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銀英伝考察3
銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威
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No. 1797
銀英伝世界における超長距離観測の可能性について
優馬 2002/04/27 01:37
優馬です。
論もたけなわの「要塞論戦」に参加する実力も気力もないのですが、ちょっと気になることがありましたので質問させてください。

えーっと銀英伝世界では「超光速通信」というのは実用化されていましたよね、確か。それでないと何光年も離れた星域とリアルタイムで連絡とることは不可能。帝国も同盟も、そもそも成り立ち得ない。

登場人物が超光速通信で画像を送りあって会話しているシーンもたくさんあったような気が。(すみません、テキストを参照する気力がありません。)

とすれば、超光速通信を利用した光年単位の超長距離観測は、理論的には可能なのだと思います。「超光速望遠鏡」で焦点を結ばせるのはすごく難しそうな気はしますけど。少なくとも、光学的に撮影した映像を超光速通信で送るのは可能かと。
ただし、それは観測対象の座標がはっきりしていないととても難しいでしょうね。「そこにあることが分かっている」ものを観測することはできても、「どこにあるかわからない」ものを探す=索敵するのにはほとんど役に立たないとは思います。


No. 1799
Re:移動要塞に関わる当事者達の事情
平松重之 2002/04/27 04:33
 冒険風ライダーさん

<これはむしろ温存する方が懸命です。というのは、なまじ無人艦を戦闘に活用して敵に破壊されてしまっても、ヤンは艦艇の調達が満足にできない環境にあるからです。現在手元にある最大戦力で、ヤンの戦力は打ち止めだったわけです。
 なまじ戦力の少ないヤンとしては、補充の利かない貴重な艦艇は大切に扱わなければなりません。それを考えれば、むしろ新兵の訓練が終了して前線に出られるようになった頃に艦艇を使用できるようにした方が、戦力の堅実な向上という観点から言えばベストなのです。
 ユリアン達の場合は、艦艇数以上に人員の方が圧倒的に不足していた状態にあったので、「やむをえず」無人艦を使用していたというのが実情でしょう。しかしヤンの場合は待機している予備役新兵が全体の2割強ほど存在していたわけですから、それらの戦力化を待った方が懸命なわけです。
 これで説明は可能かと思いますが。>

 うーむ、自分としては艦艇を温存するにせよ、兵士の補充が利かない状態である以上はせめて1000〜2000隻程度の無人艦隊を使う事を視野に入れておけばヤンの戦術の幅も広がるのではないかとも思うのですが、これもまた見解の相違ですね。

<そのような場合は、とっととロムスキーらエル・ファシル独立政府のお歴々をまとめて始末する方法を考えるべきですね。外交面でひたすらロムスキーらを前面に押したて、ラインハルトらに嘲笑されながらの外交交渉を展開させ、機が熟したところでロムスキーらを無視して帝国に攻撃を仕掛け、「死間」としてロムスキーらを帝国側に殺させ、「民主主義の殉教者」に仕立て上げてしまうとか。私の感覚では、あの連中はヤン・ファミリーの足を引っ張る単なる邪魔者でしかないですし。>

 いや、単純に実利的な面から言えば全く冒険風ライダーさんのおっしゃる通りなのですが…(^^;;)やはりヤンには無理でしょうね…。それに下手をすればロムスキーらを犠牲の羊に仕立てた事を策謀家としては第一人者であるオーベルシュタイン辺りに逆用されてヤンの名声が地に落とされるという事もありえますし、必ずしも最善の策とは言えないのでは?

<同盟というのは何も「対等な関係」で結ばなければならないものではありません。一方的に服従させ、狂信的な性格を利用してテロに走らせ、全ての責任を押しつけ、帝国との取引材料として犠牲にしてしまうのも立派な「同盟関係」です。もっとも、一方的に利用される地球教側としてはいい面の皮でしょうが。
 それから地球教やフェザーン関係の面々と接触する方法としては、銀英伝8巻で「地球教によるヤン暗殺」という情報を携えてきたボリス・コーネフがそれ関連の情報を握ってそうですし、銀英伝本編では考えられないことでしょうが、フェザーンに在住しているトリューニヒトに頼るという方法も考えられます。彼なら地球教やフェザーン残党との太いパイプを持っていることでしょうし。
 地球教やフェザーンの残党なども、ヤンと手を組むことによって一定の利益を得ることはできますから、それほど不可能な選択肢でもなかったのではないかと。まああの「重度の潔癖症」に汚染されていたヤン・ファミリーの面々がそれを行うのはまず不可能な話だったことでしょうがね。>

 地球教はこの時点ではド・ヴィリエが実質的な指導者になっていますし、そう簡単には一方的に利用は出来ないでしょう。ロムスキーらであればなおさら、ド・ヴィリエに手玉に取られる可能性が高いですし。
 それとボリス・コーネフが携えてきた情報は「地球教によるヤン暗殺」ではなく「フォークがヤン暗殺の為に精神病院を脱走した」(P117)であって、その背後に地球教の存在を察知してはいなかったので「ボリス・コーネフが地球教についての情報を握っているかも」という推測は成立しないのでは?かつての地球の教団本部での一件もある上、巡礼者を地球まで運んだ経歴もあるコーネフの面は地球教団に割れている可能性が高く、彼が地球教と接触するのは危険なのでは?それとこの時期トリューニヒトはフェザーンではなくオーディンに居住しています(8巻P197)。オーディンに到達するのも大変でしょうし、ケスラーの監視下にあるであろうトリューニヒトと接触するのはちょっと無理ではないかと。

<いえ、むしろヤンの声望が圧倒的だからこそ、却って将兵の家族を「売る」ことで帝国に媚びへつらおうとする輩がいないとは限らないですし(もちろんラインハルトはそんな行為を激しく嫌悪することでしょうが、そんな輩がいなくなることはありえません)、また、ラインハルトに代表される帝国の「寛大な」体制がいつまで続くかも分かりません。だからやはり将兵の家族が外部にいては危険であることに変わりはないわけです。
 また、将兵の家族の移動に関しては、例によってそれ専門の密航業者が手引きしている可能性も高いですよ。需要はたくさんあることでしょうしね。>

 ラインハルトに媚を売るためにレベロを暗殺したロックウェル大将らが処刑された事は知れ渡っているでしょうし、それを知っていて「売り」に出るような輩が多くいるとは思えないので、大した問題にならないのでは?
「寛大な体制」云々については、ヤンというカリスマを抱いた外敵がいる以上、帝国もそう簡単に「寛大な体制」を捨てる事が出来ないという事くらい、一般の兵士も理解するのでは?
 密航業者云々については、前に行なった議論が再燃しそうなのでパスさせて頂きます(^^;)。

<いえ、私の構想では、むしろイゼルローン占領が完了した時点で、移動要塞の有無にかかわらず、とっととエル・ファシル全住民をイゼルローン要塞へと移転させてしまうというものなのですが。
 それに関する住民の感情など知ったことではないですよ。それぐらいしないと、帝国側が無防備宣言したエル・ファシルを襲撃してヤンを誘き出すというシナリオも考えられますし、そうなればラインハルトとの戦争に勝つことも、有利な講和条約を締結することも夢のまた夢でしかありませんので。帝国の脅威とエル・ファシル襲撃の可能性を示唆して戦時体制に移行してしまえば、エル・ファシルの住民も納得せざるをえないはずです。>

 一つ疑問なのですが、エル・ファシルから全住民を移住させたとして、別の諸星系が独立政府への参加を希望し、「私達も移動要塞に移住させて下さい」と次々と申し入れてきたらどうするのでしょうか?無論直径60km程度のイゼルローンでは収容人数に限界があるでしょうから、ある程度の人口に達したらそこで移住をストップせざるを得ませんし、移動要塞を複数作るのも経済的・時間的に見て至って困難でしょう。残った多くの移住希望者に「もう入れませんので、申し訳ないがあなた方は帝国の脅威にさらされ続けて下さい」などと言えば、エル・ファシル独立政府やヤンへの民衆の期待は地に落ちてしまうのでは?


No. 1805
Re:銀英伝考察3 〜銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威〜
荻原 2002/04/28 00:18
> 思ったんですが、イゼルローンって惑星なみのでかさなんですよね。
> で、それを移動できるわけですよね。
> ここから、「ということは、イゼルローンを破壊する大きさの惑星を動かす事も可能だから、それを使って破壊せいっちゅーねん」、と冒険風ライダーさんは論を運んでいます(?)。
> もちろんこれには賛成です。
> でもふと思ったんです。
> これってすごくないですか?
> 惑星を移動できるんですよ?
> もし惑星が移動できるとしたら・・・。
> 戦争なんてしてる場合じゃないんじゃない!?

