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銀英伝考察3
銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威
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No. 7092
イオン・ファゼカス号の能力
uma 2006/09/28 20:43
ども、失礼致します。umaと申します。
銀河英雄伝説を面白く読み、アニメも面白く視聴し、
ここの文書も面白く読んだ者であります。ちなみに銀英伝以外は
一部アニメを見た程度。

ところで
http://tanautsu.la.coocan.jp/kousatsu02_03_af.html
以降のイオン・ファゼカス号の性能についての議論ですが

銀英伝1巻 P15下段
<動力部や居住部からの熱を遮断させることさえできれば、かなりの長期間にわたって飛行が可能である。そしてその間に、星間物資や無人惑星に恒星間宇宙船の材料を求めればよいのだ。何も飛び立った船でそのまま飛び続ける必要はない。>

の「星間物資や無人惑星に恒星間宇宙船の材料を求めればよいのだ。」を読むにイオン・ファゼカス号そのものは恒星間宇宙船では無いのではと思いました。ワープ能力も無いのではと。帝国軍の追撃と捜索をかわして潜り込んだ無名の一惑星はアルタイル系のアステロイドベルトだかカイパーベルトだかの小天体ではないでしょうか。

惑星地下で80隻の恒星間宇宙船を建造して銀河系の深奥部に向かったとの事。いて腕方面に行ったようです。その際の危険は巨星、矮星、変光星などで「造物主の悪意」。どうも無名惑星に潜った時点で帝国軍は脱走者を完全に見失ってたようです。

恒星間宇宙船はアニメ版ではたしかダイダロス号みたいな形
http://en.wikipedia.org/wiki/Project_Daedalus
でしたがどんなものなのやら。一隻あたり5000人乗せにゃならん。しかも何時までかかるか不明で結果的に50年間乗ることに。普通に乗せるとなると小型スペースコロニーの如き世代宇宙船になろうかと。
とりあえず大半の乗員をコールドスリープとか人工冬眠でもさせれば建造運用コストが下げられるかなとも思いました。


No. 7107
Re:イオン・ファゼカス号の能力
不沈戦艦 2006/10/06 01:00
> の「星間物資や無人惑星に恒星間宇宙船の材料を求めればよいのだ。」を読むにイオン・ファゼカス号そのものは恒星間宇宙船では無いのではと思いました。ワープ能力も無いのではと。帝国軍の追撃と捜索をかわして潜り込んだ無名の一惑星はアルタイル系のアステロイドベルトだかカイパーベルトだかの小天体ではないでしょうか。


「移動要塞論争」についてのログを全部読まれましたか?例えば、冒険風ライダー氏のこれとか。


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 いいですか、私が「イオン・ファゼカス号亜光速航行論」の欠陥として挙げている「銀英伝世界における索敵の実態」というのは、「特定の星系に入った『後』の索敵」ではなく「特定の星系に入る『前』の航行予測」とでも言うべきものなのですよ。例の貧弱な索敵システムで敵を探すより前に、まずは敵が必ず通行するであろう星系そのものを特定することから始めなければ、例の索敵システムで敵を全く発見することができないばかりか、下手をすれば敵が自軍を素通りして後方の首都や戦略拠点を襲撃する「滑稽な事態」さえ発生しかねないではありませんか。
 私が前の投稿で挙げた「宇宙空間の特定星系における艦隊決戦」「軍艦による宇宙船の臨検」「宇宙船や艦隊同士の偶発的遭遇」などといった事例は、「索敵」以前に、宇宙船や艦隊の航行路や行動パターンなどがある程度推測できることや、遭遇予測星系や宇宙船が集結しやすい宙域などをある程度事前に特定できることを意味するのです。そして、そのような星系や宙域の特定が行われた後で、初めて「索敵」が開始され、最終的に敵なり臨検する宇宙船なりを発見する、これが銀英伝世界における「索敵の実態」であると私は述べていたわけです。
 Kenさんが挙げられているバーミリオンの例で言うならば、大規模な索敵活動を行う以前に、そもそもヤンは一体どうやってラインハルトがバーミリオン星域を通行するであろうことを予測しえたのか? そして、なぜラインハルトがバーミリオン星域を通行することがあたかも当然であるかのようにバーミリオン星域「のみ」の索敵に専念しているのか? 私が提示した疑問の本質はまさにここにあるわけです。これは明らかに「事前予測」として敵軍が特定星域を通行することが予め判明していることを意味するのです。事前予測で敵が通行する星域が予め特定されているのであれば、その時点で遭遇予測や索敵範囲も限定されるのですから、例の貧弱な索敵システムをもってしても、銀英伝の作中描写自体が示しているように、敵を発見するのはそれほど困難なことではないでしょう。
 そして、このようなことが「ワープを使った艦船」に対してさえ大々的に行われているのであれば、亜光速航行しか行えない宇宙船などはなおのこと、事前の宙域特定でいとも簡単に網を張られて捕捉されてしまうであろうから「イオン・ファゼカス号亜光速航行説」は成立しえない、と私は主張しているのです。だから星系が特定された「後」に行われる「索敵」についてなど、私は前の投稿では一言半句たりとも述べてなどいないわけで、この時点であなたの反論は前提そのものが完全に的を外しており、反論としては完全に問題外なシロモノでしかないのです。
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 そもそも、ワープもできない宇宙船で逃げ出すってのがおかしな話(ワープ可能な宇宙船を山ほど持っている帝国軍の追跡をかわし、脱出に成功する可能性が低すぎる。しかもその宇宙船の図体はイゼルローン要塞よりでかい巨大サイズで目立つことこの上ない)ですし、それが「作品解釈として正しい」とした場合は、「アルタイルの奴隷たち」は「勇気と無謀の区別がつかない愚か者ども」以外の何でもないとしか言えませんね。前にも、同じようなこと書きましたけど。


No. 7109
よく見りゃ「アルタイル星系を脱出」って書いてますね。失礼しました〜。
uma 2006/10/12 01:20
ところで何処までを星系と呼ぶのか、隣接恒星と重力が平衡するとこまで星系なのか、それともヘリオポーズ(アルタイルポーズ?)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%9C%8F
までなのか。
前者なら2-3光年ぐらいはあるだろう。後者であれば太陽で50-160天文単位と言うしアルタイルは太陽の10倍明るいそうだから21-67光時程度でしょうか。この場合はオールトの雲は星系外になりましょう。その辺りだと通常航行でも逃げられるかも。

イオン・ファゼカスが通常艦艇に捕捉された状態での追いかけっこで逃げ延びれるとも思えないので帝国の初動の遅れをついてレーダーから隠れたり小惑星に偽装したりしながら逃げるしかないと思われる。幸いアルタイルは若い星で小惑星が多いと推定されるのでその点は隠れるのに有利かも。

イオン・ファゼカスの如き巨体が地表から浮上し、飛び去るのを取り逃がしたということからみてもアルタイル第七惑星やアルタイル星域の監視システムは穴だらけと見えます。監視艇をイオン・ファゼカスに貼り付けることすら出来なかった。どうも宇宙船を建造して逃げ出すケースを全く考慮してなかったようで。
それ以前に建造を許してしまうぐらいですからリンチの入ってた捕虜収容所以上の放置プレイっぷりですが。

エル・ファシルからリンチ司令官が逃げ出した際には恐らく高機動力のワープ艦であったろうし後方星域に一発ワープすれば逃げ出せたろうに捕縛。ワープもなかなか面倒なようで追われているからと下手に発動すると行方不明になるらしいし。準備万端であればワープ艦であっても逃れるのは難しいらしい。
一方その隙をついたヤンは300万人を引き付けて脱出成功。予想外の行動に出られると対応し辛いようです。

あと、ワープアウトもかなり危険かも。というのもレーダー透過装置などの対索敵装備は船があって始めて稼動しうるものであり、何もない空間にワープアウトする際に発生する時空震に対してはそれを抑えるのは無理と思われるので。
その規模たるやガイエスブルクの場合で9000万km(地球-太陽間の60%)離れて戦艦が危険な状態になるほど。
時空震が光速度で伝わる重力波なら冥王星公転軌道を11時間で横断する。行方を眩ませたいならワープアウトしたら急いでその場を逃れたほうがよさそうです。


No. 7122
はばたくガイエ
ろくでん 2006/11/03 14:20
「銀英伝考察3」、興味深く拝見させていただきました。恥ずかしながら補給の問題については全く気がつきませんでした。私が「はばたくガイエ」で気になったのはラインハルトが先にケンプとミュラーを送り、後にロイエンタールとミッターマイヤーに出征を指示している点です。これは用兵学の最も戒めるところ「兵力の逐次投入」以外の何物でもないでしょう。これが戦争の天才のすることでしょうか?兵を起こすのであれば動員可能な艦隊を全て投入するなり、超イゼルローン要塞を建造してから送り込むなりするべきでしょう。
もう一点、ロイエンタールの「大艦巨砲主義の復活にすぎない」発言。撃墜王のケンプが言うのならともかく、宇宙戦艦乗りのロイエンタールが口にするのは矛盾していませんか?人格が劣るからといって(当のロイエンタールもあまり優れた人格者とも思えませんが)その業績まで否定するのは人間としての器が小さいと言わざるを得ません。そこがラインハルトとの格の違いなのでしょうね。


No. 7126
Re:エンジンはそこらに転がってたんかい?
ろくでん 2006/11/03 19:39
umaさまはじめましてろくでんです。

> それ以前に建造を許してしまうぐらいですからリンチの入ってた捕虜収容所以上の放置プレイっぷりですが。

無茶な話ですね。船の建造で先ず必要なのがエンジンの調達です。戦艦や空母のような大型艦の建造では船体より先にエンジンの製造予算が要求されます。惑星間エンジンならハイネセンらの手の届くところに転がっていたという真に信じられない事態なのですが。

余談ですが米アイオワ級戦艦5、6番艦はエンジンの製造が終わってから肝心の戦艦の建造が中止されてしまい、戦後20年近くが過ぎてからサクラメント級高速戦闘支援艦にエンジンだけが流用されてしまいました。従がってイリノイ、ケンタッキー、両艦の登場する『エヴァン下痢オン』世界にはサクラメント級は存在できないことになります。


No. 7131
Re:エンジンはそこらに転がってたんかい?
不沈戦艦 2006/11/08 23:13
> 無茶な話ですね。船の建造で先ず必要なのがエンジンの調達です。戦艦や空母のような大型艦の建造では船体より先にエンジンの製造予算が要求されます。惑星間エンジンならハイネセンらの手の届くところに転がっていたという真に信じられない事態なのですが。

 この場合は戦艦や空母どころではなく、イオン・ファゼカス号のサイズはイゼルローン要塞より大きい訳で、これが「可」であるということは(銀英伝世界では実現している)、銀英伝世界の「宇宙船用エンジン」は、「無」からでも知識と材料(どこにあったんだろ?)さえあれば、簡単に建造できるという結論にならざるを得ないですねぇ。その後の、80隻の恒星間用宇宙船の建造も問題はなかったようですし。


No. 7132
Re:はばたくガイエ
不沈戦艦 2006/11/08 23:23
>超イゼルローン要塞を建造してから

 金と時間がかかり過ぎるので実際問題として無理でしょうね。それより、「適当な大きさの小惑星にエンジンを取り付けて移動させ、イゼルローン要塞に衝突させる」方が、よっぽど現実的かつ簡単な「イゼルローン攻略方法」ではないかと。


>兵力の逐次投入

 つまり、ラインハルトとしては、「真面目にやる気がなかった」ということなのでは。「シャフトの移動要塞案で攻略できればいいし、できなくても別に構わん」という程度の。いくら「戦争の天才」であっても、真面目にやる気がないのなら、テキトーなことをすることもあるでしょう。


>大艦巨砲主義

 艦載戦闘艇の存在意義が何なのか、何だかよく分からない世界ですからね。運が良ければ巡航艦くらいは撃破できるようですが、装甲の厚い戦艦に通用する訳でもなさそうですし。大艦巨砲の最たるものとして、一撃で千隻以上吹っ飛ばしてしまうような「要塞砲」があるんですから、それの否定発言はおかしいですねぇ。まあ、このあたりも田中芳樹の設定がいい加減だからとしか言えないんでしょうけど。


No. 7140
銀河英雄伝説第10巻、P.147
ろくでん 2006/11/09 19:25
>ミッターマイヤーとしては再反論する余地を失って、沈黙するしかなかった。

疾風ウォルフの作戦ミスですね。自ら望んで玉座に座った以上、ラインハルトには国家、国民の未来に対する責任があります。いたずらに玉体を危険にさらすのは無責任です。


No. 7141
Re:カイザー戦いを楽しむ
ろくでん 2006/11/09 19:29
>  つまり、ラインハルトとしては、「真面目にやる気がなかった」ということなのでは。

それで死んだ将兵はたまったもんじゃありませんね。道楽で戦争するのと少女をかどわかすのとどっちが高尚な行為だと認識しているのでしょう?ラインハルトが兵を動かすことで発生した婦女暴行も少なくないのでは?


No. 7142
Re:こういうのもありました
不沈戦艦 2006/11/09 22:34
> それで死んだ将兵はたまったもんじゃありませんね。道楽で戦争するのと少女をかどわかすのとどっちが高尚な行為だと認識しているのでしょう?ラインハルトが兵を動かすことで発生した婦女暴行も少なくないのでは?

