。あの当時の同盟の政治情勢下において、そのような内戦が発生する事がどれほど危険な事であったのかについて、レベロは考える事がなかったのでしょうか。
>  だいたい民主主義国家におけるシビリアン・コントロールの意義にしたって「危険な軍隊をいかにしてコントロールするか」ということにあるのですから、レベロのヤン排除の発想はとても民主主義国家における政治家の考え方とは思えません。これから見てもレベロは政治家失格でしょう。

 上にも書いた通り、レンネンカンプの勧告(脅迫)が、ヤンを排除する決断をさせたわけです(それまでは監視するまでにとどめていました。おそらくはこの監視自体に威圧の意味があったのだと思いますが)。ですから、好む好まないに関わらず、レベロはヤンを排除しなくてはならない、との認識にとらわれていたのでしょう。

> >共和主義者の問題
>
>  これはMerkatzさん、平松さん共に結構理のある意見を出されていますから、それらと私の意見とを全てまとめて、次のような説を作ってみました。
>
> <ルドルフの皇帝即位に伴う銀河連邦崩壊以来、その復活を願う共和主義者達は、ルドルフ崩御と同時に大同団結して帝国を打倒するための大規模な叛乱を起こした。しかしバルトバッフェル公ステファンを中心とする帝国は共和主義者の楽観的観測よりもはるかに強大で、叛乱は完全に鎮圧され、5億余人の叛乱参加者が殺され、その家族など100億人以上が農奴階級に落とされた。この失敗が民衆に与えた心理的効果は大きく、また武力の大部分をこの叛乱で失ってしまった共和主義者達は、その後の帝国が艦船建造の資源とノウハウを独占したために武力の再編を不可能にされてしまい、小規模な地下活動程度のレベルでしか活動できなくなってしまった。
>  共和主義者達は何とかして帝国に対する反撃を画策するのだが、ジギスムント痴愚帝やアウグスト流血帝などの暴政につけこもうにも、手元に武力がない状態ではまず軍事力の充実から始めなければならず、さらにようやく軍事力結集のメドが立ったあたりで帝国の皇族による簒奪によって暴政が鎮静化され、それにともなって民衆の共和主義者に対する期待感も薄れていき、運動も自然消滅するというパターンを何回も繰り返すことになった。
>  また帝国の内部攪乱に訴えようとしても、当時の帝国軍の将官クラスの高官達は全てが貴族階級で構成されており、彼らがゴールデンバウム王朝崩壊の企てに荷担するはずもなく、逆に彼ら自身が苛烈な弾圧を受けるありさまだった(ちなみに帝国軍の将官クラスの高官に平民出身者が多く出現するようになるのは宇宙歴745年、第二次ティアマト会戦によって多数の帝国軍将官が戦死し、深刻な士官の欠乏現象が生じて以降)。
>  そんな中で、アーレ・ハイネセンをはじめとする共和主義者達が宇宙船建造の難問をクリアし、50年にわたる「長征一万光年(ロンゲスト・マーチ)」の末、宇宙歴527年に自由惑星同盟を建国。それから100年以上経過した宇宙歴640年、同盟はダゴン星域会戦による大勝利を収め、帝国に対抗できる民主共和勢力としての地位を確保した。その結果、帝国の支配に不満を持っていた民衆や共和主義者たちが大量に同盟に流入し、同盟は量的に膨張していく事になる。
>  特に共和主義者たちは、帝国内にいてもまともな武力が確立できない状態で自滅的な民主運動を続けるしかないため、先を争って同盟になだれ込んで行った。そのため、帝国内には同盟に亡命する行動力も財力もない共和主義者しか残らず、極めて皮肉な形で、帝国における有望な共和主義者たちはほとんど一掃される事になったのである。>

>
>  共和主義者が台頭しなかった理由としてはこんなところでしょうか。またフェザーン回廊の発見とフェザーンの建国もこの時の副産物でしょう。同盟へ亡命者を輸送していく仕事は、結構儲かる商売になったはずですから。

