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銀英伝考察3
銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威
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No. 6210
個別に回答
パンツァー 2005/01/22 23:24
面倒ですが、No.6204の内容にも個別に回答を与えておきましょう。

言葉尻を捕らえるのも結構ですが、
No.6204でも私が述べているように、証明の対象としているは、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」
ということですね。
これが証明できない場合は、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間であるとは言い切れない」
となるわけです。

>  一つの命題を確実に判定する直接的な証拠は、得られないことが多いのです。そのような場合は、間接的な証拠を一つづつ積み上げていくことで、確からしさを上げていくしかありません。
>  それは白いカラスを探す作業に似ています。我々の周囲にいるカラスは全て黒い。しかし、だからと言って『カラスは黒い』という命題は真と言えるでしょうか。

まだ、こういう話であれば説得力がありますが、
No.6204でも私が述べているように、
ヤンやラインハルト、さらには、「名だけの人物」に関して、
「自然の人間か、遺伝子工学等の改造を受けた人間か」を判定する材料はありません。
「自然の人間」であることを明らかに示すような記載は、見当たらないわけです。
あるのは、「非人間ではなく人間」であることを示す記載であって、
人間であるならば、「自然の人間か、遺伝子工学等の改造を受けた人間か」を問わないような記載ばかりです。


>  私の出した判定結果をきちんと読んでいないとしか思えません。
>  私が出した結果は、『銀英伝の無名の登場人物の中には人造人間がいる』という命題は『おそらく偽』です。
>  その前に『以上の全ての条件を満たす登場人物は全く存在しないか、いたとしてもごくわずか』ともきちんと書いてあります。

あの、一人でも「人造人間」がいれば、
『銀英伝の無名の登場人物の中には人造人間がいる』の逆、
『銀英伝の無名の登場人物の中には人造人間がいる』が偽である場合の命題
『銀英伝の無名の登場人物の中には人造人間がいない』
は、いえませんよ。

だいたい、『おそらく偽』って、なんですか?
そんな便利な言葉があるなら、私も使いますよ。
『「質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである」が質量一般で成り立つ』
これは「おそらく真だ」、と。

『おそらく偽』なんて言ったら、なんの証明にもなっていないでしょう。

それとも、「おそらく偽」を「偽」と認定する上で、
なにか境界線でも、客観的根拠に基づいて引くことができますか?
ある条件を満たす「おそらく偽」は、「偽」と認定することができる。
しかしこの条件を満たさない「おそらく偽」は「偽」と認定することができない、とか。
例えば、判断材料の数で、上のような「おそらく偽」を「偽」と認定するような考え方もありえるかもしれません。
Nightさんが引用している1000匹のカラスの話であれば、
1000匹も判断材料があるなら、まあ、
「カラスは黒い」を「おそらく真」のレベルから「真」と認定しても良いのではないか、と。

しかし、判断材料の数で決めるとするなら、
No.6194やNo.6200で既に私が述べているように、
「ヤンやラインハルト」の場合には都合が良くても、「名だけの人物」の場合には、
致命的な問題を引き起こすことになるでしょうね。
しかも、上でも、No.6206でも述べているように、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」と証明するような材料は何一つ無い現状では、
結局、Nightさんの自由な想像力の発揮による主観的な作品設定の解釈、しか、判断材料はないわけですよ。

そんないいかげんな判断材料によって、
「おそらく真」とか「おそらく偽」とか勝手に認定したり、
さらには、
「おそらく真」のレベルから「真」と認定したり、
「おそらく偽」のレベルから「偽」と認定したり、
してもらっては、困りますね。

>  その前に『以上の全ての条件を満たす登場人物は全く存在しないか、いたとしてもごくわずか』ともきちんと書いてあります。

繰り返しますが、
「ただし、これについては、『証拠の不在は、不在の証拠にあらず』というセーガンの言葉通り、そのような技術はないとも言いきれません。あると考えましょう。」(No.6197)
とか、
「およそ全てを疑ってかかることが科学のスタンスです。『疑義が生じるから、他の可能性については考えないようにしよう』というのは、そのスタンスに真っ向から反することになります。」(No.6199)
とか言っている当の本人が、
『以上の全ての条件を満たす登場人物は全く存在しないか、いたとしてもごくわずか』
なんていう結論を、簡単に出さないで頂きたいですね。

「作品の設定」は、この場合、素直に読み取れる解釈以外に疑わないのですか?
また、Nightさん流の解釈の「作品の設定」が、絶対的根拠になりうるのですか?
私がNo.6200で提示したような「作品の設定」を全否定できる客観的根拠が、Nightさんの主観的結論の他にありますか?
つまり、なんらかの作品中の記載から、Nightさん流の解釈を絶対化するような、一義的に導けるような内容がありますか?

それから、
「いたとしてもごくわずか」
この部分は、致命的ですよ。
一人でもいたら、破綻するんですよ。

いいですか、
「以上の全ての条件を満たす登場人物は全く存在しない」というのと、
「以上の全ての(中略)いたとしてもごくわずか」というのは、
意味がまったく異なるのですよ。
「以上の全ての(中略)いたとしてもごくわずか」というのは、
言い換えれば、「いるかもしれない」と明言しているわけですよ。
自ら、『銀英伝の無名の登場人物の中には人造人間がいる』が真であるとは証明できなかった、と主張していることになるのですよ。

だいたい、
『「質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである」が質量一般で成り立つ』
において、
「ワープできない質量帯はまったく存在しないか、あるとしてもごくわずか」
とか言えば、それは
『「質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである」が質量一般で成り立つ』
を「ほとんど真」と認定してよいことになるのですか?

相互比較をしっかりして、自らの論を展開することですね。


>  何度も書いていますが、一読者として作品をどう解釈するかは、個人の自由です。
>  私自身は、『もし、銀河英雄伝説という物語が、作られた天才達の物語だとしたら、作者は主題を明確にするためにも、最初からそのような重大な事実については明記し、彼らの出生についても必ずや明らかにしただろう』と思いますし、この推論は多くの方に納得していただける強力な間接的証拠と思いますが、どうあってもこのような推論を証拠としては認めない、という方もいると思います。

これって、もろに、作品設定を素直に解釈すべし、という主張に見えますが、違うのでしょうか?

「ただし、これについては、『証拠の不在は、不在の証拠にあらず』というセーガンの言葉通り、そのような技術はないとも言いきれません。あると考えましょう。」(No.6197)
とか、
「およそ全てを疑ってかかることが科学のスタンスです。『疑義が生じるから、他の可能性については考えないようにしよう』というのは、そのスタンスに真っ向から反することになります。」(No.6199)
とか言っている人のご意見とは、とても思えませんね。

作品設定を素直に解釈したいのですか?
それとも、「科学のスタンスとやら」で、あくまで判断したいのですか?
一体どっちです?

「科学のスタンスとやら」を判断基準にして、
作品を詳細に検討した結果、
作品設定を素直に解釈することになった、
と言いたいのでしょうが、
そもそもこんなことは原理的に不可能なのですよ。

「作品設定を素直に解釈」するなら、思索の範囲がそれによって制限されてしまうのです。疑うべき範囲がなくなってしまうのです。逆に、「科学のスタンスとやら」を判断基準にして、何もかも疑うなら、「作品設定を素直に解釈」することはできなくなるのです。

そういえば、
異性人がヤンやラインハルトを改造した可能性ってのは、
どういう理由で否決したのでしたっけ?
別に異性人の存在が否定される記載があったわけでもないのに、作品設定にそぐわない、とか、そんな理由でしたね。
要は、この段階で、Nightさんの主張する「科学のスタンスとやら」が、すでに制限されてしまっているんですよね。


あと、ワープエンジンの話は、No.6208に書いたので、
ここでは省略します。

>  なお、前回、申し上げましたように、ダブルスタンダード疑惑については、きちんと決着を付けたいと私は思っています。ですから、パンツァーさんは、私がダブルスタンダードであることをきちんと証明されるか、自らの発言を撤回されるかを選んでください。

楽しみにしていますよ。
いよいよ、ほぼ決着がつきそうですからね。
それというのも、Nightさんの説が分かりにくいのが原因ですよ。
Nightさん自身も、こんな矛盾を引き起こすくらいだから、全然自説の全体像をつかみきれてないのではないかと思いますがね。


No. 6213
Re:個別に回答
Night 2005/01/23 11:40
 何と言って良いか分かりません。
 同じ日本語を話しているのに、何故、話が通じていないのか。正直、絶望的な気持ちです。これまで話し合ってきたことも、全て無駄に思えてきました。収穫としては、話の通じない人と議論をするのは、言葉の通じない人と議論をするよりはるかに困難だということが分かったことです。
 ですから、この投稿には真偽判定に関するまとめを書いておくつもりですが、おそらく、パンツァーさんには理解できないでしょう。これはどちらかと言えば、私自身のけじめの為に書いておくものです。
 なお、他のスレッドにもいくつかの投稿がついているようですが、それらに対して返答をするつもりはもうありません。これ以上、パンツァーさんと議論する事は全く時間の無駄だからです。


> No.6185やNo.6188で、Nightさんは、
> 「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」
> ということに対する証明を、やったと主張しているわけです。

 ただ、ため息をつくばかりです。
 私が出した判定結果は『ラインハルトやヤンが人造人間であるという命題は、ほぼ確実に偽』ということです。
 彼らを自然の人間だと言い切る(=証明する)ことはできません。それはこの命題に関して詳細に検討した時にも、白いカラスの時にも、おりに触れて何度も何度も繰り返し説明してきたことです。なのに、まるっきり話が通じていない。分かっていない。
 私が絶望的な気持ちになる、というのはつまりそういうことです。ひょっとしたら分かっているのに分からないふりをしているのではないかとさえ思いましたが、No.6210で同じようなことを言っているところを見ると、本当に分かっていないらしい。あまりに理解力不足と言うしかない。
 いずれにしても、時間の無駄、と途中で感じたのは全くの正解でした。今となっては、徒労感でいっぱいです。

 私がしてきたことは、ある命題(主張)の真偽を証明することではありません。その主張がどれだけ『確からしいか』を判定することです。
 世の中の主張は、ほとんどがはっきりと白黒をつけることのできないものばかりです(例えば、『宇宙の始まりはビッグバンである』とか、『電磁波は人体に有害である』とか)。言うなれば、それらの主張は、黒(偽)が様々な濃度の灰色の段階を経て白(真)に至ると言う灰色の帯のどこかに位置する駒です。私がしてきたことは、色々な主張を『白か、黒か』に分類する定性的な作業ではなく、『どのレベルの灰色か』として判定する定量的な作業です。
 ある主張が『ほぼ確実に偽』であるとは、その主張が黒のほぼ近くに位置することを指します。これは、その主張が真であることはほとんどありえない、ということを指します。つまり、ラインハルトやヤンが人造人間であることは、非常に特殊な一部の状況を除いて、ありえないということです。
 ある主張が『おそらく偽』であるとは、その主張が上の場合よりは白に寄った位置にあることを指します。これは、その主張が真であることは期待できないが、ある程度の可能性はある、ということを指します。つまり、銀英伝の登場人物の中に人造人間は全く存在しないか、いたとしてもごくわずかということです。『いたとしてもごくわずか』の部分が、『ある程度の可能性はある』の部分に相当しているということです。

 私が言いたいことは、上に書いた通りであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
 パンツァーさんがNo.6206やNo.6210のようなことを言い出すのは、私のこれまでの作業を定量的なもの(どのレベルの灰色か調べる)でなく、定性的なもの(白か、黒かを証明する)だと勘違いしているからです。
 以上の説明でまだ納得できないのであれば、一度、統計や検定について勉強してみることをお勧めします。そこでは、ある実験結果から、仮説がどの程度の確からしさ(確率)で言えるかを計算する手法が説明されています。


> 例えば、作品中に明らかに記載のある「劣悪遺伝子排除法」が実は存在しなかった、とか主張するのであれば、「作品設定との整合性」に明らかに反するでしょうが、そうでないかぎり、どのような想像も可能なのです。
>
> つまり、
> 「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」ということに対する証明において、
> 「ラインハルトやヤンの才能の根源が遺伝子工学にあるとするなら、そのように重要なことが作中に一切書かれていないことは、かえって不自然」とか、そんなことは、なんの証明の材料にもならないのです。
> 別な解釈の可能性を制限するものでは、全然ありません。

 想像するだけならどのような想像も可能です。そんなことは当たり前です。
 私がこれまでの判定でずっと問題にしていたのは、『その想像が現実である可能性はどれくらいか』ということです。

『実は、作者は、二人が人造人間だということを良く知っていたが、単にそれを書き忘れた』
『実は、人造人間技術は銀英伝世界で一般的に公開されており、人造人間も珍しい存在ではないのだが、偶然、銀英伝の描写の中からはそれに関することが完全に欠落してしまったのだ』
『実は、ヤンの父親は嘘をついていて、知り合いの研究者に大金を積んで、ひそかに実験段階の人造人間技術を息子に施してもらっていた』

 以上のように想像することは可能です。しかし、これらの想像が意味するところは非常に不自然であり、現実である可能性があまりに少ないため、これらの解釈を現実的な解釈として認めることは非常に困難です。そういうことを私はずっと説明してきたのです。『別な解釈の可能性を制限するものでは、全然ありません』というのは、そういったこれまでの説明を全く無視した(もしくは全く理解できないでいる)発言です。