 もっと先の話ですが、反対する周囲に「フロイライン、私は戦いたいのだ」と宣言して、イゼルローンに追いつめられたヤンとの一戦をあくまで望み、しかも途中で病気で倒れた結果「夢枕でキルヒアイスが諫めに来た」と、自分で望んだ戦いをそのまま続ければ勝てるにもかかわらず、中途で打ち切ってしまう。「回廊の戦い」が起こったのは、ラインハルトの「一度でいいから、ヤンに戦術的に勝ちたい」って願望だけが理由ですからね。しかも膨大な犠牲(ファーレンハイトやシュタインメッツも戦死)を出しつつ、ようやく勝ちかけたら勝手に止めてしまう訳ですし。

 とまあ、作中記述から十分「道楽で戦争する困った人」であると言えますよ、ラインハルト・フォン・ローエングラムという人物は。それで「高尚」ってのも、おかしな話でしょう。


>兵を動かすことで発生した婦女暴行も少なくないのでは?

 それよりも、「必要のない戦争で味方の兵士を大量に殺してしまった」ことは、用兵家としては落第なのでは。


No. 7144
Re:銀河英雄伝説第10巻、P.147
不沈戦艦 2006/11/09 22:41
> 疾風ウォルフの作戦ミスですね。自ら望んで玉座に座った以上、ラインハルトには国家、国民の未来に対する責任があります。いたずらに玉体を危険にさらすのは無責任です。

 いや、ラインハルトははっきりと「無責任」でしょう?「自分を背中から撃って全てが手に入ると思っているのなら、実行してみればいいのだ」と広言しているんですから。つまり、

>国家、国民の未来に対する責任

 なんざ、ほとんど感じていないのでは。「子供を作って跡継ぎとし、王朝を安定させる」責任も、全く持っていない(ヒルダとの間に跡継ぎが出来たのは、奇跡のような偶然によるものですしねぇ)ようですし。こういう主君は、早死にしたのが正解なんじゃないでしょうか。世の中が安定して長生きした場合、平和に退屈してロクでもないことを始めるのではないかと。


No. 7147
Re:こういうのもありました
幽霊船 2006/11/10 03:04
作中の平民兵士にはラインハルトがハイネセンに上陸した折に涙を流すほどの感動を示した者もいました。
ゴールデンバウム貴族の暴政に耐えてきた彼ら平民にとってラインハルトは降って湧いた神の子です。
彼は公平で、さらに奢侈や淫蕩に耽らず、人生の多くを戦陣や役所で過ごしました。
その清冽な生き様に深く傾倒し、或いは崇拝する者も多かったのでしょう。
彼の抜けている部分に死の間際に気づく者もいたでしょうが、それを恨むのは筋違いです。
ラインハルトという身体だけ大きくなった少年を見誤っているのです。
戦死した兵士は哀れですが、他人を無制限に信仰したことによる不幸は受容するしかありません。

ラインハルトは冒険主義的で感情的で軍人としても皇帝としても不完全なのは確かです。
彼は陣頭に自ら立つことで、彼の国民が彼の為に死地に付き合うのも当然の義務と解釈したのでしょう。
自分に厳しくする者が他人にもそれを要求するのは無理からぬことです。
でなければ貴族も平民も彼の唾棄する種類の人間と同じです。

少なくともローエングラム朝において兵士は前王朝と比べれば愛国心に溢れた人間でした。
貴族の矮小な自尊心を満たす為に使い捨てられる哀れな家畜ではないのです。
あの時代に於いて奇跡的なレベルでマシな皇帝の為に共に戦い彼の為に死ぬことに喜びを感じない者はそもそも軍人に向いていません。
自分の適性を見極められない者にそれ相応の報いがあるのもまた自然の摂理です。

また現代ではともかくあの時代においてはラインハルトの国民は彼の慈悲と寛大によって与えられた権利に報いる義務があるでしょう。
我々が当然だと思っている権利は我々の時代と政体だから当然なのです。
あの作品のあの当時の人間としてはラインハルトは不完全でも十分すぎるほど高尚で高潔です。
同盟も帝国も民度が低すぎて彼とキルヒアイス以上の傑作は生まれ得ないと言うべきでしょうか。
彼らが馬鹿だと仰るのは判りますが、馬鹿だから駄目だと言うのは納得できません。

不沈戦艦氏の見識の広さと深さには感銘を受けることが多々ありますが、
作品への接し方には疑問の念を禁じえないのですが。


No. 7153
Re:こういうのもありました
不沈戦艦 2006/11/11 00:31
> 彼らが馬鹿だと仰るのは判りますが、馬鹿だから駄目だと言うのは納得できません。

 えーと、一体コレ、拙稿のどの部分が「馬鹿だから駄目」と言っているということになるのでしょうか?

 ラインハルトは「ヤンに勝ちたいから戦う」と言い張って必要のない戦争を始めた→その結果として、有力な提督二人を含む大勢の犠牲者を味方に出した→それなのに、病臥したら唐突に戦闘を止めてしまった→これでは用兵家としては落第だし、道楽で戦争する困った人である

 こういう主張は確かにしましたが、「馬鹿」だの「駄目」だの、書いた覚えは全くないんですがね。それに、作中から判断すべき事実関係について、何か誤りでもありましたか?


>作中の平民兵士にはラインハルトがハイネセンに上陸した折に涙を流すほどの感動を示した者もいました。
>ゴールデンバウム貴族の暴政に耐えてきた彼ら平民にとってラインハルトは降って湧いた神の子です。

 別に、こういう部分の否定をした覚えもありませんし。

 あなたが仰りたいことは、つまりはこういうことですか?

「銀英伝世界のラインハルトは、ゴールデンバウム王朝やら大貴族たちに比べて、遙かに立派な君主になっているのだから、その業績を批判することは許されないのだ」

「銀英伝に対する批判」を見たくないのなら、「田中芳樹を撃つ!」などという名前の、批判サイトなんぞは最初から見ない方がよろしいのではないでしょうか?


>ラインハルトは冒険主義的で感情的で軍人としても皇帝としても不完全なのは確かです。

 こういうことを書いているのですから、私の主張の論旨が全く理解できていないとも思えないんですがね。

>彼は陣頭に自ら立つことで、彼の国民が彼の為に死地に付き合うのも当然の義務と解釈したのでしょう。

 まあ、これは問題ないにしても、

>自分に厳しくする者が他人にもそれを要求するのは無理からぬことです。

 そのはずのラインハルトが「ヤンに戦術的に勝ちたいから」という理由で、「回廊の戦い」を挑むのは、「自分に厳しくする者が・・・」という前提条件を裏切ってはいませんか?「回廊の戦い」は、「帝国の国民やら人類社会全体の為」の戦いじゃないんですよ。単に、「ヤンに戦術的に勝ちたい」という、ラインハルトの自己満足(名誉欲)というだけのものです。イゼルローンに籠もったヤンたちは、自分たちから出戦する訳にはいかない(そんな戦力はない)んですから、回廊の両側を艦隊で封鎖(何なら要塞を持ってきてもいい)してしまえば、手も足も出せずに「イゼルローンだけの平和」に甘んじるしかなくなるんですから。

「自らの精神の満足の為には、味方を大量に殺しても構わない」なんてことをやる人間と、「ゴールデンバウム王朝の大貴族たち」の間に、何か違いがありますか。「同じ穴の狢」ではないですかね。私はあなたとは違って、「批判してはならない聖域」なんてものを、田中芳樹作品中に大事に持っておこうなんてつもりは全くありません。「高尚で高潔」と作者によって設定されているはずのラインハルトが「作中で実際にやっていること」が「否定されているはずの大貴族なみの低俗かつ愚劣なこと」であるなら、遠慮なく批判しますよ。それの何が問題なのでしょうかね。


No. 7156
Re:こういうのもありました
幽霊船 2006/11/11 03:01
「自らの精神の満足の為には、味方を大量に殺しても構わない」
それを肯定すればこその意見です。
ローエングラム王朝は所詮彼を頂点とした人治支配。
兵隊は使い捨てです。ゴールデンバウム王朝と同じ消耗品です。
ですがあのピューリタンみたいな性格が道楽戦争による人的被害以上の公益を国民に与えているように思いますが。
確かにラインハルトは矛盾しているし貴方の言うとおりゴールデンバウムの貴族と大差ありません。
ですが自らは腐敗しているのに他人に犠牲と献身を要求する輩とは支配者として一線を画しているでしょう。
その一点だけで十分彼は弁護に値するかと。
そして彼の支配者としての身分の保障はただ戦争による名誉だけです。

「回廊の両端を封鎖して無力化せよ」
貴方はよくそれを仰るが軍事戦略的には非常に有効でも政治的にはとても画期的な名案には思えないのです。
バーミリオンでの恥はラインハルトの権威を損なうものでした。
その上ヤンを恐れて戦わなければイゼルローン回廊が脅威として残るだけでなく、
旧同盟領もそれを頼りに発生する反乱やテロが後を絶たないでしょう。
これが統一(=平和)を望む支配者の行うことですか?
ヤンにしても政治に於いて無力だったのではなく無為無策だっただけです。
彼に伍する民主政の政体に於いてもヤンは望む望まぬに関わらず非常に巨大な政治力を既に持っていたのですから。
それどころか彼の緩い統制を好む配下の大半を隠匿するのだから挑戦状を叩き付けるのと同じことです。
降伏を勧めて受けない敵は政体の維持の為に倒すのが結果的に効率的です。

また死地に飛び込んで不利な戦争の戦端を開いたのはビッテンフェルトです。
回廊封鎖案をラインハルトに検討させるにはファーレンハイトの戦死だけでなく黒色槍騎兵の全滅が必要でしょう。
それをやるにしても本隊到着まで突破を許さないだけの戦力を回廊の両端に置くだけでなく、
反乱鎮圧に備える兵力まで用意しなければなりません。
それらの編成と維持コストはさっさと戦って勝てば解消される訳ですがそのことについてどう思いますか?
行政に於ける非効率なリスクはより最小限に取り除くべきです。
貴方が文句を言うべき点は「寛大な処置を許すとしても、何故レンネンカンプに命じてヤンを謀殺しなかったのか」では?
回廊の戦いをやるのははバーミリオンで降伏したヤンを処刑しなかった時点でしょうがないと思いますよ。

「批判してはならない聖域」
批判しても無駄なことを批判するのは感情と時間の無駄ではないですか?
早く反銀英伝を書いてください。


No. 7158
Re:ふむ
不沈戦艦 2006/11/11 13:08
> 「自らの精神の満足の為には、味方を大量に殺しても構わない」
> それを肯定すればこその意見です。
> ローエングラム王朝は所詮彼を頂点とした人治支配。
> 兵隊は使い捨てです。ゴールデンバウム王朝と同じ消耗品です。
> ですがあのピューリタンみたいな性格が道楽戦争による人的被害以上の公益を国民に与えているように思いますが。
> 確かにラインハルトは矛盾しているし貴方の言うとおりゴールデンバウムの貴族と大差ありません。
> ですが自らは腐敗しているのに他人に犠牲と献身を要求する輩とは支配者として一線を画しているでしょう。
> その一点だけで十分彼は弁護に値するかと。
> そして彼の支配者としての身分の保障はただ戦争による名誉だけです。

>貴方の言うとおりゴールデンバウムの貴族と大差ありません。

 ご理解がいただけたようで何よりです。これ以上、申し上げることもないようですが。


> 「回廊の両端を封鎖して無力化せよ」
> 貴方はよくそれを仰るが軍事戦略的には非常に有効でも政治的にはとても画期的な名案には思えないのです。
> バーミリオンでの恥はラインハルトの権威を損なうものでした。
> その上ヤンを恐れて戦わなければイゼルローン回廊が脅威として残るだけでなく、
> 旧同盟領もそれを頼りに発生する反乱やテロが後を絶たないでしょう。
> これが統一(=平和)を望む支配者の行うことですか?
> ヤンにしても政治に於いて無力だったのではなく無為無策だっただけです。
> 彼に伍する民主政の政体に於いてもヤンは望む望まぬに関わらず非常に巨大な政治力を既に持っていたのですから。
> それどころか彼の緩い統制を好む配下の大半を隠匿するのだから挑戦状を叩き付けるのと同じことです。
> 降伏を勧めて受けない敵は政体の維持の為に倒すのが結果的に効率的です。

 では、「キルヒアイスが諫めに来た」と言って止めてしまったのは明らかに失敗ですね。それと、封鎖を続けた場合、どちらが有利になると思いますか。イゼルローン側は完全に外界と切り離され、情報も得られなくなります。逆に、旧同盟領側にしても、封鎖されたイゼルローンがどうなっているのか全く分からない状況です。この状態で、イゼルローンを含む反帝国勢力が「心が折れず」に抗戦を続けられるでしょうか?極めて難しいと私は考えますがね。秀吉に囲まれた小田原城のようになったりしないとあなたは断言できるのですか。また、場合によっては敢えて偽情報を流すことで、反帝国勢力を混乱させることもできるでしょう。時間はかかりますが、無駄な犠牲を出さずに済みますので、私としてはこの選択の方がマシと判断します。あなたが「どうしてもそれは駄目だ。自分はその意見を支持しない」と主張するのは「ご勝手にどうぞ」としか言いようがないですがね。


> また死地に飛び込んで不利な戦争の戦端を開いたのはビッテンフェルトです。
> 回廊封鎖案をラインハルトに検討させるにはファーレンハイトの戦死だけでなく黒色槍騎兵の全滅が必要でしょう。
> それをやるにしても本隊到着まで突破を許さないだけの戦力を回廊の両端に置くだけでなく、
> 反乱鎮圧に備える兵力まで用意しなければなりません。
> それらの編成と維持コストはさっさと戦って勝てば解消される訳ですがそのことについてどう思いますか?
> 行政に於ける非効率なリスクはより最小限に取り除くべきです。
> 貴方が文句を言うべき点は「寛大な処置を許すとしても、何故レンネンカンプに命じてヤンを謀殺しなかったのか」では?
> 回廊の戦いをやるのははバーミリオンで降伏したヤンを処刑しなかった時点でしょうがないと思いますよ。

「キルヒアイスが諫めに来たと言って戦いを止めてしまったこと」を全く取り上げようとしないのはなぜでしょう。私は「回廊の戦いを始めたこと」と「戦いを始めたにもかかわらず、大きな犠牲を払いつつ有利になったのに、中途で打ち切ってしまったこと」の両方を批判しているのですが。また、「バーミリオンでと、レンネンカンプに命じてヤンを抹殺しなかったこと」は、もちろんラインハルトの失敗ですが、それがどうかしたのでしょうか。


> 「批判してはならない聖域」
> 批判しても無駄なことを批判するのは感情と時間の無駄ではないですか?

