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銀英伝考察3
銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威
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No. 6404
長征二百三十万光年(それ以上も可)
不沈戦艦 2005/04/12 22:46
>もちろん、この構想から言えば、たとえその「内政自治権を有する民主共和政の一惑星」が帝国領内に
>あったとしても何ら問題にはなりません。重要なのは「民主共和政体を有する惑星の存在」それ自体に
>あるのであって、場所など全く問うてはいないのですから。

 そうだとすると、何故「現在(もちろん、銀英伝世界の話です)の人類の版図」にこだわる必要があるのでしょうか?「場所は旧同盟領だろうと帝国領だろうとどこでもいいし、民主主義政体を構成する市民もイゼルローンの人間が居ればいい」というのなら、「現在の人類の版図」に粘着する必要性なんざ、どこにもないじゃないですか。むしろ、取引がなったとして当然敵対的である帝国軍にいつ攻撃を受けるか分からない(科学の進歩やら何やらで、イゼルローン移動要塞を無力化できるようになったら、即座に発生する事態です)のですから、帝国軍の手の届かないところに逃げるべきなのでは。「さっさと逃げ出して第二次長征一万光年に入れ」としか言いようがないですね。「旧同盟領の一部領有を目指している」のなら、「現在の人類の版図」に「粘着」する必要性はありますけど。「帝国領攻撃」を行うのなら、「帝国領攻撃中止と引き替えの旧同盟領の一部領有」を目指しての行動でなければ、意味がないと思います。


>ヤン陣営が帝国を攻撃しなければならない理由は2つあります。ひとつは、帝国側が第二の長征一万光年
>を敢行するヤン陣営に徹底的な追撃をかけてくる可能性であり、もうひとつは将来的な脅威です。

 ひょっとして、「第二次長征一万光年」というのを、十光年か百光年逃げる程度と考えていませんか?
例えばですが「長征二百三十万光年」に出たらどうでしょう。つまり、アンドロメダ星雲まで一気に逃げるということです。「無限の自給自足能力」を持っている「移動要塞」ならそれが可能でしょ。でも、ヤン一党が「立てこもったイゼルローンを移動要塞化して直ぐに逃げ出した場合」の時点では、帝国軍には移動要塞は存在しない訳です。「無限の自給自足能力」をフルに発揮して、二百三十万光年を逃げる移動要塞を、艦隊戦力で追撃できるなんてことがある訳がないでしょう。さすがに「補給切れ」で追撃不能になるのが関の山ですよ。それに、まさか「イゼルローン移動要塞なら、帝国領内(宇宙の広大さに比べれば、限られたエリアでしかないです)を神出鬼没に行動して、延々と攻撃し続けられる」と主張しているのと同じ人が「イゼルローン移動要塞が追撃して来る帝国軍艦隊を撒いて、一時的にでも姿を消す」ことができない、とは主張しませんよね?一時的にでも撒いてしまえばもうこっちのもんです。一気に銀河系の外を目指し、アンドロメダ星雲まで一直線に逃げれば、二度と捕捉される可能性なんざありませんよ。それに、銀河帝国側も一体どこに逃げてしまったのかも分からない。仮に「アンドロメダ星雲に逃げたかも知れない」と気付いて、後々に移動要塞を建造してアンドロメダ星雲まで探索に行くとして、銀河系と同レベルの星雲の一千億の星々の中から、どうやって「逃げたヤン一党」を発見できるというのでしょうか?それに、何ならアンドロメダ星雲を通り過ぎて、更に他の星雲に逃げてもいいんですよ。「無限の自給自足能力」がある「移動要塞」なんですから。長征二百三十万光年どころか、一千万光年でも一億光年でも「その気になれば」可能な筈です。

 ということで、「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞が、逃げる距離を飛躍的に伸ばせば、帝国軍がいくら探し回ったところで、捕捉される可能性なんか全くありません。「将来的な脅威」はゼロです。ヤン一党側も「ハイネセンは一万光年だったから百数十年で銀河帝国に捕捉されてしまった。その距離を百倍以上に伸ばせば、百年どころか一万年以上捕捉される可能性はない」と、簡単に「歴史の経験則」で判断できますよ。



>これを利用して、第二の長征一万光年を敢行するヤンに対して、帝国側もまた同じことを行って「永久に」
>追撃をかけてくる可能性も否定できないわけです。

 以上の理由から「長征二百三十万光年(あるいはそれ以上)」をヤン一党が実行した場合、帝国側が追撃するのはほとんど不可能なので、そんな危険は無視できます。後からヤン一党を捜索する帝国軍の移動要塞は、何の手がかりもないままに、延々と広大な宇宙をさすらう羽目になりそうですね。


No. 6407
Re6404:銀英伝世界における宇宙航行事情の問題
冒険風ライダー 2005/04/17 22:19
<例えばですが「長征二百三十万光年」に出たらどうでしょう。つまり、アンドロメダ星雲まで一気に逃げるということです。「無限の自給自足能力」を持っている「移動要塞」ならそれが可能でしょ。でも、ヤン一党が「立てこもったイゼルローンを移動要塞化して直ぐに逃げ出した場合」の時点では、帝国軍には移動要塞は存在しない訳です。「無限の自給自足能力」をフルに発揮して、二百三十万光年を逃げる移動要塞を、艦隊戦力で追撃できるなんてことがある訳がないでしょう。さすがに「補給切れ」で追撃不能になるのが関の山ですよ。それに、まさか「イゼルローン移動要塞なら、帝国領内(宇宙の広大さに比べれば、限られたエリアでしかないです)を神出鬼没に行動して、延々と攻撃し続けられる」と主張しているのと同じ人が「イゼルローン移動要塞が追撃して来る帝国軍艦隊を撒いて、一時的にでも姿を消す」ことができない、とは主張しませんよね?一時的にでも撒いてしまえばもうこっちのもんです。一気に銀河系の外を目指し、アンドロメダ星雲まで一直線に逃げれば、二度と捕捉される可能性なんざありませんよ。それに、銀河帝国側も一体どこに逃げてしまったのかも分からない。仮に「アンドロメダ星雲に逃げたかも知れない」と気付いて、後々に移動要塞を建造してアンドロメダ星雲まで探索に行くとして、銀河系と同レベルの星雲の一千億の星々の中から、どうやって「逃げたヤン一党」を発見できるというのでしょうか?それに、何ならアンドロメダ星雲を通り過ぎて、更に他の星雲に逃げてもいいんですよ。「無限の自給自足能力」がある「移動要塞」なんですから。長征二百三十万光年どころか、一千万光年でも一億光年でも「その気になれば」可能な筈です。>

 確かに「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞をもってすれば、「長征二百三十万光年」だろうが一千万〜一億光年だろうが、文字通り永遠に逃げ続けることも可能でしょう。ただし、それは「安全性と宇宙航行上の障害を無視しても良い」という前提付きで良いのであれば、の話ですけど。
 そもそも、「第二次長征一万光年」を実行する際は、「第一次長征一万光年」もそうだったように、これまで誰ひとりとして踏破したことがなく、当然のことながら航路図や航法データが何も存在しない「未知の宇宙空間」を航行することになるのですよね? そういう世界に足を踏み出すというのに、銀英伝本編で展開されているような一般的な宇宙航行のような感覚で「長征」が行えるとはとても言えたものではないでしょう。
 銀英伝世界における宇宙航行で「整備された航路図」や「航法データ」がいかに重要であるかについては、以下の引用箇所に記載されています↓

銀英伝外伝2巻 P146下段〜P147上段
<船団の位置や航路に関するデータは、航法士官が集中管理しているのだから、もしそのデータがまちがったものだとしたら、船団はどんどんまちがった方向へ行ってしまうことになる。
「でも、あまり航路を逸脱するようだったら、どこかの航路管制センターが気づいて警告するんじゃありませんか?」
「うん、だけど船団のほうから、あらかじめ、予定航路変更の事前報告がはいっていたら、いちいち警告はしないんじゃないかな」
 たとえば、船団司令部に帝国軍のスパイが潜入していて、わざとまちがった航法データをコンピュータに入れつづけたら、そして、航路管制センターのほうへ予定変更の情報を送りこんでいたら――船団ごとまるまる誘拐できるのではないか。まあ、長時間はむりだとしても、一週間か一〇日くらいは。
「話としてはおもしろいが、事実だったらちょっとたまらんなあ」
 リンツ中佐が言ったが、じつはよく似た事実が過去にあるのだ。七〇年前、帝国の猛将バルドゥング提督に苦しめられた同盟軍が、一計を案じて、彼を誘拐した、そのころ統合作戦本部の情報参謀だったマカドゥー大佐という人が、二年がかりで計画をたて、バルドゥング提督の旗艦の航法士官を買収したのだ。前線視察に出たバルドゥング提督は、いつのまにか同盟軍の勢力宙域にはいりこんでしまい、どうすることもできず、つかまってしまった。八年後、捕虜交換式の直前に収容所内でなくなったが、事故か自殺か、はっきりしない。
 いまでは回廊にイゼルローン要塞があるから、いつのまにか帝国領にはいりこんでいるはずもないけど、考えてみればこわい話だ。航法計算でしか自分の位置が分からないのだから。そしてその計算が、もしちがっていたとしたら……。>

銀英伝外伝2巻 P149上段〜下段
<ぼくたちは、いまさら言うまでもないけど、パルス・ワープ航法でハイネセンへ向かっている。ところが、航法コンピューターのデータをぬきうちで再検査したところ、このままの進路をたもつと、昨日の夕食時には、惑星のない恒星マズダクに突入することになっていたという。
 大あわてで航法コンピューターの回路を切って、船団はどうにかマズダクから六〇〇〇万キロの宙域にとどまったのだという。たった二〇〇光秒である。
 助かりはしたものの、ぼくたちはハイネセンから一三〇〇光年も離れた方角へ来てしまっていたのだ。航路を算定しなおして、ハイネセンへ到着するのに、最低でも一週間はかかるという。陰謀だか事故だか、いまの段階ではわからないけど、とにかく、たいへんなことだ。>

銀英伝外伝2巻 P157上段
<とにかく、前の日から事態は全然よくなっていないのだった。正しい航法データを、ドールトン大尉の手で破棄されてしまったら、船団は外部に救助を求めないかぎり、この宙域で動きがとれなくなる。ワープしたとたんに、今度こそどこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれないのだ。>

 これらの記述を読めば分かるように、銀英伝世界では「すでに航路図が整備されている【既知の】宇宙空間」においてさえ、「正しい航法データ」がなければまともな宇宙航行すらできない、いやそれどころか自分達の居場所を把握することさえも満足に行えなくなることが明示されています。
 ましてや「第二次長征一万光年」は、銀英伝世界の距離感から見てさえ途方もなく長大な距離を持つことになるであろう「全く未知の宇宙空間」を、それも相当な長期間にわたって航行し続けることになるわけでしょう? そこで遭難などしたくないのであれば、進む先の入念な航路調査を行い、精緻な航路データを作成しつつ、安全を確認しながら慎重に航行する、といった手順を踏む必要が当然生じることになるわけです。
 しかも、もし進行先の航路上に「宇宙の墓場(サルガッソ・スペース)」のような障害が存在した場合、これまた「第一次長征一万光年」がそうだったように、たとえそれが(銀英伝世界では比較的短い距離と目されているであろう)数十〜数百光年程度の距離であったとしても、そこを通過ないしは迂回するだけで数十年もの歳月がかかる、下手をすれば遭難する危険性が発生することすら考えられます。「安全性」という観点から考えれば、未知の宇宙空間での航行はいくらでも慎重に慎重を期す必要性があるわけで、航行速度も航行距離も、すくなくとも「すでに航路図が整備されている既知の宇宙空間」を進むほどのスコアを叩き出すことはほとんど不可能に近いと言えるのです。
 そういう状況では、当然「長征」も著しい鈍行速度でしか進むことができなくなるわけで、そうなれば帝国軍が移動要塞を(たとえ一時的に撒かれたとしても)捕捉する可能性は決して無視できないものとならざるをえないでしょうね。何しろ、常に移動を行える「移動要塞を使ったゲリラ戦略」とは異なり、「全く未知の宇宙空間」の事前調査を行うとなれば、そのために長期間一箇所に留まらなければならないケースも当然想定されるわけですし、すくなくとも最初の段階ではそこは「既知の宇宙空間」となるのですから、帝国側の捕捉の網に引っかかる可能性はそれなりに存在するのです。かといって準備不足のまま「長征」など行おうものなら、それこそ原作でも書かれているように「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」などという笑えない結末を迎える危険性すら存在するわけで、最初はかなりジレンマを抱え込まざるをえないでしょうね。
 前門の「未知の宇宙空間」と後門の「敵の執拗な探索および追撃」、銀英伝世界の宇宙航行事情では、片方だけならばともかく、両方を一度に相手するのはかなりきつくはないでしょうか?


<ということで、「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞が、逃げる距離を飛躍的に伸ばせば、帝国軍がいくら探し回ったところで、捕捉される可能性なんか全くありません。「将来的な脅威」はゼロです。ヤン一党側も「ハイネセンは一万光年だったから百数十年で銀河帝国に捕捉されてしまった。その距離を百倍以上に伸ばせば、百年どころか一万年以上捕捉される可能性はない」と、簡単に「歴史の経験則」で判断できますよ。>

 そんな「歴史の経験則」など、銀英伝世界には存在しえませんね。というのも、銀英伝世界では、時代が下るにしたがってワープ航行技術および跳躍距離が長くなっていることが明示されているからです。
 たとえば、銀英伝の作中には、銀河連邦成立前の旧地球時代における恒星間航行について以下のように書かれている箇所が存在します↓

銀英伝6巻 P16下段
<恒星間航行は技術と距離の壁を前にして、無限の発展という甘美な夢をしぼませかけていた。二四八〇年に、人類の生存圏は地球を中心とする半径六〇光年の球体をなしていた。二五三〇年には半径八四光年、二五八〇年には半径九一光年、二六三〇年には半径九四光年で、停滞の状況は明らかだった。>

 旧地球時代におけるワープ航行技術による人類の生存圏が上のような状況なのに対して、銀河連邦時代は一気に数千光年単位まで生存圏を拡大し、そして銀英伝本編の時代には銀河系全体の5分の1(1万光年以上?)までを人類の支配圏とするまでに至っているわけです(銀英伝1巻 P152)。旧地球時代と銀英伝本編の時代とでは、ワープ航行技術について、単純に光年単位で比較すると実に2桁レベルもの格差が存在しているわけです。
 銀英伝世界におけるこの事例を基にした「歴史の経験則」から考えれば、距離を100倍に伸ばしても、時間が必ずしもそれに正比例するわけでないことは自明の理というものでしょう。上の例を基に考えれば、4000〜6000光年を航行するだけで20日〜1ヶ月近くもかかる銀英伝本編のワープ航行技術をはるかに凌ぐ、たとえば1万光年を1日で走破できるワープ航行技術が将来帝国側に出現して、せっかく数十年かけてちまちま稼いだ距離を一気に詰められてしまう、という事態すら想定されるわけです。これは「長征一万光年」のような「【数十年単位のスパンで】遂行される宇宙航行」であれば、当然想定されるべき話ですし、単純に距離を稼ぎさえすれば良い、ということにはならないのですよ。
 また、上でも述べたことですが、銀英伝世界では「整備された航路図」および「正しい航法データ」がなければ「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」と言われるくらいにワープ自体が安全に行えなくなってしまう宇宙航行事情が存在するのですから、「未知の宇宙空間」を航行する際にはワープを使用するだけでも多大な時間と手間がかかるわけで、そんな状況で「数百万光年を長征する」となると、下手すれば数百年〜数千年以上もの時間を必要とせざるをえない可能性すらも考えられます。実際、銀英伝の「長征一万光年」でさえも50年以上もの時間を要しているわけですし、長征の距離を単純に延ばす、というのは、ワープ航行技術の将来的な発展の可能性と併せ、正直「割に合う」「現実的な」選択肢とはとても言えたものではないでしょうね。
 「第二次長征一万光年」には、「【無限の自給自足能力】を持つ移動要塞」という要素とは全く別に存在する、上記のような「銀英伝特有の宇宙航行事情」をも同時に考慮しなければならないわけで、だからこそ「帝国側の追撃、および将来発生するであろう邂逅の可能性をいかにしてかわすか」という方策が必要不可欠になると私は考えるのですが、どうでしょうか。


No. 6400
Re:氷塊衝突を衛星等が回避する可能性について
ぴぃ 2005/04/10 19:52
 まず最初にお詫びいたします。断りもせずに長らく議論を中断してしまい、申し訳ありませんでした。パンツァーさんがお怒りであれば無視してください。


> それから、結局のところ、議論の目的は、どこにあるのでしょうか?
> 質量弾攻撃の否定が目的であるならば、その線に限って議論を展開してもらえると、私の方も考慮する要素が少なくてありがたいのですが。

