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- board3 - No.224
歌の「出典を正確に言ってみろ」
- 投稿者:あいばまこと
- 2000年12月31日(日) 19時17分
銀英伝にはいくつか歌が出てきますよね?
「ミッヘル…シュテーア
ウフ…リヒテルターク」エヴァンゼリン
「へいジャン=ピエール」
ポプラン(長い夜の見張り?)
「愛しい者よあなたは私を愛するか
」カリン(が母親に教えてもらった)
あとは外伝4のリンツの歌(
ドライ・ロットともう一つ恋人との別離を歌った物)があるでしょうか
。
これらは原典があるのでしょうか。それとも田中芳樹のオリジナ
ルなのでしょうか。ご存じでしたら教えてください。
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- board3 - No.225
ちょっとチャレンジしてみました
- 投稿者:Merkatz
- 2001年01月03日(水) 21時26分
竜堂兄弟がどのような反論をするか、シミュレートしてみました。
いやー、彼らの思考は単純ですから、結構すらすらセリフが出てきました(笑)。
どんなもんでしょ?一通り、竜堂兄弟の「社会評論」を聞き終わったあと、四姉妹の幹部、エヌ氏はおもむろに口を開いた。
「なるほど、君らの言うことはいちいちもっともだ。昨今の政治に無関心な大衆に比べて何と素晴らしい識見をお持ちか。小生はほとほと感心した。ならば一度、君ら自身で政治を行なってみてはどうかね。元は天界の竜族の王。現世においても立派な政治家としてやっていけると思うのだが」
エヌ氏は巧妙に竜堂兄弟の矛盾を衝いた。要はそれだけ大言壮語するなら、自分たちでやってみろ、実行の伴わない言葉は無責任だ、というわけだ。
しかし始の口から出た言葉は、エヌ氏の期待を裏切るものだった。
「いや、俺達は政治家にはならない。政治家になりたくて批評をしているんじゃない」
「なぜだ?それだけ批評できるくらいなら、少しは実行を伴って見せてもよいと小生は思うのだがね。口先だけで実行しようとしない輩が卑怯だということは、君ら自身が権力者を非難する常套句ではないのかね?」
今度は遠回りな表現ではなく、直截的に言葉を発したエヌ氏だった。
だが、竜堂兄弟は些かもたじろがなかった。
「そうだ。権力にありながら、有言不実行というのはけしからんと思う。だがそれはあくまで権力者の側の問題であって、俺達の問題じゃない。俺達は有権者、つまりは権力者を選ぶ側だ」
「だから小生は一度、権力者になってみてはと勧めている」
「勘違いしないで欲しい。俺は権力者になりたいんじゃない。ただ、平和に暮らしたいだけなんだ。政治批評は有権者としての当然の行為だ。選ぶ側が選ばれる側をあれこれ批判するのは、より良い代表者を選ぶためであって、自らが権力を握る為じゃない」
竜堂続が相づちを打つ。
「そうです。第一、実行できなければ批判してはいけないなんて、変じゃありませんか。それとも選挙民は何ら自分の頭で考えることなく、権力者を選べとでも?あなたがた四姉妹が考えそうなことですね。愚民は批判をするな。実行者たる自分たちが一番偉いというわけですか」
続の舌鋒は容赦がない。
しかし、この程度の反撃でひるむエヌ氏ではなかった。
「なるほど、批判もまた有権者の権利というわけですか。よろしい。その点についてはこれ以上、議論を重ねても無駄のようだ。だが、現実問題として、我々四姉妹は君らと特に対立点があるわけではないのだよ。小生が見るところ、腐敗政治は困るというのはむしろ一致点ですらないのかね?我々は自分たちのコントロールする範囲で、政治が動いてくれればそれでよい。つまり、君らに日本の政治を任せても、敵対行為さえ働かなければ、あとはどのような善政を布こうといっこうに構わないのだ」
さらにエヌ氏は続けた。
「ようするに君らに日本の政治を任せる。そのかわり、四姉妹に敵対しないで欲しい」
「断ると言ったら?」
「嫌とは言わさんよ。これは命令なんだ。小生としてはまことに心苦しい限りだが、君らが我々の申し出を断った場合、四姉妹の政治力・経済力の総力を挙げてどこかの国が潰れることになる。もちろん、これは「染血の夜」作戦の一環なのだが、少なくとも君らのせいで余計な流血が発生することになるね」
ごく冷ややかにエヌ氏は告げた。竜堂兄弟に選択の余地はない、そう言っているのだ。
「ひでぇ。自分たちの犯罪を俺達のせいにする気かよ。濡れ衣だあ」