 では、あなたは何故私に対して反論しているのでしょうか?何の為の批判なのです?「批判しても無駄」ではないのですか。批判など無駄だと思われるなら、批判サイトの存在自体を無視するようにされた方が、あなたの精神衛生上好ましいのではないかと考えますが。「批判しても無駄」との考えを持ちながら、批判サイトに批判意見に対する批判を書き込みに来るのは、自己矛盾していると思いませんか。

 それと、あなたは根本的に勘違いをしているようですが、「だから銀英伝は駄目、小説としてもくだらない。ラインハルトもヤンもクズ」というような「結論」は私は一切言っていません。というか、そういうつもりも全くないですね。「是々非々」で作中でキャラクターのやったことを論じて、「駄目な部分はここ」と取り上げているだけなんですが、何がそんなに気に障ったのか、理解できないですね。


> 早く反銀英伝を書いてください。

 拙作の「大逆転!リップシュタット戦役」はとっくの昔に終わっていますが、それがどうかしましたか。「田中芳樹を撃つ!」からのリンクしかごらんになっていないのかも知れませんが、最後の部分は不特定多数向け公開の対象としていないだけです。リンクが貼られている私のHPをちゃんとごらんになられてはいかがでしょうか。


No. 7160
Re:ふむ
幽霊船 2006/11/11 19:12
「大逆転!リップシュタット戦役」
これは失礼。完全に当方のミスです。
催促のようになってしまって申し訳ない。いずれ読ませて頂きます。

「銀英伝が作品として駄目」
私も貴方がそんなことを仰ったのは見たことがないですな。
貴方は私が大好きな作品を貶されて忘我状態で貴方に食いかかってくる輩と同一視しているようです。
恐らく私が言った馬鹿と駄目という言葉に何か気に障る点があるようなので弁解させてもらいます。
「ラインハルトや彼の率いる帝国軍全体のナルシスティックで好戦的な雰囲気が”馬鹿”」というのが私の意見です。
そして「そのような馬鹿な彼らが自己満足の為に戦争するのが”駄目”だ」と仰るのが貴方の批判だと私は思っています。
そしてそれに対する私の弁護が「それはそうだが、その戦果として”馬鹿”なりの公正で清廉な政権を作った」です。

「何の為に批判か」
もう5、6年前くらいから貴方の言ってることは知っています。そして全く変わっていない。
初めて貴方の意見に目を通した時は目から鱗が落ちるほどの衝撃でそのまま鵜呑みにしましたが、
時が経ってその意見に対する疑問が出たので、納得出来る反論を貴方からお聞きしたいのです。
まあ煩わしいでしょうがお付き合い願います。

「高尚と高潔」
言葉というのは実に難しい。
私の望まない貴方の誤解と疑念を招くようなので撤回させてもらいます。
かって私はラインハルトが高尚、ゴールデンバウム貴族は凡俗で、
平民は貴族以上に無力で取るに足らない存在だと思っていました。
つまり「ラインハルト>ゴールデンバウム貴族>>>>>>>>>>>>>>平民」の構図です。
しかしこのサイトの論客諸賢の意見、特に貴方の意見を聞いてるうちに大分考えが変わりました。
それは「ラインハルト、ゴールデンバウム貴族>平民」という実にシンプルなものです。
ラインハルトは高尚だったからゴールデンバウム貴族に勝った訳でなく、
ただ多数の平民や軍人の支持を得るような”奇異奇特”な人間だったから勝ったのだと。
私の為に働くことはラインハルトはゴールデンバウム貴族に到底及びません。
ですが公の為に政体を利用することに関してラインハルトは貴族に比べ物にならない天才でした。
貴方の言うとおりゴールデンバウム貴族とラインハルトは同根です。
ですが支配者として咲かせた花は多くの平民にとって有益なものでした。
そしてその香ばしい花粉が手入れをする軍人の一部を殺すことに文句を言ってもしょうがないのではないですか?
専制政という根を断ち切るしかないと思いますが。

「皇帝と専制政」
ラインハルトは最低評価を下せば、
「偶然姉が後宮に奪われた為に、恐ろしい凡暗支配者たちとの競争を志した結果、
 宇宙で最も金と命を道楽で使える座にカッコ付けて偉そうに立っている、喧嘩っ早い利発で健康な美少年」に過ぎないです。
私にはラインハルトがあれ以上の成長をすることは無いと思います。
自分の意思で行った戦争を後悔することも無さそうですしね。
彼は常に自分のベストを実に感情的にそして少々効率的に尽くしたのですから。
貴方が強く主張するようにラインハルトとゴールデンバウム貴族は支配者の横暴さという面で大差ないです。
ですが軍人皇帝が、自分の地位を守り汚名を雪ぐ為に戦争を行って何が悪いのでしょう。
またヤンが懸念していた専制政の欠点とはそういうものではないでしょうか。
貴方は皇帝の不完全性を否定し彼の個人的な性格に基づく善政は別に分ける。
ヤン(田中芳樹)はラインハルトを認めつつ専制政の横暴を恐れる。まったく逆ですね。
この点において若き日の田中芳樹もそう捨てたものではないかと。
また貴方が作品に聖域を作らないと言いながらラインハルトに対しては支配者としての完全な神性を求めるのは何故です?
私はそれこそ時間と感情の浪費だと不思議に思うのです。彼は所詮人間です。

「キルヒアイスが諌めに来た」
あの馬鹿げたシーンを私は嫌いだからです。
死者への感傷で止めるくらいなら最初からしないほうがマシというのも判ります。
そのことに対しては弁護の仕様が無いですね。
私としてはオーベルシュタインがその役を担うべきだったかと。

「犠牲は払ったが有利になった」
フィッシャー提督の戦死を知らなかったはず。
戦前では敵を過小評価も過大評価もしていないですが、あの時点では間違いなく過大評価でした。

「篭城戦に於ける問題について」
無限に補給出来るイゼルローンに対して小田原城を持ち出すのは不適当では?
ヤンという好ましい指揮官の下で母国の民主主義の為という戦う理由がある最大で10年は粘れるでしょう。
私が知りたいのは、
1情報遮断がどの程度出来るか。
2同盟市民がヤンの義戦に呼応して援軍足り得るか。
3ラインハルトが大金を掛けて要塞を新設し、それをぶつけてイゼルローン自体が無力化すればどうなるか。
その三点です。
ヤンがヤンである限り離反者は出ないでしょうし、ラインハルトに匹敵する政治的脅威は無くならないと思うのですが。
私にその可能性をシミュレートする能力は全く有りません。
だから貴方に出来るかどうかお聞きしたい。
出来ないなら納得できるように教えて欲しいのですが。

「最後に」
虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄だと思っても、
尊敬する貴方と対話することが私の人間的な成長の損になることはないと思うのでここにいるだけです。
まあこれは些か失礼だったことへの弁解ですが。


No. 7166
Re:ふむ
不沈戦艦 2006/11/13 02:13
> 「銀英伝が作品として駄目」
> 私も貴方がそんなことを仰ったのは見たことがないですな。
> 貴方は私が大好きな作品を貶されて忘我状態で貴方に食いかかってくる輩と同一視しているようです。
> 恐らく私が言った馬鹿と駄目という言葉に何か気に障る点があるようなので弁解させてもらいます。
> 「ラインハルトや彼の率いる帝国軍全体のナルシスティックで好戦的な雰囲気が”馬鹿”」というのが私の意見です。
> そして「そのような馬鹿な彼らが自己満足の為に戦争するのが”駄目”だ」と仰るのが貴方の批判だと私は思っています。
> そしてそれに対する私の弁護が「それはそうだが、その戦果として”馬鹿”なりの公正で清廉な政権を作った」です。

> 彼らが馬鹿だと仰るのは判りますが、馬鹿だから駄目だと言うのは納得できません。

 気に障る云々ではないです。「彼らの問題点」について指摘したことに対して、「馬鹿だから駄目」呼ばわりで返されては、「大好きな作品を貶されて忘我状態で貴方に食いかかってくる輩と同一視」されても、仕方ないんじゃないですか?

> そしてそれに対する私の弁護が「それはそうだが、その戦果として”馬鹿”なりの公正で清廉な政権を作った」です。

 それは私が指摘した「馬鹿な点」についてのフォローになってはいますまい。「馬鹿な点」に対する反論でも何でもないですからね。「他に美点があるから、許されるのだ」と言っているだけなことは、あなたも理解していますよね。実際やっていることは、「大好きな作品を貶されて忘我状態で貴方に食いかかってくる輩」と変わりはしませんよ。私でなくても、そう解釈するのではないかと思いますが。



> 「何の為に批判か」
> もう5、6年前くらいから貴方の言ってることは知っています。そして全く変わっていない。
> 初めて貴方の意見に目を通した時は目から鱗が落ちるほどの衝撃でそのまま鵜呑みにしましたが、
> 時が経ってその意見に対する疑問が出たので、納得出来る反論を貴方からお聞きしたいのです。
> まあ煩わしいでしょうがお付き合い願います。

 はて、何を仰りたいのですかね。「その意見に対する疑問」を具体的かつ明確にしていただきたいところですな。



> 「高尚と高潔」
> 言葉というのは実に難しい。
> 私の望まない貴方の誤解と疑念を招くようなので撤回させてもらいます。
> かって私はラインハルトが高尚、ゴールデンバウム貴族は凡俗で、
> 平民は貴族以上に無力で取るに足らない存在だと思っていました。
> つまり「ラインハルト>ゴールデンバウム貴族>>>>>>>>>>>>>>平民」の構図です。
> しかしこのサイトの論客諸賢の意見、特に貴方の意見を聞いてるうちに大分考えが変わりました。
> それは「ラインハルト、ゴールデンバウム貴族>平民」という実にシンプルなものです。
> ラインハルトは高尚だったからゴールデンバウム貴族に勝った訳でなく、
> ただ多数の平民や軍人の支持を得るような”奇異奇特”な人間だったから勝ったのだと。
> 私の為に働くことはラインハルトはゴールデンバウム貴族に到底及びません。
> ですが公の為に政体を利用することに関してラインハルトは貴族に比べ物にならない天才でした。
> 貴方の言うとおりゴールデンバウム貴族とラインハルトは同根です。
> ですが支配者として咲かせた花は多くの平民にとって有益なものでした。
> そしてその香ばしい花粉が手入れをする軍人の一部を殺すことに文句を言ってもしょうがないのではないですか?
> 専制政という根を断ち切るしかないと思いますが。

> ですが支配者として咲かせた花は多くの平民にとって有益なものでした。

 これについて、私が否定したことはないはずですね。そんな覚えは全くありませんので。

>香ばしい花粉が手入れをする軍人の一部を殺すことに文句を言ってもしょうがない

 ここへ続く論理展開が、前とつながっていますか?

「ラインハルト支配体制はそれ以前より平民にとって有益だった」→「だからその指導者のわがままで多少の人死にが出たくらいでグダグダ文句を言うな」

 結局、あなたが言いたいのはこういうことにしかなりません。論理がどうのこうのではなく、「自分の思い入れのあるキャラに対する甘やかし」でしかないんじゃないですか?でしたら、あなたはラインハルトを甘やかしたい、私はそんなつもりはないということで、「両者のラインハルトに対するスタンスの違い」で話は終わりです。「お互い意見が違うということですね」という結論でよろしいですね?



> 「皇帝と専制政」
> ラインハルトは最低評価を下せば、
> 「偶然姉が後宮に奪われた為に、恐ろしい凡暗支配者たちとの競争を志した結果、
>  宇宙で最も金と命を道楽で使える座にカッコ付けて偉そうに立っている、喧嘩っ早い利発で健康な美少年」に過ぎないです。
> 私にはラインハルトがあれ以上の成長をすることは無いと思います。
> 自分の意思で行った戦争を後悔することも無さそうですしね。
> 彼は常に自分のベストを実に感情的にそして少々効率的に尽くしたのですから。
> 貴方が強く主張するようにラインハルトとゴールデンバウム貴族は支配者の横暴さという面で大差ないです。
> ですが軍人皇帝が、自分の地位を守り汚名を雪ぐ為に戦争を行って何が悪いのでしょう。
> またヤンが懸念していた専制政の欠点とはそういうものではないでしょうか。
> 貴方は皇帝の不完全性を否定し彼の個人的な性格に基づく善政は別に分ける。
> ヤン(田中芳樹)はラインハルトを認めつつ専制政の横暴を恐れる。まったく逆ですね。
> この点において若き日の田中芳樹もそう捨てたものではないかと。
> また貴方が作品に聖域を作らないと言いながらラインハルトに対しては支配者としての完全な神性を求めるのは何故です?
> 私はそれこそ時間と感情の浪費だと不思議に思うのです。彼は所詮人間です。

> ラインハルトは最低評価を下せば、

 私がそういう評価を下しているという訳ではありませんよ。分かっているとは思いますが。

>若き日の田中芳樹もそう捨てたものではない

 ここは違うと思いますよ。このサイトでも、そう解釈している人が多かったと記憶しています。そうだったら、田中芳樹ももっと高く評価されたでしょうね。「ラインハルトが大貴族なみになって堕落していることについては、田中芳樹は意識して書いているのではなく、結果的にそうなってしまっているのに、書いている本人が全く分かっていないのでは」と見ている人が多かったはずです。私も同意見ですが。

> また貴方が作品に聖域を作らないと言いながらラインハルトに対しては支配者としての完全な神性を求めるのは何故です?