 不必要に「回廊の戦い」に言及したのは、私の誤りでした。議論を必要に拡大して申し訳ありませんでした。
 議論の目的は「アルテミスの首飾りへの質量弾による遠距離攻撃は、銀英伝の世界において、例外的に可能だったのではないか」というものです。本当は、別スレッドで議論した方がよいのかもしれません。


> まず、作品に書いてある設定については、これを前提に考える必要があるのです。これを無視するようなことを書かれても困ります\。
>
> >  だからこそ、無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った(=氷塊を回避しない)と考えた方が合理的だと考えたのですが……。
> >  この事実から、氷塊がハイネセンへの「突入コース」であることは、氷塊がハイネセンへ「突入する」ことを意味しないと考えられます。よって、衛星が氷塊を回避しない状況に追い込んで破壊したという推論はまだ成立する余地があると考えます。
>
> No6395「アルテミスの首飾りについて」のぴぃさんの記載
> <3.氷塊が、ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定めた。>
>
> 「衛星が氷塊を回避しない状況に追い込」まれ得るのであれば、「ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定め」る必要など、ないのではありませんか。衛星にさえ氷塊が命中すれば、「ハイネセン本星への突入」が避けられるのであれば、「衛星に必ず命中するように発進角度は慎重に定めた」と書かれているのが自然でしょう。

 どうしてですか? 作戦会議の目的が、衛星を破壊する事であったのは、文脈から明らかなことです。つまり、衛星を攻撃しない作戦は考慮するに値しない作戦であり、破壊が可能な作戦の内で、最も周囲への影響(例えば、ハイネセンへの影響であるとか、自軍の被害などです)が少ないないし皆無な作戦を選択したと考えるのが自然です。衛星と異なる目標を攻撃し、その結果が衛星に影響して破壊する等といった場合であればともかくとして、ことさらに衛星が攻撃目標であることを示す必要を感じません。
 また、作戦会議からは、前回のレスで述べた程度の情報しか解りませんが、その後に続くヤンとシェーンコップの会話を引用すると、

/* 野望篇p188上段より引用
「……何か質問は?」
 それに応じて、軽く挙手したのはシェーンコップだった。
「一二個すべてを破壊してかまわんのですか?」
*/

 と、あります。この後でも、誰も衛星の回避や破壊の可能性について問題にしていないことから、衛星に必ず命中し破壊できるという文言を直接的に書かなくとも、間接的に解る事だと思います。


> 衝突の結果による氷塊や衛星の破片に関しても、ハイネセン本星に落下するようなことがあれば、十分問題だと思いますが。
> 作品の設定に従うなら、衛星に衝突しようがしまいが、「氷塊がハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定めた」とみなすのが妥当ではないでしょうか。

 問題ですよ。だから、「氷塊がハイネセンに『突入したり』することのない」ようにしたんですよね。


> だいたい、「無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った」などということがあったのなら、クーデタ軍のオペレータが、「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」なんて金切り声を上げているはずですが、このような裏設定を裏打ちするような作品中の記載もないですよね。

 それを言うなら、衛星が氷塊を、衛星の機動力で回避できなかった、という記載も存在しません。
 また、オペレータが、「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」と金切り声を上げるかどうかは、オペレータの人格性に関わる問題であり一概には言えません。第一、衛星は一刻も早く氷塊を攻撃するために、軌道上の位置を氷塊のコースにあわせるでしょうし、また、衛星の氷塊に対して攻撃が効かない事実、衛星が完全破壊された事実に比べれば、心理的に動揺させる要素として些末な事象ではないでしょうか。


> >  おそらく、秒(1/3600度)単位での射角精度を求められる(1秒ずれると300万km先では15km位ずれます。光速での到達時間が5分であるとすると距離は更に長くなるので精度も落ちる)中で、これは致命的なのでは? つまり、無誘導で目標に当てるのは、事実上の固定目標でなければきわめて難しいと思います。
>
> 現代の常識とやら、からしたら、まったくごもっともな指摘なんですが、「現代の常識」を前提にするのであれば、「ワープ」などといった超絶的な移動航法自体も、ありえるはずがないこと、という面白くもない結論になってしまうのですよ。
>
> 西暦でいえば28世紀くらいに相当する銀英伝の時代では、超高精度な弾道計算や未来位置予測が可能であって、姿勢制御エンジンや方向知覚センサなどなくても、ヤンがまったく命中に不安を覚えることなく、氷塊に命中させることができるだけの技術水準があった、としか考えよう
> がないのです。作品を前提とするのであれば。

 なるほど、おっしゃる通り全てを現代の常識で解釈すれば、「ワープの実現」という作中事実と矛盾する結論に至るでしょう。
 このような、架空技術を考える上では、架空世界に歴然として存在する現象は、どんなに現実の物理現象とかけ離れていようと、「起こる現象」と捉えねばならないことまでは、パンツァーさんも異論がないと思います。しかし、そのような現象が、どのように起こっているのかは、作者にしか(または誰にも)解らない事だと思います。
 この場合で言うと、氷塊を衛星に間違いなく当てることができる、ワープも人為的に発生し制御できる現象である、ということは作中事実です。しかし、なぜ衛星に間違いなく当たるのかや、ワープがなぜ起こり制御できるのかといった事は、作中の記載から各人が解釈せねばならないブラックボックスです。
 それを踏まえた上で、あえて光線兵器の命中精度に関する数字を出したのは、銀英伝の世界における遠距離攻撃の難しさを示す補助資料としてでした。なぜなら、作中には、遠距離攻撃、特に誘導兵器(弾道計算や未来位置予測技術を含む)に関する以下の記載があったからです。

/* 黎明篇 p111上段
「ボタン戦争と称された一時代、レーダーと電子工学が奇形的に発達していた一時代をのぞいて、戦場における用兵には(後略)」
*/

 この記載から、銀英伝の作品世界においては、少なくとも主戦場である宇宙空間において有効な高精度長距離兵器の類は存在しないと推定するのが自然です。そして、これは、おそらく、作品全体を貫く基本原則だと思います。
 また、砲撃は、射撃と異なり、公算学という歴とした確率に基づく攻撃です。私は、艦船同士(おそらく、アルテミスの首飾りの攻撃可能範囲)の近距離であってさえ、数千隻単位の艦船が攻撃しあうのが通常の銀英伝世界から読み取れる範囲では、パンツァーさんの言われるような技術水準に達していないと考えています。
 もしも、そのような技術が達成されているならば、艦隊の規模はもっと小さな規模(例えば、現代の艦隊レベル)の方が妥当だと思いますし、作品中での戦闘の描写は異なる物だったと思います。私は、艦隊戦に、数千隻単位が必要というのは、数によって広大な宇宙空間での命中率を有効な域まで向上させる為だと捉えていましたが、パンツァーさんは違うのでしょうか?
 また、そのような遠距離攻撃が可能だとすると、例えば、ラグナロック作戦時に、なぜ、同盟軍は、フェザーン回廊から飛び出してくる帝国艦隊を、氷塊もしくは隕石で遠距離攻撃しなかったのかの説明が困難になります。
 私は、機動能力のある物体への遠距離攻撃は、原則として効果のない攻撃であり、アルテミスの首飾りでは、例外的に攻撃して効果のある状況が現出したものであったと考えます。

 なお、その他の反論については、「アルテミスの首飾り攻撃」とは無関係の問題ですので、こちらから振っておいて身勝手極まりないですが、議論を打ち切らせていただこうと思いますがよろしいでしょうか?
 また、お返事できるのも最短で一週間に一回のペースとなりますがご了承ください。


No. 6434
Re:Re6404:銀英伝世界における宇宙航行事情の問題
不沈戦艦 2005/04/24 23:30
> これらの記述を読めば分かるように、銀英伝世界では「すでに航路図が整備されている【既知の】宇宙空間」においてさえ、「正しい航法データ」がなければまともな宇宙航行すらできない、いやそれどころか自分達の居場所を把握することさえも満足に行えなくなることが明示されています。
> ましてや「第二次長征一万光年」は、銀英伝世界の距離感から見てさえ途方もなく長大な距離を持つことになるであろう「全く未知の宇宙空間」を、それも相当な長期間にわたって航行し続けることになるわけでしょう? そこで遭難などしたくないのであれば、進む先の入念な航路調査を行い、精緻な航路データを作成しつつ、安全を確認しながら慎重に航行する、といった手順を踏む必要が当然生じることになるわけです。
> しかも、もし進行先の航路上に「宇宙の墓場(サルガッソ・スペース)」のような障害が存在した場合、これまた「第一次長征一万光年」がそうだったように、たとえそれが(銀英伝世界では比較的短い距離と目されているであろう)数十〜数百光年程度の距離であったとしても、そこを通過ないしは迂回するだけで数十年もの歳月がかかる、下手をすれば遭難する危険性が発生することすら考えられます。「安全性」という観点から考えれば、未知の宇宙空間での航行はいくらでも慎重に慎重を期す必要性があるわけで、航行速度も航行距離も、すくなくとも「すでに航路図が整備されている既知の宇宙空間」を進むほどのスコアを叩き出すことはほとんど不可能に近いと言えるのです。
> そういう状況では、当然「長征」も著しい鈍行速度でしか進むことができなくなるわけで、そうなれば帝国軍が移動要塞を(たとえ一時的に撒かれたとしても)捕捉する可能性は決して無視できないものとならざるをえないでしょうね。何しろ、常に移動を行える「移動要塞を使ったゲリラ戦略」とは異なり、「全く未知の宇宙空間」の事前調査を行うとなれば、そのために長期間一箇所に留まらなければならないケースも当然想定されるわけですし、すくなくとも最初の段階ではそこは「既知の宇宙空間」となるのですから、帝国側の捕捉の網に引っかかる可能性はそれなりに存在するのです。かといって準備不足のまま「長征」など行おうものなら、それこそ原作でも書かれているように「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」などという笑えない結末を迎える危険性すら存在するわけで、最初はかなりジレンマを抱え込まざるをえないでしょうね。
> 前門の「未知の宇宙空間」と後門の「敵の執拗な探索および追撃」、銀英伝世界の宇宙航行事情では、片方だけならばともかく、両方を一度に相手するのはかなりきつくはないでしょうか?

 それでは「銀英伝世界の宇宙航行事情」が、「逃げるイゼルローン移動要塞とヤン一党」にとっては決定的障害となって立ちはだかるのに、「追う帝国軍艦隊」にとっては障害とならない点について、ご説明願います。逃げるヤン一党にとっては障害になると力説する一方で、追う帝国軍艦隊にとってその条件がどう働くのかについて、一切説明がないのはどうしてですか。

 要は、「未知の宇宙空間での宇宙航行における障害」は、「イゼルローン移動要塞だろうと帝国軍艦隊だろうと同じでしょ」ということですが。何故、この両者に「差別的に適用」せねばならないのか、さっぱり理解できません。私は「未知の宇宙空間における航行」について、イゼルローン移動要塞と帝国軍艦隊の間に、「速度差」を勝手に付けて考えるべきではないと思いますがね。「移動要塞では小回りが利かない」という点については、駐留艦隊の艦船を使用して主に前方の偵察行動を行い「移動要塞の巨体であっても十分進める空間」を確認した上で前進していくことで、特に問題はないと思いますが。


>そんな「歴史の経験則」など、銀英伝世界には存在しえませんね。

 使った文言に過剰反応されても困りますね。そんなに意地になって否定せねばならないようなことですか?これは。「一万光年逃げたら百数十年で捕捉された」ということを「歴史の経験則」と言っているだけなんですけど。


>未来の航行技術の発達の可能性について

「詭弁の特徴のガイドライン1:事実に対して仮定を持ち出す、及び3:自分に有利な将来像を予想する」を、思い出してしまいました。

 それに、これはどちらかと言うより「(事実上無限の広さを持つと言える)広大な宇宙空間の、どこに紛れてしまったのかも分からない相手を、どうやったら捜せるの?」ということなんですがね。銀河系内に居るのかアンドロメダ星雲なのか、それとも他の遙か遠方の島宇宙なのか、どこに行ったか分からない相手を、どうやって捜し当てるというのでしょうか。その方法を、「銀英伝世界」の「作中記述」から、是非探し出してみて下さい。でも、「自分に有利な将来像を予想する」のはお断りしますがね。「自分に有利な将来像を予想する」がOKだというのなら、「科学技術の発展の可能性」を根拠に、何でも主張できるんじゃないですかね。

 これを「OK」だとすると、あまりに「ご都合主義」なのではないかと思うんですが。それはいくら何でもマズイでしょう。


 それと、根本的な話ですけど、冒険風ライダー氏は「移動要塞による第二次長征一万光年」には、反対はしていなかった筈ですよね。今、私が言っているのは「移動要塞論の否定」じゃないんですよ?「移動要塞で暴れ回って攻撃中止と引き替えに帝国と取り引きし、可住惑星を一つ得る」ことを目的としているのなら、「旧同盟領を貰うつもりだろ。そうじゃないと攻撃なんかする意味がないし」と私は考えていたので、「旧同盟領の惑星住民を人質に取られたらお手上げでは?」という疑問をぶつけた訳ですが、「そうではない。帝国領だろうとどこでもいいし、住民なんかイゼルローンの人員が居れば要らない」という「極論」だったものですから、「だったら現在の帝国と同盟の版図にこだわる意味が全く不明ではないか。どこでもいいのなら、帝国の手が届く範囲から逃げる方が、遙かにマシでしょ。ヤン一党が無差別攻撃を嫌う云々別にしても、逃げる方がより有利で将来性のある選択じゃないの。『どこでもいい』のなら、帝国領攻撃なんかする意味がない」と言っている訳です。「移動要塞論」をベースに、「より有利な選択」について主張している訳ですから、何が何でも否定しなきゃならん必要性はないと思いますがね。


No. 6452
Re:氷塊衝突を衛星等が回避する可能性について
パンツァー 2005/05/01 22:32
>  議論の目的は「アルテミスの首飾りへの質量弾による遠距離攻撃は、銀英伝の世界において、例外的に可能だったのではないか」というものです。本当は、別スレッドで議論した方がよいのかもしれません。

了解しました。以下、その趣旨に応じて、回答いたしましょう。

(1)氷塊の発射角度について

> > 「衛星が氷塊を回避しない状況に追い込」まれ得るのであれば、「ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定め」る必要など、ないのではありませんか。衛星にさえ氷塊が命中すれば、「ハイネセン本星への突入」が避けられるのであれば、「衛星に必ず命中するように発進角度は慎重に定めた」と書かれているのが自然でしょう。
>
>  どうしてですか? 作戦会議の目的が、衛星を破壊する事であったのは、文脈から明らかなことです。つまり、衛星を攻撃しない作戦は考慮するに値しない作戦であり、破壊が可能な作戦の内で、最も周囲への影響(例えば、ハイネセンへの影響であるとか、自軍の被害などです)が少ないないし皆無な作戦を選択したと考えるのが自然です。衛星と異なる目標を攻撃し、その結果が衛星に影響して破壊する等といった場合であればともかくとして、ことさらに衛星が攻撃目標であることを示す必要を感じません。
>  また、作戦会議からは、前回のレスで述べた程度の情報しか解りませんが、その後に続くヤンとシェーンコップの会話を引用すると、
>
> /* 野望篇p188上段より引用
> 「……何か質問は?」
>  それに応じて、軽く挙手したのはシェーンコップだった。
> 「一二個すべてを破壊してかまわんのですか?」
> */
>
>  と、あります。この後でも、誰も衛星の回避や破壊の可能性について問題にしていないことから、衛星に必ず命中し破壊できるという文言を直接的に書かなくとも、間接的に解る事だと思います。

1 衛星に氷塊が100%確実に命中する
2 命中後の破片が、ハイネセンに影響しない
上の二点が共に必ず達成されるのであれば、そもそも「発射角度」を調整する必要などないのです。この作品設定を無視しない限りは、
1と2が同時に達成されないことが作品において前提となっている、としか解釈せざるをえません。作品を無視しないのであれば。

No.6400ぴぃさんの記載
<この事実から、氷塊がハイネセンへの「突入コース」であることは、氷塊がハイネセンへ「突入する」ことを意味しないと考えられます。よって、衛星が氷塊を回避しない状況に追い込んで破壊したという推論はまだ成立する余地があると考えます>

私が問題にしたのは、そもそも上の記載です。
ヤンが「氷塊の発射角度」を、氷塊がハイネセンへの「突入コース」にあるように設定したから、(ハイネセンへの氷塊の突入を防止すべく自ら衝突しようと)「衛星が氷塊を回避しない状況に」追い込まれた、と言っているわけでしょう。
ハイネセンを餌にして衛星を釣るような、そんな馬鹿なことはないでしょう、と言っているのです。

はっきり言いますが、命中精度の低い氷塊を衛星を自ら衝突させるべく、わざわざ「氷塊の発射角度」を、氷塊がハイネセンへの「突入コース」にした場合に、その破壊による破片は、まちがいなくハイネセンへの落下コースにあると思いますが、この破片については、どうやって対応するのですか?