> 次に、(2)の検討に入ります。
> 「(ヤンやラインハルトは)逆に通常の人間とする材料は山程あることが分かってきます。」
> を、
> 「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」ということに対する証明の有力な根拠としていますが、これは間違いでしょう。
> ヤンやラインハルトの人間らしい素振りや天才的な思考力を示す作品中の記載は、あくまで、彼らが人間であること、を示す程度のものでしょう。
> その人間が、自然の人間か、遺伝子工学的加工を受けた人間か、を特定する材料ではありえません。
>
> 私は、No.6185では、既に以下のように述べております。
> 「それから、上で、
> 「逆に通常の人間とする材料は山程あることが分かってきます。」
> などと書いていますが、
> ヤンやラインハルトの日常(および非常)生活の描写などから、「通常の人間」と確定する根拠が見つかるとでも思っているのですか?
> 例えば、オリンピック選手が筋肉増強剤の使用者か否かを、尿検査等の特定検査を行うことなく、一般の我々が判別することなど、まずできませんよ。違いがどこにあるかなど、分かるものですか!」

 再度、ため息をつきます。
 結局、上でパンツァーさんが書かれているようなこと、つまり『ヤンやラインハルトの思考力はあくまで通常の人間の範疇である』とか、『ある人間が通常の人間であるか否かは、尿検査等の特定検査を行わなければ判別できない』というような考え方は、上で説明した定性的な考え方(白か、黒かを証明する)です。
 私が説明してきたのは、定量的な考え方(どのレベルの灰色か調べる)です。彼らが人造人間であるとすれば必然的に生じるはずの不整合が生じていないと言うことが、彼らが通常の人間であることの間接的証拠です。
 彼らが人造人間であるが故に優れた思考力を発揮できるのだとすれば、その思考力があくまで『通常の人間として優れた部類』であったとしても、彼らのことを人造人間と知っている人々は(本人達も作者も含めて)、そのことに対して『やはり、人造人間は通常人とは違う』というような感慨を抱かずにはいられないでしょう。しかし、そのようにはなっていない。つまり、彼らはそもそも人造人間でないか、あるいは彼らが人造人間であることを誰も知らないかのいずれかです。後者であることはとても現実的な解釈ではないので、これは前者を支持する間接的証拠となります。
 これらの間接的証拠は『彼らは人造人間である』という主張を黒(偽)とする直接的証拠ではありませんが、この主張の位置を黒(偽)の側にシフトさせる材料にはなります。私は、それらの累計をとって、この主張はほぼ確実に偽である、としているのです。


> 「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」ということに対する証明は、できません。
> 「ラインハルトやヤンは、自然の人間とは言い切れず、遺伝子工学で作り出された人造人間かも知れない」
> という結論にならざるを得ないでしょう。

 その通りです。そうだとこれまでに何度も何度も繰り返し説明しています。
 パンツァーさんを相手にしていて徒労感に襲われるというのは、つまりこういうことです。パンツァーさんが「反論」だと思い込んでいることは全部、既に私の結論の中に組み込まれていることばかりです。結局、私の出した結論の意味するところが分かっていないのです。


> 再び、ダブルスタンダードの話に戻りますが、
> (A)「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」という命題と、
> (B)「異なる質量一般において、質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである、が正しい」という命題とで、
> Nightさんは、同じ判断基準を用いているのでしょうか?
>
> 同じ判断基準を用いているのであれば、
> 結論は、(A)(B)のどちらも「正しいとは言い切れない」という結論にならざるを得ないと思いますね。

 細かいようですが、(B)は少し違います。私がNo.6188で説明したのは、『イゼルローンを移動要塞化可能である』という命題です。
 そもそも、私がこれらの命題に対して用いた判断基準は、これらについて詳細に検討した時(No.6188)に全て列挙してあります。それらに対して具体的に異議があるならまだ分かりますが、『結果が、両方とも正しいとは言い切れないになってない』という反論は、要するに何も分かっていないという証拠です。
 同じ灰色であっても、白に近い灰色と、中間の灰色と、黒に近い灰色があります。これらを同じように扱うことはできないのです。私がしていることは、一つの主張がどのレベルの灰色に位置するかを調べる事です。
 (A)(B)の二つの命題に対して同様の基準を適用した結果、(A)は『ほぼ確実に真』(白に非常に近い位置にあるが、白とは言い切れない)となり、(B)は『判定不能』(どこに位置させるべきか良く分からない。強いて言えば中間)となった。どちらも「正しい(白)とは言い切れない」という結論になっていますが、何か問題がありますか。


> 「科学的」とか主張している人が、多数決が妥当、だと考えるのですか?
> 科学的な思考が一般的になったのは、精々近代以降の話ですよ。
> 中世の暗黒時代とか、多数決で決定したら、どうなると思うのです。

 科学的な理論の真偽は多数決で決定できるものではありません。それを定めるのは実験であり、観察です。分かりきったことです。
 しかし、実験や観察の結果が信頼できるものであれば、それらの結果を説明できる理論を信じる人間の数は増え、いずれは多数決にもその結果が反映されることになります。それが近代以降の世の流れであり、現代はまさにその時代です。
 私が言いたかったのは、二人で議論していて互いに自分の方こそ正しい、と言い合っていても、何も解決しないということです。ならば、客観的とは『普遍妥当性を持っている』ということですから、第三者となる多くの他者の意見を参考にすることは一つの指針になるであろう、ということです。

 最後にまとめましょう。
 私がこれまで説明してきた事がパンツァーさんにはまるで理解できていない、ということは良く分かりました。ですから、ダブルスタンダードの件についてはもういいです。それを理解せよと言っても、おそらくそれはパンツァーさんの知識や能力を超えていることなのでしょうから。
 パンツァーさんの論に関する私の最終評価は、No.6197に書いた通りです。それは科学的に確かなものとは言えず、第三者の客観的な検証に耐えうるだけの強固さを持っていません。論文発表の場に出せば、すぐに粉々にされてしまうようなものです。
 いい加減なことを言うな、と思われるのであれば、科学に関する話題を議論しているきちんとした掲示板なり、あるいは学術的な集まりの場などで、多くの人に自分の論を検証してもらって下さい。そこで返される評価も、おそらく私の評価と似たり寄ったりのものになるでしょう。
 なお、一番最初に申し上げた通り、これ以上、パンツァーさんと議論する事は全く時間の無駄なので、この件に関して私の方から何かを申し上げることはおそらく無いと思われます。あるとしたら、何らかの見過ごせない事態が生じるか、この件に関して別の方が議論を始めた時になるでしょう。


No. 6214
Re:個別に回答
議論系掲示板マニア 2005/01/23 17:01
初めまして。


>  何と言って良いか分かりません。
>  同じ日本語を話しているのに、何故、話が通じていないのか。正直、絶望的な気持ちです。これまで話し合ってきたことも、全て無駄に思えてきました。収穫としては、話の通じない人と議論をするのは、言葉の通じない人と議論をするよりはるかに困難だということが分かったことです。
>  ですから、この投稿には真偽判定に関するまとめを書いておくつもりですが、おそらく、パンツァーさんには理解できないでしょう。

確実に、パンツァーさんも同じことを思っているでしょう。
何しろ、ROMっているだけの私でも、同じことを(もちろんNightさんに対して)思いましたから(笑)


>  私がしてきたことは、ある命題(主張)の真偽を証明することではありません。その主張がどれだけ『確からしいか』を判定することです。
>  世の中の主張は、ほとんどがはっきりと白黒をつけることのできないものばかりです(例えば、『宇宙の始まりはビッグバンである』とか、『電磁波は人体に有害である』とか)。言うなれば、それらの主張は、黒(偽)が様々な濃度の灰色の段階を経て白(真)に至ると言う灰色の帯のどこかに位置する駒です。私がしてきたことは、色々な主張を『白か、黒か』に分類する定性的な作業ではなく、『どのレベルの灰色か』として判定する定量的な作業です。
>  ある主張が『ほぼ確実に偽』であるとは、その主張が黒のほぼ近くに位置することを指します。これは、その主張が真であることはほとんどありえない、ということを指します。つまり、ラインハルトやヤンが人造人間であることは、非常に特殊な一部の状況を除いて、ありえないということです。
>  ある主張が『おそらく偽』であるとは、その主張が上の場合よりは白に寄った位置にあることを指します。これは、その主張が真であることは期待できないが、ある程度の可能性はある、ということを指します。つまり、銀英伝の登場人物の中に人造人間は全く存在しないか、いたとしてもごくわずかということです。『いたとしてもごくわずか』の部分が、『ある程度の可能性はある』の部分に相当しているということです。
>
>  私が言いたいことは、上に書いた通りであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
>  パンツァーさんがNo.6206やNo.6210のようなことを言い出すのは、私のこれまでの作業を定量的なもの(どのレベルの灰色か調べる)でなく、定性的なもの(白か、黒かを証明する)だと勘違いしているからです。
>  以上の説明でまだ納得できないのであれば、一度、統計や検定について勉強してみることをお勧めします。そこでは、ある実験結果から、仮説がどの程度の確からしさ(確率)で言えるかを計算する手法が説明されています。

定量的だとかいったところで、それを「おそらく偽」だの「おそらく真」だの「判定できない」だのと区別した時点で、擬似的にせよ定性的にならざるを得ないじゃないですか。そうでないなら、「銀英伝という作品は、田中芳樹が作ったものである以上、彼以外の者が、銀英伝について何らかの考察をすることは無意味である、以上」ってな結論しか出ないと思いますけど。
いや、さらに言えば、本当に田中芳樹が作ったといいえるのか。そもそも銀英伝という作品は本当に存在するのか、我々の妄想の産物ではないのか・・・という風に際限なく進んでいくと思いますけど。
後者の立場に立つならば、それは哲学であって、もはや科学ではないといえますね。この間、ニュートリノに質量があることが判明して、標準理論の大幅な変更が余儀なくされていますけど、こんな重大な錯誤を含みつつ、標準理論は、理論として成立していた訳ですから。
でまあ、こういった主張に対するNightさんの回答が、

>  世の中の主張は、ほとんどがはっきりと白黒をつけることのできないものばかりです(例えば、『宇宙の始まりはビッグバンである』とか、『電磁波は人体に有害である』とか)。言うなれば、それらの主張は、黒(偽)が様々な濃度の灰色の段階を経て白(真)に至ると言う灰色の帯のどこかに位置する駒です。私がしてきたことは、色々な主張を『白か、黒か』に分類する定性的な作業ではなく、『どのレベルの灰色か』として判定する定量的な作業です。
>  ある主張が『ほぼ確実に偽』であるとは、その主張が黒のほぼ近くに位置することを指します。これは、その主張が真であることはほとんどありえない、ということを指します。つまり、ラインハルトやヤンが人造人間であることは、非常に特殊な一部の状況を除いて、ありえないということです。
>  ある主張が『おそらく偽』であるとは、その主張が上の場合よりは白に寄った位置にあることを指します。これは、その主張が真であることは期待できないが、ある程度の可能性はある、ということを指します。つまり、銀英伝の登場人物の中に人造人間は全く存在しないか、いたとしてもごくわずかということです。『いたとしてもごくわずか』の部分が、『ある程度の可能性はある』の部分に相当しているということです。

という物なんでしょうけど、その白、黒、灰色への区別の仕方が、非常に恣意的なものになってしまっているように私には見えますね(パンツァーさんが、Nightさんをダブスタだと主張する所以でしょう)。「イゼルローンがワープ可能か否か」、という命題は「灰色」として、理論の構築を阻み、「ヤンやラインハルトが人造人間か否か」という命題は「おそらく偽」として、一応理論の構築を許すわけですから、その両者には何らかの差が明確にあるはずであり、その差は何かという疑問にNightさんは十分に答えていないと思います(御自分では、答えたつもりなのでしょうけど、少なくとも私には、答えとして成立しているようには見えませんでした)。
とまあ、色々と書いてきた訳ですけど、そもそも私は、文学研究(の一種と見なして良いと思います)に科学的なスタンスとやらで向かうこと自体に重大な疑問を感じます(というより、はっきり否定的です)。文学研究はあくまで文学のスタンスで向かうべきです。科学で何もかも解決できないからこそ、学問はさまざまな分野に分かれているわけですから。
長くなりましたが、最後に一言。


>  いい加減なことを言うな、と思われるのであれば、科学に関する話題を議論しているきちんとした掲示板なり、あるいは学術的な集まりの場などで、多くの人に自分の論を検証してもらって下さい。そこで返される評価も、おそらく私の評価と似たり寄ったりのものになるでしょう。

こんなこと書いて、恥ずかしくはないですか?
こんな権威に寄りかかった文章を議論系掲示板で書いても、誰も相手にしてくれないと思いますけど。


No. 6215
Re:個別に回答
Night 2005/01/23 21:53
そうですね。
振り返ってみれば、最近の投稿は、冷静さを欠いてきていたと思います。
少々、頭を冷やすためと、あとプライベートの方でも色々と立て込んできているので、しばらくここからは離れたいと思います。