 内容には関係ありませんが、上のバルトバッフェル公ステファンというのはノイエ・シュタウフェン公ヨアヒムの間違いでしょう(バルトバッフェル侯(公ではない)ステファンは「敗軍帝」フリードリヒ三世の弟で、ダゴン星域会戦の作戦会議で出兵に反対して忌避を買い、不遇な晩年を過ごした人物)。それはさておき、帝国の共和主義勢力は帝国軍の実戦部隊内部にシンパを作らなかったのでしょうか。民衆革命は正規軍を味方につけない限り成功するものではないのですが(正規軍を味方につけたフランス革命、ロシア革命などは成功し、ほとんどが民衆のみで構成されたパリ・コミューンは正規軍によって鎮圧されています)。

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board2 - No.1010

Re1009:レベロの同盟に対する背信行為とその他

投稿者:冒険風ライダー
2000年06月12日(月) 09時44分

<自分は「半ば」軍部が政府のコントロールを離れていたのでは、と主張していたのであって、完全にコントロールを離れていたとは書いていません。軍部が政府の命令に従っていたというより、たまたま利害が一致していた結果に過ぎないと思えるのですが。そもそも、肥大化し続けている軍部を、果たして政府がいつまでも掣肘出来るものでしょうか?>

 それでも軍部は一応政府の命令下にあったのですから掣肘は充分に可能です。それを無視して彼らが政府に対してクーデターを起こしたり、政府に無用の圧力をかけたりしたところで国民の支持はまず得られないでしょう。政府がよほど人望を失っていない限りは。
 それに政府や議会にとっても、軍隊を増強する事によって地球資本の権益を擁護する事の方が重要であり、また植民地星系に対する蔑視感も手伝って、軍部の軍縮にはあまり熱心ではなかったのではないでしょうか。あるいは地球資本側から「自分達を守るための軍備を増強せよ」という圧力でもかかっていたのかもしれません。植民地星系に対してかなりの搾取を行っている地球資本は当然の事ながら植民地星系の住民の恨みを買っていますから、自分達の安全のためにも地球軍の庇護は欲しかったでしょうし。
 いずれにせよ、当時の地球政府が抱いていた地球資本権益擁護と植民地星系蔑視思想が、シビリアン・コントロールの過程で軍部に対する判断を狂わせたという事はあるかもしれませんが、地球軍の暴虐はあくまでも地球政府の命令によるものであり、暴虐行為もその命令の範囲内で起こったものですから、政府が軍部をコントロールできていなかったという事はありえないでしょう(健全なシビリアン・コントロールであったかどうかは疑問ですが)。その点、中央政府の命令なしで独走ばかりやっていた旧日本軍などとは違うのではないでしょうか。

<まああくまで非常の策、という事です。まさか150年も戦いが続くとは思っていなかったので、政治的な倦怠感や腐敗が深刻な域になる前に帝国を打倒出来ると考えていた故なのではないかとも思われます(苦しい)。まあ150年経過した時点で、何らかの改革を講じるべきだったのでしょうけど、トリューニヒトが自分にとって都合の悪い改革案(議会の権限を強める等)を推進するはずもないですし。>

 いえ、同盟の建国者やその子孫達も、短期間で帝国を打倒できるとは全く考えていませんでした。むしろ彼らは帝国との国力差を自覚した上での専守防衛的な政治・戦略構想を視野に入れています。ハイネセン亡き後にその意思を引き継いだグエン・キム・ホアもそういう考えを持っていましたし、ダゴン星域会戦当時における同盟政府首脳部もまた帝国との戦争が長期化する事を予見していました(銀河英雄伝説読本・ダゴン星域会戦記)。それならば専守防衛のための政治システムを作成してしまえば良いだけの事で、別に行政府が強大な権限を持って指揮しなければならないという事はありません。
 だから同盟における行政権力の強大化が「非常の策」ということはありえないのでは?

<同盟の存在が認知されて以後、共和主義者達が大量に同盟領に流入出来た期間は、それほど長くはなかったのではないかと思われます。時間が経てば亡命を阻止する為のシステムを構築してくるでしょうし、イゼルローン回廊及びフェザーン回廊を集中して監視さえしていれば効率もよく、亡命の成功率は不可能とまでいかなくともかなり低くなるでしょう。となれば、亡命にはある程度の資金やコネも必要になってくるはずです。それを考えれば、帝国後期において帝国内の共和主義運動家が「大量に」同盟に流れ込んだという事はありえないと思うのですが。まあ、リーダーシップを持った有能な運動家は資金もコネもある程度有しているでしょうから、それを利して同盟内に流れていったとも考えられます。かくして、後期の帝国内の共和主義勢力は量はともかく質的には劣弱だったのかもしれません。また、中には郷土愛などで頑固に帝国内での運動に固執する運動家もいるでしょう。「かつて銀河連邦が存在した場所で運動する事に意義がある」という主張も一概には否定できませんし。>