氷塊の発射角度が、衛星による衝突があろうがなかろうが、ハイネセンへの突入コースから外れていることが、絶対条件となりませんか。そもそも「慎重に発射角度を定めた」とする作品中の記載と矛盾しませんか?

(2)衛星の機動力について

> > だいたい、「無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った」などということがあったのなら、クーデタ軍のオペレータが、「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」なんて金切り声を上げているはずですが、このような裏設定を裏打ちするような作品中の記載もないですよね。
> >
>
>  それを言うなら、衛星が氷塊を、衛星の機動力で回避できなかった、という記載も存在しません。
>  また、オペレータが、「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」と金切り声を上げるかどうかは、オペレータの人格性に関わる問題であり一概には言えません。第一、衛星は一刻も早く氷塊を攻撃するために、軌道上の位置を氷塊のコースにあわせるでしょうし、また、衛星の氷塊に対して攻撃が効かない事実、衛星が完全破壊された事実に比べれば、心理的に動揺させる要素として些末な事象ではないでしょうか。

「それを言うなら、衛星が氷塊を、衛星の機動力で回避できなかった、という記載も存在しません。」なんて書いていますが、読者があたりまえに納得するからではありませんか。「要塞主砲(トールハンマー)に撃たれる戦艦が、戦艦の機動力で回避できなかった」とか「戦艦の主砲で撃たれる駆逐艦が、その駆逐艦の機動力で回避できなかった」などという記載もまったく存在しませんが、読者があたりまえに納得できる内容だからでしょう。氷塊による攻撃の場合も、亜光速で突入する、と書いてあるのですから、それを回避することなど思いもつかない、というのが、まず常識的な解釈だと思いますね。こういう常識的な解釈を打ち破っておく必要がある場合に、作者は解説をつけるのですよ。いちいち何もかも、1〜10まで説明することなど、事実上できないですし、読みにくくてしようがなくなるでしょうから。

「衛星は一刻も早く氷塊を攻撃するために、軌道上の位置を氷塊のコースにあわせるでしょうし、また、衛星の氷塊に対して攻撃が効かない事実、衛星が完全破壊された事実に比べれば、心理的に動揺させる要素として些末な事象ではないでしょうか」

別に、攻撃に当たって、衛星が「軌道上の位置を氷塊のコースにあわせる」必要などないでしょう。そもそも、自らを狙って氷塊が飛んできている(既に氷塊のコース上に位置している)わけですし、もし、ずれた位置にあるとしても、斜めから攻撃を掛けることは当然可能ではありませんか。
また、ぴぃさんの推論「衛星が自ら氷塊に衝突する」という前提の下では、わざわざ氷塊が衛星にぶつかっていかない限り、衛星は氷塊との衝突を回避できるのですよ。「衛星が氷塊にぶつかっていく」=「衛星が完全破壊される」なのですから、わざわざ「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」(衛星が自殺しようとしている)と金切り声を上げることになりませんか。わざわざぶつかっていかなければ、破壊されることなど、ないのですから。

(3)銀英伝の技術のあつかい

> /* 黎明篇 p111上段
> 「ボタン戦争と称された一時代、レーダーと電子工学が奇形的に発達していた一時代をのぞいて、戦場における用兵には(後略)」

この話は、非常に面白いので、いつか取り上げてみたいテーマだと思っています。
この話は、要は、無人艦、無人兵器の出現を、極力押さえるための作者の予防線ですね。電子制御兵器が有人兵器よりも一般に使えるものとなってしまったら、艦隊にたくさんの人員を乗せる必要も無く、戦闘で多数の艦が破壊されても、人命が失われることが無く、銀英伝の主題の一つであろう「戦争の悲惨さ」が、まるで描かれなくなってしまうことになるでしょう。
だから、極力、電子制御による兵器が、有人兵器よりも劣るように、書いているのです。
さて、アルテミスの首飾りと称される自動衛星は何者であったか。
これこそ、通常の戦艦よりも高性能な自動兵器なのです。なにせ、普通に攻撃したら艦船に被害が出ると、ヤンもクーデタ軍の将校も考えているわけですから。「作品全体を貫く基本原則」からしたら例外的ですね、例外的。
だから、「作品全体を貫く基本原則」がどうあっても、作者自身が「例外」を設けている部分に関してはしたがうより他無いので、氷塊の命中精度に関しても、例外だとして、作品で設定されている通りに解釈する必要があります。

>  もしも、そのような技術が達成されているならば、艦隊の規模はもっと小さな規模(例えば、現代の艦隊レベル)の方が妥当だと思いますし、作品中での戦闘の描写は異なる物だったと思います。私は、艦隊戦に、数千隻単位が必要というのは、数によって広大な宇宙空間での命中率を有効な域まで向上させる為だと捉えていましたが、パンツァーさんは違うのでしょうか?

落ち着いて考えて欲しいのですが、これは単に戦争は数だ、というだけの話ですよ、これは。命中精度が100%だろうが、1%だろうが、性能が同じであれば、数が多い方が勝つに決まっているでしょう。それ以外に何か理由があるとでも思っているのですか?

(4)質量弾攻撃の可能性

>  また、そのような遠距離攻撃が可能だとすると、例えば、ラグナロック作戦時に、なぜ、同盟軍は、フェザーン回廊から飛び出してくる帝国艦隊を、氷塊もしくは隕石で遠距離攻撃しなかったのかの説明が困難になります。
>  私は、機動能力のある物体への遠距離攻撃は、原則として効果のない攻撃であり、アルテミスの首飾りでは、例外的に攻撃して効果のある状況が現出したものであったと考えます。

これも作品設定を前提とする上で、可能性のある手の一つと言えるでしょうね。
同盟軍に時間的余裕があったかどうか、という問題はあるとおもいますが、面白い手だと思いますよ。
念のためにお伺いしますが、本ホームページにある<考察シリーズ>の
銀英伝考察3銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威(冒険風ライダーさん)をお読みになっていますか?
質量弾攻撃うんぬんの元ネタは、ここにあります。
質量弾攻撃を利用しないヤンはラインハルトは愚か者だ、というような話もでてきますので、「フェザーン回廊における質量弾攻撃」による迎撃、についても、質量弾攻撃を活用できない作中人物の愚かさ、を示す一つの根拠に追加されることになるでしょう。

この話については、「銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威」をお読みいただいてからの方が良いかと思います。

>  また、お返事できるのも最短で一週間に一回のペースとなりますがご了承ください。

その辺はお構いなく。


No. 6454
Re6434:「第二の長征一万光年」関連の遅レス
冒険風ライダー 2005/05/02 03:21
<それでは「銀英伝世界の宇宙航行事情」が、「逃げるイゼルローン移動要塞とヤン一党」にとっては決定的障害となって立ちはだかるのに、「追う帝国軍艦隊」にとっては障害とならない点について、ご説明願います。逃げるヤン一党にとっては障害になると力説する一方で、追う帝国軍艦隊にとってその条件がどう働くのかについて、一切説明がないのはどうしてですか。
 要は、「未知の宇宙空間での宇宙航行における障害」は、「イゼルローン移動要塞だろうと帝国軍艦隊だろうと同じでしょ」ということですが。何故、この両者に「差別的に適用」せねばならないのか、さっぱり理解できません。私は「未知の宇宙空間における航行」について、イゼルローン移動要塞と帝国軍艦隊の間に、「速度差」を勝手に付けて考えるべきではないと思いますがね。「移動要塞では小回りが利かない」という点については、駐留艦隊の艦船を使用して主に前方の偵察行動を行い「移動要塞の巨体であっても十分進める空間」を確認した上で前進していくことで、特に問題はないと思いますが。>

 いや、私があの投稿で言及していたのは「未知の宇宙空間」に「入って【から】の話」ではなく「入る【まで】の問題」、もっと分かりやすく言えば「【未知の】宇宙空間と【既知の】宇宙空間の【境界線で】発生するであろう問題」なのですよ。「未知の宇宙空間」に「入る【まで】」は、当然のことながら帝国側もヤン側も共に「既知の宇宙空間」を航行することになるのですし、「未知の宇宙空間」に入り込むまでは、ヤン側にもまた「既知の宇宙空間」のルールが適用されざるをえません。そしてヤン側が「既知の宇宙空間」の中で「未知の宇宙空間」のルート探しや航路調査などを行っている間は、「既知の宇宙空間」の中で自由に行動することができる帝国側が圧倒的に有利であろうし、その中では当然「速度差」も出るであろう、と私は主張しているわけです。
 全く未知の宇宙空間で新航路を見つけることの難しさは、銀英伝の作中でも以下のような形で描かれています↓

銀英伝1巻 P114上段
<イゼルローン回廊とフェザーン回廊。この両者以外にも同盟と帝国をつなぐルートが見出せないか、同盟の為政者も用兵家も腐心したが、星図の不備と帝国およびフェザーンの有形無形の妨害とが、その意図を永く挫折させてきた。フェザーンにしてみれば、中継交易地としての存在価値がかかっており、「第三の回廊」など発見されてはたまったものではなかった。>

 この記述は、未知の新航路の探索を行う際には相応の手間と労力を必要とすること、そして「帝国側の妨害」が決して無視できないものであることを証明する事例と言えるものでしょう。これから考えると、「既知の宇宙空間」から「未知の宇宙空間」へ入る時点で、ヤン側が多かれ少なかれ、一定の「足止め」を強いられることは確実です。
 また、「既知の宇宙空間」内であれば、たとえヤン側が一時的に姿をくらますことに成功したとしても、その索敵能力を駆使することで移動要塞を見つけ出すことも帝国側としては決して不可能事などではないのです。そもそも銀英伝作中の「長征一万光年」にしたところで、イオン・ファゼカス号に乗り込んだアーレ・ハイネセン率いる奴隷達は「銀河帝国軍の執拗な追撃と捜索」を受けているわけですし(銀英伝1巻 P15)、その後彼らが「宇宙の墓場(サルガッソ・スペース)」にあえて足を踏み入れたのも、その「銀河帝国軍の執拗な追撃と捜索」が及ばない場所に逃げる、という発想がすくなくともある程度は存在したが故のことでしょう。銀英伝の宇宙航行事情では、「既知の宇宙空間」内にいる限り「一時的にでも撒いてしまえばもうこっちのもの」というわけにはいかないのです。
 他にも、銀英伝の作中にはこんな記述が存在します↓

銀英伝7巻 P59下段
<ヤン・ウェンリー一党は、星々の波濤の奥へ姿を消し、深海魚のように潜航をつづけている。むろん捜索の触手は八方にのばされてはいるのだが、レンネンカンプ弁務官の横死も、ヤン元帥の出奔も、そしてむろんヤンの身体を無重力世界へ放りあげる原因となった帝国弁務官府の命令と同盟政府の謀議も極秘とされていたから、捜索指令が徹底することもなかった。
 一度など、ヤンの「不正規隊」を巡視中の同盟軍艦艇が発見したのだが、同盟軍に知らぬ人とてないヤン元帥が通信スクリーンに姿を見せて「政府の特命をおびて極秘に活動中なんだ」などというと、むしろ感動して敬礼と共に見送ってしまったものである。>

 ここでは「星々の波濤の奥へ姿を消し、深海魚のように潜航をつづけて」いたはずのヤン一党が「捜索指令が徹底することもなかった」はずの同盟軍に一度は見つかってしまっているわけです。ましてや、帝国側が「第二の長征一万光年」を阻止するとなれば、この同盟軍の事例とは比べ物にならないほどの本気と総力を結集することになるでしょう。しかも先にも述べたように、「第二の長征一万光年」を実行するヤン側はむしろ「足止め」を食らう側なのですから、見つからずにやり過ごす、というのは相当なまでの難業と言わざるをえません。
 「既知の宇宙空間」から、帝国側の索敵能力が全く及ぶことのない「未知の宇宙空間」に「入る【まで】」の間、ヤン側には常に「後背からの危険」が付き纏う、それ故にそのための対策なり対処法なりを考える必要がある。「速度差」についてはこれが私の主張なのですが、不沈戦艦さんへの回答にはなりましたでしょうか?


<それに、これはどちらかと言うより「(事実上無限の広さを持つと言える)広大な宇宙空間の、どこに紛れてしまったのかも分からない相手を、どうやったら捜せるの?」ということなんですがね。銀河系内に居るのかアンドロメダ星雲なのか、それとも他の遙か遠方の島宇宙なのか、どこに行ったか分からない相手を、どうやって捜し当てるというのでしょうか。その方法を、「銀英伝世界」の「作中記述」から、是非探し出してみて下さい。でも、「自分に有利な将来像を予想する」のはお断りしますがね。「自分に有利な将来像を予想する」がOKだというのなら、「科学技術の発展の可能性」を根拠に、何でも主張できるんじゃないですかね。>

 「(事実上無限の広さを持つと言える)広大な宇宙空間」というのが「航路図が全く存在しない未知の宇宙空間」を指すのであれば、確かに不沈戦艦さんの仰る通り、敵を探すのは至難と判断して差し支えはないでしょう。しかし「航路図が整備された既知の宇宙空間」の中であれば、上で私が引用している「長征一万光年」前半部や「銀英伝7巻 P59下段」の記述、さらには銀英伝作中の「(事実上無限の広さを持つと言える)広大な宇宙空間」で発生する「敵味方の接近遭遇による会戦」や「軍艦による宇宙船の臨検」などの事例の数々から考えても、「姿をくらました敵を見つけることは簡単とは言わないまでも難しいものではない」程度には言えるのではないでしょうか? 「軍艦による宇宙船の臨検」に至っては、むしろ「敵側」が「いかにやり過ごすか」と考えているような描写すら存在しますし、またそうでなければ、むしろ銀英伝作中における「宇宙航行に関する記述」のほとんど全てがおかしくなってしまうのではないかと思うのですが。
 それと、「未来における科学技術の発展の可能性」については、作戦期間自体が非常に長いものになるであろう「第二の長征一万光年」の性格と、銀英伝世界における「歴史の経験則」に基づいて考えたものです。数年単位で終わる作戦ならばともかく、すくなくとも数十年〜数百年単位の時間をかけて行われる「第二の長征一万光年」およびその後の国家運営を考えるのであれば、その中で想定すべき時間の範囲もまた同じものにならざるをえない道理ですし、それだけ長い時間があれば、宇宙航行技術などの発展も当然想定されるべきことだろう、と考えざるをえないわけです。
 実際、「長征一万光年」を行った自由惑星同盟の建国者やその子孫達は、いずれ帝国の勢力が自分達と接触することを、それこそ数百年単位で想定どころか当然視すらしていました。自由惑星同盟軍はまさにそれを想定して創設された軍隊ですし(銀河英雄伝説読本「ダゴン星域会戦記」 P21上段)、また宇宙暦640年の帝国と同盟の初邂逅の際にも、同盟側は帝国側との遭遇が発生することを覚悟していたのです(銀英伝1巻 P16)。作中事実として、「長征一万光年」を成功させた後の同盟でもこのような想定が行われ、それは的中しているわけなのですから、「第二の長征一万光年」を行う際も同じことを考える必要がある、というのは自然に出てくる発想というものなのではないでしょうか?
 また、銀英伝の作中でも「ワープ技術の発展、およびそれによる軍事的均衡の崩壊」が語られている箇所が存在します↓

銀英伝3巻 P158上段〜下段
<もし画期的な技術が両国の軍事均衡を突きくずすことがあるとすれば、一万光年以上の超長距離跳躍技術の出現だろう――そうヤンは考えていた。これが実現すれば、帝国軍はイゼルローン回廊を飛びこえて、同盟の中心部に大艦隊と補給物資を送りこむことが可能になる。ある日突然、首都ハイネセンの市民たちは上空に陽光をさえぎる戦艦の群を見出して呆然と立ちつくし、権力者たちは「城下の盟」――追いつめられての全面降伏――を余儀なくされるだろう。
 そのときどうするか、まではヤンは考えていない。事態はヤンの対応能力をこえている。そんな場合のことまで責任を持たされてたまるものか、そこまでの給料はもらっていないぞ、と、ヤンの宮仕え根性がそう思わせるのだ。>

銀英伝外伝2巻 P171上段〜下段
<ハイネセンからイゼルローンへ、四ヵ月前と同じコースをたどって、あらたな旅がはじまる。
 と書いたものの、多少、ペンがすなおに進まないのを意識する。何とまあ、あわただしく、落ちつきのない旅がつづくことか。はやくイゼルローンへ、ぼくたちの家へ帰って落ちつきたい。これはぼくひとりの気持ちではなく、力づよく賛同してくれる人がいる。
「そのとおりだ。もっとも、おれ個人に関して言うなら、ハイネセンからイゼルローンへ行くのはいい。その逆もかまわん。だが、要するに途中の長さが、おれには耐えがたいのだよ、ユリアン。一度に一万光年を跳躍できるような時代が、早く来てくれないものかな」>