「作中で行われた戦闘に対する批判」が「支配者としての完全な神性を求める」に何故すり替えられるのでしょうか。



> 「キルヒアイスが諌めに来た」
> あの馬鹿げたシーンを私は嫌いだからです。
> 死者への感傷で止めるくらいなら最初からしないほうがマシというのも判ります。
> そのことに対しては弁護の仕様が無いですね。
> 私としてはオーベルシュタインがその役を担うべきだったかと。
>
> 「犠牲は払ったが有利になった」
> フィッシャー提督の戦死を知らなかったはず。
> 戦前では敵を過小評価も過大評価もしていないですが、あの時点では間違いなく過大評価でした。

 難攻不落の要塞を力攻めで落とそうとするのなら、日露戦争の旅順方式しかありますまい。敵より多大な兵力を用いて、消耗戦に持ち込むことです。それを正しく実行していたのに、途中で止める(総指揮官が病気なら、代行を立てればよろしい。ミッターマイヤーでもロイエンタールでもちゃんとこなすでしょう)のは愚行と言えるでしょう。



> 「篭城戦に於ける問題について」
> 無限に補給出来るイゼルローンに対して小田原城を持ち出すのは不適当では?
> ヤンという好ましい指揮官の下で母国の民主主義の為という戦う理由がある最大で10年は粘れるでしょう。
> 私が知りたいのは、
> 1情報遮断がどの程度出来るか。
> 2同盟市民がヤンの義戦に呼応して援軍足り得るか。
> 3ラインハルトが大金を掛けて要塞を新設し、それをぶつけてイゼルローン自体が無力化すればどうなるか。
> その三点です。
> ヤンがヤンである限り離反者は出ないでしょうし、ラインハルトに匹敵する政治的脅威は無くならないと思うのですが。
> 私にその可能性をシミュレートする能力は全く有りません。
> だから貴方に出来るかどうかお聞きしたい。
> 出来ないなら納得できるように教えて欲しいのですが。

 小田原城は「鳥取城並みに兵糧が尽きて飢餓地獄となって開城」したのではないですよね。まだまだ、十分抗戦能力はあったのに、周囲を封鎖した秀吉軍がいくら時間が経っても平然としている様子に狼狽して、内部崩壊した訳で。もちろん、小田原城が「無限補給」できた訳ではないですが、戦国期の籠城戦としての能力的には、それに近いものであったとは言えませんかね。上杉謙信が囲んだ時は、諦めて撤退していますし。「例」として持ち出したことが、不適当であるとは私には思われませんが。

> ヤンという好ましい指揮官の下で母国の民主主義の為という戦う理由がある最大で10年は粘れるでしょう。

 って、この根拠は一体何なのですか?「当然の前提条件」のように書いていますが、これって単なるあなた一人の感想ではないですかね。

> ヤンがヤンである限り離反者は出ない

 これだって、何かの根拠がある訳でも何でもないではないですか。上と同じく「あなたの感想」でしかない。「作中記述から確定していないこと」を「当然の前提条件」の如く扱うのは、止めていただけないでしょうか。「いや、根拠はある」と仰られるのなら、それを示して下さい。

> 1情報遮断がどの程度出来るか。
> 2同盟市民がヤンの義戦に呼応して援軍足り得るか。
> 3ラインハルトが大金を掛けて要塞を新設し、それをぶつけてイゼルローン自体が無力化すればどうなるか。

 この根拠を私に求めるのは何故ですか?命題を立てたのはあなたなのだから、自分の考えを先ず明らかにすべきでしょう。

> 私にその可能性をシミュレートする能力は全く有りません。

 最初から「逃げ」に徹するのは、止めてくれませんか。


> 「最後に」
> 虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄だと思っても、
> 尊敬する貴方と対話することが私の人間的な成長の損になることはないと思うのでここにいるだけです。
> まあこれは些か失礼だったことへの弁解ですが。

>虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄

 これ、本気で考えているのなら、何であなたは「田中芳樹を撃つ!」なんぞを閲覧なさっているのでしょうか。「あなたが考える無駄なこと」を嬉々としてやっている暇人が集っているところなんですよ?まさか、そのことが分かっていないのですか?「虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄だ」と言ったところで、「我々は、それが面白いからやっているのだ。あんたが無駄だと思うのは勝手だが、それを我々に押しつけないでくれ」で話は終わりです。


No. 7167
さらば不沈戦艦
幽霊船 2006/11/13 20:22
それは私が指摘した「馬鹿な点」についてのフォローになってはいません。
「馬鹿な点」に対する反論でも何でもないです。
「他に美点があるから、許されるのだ」と言っているだけなことは、あなたも理解していますよね。
私でなくても、そう解釈するのではないかと思いますが。

ラインハルトを甘やかしたい云々は違うと言っておきましょう。
むしろラインハルトを過大評価しているのは貴方のほうでは?
彼が好き勝手に出来る政体を許容するシステムを支持してるのは彼の人民です。
そしてそのシステムでは容易に凡夫は堕落し腐敗する。
専制政を使う上である一定の品性を保つにはどうすればいいのでしょう?
私は”あの作品中では皇帝とそれを支持する軍部の「馬鹿な雰囲気」が必要不可欠だ”と言っているのです。

>回廊の戦いを描いたのは田中芳樹の意識に因るものではなく只の偶然。

ラインハルト個人は権力を手にしても堕落も腐敗もしていないでしょう。
少なくとも彼にとっての堕落と腐敗を彼自身が実行したとは思えませんね。
また病気で倒れたから戦争を中断したことへの非難も妥当とは思えません。
ヤンを倒すことは巨大な戦功です。
「ナンバー2はいらない」とオーベルシュタインも主張したではないですか。
政体の性質を考えれば双璧に指揮を引き継がせる案は軍事的には効率的に見えますが、政治的にはリスクのある選択なのでは?
人間が完全に計画どおり効率的に動く機械で戦争が単純な算数で決まるなら貴方の意見はパーフェクトに正しい。
ですが貴方の主張にはエラーの可能性が全然考慮されていないように聞こえます。

>「作中で行われた戦闘に対する批判」が「支配者としての完全な神性を求める」に何故すり替えられるのでしょうか。

”既にラインハルトは作品中の模擬神”
”その政権はラインハルト一個人の軍隊に於ける将才と戦功への信仰心によって支えられている”
”それに並ぶヤンがイゼルローンに篭城するのはラインハルトの権威への挑戦”
”「回廊の戦い」はラインハルトとヤンの個人的な戦争であると同時に、結果的に専制政と民主政の人民全体の政争である”

あの戦争はそういう観点で捉えるのが妥当ではないか?と思ったのです。
戦争を権力者が”やるかやらないか”という一個人の人間性による意思が焦点になるのが専制政ならば、
”やらないしやらせない”というのが民主政というシステムの特徴なのでは?
ラインハルトが上司に自由裁量を与えられただけの単なる野心家の軍団長程度であるならば貴方の批判に疑問を呈することはないのです。
貴方の意見はヤンの偶像性と影響力を過小評価しているように思うのですが。

>命題を立てたのはあなたなのだから、自分の考えを先ず明らかにすべきでしょう。
>最初から「逃げ」に徹するのは、止めてくれませんか。

回廊の戦いの政治的意義と彼我の戦力差の評価を変えれば貴方がどういう結論を出すか知りたいだけでした。
私は回廊の戦いをヤンがやると決めた時点で同盟にとってのアーレ・ハイネセンと同等の歴史的な価値を持ったように見えました。
ユリアンの手柄は”皇帝の気紛れでどうにでもなる非常に弱体な政権を手にしただけ”に過ぎない。
それだって当時の彼としては十分凄いのですが、ヤンが存命ならばもっと有利な条件で講和出来たのではないかと思ったのです。
貴方が私の命題が取るに足らぬと思うならば、現時点ではどうしようもないですな。
この命題は私自身が自分で検討しましょう。ご迷惑をお掛けしました。

>田中芳樹
もう彼は何年も前から生きる為に書くのではなく書く為に書く人間です。
そして彼の甘えを許す業界に鎮座する存在です。
その品性が凡俗だと非難するのは正しいことですが、それを言う貴方自身はどうなのでしょう?
貴方の論法を借りるなら、
「ラインハルトは、戦争が面白いからやっているのだ。あんたが無駄だと思うのは勝手だが、それを専制皇帝に直言するだけの覚悟はあるのか?」
場の性質を理由に目下の者との対話を閉ざすような印象を大いに受けましたよ。
感想以外に因る部分を持たない人間との対話は貴方にとって無駄なのでしょうか?
私のような衆愚には貴方と田中芳樹が同類にしか見えません。
一方は富にして慢、一方は知にして傲。
私は”不沈戦艦”というこの掲示板の権威に知者にして長者たることを求めていた訳ですが、どうやらそれは勝手な期待外れだったようです。


No. 7168
Re7160:それは無理な解釈では?
冒険風ライダー 2006/11/13 21:15
 横レスですが、


<私の為に働くことはラインハルトはゴールデンバウム貴族に到底及びません。
ですが公の為に政体を利用することに関してラインハルトは貴族に比べ物にならない天才でした。
貴方の言うとおりゴールデンバウム貴族とラインハルトは同根です。
ですが支配者として咲かせた花は多くの平民にとって有益なものでした。
そしてその香ばしい花粉が手入れをする軍人の一部を殺すことに文句を言ってもしょうがないのではないですか?
専制政という根を断ち切るしかないと思いますが。>
<貴方が強く主張するようにラインハルトとゴールデンバウム貴族は支配者の横暴さという面で大差ないです。
ですが軍人皇帝が、自分の地位を守り汚名を雪ぐ為に戦争を行って何が悪いのでしょう。>

 まず、このような主張は却ってラインハルトを貶めることになるのではありませんか?
 ラインハルトはその生涯を通じて、ゴールデンバウム王朝のルドルフや門閥貴族が持つ「支配者の横暴さ」に対して一貫して否定的であり続けましたし、また過去にはキルヒアイスに以下のような約束を交わしていたこともあります↓

銀英伝外伝3巻 P218上段〜P219上段
<「ご存知ですか? 来年早々にも、また叛乱軍に対する軍事行動がおこされるそうです。今度はイゼルローン回廊に叛乱軍の進攻を許さず、こちらから先制出撃するとか」
「えらく強気だな、ミュッケンベルガー元帥も。何か理由があるのか」
「今回の戦死者がすくなかった、と、そう言っておいでのようです」
「すくなかっただと!?」
「四〇万人に達しませんでしたから。三〇何万かの生命、それと同じ数の家庭です。門閥貴族にとっては、とるにたりぬものなのでしょう」
 キルヒアイスの声に、静かな、それだけに深い憤りが潜んでいた。ラインハルトは、キルヒアイスの精神に、氷山を感じることがある。表層にあらわれぬ存在の、静かで、巨大で、深く、厚く、充実していることを。
「キルヒアイス、おれはこんなばかげた戦いはしない。無益に兵士たちを殺すようなことはしない。おれたちの目的を達成するためには、まったく血を流さないわけにはいかないだろうけど、無益に血を捨てたりしないことは約束する」
 赤毛の若者は、はじめて微笑した。>

 しかし実際には、ラインハルトは第8次イゼルローン要塞攻防戦、マル・アデッタ星域会戦、回廊の戦いと、ただ己の個人的な欲求を満たすためだけの「無益に兵士たちを殺す」「ばかげた戦い」を展開し「無益に血を捨て」てしまっていますよね。つまり、ラインハルトの言動と行動には著しい乖離およびダブルスタンダードが存在するわけで、「どの面下げてお前がそんなことを言えるんだ」という批判は充分に成立しえるでしょう。
 それに対する「反論」が「その香ばしい花粉が手入れをする軍人の一部を殺すことに文句を言ってもしょうがないのではないですか?」だの「軍人皇帝が、自分の地位を守り汚名を雪ぐ為に戦争を行って何が悪いのでしょう」だのといったものでは、第一に「相手の主張を全面的に肯定している」という点で全く反論になっていませんし、第二にラインハルトが拠って立つ正当性を踏みにじっている点で、これ以上ないほどにラインハルトを侮辱していることになるわけです。
 ラインハルトを擁護するつもりで貶めることになるのでは、滑稽でしかないとは思いませんか? そんな愚劣な擁護論、当のラインハルトでさえ拒否するのではないかと思うのですけど。


<またヤンが懸念していた専制政の欠点とはそういうものではないでしょうか。>
<この点において若き日の田中芳樹もそう捨てたものではないかと。>

 これが作品論・作家論として成立するためには、必要最低限「ヤンが【専制政治の象徴】としてではない【個人としてのラインハルト】を批判する」という描写が不可欠ですね。実際には、ヤンにとってラインハルトは「【専制政治の象徴】としての【民主主義に対する脅威】な存在」でしかなく、「個人としてのラインハルト」については、下手すればキルヒアイスやミッターマイヤー以上に無批判かつ盲目的な信仰心を抱いているようにしか見えませんが。
 しかも作家たる田中芳樹に至っては、インタビュー記事の中でこんなことを平気で言っている始末です↓

銀河英雄伝説読本 P150(アサヒ芸能 1988年2月4日)
<主人公であるラインハルトのキャラクターは、意図的に完璧なものにしました。絶対的な専制君主で、能力的にすぐれ、顔もいい。民主主義の欠陥を映し出す鏡にしたかった。>

 よって、「ヤンが懸念していた専制政の欠点」も「若き日の田中芳樹」も、「ラインハルトが個人的かつ戦闘狂的な欲求から戦争を行い、多大な犠牲を国民に強いること」を「ゴールデンバウム王朝の門閥貴族と同レベル以下で愚劣なシロモノ」とは全く認識していないわけです。
 ラインハルトの「支配者の横暴さ」をヤンおよび田中芳樹が「専制政の欠点」として認識していた、という主張には無理があるのでは。


<虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄だと思っても、
尊敬する貴方と対話することが私の人間的な成長の損になることはないと思うのでここにいるだけです。
まあこれは些か失礼だったことへの弁解ですが。>

 あなた自身、同じ投稿でこんなことを言っていますよね↓

<初めて貴方の意見に目を通した時は目から鱗が落ちるほどの衝撃でそのまま鵜呑みにしましたが、
時が経ってその意見に対する疑問が出たので、納得出来る反論を貴方からお聞きしたいのです。>

 他ならぬあなた自身が不沈戦艦さんの投稿を読んで「目から鱗が落ちるほどの衝撃」を受けたのですから、もうこの時点で「無駄」とは言えないのでは? タナウツの設立目的のひとつ「田中芳樹の論調を何の疑いもなく信じるファンの意識に、何らかの楔を打ち込む」にも合致しますし。
 それに、そもそも批判というものは本人に対して以上に第三者に向かって語っていくものですし、特に作品におけるキャラクター批判の場合は、作品の質、ひいては作者の執筆責任をも無言のうちに問いかけることにも直結します。その観点から言っても「無駄」とは到底思えませんね。
 それとも、あなたの「目から鱗が落ちるほどの衝撃」や「時が経ってその意見に対する疑問が出た」というのは、あなたにとって「私の人間的な成長の損になる」ことだったのですか?