 実はこれもまたSF世界特有の艦船事情で説明は可能です。
 帝国から自由惑星同盟に亡命するとなれば、当然ながら宇宙艦船を使用する事になるのですが、その際に大量の亡命者を乗せ、その全て(もしくは組織)から亡命費用を徴収すれば、かなり安い費用で同盟への亡命は可能です。むしろ「大量に亡命」ということになれば、却って亡命にかかるコストパフォーマンス(費用対効果)は上昇し、亡命が安い費用で実現できるようになるのです。費用や居住環境にもよりますが、宇宙艦船1隻の1回の往復でおよそ500~1000人の輸送が可能でしょう。何十隻かで船団を組んだりすればさらに1回あたりの輸送量は増大します。
 そしてそれを規制しようにも、現実問題として全ての艦船の行動を把握する事は不可能ですし、全ての輸送船の積荷を検査するというわけにもいきません。また輸送側も当然帝国の臨検などは予想できますから、亡命者を帝国の臨検から守るための対策は当然色々と考えている事でしょう(そうでないと商売にならない)。現にフェザーンには亡命者を輸送するためのプロもいたようですし。
 ましてや、ダゴン星域会戦の敗北が帝国の民衆と共和主義者に与えた影響はかなりのものであったと考えられますから、同盟に亡命したがった人間がかなりの数いた事は確実ですし、そしてそのような莫大な需要に支えられていた「亡命者輸送業」が莫大な利益をもたらすものであった事は間違いないでしょう。儲かる商売には必ず誰かが手をつけるものです。
 数が多ければ多いほど費用は却って安くなるというのは経済の基本中の基本です。大量の亡命者の問題もこれで簡単に説明できるのではないでしょうか。

<ミヒャールゼンはともかく、ジークマイスターは共和主義者なのではないでしょうか?それと彼が作ったスパイ網には同じ思想を持った同志もいたでしょうし、その意味で帝国国内の共和主義者との連携と言えるのではないかと思ったのですが。>

 「共和主義者との連携」というと、私は「反体制的な帝国政府外部の共和主義者」というものを思い浮かべるのですが。銀英伝においても「共和主義者」という言葉はそのように使われていましたし。
 「帝国政府内部の共和主義者」というのは、帝国では「開明派」と呼ばれているようです。どちらかといえば「穏健的」なもので、オイゲン・リヒターやカール・ブラッケなどがそれにあたります。そして彼らのような人間でさえ、ミヒャールゼンのような「帝国政府の要職」には、ラインハルトが台頭するまではつけなかったのですから、あの帝国中枢部に対するスパイ網をもって「帝国国内の共和主義者との連携」とは言えないのではないかと思うのですが。

>レベロとヤンの関係

 やはり出してきましたか、レンネンカンプのヤン逮捕要請の件を。実は私に言わせれば、これに対するレベロの対処法こそが「同盟の国家保全」の観点から見ても全く逆効果にしか見えないのですが。
 ではいくつか理由をあげて説明してみましょう。

 まず、レベロはレンネンカンプのヤン逮捕要請が「バーラトの和約」の条文にすら明らかに背いている事に気づいていません。「バーラトの和約」に記載されている条文の第7条に高等弁務官に関する条項があるのですが、その中でさえ、
「帝国は同盟首都ハイネセンに高等弁務官府を設置し、これを警備する軍隊を駐留せしめる権利を有する。高等弁務官は帝国主権者(皇帝)の代理として同盟政府と折衝・協議し、さらに同盟政府の諸会議を傍聴する資格を与えられる」
としか記載されていません。つまり条文を素直に読むと、すくなくとも表面的には帝国の高等弁務官が同盟の内政に干渉する権限はないと解釈できるのです。「同盟政府の諸会議を傍聴する資格を与えられる」といっても、実のところただ単に傍聴しているだけで、別に意見を言う事ができる権限が与えられているわけではありません。もちろん、あくまでも表面的な話ではあるのですが、この「表面的」というのが以外と政治の世界では重要なのです。
 だからレンネンカンプの同盟政府に対するヤン逮捕要請は「バーラトの和約」ですら何ら規定されていない同盟への露骨な内政干渉行為を行った事になり、「バーラトの和約」第7条に明白に違反した行為なのです。「バーラトの和約」は同盟に圧倒的に不利な不平等条約であるとはいえ、その条文内容は当然ながら帝国も守らなければなりません。レベロはまずこの点を突くべきだったのです。