 ここでの「ワープ技術発展の話」は、あくまでも「遠い未来に発生するであろう技術の発展」として語られているものではありますが、作戦期間が著しく長い「長征一万光年」はその「遠い未来」をも想定しなければならないものなのです。そして、あの銀英伝世界で「一万光年以上の超長距離跳躍技術」が出現すれば、それは「両国の軍事均衡を突きくずす」のはもちろんのこと、「第二の長征一万光年」さえも完全に無効化させることが可能となってしまいますし、下手をすれば、「長征組」が何十年も必死こいて進んできた距離を、帝国側が一瞬で追い越して前方に回り込んでしまう、などという滑稽な事態すら発生しかねません。将来的な宇宙航行技術の発展は「第二の長征一万光年」にとっても最大最悪の脅威となりうるのです。
 そして、この傾向をさらに後押しするのが、銀英伝世界における「歴史の経験則」です。銀英伝世界では、長期にわたる戦乱や内戦や混乱が収まると、その後の人類社会は飛躍的な発展をする、という一種の歴史法則みたいなものが存在するのです。
 具体的には、

1.「一三日間戦争」後の地球の発展
2.地球政府崩壊およびその後の混乱を経た後の銀河連邦の黄金時代
3.「長征一万光年」後の自由惑星同盟の発展

 といったものが挙げられます。
 そして、ゴールデンバウム王朝と同盟とフェザーンを滅ぼし、名実共に宇宙を統一したローエングラム王朝銀河帝国は、この銀英伝における「歴史の経験則」の条件を満たしている状態にあり、外的にも科学技術的にも飛躍的に発展する可能性を秘めています。
 さらに銀英伝の作中では、かつてルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが「人類の歴史の前進を阻害した張本人である」として、以下のような批判論が展開されています↓

銀英伝1巻 P152上段〜下段
<政治とは過程や制度ではなく結果だ、とラインハルトは思う。
 ルドルフ大帝を許しがたく思うのは、銀河連邦を乗っ取ったからではなく、皇帝などになったからでもない。せっかく獲得した強大な権力を、自己神格化というもっとも愚劣な行為に使用したからである。それが英雄ぶった亡者ルドルフの正体だ。その強大な権力を正当に使用すれば、文明の進歩と建設にどれほど有益だったか知れない。人類は政治思想の相違からくる抗争にエネルギーを浪費することもなく、全銀河系に足跡をしるしていたであろうに。現実は帝国と叛乱勢力とを合しても、この巨大な恒星世界の五分の一を支配しているに過ぎないのだ。
 かくも人類の歴史の前進を阻害した責任は、あげてルドルフの偏執にある。何が生ける神か。疫病神もいいところだ。>

 これから考えれば、ローエングラム王朝銀河帝国による人類社会の統一によって「政治思想の相違からくる抗争にエネルギーを浪費することもなく」なった銀英伝世界では、「歴史の経験則」と「強大な権力の正当な使用」によって、外宇宙への積極進出とそれをサポートする宇宙航行技術の飛躍的な発展が行われる可能性が高いと言わざるをえないわけです。もちろん、ローエングラム王朝銀河帝国でこの「歴史の経験則」が発現されないというケースも考えられないわけではありませんが、数年単位で終わる作戦ならばともかく、すくなくとも数十年〜数百年単位の時間をかけて行われる「第二の長征一万光年」およびその後の国家運営を考えるのであれば、これは決して無視できる要素ではないでしょう。
 そして、これを阻止するためのひとつの方策として、既存の人類社会を徹底的に破壊し尽くし、その再建だけで数十年〜百年以上もかかるような状態に追い込んだ上で「第二の長征一万光年」を開始する、という選択肢が存在するわけです。これならば「第二の長征一万光年」の遂行に数十年〜数百年単位の時間を要したとしても、将来的な脅威の接近は、なくなるとは言わないまでも大部分激減、すくなくとも相当なまでに遠い未来へと先延ばしさせることが可能となるでしょう。
 銀英伝の作中における歴史事実と、作戦期間が桁外れなまでに長い「第二の長征一万光年」の性格を鑑みるに、その実行についてはここまでのことを考慮しなければならないのではないかと私は考えるのですが、どうでしょうか。


<それと、根本的な話ですけど、冒険風ライダー氏は「移動要塞による第二次長征一万光年」には、反対はしていなかった筈ですよね。今、私が言っているのは「移動要塞論の否定」じゃないんですよ?「移動要塞で暴れ回って攻撃中止と引き替えに帝国と取り引きし、可住惑星を一つ得る」ことを目的としているのなら、「旧同盟領を貰うつもりだろ。そうじゃないと攻撃なんかする意味がないし」と私は考えていたので、「旧同盟領の惑星住民を人質に取られたらお手上げでは?」という疑問をぶつけた訳ですが、「そうではない。帝国領だろうとどこでもいいし、住民なんかイゼルローンの人員が居れば要らない」という「極論」だったものですから、「だったら現在の帝国と同盟の版図にこだわる意味が全く不明ではないか。どこでもいいのなら、帝国の手が届く範囲から逃げる方が、遙かにマシでしょ。ヤン一党が無差別攻撃を嫌う云々別にしても、逃げる方がより有利で将来性のある選択じゃないの。『どこでもいい』のなら、帝国領攻撃なんかする意味がない」と言っている訳です。「移動要塞論」をベースに、「より有利な選択」について主張している訳ですから、何が何でも否定しなきゃならん必要性はないと思いますがね。>

 もちろん、私としても「移動要塞による第二次長征一万光年」そのものが100%不可能であると言っているわけではありませんし、「ひとつの選択肢」としては有効であろうとも考えてはいますよ。
 実際、私もNo.6398では、

<もし「逃げるならば好きにするが良い、未来のことは未来の人間が考えれば良いことだ。そこまでの犠牲を払ってまで追撃を行わなければならない価値はない」と帝国側が早々に折れてくれるのであれば、それこそ不沈戦艦さんが仰るように、帝国領など放っておいてとっとと第二の長征一万光年を敢行するのが懸命ですが>

 とも書いているわけですし。
 ただ、その上で今回は「もし帝国側が『第二の長征一万光年』の実現を何が何でも阻止すべく、全力で妨害にかかった場合はどうなるか?」「移動要塞による第二次長征一万光年にも【作品設定の観点から見た】運用上の問題はないのか?」という視点から、あえて疑問を呈させて頂いているわけでして、今回の議論は、「移動要塞による第二次長征一万光年」と私が考える「移動要塞ゲリラ戦略」のどちらが(不沈戦艦さんの言葉を借りれば)「【本当に】より有利な選択であるか」の検討なんですよね。すくなくとも私としてはそのつもりで投稿を行っています。
 もし「移動要塞による第二次長征一万光年」に何らかの障害があり、それが克服不能なものであれば、「移動要塞による第二次長征一万光年」は有効な選択肢とは言えなくなるわけでしょう。同じ「移動要塞論」でも、いやむしろ同じだからこそ、問題点や疑問点を洗い出した上で「どちらが【本当に】より有利な選択であるか」について検証する必要があるわけです。第一、私が最初に提唱した「移動要塞ゲリラ戦略」にしても、これまで散々なまでに議論百出な状況を呈していたわけですから、「移動要塞による第二次長征一万光年」についても、その数分の一くらいは是非についての討論が行われてもバチは当たらないでしょう。
 何が「【本当に】より有利な選択であるか」についての最終的な結論を出すのは、この「見極め」が終わってからでも遅くはないと思うのですが、いかがでしょうか。


No. 6455
6452の追記
パンツァー 2005/05/02 07:28
> >  もしも、そのような技術が達成されているならば、艦隊の規模はもっと小さな規模(例えば、現代の艦隊レベル)の方が妥当だと思いますし、作品中での戦闘の描写は異なる物だったと思います。私は、艦隊戦に、数千隻単位が必要というのは、数によって広大な宇宙空間での命中率を有効な域まで向上させる為だと捉えていましたが、パンツァーさんは違うのでしょうか?

現代の艦隊が、第二次世界大戦時などと比べて数的に少ないのは、
単に、個艦のコストアップのために過ぎません。
予算が10倍あるなら、艦船の数は10倍に増えるでしょう。
艦船の数は、予算と、個艦のコストと、によって決まるだけで、予算が許す限り、艦船の数は増える一方でしょう。

> >  私は、機動能力のある物体への遠距離攻撃は、原則として効果のない攻撃であり、アルテミスの首飾りでは、例外的に攻撃して効果のある状況が現出したものであったと考えます。

風雲篇 第八章 V ノベルズ版P199下段
「とくに、慣性をつけた巨大な隕石を艦列に撃ちこまれると、数隻が一度に破壊されてしまう。だが、そんなことを意に介してはいられなかった。」

バーミリオンの戦いの際には、戦艦等の艦船ですら、隕石を回避できない状況が発生しているようですね。


No. 6456
Re:Re6434:「第二の長征一万光年」関連の遅レス
不沈戦艦 2005/05/02 21:41
>「既知の宇宙空間」から、帝国側の索敵能力が全く及ぶことのない「未知の宇宙空間」に「入る【まで】」の間、ヤン側には常に「後背からの危険」が付き纏う、それ故にそのための対策なり対処法なりを考える必要がある。「速度差」についてはこれが私の主張なのですが、不沈戦艦さんへの回答にはなりましたでしょうか?

 かなり無理があると思いますわ。自分が矛盾した主張をしていることは、もちろんお分かりでやってますよね?

 既知スペース以外に逃げることが困難であるのなら、同じく「帝国軍の徹底的な追撃」を受けたイオン・ファゼカス号が成功した理由が分かりませんし、「既知のスペースでも行方を眩ますのは難しい」のなら、「移動要塞による帝国領内でのゲリラ戦」が成立する理由も分からない。未知の領域には簡単に逃げられないのなら、何でハイネセン一党は成功したのでしょうか?しかも、イオン・ファゼカス号はイゼルローン移動要塞とは違って非武装だというのに。

>その索敵能力を駆使することで移動要塞を見つけ出すことも帝国側としては決して不可能事などではないのです

「移動要塞によるゲリラ戦で、無制限に帝国領を攻撃できる」と主張していながら、同時にこういう主張が出てくることが、非常に不思議です。見つけだすのが決して不可能事ではないのに、何で「神出鬼没の行動」が可能なんですか?矛盾していると自分で思いませんか?反対方向の主張を一度に行ってしまっては、説得力が全くないのではないでしょうか。

「無限の自給自足能力を生かして、移動要塞によるゲリラ戦が可能」であるのなら、「既知のスペースを移動要塞の能力をフルに生かして行動しつつ、既知スペース以外への航路を探す」ということをやったらいいじゃないですか。その過程で、帝国軍艦隊と邂逅することがあるというのなら、撃破すればいいだけです。それだけの戦力はあるのですから。私が言っている「第二次長征一万光年」を実行するにあたって、「直ぐに既知のスペース以外に脱出しなければならない」ということはないですよね。別に一々帝国領を攻撃せずとも、追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいいじゃないですか。「航路を探すのが困難」と言っても、既知のスペースであっても無制限に戦い続けられる移動要塞の能力があるのなら、時間をたっぷりかけて探すことは可能でしょ?それとも「移動要塞の無限の自給自足能力を生かしつつ、延々と帝国領攻撃を行うことが可能」という主張を、取り下げるつもりなんでしょうか。だとすると、「移動要塞論」が根底から崩壊してしまうことになりますけど。


>「航路図が全く存在しない未知の宇宙空間」を指すのであれば、確かに不沈戦艦さんの仰る通り、敵を探すのは至難と判断して差し支えはないでしょう。しかし「航路図が整備された既知の宇宙空間」の中であれば、

 一旦「既知のスペースの範囲外に逃げられてしまった場合」については、反論できないという理解でよろしいですね?「航路図が整備された既知の宇宙空間」の話は上の繰り返しになるのでこれ以上言及はしません。

>「一万光年以上の超長距離跳躍技術」

「既知のスペース以外に進出することは、困難極まる」と主張しつつ、同時に「未来には一挙に一万光年以上のワープが可能になって、移動要塞は直ぐに捕捉されてしまうかも知れない」と平気で主張する神経の方が理解できませんね。本当に、こんな「ご都合主義」を振り回して、いいと思っているんですか?悪いですけど、こんなことは私にはできませんね。あまりにみっともないから。また、あまり理解されていないようですけど、ワープする距離が云々ばかりじゃないんですけど。一万光年一気に跳躍できたとしても、例えばですが千光年先に居る目標を、簡単に発見できますか?「千光年先に居る」ということは、探す側には分からないんですよ?「三次元方向に移動可能な宇宙空間で、どこに行ったか分からない相手を捜す」というのが、雲を掴むような話であるということが、全く分かっていないとしか思えないんですけど。それともう一つ。脱出した後のイゼルローン移動要塞内では、科学技術は一切進歩しないんでしょうか。何十万人かは人員が居る筈ですよね?技術関係の要員だって、当然存在する筈ですがね。

>「遠い未来に発生するであろう技術の発展」

 はっきり言ってますよね。それは「詭弁」だって。そういうことはやめて下さい。ということで、以下の論説については、無意味かつ無価値なものと見なさせて頂きます。

 何なら、私も勝手な「都合のいい未来像」でも出してみましょうか?

「時間が経てば、兵器の技術が発達して、トールハンマーの威力を飛躍的に増大させた『銀河破壊砲』が完成するかもしれない。それが出来れば、銀河系など帝国ごと一瞬で抹殺できる。そうすればイゼルローン移動要塞の安全は確保されるので、逃げて時間を稼ぎ、兵器技術の発達を待った方がいい」

 こんなことも主張可能になりますがね。まさか、「未来には航行技術が飛躍的に発達するかも知れない」と言っている本人が「未来には兵器技術が飛躍的に発達することはない」と、同時には言いませんよね?

 勝手な「都合のいい未来像」を想定して主張するということをやってはみましたけど、自分でやっていても実に馬鹿馬鹿しいと思いましたわ。こんなことが「主張として認められる」ような「議論」は、私はやりたくないですね。


>「もし帝国側が『第二の長征一万光年』の実現を何が何でも阻止すべく、全力で妨害にかかった場合はどうなるか?」「移動要塞による第二次長征一万光年にも【作品設定の観点から見た】運用上の問題はないのか?」という視点から、あえて疑問を呈させて頂いているわけでして

 せめて、「移動要塞の無限の自給自足能力を生かして、帝国領内で無制限にゲリラ戦を行うことが可能である」という主張と、矛盾しないようにやって下さいよ。今のままでは、話にならないです。


No. 6457
Re:6456:「天の川」越えの必然性
パンツァー 2005/05/02 23:16
私自身は、政治的理由からして、軽がるしく第二次長征一万光年が実施されるとは、未だ思っておりませんが、冒険風ライダーさんと、不沈戦艦さんの討論は、なかなか興味深く拝見しております。

> 「無限の自給自足能力を生かして、移動要塞によるゲリラ戦が可能」であるのなら、「既知のスペースを移動要塞の能力をフルに生かして行動しつつ、既知スペース以外への航路を探す」ということをやったらいいじゃないですか。その過程で、帝国軍艦隊と邂逅することがあるというのなら、撃破すればいいだけです。それだけの戦力はあるのですから。私が言っている「第二次長征一万光年」を実行するにあたって、「直ぐに既知のスペース以外に脱出しなければならない」ということはないですよね。別に一々帝国領を攻撃せずとも、追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいいじゃないですか。「航路を探すのが困難」と言っても、既知のスペースであっても無制限に戦い続けられる移動要塞の能力があるのなら、時間をたっぷりかけて探すことは可能でしょ?それとも「移動要塞の無限の自給自足能力を生かしつつ、延々と帝国領攻撃を行うことが可能」という主張を、取り下げるつもりなんでしょうか。だとすると、「移動要塞論」が根底から崩壊してしまうことになりますけど。

既知スペースでの神出鬼没の移動は可能であっても、「既知スペース以外への航路を探す」ことが困難である理由は、下の記載に示されていますね。

No.6407の冒険風ライダーさんの記載
<何しろ、常に移動を行える「移動要塞を使ったゲリラ戦略」とは異なり、「全く未知の宇宙空間」の事前調査を行うとなれば、そのために長期間一箇所に留まらなければならないケースも当然想定されるわけですし、すくなくとも最初の段階ではそこは「既知の宇宙空間」となるのですから、帝国側の捕捉の網に引っかかる可能性はそれなりに存在するのです。かといって準備不足のまま「長征」など行おうものなら、それこそ原作でも書かれているように「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」などという笑えない結末を迎える危険性すら存在するわけで、最初はかなりジレンマを抱え込まざるをえないでしょうね。
 前門の「未知の宇宙空間」と後門の「敵の執拗な探索および追撃」、銀英伝世界の宇宙航行事情では、片方だけならばともかく、両方を一度に相手するのはかなりきつくはないでしょうか?>