非難の声を終があげた。だがどことなく緊張感がないように聞こえたのは終の性格のためだろうか。
「脅迫ですか?つくづくあなた達のやり方には呆れますね。それでよくぼく達と一致点があると言えるものです」
続が凍てつくような視線と共に抗議を送る。
「残念だが、お前達の思惑通りにはさせないぞ。そもそも「染血の夜」自体、お前達がもともと計画してたものじゃないか。それを俺達のせいにするなんて、ペテンも甚だしい。第一、仮にそれを呑んだとして、お前達が約束を守る保証がどこにある?今までさんざん汚い真似をして、今さら権力を餌に懐柔しようなんて虫が良すぎる。お前達の提案は絶対に受け入れない」
「ああ、では我々は罪もない人たちを犠牲にせねばなりませんね。繰り返しますが、君らに選択の余地はないんです。小生の提案にイエスと答えるしかない。信用するしないの問題ではないのですよ」
「どう脅しても無駄だ。お前達の提案に乗る気はない」
「ふう、さすがは天界の竜王は頑固でいらっしゃる。ですが、我々の政治力・経済力にどう立ち向かう気です?権力なくして我々に対抗することは不可能ですよ。いくら竜王の力を持ってしても、為替レートやクーデターに影響力を及ぼすことは不可能でしょう」
エヌ氏は理性的な人間だ。だから権力に対抗するに権力を持ってすると発想するのは、ごくごく当たり前のことだった。
「お前達の野望を阻止するのに、権力なんて必要じゃない。むしろ竜王の力こそ相応しい」
始はきっぱりと言い切った。
「なんですと!?証券市場の操作に竜王の超常力が役立つとお考えですと!?」
「馬鹿を言うな。俺達は力でお前達の野望を叩きつぶすと言ったんだ。四姉妹、つまりは牛種の陰謀に、まともなやり方じゃ反撃できない。竜王の能力こそそれが可能となるんだ」
「いやはや・・・、小生が考えていた以上に君らは愚かなようですね。いいですか?為替レートを弄って一国の経済を破綻させる。そういう類のことを全世界規模で行なうのですよ。そこに竜が吠えたところで、為替レートは1セントも動きませんし、破綻した経済はもちろん戻りません。その程度のことがお分かりにならないとは」
「それはお前達のボスが無事ならば、だろう。俺達は陰謀の本拠地を叩きつぶす。大将の首を取るのが勝利の近道とは、兵法の常道だ」
「四姉妹の息がかかっている所をことごとく潰して回る。そうすれば、嫌でもお前達は俺達を相手にせざるを得ないだろう。竜の力に対抗できるのは牛種のみだ。つまり、自動的にお前達のボスは俺達と戦わざるをえない」
「頭を潰せば体もまた死ぬ。竜の力で四姉妹を壊滅させることができる」
「だから、俺達はお前達の脅迫に屈することはない」
エヌ氏は呆然とした。自信たっぷりに言い切った始を見やりながら、頭を振った。こいつらはまともじゃない・・・。
「しかし、君らは自分たちの平和を確保したいだけだとおっしゃっていたではありませんか。ならば他人がどうなろうと関係ないでしょう。君らが日本の政治を行なえば、君らの平和は保証すると言っているのですよ。なぜ、わざわざ危険に飛び込む必要があるんです?」
なんとか彼らの矛盾を衝こうとするエヌ氏に、続は言い放った。
「今さらご都合主義なこと言わないでくださいよ。ここまでぼく達を巻き込んでおいて、陰謀まで聞かされて黙って見過ごせるわけがないでしょう。ましてや、それが因縁浅からぬ牛種とあってはね」
「安っぽいヒューマニズムかもしれない。自分たちの平和を望むことと反しているかもしれない。しかし、ここまでの戦いでいろいろ恩義を受けた人たちが居る。そういうのをまとめて返したいんでね。牛種を滅ぼすことによって」
始は決意を告げた。エヌ氏にとっては間違いなく自分勝手な理屈に聞こえたが、竜堂兄弟はそう考えていなかった。
「そうそう、やっぱり受けた恩は返さなくちゃね」
「ぼくも陰謀とかよく分からないけど、牛種を滅ぼすことが恩返しになるんなら、戦うよ」
終と余が同調した。
「そういうことだ。悪いがこれで四姉妹、いや牛種と俺達は晴れて敵同士となったわけだ。まあ、もともと敵同士みたいなものだったが・・・」
すっかり意気消沈したエヌ氏を後に、竜堂兄弟は悠然と部屋を出ていった・・・。
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- board3 - No.226
Re225:「反創竜伝」第三の焦土戦略
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2001年01月04日(木) 17時00分