 次にそのレンネンカンプの行動がラインハルトの意思であるのかを明確に確認する必要があります。これは仮に同盟の国家保全のためにヤンを逮捕するつもりだったとしても絶対に必要な事項です。
 というのも、ここでラインハルトの意思を確認し、かつ明確な記録を残しておかないと、いざという時に
「あのヤン逮捕要請はレンネンカンプひとりの独断によるものであり、帝国政府と皇帝のあずかり知らぬ事である」
としらを切られてしまい、ヤン逮捕の全責任をレンネンカンプと同盟政府が負わなければならなくなってしまうからです。帝国政府と皇帝もヤン逮捕要請の共犯にしなければ、却って帝国政府がヤン逮捕を口実にして攻めこんでくる可能性すら考えられるのです。最悪の場合、
「レンネンカンプと同盟政府は共謀して『バーラトの和約』に背き、せっかく築かれつつあった平和と秩序を乱した。よって両者共叛逆者とみなし討伐する」
などというムチャクチャな口実をつけられて攻めこまれる可能性だってあるのです。帝国にしてみれば、同盟に攻めこむ口実なんて何でも良いわけですから。同盟が併合できるのならば、たかがレンネンカンプ一人の命なんて安いものでしょう。そんな事にならないためにも、帝国政府とラインハルトの意思を明確な証拠つきで確認し、いざという時のための言質をとっておかなければならないのです。
 にもかかわらず、レベロは早とちりしたあげく、確認すら取らずにさっさとヤン逮捕に乗り出したのですから、その短慮かつ無思慮な思考法はホントにどうしようもないですね。それが却って民衆の感情に訴えやすく、帝国介入の口実になりやすいとは考えなかったのでしょうか。

 さらに、ヤンを本気になって逮捕しようというのであれば合法的に証拠を集めて逮捕しなければならないではありませんか。さもなければ帝国の介入は防げたとしても、同盟市民の信望を失ってしまう事になりかねませんし、最悪の場合、帝国がその「非合法性」に訴えて同盟に侵攻してくる可能性さえあります。現にラインハルトが同盟を再侵攻する口実のひとつに「ヤンに対する非合法的な逮捕」があったのですから。
 ヤンを合法的に逮捕するのは実はそんなに難しい事ではありません。ヤンはバーミリオン会戦後、戦艦・燃料・食糧・人員を隠蔽して逃し、偽の記録を同盟政府に報告しています。その記録がウソであること、具体的にはその偽の記録の中にある破壊された戦艦や戦死者たちがバーミリオン会戦後も存在していた事を立証すれば良いのです。捜査方法としては、「バーラトの和約」第5条に基づいて大々的に戦艦と宇宙空母を破壊すると秘密裏に、しかしいずれ分かるように宣伝してメルカッツ提督達をおびき出し、偽の記録に載っている乗員一人以上(生死は問わなくても良い)か戦艦一隻以上を拿捕すれば良いだけです(証言も引き出せばさらに効果大)。それでヤンを逮捕する証拠としては完璧です。
 罪状はバーミリオン会戦時における無条件停戦命令違反・国家資産の処分に関する職権濫用・背任横領罪・公文書偽造罪が適用可能です。別に事後法たる「反和平活動防止法」なんて使う必要もありません。
 本気で同盟を守るためにヤンを逮捕しようと思うのならば、もっと良い手段がいくらでもあったにもかかわらず、わざわざ事後法を使って、しかもロクに証拠もそろえずにヤン逮捕を実行するとは一体どういうことなのでしょうかね。合法的に逮捕してすら国民や帝国政府の同盟に対する目は相当に厳しいものになるだろうに、非合法的に逮捕してしまったとあっては弁護の余地がないとしか言いようがないのですけど。