イゼルローン要塞の大きさについて、冒険風ライダーさんの書き込みに

>ちなみに、銀英伝世界の中で一番大規模な要塞と定義されているのはイゼル
>ローン要塞(直径60km)で、規模においてそれに対抗しうるとされているのがガ
>イエスブルク要塞(直径40〜45km、質量約40兆トン)となっています。その他の
>レンテンベルク・ガルミッシュといった帝国内に存在する要塞は、これよりもさらに
>小さい規模の要塞でしょう。

ってのがあるのを見ると、惑星じゃなくて、よくて衛星以下の大きさしかないみたいですね。
月の直径が約3500Kmですし、それと比べても遙かに小さいです。
でも理論的には将来は十分可能になるんでしょうね>惑星移動
コストは天文学的数字になるんでしょうが


No. 1806
Re1797/1799:銀英伝世界の観測事情とその他諸々
冒険風ライダー 2002/04/28 01:07
>優馬さん
<超光速通信を利用した光年単位の超長距離観測は、理論的には可能なのだと思います。「超光速望遠鏡」で焦点を結ばせるのはすごく難しそうな気はしますけど。少なくとも、光学的に撮影した映像を超光速通信で送るのは可能かと。
ただし、それは観測対象の座標がはっきりしていないととても難しいでしょうね。「そこにあることが分かっている」ものを観測することはできても、「どこにあるかわからない」ものを探す=索敵するのにはほとんど役に立たないとは思います。>

 「光学的な映像を『遠距離から詳細に』撮影する」と「光学的に撮影した映像を超光速通信で『遠距離へと』送る」では全然違うでしょう。ヴェスターラントの虐殺関連その他の記述を見る限り、後者は可能でも前者は不可能としか言いようがありません。
 それに前にも言いましたが、もしそのような驚異的な能力を持つ「観測装置」があるのならば、そもそも銀英伝世界における宇宙会戦で使用されないはずがないでしょう。「観測対象の座標がはっきりしていないととても難しい」ということは、逆に言えば「観測対象の座標さえはっきりしていれば何でも観測することができる」ということを意味することになります。この理論で行けば、宇宙会戦が行われている星系を「特定」してその全域を「観測」することで、敵艦隊とおぼしき「光点の集団の移動」を「発見」し、その動きを前線に教えるといった芸当も可能となりますし、「ヴェスターラントの虐殺」関連の映像だって、わざわざ「観測対象の座標がはっきりしている」惑星ヴェスターラントに高速先行艇など派遣せずとも、はるか遠方から楽かつ安全に撮影できたはずでしょう。
 また、索敵で見つけた後の敵の行動の詳細を「観測」するにも便利ですよ。たとえば銀英伝5巻のバーミリオン会戦では、ラインハルトの縦深陣形を見破ったヤンが多数の隕石群を囮にしてレーダーを騙す事で敵主力艦隊を引きつけ、その隙にラインハルトの本隊に肉薄するという奇策を使ったことがありましたが、それにラインハルト麾下の諸提督が気づいたのは囮艦隊を射程圏内に捕捉しかけるほどに肉薄した時です。この時の囮艦隊の位置はラインハルト側に察知されていましたので、もしこの時この囮艦隊をその驚異的な能力を持つ「観測装置」で「遠距離から観測」していれば、その時点で囮艦隊の詳細がもろバレになってしまい、ラインハルトがヤンの奇策にかかるというシナリオ自体が崩壊することによって、バーミリオン会戦の趨勢は大幅に変わってしまっていたはずです。そして、そういった描写が銀英伝の作中に全く存在しないこと自体、「光学的な映像を『遠距離から詳細に』撮影する」ことが銀英伝世界では全く不可能であることを完全に立証してしまっているわけです。
 繰り返しますが、光年単位もの遠距離から対象物の詳細を全て観測できるシステムは、銀英伝の作品設定とは完全に相反する存在でしかありえないのです。



>平松さん
<いや、単純に実利的な面から言えば全く冒険風ライダーさんのおっしゃる通りなのですが…(^^;;)やはりヤンには無理でしょうね…。それに下手をすればロムスキーらを犠牲の羊に仕立てた事を策謀家としては第一人者であるオーベルシュタイン辺りに逆用されてヤンの名声が地に落とされるという事もありえますし、必ずしも最善の策とは言えないのでは?>

 一体どうやって逆用するのですか? その辺りをもう少し具体的に述べてもらわないと、私としては反論のしようがありませんが。
 それに私の策は、すくなくともロムスキーらにヤン・ファミリーの行動を邪魔されるよりははるかにマシな選択でしょう? それだけでも「最悪の策」でないことは確かですし、銀英伝本編のアレよりもはるかにマトモな結果が得られることも確実でしょう。あの当時のヤン・ファミリーにアレ以上の「最悪の策」などありえないのですから、それだけでも充分すぎるほどだとは思いませんか?


<地球教はこの時点ではド・ヴィリエが実質的な指導者になっていますし、そう簡単には一方的に利用は出来ないでしょう。ロムスキーらであればなおさら、ド・ヴィリエに手玉に取られる可能性が高いですし。
 それとボリス・コーネフが携えてきた情報は「地球教によるヤン暗殺」ではなく「フォークがヤン暗殺の為に精神病院を脱走した」(P117)であって、その背後に地球教の存在を察知してはいなかったので「ボリス・コーネフが地球教についての情報を握っているかも」という推測は成立しないのでは?かつての地球の教団本部での一件もある上、巡礼者を地球まで運んだ経歴もあるコーネフの面は地球教団に割れている可能性が高く、彼が地球教と接触するのは危険なのでは?それとこの時期トリューニヒトはフェザーンではなくオーディンに居住しています(8巻P197)。オーディンに到達するのも大変でしょうし、ケスラーの監視下にあるであろうトリューニヒトと接触するのはちょっと無理ではないかと。>

 あの面々(特にド・ヴィリエ)は、銀英伝10巻でユリアンとポプランに正面から再会のご対面を果たした時でさえ、2人のことを全然知らないような対応を取っていましたから、特に問題が生じそうには思えないですけどね〜。第一、ユリアン達が反地球教的な行動を取ったのは、ワーレン艦隊による地球攻撃が行われて教団自体がゴタゴタになっていた時で、しかもそれまでのユリアン達は従順な信者のフリをして黙々と働いていただけなのですから、帝国軍の大規模攻撃に比べればあまりにも小規模な諍いを引き起こしていただけにすぎないユリアン達のことを覚えているような余裕など、当時の地球教には全くなかったのではないかと。
 それに「地球教と手を組め」と言っても、何も私は地球教と「対等の立場で話し合い」「対等の同盟を締結する」ことで目的を遂行しろと言っているわけではないですよ。ヤン・ファミリーには、ユリアン達が採取してきた、地球教の詳細な秘密情報が記されている光ディスクの存在があるではありませんか。アレを使って地球教を脅迫し(具体的には「地球教の秘密を帝国に教える」というやり方がベスト)、無理矢理にでも自分達の味方にするというのが私の考える謀略構想です。あの光ディスクには外部に知られては色々とマズイ情報がたくさん詰め込まれているでしょうから、地球教やド・ヴィリエが何を考えていようが、この脅迫には屈するしかないでしょう。拒否すれば地球教は名実共に破滅してしまうのですし。
 それから地球教との連絡手段に関しては、地球で奉仕活動を行う過程でユリアン達は地球教の教団支部とかをある程度は把握してはいるでしょうし、光ディスクの存在を裏情報で少しずつ流し、向こうから食いつかせるという手もあるでしょう。その気になれば方法はいくらでも存在すると思いますけどね。
 それと、確かにトリューニヒトが当時住んでいたのはフェザーンではなくオーディンでしたね。これに関しては訂正しておきます。


<ラインハルトに媚を売るためにレベロを暗殺したロックウェル大将らが処刑された事は知れ渡っているでしょうし、それを知っていて「売り」に出るような輩が多くいるとは思えないので、大した問題にならないのでは?
「寛大な体制」云々については、ヤンというカリスマを抱いた外敵がいる以上、帝国もそう簡単に「寛大な体制」を捨てる事が出来ないという事くらい、一般の兵士も理解するのでは?>

 少し歴史を見てみれば、当初は占領民に対して「寛大な体制」を取っていた占領軍が、ある日突然一転して占領民に牙を剥き、大量虐殺や強制連行・奴隷政策などを行ったりした事例などいくらでもあります。帝国軍も旧同盟市民にとっては所詮占領軍に過ぎない以上、「あのラインハルトだから」とか「綱紀粛正が行き届いている帝国軍だから」というのは、旧同盟市民、特にイゼルローン陣営に所属する将兵の家族にとっては何ら安心できる理由にはなりません。
 現に同盟が帝国に完全併合された後でさえ、何度も反帝国を掲げた暴動の類が起こっていたではありませんか。アレこそが帝国に対して旧同盟市民が抱く一般的な認識といっても良いのですから、彼らが帝国軍に不信や反感を抱かない方が変と言うものです。
 また「ヤンというカリスマを抱いた外敵」の存在は、むしろ反対に帝国側に将兵の家族を人質に取るという策に走らせてしまう危険性があるでしょう。それほど危険ではなかったはずの銀英伝10巻当時のイゼルローン陣営に対してさえ「オーベルシュタインの草刈り」が行われたと言う実例だって存在するわけですし、ましてや正面から戦えば莫大な損害を出すことが分かりきっているヤンに対してならば、帝国軍の損害を避けるためにも、人質策の可能性を模索する人間は必ず出てくるでしょう。
 平松さんの主張は、帝国側の事情に対してあまりにも楽観的過ぎるのではないかと思うのですが。