No. 7170
あなたさ、自分が何をやっていたのか分かっていましたか?
不沈戦艦 2006/11/14 01:20
>「批判してはならない聖域」
>批判しても無駄なことを批判するのは感情と時間の無駄ではないですか?

 これ、そっくりそのままあなたに帰ってくるんですよ?

「擁護しても無駄なことを議論するのは感情と時間の無駄ではないですか?」

 という風にね。「架空の作品のキャラの行動」を批判しようが擁護しようが、ベクトルの向きが逆だと言うだけで、やっていることの本質は同じです。つまり、「架空の作品のキャラの行動について、否定的や肯定的に論じることを楽しむ暇人の行為」でしかないのです。それが面白い(作品自体は好きなので)から、「暇人の行為」であっても、敢えてやっている訳です。

 ところがあなたは、「ラインハルト擁護論」をぶちかましながら、私の「ラインハルト批判論」は「架空の作品のキャラに対するものだから意味がない」と主張する。まるっきり、ダブスタでしかありませんね。あなたのやっていることは、「擁護したいキャラに対する批判を封じ込めたがっている信者」と何が違うのでしょうかね?批判に対して擁護論ぶちあげているのに、批判は意味がないと主張している時点で、あなたの言っていることに整合性も説得力も無くなっているんですが、何でそれに気づかないのか不思議でしたわ。


> 私は”あの作品中では皇帝とそれを支持する軍部の「馬鹿な雰囲気」が必要不可欠だ”と言っているのです。

「意見が合わない対立点」について、これ以上「自説が正しい!」と言い張っても、それこそ「無駄」ではないかと思いますが。


> >回廊の戦いを描いたのは田中芳樹の意識に因るものではなく只の偶然。
>
> ラインハルト個人は権力を手にしても堕落も腐敗もしていないでしょう。

 冒険風ライダー氏の「7168」を読んでみれば、銀英伝に対するあなたの考え違いが、少しなりとも理解できるのではないでしょうか。この件についての議論は、この掲示板では過去に行われていて一定の「共通理解」ができているものですので。


> 場の性質を理由に目下の者との対話を閉ざすような印象を大いに受けましたよ。

 いつからあなたが「目下」で、私が「目上」になったのでしょうか?あなたという方は、不思議なくらい思いこみが激しい方ですねぇ。正直、私はこういう人には、ついて行けないですわ。


> 感想以外に因る部分を持たない人間との対話は貴方にとって無駄なのでしょうか?
> 私のような衆愚には貴方と田中芳樹が同類にしか見えません。

 作品について議論しているのに、その根拠を作中から得られないというのでは、全く議論にならないではないですか。あなたは、「作品について議論」する場合の、基本すら理解できていないのですか?それだったら、こんな場に書き込むのはお止めなさいよ。全然向いていませんから。


> 私は”不沈戦艦”というこの掲示板の権威に知者にして長者たることを求めていた訳ですが、どうやらそれは勝手な期待外れだったようです。

 勝手に「見込んで」、議論における自分の不備を指摘されると恨み言を並べて「期待外れだ」とこき下ろす訳ですか。あきれ果ててモノも言えませんわ。


No. 7171
一つにまとめさせて貰います。
幽霊船 2006/11/14 20:38
不沈戦艦氏へ
>作品について議論しているのに、その根拠を作中から得られないというのでは、全く議論にならないではないですか。
>あなたは、「作品について議論」する場合の、基本すら理解できていないのですか?
>それだったら、こんな場に書き込むのはお止めなさいよ。全然向いていませんから。

まったくその通り。
その”基本”を宜しければ逐一ご教示願いたい。

>タナウツの存在意義
先ず、私はここの批判サイトの存在意義がどうとかを云々するつもりは最初から無かったはずなのです。
「虚構の人間のどうにもならない人間性を批判することは無駄」
↑が貴方たちとの対話の邪魔でしかないだけでなく、私自身の矛盾を示す以上取り下げましょう。
また数年前に”不沈戦艦”や”冒険風ライダー”という論者たちに偉大さを感じたというのも嘘ではありません。
だが何を言ってるのか全てを理解した訳では無かったのも今なおそういう状態であるのも確かです。
まあ疑問をぶつけるには如何にもこの展開は唐突すぎたことは謝罪します。
どちらにせよ貴方たち二人は私にとっての権威で私自身はその意見に懐疑的でそれを判断しようとする目下です。


冒険風ライダー氏へ
>まず、このような主張は却ってラインハルトを貶めることになるのではありませんか?
>ラインハルトはその生涯を通じて、
>ゴールデンバウム王朝のルドルフや門閥貴族が持つ「支配者の横暴さ」に対して一貫して否定的であり続けました。
>第一に「相手の主張を全面的に肯定している」という点で全く反論になっていませんし、
>第二にラインハルトが拠って立つ正当性を踏みにじっている点で、これ以上ないほどにラインハルトを侮辱していることになるわけです。
>ラインハルトを擁護するつもりで貶めることになるのでは、滑稽でしかないとは思いませんか?
>そんな愚劣な擁護論、当のラインハルトでさえ拒否するのではないかと思うのですけど。

人間は立場や状況で言うことも考えも何もかも変わるものでしょう。
当時のラインハルトは「支配者の横暴さ」を使うだけの権力が無かっただけで、
いざ自分が手にすれば、その行為による影響を検討もしない無神経な人間だったのでは?
自分に何ら恥ずべき点が無いと思ってる人間は、概して自分の行動を省みないものだと思います。
それだけに、いざ自分がヴェスターランドの生き残りに逆恨みで暗殺されそうになった時のショックの受け方はリアルだったかと。
また一軍人であった時に交わしたキルヒアイスとの約束も、彼の心中に於ける自分の価値を高めるだけの行為でしかなかったように思いますが。
子供は本能的、感覚的にそういう儀式行為をやるものです。
あの作品のコンセプトの一部は”ラインハルトやヒルダという俗悪な部分が未発達の少年少女に専制政を行わせる”というものでは?
私の一連の擁護が愚劣なのは認めますが、愚劣な行為にはその程度の擁護しか出来ない。
いや擁護にもなってないか。
ただの”道楽戦争で理不尽に殺されても便利な専制皇帝を支持する”という感想に過ぎないのですから。
それだって”ゴールデンバウム貴族の下で悲惨にこき使われるよりマシ”という感想の発展でしかないですけど。

1<またヤンが懸念していた専制政の欠点とはそういうものではないでしょうか。>
<この点において若き日の田中芳樹もそう捨てたものではないかと。>

2<主人公であるラインハルトのキャラクターは、意図的に(ターゲットとする購買層の要求に比して)完璧なものにしました。
 (彼らにとって)絶対的な専制君主で、能力的にすぐれ、顔もいい。(極端に腐敗した)民主主義の欠陥を映し出す鏡にしたかった。>

作品やコメントではそう書いていますが、あなた方の意見を考慮して読み直すと1のように見えた。そして2のように解釈した。それだけです。
つまり私は自分自身の感覚を重んじてはいないが、結局それ以外に拠るべき点を持たない人種だと言えますね。


No. 7172
補足
不沈戦艦 2006/11/14 21:13
 もうちょっと「マトモ」かと一瞬思ったんですが、「幽霊船」氏は「ダメ」でしたね。少なくとも、掲示板で議論するのは止めた方がいいです。向いていないから。

 何が「ダメ」かと言いますと、

1.自分のダブスタに気付くことすらできない。
2.「ツッコミ」を入れられると、泣き言を並べて感情的非難(相手が「悪い奴」であるが如く印象操作)を始める。
3.話をすり替える。関係ない話を持ち出す。
4.都合の悪い話は無視する。
5.意見の対立を認められない。自説に「屈伏」させることに固執する。

 こういう人は、「議論」は止めておいた方がよいでしょう。

「1」及び「2」についてはすでに具体的に述べていますから、先ずは「3」について説明しましょうか。私がラインハルトの「戦争して勝ちたい病」を批判したところ、「幽霊船」氏は「架空作品の虚構の人物に対する批判は無駄」という以外に、「ラインハルトに神性を求めるな」という「反論」も行いました。私は「話をすり替えないでくれ」と言ったのですが、何でそう言われるのか、「幽霊船」氏には理解できなかったみたいですね。例えばですが、この批判の対象をラインハルトではなく、ビッテンフェルトに変えてみたらどうでしょうか?前提は、「回廊の戦いで、猪突して勝手に戦闘を始めてしまったこと」を「批判した」ということにでもしておきましょうか。

 さてこの場合、「幽霊船」氏は「架空作品の虚構の人物であるビッテンフェルトを批判しても無駄」とか、「ビッテンフェルトに神性を求めるな」と「反論」したでしょうか?到底そうとは考えられません。いや、そんな「批判」は無視したのではないかと思われますね。つまり、「幽霊船」氏が「擁護論」をぶちあげたのは、対象がラインハルトに他ならなかったからであって、彼の行動は「信者」のものでしかない訳です。実は「ラインハルトに神性を感じている」のは「幽霊船」氏の方であり、その対象が批判されたことによって「神性を汚された」からこそ、それを相手の責任に押し付けて「神性を求めるな」と言い出すということですな。ここで仮に「架空作品の虚構の人物に対する批判は無駄」と「(特定のキャラクターに)神性を求めるな」という命題を「是」とするならば、それはどちらも「ラインハルトに限って」適用されるべき「論理」ではありません。こういう「論理」を使うのなら、どんなキャラクターに対しても、差別なく適用しなければ駄目です。上の例で、「ビッテンフェルトのような、架空作品の虚構の人物に対する批判は無駄」「ビッテンフェルトに神性を求めるな」と言い出す奴が居たとしたら、「ビッテンフェルト信者」としか言いようがありません(まあ、そんな人は先ず居ないと思いますけどね)が、対象がラインハルトだったら「信者ではない」だなんて、そんな莫迦な話がある訳がないですね。そんなことを言う人間は、対象が誰であろうと「信者」でしかないんですよ。それとは逆に私は「信者ではない」から、特定のキャラクターに「神性」など求めてはいません。だから、ラインハルトだろうとビッテンフェルトだろうと、問題があると思ったら遠慮なく批判しますが、「信者」は「神性を求めるな」と言い出して話をすり替え、批判を封殺しようとする訳です。困ったものですね。更に「物証」を突きつけるとすると、「既にラインハルトは作品中の模擬神」とまで「崇めて」いる人は「信者」としか言いようがないでしょうというあたりですか。「模擬神」って、そりゃ彼の配下の一般兵士は「神の如く崇めて」いるでしょうけど、ヤン一党を始めとする同盟市民(国民の方が適当だと思いますけどね)たちはどうですか?「神」どころか、自分たちを征服しようとする敵でしかない。「作品中の模擬神」とまで言うのは、「幽霊船」氏としては「信者」だからそこまで称えたいんでしょうけど、あまりに大仰でしょうよ。また、最初の方で唐突に出てきた「反銀英伝の続きを書いて下さい」ってのは、今回の議論に一体何の関係があるのでしょうかね?もちろん、過去に散々「田中芳樹の遅筆ぶり」は「ネタ」としては出てきていますが(すでに諦めている人の方が多いようですがね)、今回私と「ろくでん」氏がやり取りしていた中のどこに「田中芳樹の遅筆」を責める内容があったと言うのでしょうか?もちろん、そんなものはどこにもありません。「関係ない話を持ち出して誤魔化そうとする」のは、みっともないですよ。

 次に「4」ですが、「小田原城の話」は、実は「無限補給できるイゼルローンには当てはまらない」と「以前イゼルローンの無限補給説を支持していた相手なんだから、上手く切り返すことができたと得意になって」返して来るだろう思って、敢えてやってみた「誘い」だったんですわ。当然、次にぶつけるべき回答も、最初から用意していた訳です。それで、この「誘い」について、私がもっとも関心があったのは「幽霊船」氏が「その後どう反応するか?」だったんですが、彼の「答え」は「都合の悪い話は無視」でした。よりによって最悪の選択ですね。「都合の悪い話は無視」したところで「無かったこと」にはできないということが、「幽霊船」氏には分からなかったようですけど。

 最後に「5」ですが、「ラインハルトを甘やかす・甘やかさない」の件で、私はすでに「意見が違うのは分かったから、これ以上やっても仕方ないでしょ」と議論を打ち切ろうとしている訳ですが、そこに至っても「自分が正しい」と粘着しているのですからねぇ。他者との意見の違いを認められず、何としても自説の優位を訴えないと我慢できないのですか。まるで子供ですな。

 もう一つ、以下の件についてですが、

>ヤンを倒すことは巨大な戦功です。
>「ナンバー2はいらない」とオーベルシュタインも主張したではないですか。
>政体の性質を考えれば双璧に指揮を引き継がせる案は軍事的には効率的に見えますが、政治的にはリスクのある選択なのでは?