>竜堂兄弟がどのような反論をするか、シミュレートしてみました。
>いやー、彼らの思考は単純ですから、結構すらすらセリフが出てきました(笑)。
>どんなもんでしょ?いや~、何度も爆笑しながら読ませていただきました。エヌ氏の主張に対する連中の反論ときたら「思想面における自己破綻の集積体」としか言いようがありませんね(笑)。あんな愚劣極まりない主張を堂々と展開して何とも思わないなどということはマトモな人間であればまずありえない話でしょうが、確かにあの低能兄弟であればあのような反応を返してきても不思議ではないでしょう。エヌ氏が「こいつらはまともじゃない」と匙を投げたくなる気持ちも充分過ぎるほどに理解できますね(笑)。
それにしても、このシミュレーション小説では「ラスボスを倒せば為替レートが下落することも経済が破綻することもありえない」などと竜堂兄弟は考えているわけですか。こんな簡単な理論で経済の世界が動いているのであれば、世界各国の政府は何であそこまで経済政策に四苦八苦しているのやら(笑)。創竜伝本編の竜堂兄弟も似たような論法で動いていましたが、連中の超低レベルな思考法は、常識で計ることができないだけに却って読みにくいところがありますね。まあ狂人どものキチガイじみた行動を完全に理解できる人間などまずいないでしょうが(笑)。
しかしこれほどまでに竜堂兄弟の自己破綻が無惨に描かれているシミュレーション小説ですら、現実の創竜伝本編の無惨さにはまだ完全には達していないというのが何とも言えないところですね(T_T)。何しろ創竜伝本編には「牛種を倒した後の事後処理は俺達ではなく世界各国の政府や国際機関がするべきことだ」などというトンデモない無責任発言があるのですから。自分達が四人姉妹ないし牛種を倒して「染血の夢」計画を中途で止めることによって発生するであろう世界的混乱に対する責任意識ぐらい、マトモな一般常識を持っていたら絶対に発生すると思うのですけど。さて、Merkatzさんのシミュレーション小説にあまりにも説得力がありすぎるので、私としては第1・第2の策の有効性を立証するだけの理論をこれ以上構築することができなくなってしまいました(T_T)。そんなわけでこの状況からさらに逆転可能な「第3の策」について考えてみました。
第1・第2の策で竜堂兄弟を説得するのに失敗したとしても、連中の政治的・思想的正当性を完全に破壊してしまうことは充分に可能です。あのシミュレーション小説においてもそれは否定されておりません(というか全面的に肯定されているし(笑))。この政治的・思想的正当性の破綻を万人の目にさらし、竜堂兄弟を全面的な孤立状態に追いこむ。これが「第3の策」です。
具体的にどうするかと言うと、あのシミュレーション小説内で竜堂兄弟が「ラスボスである牛種をおびき出すために、四人姉妹の息がかかっている所を潰して回る」などと公言していた3流兵法を、こちらが徹底的に逆利用してやるのです。
まずは竜堂兄弟の行動を逐一監視して連中の動向を把握した上で、連中が破壊しに来そうな「四人姉妹の息がかかっている所」に、あらかじめ何人かのマスコミ関係者を「自然な形で」スタンバイさせます。そして彼らを使って竜堂兄弟の施設破壊シーンや敵に対する残虐行為(笑)を「生中継で」かつ「顔写真もつけて」全世界に向けて報道させるのです。ついでに竜堂兄弟の破壊活動に巻き込まれた被害者の数・施設破壊による悪影響(不況や失業者の発生など)・施設破壊に伴う物理的損害なども積極的に報道していけばさらに効果的でしょう。これによって、竜堂兄弟に「悪の破壊者」というレッテル貼りができる世界的なネガティブ・キャンペーンを展開することができ、竜堂兄弟に対する否定的な世論を世界的規模で醸成することができるのです。
そもそも「四人姉妹の息がかかっている所」というのは、同時に「世界経済の要所(ウォール街とか中東の油田とか)」でもあるところが大半でしょうし、そういったところを重点的に破壊していかなければ竜堂兄弟の策は実現できないのですから、あの3流兵法を本気で実行しようとするのであれば、否応なしに竜堂兄弟は「人類にとって最悪の脅威となる悪意の破壊神」とならざるをえないわけですが、それは竜堂兄弟の思想形態と根本から矛盾することになってしまいます。何しろ自分達自身の手で「いろいろ恩義を受けた人たち」の生活を破壊してしまうことになるわけですから。いくら何でも今度ばかりは「全ては四人姉妹ないし牛種の責任である」と開き直るわけにはいきますまい。