<一つ疑問なのですが、エル・ファシルから全住民を移住させたとして、別の諸星系が独立政府への参加を希望し、「私達も移動要塞に移住させて下さい」と次々と申し入れてきたらどうするのでしょうか?無論直径60km程度のイゼルローンでは収容人数に限界があるでしょうから、ある程度の人口に達したらそこで移住をストップせざるを得ませんし、移動要塞を複数作るのも経済的・時間的に見て至って困難でしょう。残った多くの移住希望者に「もう入れませんので、申し訳ないがあなた方は帝国の脅威にさらされ続けて下さい」などと言えば、エル・ファシル独立政府やヤンへの民衆の期待は地に落ちてしまうのでは?>

 銀英伝本編の中でさえそのようなことを言ってきた星系など存在しなかったのに、なぜイゼルローンにエル・ファシル住民を移住させただけで、それに呼応しようとする星系があると言えるのですか? しかもエル・ファシル以外の星系は、別にヤンやイゼルローン要塞に頼らずとも当面は安全を確保することができると言うのに?
 イゼルローンを移動要塞に改造した後、巨大な戦果でも上げて旧同盟市民から歓呼の嵐で迎えられるといったような事態にでもなれば、そういうシナリオもありえないことはないと思いますけど、ロクな戦果も上げていないあの時点ではまず無理でしょう。他の星系にしてみれば、下手にエル・ファシル独立政府側につけば、それこそ報復措置として帝国からの直接攻撃や経済制裁などを受ける危険性があるわけですから、当面は帝国に臣従の意を示しつつ、心の中でヤンを応援するにとどめておくのが賢明な判断と言うものです。エル・ファシル以外の星系の指導者達は、すくなくともロムスキーのような「お調子者」よりは賢明な判断で傍観に徹していたのですよ。
 すくなくとも当面の間は、このような心配をする必要はありますまい。


No. 1807
Re:銀英伝世界における超長距離観測の可能性について
Zero 2002/04/28 01:52
「超光速通信」とは観測衛星(or観測船)と送信先艦船(or戦艦)
との間の話ですよね。これは、会話だろうが観測情報だろうが成立
していないと話になりませんし。例えば、ヴェスターラントの映像
はまさに先行観測船からブリュンヒルトへはこの技術で送信されて
いるでしょう。
光学的な観測に関して、観測衛星と観測対象の距離には一定の限界が
あると思いますし、ここには「超光速通信」技術は介在しないと思う
のですが・・・

もしかして、索敵不能なCCDみたいな超小型無人観測衛星(あるのか
どうかは分かりませんが)を近くまでとばして撮影して「超光速通信」
で・・・っていう話ですか?
まぁ、仮にあったとして、近距離だと逆に「通信波or空間の歪み」的
なモノを傍受されてしまう可能性も高いとも思いますが。


No. 1808
Re:政治的な諸問題
平松重之 2002/04/28 03:50
 冒険風ライダーさん

<一体どうやって逆用するのですか? その辺りをもう少し具体的に述べてもらわないと、私としては反論のしようがありませんが。>

 ロムスキーらの交渉中にヤンが攻撃を仕掛けたとして、ロムスキーらを殺しても帝国には何らメリットはないでしょう。むしろ彼らを説得し、帰属を勧めればいいのでは?そうすればエル・ファシル独立政府とヤンが信頼出来ないと分かった以上、あっさりと帝国に降伏してしまうのではないでしょうか。現に「史実」でもヤンの死後彼らはあっさり帝国への帰属を決断していますし。ロムスキーが帰属を渋ったとしても、ヤンの背信行為を盾にして側近達が詰め寄れば彼も納得せざるを得ないでしょう。一度帰属すれば、彼らはヤンの背信行為を帝国のために声高に宣伝するでしょうから、それにより「民主主義の擁護者」たるヤンへの不信がイゼルローンの内外で生じる上、ヤンはエル・ファシルという生産拠点を失う事となります。そうなれば、どちらかといえばロムスキーらを切り捨てて行動の自由を得るというメリットよりも、民主主義の擁護者としてのヤンへの不信の発生や生産性の激減といったデメリットの方が大きいのではないかと個人的には思うのですが。

<あの面々(特にド・ヴィリエ)は、銀英伝10巻でユリアンとポプランに正面から再会のご対面を果たした時でさえ、2人のことを全然知らないような対応を取っていましたから、特に問題が生じそうには思えないですけどね〜。第一、ユリアン達が反地球教的な行動を取ったのは、ワーレン艦隊による地球攻撃が行われて教団自体がゴタゴタになっていた時で、しかもそれまでのユリアン達は従順な信者のフリをして黙々と働いていただけなのですから、帝国軍の大規模攻撃に比べればあまりにも小規模な諍いを引き起こしていただけにすぎないユリアン達のことを覚えているような余裕など、当時の地球教には全くなかったのではないかと。>

 しかし、ヤン・ファミリーの面々が「ユリアンやコーネフらの面が地球教に割れているのではないか」という懸念を抱いているとしたら、やはりコーネフを地球教と接触させるのはためらうのではないでしょうか?ヤンを暗殺したのが地球教だと知ったユリアンは「僕達が地球教の秘密を探ったからヤン提督は暗殺されたのでは?」という考えを抱きましたし、ユリアンらには必ずしも自分達の面が割れていないという自信がなかったのではないかと。

<それに「地球教と手を組め」と言っても、何も私は地球教と「対等の立場で話し合い」「対等の同盟を締結する」ことで目的を遂行しろと言っているわけではないですよ。ヤン・ファミリーには、ユリアン達が採取してきた、地球教の詳細な秘密情報が記されている光ディスクの存在があるではありませんか。アレを使って地球教を脅迫し(具体的には「地球教の秘密を帝国に教える」というやり方がベスト)、無理矢理にでも自分達の味方にするというのが私の考える謀略構想です。あの光ディスクには外部に知られては色々とマズイ情報がたくさん詰め込まれているでしょうから、地球教やド・ヴィリエが何を考えていようが、この脅迫には屈するしかないでしょう。拒否すれば地球教は名実共に破滅してしまうのですし。
 それから地球教との連絡手段に関しては、地球で奉仕活動を行う過程でユリアン達は地球教の教団支部とかをある程度は把握してはいるでしょうし、光ディスクの存在を裏情報で少しずつ流し、向こうから食いつかせるという手もあるでしょう。その気になれば方法はいくらでも存在すると思いますけどね。>

 拒否しても名実ともに破滅するとは思えないのですけどね。支部の場所などは、光ディスクの存在が裏情報で少しずつ流された時点で教団支部に指令を出して拠点を替えさせれば済む事ですし。第一狂信者である彼らがそういった脅迫に屈しますかね?むしろヤンへの憎悪を増幅させるだけだと思いますが。
 それと、他に知られては色々とマズイ情報というのは、具体的にどのようなものだと冒険風ライダーさんは考えておられるのでしょうか?
「史実」で地球教が根絶されたのは、シューマッハの告白に基づきオーベルシュタインが本尊である地球自体を破壊するという流言を流して残存兵力をヴェルゼーデ仮皇宮におびき寄せて地球教の首脳を一網打尽にしたからです。そういった状況にならない限りは地球教が破滅する事はまずありえないかと思うのですが。

<少し歴史を見てみれば、当初は占領民に対して「寛大な体制」を取っていた占領軍が、ある日突然一転して占領民に牙を剥き、大量虐殺や強制連行・奴隷政策などを行ったりした事例などいくらでもあります。帝国軍も旧同盟市民にとっては所詮占領軍に過ぎない以上、「あのラインハルトだから」とか「綱紀粛正が行き届いている帝国軍だから」というのは、旧同盟市民、特にイゼルローン陣営に所属する将兵の家族にとっては何ら安心できる理由にはなりません。
 現に同盟が帝国に完全併合された後でさえ、何度も反帝国を掲げた暴動の類が起こっていたではありませんか。アレこそが帝国に対して旧同盟市民が抱く一般的な認識といっても良いのですから、彼らが帝国軍に不信や反感を抱かない方が変と言うものです。>

 暴動の大半の原因はルビンスキーや地球教の策謀による流通の停滞やそれに伴う物資の不足ですし(10巻P29)、その他の政治的なデモや暴動などは130億という旧同盟領の人口から見ればごく一部でしかないので、必ずしも帝国の信義への不信や反感が旧同盟領において強い事の証拠にはならないと思いますが。

<また「ヤンというカリスマを抱いた外敵」の存在は、むしろ反対に帝国側に将兵の家族を人質に取るという策に走らせてしまう危険性があるでしょう。それほど危険ではなかったはずの銀英伝10巻当時のイゼルローン陣営に対してさえ「オーベルシュタインの草刈り」が行われたと言う実例だって存在するわけですし、ましてや正面から戦えば莫大な損害を出すことが分かりきっているヤンに対してならば、帝国軍の損害を避けるためにも、人質策の可能性を模索する人間は必ず出てくるでしょう。>