つまり、「既知スペース以外への航路を探す」ためには、「長期間一箇所に留まらなければならないケース」が予測されるため、イゼルローン要塞軍が帝国軍に発見されてしまう公算が高くなってしまう、と。これに対して、既知スペースでの神出鬼没の移動の場合は、「長期間一箇所に留まらなければならない」わけではなく、随時、根拠地(要塞)を移動させることが可能であるので、帝国軍の探索を逃れることができる、という反論は成り立つでしょうね。

「追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいいじゃないですか。」と不沈戦艦さんは述べておられますが、帝国軍の集中攻撃を避けるためには、やはり移動しつづける必要があり、そうすると「長期間一箇所に留ま」っての「既知スペース以外への航路を探す」ことが、できなくなってしまいそうです。

****
それから、帝国領と同盟領とを分かつ防壁「宇宙の墓場(サルガッソ・スペース)」というのは、いわゆる「天の川」のことなんでしょうが、イオン・ファゼカス号のクルーたちが敢えて、この「天の川」を通過して逃げようとしたのは理由がありそうです。イオン・ファゼカス号のクルーたちが、わざわざ「天の川」を横断しようとしたのは、星々が密集する「天の川」だからこそ、帝国軍の執拗な追跡を逃れることができる、と考えたからではありますまいか。逆にいえば、「天の川」のように星々が密集していない空間では、容易に帝国軍の追跡・追撃を受けてしまう、ということを意味しているのではありますまいか。
つまり、未知スペースであっても星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう、ということが銀英伝における索敵技術の水準なのではないか、ということです。レーダでは遠距離は無理としても光学や熱量、質量の分析とやらで、果てしなく遠い距離にいる艦船であれ、大まかな位置を捕捉されてしまうのでは。
だから、まっすぐ、別の銀河に逃避しようとしても、容易に捕捉されてしまう、と。銀河と銀河との間には、惑星や構成は存在しないに等しく、より光学や熱量、質量探索の精度は向上するでしょう。もし、別の銀河に逃れることが、追撃や捕捉を受けることなく無く容易なのであれば、イオン・ファゼカス号のクルーたちにしたところで、別の銀河に逃れる、という選択肢だってあったわけです。彼ら自体が、無補給航行の一実例であるとしたら。そして恐らくは、その方が、人命の浪費も避けられたに違いないのです。しかしそれをしなかったのは、「天の川」を越えての逃避のみが、彼らをして、帝国軍の追撃を逃れさせ、唯一生存の希望がある方法だったから、なのではないでしょうか。

銀河系には、「天の川」以外には、「天の川」に匹敵するような星の密集地帯は無いので、イゼルローン要塞軍の場合、「天の川」の両側に帝国軍が控えている以上、「天の川」を越えて逃げる、というような手は、使えないことになりそうですね。


No. 6461
Re:6456:ええっと・・・・・・
不沈戦艦 2005/05/03 18:16
 さらっと、

>つまり、「既知スペース以外への航路を探す」ためには、「長期間一箇所に留まらなければならないケース」が予測されるため

 ということを吟味せずに肯定しているようですけど、これの根拠って何ですか?「既知スペース以外への航路を探す」為には、「長期間一箇所に留まらねばならないケース」があるというのが、銀英伝の「作中記述」のどこかに、存在するというのでしょうか?移動しながらしながらデータ(電子写真の類。可視光線ばかりでなくX線とか色々含めて)をパシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す、という手法が全く通用しないとも思えないんですが。

 はっきり言いますけど、これって「冒険風ライダー氏の想像」という以外に、何か根拠があるのでしょうか。まあ、私が分かっていないだけで、「銀英伝の作中記述」に十分にこれを証明できる根拠がある、というのならこの反論は引っ込めますが。


>つまり、未知スペースであっても星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう、ということが銀英伝における索敵技術の水準なのではないか、ということです。レーダでは遠距離は無理としても光学や熱量、質量の分析とやらで、果てしなく遠い距離にいる艦船であれ、大まかな位置を捕捉されてしまうのでは。

 これもさっぱり根拠が分からないです。「銀英伝の作中記述」のどこかに、「星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう」ということがあるんですか?上記と同じくあるのなら、この反論も引っ込めますが、それがないのならこれも「パンツァー氏の想像」というだけでしかないです。残念ですが、これでは反論になっていません。


 想像を根拠にするのは、止めていただきたいと思います。というか、パンツァー氏にしても冒険風ライダー氏にしても、そんなことは最初から百も承知な筈でしょう?何で今更、「想像を根拠にするのは止めて下さい」なんて基本的なことを私から言わねばならないのか、その方が不思議です。


No. 6462
Re:6456:ええっと・・・・・・
パンツァー 2005/05/03 18:58
>  ということを吟味せずに肯定しているようですけど、これの根拠って何ですか?「既知スペース以外への航路を探す」為には、「長期間一箇所に留まらねばならないケース」があるというのが、銀英伝の「作中記述」のどこかに、存在するというのでしょうか?移動しながらしながらデータ(電子写真の類。可視光線ばかりでなくX線とか色々含めて)をパシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す、という手法が全く通用しないとも思えないんですが。

「長期間一箇所に留まらねばならない」とは、より正確に言えば、No.6407で冒険風ライダーさんが詳述しているように、「ワープできない」ということです。「パシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す」ことをしながらも、せいぜい通常エンジンによる航行であって、ワープ移動はできないであろう、ということです。
ワープ移動ができない状態と言うのは、一万光年などという単位から見たら、停止しているに等しい状況ではありますまいか。

>  これもさっぱり根拠が分からないです。「銀英伝の作中記述」のどこかに、「星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう」ということがあるんですか?上記と同じくあるのなら、この反論も引っ込めますが、それがないのならこれも「パンツァー氏の想像」というだけでしかないです。残念ですが、これでは反論になっていません。

これに関しては、イオン・ファゼカス号が、何ゆえ、敢えて、「天の川」越えを実行したか、ということを根拠にしています。彼らの進行方向にたまたま「天の川」があったわけではないでしょう。イオン・ファゼカス号がどのように逃げても帝国軍の追撃を避けられるのであれば、なぜ、わざわざ全滅の危険すらある「天の川」の横断などを実行しようとしたのでしょうか?
「天の川」のように星々の密集地帯を横断して逃げたからこそ、帝国軍の追跡を避けることができた、としか考えようがないのです。その逆は、「星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう」ということです。
前回(No.6457)で述べたとおりですが。


>  想像を根拠にするのは、止めていただきたいと思います。というか、パンツァー氏にしても冒険風ライダー氏にしても、そんなことは最初から百も承知な筈でしょう?何で今更、「想像を根拠にするのは止めて下さい」なんて基本的なことを私から言わねばならないのか、その方が不思議です。

上で書いた回答は、冒険風ライダーさんや私の過去の投稿の解説にすぎません。
不沈戦艦さんも、相手の投稿の読解が甘いのですから、もう少し挑発的言動を抑えられては如何でしょうか。

帰省しますので、以後の投稿は遅れます。


No. 6463
Re:6456:ええっと・・・・・・
不沈戦艦 2005/05/04 00:10
>No.6407で冒険風ライダーさんが詳述しているように、「ワープできない」ということです。「パシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す」ことをしながらも、せいぜい通常エンジンによる航行であって、ワープ移動はできないであろう、ということです。
>ワープ移動ができない状態と言うのは、一万光年などという単位から見たら、停止しているに等しい状況ではありますまいか。

 申し訳ないんですが、6407を読んでも何故「ワープできない」のか分からないです。「パシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す」って、そりゃ写真撮影をしている間は「ワープできない」ではありますが、撮った後に何でワープできないんですか?コンピュータ解析をする段階になれば、別に「ワープできない」なんて縛りはないと思いますが。外宇宙への航路を探している状態では、「既知のスペース」しか航行していないので、ワープできないということはないでしょう。


>「天の川」のように星々の密集地帯を横断して逃げたからこそ、帝国軍の追跡を避けることができた、としか考えようがないのです。その逆は、「星々の密度が低い空間では、容易に探索網に引っかかってしまう」ということです。

「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げた」理由が「探索網に引っかかりにくい為」ということを、具体的に証明できる記述が「銀英伝作中」にあるのですか?私が聞いているのはそれです。「ある」のなら、これは撤回しますとまで言っていますし。

 それと別の矛盾です。「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げたからこそ」ということを、イオン・ファゼカス号ではできたのに、イゼルローン移動要塞には同じ事はできないと仰る。イオン・ファゼカス号にできたことが、イゼルローン移動要塞にはできないという結論になる理由は、相変わらずさっぱり分からないです。


>不沈戦艦さんも、相手の投稿の読解が甘いのですから、
>もう少し挑発的言動を抑えられては如何でしょうか。

 冒険風ライダー氏もよく言われていましたが、他人の投稿態度をどうのこうのと、そんなことは大きなお世話ですよ。回答になっていなかったり、矛盾していても平気な回答ばかりでは、こういう評価になるのも仕方ありません。

 例えばですけど、こんな引用をして、

>銀英伝7巻 P59下段
><ヤン・ウェンリー一党は、星々の波濤の奥へ姿を消し、深海魚のように潜航をつづけている。むろん捜索の触手は八方にのばされてはいるのだが、レンネンカンプ弁務官の横死も、ヤン元帥の出奔も、そしてむろんヤンの身体を無重力世界へ放りあげる原因となった帝国弁務官府の命令と同盟政府の謀議も極秘とされていたから、捜索指令が徹底することもなかった。
> 一度など、ヤンの「不正規隊」を巡視中の同盟軍艦艇が発見したのだが、同盟軍に知らぬ人とてないヤン元帥が通信スクリーンに姿を見せて「政府の特命をおびて極秘に活動中なんだ」などというと、むしろ感動して敬礼と共に見送ってしまったものである。>

「既知のスペースであっても、必ず姿を眩ませられるものではない」と言い出した人が、同時に「無限の自給自足能力を生かして、移動要塞による神出鬼没のゲリラ戦が可能」という主張をしていることは、「???」でない人がいますかね。「既知のスペースでも、必ず姿を眩ませられるものではない」のなら、ゲリラ戦を実施したところで、そのうち発見されて捕捉されてしまっても何ら不思議ではありません。そうすると、「移動要塞論」が根底から崩壊してしまい、私が今言っている「第二次長征一万光年の方がマシ」という主張ももちろん無に帰しますし、今まで散々なまでに「タナウツ」上で行われた「移動要塞論」も「主張していた本人の自己否定」によって、「無意味かつ徒労だった」ということになってしまいますが、果たしてそれでいいんでしょうか。


 それに、別に喧嘩をしているつもりもないんですけどねぇ。矛盾した主張について、整合性のある説明をして頂きたいだけです。


No. 6465
Re:6456:ええっと・・・・・・
無明 2005/05/04 21:24
始めまして。銀英伝は何度か読ませていただいております。
銀のifという物は原作の熟知が必要だとは判っているのですが、
余りに垂涎なのでレスをつけてみたいと思います・・・。

>  申し訳ないんですが、〜
そもそも、サルガッソ地帯でワープは出来るのでしょうか?
銀英伝の世界のワープは中間に何も無い状態で無いと出来ない(ゲームの銀英伝ではそうなのですがもしかしたら事実無根かも)のです。
すると「隕石やらなんやらでごちゃごちゃしてる地帯」はどんなに航路走査してもワープは無理なのでは。
よって要塞でドンドコ進み邪魔な隕石を砲撃して逃げるしかないような気がします。

> 「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げた」理由〜
帝国支配地域の外に行きたかっただけな気もしますね。
ただ、下の通り小さければ密集地帯は眼をくらまさせやすいです。

>  それと別の矛盾です。〜
船体が小さいとレーダーには引っかかりにくいですよね。
イオン・ファゼカス号なら敵が近づいたら炉心の火を落として隕石風風船に包まれば良いかと思いますが、
要塞ともなるとレーダーなんて使わなくても恒星からの光だけで煌々と光ってそうです。
それが見えないほどゴミゴミしてるとするならば、今度は要塞の移動は要塞がスッポリ入る穴を掘るのと一緒ですから丸見えともいえます。
そして、そこまで隕石が多いと要塞の重力で隕石が落ちてきて大変なのではないでしょうか?

> 「既知のスペースであっても、必ず姿を眩ませられるものではない」と言い出した人が、同時に「無限の自給自足能力を生かして、移動要塞による神出鬼没のゲリラ戦が可能」という主張をしていることは、「???」でない人がいますかね。「既知のスペースでも、必ず姿を眩ませられるものではない」のなら、ゲリラ戦を実施したところで、そのうち発見されて捕捉されてしまっても何ら不思議ではありません。

私は、この無限の自給自足というのもいまいち分からんのですが・・・。
イゼルローンは人間サイズでみるとかなり長く在る物ですが、500年も存在していたわけではありません。
イゼルローンは工場まで完備した要塞兼500万都市として数百年過ごしましたが、そろそろ限界がくるのではないでしょうか?
内部構造がどうなっているのかは知りませんが、まさか宇宙空間の「無」からミサイルを作っていたわけでは無いでしょうし。
次の50年は中の「原料(何のでも良いですが)」がもっても長征XXX万光年では到底もたない気がします。
ま、それはそれでそこら辺の隕石すり潰してレアメタル補充できそうなので問題ないと言えば問題ないのかも。

後、ゲリラ戦なら捕捉されても全く構わないのではないのでしょうか。
要塞に対抗出来るのは正規の数個艦隊ですから、
まずもって略奪に向かう惑星がオーディンやらフェザーンでなければ留守艦隊ではどうにもなりませんし
もし急行してきた正規艦隊に追撃されても、無視してワープしてしまえばよいと思われます。
普通の艦が戦闘中にワープしてはいけないのは、戦闘中で空間が乱れてるという理由も然ることながら
戦列を離れることは軍規に反するからだと思われます。
ところがイゼルローンはそれ自体がひとつの軍ですから、
トップが「よっしゃ逃げるか!」といったらそれでワープに入れます。
ワープするまでも適当に応戦してポンととんでしまえば追っ手は追撃する手段がありません。

これを防ぐには熱核兵器で一発で破壊するのが一番ですが、ミサイル一本打ったところで要塞まで届きません。
すると艦隊で捨て身の攻撃となりますが、一個艦隊で自爆攻撃を行うのは上層部としても決行しにくいと思われます。


以上です。
稚拙な考察ですので、何なりと駄目だしをお願いいたします。


No. 6468
6407の趣旨等について
パンツァー 2005/05/11 22:31
>  申し訳ないんですが、6407を読んでも何故「ワープできない」のか分からないです。「パシャパシャ撮り、後でコンピュータに解析に掛けて航路を探す」って、そりゃ写真撮影をしている間は「ワープできない」ではありますが、撮った後に何でワープできないんですか?コンピュータ解析をする段階になれば、別に「ワープできない」なんて縛りはないと思いますが。外宇宙への航路を探している状態では、「既知のスペース」しか航行していないので、ワープできないということはないでしょう。

 どういう段取りで「外宇宙への航路」が確定されるかは不明ですが、不沈戦艦さんの推定通り、(1)写真撮影、(2)コンピュータ解析、という二段階を踏むとしても、(2)コンピュータ解析が完了するまで、ワープできないのは明らかではありませんか。
「写真撮影」のためにワープができないのではなく、「コンピュータ解析」が済んで「外宇宙への航路」が確定して初めて、ワープが可能になるわけですよ。「写真撮影」だけが終わったところで、「外宇宙への航路」が確定していないのなら、どの航路がワープして安全なのかどうか分かっていないわけでしょう。

また、上では、不沈戦艦さんの論理にしたがって、ある定点での「写真撮影」で、「外宇宙への航路」の全体を特定するデータが得られるかのように述べましたが、こんなはずはないでしょう。当然ながら、未知スペースの一定距離の「写真撮影」および「コンピュータ解析」、次いでその一定距離内でのワープ、を何度も繰り返しつつ、未知スペースを徐々に既知スペースに変換しながら、「外宇宙」へと移動していくものでしょう。
不沈戦艦さんの論理だと、ハイネセンにいながら、「写真撮影」および「コンピュータ解析」をやれば、「外宇宙への航路」を確定することが可能で、そもそも未知スペースなるものが存在すること自体、おかしな話にもなってしまいます。

No.6407より伺える趣旨として、未知スペースを航行する場合は、既知スペースを航行する場合と比べて、航行速度が低下するということです。どうしたって、未知スペースを既知スペースに変換するのに要する探索作業の分だけ、ワープだけひたすら行っていればよい場合と比べて、時間が掛かってしまうということです。

> 「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げた」理由が「探索網に引っかかりにくい為」ということを、具体的に証明できる記述が「銀英伝作中」にあるのですか?私が聞いているのはそれです。「ある」のなら、これは撤回しますとまで言っていますし。