これはNo.183で日傘さんがおっしゃっていた「竜堂兄弟の感情に訴える策」の超拡大発展バージョンです。竜堂兄弟に対する否定的感情を世界的規模で醸成し、しかもそれが他でもない自分達自身の行動が発端になっているのであれば、さすがの竜堂兄弟も少しは堪えざるをえないでしょう。
もちろん、完全に開き直った挙句、徹底した責任転嫁を行ってくる可能性も否定できませんが(笑)。それとさらに言及しておくと、そもそも竜堂兄弟が唱える3流兵法は成功の可能性が限りなくゼロであるばかりか、下手をすると竜堂兄弟自身が、結果として四人姉妹に代わって「染血の夢」計画を実行してしまう滑稽な結末にすら至ってしまうかもしれないシロモノなのです。
前述したように「四人姉妹の息がかかっている所」というのは同時に「世界経済の要所」でもあるわけですが、そこを破壊することによって世界経済が混乱することは、四人姉妹ないし牛種が推進している「染血の夢」計画の主旨からすればむしろ望ましい事ですらあるのです。特に牛種の立場にしてみれば、たかだか「牛種の下僕」にすぎない四人姉妹の経済基盤がいくら破壊されたところで、そんなものは痛くも痒くもないばかりか、そもそも牛種の計画では四人姉妹はいずれ解体してしまう予定だったのですから(創竜伝8巻 P24)、予定が少し速まったというだけの感覚しか持つことはないでしょう。もちろん四人姉妹にとっては大ダメージもいいところですが、四人姉妹にとって牛種の命令は絶対ですから逆らうことはできません。だからあえて竜堂兄弟に四人姉妹の要所を徹底的に破壊させる「徹底した焦土戦略」という選択肢すら牛種は取ることが可能なのです。
この状況では、牛種と四人姉妹は徹底して竜堂兄弟との交戦を避けるでしょう。竜堂兄弟が近づいてきたら徹底的に逃げまくり、あえて連中に破壊の限りを尽くさせてやれば良いのですし、同時平行して「染血の夢」計画を推進させることも可能です。さらには竜堂兄弟の破壊活動を大きくクローズアップすることによって「染血の夢」計画推進の全責任を竜堂兄弟に押しつけることすらできるのです。自分達の行動が、結果として四人姉妹ないし牛種の世界戦略に手を貸すことになってしまったと知った時、連中は一体どんな顔をするでしょうね(笑)。
この「第3の焦土戦略」であれば、いやでも竜堂兄弟は自分達の愚かさに気づかざるを得ないでしょう。これでもなおかつ自らの責任や政治的・思想的破綻を全く自覚できないというのであれば、もはや連中をマトモに評する言葉は何もないと言わざるを得ないのですが……。
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- board3 - No.227
反銀英伝 大逆転! リップシュタット戦役(50)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2001年01月05日(金) 16時48分
「ふふふふふふふ。もちろん、それは解っている。ではどうすれば彼が攻めて
くるか、については少々頭を働かせれば卿らなら直ぐに解るだろう。そう難し
いことではない」それを聞いて、シュタイナーが得心のいった顔で口を開いた。
「つまり伯爵閣下は、準備が整ったところで、グリューネワルト伯爵夫人をわ
ざと逃がすおつもりなのですな?」タンネンベルク伯は無言で頷く。
「しかし・・・・・それよりは、グリューネワルト伯爵夫人を盾にして、こち
らの方から攻め掛かっていった方が良いのでは?仮にローエングラム侯がガイ
エスブルグに逃げ込んだとしても、こちらは彼の姉の命を握っているのですか
ら、彼にはどうしようもなくなるのでは、と思いますが」シュリーフェンは更に疑問を投げ掛ける。
「それなのだが、『アクシデント』が起こる可能性はないかな?グリューネワ
ルト伯爵夫人を乗せた艦を先頭に押し立てて攻撃した時、敵の一弾がその艦を
撃ち砕いた場合、どうなる?」復讐の鬼となるであろうラインハルトを想像せよ、という方向に話を向ける
タンネンベルク伯である。「アクシデント、とおっしゃられましても・・・・・・・」
シュリーフェンは困惑したような顔をして考え込んでしまう。他の人間もあ
まり意味が解らなかったようでほぼ全員が首を捻っているが、シュタイナーだ
けが直ぐに察した。「なるほど。閣下が言っておられるのは、ローエングラム侯の部下が、主君の
意志を無視してグリューネワルト伯爵夫人を乗艦もろとも攻撃、死なせてしま