「オーベルシュタインの草刈り」で人質に取られたのは同盟時代に政府や軍部において重要な公職に就いていた人物だけでしょう?彼らの大部分は民衆から支持されていないでしょうから、人質として使っても民衆は全く痛痒を感じないでしょうが、民間人を人質にするのは単に他の民衆の反感と不安を煽り、帝国内部からも強い反対論が台頭するでしょうから、占領政策としては有害無益でしかないと思うのですが。

<銀英伝本編の中でさえそのようなことを言ってきた星系など存在しなかったのに、なぜイゼルローンにエル・ファシル住民を移住させただけで、それに呼応しようとする星系があると言えるのですか? しかもエル・ファシル以外の星系は、別にヤンやイゼルローン要塞に頼らずとも当面は安全を確保することができると言うのに?>

 それは、ずばり言ってしまえば本編には存在しなかった移動要塞という代物をヤンが有しているからです。本編では他の星系は行動範囲に限界のあるヤン艦隊では自分達の星系を守備し切れない事を承知していたから鳴りを潜めていたのでしょうが、移動要塞であれば自分達の星系に来てもらう事が出来る上、そのまま安全な要塞内に移住させてもらえるのですから、移動要塞にエル・ファシル全住民が移住したと知れば、それに続こうとする星系が続出する可能性が高いのではないかと。

<イゼルローンを移動要塞に改造した後、巨大な戦果でも上げて旧同盟市民から歓呼の嵐で迎えられるといったような事態にでもなれば、そういうシナリオもありえないことはないと思いますけど、ロクな戦果も上げていないあの時点ではまず無理でしょう。他の星系にしてみれば、下手にエル・ファシル独立政府側につけば、それこそ報復措置として帝国からの直接攻撃や経済制裁などを受ける危険性があるわけですから、当面は帝国に臣従の意を示しつつ、心の中でヤンを応援するにとどめておくのが賢明な判断と言うものです。エル・ファシル以外の星系の指導者達は、すくなくともロムスキーのような「お調子者」よりは賢明な判断で傍観に徹していたのですよ。
 すくなくとも当面の間は、このような心配をする必要はありますまい。>

 では移動要塞により戦果を上げて全住民の移住を希望する星系が続出したらどう対応するのですか?結局は大部分の移住は拒否せざるを得ないのでは?移動要塞を新しく作るには何十年という歳月と、要塞改造とは比較にならない膨大な資金、更には帝国軍の妨害がまったくないという前提が必要になりますが、どれにも無理があります。既存の要塞(レンテンベルクやガルミッシュなど)を奪取すれば前の2つは解消されますが、これでもまだ全ての移住希望者を収容するには足りないかも知れませんし、第一改造中に帝国軍の攻撃を受けてほぼ確実に失敗するでしょう。


No. 1809
燃費関係云々
Zero 2002/04/28 05:47
>  「要塞自体が移動するエネルギー」と言っても、要塞が移動する際に使用するエネルギーというのは、要塞に設置するそれぞれ12基のワープエンジン&通常航行エンジン、合計24基分の量でしかありえないでしょう。しかもそのエンジン自体、別に特注品でエネルギーを通常より大量に消費すると言うわけでもありませんので、消費するエネルギーなど取るに足りない程度の量でしかないのではないかと。


エンジン基数が12倍だからといってエネルギー消費量が12倍とは
限らないと思います。同じエンジンでもパワーの入れ具合によって
燃費が変わります。恐らく、要塞移動時にはエンジンに常に高負荷を
強いると思われますし、燃費も半端なモノではないと思います。
この際、エンジン基数はエンジンへの負荷を分散する意味合いしか
無いと思います。どうせ、同じエネルギータンクからエネルギーを
貰ってるでしょうし。数は多いほどいいが、連動させる命題と天秤に
掛けて必要最少数を設定したといった所ではないでしょうか?

例えば、戦艦と要塞の単一時間内に同じエネルギー量で動ける距離比は
『戦艦の質量:要塞の質量』位だと僕などは想像します。
要塞が直径60km位、戦艦が大体全長1km位だと思うので、単純計算で
軽く30^2*3.14倍くらいは燃費が掛かると考えてました。
戦艦がの幅や高さが1kmという訳でないので、その辺りを加味したら
数千〜一万倍のエネルギー消費量ではないですかね。
だからこそ、作中人物が「あきれて」いたと思ったのです。

冒険風ライダーさんが「十倍程度」、僕が「数千〜一万倍」では
流石に意見が咬み合わない訳ですね。
更に、要塞のエネルギー備蓄量や、使用エネルギーの再蓄積時間
が明確でないので何とも言えないところですけどね。
例えば、僕が考えるレベルでエネルギーが必要でも、既に要塞移動用
のエネルギー消費量の百倍以上の備蓄量があるとか、消費量の再蓄積
が一日で可能とかだと一気に問題解消ですが・・・

>  移動速度・ワープ距離に関しては、手がかりになる資料がひとつありまして、ガイエスブルク移動要塞を使ったイゼルローン攻略作戦が決定したのが3月17日で、移動要塞がイゼルローン側に探知されたのが4月10日です。この期間が24日で、しかもイゼルローン−オーディン間は1ヶ月近くは確実にかかるので、どちらかと言えばやや速い方なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

すみません。僕の中で、オーディン、ガイエスブルグ、イゼルローンの
位置関係が把握できてないので何とも言えません。
只、ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している
でしょうし、燃費は凄かろうなぁとは思います。


No. 1812
超長距離観測その他
陵雲 2002/04/28 22:15
> とすれば、超光速通信を利用した光年単位の超長距離観測は、理論的には可能なのだと思います。「超光速望遠鏡」で焦点を結ばせるのはすごく難しそうな気はしますけど。少なくとも、光学的に撮影した映像を超光速通信で送るのは可能かと。
> ただし、それは観測対象の座標がはっきりしていないととても難しいでしょうね。「そこにあることが分かっている」ものを観測することはできても、「どこにあるかわからない」ものを探す=索敵するのにはほとんど役に立たないとは思います。

実際、これだけ未来の話なら「光年単位の観測技術」は無い方が不自然だと思います。
しかし、冒険風ライダーさんの言われる様に軍事に利用できるのか?と考えると、かなり疑問です。

疑問の1.戦場の広さ
 冒険風ライダーさんが何度も言われているように宇宙はとてつもなく広く、それに対して艦艇のサイズはあまりにも小さいので、遠距離から望遠鏡で戦場全体を観測しようとすると

「なにやら光の点がたくさん見えるけど、どれがどっちの船だかサッパリわからん!」

ということになってしまいます。
かといって艦艇の種類が見分けられるほど倍率を上げると今度は

「とりあえずこいつが我が軍の船なのは分かったが、あとの1万9999隻はどこだ?」

となってしまいます。

まあ何とか両陣営の配置が分かったとしても、望遠鏡は1方向からしか見えませんから両陣営の光点が重なってしまうともうどっちがどっちやら・・・


疑問の2.光の速度
 別に何光年も離れる必要は無いので、仮に10万光秒程離れた所から観測したとします。
ちなみに1日は8万6400秒。

昨日の戦場を見ながら一体どんな戦術立てろと?(笑)


結局の所、冒険風ライダーさんの言われるような戦法は
「戦場と観測者の間に殆ど時間差が無い」
という前提無しでは無理があります。
そして観測の目的が平時のイゼルローンの監視であれば(戦争中はまた話が別)例え1・2日遅れの情報であってもそれほど支障はありません。

ちなみにヴェスターラントへの高速先行艇の派遣についてですが、
目的が情報収集なのですから、より詳しい情報を得ようとするなら直接現場に行くに決まっています。
現代の戦場カメラマンだって命の危険を冒してでも自分で戦場まで行くのですから。
第一、衛星軌道まで近付かなければ地表の様子が判らないと言うのなら、
「この時代の観測能力は現代のスパイ衛星よりもよりも低い」
という奇怪な結論に達してしまいます。


あと、このツリーの始めの方から気になっていたんですが、
移動要塞への改造について。

要塞を動かすほどの巨大なエンジンをどこで造るのか?
という問題があります。

ガイエスブルグ要塞の改造の時には、原作3巻によると8万9千人の工兵が取り付け作業に当たったとありますが、これはあくまで取り付け作業を行っていたのであって、推進エンジンとワープエンジンを直接要塞の上で組み立てた訳ではありません。

という事はエンジンの開発は別の場所で行い、ガイエスブルグ要塞まで運んできて、そこで取り付けたと思われますが、
イゼルローン要塞の場合は推進エンジンとワープエンジン合わせて24基の巨大エンジンを全て「要塞内」の、しかも「整備工場」で開発しなければなりません。

そもそも、これだけの物を造ろうとすれば当然大量の資材が必要になりますが、それをどこから調達するのでしょうか?そして資材を加工するための工場は?