銀英伝考察3「銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威」過去ログR
No. 3787 (冒険風ライダーさん)
などでは、銀英伝世界における索敵能力に関する議論もあり、銀英伝世界における索敵能力が500光秒〜1000光秒などではなく、はるかに大であることが指摘されています。
また、バーミリオン会戦に先立っては、同盟軍は、ガンダルバァ星系を離れていく帝国の各艦隊を尽く索敵することに成功しております。特に、ヤンが安心してラインハルトの直率艦隊との対戦に臨むことができたのも、ガンダルバァ星系を離れた後の帝国艦隊の動向についても確実な情報を得ていた、と考えざるを得ません。例えば、帝国の各提督が、ガンダルバァ星系を離れたのち、半個艦隊を隠蔽して、ラインハルトの艦隊を護衛させるなどすれば、容易に3個艦隊や4個艦隊の戦力を、ラインハルトの艦隊に差し向けることもできますが、このようなことが行われていないことも、ヤンは知っていたわけです。つまり、銀英伝世界では、光秒単位ではなく光年単位の索敵能力があると考えられるのです。
しかし、質量体の周辺に艦隊が潜んでいる場合、その艦隊を捕捉できない話も、銀英伝にはたびたび登場します。バーミリオン会戦の佳境部分たるヤンとラインハルトの決戦は、小惑星群等の質量体の存在するエリアで行われますが、ここで両軍が索敵に苦労する様子が記されています。

また、イオンファゼカス号も、恒星間宇宙船への乗り換え(建造)に際して、辺境の一惑星に着陸して姿を潜めることには、成功しているわけです。

質量体の有無というのは、銀英伝世界における索敵の成否に大きく関わってくるものといえるでしょう。

逆にいえばですね、
銀英伝世界における索敵能力が、500光秒〜1000光秒程度、それ以下であるならば、No. 3787で冒険風ライダーさんが述べているように、
<索敵の網の目がそこまで穴だらけであるというのであれば、宇宙海賊のような武装集団が各地に乱立して跳梁跋扈するような事態すらも招きかねず、そもそも銀英伝世界における恒星間国家が光年単位の広大な宇宙空間を実効支配していること自体、極めておかしな話であると言わざるをえなくなってしまいます>
てなことになってしまうでしょう。

質量体の存在が密な部分で索敵能力が低下し、疎な部分で索敵能力が十二分に発揮されることについて、以上のような根拠を挙げますが、いかがでしょうか。
「索敵能力が高いこと」と、「探索網の引っかかりやすさ」とが等価であることは、説明の必要はないですよね。

>  それと別の矛盾です。「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げたからこそ」ということを、イオン・ファゼカス号ではできたのに、イゼルローン移動要塞には同じ事はできないと仰る。イオン・ファゼカス号にできたことが、イゼルローン移動要塞にはできないという結論になる理由は、相変わらずさっぱり分からないです。

これは、単に、イオン・ファゼカス号の時代には、帝国領より「天の川」を横切った先が「未知の宇宙」であったのに対し、ヤンやラインハルトの時代には、同盟領より「天の川」を横切ってみても帝国領にたどり着くだけであって、「天の川」を横切っても、逃げたことにならない、というだけの話です。


>  冒険風ライダー氏もよく言われていましたが、他人の投稿態度をどうのこうのと、そんなことは大きなお世話ですよ。回答になっていなかったり、矛盾していても平気な回答ばかりでは、こういう評価になるのも仕方ありません。

まあ、私も人のことを言えた口ではないのですが、
できるだけ不用意な挑発は避けたいものだ、というぐらいの提案だと思ってもらえれば幸いです。


No.6462でも書きましたが、
イオン・ファゼカス号がどのように逃げても帝国軍の追撃を避けられるのであれば、なぜ、わざわざ全滅の危険すらある「天の川」の横断などを実行しようとしたのでしょうか?また、No. 3787の冒険風ライダーさんの指摘のように、
「宇宙海賊のような武装集団が各地に乱立して跳梁跋扈するような事態」も発生しないのは、なぜでしょうか?
帝国領から同盟領への亡命者がいた話が多々でてきますが、これは既知スペースを通過しての逃避にすぎません。帝国や同盟の知らない未知スペースへの逃避に成功した話が、銀英伝にはまったく登場しない以上、「未知スペースへの逃避」と言うこと自体が、銀英伝世界においては殆ど不可能である、ということを物語っているのではないでしょうか。

例えば、質量弾攻撃の話は、作品中のある部分で行われていることであるから、他の部分でも当然可能であるはずだ、という論理展開です。これとの対比で言えば、なに一つ実例のない「未知スペースへの逃避」に関しては、「できない」と考えるのが作品設定を重視する上で妥当な解釈であろうかと思います。もし「できる」とするのであれば、明らかに「できる」といわざるを得ないような根拠を探し出す必要があるのではないでしょうか。


No. 6469
Re6456:何度目かの遅レス
冒険風ライダー 2005/05/14 06:24
 たびたびレスが遅くなってしまって申し訳ありません(最近こればっかりですね(T_T))。


<「移動要塞によるゲリラ戦で、無制限に帝国領を攻撃できる」と主張していながら、同時にこういう主張が出てくることが、非常に不思議です。見つけだすのが決して不可能事ではないのに、何で「神出鬼没の行動」が可能なんですか?矛盾していると自分で思いませんか?反対方向の主張を一度に行ってしまっては、説得力が全くないのではないでしょうか。>

 それに関しては、銀英伝の以下の記述で説明可能でしょう↓

銀英伝5巻 P153上段〜下段
<かつてラインハルトが天才によって直感した事実が他の提督たちの目にも明らかになると、帝国軍の驍将たちは、一瞬、声がなかった。この意味するところは、ヤンが特定の根拠地を持たず、むしろそれを積極的な戦略思想として確立しつつあるということだ。
「まいったな、同盟領それ自体が奴の基地になっているというわけか」
 ファーレンハイトがあわい水色の瞳に、にがにがしさと感嘆の思いをとけあわせてつぶやいた。これはいわば正規軍によるゲリラ戦というわけであり、帝国軍は本拠地を持たぬ敵を追って戦わねばならないのである。その困難さを考えると、いままで彼らが踏破してきた一万光年余の征路も、長いものと思えなくなるほどだった。
 考えてみれば、イゼルローン要塞をさえ、あっさりと放棄してのけたヤン・ウェンリーである。ハードウェアとしての根拠地に執着しないのは予測しえたが、ここまで徹底するとは、そらおそろしいほどであった。
 ミッターマイヤーが軍靴のかかとで床を蹴りつけた。
「……一個艦隊」
 低い声に、膨大な量の感情がこめられている。賞賛と屈辱、感嘆と怒り、それは熱くたぎるスープだった。
「わずか一個艦隊で、わが軍を翻弄している! 奴が好きなときに好きな場所に出現することができるにしてもだ」
 同盟軍の補給基地が八四ヶ所にのぼることは、帝国軍の知るところだが、そのいずれをヤンが次の根拠地とするか。それは予測しがたいところで、この場合、知識がかえって迷いの原因となるのである。>

 この記述を読めば、銀英伝作中における「正規軍によるゲリラ戦」の脅威の本質がどこにあったかがお分かりいただけるでしょう。「正規軍によるゲリラ戦」は、「見つけにくいと」いうこともさることながら、それ以上に帝国側が「彼らが踏破してきた一万光年余の征路も、長いものと思えなくなるほど」の距離を走破してまで「本拠地を持たぬ敵を追って戦わねばならない」という困難さが第一にあり、また「特定の根拠地を持たず」に移動し続けるが故に「待ち伏せ」や「行動予測」の類を一切行いえないことが第二の脅威として挙げられているわけです。
 しかも「移動要塞ゲリラ戦略」の場合は、上記に加えてさらに「補給基地自体が無限の自給自足能力で半永久的に活動可能」で「それ自体が強大な戦闘力を保持」しつつ移動することができるときていますし、その攻撃対象となる「帝国領内に存在する全ての有人惑星および軍事拠点」を帝国側は「攻撃」ではなく「防衛」しなければならないわけです。たかだか同盟軍の補給基地84箇所程度の数で「そのいずれをヤンが次の根拠地とするか。それは予測しがたいところで、この場合、知識がかえって迷いの原因となるのである」などと言っているような惨状では、この状況はほとんど絶望的なまでに対処不能なレベルであるとしか評しようがないでしょう。
 「神出鬼没=絶対に見つけられない」ではありません。この場合の「神出鬼没」とは「【見つけにくい】上に【想像を絶する長距離をひたすら追い続けなければならない】」にもかかわらず「行動が予測できない」「待ち伏せができない」からこそ成り立つものなのであり、さらに「移動要塞ゲリラ戦略」の場合は「自軍の行動が【無数に存在する拠点の防衛】のために制約される」という要素がこれを助長するわけです。作中でも言及されている「正規軍によるゲリラ戦」の特徴を「移動要塞ゲリラ戦略」はさらに補強しつつも忠実になぞっているわけですから、「作品設定的には」特に矛盾はしていないと思いますが。


<「無限の自給自足能力を生かして、移動要塞によるゲリラ戦が可能」であるのなら、「既知のスペースを移動要塞の能力をフルに生かして行動しつつ、既知スペース以外への航路を探す」ということをやったらいいじゃないですか。その過程で、帝国軍艦隊と邂逅することがあるというのなら、撃破すればいいだけです。それだけの戦力はあるのですから。私が言っている「第二次長征一万光年」を実行するにあたって、「直ぐに既知のスペース以外に脱出しなければならない」ということはないですよね。別に一々帝国領を攻撃せずとも、追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいいじゃないですか。「航路を探すのが困難」と言っても、既知のスペースであっても無制限に戦い続けられる移動要塞の能力があるのなら、時間をたっぷりかけて探すことは可能でしょ?それとも「移動要塞の無限の自給自足能力を生かしつつ、延々と帝国領攻撃を行うことが可能」という主張を、取り下げるつもりなんでしょうか。だとすると、「移動要塞論」が根底から崩壊してしまうことになりますけど。>

 「時間をたっぷりかけて探すことは可能」であっても「常に敵の妨害を受けながら新航路を発見することが可能」とは言えない、ということを、私はNo.6407とNo.6434で繰り返し述べておりますが……。作中事実としても、同盟によるイゼルローン・フェザーン両回廊に続く「第三の回廊」の探索は、星図の不備と帝国およびフェザーンの妨害によって130年以上もの歳月を費やしてさえ成功していないわけですし、パンツァーさんも仰るように「未知の宇宙空間の探索」は、銀英伝の宇宙航行事情から考えても「現場における相応の時間と地道な作業の積み重ねで、一定距離を少しずつ進んでいく」というものにならざるをえないでしょうから、「追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいい」というのは「作品設定的には」かなり無理があるのでは?
 第一、せっかく時間をかけて入念に行った航路調査の結果、「そこは如何なる手段をもってしても全く進めない」という結論が出る事態だって、上記の作中の事例を鑑みれば充分以上にありえる話ではありませんか。その間は当然「長期間一箇所に留まらなければならないケース」に該当することになるのではありませんか?



>未来の技術発展の話
 これに関しては、前の投稿でも述べたように、銀英伝という作品で「未来の技術発展」を前提にしたワープ技術の誕生および発展について描かれていることと、それ以上に「長征一万光年後における同盟と帝国の邂逅の必然性」が作中で語られていたことから、「第二次長征一万光年」でも同じことを当然考慮しなければならないと考えたことに端を発しているわけでして、決して「都合のいい未来像」として出したわけではありません。
 もし不沈戦艦さんが挙げられたような「大艦巨砲主義」的なものが「将来的な科学の発展によって登場する可能性および(同盟と帝国の邂逅の必然性と同等クラスの)国家戦略的な脅威」として【銀英伝の作中で】語られている箇所が存在するのであれば、私もまた、作品設定に従って同じことを検討しなければならないと主張したことでしょう(銀英伝の作中では、大艦巨砲主義は相当なまでに軽んじられていますが)。私としては「作品設定の延長線上に存在するであろう予測」というつもりだったのですけどね。
 ただ、

<それともう一つ。脱出した後のイゼルローン移動要塞内では、科学技術は一切進歩しないんでしょうか。何十万人かは人員が居る筈ですよね?技術関係の要員だって、当然存在する筈ですがね。>

↑これについては全く考えが及びませんでした。移動要塞はそれ自体がひとつの国家たりえるわけですから、イゼルローン移動要塞内で科学が発展したところで確かに不都合はありませんね。「遠い未来に発生するであろう技術の発展」の問題については、イゼルローン移動要塞側にも同じことが当てはまるということで、すくなくともある程度は解決しそうです。「あの」銀英伝世界ならば。
 というわけで、こちらの件に関しては私の方から持論を取り下げたいと思います。


No. 6470
Re:6452の追記
ぴぃ 2005/05/15 01:01
 遅レスでごめんなさい。

 まず、確認したいことがあります。
 私の主張に対するパンツァーさんの反論を分類すると、(i)氷塊攻撃は回避不能である[6399]、(ii)ハイネセンへの突入コースであるとすると作中と矛盾する[6399]、(iii)衝突時に生じる破片の問題性[6401]、(iv)氷塊を衛星に命中させる技術は存在する[6401]であると認識しています。これでよろしいでしょうか?


>(1)氷塊の発射角度について
>
> 1 衛星に氷塊が100%確実に命中する
> 2 命中後の破片が、ハイネセンに影響しない
> 上の二点が共に必ず達成されるのであれば、そもそも「発射角度」を調整する必要などないのです。この作品設定を無視しない限りは、
> 1と2が同時に達成されないことが作品において前提となっている、としか解釈せざるをえません。作品を無視しないのであれば。
>
> No.6400ぴぃさんの記載
> <この事実から、氷塊がハイネセンへの「突入コース」であることは、氷塊がハイネセンへ「突入する」ことを意味しないと考えられます。よって、衛星が氷塊を回避しない状況に追い込んで破壊したという推論はまだ成立する余地があると考えます>
>
> 私が問題にしたのは、そもそも上の記載です。
> ヤンが「氷塊の発射角度」を、氷塊がハイネセンへの「突入コース」にあるように設定したから、(ハイネセンへの氷塊の突入を防止すべく自ら衝突しようと)「衛星が氷塊を回避しない状況に」追い込まれた、と言っているわけでしょう。
> ハイネセンを餌にして衛星を釣るような、そんな馬鹿なことはないでしょう、と言っているのです。

 確かに、パンツァーさんの示した条件2の問題をクリアできないのに、そんな作戦を実行すれば、暴挙の誹りは免れえないでしょう。しかし、2の問題がクリアできれば問題ないということです。


> はっきり言いますが、命中精度の低い氷塊を衛星を自ら衝突させるべく、わざわざ「氷塊の発射角度」を、氷塊がハイネセンへの「突入コース」にした場合に、その破壊による破片は、まちがいなくハイネセンへの落下コースにあると思いますが、この破片については、どうやって対応するのですか?

 以前、衛星の破片と氷塊の破片が問題になると発言しましたが、一旦取り下げます。
 その上で、パンツァーさんに質問したいことがあります。ハイネセンの重力圏下に配置されている「人工衛星」とそれに衝突した氷塊が、共に砕け破片となって、辺りに漂うという現象が作中で起きています。
 この、破片の生まれ方が疑問なんです。衛星と氷塊がぶつかって、両方が砕けて、辺りに破片が漂うというなら、ハイネセンの重力に抗し得ない、または、ハイネセンに突入するベクトルを持った破片が生じないという方が不思議です。言い換えると、破片は、氷塊の発進角度でどうにかなる問題なのでしょうか?
 素人考えでは、どんな角度でも、事実上の円心であるハイネセンに、破片のいくつかは落下しそうなんですが。つまり、原作自体が、破片の問題を無視しているのではありませんか?


> 氷塊の発射角度が、衛星による衝突があろうがなかろうが、ハイネセンへの突入コースから外れていることが、絶対条件となりませんか。そもそも「慎重に発射角度を定めた」とする作品中の記載と矛盾しませんか?