 最後に、これはちょっと考えればすぐに分かる事だと思うのですが、ヤン逮捕によってヤンを仰ぐ過激派(これはヤン・ファミリーの事ですけど)がヤンを奪還しようと考え、同盟を内戦状態に陥れる可能性を少しでも考えていたのでしょうか? 実はこれこそが帝国の介入を招きかねない最大の要素なのですけど。
 ヤンが同盟市民から相当な期待をかけられていたという事は、視野狭窄に陥っていたはずのレベロですら考えついた事です。にもかかわらず、レベロがヤン逮捕によってそのような事態が発生する可能性について全く考慮していなかったというのはすこしおかしいのではないでしょうか。暴発する可能性で言えば、ヤンのような自縄自縛な思考法がない分、彼らの方が余程危険ではありませんか。
 にもかかわらず、レベロに彼らに対する備えがあったとは到底思えないのですけど。

 このような観点から見ると、レベロがレンネンカンプの独断的な命令に従ってヤン逮捕を決断した手法は、どう考えても同盟の国家保全というレベロの最高目標にも合致しないどころか、却って逆効果であるとすら言えるわけです。
 レンネンカンプがレベロにヤン逮捕を命じたとしても、そこから機転を利かせる余地はまだいくらでもあったのです。「バーラトの和約」ですら利用できたのですし。にもかかわらず、あのムチャクチャなヤン逮捕を決断した原因に、やはりヤンに対する不信感がかなりあったのではないだろうかと考えるわけです。まあレンネンカンプの恫喝によって冷静な判断力を失い、視野狭窄症になっていたのもあったのかもしれませんけど。

>共和主義者の問題

 まず、御指摘の通り、
×バルトバッフェル公ステファン ―→ ○ノイエ・シュタウフェン公ヨアヒム
ですね。これはこちらの間違いでした。お詫びして訂正いたしますm(__)m
 それと、

<帝国の共和主義勢力は帝国軍の実戦部隊内部にシンパを作らなかったのでしょうか。民衆革命は正規軍を味方につけない限り成功するものではないのですが(正規軍を味方につけたフランス革命、ロシア革命などは成功し、ほとんどが民衆のみで構成されたパリ・コミューンは正規軍によって鎮圧されています)。>

 については、私なりに理由を考えて書いていますから、そちらを読んでみてください(第二次ティアマト会戦の説明の辺りです)。それなりに筋の通った理由であるとは思うのですが。

board2 - No.1011

新掲示板過去ログ・公開のお知らせ

投稿者:冒険風ライダー
2000年06月12日(月) 09時46分

 今回、掲示板の新規参加者に掲示板の過去の論争や経緯などを理解してもらうために、「田中芳樹を撃つ!掲示板」および「ノイエ・ラント・Light Board掲示板」における過去ログを収録したHP「過去ログ資料館」を開設致しました。
URLはこちらです↓
ttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/5814/

 「田中芳樹を撃つ!掲示板」の過去ログは、去年10月の新掲示板開設以降の全ての投稿を「時間表示順形式」で10投稿おきに保存したものであり、「ノイエ・ラント・Light Board掲示板」の方は、掲示板開設以来投稿されたもの全て(少し抜けているところがありますが(^^;;))を保存したものです。
 過去ログは全て「田中芳樹を撃つ!」の旧掲示板過去ログと同じLZH圧縮によるダウンロード方式を採用しており、また解凍・圧縮ソフトを持っていないという方のために、ソフトがダウンロードできるページへのリンクも御用意致しております。
 過去ログはかつて保存したものをそのまま使用しており、特に編集は行っておりません(自分の投稿で特に見づらかった表などはHTMLタグを使って少し見やすくしましたが)。そのためリンクやCGIなどもそのままになってしまっていますが(^^;)、これはご了承くださいますようお願い申し上げます。
 今後の両掲示板における過去ログ編集はこちらで行っていく方針です。