うかも知れぬ、ということですな?」「それが正解だ。はっきり言うとそれをやりそうなのは、ローエングラム侯の
参謀長パウル・フォン・オーベルシュタイン中将だな。彼は、ローエングラム
侯の姉を想う感情を良しとはしまい。グリューネワルト伯爵夫人が彼の陣営の
覇業の障害になると考えた場合、躊躇せず伯爵夫人を抹殺するような男だ。し
かも、主君の承認を得ず、勝手に動く可能性もある。いや、正直言って今です
ら、オーベルシュタイン中将はグリューネワルト伯爵夫人の命を狙っているに
相違ないのだ。彼女を死なせてしまえば、ローエングラム侯は躊躇せず全力で
向かってくるだろう。私やリッテンハイム侯に対する怒りを沸騰させて。それ
では、あまり上手い状況にはならないと私は思う。何しろ人間とは、度の過ぎ
た怒りに駆られた場合、とんでもない底力を発揮したりするものだからだ。そ
のような危険は冒せまい」ローエングラム侯ラインハルトが姉もろともと攻撃してくる訳はないが、彼
の部下までそうとは限らない。「閣下の為」「味方の勝利の為」と、侯の意志
を無視して独断で動く者がいないとは限らないのだ。いや、タンネンベルク伯
の考えでは、オーベルシュタイン中将なら間違いなくそうするはず、というも
のである。
何しろ、グリューネワルト伯爵夫人を死なせてしまった場合、ローエングラ
ム侯はどんな策を取ることもできるようになる。現在の状況は、それを感情的
に受け容れられないというローエングラム侯の心情を利用し、「盾」としてグ
リューネワルト伯爵夫人を使っているだけだ。タンネンベルク伯としては、グ
リューネワルト伯爵夫人の安全は、最大限に確保しておかなければならないの
である。「盾」として前線に出すというのは、伯としては「最悪の選択」と考
えていたのだ。「そういう訳で、まだ状況はかなり苦しいし、こちらが取る策にも、そう選択
肢はないのだよ。それは、皆も承知しておいてもらいたい」ようやく納得するシュリーフェン以下である。
「・・・・・・・・しかし、小官一人で、最終的には十万以上になる兵力を統
括するのは、あまりに困難なような気がしますが。いかにガイエスブルグ組の
シュヴェーリン少将、リュトヴィッツ准将、マントイフェル准将、エーゼベッ
ク大佐が協力してくれるとは言うものの、もう一人か二人、こちらからも指揮
官クラスが必要なのではないか、と」レープは簡単に計算した。単純に十万を5人で割って二万、となると一個艦
隊の規模としては少々大きい。少なくとも6人以上で指揮を負担したいような
数量である。「そうか。卿の言うことももっともだな。では、マッケンゼン大佐。貴官の任
務もそちらだ。あと、シュヴァルツェンベルク少将が帰ってきたら、彼もそち
らに回そう。それで、一人が統括する戦力は、一万五千以下になるな。一個艦
隊のレヴェルだ。これで良いな?」レープ准将はそれを聞いて頷く。その規模なら、問題なく統括できる、と自
信があったからである。「しかし、シュヴェーリン閣下やシュヴァルツェンベルク閣下のように階級が
少将というのであればまだしも、大佐や准将の身で艦隊指揮というのでは、少々
辛くありませぬか?」マッケンゼン大佐が疑問を投げかけた。大佐は33歳、黒い髪に黒い瞳の持
ち主で、代々軍人を輩出している家の出だ。「職業軍人を多く輩出した貴族家」
という意味では、マッケンゼン家は家名をラインハルトに下賜される前のロー
エングラム家に近いものがある。さすがに職業軍人の家系だけあって、大佐の
見るからに頑丈そうな堅太りの体格は幼年学校から鍛え上げられたものだった
し、見事な髭をたくわえたいかつい顔つきにも、代々軍人の家系が持つ「凄み」
があった。何も銀河帝国に限った話ではなく、大佐の旧地球世紀時代の遠い祖
先の一人に、第一次世界大戦で東部戦線とバルカン半島の英雄として名を馳せ
た、アウグスト・フォン・マッケンゼン元帥がいる。マッケンゼン元帥がロシ
ア軍相手に勝利した、タンネンベルク会戦の名を持つ人物の下に、今大佐がい
ることは「巡り合わせ」とでも言うべきことであろうか。「取り敢えず暫定的にだが、私の元帥府昇進とともに、現在少将の階級の者は
中将に、准将と大佐の者は少将に昇進させるつもりだ。艦隊指揮の為の階級は、
それで問題あるまい。ガイエスブルグ脱出組の方は、各人が一個艦隊の指揮に
専念して、総指揮はメルカッツ上級大将に執ってもらうという方針だ。なお、
戦役終了後は基本的に全員中将の階級となる。功績によってはそれ以上も考え
るので、皆にはそれを励みにして戦ってもらいたいと私は思っているが、それ