 そんなことを言い出したら、極論すれば「ヤンを倒すのはラインハルトがブリュンヒルトの砲手になって主砲を撃ち、ヒューベリオンを破壊しないと駄目」なんてことになりかねませんが。それに、「反対の為の反対」は見苦しいですよ。「ラインハルト以外が指揮を取ってヤンを倒すと、倒した人間がその武勲によって『No.2』になってしまい、政治的問題が発生する」のなら、「ロイエンタールでもミッターマイヤーでも、ヤンを倒した方を後で亡き者にしてしまえばいい。その手の謀略は、オーベルシュタインが当然のこととして実行するだろう」で問題なしですね。更に、「回廊の戦い」の最中に、ミッターマイヤーが「ベイオウルフ」に乗って前線に出てもいます(後で戦死の誤報が流れたくらい)。この時、ミッターマイヤーが「ヤンを仕留めて」しまった場合は、どうなるんですか?「ミッターマイヤーを前線に出すべきではなかった。ヤンを倒す武勲をミッターマイヤー一人が担ってしまうと、政治的問題が発生する」と、ラインハルトを批判しますか?ラインハルトに対する批判に反対する為に、それ自体が新たな批判となってしまうのでは、本末転倒もいいところではないですか。矛盾した行動を、無理矢理にでも擁護しようなんてことをすると、次から次へと破綻が発生して当然です。そのような、無理は止めた方が良いという結論にしかなりませんね。


 最後に「幽霊船」氏に一言。

 自分の足下を見つめ直した方がよろしいですね。そりゃ、人間のやることなので、間違いやら問題がある場合は往々にしてあるものですが、誤りや欠点を指摘されてもそれを認識できず、感情的に反発するだけじゃ話になりませんよ。言葉遣いさえ丁寧ならいいってもんでもないですし。ここを長年見ていた割に、そういうことが全く分かっていないのでは論外です。


No. 7174
Re:補足
幽霊船 2006/11/14 22:20
>1.自分のダブスタに気付くことすらできない。
>2.「ツッコミ」を入れられると、泣き言を並べて感情的非難(相手が「悪い奴」であるが如く印象操作)を始める。
>3.話をすり替える。関係ない話を持ち出す。
>4.都合の悪い話は無視する。
>5.意見の対立を認められない。自説に「屈伏」させることに固執する。

1.確かに最初から私はダブルスタンダードでしたね。

2.気付いていましたか。流石です。
  7172以前の貴方の文章に私を説得しようという印象はまるで感じなかったのでかなり不快な気分になりました。
  貴方の文章は実に感情的で排他的でした。
  逆に「議論」での勝利が確定した7172には大いに自分の勝利を私に説明しようという理知が感じられる。
  最初からそれをやって頂きたい。私が貴方に「議論」で勝てる訳がないのです。

3.私はろくでん氏と貴方の議論は見ていないので本来別にスレッドを立てるべきでした。謝罪します。
  あと誤解しているようですが「模擬神≒専制皇帝」の意味合いなのですが。
  まあその表現が誤解を呼ぶものだということについては否定しません。
  ”反銀英伝の続きを書け”と言うのも全く関係のない話だというのは的外れですね。私にとってはそれがこの流れの発端だったのだから。
  貴方に非がない以上、私の全くの勘違いによる勇み足です。それについて大いに貴方を激怒させたようなので改めて謝罪します。

4.失礼、本当に貴方があの件で何を言いたいのかよく判らないのです。
  第一、小田原城の置かれた状況自体を詳しく知らない人間がそのトラップとやらに引っかかる訳が無いでしょう。
  「無限補給と言うアドバンテージがある以上中の人間が心理的に折れない限り何時までも篭城可能」
  その私の認識のどこに欠陥があるのか全く判らないのですが。
  ハード面の技術は進歩してもソフト面の技術は何千年経っても大して変わっていないという話は聞いたことがありますが、
  イゼルローンと小田原城では自動車と馬車以上の運用の差があるのでは?
  その認識のどこが間違っているのか、また何か高度な話を用意して頂いているなら是非承りたいです。

5.だから”私は衆愚”だって言ってるでしょう?これは謙遜とか卑下じゃなく事実ですよ。
  大人なら飴を下さい。


No. 7177
Re:補足
S.K 2006/11/15 00:15
>「無限補給と言うアドバンテージがある以上中の人間が心理的に折れない限り何時までも篭城可能」
> その私の認識のどこに欠陥があるのか全く判らないのですが。

 作中既に『イゼルローン内部に破綻の萌芽が7巻の時点、同盟消滅前に発生している」事を読み落されてます。

エル・ファシル独立政府=
「民主共和制の守護の為ヤン提督は立ち上がって下さり戦力も続々終結しつつある。なのに何故ヤン提督は帝国そして皇帝ラインハルト打倒の方策も行動も示してくださらないのか」

ヤン・ウェンリー=
「その続々集めってやっと帝国と十対一程度の戦力差で、どういうダメコンと反撃を加えれば皇帝ラインハルトが『ヤン・ウェンリー』ではなく『ヤン・ウェンリーの理念たる民主共和制』に『お前強いな』と男の友情をいだいてくれるか、本当にそれが我々が頭蓋骨を叩き割るまで皇帝に土下座して許してもらうより人類に有益な事か悩んでいる最中ですのでお知恵か静かな思索時間をくださいませんか」

不正規隊一党=
「理由は各々だがとにかく我々は『帝国臣民』としての道を選び得ないので全力を持ってヤン・ウェンリーに一点賭けを行う」

 年単位の持久戦に移行した段階で、最低エル・ファシル共和政府とヤン及び不正規隊との間には結構な亀裂が生じそうな気がしませんか。



>   ハード面の技術は進歩してもソフト面の技術は何千年経っても大して変わっていないという話は聞いたことがありますが、
>   イゼルローンと小田原城では自動車と馬車以上の運用の差があるのでは?
>   その認識のどこが間違っているのか、また何か高度な話を用意して頂いているなら是非承りたいです。

「人間大して進歩はしない」というのは銀英伝のバックボーンの重要な一要素ですので「馬鹿な確執で敵に敗北する前に自己崩壊する」危険は中世の城でも未来の宇宙要塞でも大して変わらないと思いますよ。
 小田原の北条氏は単に包囲されて干された訳ではありません。
「まだ攻めてこないのは名門北条を殲滅させたいからではなく和議の道があるのでは」
「馬鹿を言うな、あれは『いつでも殺せる』と北条を愚弄しているのだ、早く撃って出て成り上がりの百姓(秀吉)に武家の意地を見せ付けてやるのだ。そこで幸運にも秀吉の首級が挙がれば初めて北条に再度の機会がおとずれるという物だろうに」
「包囲軍とて飯を食う。いつまでも小田原に張り付いていては徳川他の有力大名にも穏やかならぬ負担がかかろう。ここは耐え抜く時ぞ」
と重臣たちの合議が四分五裂したので兵も訳の判らないままモチベーションが下がり続けたのが滅亡の重要な要因だったという説は割と一般的です。



> 5.だから”私は衆愚”だって言ってるでしょう?これは謙遜とか卑下じゃなく事実ですよ。
>   大人なら飴を下さい。

 弱点を補強して再挑戦してみましょう。
 期待されれば飴がもらえるかもしれません。
 あわよくば軽く足を引っ掛ける程度の工夫をしてみましょう。
 仲良くした方が得策として飴がもらえるかもしれません。


No. 8164
移動要塞を使わなかった理由
独貧貴族 2009/05/17 15:31
ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。
1.統一後に自分すら脅かしかねない危険素材なので有効性が解かっていても使えない(ラインハルトがガイエスブルクをボロクソに貶していた事を考えると危険性を理解していたかも)
2.単に気付いていなかった。気付いていれば迷わず使い戦略に革命を起した(移動要塞を中核にする艦隊運用)
3.予算面からガイエスブルク改造がやっとで移動を前提にした要塞を作れなかった(ラグナロックでは数を優先し耐久年数を過ぎた艦を多用していた!?)


No. 8165
Re8164:要塞建造の時間と手間
冒険風ライダー(管理人) 2009/05/17 17:22
<ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。>

 現地生産のために現地で要塞を建造する、ということに問題があったのではありませんかね? 要塞の建造に4〜5年ほどの時間と多大なカネがかかることは銀英伝外伝2巻P41に明示されていますし、敵地に要塞を建造する途中で敵からの攻撃や妨害を受けることだってありえるわけですから。
 そして、建造済みの要塞を現地まで移動させる、という発想は、銀英伝ではシャフトが発案するまで存在しなかったようですので、それはそもそも考えつかなかった、とするのが正しいのでは?

 ただ、「じゃあイオン・ファゼカス号および長征一万光年の事蹟を、何故帝国側は参考にしなかったのか?」と言われると、私も上手い解答が思い浮かばないのですが(^^;)。


No. 8166
Re:移動要塞を使わなかった理由
S.K 2009/05/18 21:39
> ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。

 とは言うものの普通に戦って同盟は一度エル・ファシルを失陥していますし、ラインハルトにした所でアスターテで同盟宇宙艦隊の四分の一を壊滅させ、ラグナロック遠征にせよ、ヤン曰く「『ヤン・ウェンリーを艦隊戦で打倒する』というほど自分を意識してくれていなければ、ハイネセンや他の有人惑星を潰されて同盟の敗北が確定する」とヴァーミリオン会戦までの補給妨害が博打である事を認めています。
 ゴールデンバウム王朝の歴代貴族や軍人の見通しが甘すぎるのはあるにしても、0から建国した同盟は帝国より400年分の国力差があるのは事実であり、意識してかはともかく普通の戦闘をしていれば体力勝ちできる見込みも高く、実際イゼルローンがヤンの手で陥落した直後の同盟の国情はレベロが指摘するとおり長年の総力戦体制で破綻寸前になっていましたし、過剰な危機意識で『移動要塞』『新要塞建築』という投機的戦略に走る必要もなかったのではないかと思います。
 3巻におけるガイエスブルグ移動要塞というのは、決定的に同盟との総戦力差が開いて一応国内が安定したから、という余裕で打った布石という事になるでしょう。


No. 8167
Re:移動要塞を使わなかった理由
独貧貴族 2009/05/20 22:37
戦う前から同盟の体力は限界で勝負はすでに付いて、あえて移動要塞を作る必要は無かった。
ガイエスブルクを作ったのは新政権の象徴で戦略的に運用する事をあまり考えてはいなかったと・・・なるほど。

しかし、フェザーン方面からガイエスブルクと何万隻かの艦隊を同盟に侵入させればラグナロックを発動するまでも無く同盟に勝てたと思います。これはガイエスブルク就航時にフェザーン通過作戦の構想が纏まっておらず、下策とも言える要塞に要塞をぶつける運用になってしまっただけかもしれませんね。


No. 8169
Re:移動要塞を使わなかった理由
S.K 2009/05/21 00:43
> しかし、フェザーン方面からガイエスブルクと何万隻かの艦隊を同盟に侵入させればラグナロックを発動するまでも無く同盟に勝てたと思います。これはガイエスブルク就航時にフェザーン通過作戦の構想が纏まっておらず、下策とも言える要塞に要塞をぶつける運用になってしまっただけかもしれませんね。

 ラインハルトがラグナロック作戦に踏み切れたのは、フェザーン=地球教枢軸による「ゴールデンバウム王朝残党の皇帝誘拐→同盟での亡命政権樹立」のおかげで「折角の平和を乱す賊をこの際一挙に討伐する。フェザーンも協力を申し出たからには回廊の通行権と同盟の星図を渡す用意はあるんだろうな?なくてもこっちは貰う準備があるぞ」という大義名分が成立したからです。
 これはシャフトの提案時には予測できない未来の時系列の出来事なので「本気でヤン=ウェンリーの指揮するイゼルローン要塞を攻め陥とす気なら8巻の回廊の戦いの準備がいる。それを考えたら『要塞+一個艦隊VS移動要塞+二個艦隊』というのは、勝ち目があってかつ安いのではないか」という発想はそう批難に値する物でもないでしょう。
 あの段階でフェザーン侵攻をやっても、同盟軍のアムリッツァ侵攻艦隊ほどではないにせよ、兵士の「何で?」という士気低下は避けられず、それは得策じゃないんじゃないかと思います。


No. 8173
Re:移動要塞を使わなかった理由
独貧貴族 2009/05/21 18:33
フェザーンは帝国領なので
逆徒討伐のための軍を通過させる。協力しない場合は叛意ありと見做し討伐するとは出来なかったのでしょうか。


No. 8175
Re:移動要塞を使わなかった理由
S.K 2009/05/21 18:53
「帝国の資産増加の為に同盟とも交易したいから」で保証してやった自治権を前に、それはいかにも無理矢理でしょう。
 もっともラグナロック作戦の時の様に、フェザーンが「騒動を治めるために一肌脱ぎましょうか?」と聞いてきた時は別ですが。


No. 8176
Re:移動要塞を使わなかった理由
独貧貴族 2009/05/21 23:18
なるほど、フェザーンの方からの行動が有るまでラインハルトは動けなかったのですね。