No. 6216
ダブルスタンダードだと認定
パンツァー 2005/01/25 23:08
No.6213やNo.6215の回答など見ると、
勝手に自己完結しているようですが、
特別、
「科学のスタンスとやら」を前提条件に用いて作品の評価などできないことや、
推測するに無自覚であったにせよ、結果としてダブルスタンダードを用いていることを、Nightさんが認めていない以上、
あくまで回答を要求します。
No.6150以降のレスを取り下げる意思表示がない以上は、やむを得ませんね。

>  何と言って良いか分かりません。
>  同じ日本語を話しているのに、何故、話が通じていないのか。正直、絶望的な気持ちです。これまで話し合ってきたことも、全て無駄に思えてきました。収穫としては、話の通じない人と議論をするのは、言葉の通じない人と議論をするよりはるかに困難だということが分かったことです。

私は他でも討論をしたことがありますが、
だいたい、有効な反論ができなくなった相手は、
最終的に、議論の本論と関わり無い部分で、罵詈雑言を吐いて終わりにするのが常ですね。
今からでも遅くはありません。
No.6150以降のレスが、結果として言いがかりに過ぎなかったことを認め、
取り下げられては如何でしょうか?
「取り下げ」を行うなら、その態度には敬意を払いますよ。

>  細かいようですが、(B)は少し違います。私がNo.6188で説明したのは、『イゼルローンを移動要塞化可能である』という命題です。

長文なので全文の引用を避けますが、
No.6188でのNightさん説明部分は、以下の三点に絞れます。
(1)Nightさんの考える作品の主題との整合性
「イゼルローンが移動要塞化可能だったとしましょう。これまでの議論で分かる通り、この場合、本編の記述との間に不整合は生じず、不自然ではありません。」
(2)「異なる質量一般において、質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである、が正しい」の相当部分
「それらの記述は、集約すれば『ガイエスブルクを大質量ワープさせることはできる』というものです。それを上回る質量に関して、大質量ワープが可能であるとも不可能であるとも書かれていません。」
(3)ガイエスブルグ要塞との比較におけるイゼルローン要塞ワープの技術的困難度の問題
「偽の側の皿には、『一般的に、技術的な難易度は扱う対象の規模に従って増大する』という推論が乗ることになりますが」

(1)に関しては、Nightさん自身、これ自体は、問題がないとしているわけですよね。

(3)の部分は、No.6195以下の議論が対応していますね。

そうすれば、残りの(2)が、問題となるわけですよ。

>  そもそも、私がこれらの命題に対して用いた判断基準は、これらについて詳細に検討した時(No.6188)に全て列挙してあります。それらに対して具体的に異議があるならまだ分かりますが、『結果が、両方とも正しいとは言い切れないになってない』という反論は、要するに何も分かっていないという証拠です。

私が問題にしているのは、あくまで、
「科学のスタンスとやら」を前提条件とした、Nightさんによる、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」の証明ですよ。

No.6188に連なる私の投稿も、こんな証明が成り立つわけが無い、という趣旨の反論に過ぎません。

つまり、「科学のスタンスとやら」を前提条件とした作品の解釈などで、
何か一つでも「確からしいこと」が特定できるわけが無い、というのが私の結論ですよ。
だから、
Nightさん流の「科学のスタンスとやら」を前提条件とした判断で、
「異なる質量一般において、質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである、が正しい」が証明できず、『判定不能』と不能となるのは、私にも理解できないわけではない。
ただし、
Nightさん流の「科学のスタンスとやら」を前提条件とした判断では、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」の証明もできず、やはり同じく『判定不能』となる。
この結果、
『結果が、両方とも正しいとは言い切れないになってない』
という結論になるのですよ。
ここまで説明しないと、理解できませんか?

No.6205の投稿は笑えましたが、
No.6207の私の投稿でようやく、No.6195で私が説明した一般論
(「ガイエスブルグ要塞との比較における技術的困難度の問題」の参考材料)
を理解したようですね。
はっきり言いまして、
私の方がNightさんの日本語の読解能力を疑う次第です。
私の批判は、上のようなNightさんの誤読という明らかな根拠に基づくものですから、残念ながら大きな説得力がでてしまいますね。

>  同じ灰色であっても、白に近い灰色と、中間の灰色と、黒に近い灰色があります。これらを同じように扱うことはできないのです。私がしていることは、一つの主張がどのレベルの灰色に位置するかを調べる事です。
>  (A)(B)の二つの命題に対して同様の基準を適用した結果、(A)は『ほぼ確実に真』(白に非常に近い位置にあるが、白とは言い切れない)となり、(B)は『判定不能』(どこに位置させるべきか良く分からない。強いて言えば中間)となった。どちらも「正しい(白)とは言い切れない」という結論になっていますが、何か問題がありますか。

「白に近い灰色」とか「黒に近い灰色」でも一向に結構ですので、それらと「中間の灰色」とを、どういう判定基準で区別しているのか、教えてもらいたいものです。

No.6210において、既に、私は、
このような言い逃れができぬよう遺漏無く、以下のように問いを発しています。

『それとも、「おそらく偽」を「偽」と認定する上で、
なにか境界線でも、客観的根拠に基づいて引くことができますか?
ある条件を満たす「おそらく偽」は、「偽」と認定することができる。
しかしこの条件を満たさない「おそらく偽」は「偽」と認定することができない、とか。
例えば、判断材料の数で、上のような「おそらく偽」を「偽」と認定するような考え方もありえるかもしれません。
Nightさんが引用している1000匹のカラスの話であれば、
1000匹も判断材料があるなら、まあ、
「カラスは黒い」を「おそらく真」のレベルから「真」と認定しても良いのではないか、と。』

繰り返しますが、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」の判定結果が「白に近い灰色」(おそらく真)であって、
「異なる質量一般において、質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである、が正しい」の判定結果や
「ガイエスブルグ要塞との比較におけるイゼルローン要塞ワープの技術的困難度の問題」の判定結果が、
「中間の灰色」(判定不能)となる理由を、
聞かせてもらいたいものですね。

少なくとも同列の問題である、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」の判定と、
「異なる質量一般において、質量とエンジン出力の関係、ただそれだけである、が正しい」の判定との違いを、
是非とも教えていただきたい。

No.6214の議論系掲示板マニアさんも指摘されていますが、
これにしっかりと答えなければ、何も答えたことにならないのですよ。

>  パンツァーさんがNo.6206やNo.6210のようなことを言い出すのは、私のこれまでの作業を定量的なもの(どのレベルの灰色か調べる)でなく、定性的なもの(白か、黒かを証明する)だと勘違いしているからです。
>  以上の説明でまだ納得できないのであれば、一度、統計や検定について勉強してみることをお勧めします。そこでは、ある実験結果から、仮説がどの程度の確からしさ(確率)で言えるかを計算する手法が説明されています。

あの〜、
「定量的」「定性的」って、そんな意味ですか?
対象の性質に基づく判断が、「定性的」であって、
対象の量的比較に基づく判断が「定量的」ではありませんか。

「どのレベルの灰色か調べる」って、
レベルの相違を客観的に判定できる数値で表示できるのであればともかく、
単に、なんらかの基準に基づいて区分けしたレベルで、
どのレベルに位置するか判定するだけ、でしょう。

だいたい「定量的」っていうのは、
私が、No.6185やNo.6195でやっているように、
数値設定で具体化した場合の話ですよ。こういう議論は定量的な議論です。

まあ、ともかく、
「どのレベルの灰色か調べる」ということを、具体的に説明してもらいたいものですね。どういう判定基準で、「どのレベルの灰色」に位置するのか、特定できるのでしょうか?
No.6206で説明しましたが、
「ラインハルトやヤンは、遺伝子工学で作り出された人造人間ではなく、自然の人間である」の判定で根拠となりうるのは、唯一、

No.6188にあるNightさんの記載
「作中に、遺伝子工学で人造人間を作る技術があるとは、書かれていません。劣悪遺伝子排除法に関連する形で、社会の描写にも影響があるはずなのに、そのような傾向は見られません。また、もし、ラインハルトやヤンの才能の根源が遺伝子工学にあるとするなら、そのように重要なことが作中に一切書かれていないことは、かえって不自然です。」
のような、
Nightさんの主観に基づく根拠のみです。

Nightさんの主張する「科学のスタンスとやら」によれば、
「そのように重要なことが作中に一切書かれていないことは、かえって不自然」であっても、疑うべき、だったはずですけどね。
No.6210で異性人による人体改造の話を再掲しましたが、このような可能性を潰すには、
「そのように重要なことが作中に一切書かれていないことは、かえって不自然」とかいう解釈とは別の、外部の根拠による否定が必要なのです。
そうでなければ、「Aの主張も疑うべきだ」、といっておきながら、第三者の証言等も引用することなく、何時の間にか「Aの主張は信頼に値する」という風に、話のすり替えを行っているのです。

ぜひぜひ、
「どのレベルの灰色か調べる」ということを、その判定基準が何かというところから、
具体的に、詳しく説明してもらいたいものですね。
まあ、Nightさんの方で、説明することが可能であれば、という条件付ではありますがね。

>  彼らが人造人間であるが故に優れた思考力を発揮できるのだとすれば、その思考力があくまで『通常の人間として優れた部類』であったとしても、彼らのことを人造人間と知っている人々は(本人達も作者も含めて)、そのことに対して『やはり、人造人間は通常人とは違う』というような感慨を抱かずにはいられないでしょう。しかし、そのようにはなっていない。つまり、彼らはそもそも人造人間でないか、あるいは彼らが人造人間であることを誰も知らないかのいずれかです。後者であることはとても現実的な解釈ではないので、これは前者を支持する間接的証拠となります。

「後者であることはとても現実的な解釈ではない」というのは、Nightさんの解釈に過ぎませんよね。
「科学のスタンスとやら」はどうしたのですか?
「後者であることはとても現実的な解釈ではない」かもしれないが、ひょっとしたらそのとおりかもしれない、と疑ってみる必要があるのではなかったのですか?
疑ってみたなら、それを否定する根拠を、外的に探してこないといけないでしょう。

上に述べたのと同じになりますが、Nightさんの言っているのは、
「科学のスタンスとやら」を用いて一瞬「後者であることはとても現実的な解釈ではない」を疑ってみたが、その後すぐに考え直して、
やっぱり「後者であることはとても現実的な解釈ではない」
と結論した、と言っているに過ぎません。
結果的には、なにも、疑ってみたことにはなっておりません。

だから、あれほど数多くの投稿で強調していた「科学のスタンスとやら」は、
一体どうしたのですか?
この「科学のスタンスとやら」に基づいて、
もともと、
『イゼルローンを移動要塞化可能である』という命題を疑うべき、としていたわけでしょう?

「イゼルローン要塞はワープ可能ではないかもしれない(と疑ってみた)。しかし、通常の艦船と比べたら、4000万倍以上も重いガイエスブルグ要塞すらワープしている現実がある。艦船とガイエスブルグ要塞とでは4000万倍も差があるが、ガイエスブルグ要塞とイゼルローン要塞とでは高々数倍の差しかない。4000万倍もの差でうまくいったのだから、高々数倍の差でうまくいかないと考えるのは、とても現実的な解釈ではない。これは、イゼルローン要塞がワープ可能であるとする間接的証拠になる!」

上のように書いたら、
「4000万倍も差でうまくいったのだから、高々数倍の差でうまくいかないと考えるのは、とても現実的な解釈ではない。」
この部分に絡んできたわけですよね、Nightさんは。
この部分に対して私は、No.6185やNo.6195でやっているような「定量的」な議論や、
シャフトの言の解釈(No.6174等)で、根拠を示しました。

上の「定量的」な議論は、一応客観性がある議論ですし(Nightさんもその根拠を提示してくれたように)、
シャフトの言の解釈は純粋に作品中に記載のあることを前提としています。

「『やはり、人造人間は通常人とは違う』というような感慨を抱かずにはいられないでしょう。」みたいな、
Nightさんの主観に基づく結論ではないのですよ。

誰も知らぬ間に勝手に改造されてしまったり(注射等で)、そもそも体外受精のように受精時に改造が加えられていたり、想像の翼を広げれば、いくらでも、自分も他人も人造人間であることを知らない状況は発生しますよ。
だいたい、人造人間であろうと、自然の人間であろうと、超人的能力を発揮すれば同じ感慨を抱くのではありませんか。「俺は超人だ」、と。別に、人造人間と、自然の人間とで、生理的感覚機構に相違がないとしたら、感慨の相違など抱くことはないでしょう。

だ、か、ら、Nightさん自身の主観を如何にもっともらしく述べようとも、
作品に根拠を求めなければ、駄目ですって!!
作品中の記載を元にして想像の翼を広げるのではなく、直接的記載からほぼ一義的に導けるような内容をこそ、根拠とすべきでしょう。

私がNo.6174で示したシャフトの言の解釈は、シャフトの言の直接的記載から、ほぼ一義的に導けるだろう、とするところを述べたものです。


>  これらの間接的証拠は『彼らは人造人間である』という主張を黒(偽)とする直接的証拠ではありませんが、この主張の位置を黒(偽)の側にシフトさせる材料にはなります。私は、それらの累計をとって、この主張はほぼ確実に偽である、としているのです。