も良いな?」異存はなく、その場の全員が頷いた。タンネンベルク伯は「全員昇進させる」
と言っているので、異存がある者などいるはずもなかった。(以下続く)
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- board3 - No.228
竜堂兄弟の唯一確かな理屈は「嫌いな奴は絶対嫌い」という単純なものかもしれません
- 投稿者:Merkatz
- 2001年01月07日(日) 22時27分
>第1・第2の策で竜堂兄弟を説得するのに失敗したとしても、
>連中の政治的・思想的正当性を完全に破壊してしまうことは充分に可能です。
>あのシミュレーション小説においてもそれは否定されておりません(というか全面的に肯定されているし(笑))。そうそう。竜堂兄弟の思考法はズレていると思いまして。
つまり、彼らにとって自身の政治的・思想的正当性なんてどうでもいいんじゃないかと。
何をどう言っても彼ら自身は認識しようとしない。
つまり、エヌ氏の理屈(政治的・思想的正当性の問題)と、
竜堂兄弟の理屈(自分の感情に合致すればそれでいい)とは、
絶対に平行線であろうなと。彼ら自身に政治的・思想的正当性を認識させるのは不可能とも思えます。
>この政治的・思想的正当性の破綻を万人の目にさらし、
>竜堂兄弟を全面的な孤立状態に追いこむ。これが「第3の策」です。さすがにここまで行くと、竜堂兄弟と雖も・・・と期待しますが、やっぱり責任転嫁しそうです。
「おのれ、つくづく卑怯なやつらめ!」とか言って(笑)。
結局、相手が牛種である限り、すべて「悪辣な牛種」で収束してしまうんじゃないでしょうか。
サヨクが「日本軍の蛮行」と言い立て、決して事実検証をしないのと同じように。
ま、周りには論理破綻が明らかなんですが。仮にこういうストーリー展開になったら、「悲劇の竜堂兄弟」として余計に読者に支持されそう。(^^;;
「続さん、かわいそう」とかいうファンが居そうで・・・。
- 親記事No.167スレッドの返信投稿
- board3 - No.229
Re228:自己破綻を認識できなければ「竜堂兄弟の一方的な敗北」になります
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2001年01月08日(月) 08時00分
>さすがにここまで行くと、竜堂兄弟と雖も・・・と期待しますが、やっぱり責任転嫁しそうです。
>「おのれ、つくづく卑怯なやつらめ!」とか言って(笑)。
>結局、相手が牛種である限り、すべて「悪辣な牛種」で収束してしまうんじゃないでしょうか。
>サヨクが「日本軍の蛮行」と言い立て、決して事実検証をしないのと同じように。
>ま、周りには論理破綻が明らかなんですが。しかしいくら竜堂兄弟が開き直って責任転嫁したところで、事態は何ら変わることはないのですけどね~。結局竜堂兄弟が四人姉妹ないし牛種にいいように利用されてしまうという図式が変わることはありませんし、四人姉妹ないし牛種が推進する「染血の夢」計画やその他の世界支配戦略が止まるわけではないのですから。
「第3の焦土戦略」の真骨頂は、竜堂兄弟が自らの行動や政治的・思想的正当性の破綻を自覚し、四人姉妹ないし牛種に対抗する形での権力・責任意識に目覚めない限り、自動的に四人姉妹ないし牛種が推進している世界支配戦略が成功してしまうところにあるのです。何しろこの焦土戦略では四人姉妹ないし牛種が直接竜堂兄弟と交戦することがない上、竜堂兄弟の超人的な力を使った破壊行為自体が四人姉妹ないし牛種の世界支配戦略の中に組み込まれてしまうわけですから、あの愚劣な3流兵法に固執している限り、竜堂兄弟にはどうすることもできないのです。
四人姉妹ないし牛種の世界支配戦略が成功してしまったら、竜堂兄弟の政治的・思想的正当性どころか、そもそも連中の行動それ自体に全く意味がなくなってしまいますし、オマケに政治的に見ても一般常識で判定しても「竜堂兄弟の一方的な敗北」と規定できてしまうではありませんか(笑)。この時点で「竜堂兄弟を政治的・思想的に屈服させる」という目的は完全に達成されてしまいますし、そんな状況で責任転嫁などしたところで「負け犬の遠吠え」としか受け取られることはありますまい。だから竜堂兄弟が本気で四人姉妹ないし牛種の世界支配戦略を止めたいと考えるのであれば、いやでも自らの政治的・思想的正当性の破綻を自覚し、権力意識に目覚めなければならないわけです。これに関しては連中に選択の余地など全くないのです。