No. 8225
Re:移動要塞を使わなかった理由
A.Na 2009/07/29 01:22
いっそ、ラグナロック作戦まで、ガイエスブルグ要塞を温存してもよかったのでは?
という気もしましたが、通常航行用にせよワープ用にせよ、いずれかの推進機関が
一つでも戦闘等で損傷したら、まず間違いなくその場から動けなくなるので、結局
さほど役に立たなかったかもしれませんね。


No. 8226
Re:移動要塞を使わなかった理由
S.K 2009/07/29 04:39
 あと「いつ次の軍事行動の機会があるかわからない」状態でしたので、手近の「イゼルローン要塞攻略」に使ってみる、というのは間違ってはいないでしょう。
 あと、「温存」はシャフト技術総監が「勿体無い」と強行に即時使用を勧めてくるでしょうね、そうでないと自分の手柄が先送りになりますので。
 オーベルシュタインも「仲の良い双璧が結託してNo.2化するより立場上同格の誰かに武功を挙げさせてNo.3を増やす」契機にできる「安価で比較的戦力をさかれずラインハルトは内政に専念できる」イゼルローン攻略なら賛成してもいい腹積もりだったでしょう。


No. 8287
イゼルローン論争
クラゲ 2010/01/18 12:14
はじめまして。
イゼルローンがもし永久機関を搭載していて、なおかつ距離1000光秒以内しか観測出来ないとしたら、ヤン陣営が回廊にこもるかぎり帝国側はイゼルローンを破壊する事が出来ません。何故なら、艦隊を1000光秒くらいのところに展開しておけば、2000光秒から観測出来ないのだから、小惑星をぶつけることも出来ません。
しかし、通常空間に出た場合、360度全てに警戒しなければならないのですから不利になります。
ヤン陣営がイゼルローン回廊にこもる戦略をとった場合、やはり何としても安全に観測するためにイゼルローンから1000光秒に近付く為に艦隊戦になると思います。
僕がヤンだったら、移動可能になった時点で他の銀河に逃げ出します。


No. 8288
前提がわかりません
クラゲ 2010/01/19 12:34
というかどんな議論もまず公理をはっきり箇条書きして頂けるとわかりやすいのですが。


No. 8289
Re:イゼルローン論争
S.K 2010/01/19 21:52
> はじめまして。

どうぞ宜しく。


> イゼルローンがもし永久機関を搭載していて、なおかつ距離1000光秒以内しか観測出来ないとしたら、ヤン陣営が回廊にこもるかぎり帝国側はイゼルローンを破壊する事が出来ません。何故なら、艦隊を1000光秒くらいのところに展開しておけば、2000光秒から観測出来ないのだから、小惑星をぶつけることも出来ません。

 元々帝国が設置したイゼルローン要塞で、元々帝国が試作実用化した移動要塞ですから、空間位置座標も移動による誤差も想定は容易いでしょう。
 つまり、この戦闘の「小惑星狙撃」に限り、複数目標を想定する必要はあるでしょうが「盲撃ち」が充分有効なのです。


> 僕がヤンだったら、移動可能になった時点で他の銀河に逃げ出します。

 まあそれは名案の一つとして過去列挙されました。


>というかどんな議論もまず公理をはっきり箇条書きして頂けるとわかりやすいのですが。

 議論の第一レスと原作を読み、流れを推移して御自分で御一考下さい。
 それでわからなければ「貴方にとって無意味な議論」という事で正しいと思います。


No. 8291-8292
Re:イゼルローン論争
クラゲ 2010/01/19 23:19
移動要塞のMまで、及びBAからBC読みました。
その上でやっぱり逃げた方が良いと思いました。
僕自身も、ラインハルトの回廊の戦いは彼の失政の一つと思いますが、それならばわざわざヤン陣営がそれ以上に人的被害がでるであろうゲリラ戦は取るべき出ないと思いました。
では前提の確認をしたいと思います。
大前提として銀英伝の記述が成り立たない仮説を立ててはいけないとして、

1・艦及び要塞は永久機関を搭載している。
2・要塞は無限に補給を行える。
3・艦隊は食料及び武器弾薬を補給しなければならない。
4・移動要塞は実現可能である。
5・索敵可能領域は1000光秒以内である。
6・どこであろうと、一度あるいは複数回のワープで行く事が出来る。
7・技術者及び、軍人はすぐにベテランになれない。
8・既存の航路は両陣営とも完全に把握している。
9・現実の物理法則で議論してはならない。
10・要塞は艦並みの機動性を持っている。
11・要塞建設に4年かかる。
12・要塞にエンジンを取り付けるのに3ヶ月かかる。

冒険風ライダーさんの想定している前提はこうであると思いますが、過不足あるいは誤りがあるでしょうか?


No. 8293
Re:イゼルローン論争
S.K 2010/01/20 00:51
> 移動要塞のMまで、及びBAからBC読みました。
> その上でやっぱり逃げた方が良いと思いました。
> 僕自身も、ラインハルトの回廊の戦いは彼の失政の一つと思いますが、それならばわざわざヤン陣営がそれ以上に人的被害がでるであろうゲリラ戦は取るべきでないと思いました。

 ヤンは逃げた方が性に合うだろうというのが、「要塞逃亡案」の名案たる理由の一つですが、
「奇襲による小規模戦闘を延々仕掛けて帝国の疲弊と民主共和制度を望む民衆の自覚及び奮起を促す」
という理由で、原作に出た「『人民の海』作戦」同様のゲリラ戦術もあながち間違いとは言えない側面もあります。


> 冒険風ライダーさんの想定している前提はこうであると思いますが、過不足あるいは誤りがあるでしょうか?

「私はこう思っていた」という範囲で良ければ以下注釈いたします。


> では前提の確認をしたいと思います。
> 大前提として銀英伝の記述が成り立たない仮説を立ててはいけないとして、
>
> 1・艦及び要塞は永久機関を搭載している。
> 2・要塞は無限に補給を行える。

 2.を前提にして「艦艇及び軍人の補給に窮する事はない」という作中の記述より、1・の「では要塞本体に設置する、複数の通常艦艇用エンジンの動力にも困る事はない」という演繹の結果です。
 それが「永久機関」なのか「膨大な備蓄」なのか「高高率な自給システム」なのかは特に問題視されておりません、原作の記述で「イゼルローン要塞は軍の補給に困らない」という作中事実があるだけなので。


> 3・艦隊は食料及び武器弾薬を補給しなければならない。

 その通り、といいますか「武器も食料もいらない艦隊」って「幽霊船団」って言いませんか?


> 4・移動要塞は実現可能である。

「ガイエスブルグ移動要塞」が後付けで「なかった事」にならない限りにおいてその通りです。


> 5・索敵可能領域は1000光秒以内である。

 原作が現在手元にないのでこのあたりは私には確言できかねますが、原作にそう記述されていたなら、「作中事実」としてそうなりますね。


> 6・どこであろうと、一度あるいは複数回のワープで行く事が出来る。

 所謂「危険宙域」は無理です。
 何故帝国と同盟の間に「回廊」と呼ばれる宙域があるのか考えれば「そこ以外は航行は事実上不可能」という結論になるでしょう。


> 7・技術者及び、軍人はすぐにベテランになれない。

 稀に「天才」と呼ばれる人種が「ベテラン」以上の成果を挙げる事はありますが、これも概ねその通りです。


> 8・既存の航路は両陣営とも完全に把握している。

 帝国はそうですが、ヤンについては「帝国領はアムリッツァで遠征した所までと、イゼルローンに残された帝国軍航路データ次第」でしょう。
 データが完璧なら、これもその通りです。


> 9・現実の物理法則で議論してはならない。

 正確には「現在の物理理論限界をどこまで克服・突破しているのかは作者以外には断言できないので、まず『作中事実』とその解釈を前提に論じよう」という事です。


> 10・要塞は艦並みの機動性を持っている。

 3巻でのガイエスブルグ轟沈の描写からするに、明らかに通常航行における機動は鈍いですね。
 速度・ワープ距離において通常艦船と遜色ないというだけでしょう。


>11・要塞建設に4年かかる。

 建設側の財政と手腕次第で変動するでしょう。


>12・要塞にエンジンを取り付けるのに3ヶ月かかる。

 ガイエスブルグ移動要塞はそうでした。
 イゼルローンを移動要塞化しようと言う場合、「先例があるから同等かもう少し早く出来る」のか「未知の運用ノウハウなのでもう少し手間と期間が必要」なのかは不明確です。


No. 8294
Re:イゼルローン論争
クラゲ 2010/01/20 05:01
では、この前提の下に考えてみたいと思います。
結論をまず先に言えば、移動要塞を評価していようがいまいが、史実と似た歴史になると思います。
まずバーミリオン会戦以前ですが、ヤン陣営側にはイゼルローンを移動要塞にしても同盟領防衛には何の意味もないし、イゼルローンが防衛しなければ帝国に本土を攻め込まれると思います。
代わりとなる要塞建設も経済的に無理だと思います。
仮に直径60キロメートルの小惑星にエンジンを取り付けた所で補給基地としては役にたたないし、常に駐留させて置くには補給部隊なりシフトを組むなりでただでさえ、大敗と内乱で艦数の少ない同盟には維持は不可能だと思います。
では帝国側はどうか?
同盟がせっかく弱っているのに要塞建設と、4年間も時間を与えるよりかは直ぐに大艦隊を率いて攻め込んだ方がより確実だと思います。
バーミリオン以後は、帝国側は冒険風ライダーさんの想定したテロをイゼルローン指揮官が行う可能性があるので、移動要塞化させない方向になるのではないでしょうか?
ヤン陣営がイゼルローン再奪取後はどうか?
まずヤンがアンネローゼを知らないし、知っていたとしても、3ヵ月帝国は北朝鮮よろしく交渉するでしょう。
誘拐出来なかったとしても、オーベルシュタインが反ヤン報道なりすると思います。そもそも、3ヵ月くらいで帝国の統治を揺るがせないと思いますがどうでしょう?
トールハンマーの射程内に入らないように艦隊を付かず離れずに、また重要な拠点だけ守り、辺境は防衛しない方針をとると思います。
後はセンサーなり目視なりで、氷爆弾を打って長期滞在させないようにします。
3ヶ月で帝国、同盟領各地で小惑星にエンジンを取り付け、イゼルローン回廊を封鎖します。
帝国側は豊富な艦隊があるので維持出来ると思います。
仮にヤン陣営に発覚したとしても、全ての小惑星基地を破壊する事は不可能だと思います。
封鎖完了後、最後に現れたところからドーナツ状に包囲され、攻め込まれると、ヤンは考えたかも知れません。

なんとなく、例の計画はハンニバルの状況に似ていると思うのは僕だけでしょうか?


No. 8295
Re:イゼルローン論争
S.K 2010/01/20 19:23
> では、この前提の下に考えてみたいと思います。
> まずバーミリオン会戦以前ですが、ヤン陣営側にはイゼルローンを移動要塞にしても同盟領防衛には何の意味もないし、イゼルローンが防衛しなければ帝国に本土を攻め込まれると思います。
> 代わりとなる要塞建設も経済的に無理だと思います。
> 仮に直径60キロメートルの小惑星にエンジンを取り付けた所で補給基地としては役にたたないし、常に駐留させて置くには補給部隊なりシフトを組むなりでただでさえ、大敗と内乱で艦数の少ない同盟には維持は不可能だと思います。
> では帝国側はどうか?
> 同盟がせっかく弱っているのに要塞建設と、4年間も時間を与えるよりかは直ぐに大艦隊を率いて攻め込んだ方がより確実だと思います。

 その点についてはその通りです。


> バーミリオン以後は、帝国側は冒険風ライダーさんの想定したテロをイゼルローン指揮官が行う可能性があるので、移動要塞化させない方向になるのではないでしょうか?

 その前に大義名分としてラインハルトは「自由惑星同盟政府の不誠実と不見識」を糾弾しているので、帝国はまず既に死に体であれ同盟と決着をつけなくてはいけません。
 そもそも「ヤン・ウェンリー元帥の罪を問うつもりはないので出頭されたし」という呼び掛けには、限度はあれ「今すぐ直ちに」という強制はしておりません。
 ゆえに「同盟の崩壊までにイゼルローン要塞を移動要塞化して選択肢に「降伏」「ラインハルトがこの会戦の無益を悟るまで交戦」の従来の二択に「第2時『長征一万光年』」「移動補給港付き『人民の海』作戦」の二つの選択肢を挿入できるか否かというのが議論の要点なので「間に合わない」説を選択するなら

> 結論をまず先に言えば、移動要塞を評価していようがいまいが、史実と似た歴史になると思います。

でしょうが、「では、間に合った場合には?」という議論にはあまり関係してきませんね。


> ヤン陣営がイゼルローン再奪取後はどうか?
> まずヤンがアンネローゼを知らないし、知っていたとしても、3ヵ月帝国は北朝鮮よろしく交渉するでしょう。
> 誘拐出来なかったとしても、オーベルシュタインが反ヤン報道なりすると思います。そもそも、3ヵ月くらいで帝国の統治を揺るがせないと思いますがどうでしょう?