>  以上のように想像することは可能です。しかし、これらの想像が意味するところは非常に不自然であり、現実である可能性があまりに少ないため、これらの解釈を現実的な解釈として認めることは非常に困難です。そういうことを私はずっと説明してきたのです。『別な解釈の可能性を制限するものでは、全然ありません』というのは、そういったこれまでの説明を全く無視した(もしくは全く理解できないでいる)発言です。

ですから、
これは、Nightさんが不自然と思うだけであって、余人がそのように思うわけではありません。
客観的根拠を示してください。

>  私が言いたかったのは、二人で議論していて互いに自分の方こそ正しい、と言い合っていても、何も解決しないということです。ならば、客観的とは『普遍妥当性を持っている』ということですから、第三者となる多くの他者の意見を参考にすることは一つの指針になるであろう、ということです。

宗教団体に行って信者の前で教祖の批判をやって、客観的な意見が聞けると思いますか?この掲示板「田中芳樹を撃つ」でありながら、その擁護者の多いこと多いこと。
必ずしも擁護者でなくても、例えば「移動要塞論」の話であれば、感情的に否定に賛同する者が多数いるのです。こんな主観的に結合した人々の前で、客観的評価が得られるとはとても思えませんね。
「第三者となる多くの他者の意見」は確かに参考となりますが、「第三者」が少ない場合はこの限りではありません。

>  ですから、この投稿には真偽判定に関するまとめを書いておくつもりですが、おそらく、パンツァーさんには理解できないでしょう。これはどちらかと言えば、私自身のけじめの為に書いておくものです。
>  なお、他のスレッドにもいくつかの投稿がついているようですが、それらに対して返答をするつもりはもうありません。これ以上、パンツァーさんと議論する事は全く時間の無駄だからです。

>  私がこれまで説明してきた事がパンツァーさんにはまるで理解できていない、ということは良く分かりました。ですから、ダブルスタンダードの件についてはもういいです。それを理解せよと言っても、おそらくそれはパンツァーさんの知識や能力を超えていることなのでしょうから。

No.6150以降のレスが、結果として言いがかりに過ぎなかったことを認めない以上、
私の方では、Nightさんが、ダブルスタンダードを用いてでも、
自分にとって気に食わない意見を叩き潰そうとする詭弁屋である、
と認識します。
かつて、Kenさんに対して結論したのと、同じことです。
今後、掲示板に登場された際も、そのように扱わせていただきます。
これは警告です。

>  パンツァーさんの論に関する私の最終評価は、No.6197に書いた通りです。それは科学的に確かなものとは言えず、第三者の客観的な検証に耐えうるだけの強固さを持っていません。論文発表の場に出せば、すぐに粉々にされてしまうようなものです。
>  いい加減なことを言うな、と思われるのであれば、科学に関する話題を議論しているきちんとした掲示板なり、あるいは学術的な集まりの場などで、多くの人に自分の論を検証してもらって下さい。そこで返される評価も、おそらく私の評価と似たり寄ったりのものになるでしょう。

なになに?!
「科学に関する話題を議論しているきちんとした掲示板」や、「学術的な集まりの場」で、
銀英伝のIFの話をしろ、と言っているのですか?
何を言っているんだか。

こんなわかりきったことを書くのも馬鹿馬鹿しいが、銀英伝は小説なのですよ。
文学なのですよ。
こんなものを前提に「科学に関する話題」や「学術的(文学系は除く、Nightのいいたいのは科学系?)な集まりでの議論」ができるとでも思っているのですか?!
感覚をまったく疑いたくなるが、まあ、「科学のスタンスとやら」を振りかざしているNightさんのことですから、Nightさん自身としては、自然な感覚なのかもしれませんね。

作者は、作品(小説)を書くに当たって、
我々の常識を当てにしているのです。
説明しないと明らかに分からないと思われることだけ、説明していくものです。
作者が前提としている部分まで疑うようなことをして、作品の設定が成り立つとでも思っているのですか?
これが分かりきっているから、
「科学のスタンスとやら」を前提としているNightさんの議論が、
いずれ破綻することは分かりきっていたのです。
具体的にどういう内容で論を展開するのまでは、読みきれませんでしたが。

>  なお、一番最初に申し上げた通り、これ以上、パンツァーさんと議論する事は全く時間の無駄なので、この件に関して私の方から何かを申し上げることはおそらく無いと思われます。あるとしたら、何らかの見過ごせない事態が生じるか、この件に関して別の方が議論を始めた時になるでしょう。

ご心配なく。
Nightさんを発見次第、
私の方から積極的に絡んでいく所存ですので。


No. 312
表の論争見て思ったこと
不沈戦艦 2005/01/26 23:50:31
> 彼らはそもそも人造人間でないか、あるいは彼らが人造人間であることを誰も知
> らないかのいずれかです。後者であることはとても現実的な解釈ではないので、

「ラインハルトやヤンが遺伝子操作で作られた人造人間であること」=「その事実が周囲の人間に広く知られている」

 一体何をどう考えれば、無条件で上記二つをイコールで結べるんでしょうか?わたしゃさっぱり理解できなかったです。「両親がこっそり遺伝子操作をした上で子供を作ったが、その事実を黙っていて本人たちにも知らせなかった」ということだって、あってもおかしくはないでしょうに。「後者であることはとても現実的な解釈ではない」というのは、単なる主観による決め付けという以外、評価しようがないのではないでしょうか。そりゃ、遺伝子操作の結果として「目が四つ、鼻が三つ、口が二つ、手足が合計八本ある」とかだったら(これじゃまるっきり化け物ですが)、外見で一目で分かりますけどね。「頭がいい」くらいじゃ、遺伝子操作を受けているのかいないのかなんて、他人に判定できる訳がないでしょうよ。


No. 313
「無論ジョークだよ」(byチュン・ウー・チュン)
S.K 2005/01/27 00:38:13
> 「ラインハルトやヤンが遺伝子操作で作られた人造人間であること」=「その事実が周囲の人間に広く知られている」

 言葉遊びのレベルの話であながちイコールで結べない事もないでしょうね。
 曰く
「美男子で頭が切れて喧嘩も強い?そりゃあの金髪遺伝子レベルで何かいじってんじゃないのか?(ラインハルト)」
「あの変人ではあるが心身共に凡庸の域を出ない怠惰者があれほどの軍略家というのは何か特殊なクスリでも軍事行動に際して投与されてるのではなかろうか(ヤン)」
な噂が立たないとは言い切れないと言う事で。

 もっともこういう噂が立つという事は「こういう真実が隠されていて欲しい。奴等の才能は偽者で俺たちの非才は仕方のない事」という期待が往々にして存在するという事でヤンとラインハルトが人造人間で困らない人間も多数『作中に』存在する事になり「だから不都合」説は成立しなくなる訳です。
 勿論『読者』にしてみればつまらないオチ以外の何物でもない訳ですが、この『読者』視点を尊重するなら「ガイエスブルグの実績があって実現可能なら有効この上ないのに何故ヤンは移動要塞計画を一応でも『人民の海』計画同様に検討しなかったのか理解に苦しむ(検討して不可能だったという描写をする事はありかも知れないが)」という観点は否定できない事になります。

 結局『作中人物』『読者』どちらの観点でどうだと言いたかったのでしょうかね?
 きっとパンツァーさんもそのあたりの理解に苦しんでのダブルスタンダード発言だったのでしょうけれど。


No. 314
それとさすがにねぇ・・・・
不沈戦艦 2005/01/27 22:07:51
 答えに詰まって反論できなくなり、感情的非難を並べて相手を悪魔化しようとしてしまったのはみっともなさ過ぎですよ。まあ、パンツァー氏の「どう見ても『勝負あった!』なのに、追い打ちを掛けるように止め刺し」も「そこまでやらんでも・・・・」という気はしますけど。普通に見ていりゃ「ダブスタ疑惑」を晴らせず、遂には感情的非難を始めてしまった時点で「パンツァー氏の圧勝」でしかないですよ。だから、

> パンツァー氏へ

 これ以上、相手を追い詰めることもないと思いますけど、いかがですか?相手は撤退を示唆しているのですから、これ以上の「止め刺し」は「やり過ぎ」ではないかと。やり過ぎると「もう勝敗ついているのに、あまりにネチネチとイヤミったらしい。こいつは粘着質か?」という風に思われるようになってしまいますよ。


 Night氏が持論の正しさをあくまで主張するというのなら、「ラインハルトやヤンが遺伝子操作による人造人間の可能性も当然あり得るし、それを否定する断定的な材料もない以上、疑って然るべきである。しかし、その命題が真であるか偽であるかを科学的に確定することはできない」と「イゼルローンの移動要塞化について主張したのと同様の論理を以て」パンツァー氏の問いに返すべきだったんですよね。まあ、そう言おうと言わまいと彼の主張に私は賛同しませんが、パンツァー氏の問いを否定的に回答するのではなく肯定的に回答していれば、「Night説」としての一貫性を保つことはできましたので。でも、さすがにそんなことを言ってしまうと「どんな馬鹿げた命題でも否定的に回答することができなくなるので、自説の説得力がどうしようもないほどなくなってしまう」ということに気づいてはいるのでしょうから、「ラインハルトやヤンが人造人間だというのなら、その事実は周囲の人間に広く知られているはず」などという出所不明の論理の飛躍(ほとんど妄想)を行った上で「おそらく偽(『おそらく偽』ねぇ【苦笑】)」と判定、あやふやでちっとも「科学的」と言えない主観的かつ支離滅裂な主張で「ラインハルトとヤンの人造人間説」を否定しようとしたんでしょうねぇ。

「私だったらこうする」ですけど、Night氏のようなことを主張してしまって、それをどうあっても取り下げたくない場合は(「ごめんなさいと」謝って取り下げた方が話が早そうですけどね)、私なら自説に一貫性を持たせることを優先しますね。その結果、ROMに対する説得力が低下したところでやむなしです。というか、時と場合で主観的に判断基準を変えてしまい、それを相手に「一貫性の欠如」として明確に指摘されてしまうことの方が「論者」として受けるダメージが大きいと考えていますので。Night氏は、そのあたりの「掲示板上の論争における常識」が理解できていないみたいですねぇ。そういうことをやってしまった場合って、詭弁や感情的非難を繰り返して自分の正しさを主張すればするほど、「論者」としての信頼性が低下していくんですが、それも全く「分かっていない」ようですし。


No. 315
314に対するレス
パンツァー 2005/01/30 23:50:24
> > パンツァー氏へ
>
>  これ以上、相手を追い詰めることもないと思いますけど、いかがですか?相手は撤退を示唆しているのですから、これ以上の「止め刺し」は「やり過ぎ」ではないかと。やり過ぎると「もう勝敗ついているのに、あまりにネチネチとイヤミったらしい。こいつは粘着質か?」という風に思われるようになってしまいますよ。

まあ、傍目にはそうかもしれませんね。

一応、最後のNightさんの投稿(No6213)には、前部と後部の中傷部分の他に、中間部に反論部分がありました。この反論部分に対しては、返答しておく必要があると思っていました。これがなければ放置したかもしれませんが。

あと、どうも、数投稿前まで、
Nightさん自身が、自説で私を論はできると、勝利の確信に満ち溢れているように見えましたので、一つ、鼻っ柱を砕いておいてやろう、と思ったところがあります。

冒険風ライダーさんとのやり取り(前の移動要塞の論争)でも、最終的に、冒険風ライダーさんが面倒になって捨て置いているのを、どうも、Nightさん自身、自分の勝ちだと思っているように見えましたね。

だから面倒なんだけど、一から十まで徹底的に一度、まかり間違っても自分が勝ちだと思えるような要素が残らないくらい、徹底的に説明してやろう、と思ったのですよ。

本人は意図的ではないのかもしれませんが、ダブルスタンダードを用いると言う態度は、卑怯だと思います。許しがたい、と思う部分がありますね。

って、やっぱり私は、粘着かも。


No. 316
表の論争の個人的感想
冒険風ライダー 2005/01/31 02:46:27
≪これ以上、相手を追い詰めることもないと思いますけど、いかがですか?相手は撤退を示唆しているのですから、これ以上の「止め刺し」は「やり過ぎ」ではないかと。やり過ぎると「もう勝敗ついているのに、あまりにネチネチとイヤミったらしい。こいつは粘着質か?」という風に思われるようになってしまいますよ。≫
<一応、最後のNightさんの投稿(No6213)には、前部と後部の中傷部分の他に、中間部に反論部分がありました。この反論部分に対しては、返答しておく必要があると思っていました。これがなければ放置したかもしれませんが。>