しかし、それでもあのキチガイ兄弟だったら、上記の事情を無視してでも責任転嫁に走りそうなので怖いのですけど(笑)。それと余談ですけど「逃げることは恥ではない」ということは、あの低能なる竜堂兄弟自身が自らの社会評論の中で論じていることなのです。それを無視して相手の焦土戦略を「卑怯」などと罵っても全く説得力はないですな。
創竜伝6巻 P90上段~P91上段
<「三十六計逃ぐるにしかず、さ」
そのていどの故事成句は、終でも知っているのだった。
西暦五世紀の中国、南北朝時代。宋という国があった。これは唐の後に天下を統一した宋とは別の国である。宋の名将檀道済は北の国境を守って強大な北魏軍と戦いつづけた。彼の戦術は巧妙をきわめ、北魏軍をさんざんに撃ち破った。ときには敵の前から逃げまわってその戦力を削ぐという手段にも出た。どうしても檀道済に勝てない北魏軍は、くやしまぎれに「逃げじょうずの檀将軍、三十六策中、走るが上策なり」とののしった。ののしっても勝てないのだから、どうしようもない。檀道済が健在なかぎり宋は安泰であるはずだった。
ところが、時の宋の皇帝は、檀道済の名声と実力をおそれ、無実の罪を着せて彼を死刑にしてしまった。強敵の死を知った北魏軍は狂喜し、おりからの酷寒で凍結していた河を騎馬隊で突破して一挙に宋の国都を衝いた。城外を埋めつくす北魏の軍旗を見て、困惑した皇帝は、「檀将軍はどこにおる」と叫んだという……。
まったく、逃げることも必要なのだ。日本史上、もっとも「逃げじょうず」といわれたのは織田信長で、「こいつはいかん」と思うと、むだな体裁などつくろわずに逃げまくった。徳川家康も大坂夏の陣で真田幸村に追われて逃げまわった。これは幸村の名誉であるが、べつに家康の恥ではない。
第二次世界大戦で、日本軍を狂気と妄想が支配するようになると、逃走や退却は恥だということになった。兵士たちに退却を許さず、戦死や自殺を強要しておいて、将軍や参謀たちは自分たちだけさっさと飛行機で脱出したという例はいくらでもある。>この社会評論に従うと、「第3の焦土戦略」に対して竜堂兄弟側が「卑怯」と罵る事は、連中がいう「狂気と妄想に支配されている旧日本軍」と自分達が全くの同類であるということを自白することになるわけです(爆)。まあ竜堂兄弟が「狂気と妄想に支配されている」というのは今更言うまでもない事実なのですけど(笑)。
まあこの程度の論理破綻は竜堂兄弟にとっては日常茶飯事でしょうし、そもそも連中にはマトモな記憶力すらもあるようには見えないので、かつて自分達が何を言っていたのかも多分忘れてしまっているのでしょうが(笑)。>仮にこういうストーリー展開になったら、「悲劇の竜堂兄弟」として余計に読者に支持されそう。(^^;;
>「続さん、かわいそう」とかいうファンが居そうで・・・。私には「悲劇」どころか「醜悪な喜劇」にしか見えないのですが……。
第一、四人姉妹ないし牛種からの理論的整合性に満ちた誘いを一方的に断り、現実性のない3流兵法に固執しつつ、四人姉妹と牛種の世界支配戦略にいいように利用され、しかもその事に対する反省すらもないなどというようなキチガイ連中に一体誰が同情するというのでしょうか。他の田中芳樹作品であったら、このようなキャラクターは「一方的なこき下ろし」の対象でしかないではありませんか。
「悲劇性」を強調しようにも、このシミュレーションでは四人姉妹ないし牛種側の「現実的な理論的整合性」と、竜堂兄弟側の「自業自得的な独善性」との対比が際立つので、強調したくてもできないように思えるのですけど。
-
- board3 - No.230
無題
- 投稿者:かさね
- 2001年01月09日(火) 03時18分
・・・別にどーでもいいことですけど。
皆さん田中芳樹批判する割にはしっかり読んでるんですねぇ。
俺には読んでて楽しくもない本を買う金も読む時間もないんで。
皆さん金も時間も余裕あるんですね。
羨ましい限りです。ここに来ての感想をひとつ。
批判するのは一向に構いませんけど、端から見ればここの方々の言いようもかなり偏ってるし、暴力的だと思いますよ?
ご自分で仰っていたようにご自分の襟も正した方が宜しいかと思いますが。まぁ、俺には関係の無い話ですね。
この文読んで怒って削除するのもいいんじゃないですか?
だけど、批判と中傷の区別くらい付けた方がいいと思いますがね。あ、別に批判が悪いとは言ってないですからね。
誤解なさらぬ様。
むしろいいんじゃないですか?