PS.
 なお、このHPの開設目的はあくまでも「過去ログの保存と公開」にあり、それ以外の企画は何もするつもりがないことを特に付記しておきます。

親記事No.1011スレッドの返信投稿
board2 - No.1012

Re: 新掲示板過去ログ・公開のお知らせ

投稿者:しんご
2000年06月12日(月) 14時35分

どうもありがとうございます。
今年になってからROMを開始した私にとっては待望の過去ログ集です。とても嬉しく思います。

ご努力に感謝いたします。

親記事No.1011スレッドの返信投稿
board2 - No.1013

Re: 新掲示板過去ログ・公開のお知らせ

投稿者:本ページ管理人
2000年06月12日(月) 15時21分

 掲示板のログ公開、本当にありがとうございます。
 出来るだけ近いうちにメインのサイトからリンクを張るようにしますので、よろしくお願いします。

親記事No.906スレッドの返信投稿
board2 - No.1014

Re1010:過去と現在の軍部と政府

投稿者:平松重之
2000年06月12日(月) 18時28分

冒険風ライダーさん

> <自分は「半ば」軍部が政府のコントロールを離れていたのでは、と主張していたのであって、完全にコントロールを離れていたとは書いていません。軍部が政府の命令に従っていたというより、たまたま利害が一致していた結果に過ぎないと思えるのですが。そもそも、肥大化し続けている軍部を、果たして政府がいつまでも掣肘出来るものでしょうか?>
>
>  それでも軍部は一応政府の命令下にあったのですから掣肘は充分に可能です。それを無視して彼らが政府に対してクーデターを起こしたり、政府に無用の圧力をかけたりしたところで国民の支持はまず得られないでしょう。政府がよほど人望を失っていない限りは。
>  それに政府や議会にとっても、軍隊を増強する事によって地球資本の権益を擁護する事の方が重要であり、また植民地星系に対する蔑視感も手伝って、軍部の軍縮にはあまり熱心ではなかったのではないでしょうか。あるいは地球資本側から「自分達を守るための軍備を増強せよ」という圧力でもかかっていたのかもしれません。植民地星系に対してかなりの搾取を行っている地球資本は当然の事ながら植民地星系の住民の恨みを買っていますから、自分達の安全のためにも地球軍の庇護は欲しかったでしょうし。
>  いずれにせよ、当時の地球政府が抱いていた地球資本権益擁護と植民地星系蔑視思想が、シビリアン・コントロールの過程で軍部に対する判断を狂わせたという事はあるかもしれませんが、地球軍の暴虐はあくまでも地球政府の命令によるものであり、暴虐行為もその命令の範囲内で起こったものですから、政府が軍部をコントロールできていなかったという事はありえないでしょう(健全なシビリアン・コントロールであったかどうかは疑問ですが)。その点、中央政府の命令なしで独走ばかりやっていた旧日本軍などとは違うのではないでしょうか。

 六巻を読んだ限りではどうも地球軍の暴虐に関しては地球政府の影が薄かったものですから、地球軍の独走であるとイメージがぬぐえなかったので前のように書いたのですが、どうも読み返してみても地球政府と地球軍の力関係が今一つつかめませんね。

>  いえ、同盟の建国者やその子孫達も、短期間で帝国を打倒できるとは全く考えていませんでした。むしろ彼らは帝国との国力差を自覚した上での専守防衛的な政治・戦略構想を視野に入れています。ハイネセン亡き後にその意思を引き継いだグエン・キム・ホアもそういう考えを持っていましたし、ダゴン星域会戦当時における同盟政府首脳部もまた帝国との戦争が長期化する事を予見していました(銀河英雄伝説読本・ダゴン星域会戦記)。それならば専守防衛のための政治システムを作成してしまえば良いだけの事で、別に行政府が強大な権限を持って指揮しなければならないという事はありません。
>  だから同盟における行政権力の強大化が「非常の策」ということはありえないのでは?

 なるほど。では立法府の権限は、やはりごく最近に同盟の体制が「挙国一致」になった事で弱められたという事なのでしょうか。イゼルローン要塞の建設により国民が危機感を煽られた為とも考えられますね。