いくらなんでも、これらを全て要塞内でまかなえる位なら大型戦艦の建造も出来るでしょう。
おまけにヤン達は殆ど孤立無縁の状態ですから外から買うことも出来ません。

そうなると技術の格差がどうとか言う問題ではなく、単に環境的に無理だったと言うだけの問題になります。


No. 1814
Re1808/1809/1812:反銀英伝・移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ
冒険風ライダー 2002/04/29 22:35
>平松さん
 毎度の事ながら、私が平松さんの質問や疑問に回答するたびに、平松さんの側からより細分化された新たな疑問がほとんど永久機関のごとく飛び出してくるという、常に無限の回答を強いられる私としては非常にウンザリせざるをえないいつものパターンに陥っていますので、ここらで少し視点を変えて、私が考える「移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ」でも話してみましょうか。反論もその過程でやっていきますので。

 まず銀英伝7巻のイゼルローン要塞再奪取後、ヤンが最初に取るべき戦略は、イゼルローンを移動要塞に改造するための大規模工事実施と、エル・ファシル住民のイゼルローン要塞強制移住です。前者は今まで述べてきたように、イゼルローン回廊全域に多数の哨戒部隊を配置して完全立入禁止宙域とし、外部からの干渉を完全に排除できるようにします。そして後者は「来るべき帝国軍の来襲に備え、全国民を安全なイゼルローン要塞内に退避させる」という理由を公式見解として外部に説明します。
 これは別に不自然な理由ではありません。もともとあの当時のヤンの戦力では、銀英伝7巻P174でヒルダがラインハルトに進言しているように「イゼルローン要塞のみを防御するのにも不足しがちな状態」なのですから、この処置は本来ならば移動要塞の有無にかかわらず行われていなければならないものです。そしてこの大量移住措置自体が、帝国側が元々抱いているであろう「ヤンはイゼルローン要塞に戦力を集中し、籠城作戦を展開するつもりだろう」という憶測をさらに強める効果をも産み落とし、真の目的を隠匿するための手段として利用することができるという側面も併せ持っています。ただひたすら「ヤンと戦争がしたい」という妄念に取り憑かれていた当時のラインハルトなどは、ヤンの真の意図に全く気づくことなく「ヤン・ウェンリーも戦いを欲するか」などという見当ハズレな独語をのたまってくれることでしょう。

 そして要塞の建造を急がせる一方で、水面下の謀略活動も積極的に行います。表向きにはロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部をひたすら前面に押し立てて帝国側と時間稼ぎの交渉を行わせつつ、裏では地球教・フェザーン勢力と連絡を取り合い、秘密同盟を締結するのです。
 地球教に関しては、ユリアン達が採取してきた例の光ディスクの存在を「脅迫の材料」として使用すると同時に、自分達と手を組むことによって得られる利益についても力説し、半ば強制的に自分達に従わせます。例の光ディスクには、地球教とフェザーンの蜜月の歴史だけでなく、地球教の重要な資金源であるサイオキシン麻薬の生産拠点や密売ルート、およびその他諸々のダミー企業やそれらを指導する各地域の教団支部等に関する記載がさぞかしたくさん詰め込まれていることでしょうから、これが公開されてしまえば地球教は資金面から完全に破滅してしまうだけでなく、詳細な情報を把握した帝国側から容易に捕捉殲滅されることになってしまいます。地球教側が内心どう思おうが、それを使ったヤン側の脅迫には屈するしかありません。これだと「脅迫」の効果を高めるためにも、むしろ一度は地球教本部で働いていたユリアン達を「脅迫者」として使ったほうが良いくらいですね。光ディスクというのは当然コピーも可能でしょうから、大量に作成して主要幹部に配布してしまえば、地球教側はテロに訴えて奪還するといった手段も使うことができなくなるでしょう。
 そして地球教を介してルビンスキーら旧フェザーン勢力、およびトリューニヒトとも秘密裏に同盟関係を結び、ヤン陣営の政治的・経済的立場を飛躍的に強化します。特にトリューニヒトは帝国政府内にも強いコネクションを持っていますから、帝国政府内に和平派を組織させることも可能でしょう。カール・ブラッケ民政尚書やマリーンドルフ親子などのような慎重派も存在するのですし。即効性はないでしょうが、こういったことが後々ヤンにとって有利なことに繋がるのです。
 あと、できれば同盟国内に自分達の手足として働くレジスタンスをいくつか結成させ、水面下で反帝国活動を行わせます。これはボリス・コーネフ辺りに担当させるのが適任でしょうか。

 そして移動要塞が完成し、全ての準備が整った時、いよいよ行動開始です。と言っても、いきなり同盟領内に進出してヤンの提唱する「共和革命戦略」とやらを行うわけではありません。まずは反対方向、すなわち帝国本土方面への侵攻を行うのです。
 当時の旧同盟領と帝国本土に配置されている戦力を検証してみると、実は圧倒的に旧同盟領に置かれている戦力の方が多いんですよね。当時はイゼルローン回廊帝国本土側出口にメックリンガー率いる1個艦隊、フェザーンにワーレン率いる1個艦隊しかそれぞれ配置されておらず、残りの諸艦隊はラインハルト親征の下、全て旧同盟領側に集結していました。ならばまずは移動要塞を使って、守りの薄い帝国本土側のメックリンガー艦隊を奇襲するのが筋というものです。移動要塞の存在が外部から完全に秘匿できれば、戦力的にも劣っているメックリンガー艦隊は最悪の形で機先を制され、いともあっさりと全滅を余儀なくされてしまうことでしょう。
 その後イゼルローン移動要塞は、そのままヴァルハラ星系・惑星オーディンへの侵攻を開始します。目的は帝国要人の確保、特にラインハルトの実姉であるアンネローゼ・フォン・グリューネワルト大公妃殿下を捕縛することです。そして、その戦略をこれみよがしに全銀河に向けて見せびらかすように行動するのです。
 当然ラインハルトを含めた帝国首脳部は驚愕し、特にラインハルトは激怒しながら、時間稼ぎのために外交交渉に赴いていたロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部を激しく詰問した挙句、怒りに任せて彼らを一方的に処刑してしまうことでしょう。完全に虚を突かれ、回廊内に閉じこもる敵を余裕たっぷりにゆっくりと料理するどころか、一転して帝国本土を敵に蹂躙されてしまう事態に陥り、しかも姉が人質に取られるかもしれない危機にまで直面する羽目になったラインハルトにしてみれば、ロムスキーらは自分達を陥れた最大の主犯格な上、彼ら以外に自分の怒りをぶつける相手がいないわけなのですから、周囲がいくら反対しようが、感情の赴くままにロムスキーを処刑する道を選ぶことでしょう。
 また、この移動要塞を駆使したヤンの行動が一般将兵達に与える動揺も、決して小さなものではありえないでしょう。絶対的な安全圏だと信じていたはずの、しかも自分達の家族も居住している帝国本土が、一転して敵の侵攻にさらされることになってしまうのですから。動揺するなと言う方が無理な話でしょう。そして彼らもまた、このような事態を招いた最大の元凶(と彼らの目に映る)ロムスキーらを処刑するようにラインハルトに進言することでしょう。かくして、ヤンを妨害する内なる邪魔者は全て一掃され、ヤンは名実共にイゼルローン陣営における最高指導者とのし上がることができます。そしてラインハルトは自己および将兵の感情のおもむくままに、ヤンが指揮するイゼルローン移動要塞の追撃を命じることになります。
 ここで地球教およびルビンスキーら旧フェザーン勢力の出番となります。このタイミングで彼らに、帝国政府に対するテロ行為を頻発させたり、銀英伝10巻に見られたような全銀河規模の経済攪乱や航路図消去といった手段を使わせたりすれば、帝国軍はイゼルローン移動要塞にかまってばかりもいられなくなり、深刻なジレンマに陥ってしまうことになります。特にこの条件では旧同盟領内に大規模な暴動が各地で発生する可能性も高いため、帝国軍は戦力の分散を余儀なくされることでしょう。ヤン側としては、各個撃破による勝利の可能性すらも出てくるわけです。
 一方、メックリンガー艦隊が殲滅され、まとまった戦力が存在しなくなった帝国本土では、余程の奇跡でも起こらない限り、微弱な抵抗を排しながら惑星オーディンへと到達したヤンによって、アンネローゼをはじめ、惑星オーディン内に存在する帝国要人がことごとく捕縛されてしまうという事態に陥ります。ここにきてヤンは、ラインハルトの最大の弱点をその手中に収めるに至るのです。
 そして、ある程度自軍の優勢を確保できる段階に至ったところで、地球教を煽ってラインハルト暗殺に走らせます。煽り文句としては、銀英伝10巻でオーベルシュタインが使った「地球教のテロに苦しんでいるラインハルトが、地球教の信仰対象である地球そのものを破壊しようと企んでいる」というのが最も効果的でしょう。このラインハルト暗殺テロは成功しても失敗してもかまいません。成功すれば帝国は四分五裂の状態に陥る上、意気揚々と戻ってきた地球教をこちら側の手で一網打尽にしてしまえば「ラインハルトの仇を自分達が討った」という宣伝にも使用できますし、失敗しても地球教だけが一方的に帝国側に殲滅されるだけです。ヤン側が損をすることなどありえないでしょう。
 後は「イゼルローン移動要塞の無限の自給自足能力」および「ラインハルトの弱点であるアンネローゼ」という「2つの切り札」を巧みに使いながら全銀河をひたすら長躯しつつ、各地に分散配置された帝国軍を各個撃破し、帝国を政治的にも経済的にも軍事的にも徹底的にボロボロの状態にした上で、帝国に対して自分達に有利な和平を申し出、和平か破滅かの二者択一を帝国側に強要するだけです。