批判する思考が欠如すると人間ダメだと思いますし。
- 親記事No.230スレッドの返信投稿
- board3 - No.231
Re: 助言として
- 投稿者:Basuque Ohm
- 2001年01月09日(火) 04時15分
大分自分でも意見がまとまってないようですな。
言いたいことは何となくわかるのですが、ちょっと思いつくままにお書きになったようで変なところが散見できます。「批判」(笑)しますので、よかったら思考をまとめる際に参考にして下さい。
1、「皆さん田中芳樹批判する割にはしっかり読んでるんですねぇ。」と書いてあるでしょ。私の考えでは建設的な批判するならしっかり読む必要があると思いますが、それは個人の考え方なので特に強制いたしますまい。だけど、「批判と中傷の区別くらい付けた方がいい」と思ってもいるわけでしょ。これって普通に考えたら矛盾ですよ。しっかりよまずに批判しようとすると中傷になっちゃいますよ。期せずして貴方のこの投稿それ自体がそれを物語っています。貴方の文章はあらしの文章ではないのですが、しっかり読まないから貴方の意図に反して中傷になってしまっているのです。
2、具体的な例を挙げましょう。「俺には読んでて楽しくもない本を買う金も読む時間もないんで。」「皆さん金も時間も余裕あるんですね」この二つの文が連結して成り立つには「皆さん」が「読んでて楽しくもない本」を読んでいるという前提が必要ですが、しっかり過去ログを読めば「皆さん」が楽しんでいることがわかるでしょう。
3、「批判するのは一向に構いませんけど、端から見ればここの方々の言いようもかなり偏ってるし、暴力的だと思いますよ?」2で私がやったように具体例を出すのがエチケットです。例えばどの部分が片寄っていて暴力的なのか。それをしないと単に言い掛かりになってしまいます。
4、「まぁ、俺には関係の無い話ですね。」関係が無かったらわざわざ書かないでしょ。時間と金が有り余っているなら別ですけど。
批判するための適切な思考がなされないと人間はダメですからこれを参考に出来るだけ早くダメ人間から卒業されることを祈っております。
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- board3 - No.232
ちょっと一言
- 投稿者:ジャコ-
- 2001年01月09日(火) 08時09分
始めてお手紙をします。二年ぐらいこのページを見てきたのですが、掲示板に書きこむのは始めてです。
自分も、田中芳樹ファンの一人ですが、最近の彼の行動には疑問とともに不満を持っている一人です。続編を書こう。書く気が無いならその旨表明しろと。後彼の、無党派左翼的言動が作品に散見されることに多くの不満を感じるものです.だから、このコーナーの多くの意見に賛同するところが多いです。
ですが、だからこそ、各所に見られる、田中憎けりゃ袈裟まで憎い的発言に違和感を感じます。その全てを書くことは致しません。このページの管理人さんを始め、このコーナーは、多くの意見の集合体であり、それぞれ独自の立場と見解から意見を寄せているのでしょうから、当然、統一した見解がでるはずもないのでしょう。
でもひとつだけ。作品理論をぶち壊す創竜伝の時間構成において、ソ連とロシアがいつのまにか変化していることはおかしいとのことでしたが(少し文意と異なるといわれそうですが)そりゃしょうがないでしょう。
作品を書き始めた当初、または六巻の辺りでも、歴史家でも専門家でもない田中氏にソ連崩壊を予期して作品構成しろと言うのが無理な注文だと思いますが。
この時代の劇的変化は、同時代の近未来小説を書いている作家を平等に襲いました。それぞれ彼らはその解決に四苦八苦しています。例えば、かわぐちかいじ氏の「沈黙の艦隊」なども、知らんうちにソ連がロシアになってます。
確かに、ソ連およびロシアの話題に作品中で全く触れなければ良いことなのかもしれません。作品中でそこに話題を振らなければロシアになろうと関係ありません。でもそれによって、ロシア以下東欧、冷戦終了後の劇的歴史変化を作品にとりこむことができなくなるのは明白です。もちろんとりこんだところで、所詮「創竜伝」と言われりゃそれまでですが。もう少し田中氏に対する建設的(全ての意見が非建設的と言っているわけではありませんが)な見方をされてもよいのではないかと思いました。勿論、田中氏もそれを批判する皆様も完璧な人間ではないのだから少しくらいの過ちに目くじらを私は立てているだけなのではないでしょうか。
もうひとつ。どうも作中の田中氏の投影と考えられる主人公(ヤンや竜堂始)の作中における意見と見解を、田中氏の意見そのものと取っている人が多いような気がしますし、それをもとに、作者批判が展開されることが多いと思うのですが、これは確かに登場人物の発言=田中氏の意見の可能性が高いせよなんか変です.言い尽くされた意見ですが、小説家と評論家は違います。小説の登場人物の意見が作者の意見だなんて考える人はいないでしょう。
どうも、うまくまとまりませんでした。言い足りないこともありますし、私の意見にも不備な点は多いでしょうから、そこら辺のところにご意見お待ちしています。