>  実はこれもまたSF世界特有の艦船事情で説明は可能です。
>  帝国から自由惑星同盟に亡命するとなれば、当然ながら宇宙艦船を使用する事になるのですが、その際に大量の亡命者を乗せ、その全て(もしくは組織)から亡命費用を徴収すれば、かなり安い費用で同盟への亡命は可能です。むしろ「大量に亡命」ということになれば、却って亡命にかかるコストパフォーマンス(費用対効果)は上昇し、亡命が安い費用で実現できるようになるのです。費用や居住環境にもよりますが、宇宙艦船1隻の1回の往復でおよそ500~1000人の輸送が可能でしょう。何十隻かで船団を組んだりすればさらに1回あたりの輸送量は増大します。
>  そしてそれを規制しようにも、現実問題として全ての艦船の行動を把握する事は不可能ですし、全ての輸送船の積荷を検査するというわけにもいきません。また輸送側も当然帝国の臨検などは予想できますから、亡命者を帝国の臨検から守るための対策は当然色々と考えている事でしょう(そうでないと商売にならない)。現にフェザーンには亡命者を輸送するためのプロもいたようですし。
>  ましてや、ダゴン星域会戦の敗北が帝国の民衆と共和主義者に与えた影響はかなりのものであったと考えられますから、同盟に亡命したがった人間がかなりの数いた事は確実ですし、そしてそのような莫大な需要に支えられていた「亡命者輸送業」が莫大な利益をもたらすものであった事は間違いないでしょう。儲かる商売には必ず誰かが手をつけるものです。
>  数が多ければ多いほど費用は却って安くなるというのは経済の基本中の基本です。大量の亡命者の問題もこれで簡単に説明できるのではないでしょうか。

 ですが、いくらなんでも100人~1000人単位の亡命者を乗せた船が横行すれば、帝国政府は当然フェザーン自治政府に対して規制するように圧力をかけるでしょう。自治政府としてはそれを少なくとも表面的には受け入れてある程度の規制や罰則を制定せざるを得ないはずです。また、五巻(トクマノベルズ)のP124には、30隻の船から200人を越す非合法の客が「神々の黄昏」作戦でフェザーンを占拠していた帝国軍に拘束されたとあり、1隻あたりに密かに乗せられる人数には限度があると思われます。船を動かす乗組員以外の余剰人員が500~1000人を超えるとなると、かなり大きな客船でもない限り不自然でしょうし、それらの客の素性を書類操作や賄賂・演技でごまかすにしても、その様な事が度重なれば不審の目を向けられるのは確実です。500~1000人も亡命者を無事に輸送し続けるのは無理があるのでは?

> 「共和主義者との連携」というと、私は「反体制的な帝国政府外部の共和主義者」というものを思い浮かべるのですが。銀英伝においても「共和主義者」という言葉はそのように使われていましたし。
> 「帝国政府内部の共和主義者」というのは、帝国では「開明派」と呼ばれているようです。どちらかといえば「穏健的」なもので、オイゲン・リヒターやカール・ブラッケなどがそれにあたります。そして彼らのような人間でさえ、ミヒャールゼンのような「帝国政府の要職」には、ラインハルトが台頭するまではつけなかったのですから、あの帝国中枢部に対するスパイ網をもって「帝国国内の共和主義者との連携」とは言えないのではないかと思うのですが。

 ブラッケやリヒターは開明派(門閥貴族から見れば非体制派?)でしたが、それはあくまで「君主制」の上での事ではなかったでしょうか。穏健的ではあっても共和主義の思想を声高に叫んでは社会秩序維持局が黙っているはずはないですし。おそらく彼らはゴールデンバウム朝の当時は「専制君主制」から「立憲君主制」への移行や民衆に有利な改革を主張していたぐらいで、「政府内部の共和主義者」とは認知されていなかったのでは?(当人達の内心は別として)それに対してジークマイスターは密かに民主主義に没頭し、反国家的な事をやってのけているわけですから、ブラッケやリヒターとはまた違うでしょう。
 確かにあのスパイ網は帝国政府外部の共和主義勢力とは無関係ですが、スパイ網を創設したジークマイスターが民主主義思想に強く影響されていたのは事実ですし、額面通りの「帝国内の共和主義者との連携」という意味では合っていると思うのですが。