 前段は、破片に関する問題次第なので、質問の返答をいただいてからお答えします。後段についてですが、「慎重に発射角度を定めた」という文言を「衛星がプログラム上回避し得えず、かつ、ハイネセンに影響がない角度にした」と解釈したというのが元々の主張です。プログラム上回避できない角度というのは、相当厳格な条件をクリアできなければいけないと思います。それを「慎重」という言葉で表現してもおかしくはないでしょう。


> (2)衛星の機動力について
>
> 「それを言うなら、衛星が氷塊を、衛星の機動力で回避できなかった、という記載も存在しません。」なんて書いていますが、読者があたりまえに納得するからではありませんか。「要塞主砲(トールハンマー)に撃たれる戦艦が、戦艦の機動力で回避できなかった」とか「戦艦の主砲で撃たれる駆逐艦が、その駆逐艦の機動力で回避できなかった」などという記載もまったく存在しませんが、読者があたりまえに納得できる内容だからでしょう。氷塊による攻撃の場合も、亜光速で突入する、と書いてあるのですから、それを回避することなど思いもつかない、というのが、まず常識的な解釈だと思いますね。こういう常識的な解釈を打ち破っておく必要がある場合に、作者は解説をつけるのですよ。いちいち何もかも、1〜10まで説明することなど、事実上できないですし、読みにくくてしようがなくなるでしょうから。

 「要塞主砲(トールハンマー)に撃たれる戦艦が、戦艦の機動力で回避できなかった」とか「戦艦の主砲で撃たれる駆逐艦が、その駆逐艦の機動力で回避できなかった」などという記載もまったく存在しませんが、読者があたりまえに納得できる内容だからでしょう、というのはおっしゃる通りです。(なお、前者は、黎明編p133上段の「どうするんだ! 対抗できないぞ。どうやってあの主砲から逃れる」という発言からその困難さが窺えます)
 しかし、これを、氷塊の回避に適用するのは、論理の適用方法に誤りがありますので、上記は納得できるものではありません。作中には、亜光速に達するには助走しなくてはいけないという趣旨の設定がはっきり書かれています。発射したその瞬間から、亜光速だというなら上記の論理も成り立ち得ます。しかし、その為には、亜光速に達するまでの間も対処できないという主張が前提として必要です。そして、それは作中にない推論です。この点に関して、きちんと、立証してください。


> 「衛星は一刻も早く氷塊を攻撃するために、軌道上の位置を氷塊のコースにあわせるでしょうし、また、衛星の氷塊に対して攻撃が効かない事実、衛星が完全破壊された事実に比べれば、心理的に動揺させる要素として些末な事象ではないでしょうか」
>
> 別に、攻撃に当たって、衛星が「軌道上の位置を氷塊のコースにあわせる」必要などないでしょう。そもそも、自らを狙って氷塊が飛んできている(既に氷塊のコース上に位置している)わけですし、もし、ずれた位置にあるとしても、斜めから攻撃を掛けることは当然可能ではありませんか。
> また、ぴぃさんの推論「衛星が自ら氷塊に衝突する」という前提の下では、わざわざ氷塊が衛星にぶつかっていかない限り、衛星は氷塊との衝突を回避できるのですよ。「衛星が氷塊にぶつかっていく」=「衛星が完全破壊される」なのですから、わざわざ「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」(衛星が自殺しようとしている)と金切り声を上げることになりませんか。わざわざぶつかっていかなければ、破壊されることなど、ないのですから。

 アルテミスの首飾りが「防衛システム」であるという事実を失念していると判断せざるを得ません。もう一度、ここで推論を整理して確認します。
 前提条件として、衛星は氷塊攻撃への対処が可能である。このとき、衛星が回避しても良いという状況なら、衛星は回避している。しかし、衛星は回避していないのだから、回避できない状況だった。なぜならば、自らぶつからなければ、氷塊がハイネセンに突入する危険がある。すなわち、アルテミスの首飾りが、氷塊を回避する位置にいると、ハイネセンの「防衛衛星」としての価値が喪失する可能性があるからである。それゆえ、衛星は氷塊の破壊はできなかったが、氷塊の突入コースに乗ることで、最後の壁としての役割は果たせたのだという論理構成です。
 この論理構成ならば、ハイネセンの防衛という目的を、アルテミスの首飾りがしっかりと果たすためには、氷塊のコースにあわせる必要があるのではありませんか? 衛星がコースを合わせなかった結果、ハイネセンに突入したら無意味でしょう。
 次に、オペレーターの件は、繰り返しになりますが、衛星の行動は規定の防衛行動であり何ら問題ではありません、むしろ、氷塊を軍事衛星の攻撃で破壊できなかったばかりか、その全てが為す術無く破壊されたことの方がショックだろうと個人的には思います。しかし、パンツァーさんの価値観では、衛星がハイネセンを守るために移動する方がショックなのでしょう。


> (3)銀英伝の技術のあつかい
>
> > /* 黎明篇 p111上段
> > 「ボタン戦争と称された一時代、レーダーと電子工学が奇形的に発達していた一時代をのぞいて、戦場における用兵には(後略)」
>
> この話は、非常に面白いので、いつか取り上げてみたいテーマだと思っています。
> この話は、要は、無人艦、無人兵器の出現を、極力押さえるための作者の予防線ですね。電子制御兵器が有人兵器よりも一般に使えるものとなってしまったら、艦隊にたくさんの人員を乗せる必要も無く、戦闘で多数の艦が破壊されても、人命が失われることが無く、銀英伝の主題の一つであろう「戦争の悲惨さ」が、まるで描かれなくなってしまうことになるでしょう。
> だから、極力、電子制御による兵器が、有人兵器よりも劣るように、書いているのです。

 ここで言う、レーダーと電子工学云々というのは、そのようにも解釈できますが、それだけでは足りず、I.C.B.M.、パトリオットのような長距離兵器や電子兵器の類も禁止しているとみなすべきです。
 要するに、言い方は悪いのですが、「ハードSFの恒星間戦争」ではなく、「恒星間戦争の皮をかぶった(最近でも)近代戦争程度」のレベルにしますという宣言だと思っていました。従って、(政治的なレベルでは違いますが)戦略、戦術的な意味でI.C.B.M.に相当する兵器やその様な物を作る技術、例えば高精度の誘導装置はありませんし、また、人が直接戦わない戦闘は考えない。そういう意味だと私は考えていました。
 また、無人兵器の登場が、「戦争の悲惨さ」を減じるとは、必ずしも言えません。ある意味で、人間の理性や良心といったものが無い兵器なのですから、残酷な描写をしようと思えばできます。そして、無人兵器の酷薄さという主題は他の作家が別の作品で表現しています。


> さて、アルテミスの首飾りと称される自動衛星は何者であったか。
> これこそ、通常の戦艦よりも高性能な自動兵器なのです。なにせ、普通に攻撃したら艦船に被害が出ると、ヤンもクーデタ軍の将校も考えているわけですから。「作品全体を貫く基本原則」からしたら例外的ですね、例外的。
> だから、「作品全体を貫く基本原則」がどうあっても、作者自身が「例外」を設けている部分に関してはしたがうより他無いので、氷塊の命中精度に関しても、例外だとして、作品で設定されている通りに解釈する必要があります。

 アルテミスの首飾り自体は、例外ではないのでは? そもそも、「ボタン戦争」の原則の解釈の仕方に相違があります。一応、触れておくと、軍事衛星は、ハイネセンの衛星軌道上を自由に動き回る無人兵器であり、また、防衛システムという目的からそれで必要十分です。なぜなら、アルテミスの首飾りが想定している、脅威はハイネセンに危害を及ぼす可能性のある物であり、ハイネセンを攻撃する側は、アルテミスの首飾りを無視してハイネセンを攻略できないんです。だから、無人兵器でも有用なのでしょう。また、アルテミスの首飾りに搭載している兵器を確認してもらえれば解りますが、特に変わった兵器は搭載していません。
 しかし、アルテミスの首飾りが防衛システムであることを無視して、艦隊戦で使えるのだという主張は推論です。立証してください。
 また、仮に、アルテミスの首飾りが、パンツァーさんの言う意味での例外であるとしても、「ボタン戦争」の原則の例外ということと、いったいどの様な因果関係があるのですか。私には、独立した問題であり、論点がずれているように思えます。ご説明願います。

/* 野望篇 p180下段
(前略)レーザー砲。荷電粒子ビーム砲。中性子ビーム砲。熱線砲。レーザー水爆ミサイル。磁力砲その他ありとあらゆる兵器を搭載し(後略)
*/

 要するに、アルテミスの首飾りは、城壁とそこにいる守備兵に相当します。城壁で守備を固めた都市を攻略するとしたら、都市に被害を及ぼさずに、城壁をいかに攻略するかを考えるのは当然のことです。従って、攻撃側は、攻撃手段を限定せざるを得ません。この点も、無人兵器で足りる根拠になるでしょう。

 また、私が、アルテミスの首飾りへの氷塊による攻撃が例外だといったのは、前述した論理構成が考え得るから、「ボタン戦争」の原則の例外となり得るといったのです。例外だとパンツァーさんの側がおっしゃるのは、氷塊は必ず命中すると主張した、御自身の過去の発言に矛盾してしまいます。説明を求めます。

/* 6399 パンツァーさんの発言
 しかし、普通に考えると、こういった衛星が、亜光速の質量弾を回避できるはずがないのです。
*/

/* 6401 パンツァーさんの発言
 西暦でいえば28世紀くらいに相当する銀英伝の時代では、超高精度な弾道計算や未来位置予測が可能であって、姿勢制御エンジンや方向知覚センサなどなくても、ヤンがまったく命中に不安を覚えることなく、氷塊に命中させることができるだけの技術水準があった、としか考えよう
がないのです。作品を前提とするのであれば。
*/

/* 6452 パンツァーさんの発言
1 衛星に氷塊が100%確実に命中する
2 命中後の破片が、ハイネセンに影響しない
上の二点が共に必ず達成されるのであれば、そもそも「発射角度」を調整する必要などないのです。この作品設定を無視しない限りは、
1と2が同時に達成されないことが作品において前提となっている、としか解釈せざるをえません。作品を無視しないのであれば。
*/


> >  もしも、そのような技術が達成されているならば、艦隊の規模はもっと小さな規模(例えば、現代の艦隊レベル)の方が妥当だと思いますし、作品中での戦闘の描写は異なる物だったと思います。私は、艦隊戦に、数千隻単位が必要というのは、数によって広大な宇宙空間での命中率を有効な域まで向上させる為だと捉えていましたが、パンツァーさんは違うのでしょうか?
>
> 落ち着いて考えて欲しいのですが、これは単に戦争は数だ、というだけの話ですよ、これは。命中精度が100%だろうが、1%だろうが、性能が同じであれば、数が多い方が勝つに決まっているでしょう。それ以外に何か理由があるとでも思っているのですか?
>
> 現代の艦隊が、第二次世界大戦時などと比べて数的に少ないのは、
> 単に、個艦のコストアップのために過ぎません。
> 予算が10倍あるなら、艦船の数は10倍に増えるでしょう。
> 艦船の数は、予算と、個艦のコストと、によって決まるだけで、予算が許す限り、艦船の数は増える一方でしょう。

 私が、想定したのは、現在の原潜のような戦略です。高精度長距離兵器が存在するなら、その種の戦略が存在してもおかしくないのでは? わざわざ、まとまって、敵に探知しやすく、かつ、迎撃しやすいように艦隊を送るより、あちこちに、少数ずつ忍ばせて(これを言いたかったんです。第二次大戦の例えは不適切でした)、惑星環境レベルの破壊をするとでも脅せば良いでしょう。イゼルローン建設後から失陥前の帝国であれば、事実上、反撃がないのですからなおさらです。建設前であれば、冷戦状態になるかもしれませんが……。
 また、艦隊規模の理由を、艦一隻あたりのコストダウンだとおっしゃっていますが、コストダウンした成果だという、作中での根拠はなんですか? コストダウンしたんだということは、過去の編成では少なかったということになりますが、その様な事実はあるのですか?
 また、仮に、パンツァーさんのおっしゃる通りでも、数をそろえることで攻撃機会を増やし、命中率を上げているという推論の否定になっていません。身も蓋もない言い方をすれば、作者は、現代戦ではなく近代以前の、海戦ではなく陸戦のような宇宙戦で、架空史の戦記部分を表現したかったのではないんですか?


> (4)質量弾攻撃の可能性

> 念のためにお伺いしますが、本ホームページにある<考察シリーズ>の
> 銀英伝考察3銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威(冒険風ライダーさん)をお読みになっていますか?

 質量弾がらみの部分は読みました。大変、興味深い議論でした。


> > >  私は、機動能力のある物体への遠距離攻撃は、原則として効果のない攻撃であり、アルテミスの首飾りでは、例外的に攻撃して効果のある状況が現出したものであったと考えます。
>
> 風雲篇 第八章 V ノベルズ版P199下段
> 「とくに、慣性をつけた巨大な隕石を艦列に撃ちこまれると、数隻が一度に破壊されてしまう。だが、そんなことを意に介してはいられなかった。」
>
> バーミリオンの戦いの際には、戦艦等の艦船ですら、隕石を回避できない状況が発生しているようですね。

 私の主張を補強なさってくれたのでしょうか、皮肉としておっしゃっているのか曖昧で解らないのですが、後者だと仮定させて頂きます。(違っていたらごめんなさい。作中で艦隊に対して質量弾を扱った事例は覚えていたのですが、それがどこにあるのか忘れていました。見つけていただきありがとうございます)

 そうだとしたら、解釈に誤りがあると思います。この文を引用なさるなら、少なくとも下記からにしていただかないと困ります。

/* 風雲編 p198下段
「全軍を左翼方向へ振り向けよ。囮と見せて実兵力を動かすのが敵の作戦と思われる。正面に立ちはだかって、奴らの鼻面をたたきのめせ」
 万全の自信を、このときラインハルトは欠いていた。
(略)
 ラインハルトの本営に直属する少数の部隊を除いて、帝国軍は陣容を再編し、左翼へ迂回しつつある敵に向けて急速前進した。
(略)
 だが、敵を射程にとらえかけた帝国軍は、愕然とせざるをえなかった。同盟軍の主力と思ったのは、二〇〇〇隻ほどの囮部隊だったのだ。(中略)この囮部隊が帝国軍の主力を引きつけている間、小惑星の隠れ家から躍り出た同盟軍主力は、猛然とラインハルトの本営を目指していた。
(略)
 帝国軍が気づいたとき、同盟軍はすでに彼らの後背の空間を横断して、ラインハルトの本営に肉薄していた。
(略)諸将はあわてて囮部隊への前進を停止し、反転しようとして、囮部隊からの砲撃をあび、すくなからぬ損害をこうむった。とくに、慣性をつけた巨大な隕石を艦列に撃ちこまれると、数隻が一度に破壊されてしまう。だが、そんなことを意に介してはいられなかった。(後略)
*/

 上記の状況を基にして、パンツァーさんが引用された文を、解釈せねばなりません。要するに、ラインハルトが誤断をし、窮地に陥った場面です。ここでは、少数兵力しか残されていないラインハルトの本営が、同盟軍主力の攻撃にさらされている状況であり、後略した箇所を読むと、ミュラー艦隊が、リューカス星域で抵抗に遭い、来援が遅れれば、ラインハルトは戦死していたであろうほど逼迫していることが解ります。こんな状況で、囮部隊や隕石攻撃にかまっている暇があるのでしょうか? まさしく、ヤンの戦術能力が例外を作り出した場面だと思います。
 すなわち、原則的に隕石攻撃が通用する事例としては不適切だと思います。


> >  また、そのような遠距離攻撃が可能だとすると、例えば、ラグナロック作戦時に、なぜ、同盟軍は、フェザーン回廊から飛び出してくる帝国艦隊を、氷塊もしくは隕石で遠距離攻撃しなかったのかの説明が困難になります。
> >  私は、機動能力のある物体への遠距離攻撃は、原則として効果のない攻撃であり、アルテミスの首飾りでは、例外的に攻撃して効果のある状況が現出したものであったと考えます。
>
> これも作品設定を前提とする上で、可能性のある手の一つと言えるでしょうね。
> 同盟軍に時間的余裕があったかどうか、という問題はあるとおもいますが、面白い手だと思いますよ。
(略)
> 質量弾攻撃うんぬんの元ネタは、ここにあります。
> 質量弾攻撃を利用しないヤンはラインハルトは愚か者だ、というような話もでてきますので、「フェザーン回廊における質量弾攻撃」による迎撃、についても、質量弾攻撃を活用できない作中人物の愚かさ、を示す一つの根拠に追加されることになるでしょう。

 立証せずに、「作品設定を前提として(略)」としていますので、同意できません。「『ボタン戦争』の原則は作品を貫く原則でない」または「バーミリオン会戦における帝国艦隊に対する隕石攻撃は一般に適用できる事例である」という立証をしてください。

 以上です。


No. 6472
Re:6407の趣旨等について
不沈戦艦 2005/05/16 23:29
>どういう段取りで「外宇宙への航路」が確定されるかは不明ですが、不沈戦艦さんの推定通り、(1)写真撮影、(2)コンピュータ解析、という二段階を踏むとしても、(2)コンピュータ解析が完了するまで、ワープできないのは明らかではありませんか。

 どうも、考え違いをしておられるようで。ここで言っている「ワープできる」というのは、「既知のスペース」の話なんですが。いきなり「既知のスペース以外」に「ワープできる」と、言っているんじゃないんですよ?

 データを取った後、「既知スペース内」で「どこにでも逃げられる」と言っているんです。データを取りながら帝国軍の追撃を交わし、最終的に確定できた後に「既知スペース外への航路」を取ればいいじゃないか、ということです。「既知スペース内であれば、移動要塞は神出鬼没の行動が可能」ということを、否定はしませんよね?