 どうです、移動要塞を駆使した私の戦略構想は? まあ実際にはここまで上手く行くかどうかは分かりませんし、賭けの要素が全くないわけでもありませんけど、すくなくとも銀英伝本編における「住民を残したままエル・ファシルを無防備状態にした上で、イゼルローン回廊で終結の当てがない防衛戦を、しかもイゼルローン要塞の主砲と外壁に頼ることなく延々と展開し(回廊の戦いでイゼルローン要塞は一度たりとも戦闘に参加しておりません)、最終的にラインハルトの私的感情にすがる形で和を請う」などという、勝算皆無かつあまりに絶望的なヤンの構想よりははるかにマシなシロモノでしょう。しかも上記における私が立てた戦略構想は、全てあの当時のヤンが知りえた情報を基にして立案したものですから、これを当時のヤンが行おうと思えば決して実現不可能なシナリオではなかったのです。
 にもかかわらず、実際に銀英伝本編でヤンが採用した戦略はあんな愚劣なシロモノでしかなく、しかもそれでさえ数々の信じられないほどの僥倖に恵まれたにもかかわらず、最終的にヤンは地球教に暗殺されてしまったのですから、本当に救いようもないほどにバカな話としか言いようがないではありませんか。



>Zeroさん
<エンジン基数が12倍だからといってエネルギー消費量が12倍とは
限らないと思います。同じエンジンでもパワーの入れ具合によって
燃費が変わります。恐らく、要塞移動時にはエンジンに常に高負荷を
強いると思われますし、燃費も半端なモノではないと思います。
この際、エンジン基数はエンジンへの負荷を分散する意味合いしか
無いと思います。どうせ、同じエネルギータンクからエネルギーを
貰ってるでしょうし。数は多いほどいいが、連動させる命題と天秤に
掛けて必要最少数を設定したといった所ではないでしょうか?>
<更に、要塞のエネルギー備蓄量や、使用エネルギーの再蓄積時間
が明確でないので何とも言えないところですけどね。
例えば、僕が考えるレベルでエネルギーが必要でも、既に要塞移動用
のエネルギー消費量の百倍以上の備蓄量があるとか、消費量の再蓄積
が一日で可能とかだと一気に問題解消ですが・・・>

 銀英伝世界の艦船、特に軍艦が宇宙を航行する際に、燃費の問題がそれほど深刻な問題となりえるのでしょうか?
 銀英伝の記述の中には、艦船の航続距離に関する記述が全くと言って良いほど存在しない上、同盟の帝国領侵攻作戦時やラインハルトの「神々の黄昏」作戦時でさえ、食糧や弾薬に関する問題はあっても、遠征の際にもっとも重要となるはずの艦船の航続距離と燃費関連の問題については全く議論された形跡が存在しないのですが。第2次世界大戦時の真珠湾攻撃の際には、艦隊がハワイまで行くために要する燃料と航続距離の問題がかなり深刻に議論されていたみたいなのですけどね。
 これから考えると、銀英伝世界における艦船の航続距離は物凄く長大な距離を誇っているのではないでしょうか? すくなくとも、1回の燃料補給でオーディン−ハイネセン間を優に一往復以上するくらいは簡単にできるだけの航続距離は存在してそうです。これならば、要塞に設置するワープエンジン&通常航行用エンジンもそれなりに長大な航続距離を保つことはできるでしょうし、2万隻の艦艇を全て養う機能を持つイゼルローン要塞の自給自足能力があれば、移動要塞推進のために必要な燃料の供給も、要塞にそれほど深刻な付加を与えるものとはならないでしょう。
 したがって、移動要塞に使われるエンジンの燃費の問題はあまり深刻なものにはならないと私は考えますが、いかがでしょうか。

 あと余談ですが、

<すみません。僕の中で、オーディン、ガイエスブルグ、イゼルローンの
位置関係が把握できてないので何とも言えません。
只、ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している
でしょうし、燃費は凄かろうなぁとは思います。>

 銀英伝諸惑星の位置関係に関しては、アニメ版やゲーム版の銀英伝や「エンサイクロペディア銀河英雄伝説」などに簡単な銀河系略図が載っているので、それを参考にすれば簡単に理解できるのではないでしょうか。ちなみにオーディン−ガイエスブルク間は通常20日行程の距離です。
 それと、銀英伝3巻の要塞対要塞の戦いが行われていた当時、ケンプとミュラーはヤンがイゼルローン要塞に不在であったことを知りませんでした。ミュラーは捕虜の尋問からその情報を握り、一度ヤンを捕縛しようと罠を構築したことがあったのですが、ケンプから「そんなものはヤンの奇策に決まっているだろう。卿の戦力は予備兵力として極めて重要なのだから、無駄なことをせずにさっさと麾下戦力を所定の配置に戻せ」と命令され、せっかく仕掛けた罠を自ら解除してしまっています。
 したがって、「ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している」というのはありえない話です。



>陵雲さん
<実際、これだけ未来の話なら「光年単位の観測技術」は無い方が不自然だと思います。>
<ちなみにヴェスターラントへの高速先行艇の派遣についてですが、
目的が情報収集なのですから、より詳しい情報を得ようとするなら直接現場に行くに決まっています。
現代の戦場カメラマンだって命の危険を冒してでも自分で戦場まで行くのですから。
第一、衛星軌道まで近付かなければ地表の様子が判らないと言うのなら、
「この時代の観測能力は現代のスパイ衛星よりもよりも低い」
という奇怪な結論に達してしまいます。>

 残念ですが、陵雲さんが仰っている「奇怪な結論」なるシロモノはきちんと銀英伝の作品設定中に存在しています。前の投稿でも引用ページを付記しておいたのですけど、これがその証拠ですよ↓

銀英伝2巻 P174上段〜P175上段
<ヴェスターラントの惨劇は、超光速通信の映像によって帝国全土に流された。それは各地に怒りと動揺を生んだ。民衆は加速度的に、大貴族による旧体制から離れていった。貴族たちも、ブラウンシュヴァイク公に未来なし、との見かたを強めていった。
辺境星区を完全に平定したキルヒアイスは、ラインハルトと合流すべく、ガイエスブルクに向かって艦隊を進めていた。彼もその映像を見て、大貴族に対する怒りをあらたにしたが、ある日、ワーレンの艦隊が一隻のシャトルをとらえた。それにはひとりの兵士が乗っていたが、ブラウンシュヴァイク公の部下であったその兵士は、ヴェスターラントの核攻撃に参加させられたものの、途中で逃亡したという。それはよいが、発言の中に聞き捨てならぬものがあり、キルヒアイスは耳をうたがって問い返した。
「何度でも言いますよ。惑星ヴェスターラントで貴族連合軍が二〇〇万人の住民を虐殺するという情報は、ローエングラム候の耳にとどいていた。候はそれを無視し、住民を見殺しにしたのです。政治的な宣伝のためにね」
「それは情報をお信じにならなかったからだろう。候が故意にヴェスターラントの住民を見殺しにしたという証拠でもあるのか」
「証拠?」
 兵士は冷笑して言う――あのような映像の存在自体が証拠ではないか。偶然に撮影したとでもいうのか。あれは成層圏あたりの近距離から地上を映したものだ。>

 そして銀英伝世界には、光年単位の観測技術どころか、たかだか500〜1000光秒先の敵艦隊の詳細を観測する能力すら満足に存在しないことも、これまたバーミリオン会戦をはじめとする銀英伝中の描写の中に存在しているのです。いくら新規に作成したSF理論だの索敵概念だのを作品擁護のために導入したところで、作中における世界設定や作品描写の存在と整合性が取れなければ、たとえ理論的・実際的にどれほど正しかろうが、それは作品批判論としてはともかく、作品擁護論としては全く成立しえないシロモノでしかないでしょう。
 作品擁護の観点から言えば、理論的・実際的に正しい完全なる理論よりも、作品中の矛盾に満ちた設定の方をこそ、何よりも最優先に尊重しなければなりません。だから作品擁護論というものは非常に難しいものなのです。


<移動要塞への改造について。
要塞を動かすほどの巨大なエンジンをどこで造るのか?
という問題があります。
ガイエスブルグ要塞の改造の時には、原作3巻によると8万9千人の工兵が取り付け作業に当たったとありますが、これはあくまで取り付け作業を行っていたのであって、推進エンジンとワープエンジンを直接要塞の上で組み立てた訳ではありません。
という事はエンジンの開発は別の場所で行い、ガイエスブルグ要塞まで運んできて、そこで取り付けたと思われますが、
イゼルローン要塞の場合は推進エンジンとワープエンジン合わせて24基の巨大エンジンを全て「要塞内」の、しかも「整備工場」で開発しなければなりません。
そもそも、これだけの物を造ろうとすれば当然大量の資材が必要になりますが、それをどこから調達するのでしょうか?そして資材を加工するための工場は?
いくらなんでも、これらを全て要塞内でまかなえる位なら大型戦艦の建造も出来るでしょう。
おまけにヤン達は殆ど孤立無縁の状態ですから外から買うことも出来ません。>