 私個人の見解としては、「パンツァーさんのあの最後の投稿(No.6216)に関する限りは」Night氏に対する牽制ないしは抑止力としてそれなりに有効かつ正当性のあるものだったと思いますよ。
 何しろ、あの御仁はNo.6213の投稿で一応撤退宣言をしていながら、その一方で自説は何ら撤回していない上、「あるとしたら、何らかの見過ごせない事態が生じるか、この件に関して別の方が議論を始めた時になるでしょう」などと「再び移動要塞論争に介入する(己の撤退宣言を自分から取り下げる)可能性」をも示唆していましたし、不沈戦艦さんも述べていたように、最後の投稿で「感情的非難を並べて相手を悪魔化しようとしてしまった」わけですから、再投稿の可能性への牽制、および罵倒への返答としては、「一度限り」という条件付で、あの投稿を行う必要性と正当性は充分にあったと言えるでしょう。第一、あの御仁のあの投稿内容では、完膚なきまでに「トドメ」を刺されても「自業自得」としか言いようがないですし。
 これが、たとえば「定期的に同主旨の掲示板投稿を繰り返して自分への返答を強要する」などという挙に出るのであれば、「粘着」という評価も妥当と言わざるをえなくなるでしょうが、「一度限り」であれば、あの御仁の最後の投稿内容も手伝って特に問題にはならないかと。


<本人は意図的ではないのかもしれませんが、ダブルスタンダードを用いると言う態度は、卑怯だと思います。許しがたい、と思う部分がありますね。>

 まあ、銀英伝という作品および私の移動要塞論に対して「科学的なスタンス」とやらを、しかも作品の「批判」ではなく「擁護」を目的に使おうとすれば、たちまちのうちにダブルスタンダードの馬脚を露すことになってしまう、などということは最初から分かりきっていることだったのですけどね。銀英伝が科学的なスタンスで書かれてなどいないということは他ならぬ作者自身すらも明言している事実なのですし、作品擁護となれば必然的に「作中の御都合主義やトンデモ理論は、たとえそれがどんなに非合理的かつ非科学的なものであれ【作中の事実として認めることで】不問に付す」という結論を前提とせざるをえなくなってしまうのですから。そして私自身、第一次移動要塞論争の頃からずっと、そのことを口が酸っぱくなるほど繰り返し主張してきていたわけですし。
 こう言っては悪いのですけど、あの移動要塞否定派の主張って、実は3度にわたる「アルマゲ論争」で山本弘が終始絶叫してきたタワゴトと、考え方においては全く同じなんですよね。つまり、作品を評価する際には「現実世界に立脚した科学考証」のみを最高至上にして唯一絶対の基準であると規定し、自分が気に入らない作品を「科学的ではない」という理由だけで罵倒する一方、自分が気に入った作品に対しては手の平を返すかのように「フィクションだから」「作者はこう考えている【はず】なのだから」などという論理でもって無理矢理にでも擁護しようとするわけです。しかも最後の方では「俺はプロの技術者だ!」「科学的スタンスから見れば絶対的に俺の主張の方が正しいんだ!」的見当ハズレな捨て台詞を吐き散らしてトンズラするところまでそっくりときているわけですから、彼らの言動はある意味非常に哀れに思えてなりませんね、私は。これが山本弘大将軍様本人であれば大爆笑しているところなのですが。
 本当に「科学的なスタンス」とやらで作品を語りたい「だけ」なのであれば、【作品を語る前提が全く異なる】私の論とは無関係にやれば良いのに、何でわざわざ【噛み合わない上に勝算皆無の議論】を自分から仕掛けてこようとするのやら、と、私は何度疑問に思ったか分からないのですがね〜(>_<)。


No. 317
あくまで私の感想ですけど
不沈戦艦 2005/01/31 23:27:04
> 6214 Re:個別に回答 議論系掲示板マニア 2005/01/23 17:01

 この投稿読んだだけでも、もうすでに「止め刺し」になっている以外の何でもないと思ったんですよ。「感情的非難を並べて相手を悪魔化しようとしてしまった」直後に、直接関係ない第三者から今回の論争におけるNight氏の「ダブスタ」ぶりを明確に指摘されてしまった訳で。その後の6215は、事実上の敗北宣言でしかないですし。

 私じゃなくても、この段階で「Night説は完全に破綻し敗北した」と判断したROMは多かったんじゃないかと。


> 第一、あの御仁のあの投稿内容では、完膚なきまでに「トドメ」を刺されても「自業自得」としか言いようがないですし。

 まあこれは同意です。私も、Night氏に同情する気は全くないのでね。


> Nightさん自身が、自説で私を論はできると、勝利の確信に満ち溢れているように見えましたので、

 それはそうですね。何であそこまで恣意的に基準を振り回して、自信たっぷりだったのかはさっぱり理解できなかったですが。

> 一つ、鼻っ柱を砕いておいてやろう、と思ったところがあります。

 6215を見る限りでは、かなり「へこんで」いるのではないかと。私や冒険風ライダー氏のような「移動要塞肯定派」が介入しても「奴らは最初から肯定派だからそう言うんだ。やっぱり自分は正しい」と思いこみ、そういうことにはならないでしょうけど、今まで全然登場していなかった人物に言われてしまうと堪えるでしょうね。


No. 318
今更ですが
パンツァー 2005/02/01 00:26:23
移動要塞論の破壊力
(銀英伝の一部のキャラクターに思い入れの深い人々への心理的打撃力?)
には、今更ながら驚きます。
これほどまでして、この論を潰そうとする人々の心理が怖いくらいです。

>  こう言っては悪いのですけど、あの移動要塞否定派の主張って、実は3度にわたる「アルマゲ論争」で山本弘が終始絶叫してきたタワゴトと、考え方においては全く同じなんですよね。

恋は盲目、と言う言葉がありますが、
自らが思い入れのある対象に対しては、論理の整合性を問わず、論理をすり替えてでも擁護し、敵対する対象に対してはその逆を行う、ということですかね。

誰しも、そういう傾向はあるんでしょうけど、バランス感覚の欠けた程度が甚だしいと問題ですね。

同じような心理状況にある人は、同じような手を使う、ということでしょうか。

自分の主観を、客観だと思い込まないように気をつけないといけませんね。そうじゃないと、恥ずかしい思いをしますね、まったく。


No. 319
「移動要塞論の破壊力」について
冒険風ライダー 2005/02/02 01:37:58
<移動要塞論の破壊力
(銀英伝の一部のキャラクターに思い入れの深い人々への心理的打撃力?)
には、今更ながら驚きます。
これほどまでして、この論を潰そうとする人々の心理が怖いくらいです。>

 実のところ、あの論を作った張本人である私自身でさえ、何故あの移動要塞論に「だけ」あれほどまでの魅力なり破壊力なりが備わっているのか、全くもって理解に苦しむくらいですからね〜。
 そもそも、私はあの銀英伝考察3を発表する以前にも、手を変え品を変え、様々なキャラクター批判・作品批判・作者批判を考察シリーズ全般で行っていたのであり、特にメインコーナーである創竜伝考察シリーズなどは、銀英伝考察シリーズとは比べ物にならないくらい手加減抜きの猛攻を田中芳樹&田中作品に対してかけていたわけですから、銀英伝考察3レベルのキャラクター批判など、私に言わせれば「何を今更」程度のものでしかなかったんですよね。
 また、銀英伝考察シリーズだけに限定しても、移動要塞論をテーマとした「3」だけでなく、「1」も「2」もその内容はやっぱりキャラクター批判なのであり、私個人の感覚的では、その攻撃も「3」と比べてそれほど突出しているようには思えません(それどころか、「2」のヤン批判などは、ヤンの思想的意義そのものを完全に引っくり返しているという点で、「3」以上のキャラクター批判になっているとすら考えているくらいなのですが)。「銀英伝の一部のキャラクターに思い入れの深い人々への心理的打撃力」が問題ならば、何故銀英伝考察3「だけ」が問題になって他の考察シリーズの論については誰も言及しないのか、私はまずそこに疑問を抱かざるをえないわけです。
 その疑問もあって、私は「移動要塞論によって作中のキャラクターが愚か者認定される」などは、実は移動要塞否定派にとっても枝葉の理由付けでしかなく、真の動機と目的は全く別のところにあるのではないか、とさえ考えているくらいなんですよね。最初は、私が「科学考証を完全無視した作品論」を開陳したこと「それ自体」が、科学考証至上主義的作品論、非常に悪い言い方をすれば「山本弘的理論」を信奉している人達にとっては許せないものだったのではないか、と考えてみたのですが、これだけではNight氏のようなダブルスタンダードが発生する理由が説明できないですし、どうもこれといった回答が導けないところです。
 他に私が考えた仮説を挙げてみると、たとえば「移動要塞論をダシにして己の科学知識の自慢話がしたい」とか「(トンデモ設定を前提にして)トンデモ理論を吹聴している(ように見える)私を(筋違いの前提でもって)嘲笑うこと【自体】が目的化している」とか、ひどいのになると「実は科学考証的な擁護論をあえて御都合主義的かつ無理矢理な形で当てはめることによって【銀英伝は科学的にはトンデモ電波小説であり、作者である田中芳樹は頭の悪いバカである】という山本弘的結論をROMに印象付けるための高等戦術」などというシロモノまであるわけなのですが、さて、真相は何処にあるのやら。


<恋は盲目、と言う言葉がありますが、
自らが思い入れのある対象に対しては、論理の整合性を問わず、論理をすり替えてでも擁護し、敵対する対象に対してはその逆を行う、ということですかね。>

 まあ実際のところ、上記命題に対する「最も現実的かつ整合性のある回答」としては、これが一番的を射ているのかもしれませんがね。これが本当に真相であるのならば、何とも身も蓋もない話ではあるのですけど(苦笑)。


No. 320
レス「移動要塞論の破壊力」について
パンツァー 2005/02/03 00:33:37
<また、銀英伝考察シリーズだけに限定しても、移動要塞論をテーマとした「3」だけでなく、「1」も「2」もその内容はやっぱりキャラクター批判なのであり、私個人の感覚的では、その攻撃も「3」と比べてそれほど突出しているようには思えません(それどころか、「2」のヤン批判などは、ヤンの思想的意義そのものを完全に引っくり返しているという点で、「3」以上のキャラクター批判になっているとすら考えているくらいなのですが)。>

確かにそのように言われてみれば、キャラクター批判として、銀英伝考察「3」が、最先鋭と言い切れるかといえば、そうとも限らないかもしれませんね。

私が思いますに、
分かりやすい、というのが一つの理由かもしれません。

ヤンの思想的矛盾などは、指摘されてみても、読者自身が明確に意識している問題でもなく、それが指摘されたからといって、さほど痛みを感じないのでしょう。「だからどうした」と考えることができるのかもしれません。

これが、質量弾攻撃の活用や、イゼルローン要塞の篭城戦の否定(移動要塞)となると、おそらく、その批判の先鋭さを実感しやすいのでしょう。

「質量弾攻撃によるアルテミスの首飾りの破壊は、ヤンの天才性の証だ」
「要塞に要塞をぶつけると言うアイデアは、ラインハルトやヤンの天才性の証だ」

上のようなことを認めてしまっていたら、下のような批判を、逃げ道無く認めざるを得ないのかもしれません。

「イゼルローン要塞に質量弾攻撃を仕掛けないのは愚だ(過去に実例もあるのに)。」
「イゼルローン回廊に篭ったら質量弾攻撃を食らうかもしれないのに、ガイエスブルグ要塞の実例もあるのに、ワープエンジンを取り付けることも検討しないのは愚だ」

多分、「1」や「2」では、作品解釈の一つ、くらいにしか思って逃げることができ、思い入れのある読者の世界観を潰す脅威には、なりえなかったのでしょう。
しかし「3」は、「天才性の証」と同じ論理で「愚者の証」を説明するものだったので、どちらも受け入れるか、どちらも捨て去るか、の二択から逃れることができず、彼らの世界観に対する重大な脅威と映ったのかもしれません。

と言うのも私自身、
アスターテ会戦の記載の時点で、
ラインハルトやヤンの天才性ってのは怪しいなとは思ってましたが、
「3」を読んで、
ラインハルトやヤンの天才性が木っ端微塵に破壊されるのを実感しましたから。


No. 6223
神楽さんの論点の私なりの解釈
N 2005/02/05 00:52
皆さん、初めまして。Nと申します。ちょっとROMしてた者です。
神楽さんの論点が、途中からあまり顧みられていないのを、少し残念に思いましたので。

ヤンは、帝国と共存する民主共和政体の国が作りたかった。
その為には、ラインハルトに、そのような国の存在を認めさせなければならない。
そして、その為には、彼と正々堂々と戦い、そして勝つ以外に無い。

そういうことだと思います。
神楽さんが中世的、と表現されたのは、「ラインハルトが認めてくれるだけで、共和政体の国ができる」からであり、また、
「ラインハルトが民主共和政体の国の価値、存在を認める可能性があるとすれば、それが、『己を超える軍事の天才が、その全てをかけて、実現したかったもの』である場合しかない」、という事実からであると思います。
そして、ヤンはそれを理解していたから、ラインハルトが納得する形で勝とう、と考えていた、ということだと思います。


しかし、冒険風ライダーさんの指摘には全く脱帽です。
私の場合、ガイエスブルグ要塞のワープと、イゼルローン要塞のワープの可能性が頭の中で全く結びつかなかったのですから。
残念ながら銀英伝では実現しませんでしたが、こうした戦略兵器が積極的に活用される世界を描いたSFがあったら、面白いかもしれませんね。

どうも、拙い文章で申し訳ないです。
では。今年が皆さんにとって、良い年でありますように。


No. 6228
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
S.K 2005/02/11 16:11
>Nさん

> 皆さん、初めまして。Nと申します。ちょっとROMしてた者です。
> 神楽さんの論点が、途中からあまり顧みられていないのを、少し残念に思いましたので。

 遅レスで申し訳ありませんが一つ。
 俎上に乗らない見解には乗らないなりのいわれがあると思いますよ。


> ヤンは、帝国と共存する民主共和政体の国が作りたかった。
> その為には、ラインハルトに、そのような国の存在を認めさせなければならない。
> そして、その為には、彼と正々堂々と戦い、そして勝つ以外に無い。
>
> そういうことだと思います。
> 神楽さんが中世的、と表現されたのは、「ラインハルトが認めてくれるだけで、共和政体の国ができる」からであり、また、
> 「ラインハルトが民主共和政体の国の価値、存在を認める可能性があるとすれば、それが、『己を超える軍事の天才が、その全てをかけて、実現したかったもの』である場合しかない」、という事実からであると思います。
> そして、ヤンはそれを理解していたから、ラインハルトが納得する形で勝とう、と考えていた、ということだと思います。

 質問に質問で返すのは非礼かつ恐縮なのですが神楽さんのこの主張を是とすると以下を全肯定していただく事になるのですが、Nさんとしてはそれで宜しいのでしょうか?