> まず、レベロはレンネンカンプのヤン逮捕要請が「バーラトの和約」の条文にすら明らかに背いている事に気づいていません。「バーラトの和約」に記載されている条文の第7条に高等弁務官に関する条項があるのですが、その中でさえ、
「帝国は同盟首都ハイネセンに高等弁務官府を設置し、これを警備する軍隊を駐留せしめる権利を有する。高等弁務官は帝国主権者(皇帝)の代理として同盟政府と折衝・協議し、さらに同盟政府の諸会議を傍聴する資格を与えられる」
としか記載されていません。つまり条文を素直に読むと、すくなくとも表面的には帝国の高等弁務官が同盟の内政に干渉する権限はないと解釈できるのです。「同盟政府の諸会議を傍聴する資格を与えられる」といっても、実のところただ単に傍聴しているだけで、別に意見を言う事ができる権限が与えられているわけではありません。もちろん、あくまでも表面的な話ではあるのですが、この「表面的」というのが以外と政治の世界では重要なのです。
> だからレンネンカンプの同盟政府に対するヤン逮捕要請は「バーラトの和約」ですら何ら規定されていない同盟への露骨な内政干渉行為を行った事になり、「バーラトの和約」第7条に明白に違反した行為なのです。「バーラトの和約」は同盟に圧倒的に不利な不平等条約であるとはいえ、その条文内容は当然ながら帝国も守らなければなりません。レベロはまずこの点を突くべきだったのです。

 レンネンカンプはヤンの逮捕を「要請」したのではなく、「勧告」したのです(六巻P131)。勧告とは「説いて勧める事」ですから、強制ではありません(レンネンカンプにとって事実上の強制ではあったでしょうが)。ですから、内政干渉には(少なくとも表面的には)該当しないのでは?問題なのは、レベロがその「勧告」を受け入れてしまった事でしょう。表面的にはあくまで勧告なのですから、「確実な証拠がないのに逮捕は出来ない」と突っぱねれば、レンネンカンプは二の句が告げなかったはずなのですが。

> 最後に、これはちょっと考えればすぐに分かる事だと思うのですが、ヤン逮捕によってヤンを仰ぐ過激派(これはヤン・ファミリーの事ですけど)がヤンを奪還しようと考え、同盟を内戦状態に陥れる可能性を少しでも考えていたのでしょうか? 実はこれこそが帝国の介入を招きかねない最大の要素なのですけど。
> ヤンが同盟市民から相当な期待をかけられていたという事は、視野狭窄に陥っていたはずのレベロですら考えついた事です。にもかかわらず、レベロがヤン逮捕によってそのような事態が発生する可能性について全く考慮していなかったというのはすこしおかしいのではないでしょうか。暴発する可能性で言えば、ヤンのような自縄自縛な思考法がない分、彼らの方が余程危険ではありませんか。
 にもかかわらず、レベロに彼らに対する備えがあったとは到底思えないのですけど。

 一応、六巻のP142には、「ヤンの逮捕に伴い、奪還に備えヤン艦隊の旧幹部を監視せよ」と言う通達について書かれています。最小限の兵力は動員していたみたいで、シェーンコップとアッテンボローにはジャワフ大佐率いる二個中隊がロックウェル大将によって差し向けられていました。彼らを早い段階で押さえつける自信があったという事でしょう。ローゼンリッターが全員寝返ったとまでは思っていなかったので、この打算は見事に崩れましたが、それにしても一個連隊の動きに気付かなかったとは間抜けな連中ですな(^_^;)。

><帝国の共和主義勢力は帝国軍の実戦部隊内部にシンパを作らなかったのでしょうか。民衆革命は正規軍を味方につけない限り成功するものではないのですが(正規軍を味方につけたフランス革命、ロシア革命などは成功し、ほとんどが民衆のみで構成されたパリ・コミューンは正規軍によって鎮圧されています)。>

 については、私なりに理由を考えて書いていますから、そちらを読んでみてください(第二次ティアマト会戦の説明の辺りです)。それなりに筋の通った理由であるとは思うのですが。

 第二次ティアマト会戦には、貴族出身の将官だけではなく、コーゼル大将という平民出身の将官もいました。こういった平民出身の将官も皆無ではなかったと思われるので、帝国内の共和主義勢力は彼らを抱き込む政治的な活動をすべきだったのでは?

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board2 - No.1015

Re: キリスト4歳

投稿者:優馬
2000年06月12日(月) 21時07分

NNGさん、レスありがとうごさいます。

>ここに始の「キリスト生誕2000年と言ったって、実際には西暦1年の時点でキリストは4歳だったから、本当は生誕1996年なんだ」といった内容を付け加えると田中芳樹っぽさが出ると思います。
> 終にこんな知識は無いので、ここまでは現実だったということで。

いやホント、おっしゃるとおり。
こういうウンチクを振って「お説教」をより教養ありげなものにすると、とても「らしく」なりますよね。

もし「ザ・ベスト」に編集していただける場合には、是非校訂させていただくということで(笑)。

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