 「エンジンの開発」って、私はこのスレッドで「あの移動要塞に設置されているワープエンジン&通常航行用エンジンは別に特注品であるわけではない」と何度も主張していたはずなのですが。
 「移動要塞技術」におけるシャフトの説明がそれを立証しています↓

銀英伝3巻 P45上段
<――イゼルローンに対抗しうる要塞を帝国内に求めるなら、それは昨年の内戦に貴族連合軍の本拠地となった「禿鷹の城(ガイエスブルク)」要塞である。放置されたままのそれを修復し、跳躍(ワープ)と通常航行用のエンジンをとりつけ、一万光年を航行してイゼルローンに要塞同士の決戦を強いるのだ。現在のワープ・エンジンの出力では、巨大な要塞を航行させることができないので、一ダースのエンジンを輪状にとりつけ、それを同時作動させることになる。技術上の問題はなく、あとは指揮官の統率力と作戦実施能力の如何による……。>

 このシャフトが述べていた「現在のワープ・エンジン」なるシロモノが、当時最大の出力を誇っていたであろう「巨大戦艦」のワープエンジンである事は自明の理と言うものでしょう。当時の銀英伝世界にそれ以上の大出力を誇るエンジンは存在しないでしょうし。通常航行用エンジンも同様でしょう。
 ということは、麾下艦隊の中にある巨大戦艦を12隻ばかり解体してワープエンジンと通常航行用エンジンを取り出し、それを移動要塞向けに整備してしまえば、簡単に移動要塞改造のために必要なエンジンを調達することができるでしょう。また、かつては最前線でもあったイゼルローン回廊同盟領出口に散在している旧同盟軍基地や、あるいはエル・ファシルそのものに巨大戦艦用エンジンの在庫があれば、それを新たに整備して使用するという手もあります。
 また資材に関しても、元々エル・ファシルやイゼルローン要塞に貯蔵されているものを使うことができるでしょうし、エル・ファシルからイゼルローン回廊にかけての星系には、そこらに転がっている小惑星や隕石に資材に活用できそうな天然資源などたくさん存在するでしょう。そして資源さえあれば、それを加工する技術もイゼルローン要塞に頼ることができるのではないでしょうか。イゼルローン要塞内の工場には武器弾薬を自給自足する能力まで存在するようですし、整備や加工に必要な道具もことごとく揃っていることでしょうから。
 これもそれほど大きな問題とはなりえないと思いますが。


No. 1819
Re:終わりレス
平松重之 2002/04/30 13:07
 冒険風ライダーさん

<毎度の事ながら、私が平松さんの質問や疑問に回答するたびに、平松さんの側からより細分化された新たな疑問がほとんど永久機関のごとく飛び出してくるという、常に無限の回答を強いられる私としては非常にウンザリせざるをえないいつものパターンに陥っていますので、>

 うーむ、冒険風ライダーさんの提唱なさった移動要塞戦略は軍事面のみならず、当時の情勢や政治・経済・技術・人的資源など、様々な角度から検証しないとその実現の可能性や有用性について論じるのは難しいので、ある程度の疑問の細分化はやむを得ない所なんですよね。まあ、だからと言ってこのまま永久に続ける訳にも確かにいきませんし、「移動要塞戦略の実現には解決すべき命題が山積している」という事がある程度示せただけでも充分に意義があったと思いますので、こちらからの問題提起はここまでにさせて頂きます。
 冒険風ライダーさんの示されたシナリオは、実際にこれほどうまくいくとは確かに思えませんが、(例えば慎重で冷静なメックリンガーが率いる艦隊がそう簡単に殲滅出来るとは思えないとか、オーディンに憲兵総監・帝都防衛司令官であるケスラーがいる以上、アンネローゼなどの要人を脱出させる為に様々な手を打つだろう、など)中々興味深いですね。
 それとまた細かい事ですが、フェザーンにはワーレン艦隊だけでなく新しくフェザーン方面軍司令官となったルッツの艦隊もいますので、あの当時にフェザーンに存在する艦隊戦力は正確には二個艦隊です。


No. 1820
Re:燃費関連
Zero 2002/04/30 22:10
マル・アデッタ星域会戦の際、「エネルギーが尽きた」という
表現があります。

会戦自体は確か1日で集結しました。
つまり、無補給であれば艦船に搭載されるエネルギーは高々
それだけの内に使い切れるといえるでしょう。
勿論、この際、エネルギーは移動用の他に攻撃用にも使われ
ると思いますが、だからといって何ヶ月もの航行に耐えうる
エネルギー変換効率のよいエンジンを作れる技術があるのに、
攻撃用に使用すれば一日でなくなるというのはあまりにも
アンバランスだと思います。

普通に考えて、エネルギー補給は必要で、通常艦隊には補給艦
が随行し、その運用が確立しているから問題がある場合以外に
特に記述はしないし、作品中にその「問題がある自体」が発生
しなかっただけと考えた方が自然ではないですか?
戦艦の移動エネルギーは、食料・弾薬などと違って作品表面に
出しづらいから、あえて表面にださなかっただけでしょう。

「記述がない」理由は、以下のパターンがあると思います。
 「燃費問題に対して、技術的解決がなされている場合」
 「運用方法がある場合(随時補給出来る体制が完備されている)」
車やバイクが出てくるのに、燃料の補給シーンがない小説や
マンガはいくらでもあります。それは、必ずしも燃費問題が
解消した世界の話ではないと思います。
両者を比較して前者を取ったというのであれば、それは考え方
の違いとして解釈しますが、記述がないからといって無条件に
燃費について問題視しないといわれるのはちょっと乱暴では?


それに、僕が気にしているのは「軍艦が宇宙を航行する際の燃費」
ではなく軍艦に比して何万倍という質量を有しているであろう
「移動要塞の燃費」です。
また、再三書いていることですが、「エネルギーの再蓄積」の
問題です。使ったものは貯め直さないといけません。
仮に冒険風ライダーさんの意見を加味して、移動だけなら何ヶ月
も無補給でOK、攻撃時に使用すれば一日でも無くなりうると仮定
すれば、攻撃時のエネルギー消費率は通常航行の50倍程は掛かる
事になります。それだけをとっても、エネルギーの消費量はバカ
になりません。
要塞を移動させるだけならともかく、攻撃するエネルギーが必要
になるとすれば、どれだけのエネルギーが必要になるのでしょうか?
艦船と要塞の質量比を考えてもその燃費比率は半端では無いでしょう。
更に言うなら、僕は上記くらいのレベルで済むと考えていません。
それを短時間に再蓄積できるモノでしょうか?
この問題抜きにして「要塞移動」はあり得ないと思います。
(この辺りが冒険風ライダーさんと僕の意見の差の開きが激しい
部分の最たる所でしょう)

シェーンコップが「開いた口がふさがらない」とまで言ったのは
何故だと思いますか?この言い様は皮肉的なニュアンスたっぷり
ですよね?
エネルギー問題が現代と同じ程度の認識があるからこそ、ばかげ
たエネルギー大量消費の産物である要塞移動をそう表したのでは
と思うのですが。


と、まぁここまで書きましたが、やはり根本部分での開きがあり
すぎて平行線を辿ってあまり進展を見られないようなので僕もこ
の辺りで撤退する事にします。

只、これも「移動要塞戦略の実現の為に解決すべき命題」の一つ
ということで。


あ、後
>「ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している」
>というのはありえない話です。

これは、同盟外交官とフェザーンのケッセルリンクが話していたの
を何か勘違いしてました。
フェザーンは知っていたが、帝国は知らなかったんですね。


No. 1822
Re:Re1808/1809/1812:反銀英伝・移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ
はねだみずき 2002/05/01 11:45
わりこみ失礼します。ちょっと思うところがあるので書いてみました。

移動要塞の弱点

移動要塞は確かに戦術的には無敵レベルの兵器でしょうが、所詮「点」(一星系)を制圧できる能力しかありません。「無限の補給能力」もその恩恵を受ける艦隊兵力があってこそ生きる要素でしょうが、ヤン側にはその艦隊兵力が欠けています。
そして、艦隊が無ければ幾つもの「点」とそれを繋ぐ「線」(補給線)を維持し、面(領土)を制圧する事ができません。
と言う事は、イゼルローン要塞がいるうちはその星系を完全支配下におけるでしょうが、要塞がいなくなれば帝国軍はすぐにその星系を奪還できる訳です。一時期一つの星系を確保しうるくらいの能力しかない兵器で、帝国軍が有する圧倒的優位を覆せると考えるのは楽観的過ぎではないでしょうか?
それに、イゼルローン要塞が無敵を誇ったのはイゼルローン回廊と言う特異な地形が極めて防御側有利だった事と、「破壊より占領」が重視された政略的要求からではなかったですか?回廊外に出れば地形的優位を自ら捨てる事になる上、この時点ではイゼルローンを破壊したくないと言う制約は無くなっているはずですから、どこかの星系に現れたところを大軍で包囲し、四方八方から小惑星爆弾でも投げつければイゼルローンを粉砕する事は容易だと考えますが。