1.「レンネンカンプ上級大将は狭量かつ頑迷という欠点はあれどラインハルトの部下にふさわしい公正さをもち勤勉で清廉潔白であった。またジョアン・レベロ主席もまた視野狭窄に陥る程の責任感の持ち主であり自由惑星同盟を憂慮していた有能な人材である事は疑いの余地がない。もしこの2人が自身の満足や安心のために無実の人間を害するような事があれが自身の美徳ゆえに必ずや後悔し反省し、広い視野や寛大さ、心のゆとりといった更なる美徳を身につけ人類史の光明の部分に貢献していたに違いない。公人として敗者側に益する事で無益かつ徒に戦火の被害を増大し、私人としては正に社会のお荷物としか評価できないヤン・ウェンリーの自分の命可愛さというエゴイズムそれのみで人類はより穏当かつ健全な次の時代へのステップを阻まれた」

 ラインハルト一人の反省に銀河規模の人命と思想一つの趨勢を全て委ねる事に比べれば数百倍堅実かつ穏当な見解ですよね、これ。

 そしてそれとは逆の発想も否定材料はない事になります。

2.「ラインハルトの意を汲まない立憲君主制への移行などあり得た筈がなくトリューニヒトは誇大妄想狂、ヤン・ウェンリー以下彼に根拠無き恐怖を覚えていたという人間たちは石橋を叩いて壊す被害妄想の手合いだったとしか評しえない。あのミッターマイヤー元帥にしてロイエンタール元帥のトリューニヒト射殺に『帝国の未来を救った』などという妄言を残した事は友情ゆえとしても惜しまれるところである」

 ですよね?
 ヤンの方法でしか人類史において民主共和制を残す術がないと言うなら。
 トリューニヒトがエゴイストであった事はこの場合評価対象になりません。
 肝心なのは人死にを出さずに温和に帝政内にラインハルトなぞ関係なく議会政治=民主共和制の萌芽を残しうる可能性があったかどうかという事ですから。

 以上2点、言いだしておいて何ですが私としては「馬鹿馬鹿しい」で済ませてしまいますね、「ラインハルトの闘志を満足させないと民主共和制は根絶される」的意見とまとめて。


No. 6229
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
N 2005/02/12 09:47
S.Kさん、初めまして。私の意見に興味を持ってくださって、ありがとうございます。

 帝国の他に民主共和政体の別の国ができることと、帝国の内政が立憲君主制に変わることは異なる性質のことだと思います。ラインハルトに関して言えば、帝国のほかに別の国の存在を認めさせるのはハードルが高くても、帝国の内政改革はさほどハードルが高くないのではないでしょうか。「それが帝国の世襲という弱点を補い、腐敗を防ぐ方法です」と言われれば、相手がユリアンでなくても、ラインハルトは納得したと思います。

 S.Kさんの論点をうまく受け止めた回答になっているかどうか、自信はありませんが、そうなっていることを願います。


No. 6230
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
S.K 2005/02/12 13:53
>Nさん

> S.Kさん、初めまして。私の意見に興味を持ってくださって、ありがとうございます。

 こちらこそ遅レスにおつきあいいただき恐縮です。


>  帝国の他に民主共和政体の別の国ができることと、帝国の内政が立憲君主制に変わることは異なる性質のことだと思います。ラインハルトに関して言えば、帝国のほかに別の国の存在を認めさせるのはハードルが高くても、帝国の内政改革はさほどハードルが高くないのではないでしょうか。「それが帝国の世襲という弱点を補い、腐敗を防ぐ方法です」と言われれば、相手がユリアンでなくても、ラインハルトは納得したと思います。

 いやこの場合の問題は「トリューニヒトが無血で着実に進めていた事をヤンは数十万の流血をもって不確実に行おうとした」事です。
 民衆個々人の尊厳を国益より尊重すると救国軍事会議の時に明言したヤン・ウェンリーなれば『回廊の戦い』はもっとも忌避すべき手段ではなかったでしょうか。
「民主共和制の精神を後世に遺す」方法が「ラインハルトといい勝負をして認めてもらう」だけではなかった事を皮肉にもトリューニヒトは証明しかけていた訳です、彼個人の目的に関わらず。
 あくまで『自由惑星同盟』という容れ物に固執するなら本当に処刑にきた下士官の言う通り「ラインハルトの戦意を徒に刺激する同盟のアキレス腱」として運命を受け入れるのが筋だったと思いませんか?
 最小の犠牲である事は事実ですし。


>  S.Kさんの論点をうまく受け止めた回答になっているかどうか、自信はありませんが、そうなっていることを願います。

「少なくとも回廊の戦いで、ラインハルトの気分を落とし所に設定したヤン・ウェンリーのプランニングは作中の事実や社会情勢を考えても他に採るべき策があるのを無視した愚策と言われて仕方ない」という点をご納得いただければ十分です。


No. 321
要塞対要塞最初に読んだ時から・・・
不沈戦艦 2005/02/12 21:26:03
> と言うのも私自身、
> アスターテ会戦の記載の時点で、
> ラインハルトやヤンの天才性ってのは怪しいなとは思ってましたが、

> 「イゼルローン要塞に質量弾攻撃を仕掛けないのは愚だ(過去に実例もあるのに)。」
> 「イゼルローン回廊に篭ったら質量弾攻撃を食らうかもしれないのに、ガイエスブルグ要塞の実例もあるのに、ワープエンジンを取り付けることも検討しないのは愚だ」

「正史」の「要塞対要塞」を単に読んだだけだって、ラインハルトが「ぶつけてしまえばいい」と割り切れるんだったら、「何で最初から適当な大きさの小惑星をみつくろって移動させ、イゼルローンに衝突させようとしないんだ?」と疑問持つのが普通でしょう。ワープでイゼルローン近くに出現させ、一定速度まで加速した後、小惑星に設置した動力機関を破壊してしまえば、イゼルローンの破滅を回避することは不可能です。古いSFですけど、E.E.スミスの「レンズマン」シリーズでそういう兵器(移動惑星を敵の惑星に衝突させる)ありましたし。

> アスターテ会戦の記載の時点で、

 これも第四艦隊と第六艦隊があまりにあっさり負けすぎるのがねぇ。後ろから襲われた第六艦隊はともかく、第四艦隊は正面からぶつかった訳でしょう?普通にやりゃ短時間で敗退するってのがちょっとあり得ないんじゃないかと思ったです。数によるもの以上の「質の差」があったとでもしない限りは。


> 私はあの銀英伝考察3を発表する以前にも、

 結局この「移動要塞論」に対する「マトモ」な反論って「ヤンの性格なら、あまりに多数の非戦闘員の死者を発生させることが必至である移動要塞による帝国領内でのゲリラ戦ではなく、第二の『長征一万光年』を始めるのではないか?」くらいでしたね。まあ、この意見には私も賛同ですが。もっとも、そんな話の筋にしてしまうと、ヤン一党が人類社会から去って行方不明ということになってしまうので、話が続かなくなってしまいますけど。そういうことを考えると、「移動要塞」ってのは原作にも入れない方が良かったネタなんでしょうね。


No. 6231
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
N 2005/02/13 10:17
S.Kさん、返事が遅れてしまって、申し訳ないです。

英国の歴史のように、トリューニヒトのプランがその後、本当の議会制民主政治に成長するなら、S.Kさんの仰ることにも一理あります。ただ、その場合でも、クロムウェルの例のように、必ずしも血を見ないで済むわけではない、と思います。


No. 6232
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
S.K 2005/02/13 12:32
>Nさん

> S.Kさん、返事が遅れてしまって、申し訳ないです。

 いえいえ十二分に速レスです。


> 英国の歴史のように、トリューニヒトのプランがその後、本当の議会制民主政治に成長するなら、S.Kさんの仰ることにも一理あります。ただ、その場合でも、クロムウェルの例のように、必ずしも血を見ないで済むわけではない、と思います。

 何をどうやった所で回廊の戦いの方が確実に大量の死者が出るだろうという推測は当る確率が高いと思いませんか?
 もう少し言うと『異なる二つの社会構造思想の並立』を考えた時点で規模の大小に関わらず軋轢は必至です。
 移動要塞論時点におけるヤンの義務は『人命を第一として反帝国の旗印になりうる自分が主義を枉げて帝国に完全恭順する』か『最小の犠牲、最小のリスクをもって帝国の治世内に民主主義の理念を風化させず後世に伝える方法を考案し実行する』であって、後世の後進による悲劇まで想定し責任を負う義務まではありません。
 と言うよりヤンの元に集まった兵士達の犠牲を「彼らの選択」と言い切るならそれは本来最もヤンが忌避する方便であり、現在を生きる彼ら兵士達にこそ確実な明日や家族との未来を与えてこそのヤン・ウェンリーではないでしょうか。
「ラインハルトの戦意を満足させる」案はこういうヤン本来のキャラクター性を踏み躙る物である訳です。

 どうしても回廊の戦いを不可避にしたければもっと状況を整えるべきでした。
 ラインハルトが早期に己の寿命を知って独善的な満足に走り「堕ちた英雄」の相を呈するなり、そこに梟雄としてのロイエンタールが煽りを入れるなり(で後で「やはりあの戦いは無益でありあのような仕儀に至った皇帝の資質を疑う。かく言う自分についてはオーベルシュタインが消極的であった点疑心暗鬼に走って皇帝を擁護したが今は反省している。そもそもそうした部下たる自分の至らなさを叱咤し戒めてこその皇帝ではないのか」と弁明すればらしい大義名分にも化けますし)、「戦わなくて生き残れない状況であり、そも現在の皇帝ラインハルトに人類社会の全てを委ねる事に絶大なる不安を覚える」まで追い詰められてようやくと言う所でしょう。
「他人の命を代価にラインハルトにおねだり」で回廊の戦いではあんまりと言う物です。


No. 6233
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
lulu 2005/02/13 14:37
すべては作者の都合。
ヤンとラインハルトを戦わせたいがためのね。
それがわかっていて何とか納得できそうな理屈を見つけようとしているNさんと、
そういった視点切り捨ててヤンを非難しているS.Kさんといったところですかね。
私もヤンは嫌いですが、どうも作者の都合という面で行動をゆがめられている
部分が嫌いなだけで、人間性とか小ネタの部分は結構好きなのではと思い直してます。

「やれやれ、こんなの私のキャラクターじゃないんだけどねえ」
「読者が納得しないから適当な理屈こねてよろしく頼むよ」
というプロデューサーと出演者の座談会が浮かぶ私は、
やはり田中芳樹に毒されているのかなあ。


No. 6234
Re:作品解釈論:ワープエンジンの場合
lulu 2005/02/13 16:10
ほぼ同時代にドイツ軍がA10ロケットを作れたからといって
日本がそれを作れたわけではありません。

さらにA10のロケットとサターンXのロケットを比べてみれば
両者のレシプロエンジンからの格差に比べればどうって事ない差かもしれませんが
現実、歴然とした差があるわけで。
飛ばす質量を数倍にすればかかる費用は数十倍になりますし、
ロケットエンジンの頑丈さは材質に依存するため物理的な限界があります。
そこで束ねて使いましたが、故障の問題を考えるといくらでも増やす
というわけには行きません。機械は必ず故障するものであると考えるので。
理論的にはいくらでも大きくできるが現実的ではない理由の一つですね。
軍などで使うような機械は故障する時間当たりの確率が設定されていて
単位時間当たりのオーバーホールと部品交換が義務付けられています。
どれか一つでも故障すれば致命的である場合、そのようなクリティカルな
部品を不用意に増やすのは故障の確率を恐ろしく跳ね上げます。
それをカバーするのが部品の管理体制やチェック体制で
長い経験や研究の結果であり一日一夕で完成するものではありません。

ガイエスブルグが飛んでからヤンがイゼルローンに来るまで1年あったかな。
専門家でもないヤンがそれを当てになると考えるとは思えないですね。
ヤンも軍人ですので、失敗すればもう後がないような状況で
今まで手を出してなく、経験のないような技術を導入する事などは
考えもしなかったのではないかと思います。

そもそもSFの皮をかぶったファンタジー作品に毒されないでください。
まじめに考えすぎです。
でも私もラインハルトが死んでから20年後には、帝国では
シャフトが残した技術が発展して巨大な球形の宇宙船が発達し
シャフトが悲劇の英雄になってるんじゃないかと妄想したり(笑)
銀河帝国もアルコン帝国と改名してたりして。


No. 6235
Re:神楽さんの論点の私なりの解釈
S.K 2005/02/13 18:52
>luluさん

> すべては作者の都合。
> ヤンとラインハルトを戦わせたいがためのね。
> それがわかっていて何とか納得できそうな理屈を見つけようとしているNさんと、
> そういった視点切り捨ててヤンを非難しているS.Kさんといったところですかね。
> 私もヤンは嫌いですが、どうも作者の都合という面で行動をゆがめられている
> 部分が嫌いなだけで、人間性とか小ネタの部分は結構好きなのではと思い直してます。

 生憎私はヤンを嫌いじゃないですよ?
 ヤンを非難している訳ではなく監督に「もう少しいい見せ場ありません?」とお伺いを立てている弱小スポンサーですから(ちゃんと徳間新書版購入いたしましたので)。
「切り捨てる」ってのはどこから引っ張り出してきました?