 何か、複数の議論を混同したままにしていませんか?
「宇宙要塞の移動要塞化に概ね3か月かかる」のと、「移動要塞化に成功した後ヤンのゲリラ戦術構想『人民の海』作戦に利用する」議論は完全に各個独立していますし、後者「『人民の海」作戦」に「3か月」という縛りは存在しませんよ?
 その為の「移動無限補給港『イゼルローン移動要塞』」なんですから。


> トールハンマーの射程内に入らないように艦隊を付かず離れずに、また重要な拠点だけ守り、辺境は防衛しない方針をとると思います。

 辺境にも民衆はいて、帝国領であれば「ローエングラム王朝も民衆を守ってくれないのか」という失望は伝播しますし、旧同盟領であれば「やはり帝国は人民の敵だ」という奮起を促せるでしょう。


> 後はセンサーなり目視なりで、氷爆弾を打って長期滞在させないようにします。

 どのみち「移動要塞計画」に成功すれば「どこかに長居して継戦」という構想はヤンは持たないでしょう。
 ゲリラ戦ないしは逃避行だから成功の余地があるのであって、「いずれどこかでラインハルトと決戦」というのは最悪の愚案です。


> 3ヶ月で帝国、同盟領各地で小惑星にエンジンを取り付け、イゼルローン回廊を封鎖します。
> 帝国側は豊富な艦隊があるので維持出来ると思います。
> 仮にヤン陣営に発覚したとしても、全ての小惑星基地を破壊する事は不可能だと思います。
> 封鎖完了後、最後に現れたところからドーナツ状に包囲され、攻め込まれると、ヤンは考えたかも知れません。

 上記の繰り返しになりますが「それまでに改造が間に合うか」が移動要塞計画の骨子なので、「間に合わなかった場合」だけ考えればそれは「原作通り」になるよりないでしょう。
 むしろこのテーマの要点は「間に合った場合とその時の選択肢の広がり、それによる異なる未来というIF」にこそあるのですが。


No. 8296
Re8291/8292/8294:移動要塞論いろいろレス
冒険風ライダー(管理人) 2010/01/20 20:06
>クラゲさん
 はじめまして。
 移動要塞論争の前提条件については、No.8293のS.Kさんの回答で概ね合っておりますが、私の方からも若干の追加補足を。


<5・索敵可能領域は1000光秒以内である。>

 これについては作中で描かれているアスターテ会戦時その他の索敵描写を元にした私の推論となります。その根拠については以下の投稿を参照↓

http://www.tanautsu.net/kousatsu02_03_as.html#3818

 ただ、この問題に関しては以前にも同じような反論を展開されたことがありまして、それに対して私は以下のような追加回答を行っております↓

http://www.tanautsu.net/kousatsu02_03_ar.html#3787
<(中略)
 これらのことから、たとえ光年単位の距離においても、宇宙船や艦隊の所在をおぼろげながらでも推測・確認できる手段自体が、銀英伝世界にも一応は存在していることがお分かり頂けるでしょう。有効探知距離500〜1000光秒レベルの観測・索敵というのは、おぼろげながら把握されている敵の所在を、遭遇予測星系で座標単位&目視レベルで把握・最終確認するといったような「索敵活動における最後の詰め」を行うためのものである、と考えた方が、作品世界を破綻させない設定としては妥当なものであると言えます。>

 要するに「索敵可能領域は1000光秒以内」ということだけにこだわると、そこからまた矛盾する問題が発生する、ということですね。光秒どころか光年単位の宇宙航行で艦艇同士の会合や接敵が銀英伝世界では頻繁に行われている事実があるので、それをも含めて考えると、おおよその敵の位置や行動を光年単位で把握できる方法自体は別に存在するが、具体的かつ正確な座標確認等の最終的な把握・確認を行う際は1000光秒以下の能力しか持たない索敵が必要となる、ということになるわけです。
 いや、こうでも考えないと、銀英伝の作中で行われている1000光秒以下レベルの索敵描写と、広大な宇宙空間で艦艇同士の接触が何度も当然のように行われている描写が両立しえないんですよね(>_<)。この辺りの宇宙航行に関する記述は、作者自身、その場その場でかなり御都合主義かついいかげんな描写を展開していて矛盾だらけもいいところですし、双方の描写を矛盾なく成立させるための辻褄合わせには私も結構頭を抱えたものでして(苦笑)。


<12・要塞にエンジンを取り付けるのに3ヶ月かかる。>

 この辺りは初期の議論でも言及していますが、3ヶ月というのは、移動要塞がシャフトによって提言され、ケンプとミュラーに移動要塞改造の命令が下った1月下旬頃から、実際に移動要塞がイゼルローン要塞前に布陣した4月10日までの期間なのであって、移動要塞がヴァルハラ星系外縁部に現れて安定動作が認められたのはそれよりも早い3月17日のことですから、「要塞にエンジンを取り付ける」だけならばそれよりもはるかに短い時間で済むことになります。
 特に問題なのは移動時間で、

命令を受けたケンプとミュラーが工兵を率いてガイエスブルク要塞のある宙域へ行く

移動要塞改造後、移動要塞をヴァルハラ星系外縁部に出現させる

というプロセスだけでゆうに1ヶ月〜40日近くもの時間を必要とします。ヴァルハラ星系からガイエスブルク要塞のある星系までは片道だけで通常行程20日、無理して急いでも14日は確実にかかりますから、往復移動だけで倍の28日〜40日は余裕で過ぎ去ってしまうことになるわけで、実のところ作中における移動要塞改造というのは「ただの移動」だけでその期間の半分以上を占めていることになるわけです。
 1月下旬頃から3月17日までの実質2ヶ月以下の期間からさらに移動時間を除いた1ヶ月あるかどうかの日数が「【現地で実際に行われた】移動要塞改造工事に要した時間」となるのではないかと。


<まずバーミリオン会戦以前ですが、ヤン陣営側にはイゼルローンを移動要塞にしても同盟領防衛には何の意味もないし、イゼルローンが防衛しなければ帝国に本土を攻め込まれると思います。
代わりとなる要塞建設も経済的に無理だと思います。
仮に直径60キロメートルの小惑星にエンジンを取り付けた所で補給基地としては役にたたないし、常に駐留させて置くには補給部隊なりシフトを組むなりでただでさえ、大敗と内乱で艦数の少ない同盟には維持は不可能だと思います。>

 「要塞に要塞をぶつけて破壊してしまえば良い」という考えは、原作の「あの」ヤンやラインハルトでさえ明言していることですし、作中でも実際に行われたことだったりしますよね? そうなると、イゼルローンから要塞が動けない状態では、例の要塞特攻を改良した小惑星の連続攻撃等の戦法に対して全く無為無力かつ格好の的、ということになってしまいます。単に「今後行われるかもしれない小惑星連続攻撃への対処法」としても、要塞を移動要塞に改造する必要性はあったのではないでしょうか?
 また、ヤンはラインハルトがフェザーン回廊から同盟領へ侵攻してくる可能性を予測していましたし、それ故にイゼルローン回廊の防衛にこだわるのは愚の骨頂みたいな主張も展開していました。ならばその際には、動けない要塞など全く何の役にも立たないし、一方で移動要塞に改造してしまえば戦力としても補給基地としても活用でき、ひいては同盟の防衛にも役立つということが理解できないはずはありますまい。「ただでさえ、大敗と内乱で艦数の少ない同盟」であればなおさら、戦力を柔軟に生かす道を考える必要だってあるのですし。
 ラインハルトが小惑星連続攻撃戦法のような要塞攻撃をやってこなかったのは、単にラインハルトが軍事革命的な意義を移動要塞に全く見出しえなかったマヌケであったというだけの話でしかないのであって、要塞の安全確保のみならず同盟の防衛という観点からこういうことを考える必要性がヤンには絶対にあったと思うのですけどね。


<では帝国側はどうか?
同盟がせっかく弱っているのに要塞建設と、4年間も時間を与えるよりかは直ぐに大艦隊を率いて攻め込んだ方がより確実だと思います。>

 帝国の「神々の黄昏」作戦の際には、確実に長くなる補給線を同盟軍に突かれることに対する懸念が帝国軍の高官の間で囁かれていましたし、実際、ゾンバルト少将が護衛していた補給船団が撃滅されたことにより、帝国軍は補給問題に悩まされる事態に陥りました。他ならぬラインハルト自身、同盟の帝国領侵攻作戦では同盟の補給線を破壊する作戦を展開し、数に勝る同盟軍に壊滅的打撃を与えた実績があるのですし、敵が劣勢を挽回するために必ずやってくると分かりきっているのであればなおのこと、補給線寸断戦法を完全に無効化できる移動要塞の価値と重要性は当然把握しておかなければならないものだったはずです。
 また、移動要塞が提言された時点では、帝国がすぐさま同盟に攻め込むかどうかはラインハルト自身も含めて予測不能でしたし、「神々の黄昏」作戦発動の際にも、門閥貴族残党の幼帝誘拐および亡命を同盟が受け入れなければ、帝国は当面、同盟侵攻の大義名分を失ってしまうことになったであろうと、他ならぬラインハルト自身が明言しています。あの時点で「直ぐに大艦隊を率いて攻め込」む局面なるもの自体が果たして出現しえるのか、またいつ出現するのかという予測など、全能の予知能力者でもない限り立てられるものではなかったわけです。それならばなおのこと、長期的な視野に基づいた補給問題の解消のみならず現状の戦力格差の維持もしくは拡大という観点から見てさえも、移動要塞の大規模建造および改造に着手して悪いことはないでしょう。
 ラインハルトが移動要塞の価値を正しく評価し、上手い活用法を考えていれば、ラインハルトは補給問題で窮地に陥ることなく、原作以上に「楽に」かつ「確実に」勝てる体制が整えられたことは間違いなく、それは必然的に味方の負担と犠牲を抑えることにも繋がるのです。それを考えれば、帝国側が移動要塞を活用する必要性は大いにあったと言えるのではないでしょうか。


<バーミリオン以後は、帝国側は冒険風ライダーさんの想定したテロをイゼルローン指揮官が行う可能性があるので、移動要塞化させない方向になるのではないでしょうか?>

 しかし上でも言及したように、一方では自力で動けない要塞が小惑星攻撃の格好の的にしかなりえないことが明白になってしまっている以上、単なる要塞の安全確保と戦略的価値の維持という観点だけから考えても、移動要塞化はやらないとマズイのでは? 同盟がいなくなっても、ヤン一派や地球教のごとき武装集団ないしはテロ集団がテロの道具として小惑星攻撃を使用してくる可能性が(微小の確率ではあっても)なくなることはないのですから。
 誰かが似たようなものを登場させてしまう可能性がある以上、ある種の抑止力としての移動要塞の完全破棄は論外ですし、軍閥化の問題については、将兵と家族を切り離したり、将兵&将官の配置転換を頻繁に行ったりすることで、移動要塞の有無とは関係なく対処していくしかないのではないかと。


<ヤン陣営がイゼルローン再奪取後はどうか?
まずヤンがアンネローゼを知らないし、知っていたとしても、3ヵ月帝国は北朝鮮よろしく交渉するでしょう。
誘拐出来なかったとしても、オーベルシュタインが反ヤン報道なりすると思います。そもそも、3ヵ月くらいで帝国の統治を揺るがせないと思いますがどうでしょう?
トールハンマーの射程内に入らないように艦隊を付かず離れずに、また重要な拠点だけ守り、辺境は防衛しない方針をとると思います。
後はセンサーなり目視なりで、氷爆弾を打って長期滞在させないようにします。
3ヶ月で帝国、同盟領各地で小惑星にエンジンを取り付け、イゼルローン回廊を封鎖します。
帝国側は豊富な艦隊があるので維持出来ると思います。
仮にヤン陣営に発覚したとしても、全ての小惑星基地を破壊する事は不可能だと思います。
封鎖完了後、最後に現れたところからドーナツ状に包囲され、攻め込まれると、ヤンは考えたかも知れません。>

 まずアンネローゼについては、ヤンと同じく全く面識がないはずのルビンスキーですら「ラインハルトの弱点」であるとはっきり認識していることや、銀英伝2巻におけるフェルナーのシュワルツェンの館襲撃の目的にアンネローゼの捕縛があったこと、さらには銀英伝10巻でアンネローゼを見かけたユリアンでさえも、アンネローゼがいてこそのラインハルトであったという事実関係を知っていることなどから、作中におけるラインハルトとアンネローゼの関係は「誰でも知りえる情報」扱いになっていることは明白ですので、ヤンもまたアンネローゼについて充分に知りえる立場にあったことは確実でしょう。
 また、クラゲさんが主張する作戦は、移動要塞の居場所を帝国側が常に把握できることが前提になっていますが、それって作中の帝国軍に可能なことなのでしょうか? 原作の「正規軍によるゲリラ戦」を見ても、2回も接敵しているはずの帝国軍はヤン艦隊の居場所をロクに把握できず受動的な立場に甘んじていましたし、ましてや補給基地や首都の存在に制約されることのない移動要塞ではなおのこと、居場所の把握はより一層難しくなるのではないかと思われるのですが。
 敵が神出鬼没で居場所の把握ができないからこそゲリラ戦は脅威なのであって、居場所が簡単に把握できるのであれば、原作の「正規軍によるゲリラ戦」だって帝国軍はあそこまで苦戦させられてはいないでしょう。正面決戦に持ち込めれば勝てること自体はまず間違いないでしょうが、問題なのは「いかにして正面決戦に持ち込むか」、そして「それまでにどれだけの犠牲が伴うか」ということなのでしてね。そして、移動要塞の殲滅に必要となる犠牲と代償が核戦争のごとく全く割に合わないシロモノになるからこそ、その犠牲の回避を目的とした和平の提案が「帝国側から」行われる可能性というものも出てくるわけで。
 すくなくとも、ラインハルトの戦争狂的性格に最後まで付き合った挙句、勝算ゼロの消耗戦に陥ることが最初から分かりきっているヤンのラインハルト依存症的なやり方よりは「相手に深刻な脅威を与え、動かせるだけの強制力を伴った外交カードがある」という点においてこちらの方がはるかにマシ、という話です。

 まあこれについては、他ならぬ私自身が最終的には賛同しているように、移動要塞の利点を生かして数万〜数十万光年単位の第二の長征にでも出た方が良いとは思いますよ。それで損をするのは、ヤンと個人的な戦争をしたがっていたラインハルトだけでしかないのですし。


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