>ある定点での「写真撮影」で、「外宇宙への航路」の全体を特定するデータが得られるかのように述べましたが、こんなはずはないでしょう。当然ながら、未知スペースの一定距離の「写真撮影」および「コンピュータ解析」、次いでその一定距離内でのワープ、を何度も繰り返しつつ、未知スペースを徐々に既知スペースに変換しながら、「外宇宙」へと移動していくものでしょう。
>不沈戦艦さんの論理だと、ハイネセンにいながら、「写真撮影」および「コンピュータ解析」をやれば、「外宇宙への航路」を確定することが可能で、そもそも未知スペースなるものが存在すること自体、おかしな話にもなってしまいます。

 だから、このパンツァーさんの考えるところである「既知スペース以外への航路を発見する為の方法」には、何か根拠があるんでしょうか?「既知スペース以外への航路の発見方法」について、銀英伝作中に示されていることはないですよね。少なくとも、私はそういう部分があった記憶はないです。「パシャパシャと写真撮影」というのは、適当に思いついただけで、別に根拠は何もありません。但し、それと同じ程度に、冒険風ライダー氏の言う「一箇所に長期間留まっての観測が必要」ということにも、根拠がないんですよ。何故根拠がないかというと、それは「第一次長征一万光年」をストーリーの骨格に据えておきながら、その後に「帝国と同盟」という「枠組み」を崩すことを嫌って「既知のスペース」以外を全て捨象してしまった、田中芳樹の設定が矛盾しているからですよ。ところがそれでも「作中事実」としては、「第一次長征一万光年」は歴然として存在します。

 そういう意味で、「第二次長征一万光年をやったらいいじゃないか」というのは、「移動要塞論」と同じく「設定の矛盾を衝いた論」であるんですよね。設定の矛盾を衝いた「移動要塞論」には賛成なのに、同じく設定の矛盾を衝いた「第二次長征一万光年」には反対という態度は、極めて不思議な気がします。


>未知スペースを航行する場合は、既知スペースを航行する場合と比べて、航行速度が低下するということです。どうしたって、未知スペースを既知スペースに変換するのに要する探索作業の分だけ、ワープだけひたすら行っていればよい場合と比べて、時間が掛かってしまうということです

「イゼルローン移動要塞にとってには障害になると説く一方で、追撃する帝国軍にとっては障害にならない(全く言及しない)というのはおかしいのではないか?」と、「移動に時間がかかる」ということは「逃げられない」という説明になっていないと反論済みです。済んだ話を蒸し返さないで下さい。


>質量体の有無というのは、銀英伝世界における索敵の成否に大きく関わってくるものといえるでしょう。

 だから、「質量体の有無が索敵の成否に関係がない」なんて、私は全然言っていないでしょう?「質量体の有無によって索敵の成否が問われる」ことを、いくら証明しようとしても無意味だと思いますが。

> 「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げた」理由が「探索網に引っかかりにくい為」ということを、具体的に証明できる記述が「銀英伝作中」にあるのですか?

 例えばですが、「たまたま、思いつきで天の川方向に逃げた」とか、「他の方向は帝国軍にふさがれていたので、唯一天の川方向だけに逃走可能だった」という可能性は、全くないんですか?そうではなくて、「天の川方向は質量体が多いので、敵に発見されづらい。だからイオン・ファゼカス号はそちらに逃げた」という具体的な記述か、直接そう書いていなくても、記述から明らかにそうだと結論付けられるものを示してくれ、と言っているんです。「質量体が多いので発見されづらい」だけでは、証明になっていませんよ。

>
これは、単に、イオン・ファゼカス号の時代には、帝国領より「天の川」を横切った先が「未知の宇宙」であったのに対し、ヤンやラインハルトの時代には、同盟領より「天の川」を横切ってみても帝国領にたどり着くだけであって、「天の川」を横切っても、逃げたことにならない、というだけの話です。

 ええと、同盟領から天の川、すなわち銀河中心方面に向かうと帝国領、という設定にいつなったのでしょうか?私の記憶では、「オリオン腕」に帝国があって、「サジタリウス腕」に同盟がある、ということだったと思っていたんですが。そういう記述もあった筈ですよ。「天の川を超えたら帝国」ということの、根拠がよく分からないです。


>なに一つ実例のない「未知スペースへの逃避」に関して

「第一次長征一万光年」を無視しないで下さい。


No. 6473
Re:Re6456:何度目かの遅レス
不沈戦艦 2005/05/16 23:31
>「神出鬼没=絶対に見つけられない」ではありません。この場合の「神出鬼没」とは「【見つけにくい】上に【想像を絶する長距離をひたすら追い続けなければならない】」にもかかわらず「行動が予測できない」「待ち伏せができない」からこそ成り立つものなのであり、さらに「移動要塞ゲリラ戦略」の場合は「自軍の行動が【無数に存在する拠点の防衛】のために制約される」という要素がこれを助長するわけです。作中でも言及されている「正規軍によるゲリラ戦」の特徴を「移動要塞ゲリラ戦略」はさらに補強しつつも忠実になぞっているわけですから、「作品設定的には」特に矛盾はしていないと思いますが。

 これについては「外宇宙への航路を探して逃げ回る場合」についても、十分成立するでしょ?「見つけにくい」のは、帝国領攻撃を行おうと、ただ単に逃げ回っていようと、同じではないですか。同じように「見つけにくい」という主張であれば別に文句はありません。「帝国領攻撃というゲリラ戦を行う場合は見つけにくいが、逃げ回る場合は直ぐに発見されてしまう」というのは、矛盾した主張でしょうと言っているんです。

>作中事実としても、同盟によるイゼルローン・フェザーン両回廊に続く「第三の回廊」の探索は、星図の不備と帝国およびフェザーンの妨害によって130年以上もの歳月を費やしてさえ成功していない

 しかし、同盟側から既知スペース以外へについては、何も記述がありませんから、どうなっているのかはさっぱり分かりません。これについて、断定的なことは何一つ言えない筈では?同じく、帝国側から別の宇宙についてもです。イゼルローン移動要塞の初期位置からなら、どちらに行くこともできますしね。

>銀英伝の宇宙航行事情から考えても「現場における相応の時間と地道な作業の積み重ねで、一定距離を少しずつ進んでいく」というものにならざるをえないでしょうから、「追ってくる帝国艦隊を叩きながら、外宇宙への航路を探せばいい」というのは「作品設定的には」かなり無理があるのでは?

 パンツァー氏への繰り返しになりますが、「既知スペース以外への航路を発見する方法」について記述がないのは、「第一次長征一万光年」をストーリーの骨格に据えておきながら、その後に「帝国と同盟」という「枠組み」を崩すことを嫌って「既知のスペース」以外を全て捨象してしまった、田中芳樹の設定が矛盾しているからです。だったら最初から「既知スペース以外一切出さない」という設定にすればいいところを、「既知スペースからの脱出」を果たした連中がいたと「作中事実」として登場させてしまった以上、「第二次長征一万光年は不可能」と主張するのは、最初から無理だと思いますね。記述がないのに断定することはできないでしょう。

 それに、これも繰り返しですけど「追ってくる帝国軍」にとっても「既知スペース以外の航行」については同条件だということを忘れないで下さい。いや、帝国軍の方が条件は悪いですね。逃げ出す側は二度と「既知のスペース」に戻る必要はないのですから、「既知スペースでの航路の座標」からどれだけ離れてしまったかなどどうでもいい話ですが、追っていく帝国軍にとっては「既知スペースの航路の座標」から見てどこに来てしまったかということが分からなくなってしまった場合、仮にイゼルローン移動要塞を発見したところで味方のところに戻ることができなくなりますから、最終的にはのたれ死にするしかない状況になってしまいます。これでは、逃げる方が有利としか言えないでは。


>移動要塞はそれ自体がひとつの国家たりえるわけですから、イゼルローン移動要塞内で科学が発展したところで確かに不都合はありませんね。「遠い未来に発生するであろう技術の発展」の問題については、イゼルローン移動要塞側にも同じことが当てはまるということで、すくなくともある程度は解決しそうです。「あの」銀英伝世界ならば。

 同盟建国の際、「初代の市民が16万人」であっても、著しい科学技術レベルの差が発生せず、帝国軍との遭遇戦やダゴン星域の会戦に勝利できる訳ですから、「銀英伝世界」ではそうなっていると解釈せざるを得ないでしょうね。


No. 6474
Re:6456:ええっと・・・・・・
不沈戦艦 2005/05/16 23:45
>私は、この無限の自給自足というのもいまいち分からんのですが・・・。
>イゼルローンは人間サイズでみるとかなり長く在る物ですが、500年も存在していたわけではありません。
>イゼルローンは工場まで完備した要塞兼500万都市として数百年過ごしましたが、そろそろ限界がくるのではないでしょうか?
>内部構造がどうなっているのかは知りませんが、まさか宇宙空間の「無」からミサイルを作っていたわけでは無いでしょうし。
>次の50年は中の「原料(何のでも良いですが)」がもっても長征XXX万光年では到底もたない気がします。
ま、それはそれでそこら辺の隕石すり潰してレアメタル補充できそうなので問題ないと言えば問題ないのかも。

 これを主張したのは「冒険風ライダー」氏であって、私ではないです。本人に問うようお願いします。

http://tanautsu.duu.jp/kousatsu.html

 それと、こういう疑問を発するのは、このURLに載っている「銀英伝考察3 銀英伝の戦争概念を覆す『要塞』の脅威」を、読んでからにして下さい。 その上で、「移動要塞論」への疑問点なり反論があるのなら、冒険風ライダー氏へ直接ぶつけるとよろしいでしょう。


>イオン・ファゼカス号なら敵が近づいたら炉心の火を落として隕石風風船に包まれば良いかと思いますが、

 多分お分かりになっていないと思いますが、実はイオン・ファゼカス号の方がイゼルローン要塞より大きいんです。

>イゼルローン要塞の球体体積(単位:立方キロメートル)
> = 60 × 60 × 60 × 3.14 ÷ 6 = 11万3040
>イオン・ファゼカス号の船体体積(単位:立方キロメートル)
> = 122 × 40 × 30 = 14万6400

 ということも、「銀英伝考察3 銀英伝の戦争概念を覆す『要塞』の脅威」で冒険風ライダー氏が論証していますので、それを読まれることをお勧めします。そうでないと、この議論に参加する前提が、全然分かっていないということになってしまいますので。


>後、ゲリラ戦なら捕捉されても全く構わないのではないのでしょうか。
>要塞に対抗出来るのは正規の数個艦隊ですから、
>まずもって略奪に向かう惑星がオーディンやらフェザーンでなければ留守艦隊ではどうにもなりませんし
>もし急行してきた正規艦隊に追撃されても、無視してワープしてしまえばよいと思われます。
>普通の艦が戦闘中にワープしてはいけないのは、戦闘中で空間が乱れてるという理由も然ることながら
>戦列を離れることは軍規に反するからだと思われます。
>ところがイゼルローンはそれ自体がひとつの軍ですから、
>トップが「よっしゃ逃げるか!」といったらそれでワープに入れます。
>ワープするまでも適当に応戦してポンととんでしまえば追っ手は追撃する手段がありません。

 逃げ回りながら外宇宙への航路を探す場合でも、同じ事ですね。捕捉されたら撃破する、という選択も当然あり得ますので。


No. 6475
なに一つ実例のない「未知スペースへの逃避」
パンツァー 2005/05/17 00:42
> >なに一つ実例のない「未知スペースへの逃避」に関して
>
> 「第一次長征一万光年」を無視しないで下さい。

これですけど、「第一次長征一万光年」の場合は、質量体の密集地帯である「天の川」を越えている、という特別条件がつくのですよ。不沈戦艦さんが提案されている「第二次長征一万光年」は、「天の川」を越えることには意味がなく(天の川の両側に帝国軍が待機している以上)、「天の川」のような質量体の密集地帯を越えることなく、帝国軍の追撃を振り切る必要があるわけです。
言い直しますが、「天の川」のような質量体の密集地帯を越えることなく、追撃を振り切って、「未知スペースへの逃避」に成功した例が、一つでも、銀英伝に存在するでしょうか?是非、ご回答を願います。

> > 「天の川のように星々の密集地帯を横断して逃げた」理由が「探索網に引っかかりにくい為」ということを、具体的に証明できる記述が「銀英伝作中」にあるのですか?
>
>  例えばですが、「たまたま、思いつきで天の川方向に逃げた」とか、「他の方向は帝国軍にふさがれていたので、唯一天の川方向だけに逃走可能だった」という可能性は、全くないんですか?そうではなくて、「天の川方向は質量体が多いので、敵に発見されづらい。だからイオン・ファゼカス号はそちらに逃げた」という具体的な記述か、直接そう書いていなくても、記述から明らかにそうだと結論付けられるものを示してくれ、と言っているんです。「質量体が多いので発見されづらい」だけでは、証明になっていませんよ。

「天の側」のような質量体の密集地帯が、航行の難所であって、航行に失敗する可能性があることは、銀英伝中に記載されています。全滅の危険性があることも、自明でしょう。そういう危険性を承知で「天の側」の横断を実行するからには、「天の側」の横断を実行せず質量体の密集度の低い「未知スペースへの逃避」の方が、より一層危険である、ということになりませんか。
イオンファゼカス号のクルーが「天の側」の横断を実行したことに対して、以上の推論よりも説得力のある推論を展開してみてください。それができないのでしたら、相対的に私の説の方が優れているということに必然的になりますよ。

> 「イゼルローン移動要塞にとってには障害になると説く一方で、追撃する帝国軍にとっては障害にならない(全く言及しない)というのはおかしいのではないか?」と、「移動に時間がかかる」ということは「逃げられない」という説明になっていないと反論済みです。済んだ話を蒸し返さないで下さい。

なるほど、この点に関しては直接的な回答を未だ与えておりませんでしたね。
不沈戦艦さんが指摘されているのは、第二次大戦の艦隊の追撃戦のような状況でしょうね。すなわち、逃避側の艦船の速度に対して、追撃側の艦船の速度が同じかそれ以下であれば、逃避側の艦船が追撃側の艦船に補足されることはない、と。
しかし、例えば、陸上のカーチェイスの類であれば、逃避側の車の速度に対して、追撃側の車の速度が同じかそれ以下であっても、逃避側の車が逃げ切れないことがよくあります。これは、地上の場合は、道路等が入り組んでいたり、思わぬ障害物(他の車など)があったりして、単に速度だけで、逃避の成功が決まらないからでしょう。

銀英伝の作品中には、艦船の相対速度が0であるので、追撃が成功しない、といった話が出てこないのではないでしょうか。艦船の相対速度が0であるので追撃が成功しない、という話があれば、ぜひ指摘していただきたいです。
逆に、追撃したら成功するけど、新たな敵が出現するかもしれないから敢えて追撃しないとか、そういった話は多々出てきますね。(引用をサボって申し訳ありませんが)
フェザーン侵攻の折の話では、商船が帝国軍に追撃されて撃破される例がいくらかでてきますしね。駆逐艦などより早い速度を出せる商船もあるでしょうに、追撃されて逃げ切った商船の例も出てきませんね。

推論としては、上で述べたように、現実の水上艦艇の追撃の場合とは異なり、ワープを主たる移動手段とする宇宙の航行においては、質量体の存在が無視できない障害物として作用し、単に艦船の速度だけでは、追撃側と比べて相対速度が0もしくはそれ以上であっても、逃避を成功させることができない、ということではないでしょうか?
これに関しても、私の推論以上の論を、不沈戦艦さんが提示できないのであれば、相対的に私の説の方が優れているということに必然的になりましょう。

>  データを取った後、「既知スペース内」で「どこにでも逃げられる」と言っているんです。データを取りながら帝国軍の追撃を交わし、最終的に確定できた後に「既知スペース外への航路」を取ればいいじゃないか、ということです。「既知スペース内であれば、移動要塞は神出鬼没の行動が可能」ということを、否定はしませんよね?

例えば、私も、冒険風ライダーさんの銀英伝考察3なども参考にしながら、銀英伝世界の索敵能力は光年単位はあるであろうと考えますが、この光年単位の索敵における索敵精度は、正確な座標をきちんと特定できるものではなく、精度が低いものであると思われます。それゆえに、偵察艇等を利用した光秒単位の偵察が実行されているのでしょう。正確な質量体の位置等を特定して、未知スペースを既知スペースに変換する作業は、そういう意味で難事業だと思われます。つまり、既知スペースを移動しながらデータを所得しても、せいぜい既知スペースの外側の「薄い皮」領域のデータが得られる程度でしょう。例えば外宇宙への航路を特定するなどとなったら、これは、やはり徐々に未知スペースへ向けてもぐらが土を掘って進むように探索せざるを得ず、地上を走り回って、地下の金鉱を掘り当てるデータを得ることはできないのではないでしょうか?
作品中に、航路特定のためのデータが、例えば光年単位で確保できるようなことが示唆されているでしょうか。もしくは記載内容を前提として推論できるでしょうか?
これに関しても、私の推論以上の論を、不沈戦艦さんが提示できないのであれば、相対的に私の説の方が優れているということに必然的になりましょう。


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