> 「やれやれ、こんなの私のキャラクターじゃないんだけどねえ」
> 「読者が納得しないから適当な理屈こねてよろしく頼むよ」
> というプロデューサーと出演者の座談会が浮かぶ私は、
> やはり田中芳樹に毒されているのかなあ。

「ちゃんとした理屈がつくでしょ、適当じゃ困る。そら、そっちも安易に流されない。貴方の芸暦なんだよ?」くらいはいいんじゃないですかね。


No. 6236
Re:作品解釈論:ワープエンジンの場合
S.K 2005/02/13 19:15
> ほぼ同時代にドイツ軍がA10ロケットを作れたからといって
> 日本がそれを作れたわけではありません。

 できなかったと言う為には作中「どうにもならなかった」描写が必要です。
「絶対できた」とは(移動要塞論を肯定する立場の)誰も言ってませんが。
「ガイエスブルグの事例と関係者の発言から察するに極めて再現率の高い事例ではなかったのか?何故俎上にも上らなかったのだろう」と言っているだけで。


> 長い経験や研究の結果であり一日一夕で完成するものではありません。

 悪い観点じゃないですが0からの理論構築と実例はある技術の分析は大分違うでしょうね。


> ガイエスブルグが飛んでからヤンがイゼルローンに来るまで1年あったかな。
> 専門家でもないヤンがそれを当てになると考えるとは思えないですね。

 ヤンがやる訳じゃないですよ。
 ヤンは「不可能だろうか」と手の届くところにいる専門家各位に聞けばよかっただけで(「『難しい』レベルなら何とか実現させてくれ」くらいは要求しても仕方ないです)。


> ヤンも軍人ですので、失敗すればもう後がないような状況で
> 今まで手を出してなく、経験のないような技術を導入する事などは
> 考えもしなかったのではないかと思います。

 たかが敗国の残存艦隊で帝国全軍に「目に物みせろ」という段階で後もへったくれもありません。
 あとは掛け金に見合った成果の出る賭け先なら何だっていいんじゃないですか?
 以前も言いましたが「それでラインハルト貴下の元帥・上級大将及び揮下艦隊は半減確実」という根拠さえあればあるいはスパルタニアン神風特攻隊だってありえない話じゃなかったんじゃないですか。


> そもそもSFの皮をかぶったファンタジー作品に毒されないでください。
> まじめに考えすぎです。

 不真面目に読み捨てて良しとするなら議論系サイトに書き込みなんかなさらないと宜しいのにと思いますよ。


> でも私もラインハルトが死んでから20年後には、帝国では
> シャフトが残した技術が発展して巨大な球形の宇宙船が発達し
> シャフトが悲劇の英雄になってるんじゃないかと妄想したり(笑)
> 銀河帝国もアルコン帝国と改名してたりして。

 かも知れませんね。
 何か問題でも?
「移動要塞なんか絵空事だ、ガイエスブルグ要塞は今も帝国領にあるんだバンザーイ」みたいな妄想家とその同調者の方々はどう思うのか知りませんが。


No. 6237
ははは、確かに
パンツァー 2005/02/13 19:32
> ほぼ同時代にドイツ軍がA10ロケットを作れたからといって
> 日本がそれを作れたわけではありません。

ジェットエンジンやロケットエンジンは、当時の列強国は、基礎研究は大概どこの国もやってましたけど、
実践的レベルではドイツが先んじていましたね。

私が述べているのは、
要塞級質量体のワープに際して、
帝国と同程度の困難しか、同盟の側にもないということです。


> そもそもSFの皮をかぶったファンタジー作品に毒されないでください。
> まじめに考えすぎです。

そうそう、まさにこの点です。
帝国軍は、戦艦級の質量を100万トンと見積もる試算では、
4000万倍の質量増大におけるワープを易々と実現してしまったのです。
はっきり言って、何でもありですよ。

こういう背景がある以上、
同盟の側では、イゼルローン要塞のワープができないと考える方がおかしいです。
こういうファンタジーなのに、むやみやたらと、もっともらしい理由をつけて、できない根拠があると言い張る人々こそ、
「SFの皮をかぶったファンタジー作品に毒され」てるんだと思いますよ!!


No. 322
レス321
パンツァー 2005/02/13 20:12:51
<そういうことを考えると、「移動要塞」ってのは原作にも入れない方が良かったネタなんでしょうね。>

要塞対要塞って、絵的には面白いんですよね。
入れないという方向で考えると、質量弾攻撃一般について、再検討する必要がありそうです。
ガイエスブルグ要塞のワープ移動だけ削除しても、質量弾関連の穴がまだたくさん残っていますから。

あと、要塞対要塞の話は、
別にも、矛盾を引起こしていますね。
ラインハルト王朝が成立した際、
ヤンは同盟とラインハルト王朝の共存の可能性を指摘していました。これは、お話では、同盟の亡命皇帝の扱いで失敗したことになっていますが、だいたい、ラインハルトの側には、こんな口実いりませんでした。というのも、なんの脈略もなく、皇帝の亡命以前に、ガイエスブルグ要塞でイゼルローン要塞を攻略しているわけですから。
この辺は、大失敗でしょうね。


No. 324
再度の長征一万光年
不沈戦艦 2005/02/13 20:39:11
> 要塞対要塞って、絵的には面白いんですよね。
> 入れないという方向で考えると、質量弾攻撃一般について、再検討する必要がありそうです。

 まあそうですわ。「絵的には面白い」から入れたいというのは解らんでもないです。
 質量弾攻撃に対しては・・・・「トールハンマー」を「宇宙戦艦ヤマトの波動砲(小惑星くらいなら軽く粉砕してしまう)」なみの破壊力で連射も可能とでもするしかないですかねぇ。


> ヤンは同盟とラインハルト王朝の共存の可能性を指摘していました。

 これも不思議と言えば不思議なんですけど、「移動要塞を使っての再度の長征一万光年」でなくても、何故ヤンは「再度の長征一万光年」の可能性を全く考えなかったんでしょうか?「アーレ・ハイネセンによる実施例」が「銀英伝の歴史上」に光り輝いているにもかかわらず。「ラインハルトのお目こぼしで、民主政治を生き残らせてもらう」より「ラインハルトの手の届かないところに逃げて、民主政治を生き残らせる」方がよっぽど「目」のある賭けではないかと思うんですがねぇ。

 そりゃ、「そうしてしまうと話が続かない」ということが最大の理由ではありますけど、仮に「移動要塞」が否定されたところで、この疑問は必ず残ってしまうんですよ。設定の「穴」としてね。「否定派」の言う通り「移動要塞が実施不可能」だとしても「再度の長征一万光年」が不可能だなんて絶対に言えませんからね。徒手空拳に近かった百年以上昔の「奴隷たち」ですら可能だったことが、ヤン一党にできないなんてことがある訳ないんですから。


No. 6239
Re6234:作品と作者と私の論の前提条件
冒険風ライダー 2005/02/13 22:49
<さらにA10のロケットとサターンXのロケットを比べてみれば
両者のレシプロエンジンからの格差に比べればどうって事ない差かもしれませんが
現実、歴然とした差があるわけで。
飛ばす質量を数倍にすればかかる費用は数十倍になりますし、
ロケットエンジンの頑丈さは材質に依存するため物理的な限界があります。
そこで束ねて使いましたが、故障の問題を考えるといくらでも増やす
というわけには行きません。機械は必ず故障するものであると考えるので。
理論的にはいくらでも大きくできるが現実的ではない理由の一つですね。
軍などで使うような機械は故障する時間当たりの確率が設定されていて
単位時間当たりのオーバーホールと部品交換が義務付けられています。
どれか一つでも故障すれば致命的である場合、そのようなクリティカルな
部品を不用意に増やすのは故障の確率を恐ろしく跳ね上げます。
それをカバーするのが部品の管理体制やチェック体制で
長い経験や研究の結果であり一日一夕で完成するものではありません。>

 いいかげん、この手のネタも聞き飽きてきたのですけどね〜。この移動要塞論で、私は一体何度この手の反論に同じ回答を行ってきたことやら(>_<)。
 私の移動要塞論でしばしば論じられるこの手の技術問題の致命的欠陥は、その内容自体にあるのではなく、そこで語られる「現実世界の科学技術の常識」を銀英伝に当てはめると「銀英伝という作品世界」そのものが瓦解してしまう、というところにあるのですよ。そこが全く理解できないから同じ反論を何度も繰り返してしまうのでしょうけど。
 この議論で何度も述べてきたことですけど、シャフトが考案した移動要塞というシロモノは、立案(宇宙暦798年1月下旬頃)から実用化(同年3月17日)まで最大でもせいぜい1ヶ月半〜2ヶ月以下の時間を必要としただけで、さらにその後すぐさまイゼルローン回廊で実戦投入されています(同年4月10日)。また、移動要塞と関連付けて論じられた「長征一万光年」のイオン・ファゼカス号も、たかだかひとりのアーレ・ハイネセンの「思いつき」から実行まで、わずか3ヶ月を要しただけです。
 そういう「【現実世界的発想から考えれば】ある意味トンデモな概念」を前提に成立している「【現実世界的発想から考えれば】トンデモな世界」に対して、「理論的にはいくらでも大きくできるが現実的ではない理由の一つですね」だの「長い経験や研究の結果であり一日一夕で完成するものではありません」だのといった「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」を当てはめることがどれほどまでに「作品世界を破壊しかねない脅威」となるのかは、本来ならば私などが何度も繰り返し強調せずとも、少し考えれば誰でも簡単に理解できる程度のことなのではないのですかね?
 さらにいえば、そもそも作者である田中芳樹自身が、銀英伝を執筆する際には「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」など考えてすらいないことを自ら率先して明言しております。そしてそれは、移動要塞に関しても例外ではないのです↓

銀英伝10巻あとがき P241
<ただ、作者が承知してやっていることもあります。たとえば、一万光年離れた惑星オーディンと惑星ハイネセンとで、同年同月同日ということはありえませんし、第一巻で私は惑星の自転・公転・暦の関係についてすこし書きましたが、後の巻では、よほど特殊な環境の例を除いて、いちいち言及しませんでした。また季節についても、惑星ごとに当然ちがうでしょうし、同じ惑星でも北半球と南半球ではことなります。そもそも地軸が黄道面に対して傾斜していない惑星では、季節の変化がありません。これらをすべてひっくるめて、季節の変化を地球北半球のそれに合わせてしまったのは、この作品においては、とくに回想シーンにおいて、季節感の描写が必要だったからです。フィクションのなかでの約束事として、ご許容ください。>

銀河英雄伝説読本 P49
<――:
 「銀英伝」においては、いわゆるSF的な新しい設定作りとかはされませんでしたね。
田中:
 それはやりませんでした。ワープなんていうのもいまさらという感じですし、そういうものは、すでにあるものとして、ハード・ウェア的な設定というのは、細かいことは全然やらなかったわけです。戦艦の大きさや装備がどうとか……。僕が書きたかったのは、ソフト・ウェアの方なのでということです。
――:
 そもそも、そういうことを書くためのお話ではないということですね。
田中:
 そうです。
――:
 ですから、たとえばイゼルローン要塞攻撃のために、ガイエスブルク要塞をワープで運んでくる……ならもう一度ワープすれば、ハイネセンまで行けるじゃないかという話も……。
田中:
 そうです、できるんですね(笑)。あれは、艦隊VS艦隊、艦隊VS要塞ときたから、一つ要塞VS要塞というのもやってみようということだったんです。ですから、ハード的な必然性なんて全然考えてないです、あれは(笑)。そういうのがけしからんと言われれば、「ごめんなさい」というしかないわけですね。>

 そして、私も作者と作品のこういう前提条件を知っていたからこそ、その前提条件に乗った上で、作者である田中芳樹および銀英伝という田中作品が最も書きたがっていた「ソフトウェア」が「ハード的な必然性」によってぶち壊されてしまうという「事実」を指摘し、さらにそれが作品のテーマ(移動要塞論の場合は「補給の概念」)および作中キャラクターの天才性を根底から覆してしまうことまで証明する形で、私は件の移動要塞論を構築していたわけです。
 そういう前提条件の中で「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」などという「筋違いかつ異質な前提条件」を、それも「作品擁護の材料として」無理矢理にでも当てはめようとする行為を繰り返すことは、作中における他の御都合主義やトンデモ設定との齟齬が全く生じることのない完璧な理論でも構築できない限り、銀英伝にとっても、作者である田中芳樹に対しても、それこそ大変失礼かつ無礼なことではないかと思うのですけどね、私は。


<ガイエスブルグが飛んでからヤンがイゼルローンに来るまで1年あったかな。
専門家でもないヤンがそれを当てになると考えるとは思えないですね。
ヤンも軍人ですので、失敗すればもう後がないような状況で
今まで手を出してなく、経験のないような技術を導入する事などは
考えもしなかったのではないかと思います。>

 上でも述べたように、移動要塞が「発案」されてから「実用化」されるまでの期間は、最大に見積もってもせいぜい1ヶ月半〜2ヶ月以下、イゼルローン回廊到達まで含めてさえ3ヶ月以下でしかありません。この短期間で一気に実用化できる程度の兵器であれば、素人だろうが専門家だろうが「こちらでも実用化できないか」と少しでも考えない方がおかしいのでは?
 それから、「経験のないような技術」って、ガイエスブルク移動要塞とイオン・ファゼカス号の2例だけでも、すでに充分すぎるほどの「経験」にはなりませんかね?


<そもそもSFの皮をかぶったファンタジー作品に毒されないでください。
まじめに考えすぎです。>

 パンツァーさんも仰ってますけど、そのセリフは、上記で述べたような作者と作品と私の論が土台にしている前提条件を無視し、「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」を無理矢理にでも銀英伝に適用することによって何が何でも移動要塞論を否定しようとする人達に対してこそ、言うべきことなのではないのですか?
 「SFの皮をかぶったファンタジー作品」に「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」など当てはめようがないことくらい、本来「まじめに考えすぎ」なければ誰でも簡単に理解できそうなことでしかないのですけどね〜。


No. 325
ホントか、これ?
不沈戦艦 2005/02/13 22:54:01
> ほぼ同時代にドイツ軍がA10ロケットを作れたからといって
> 日本がそれを作れたわけではありません。

 銀英伝世界の帝国と同盟って、「第二次世界大戦中のドイツと日本」くらいの「科学技術の格差」があるという設定でしたっけ?具体的に該当個所まで指摘はできませんけど、そういう類の「科学技術の格差」は「全くない。どちらも似たようなレベル」という設定だったと記憶していたんですが。「作中事実」からしても、「指向性ゼッフル粒子」の有り無し(もちろん帝国にはあって同盟にはない)くらいしか、存在しないと思ったんですがねぇ。

「表」で館長氏が指摘していた通り、田中芳樹は「ハードウェアSF」が書きたかったのではなく、ソフトウェアの部分が書きたかった訳ですから、「技術的格差あり」なんて設定を盛り込む筈もないんですけど、そういうことを完全無視して「科学的設定」を優先させるってのはスゴイなぁと思ったです。


No. 6240
Re:Re6234:作品と作者と私の論の前提条件
パンツァー 2005/02/13 23:21
>  「SFの皮をかぶったファンタジー作品」に「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」など当てはめようがないことくらい、本来「まじめに考えすぎ」なければ誰でも簡単に理解できそうなことでしかないのですけどね〜。

luluさんに申し上げますが、
十歩譲って、
「【現実世界における】科学技術や物理法則の常識」
を当てはめるにせよ、どうか、どうか、
帝国と同盟とで、均等に扱って欲しいものです。

まず、要塞級の質量体がワープできた記述の時点で、
「そんなばかな、こんなことがありえるはずが無い!」
と躓いて欲しいものです。
ここで躓かないくせに、
同盟によるイゼルローン要塞のワープだけ問題視するってのは、
フェアじゃないですよ、まったく。

「シャフトが10年間、秘密裏に、実験を繰り返してきた結果」
とかいった記述でもあれば、
同盟も追いつくのに10年間くらい掛かりそうですけどねえ〜。

ほんと、
ダブルスタンダード使いばかりで、
困りますね、まったく。


No. 326
マルチレス
冒険風ライダー 2005/02/14 01:02:18
<「正史」の「要塞対要塞」を単に読んだだけだって、ラインハルトが「ぶつけてしまえばいい」と割り切れるんだったら、「何で最初から適当な大きさの小惑星をみつくろって移動させ、イゼルローンに衝突させようとしないんだ?」と疑問持つのが普通でしょう。>
<要塞対要塞って、絵的には面白いんですよね。
入れないという方向で考えると、質量弾攻撃一般について、再検討する必要がありそうです。
ガイエスブルグ要塞のワープ移動だけ削除しても、質量弾関連の穴がまだたくさん残っていますから。>

 銀英伝考察3を構成する移動要塞論の中には、一応この手の小惑星特攻や質量弾攻撃についても言及していたはずなのですけど、あれだけ移動要塞論を潰そうと執拗なまでに「筋違いかつ異質な前提条件」を論じていた移動要塞否定派の方々が、この件に関してはただひたすら無視を決め込むばかりなんですよね。もちろん、それはこの問題に関して下手に「筋違いかつ異質な前提条件」を適用などしてしまったら、作品擁護どころか、私の論をすらはるかに上回る「パンドラの箱を開けるがごとき大破局」が銀英伝に襲い掛かることが最初から明々白々だったからでしょうけど。
 その理解力の半分でも、移動要塞論全般に振り向けられていれば、あのスレッドもあれほどまでに長くなることもなかったでしょうに (>_<)。


<結局この「移動要塞論」に対する「マトモ」な反論って「ヤンの性格なら、あまりに多数の非戦闘員の死者を発生させることが必至である移動要塞による帝国領内でのゲリラ戦ではなく、第二の『長征一万光年』を始めるのではないか?」くらいでしたね。まあ、この意見には私も賛同ですが。>

 まあこれに関しては「反論」された私自身ですら全面的に賛同したくらいですからね。
 ただ、これにしても、結局は私の移動要塞論を否定どころかむしろ肯定するものだったわけですから、その後私はこの「反論」をも自説の一部に組み込んで論を強化してしまったわけなのですけど(苦笑)。


<そういうことを考えると、「移動要塞」ってのは原作にも入れない方が良かったネタなんでしょうね。>

 アレは作者自身でさえ、「艦隊VS艦隊、艦隊VS要塞ときたから、一つ要塞VS要塞というのもやってみようということだったんです。ですから、ハード的な必然性なんて全然考えてないです、あれは(笑)」などと言っていた程度のシロモノでしかないのですからね(苦笑)。それがいかに無限の広がりを見せるか、ということについては、ハードウェア的視点はむろんのこと、田中芳樹が語りたかったソフトウェア的観点でさえ、考えが及ばなかったのでしょう。
 SF設定なんてシロモノは、ちょっとした「変わり種」を入れただけで何もかもが狂ってしまうような「危険物」だということを、私は移動要塞の自給自足論によって徹底的に思い知らされましたからね〜(>_<)。


<ラインハルト王朝が成立した際、
ヤンは同盟とラインハルト王朝の共存の可能性を指摘していました。これは、お話では、同盟の亡命皇帝の扱いで失敗したことになっていますが、だいたい、ラインハルトの側には、こんな口実いりませんでした。というのも、なんの脈略もなく、皇帝の亡命以前に、ガイエスブルグ要塞でイゼルローン要塞を攻略しているわけですから。
この辺は、大失敗でしょうね。>

 あの移動要塞を使った第8次イゼルローン要塞攻防戦は、作中キャラクター(それもラインハルトの部下であるヒルダ・ミッターマイヤー・ロイエンタールの3人)からさえも批判されていましたから、作者も「ラインハルトの行動が不自然である」ということを意識して書いてはいたのでしょう。おそらくはマル・アデッタ星域会戦や回廊の戦いでも垣間見られた「戦争狂ラインハルト」を描くための伏線として。
 ただ、何でこれが作中では肯定7:批判3くらいの割合で扱われ、しかも敵手たるヤンに至っては全面肯定の対象として考えてすらいた(少しでも批判した形跡が全くない)のか、私としては全くもって理解に苦しむのですけど。


<そりゃ、「そうしてしまうと話が続かない」ということが最大の理由ではありますけど、仮に「移動要塞」が否定されたところで、この疑問は必ず残ってしまうんですよ。設定の「穴」としてね。「否定派」の言う通り「移動要塞が実施不可能」だとしても「再度の長征一万光年」が不可能だなんて絶対に言えませんからね。徒手空拳に近かった百年以上昔の「奴隷たち」ですら可能だったことが、ヤン一党にできないなんてことがある訳ないんですから。>

 これは逆に「【そういう前例があったからこそ】、帝国もその再来が起こることを恐れ、ヤンを徹底追撃する可能性が否定できなかった」というのが実情だったのではないですかね? 帝国側にしてみれば、また共和主義者達に「長征1万光年」を実行された挙句、第二の自由惑星同盟などを建国されて再び長期にわたる戦乱の時代に突入されてしまうのではたまったものではないでしょうから、当然「長征1万光年」のような行動を起こす組織は何であろうと事前に叩き潰そうと考えるのが自然です。
 また、私が移動要塞論の論拠のひとつとしている銀英伝8巻P216でヤンが語っている「定期的な補給の問題」が解決されないという事情もあったでしょう。この問題が常にヤンに憑き纏っていたからこそ、ヤンは「次善の策」としてイゼルローン要塞に立て籠もらざるをえなかったのですし、私もこの問題を解決する方法論として「移動要塞論」を提示したわけですから。
 ただ、これにしても、「では一体どうやって長征1万光年は成功したのですか? また仮にそんな方法があるとして、どうしてヤンはそれを使用しなかったのですか?」と問い返されてしまうと、私も上手い擁護論が思いつかないのですけどね。それこそ「移動要塞」のような「彼らには無期限に補給可能な自給自足システムが存在した」というものでもない限り。


<銀英伝世界の帝国と同盟って、「第二次世界大戦中のドイツと日本」くらいの「科学技術の格差」があるという設定でしたっけ?具体的に該当個所まで指摘はできませんけど、そういう類の「科学技術の格差」は「全くない。どちらも似たようなレベル」という設定だったと記憶していたんですが。「作中事実」からしても、「指向性ゼッフル粒子」の有り無し(もちろん帝国にはあって同盟にはない)くらいしか、存在しないと思ったんですがねぇ。>

 不沈戦艦さんが仰っている記述は、多分これのことでしょうね↓

銀英伝1巻 P182上段〜P183上段
<想像を絶する新兵器、などというものはまず実在しない。互いに敵対する両陣営の一方で発明され実用化された兵器は、いま一方の陣営においてもすくなくとも理論的に実現している場合がほとんどである。戦車、潜水艦、核分裂兵器、ビーム兵器などいずれもそうであるが、遅れをとった陣営の敗北感は「まさか」よりも「やはり」という形で表現されるのだ。人間の想像力は個体間では大きな格差があるが、集団としてトータルで見たとき、その差はいちじるしく縮小する。ことに新兵器の出現は技術力と経済力の集積の上に成立するもので、石器時代に飛行機が登場することはない。
 歴史的に見ても、新兵器によって勝敗が決したのは、スペイン人によるインカ侵略ていどのもので、それもインカ古来の伝説に便乗した詐術的な色彩が濃い。古代ギリシアの都市国家シラクサの住人アルキメデスは、さまざまな科学兵器を考案したものの、ローマ帝国の侵攻を防ぐことはできなかった。
 想像を絶する、という表現はむしろ用兵思想の転換に際して使われることが多い。そのなかで新兵器の発明または移入によってそれが触発される場合もたしかにある。火器の大量使用、航空戦力による海上支配、戦車と航空機のコンビネーションによる高速機動戦術など、いずれもそうだが、ハンニバルの包囲殲滅戦法、ナポレオンの各個撃破、毛沢東のゲリラ戦略、ジンギスカンの騎兵集団戦法、孫子の心理情報戦略、エパミノンダスの重装歩兵斜線陣などは、新兵器とは無縁に案出・想像されたものだ。
 帝国軍の新兵器などというものをヤンは恐れない。恐れるのはローエングラム伯ラインハルトの軍事的天才と、同盟軍自身の錯誤――帝国の人民が現実の平和と生活安定より空想上の自由と平等を求めている、という考え――であった。それは期待であって予測ではない。そのような要素を計算に入れて作戦計画を立案してよいわけがなかった。>

 こんなことが銀英伝の作中に堂々と書かれているのに、「しかし実際には、帝国と同盟には隔絶した技術的格差が存在し、同盟は帝国の新兵器に常に圧倒されていた……」なんてことがありうるはずがないんですよね。第一、もしそんなものが仮に存在するのであれば、ヤンがこんな「事実に基づかない」ことを考えるわけがないのですし。
 この手の「作中事実にすら明らかに反する理論展開」を何度も執拗なまでに繰り返されると、私としては「彼らはそもそも銀英伝を読んだことがあるのか?」という疑問すら抱きたくなるくらいなのですがね〜。


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