移動要塞との戦い方

逆説的な話ですが…戦わなければよろしい。要塞が来たらすぐに逃げるのです。戦略的要地が取られれば痛手かもしれませんが、致命傷を負うほどの事はないでしょう。要塞さえいなくなればすぐに取り返せるんだし。
そうやって相手の攻撃をすかしながら、せっせと小惑星爆弾や無人特攻艦などの「攻城兵器」を整えて、十分な準備が出来次第、要塞の現在地に攻撃を仕掛けるのです。


アンネローゼ人質作戦

アンネローゼが人質にされて致命傷を負うのは「ラインハルト」であって「帝国」ではないと思います。仮にアンネローゼが人質にされた場合、ラインハルトには3つの選択肢があります。

(1):アンネローゼを見捨てる
(2):アンネローゼを救出するために特殊作戦を実施する
(3):アンネローゼを助けるためにヤンに従う

(1)や(2)の成功はその時点でヤンが最大の切り札を失う事を意味し、彼の破滅に繋がります。
(3)の場合、ラインハルトは失脚を免れないでしょう。「銀河統一の大義」を姉と引き換えにするような坊やについていく人間はキルヒアイスくらいのものでしょうし。
ただ、その後に登場する指導者(双璧のどちらか?)は人質を取るような「テロリスト」であるヤンに対して徹底的な強硬策でのぞむでしょうから、移動要塞以外に頼るべき物の無いヤンの最終的な敗北(しかも原作より悲惨な)は免れないかと思います。


移動要塞の一番良い使い方

本当に移動要塞が無限に維持していけるものなら、一番良いのはどこか帝国の手の及ばないよその銀河系に向かって新たな「長征○万光年」に出る事だと思います。
ヤンの目的は「共和政治の芽を残す」事なんですから、負けて共和政治を絶滅させる可能性のある帝国への抗戦よりはむしろこっちの方が確実ではないかと。


No. 1823
Re:終わりと苦言
Merkatz 2002/05/01 21:57
>技術問題

もうはっきり言って無駄ですね。
「応用技術だから簡単だ」の域から一歩も出ないのですから、こちらが如何に事細かに反論したって無駄です。
(要はそれだけ穴があるから反論されているのだが、それを「より細分化された新たな疑問がほとんど永久機関のごとく飛び出してくるという、常に無限の回答を強いられる」などと被害妄想を抱くのだから意味が無い)
技術系でなくても、構想と実現の差は分かろうというものですが、冒険風ライダーさんにかかると、「応用技術だから簡単」となって、すべては短期間に劇的に成功するようです。
(工事指揮者が軍人だから技術的に大したことないというのも珍説だが)

>工事秘匿の問題

>これは無理ですよ。こんな論法で「数百光年単位の遠距離観測が可能」などという結論を出してしまったら

私がいつ「数百光年単位の遠距離観測が可能」などと言いましたか?
それは冒険風ライダーさんの誤読です。
私が一言も提示していない理論を勝手に作り出して、論破した気になってもらっては迷惑です。
私が再三繰り返しているのは偵察衛星を用いた観測です。
過去ログをよく読み返してください。
「数百光年単位の遠距離観測」なんて何処にも書いてありませんよ。

(観測の)イメージとしてはNASAのボイジャーとかああいうのを思い浮かべてくれればよろしい。
偵察衛星を飛ばしていることは、本編の記述にあることですので、
おそらく定期的に偵察衛星を飛ばすことは、日常の情報収集作業だったと思われます。
哨戒部隊が偵察衛星を放出していたかもしれません。

それからやはり索敵と観測の違いを理解していませんね。
もう一度言いましょう。
イージス艦のレーダーの索敵範囲を事細かに述べて、「この『観測装置』ではイラクの化学兵器工場を撮影することは不可能である」など結論付けても、
それはスパイ衛星の観測性能を否定するものにはなりませんよ。

>枝葉末節

>そして、移動要塞技術を使うことなく「要塞に要塞を当たらせる」というのであれば、
>必然的に要塞の主砲射程圏内に要塞を建造するという結論に到達せざるをえないはずでしょう。

私はそれが冒険風ライダーさんの勝手な思い込みだと言っているのですが。
なぜなら「要塞の主砲射程圏内に要塞を建造するという結論」に「必然的に」結びつく言葉が無いからですよ。
いったい何処をどう読んだら、あそこの部分からそのような考えが出てくるのか、まったく理解できません。
移動要塞の話が最後だろうが何だろうが、ラインハルトとシャフトのやり取りからは「前面」を決定付ける言葉は一切ありません。
そして前に冒険風ライダーさんが根拠にしていた

>シャフトは「要塞の火力と装甲をもって要塞に当たらせる」と言っているのですからなおさらのことです。

が、ケンプ以下に説明する時に出た台詞だと私は指摘して、根拠が間違いだと言ったのです。
況や「後半の文章」などまるでお話になりません。

ところで付け城ってご存知ですか?
敵の城を攻略する際、敵城の「前面」に拠点を築いて包囲するのです。
敵の城にくっ付けて作るから「付け」城というわけです。
さてこの場合、付け城は敵城の鉄砲などの射程内に作るのですかね?

ラインハルトが水準以上の軍事知識の持ち主である以上、要塞前面に拠点を築くことが「要塞の主砲射程圏内に要塞を建造する」という非常識で阿呆極まりない結論になるはずが無いでしょう。

よって一切の撤回はいたしません。

>いくら何でもあの反論は引用した文章全体の流れを読まなさすぎです。

繰り返しますが牽強付会も甚だしいです。


・終わりに

もうこの議論はこれにてお終い。
最後に言わせてもらいますが、その人を見下して馬鹿にする議論のやり方は反省してほしいですね。
余りに頭にきたんで、こちらもそれ相応の返礼で応えましたが、こんなのは好みじゃないですね。
奇しくも皆さん「これで終わり」とおっしゃってますけど、みんな呆れているんですよ。
正直、冒険風ライダーさんと議論するのは疲れるんですよ。
議論の中身じゃなくて、いちいち人を馬鹿にした言い方をそこかしこにして、そこに腹が立つんだけど、まあそれは議論の本筋とは無関係のことだから、できるだけ無視して本筋に集中しようと、こちらは努力するわけです。
で、その「本筋に集中する努力」で精根尽き果ててしまう。
これだけ人を馬鹿にする奴に、なんで真面目に付き合わなければならないのかと。
やればやるほど建設的な議論をしようという気が削がれてしまう。
もちろん、冒険風ライダーさんが意図的に人を馬鹿にしているということは無いでしょうが、
相手をする方はたまったものではない。
で、精根尽き果てて退いたら「俺が正しかったからだ」では何だかなあですよ。
もちろん具体的に言えとおっしゃるなら、いちいち例を引いて説明できますけど、さすがにそれは情の無いことだと思うのでやりません。
一度じっくりとご自分の文章を読み返して見られてはいかがですか?
自分がそういう言い方をされて腹が立たないかどうか。
お互いに気持ちよく建設的な議論を今後も続けたいので、あえて苦言を呈しました。
ご理解ください。


No. 1827
Re:Re1808/1809/1812:反銀英伝・移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ
tina 2002/05/02 00:04
時たまいますよね、こういう人。
「俺がもし誰々だったら関が原であんな馬鹿な事はしなかったね」みたいな感じで。
大抵の場合、よくもまぁifの話でこんなに自信がもてるなぁ、って思うことになるんですけど。

皆さん「終わりにしよう」とおっしゃってますが、私はあえてこの文章だけは突っ込みたいですね。
ツッコミ欲にかられてしまって(笑)

はっきりいってしまえば、机上の空論ですね。
このシナリオが九割方かってな推測で進んでいると感じるのは気のせいでしょうか?
きっとアンドリュー・フォークもこんな感じだったんでしょうね。
「おそれをなしてなす術を知らないでしょう」というフォークの台詞と、「いとも簡単に全滅するでしょう」という冒険風ライダーさんの文章に違いが見当たらないんですが。

<まず銀英伝7巻のイゼルローン要塞再奪取後、ヤンが最初に取るべき戦略は、イゼルローンを移動要塞に改造するための大規模工事実施と、エル・ファシル住民のイゼルローン要塞強制移住です。前者は今まで述べてきたように、イゼルローン回廊全域に多数の哨戒部隊を配置して完全立入禁止宙域とし、外部からの干渉を完全に排除できるようにします。そして後者は「来るべき帝国軍の来襲に備え、全国民を安全なイゼルローン要塞内に退避させる」という理由を公式見解として外部に説明します。
>  これは別に不自然な理由ではありません。もともとあの当時のヤンの戦力では、銀英伝7巻P174でヒルダがラインハルトに進言しているように「イゼルローン要塞のみを防御するのにも不足しがちな状態」なのですから、この処置は本来ならば移動要塞の有無にかかわらず行われていなければならないものです。そしてこの大量移住措置自体が、帝国側が元々抱いているであろう「ヤンはイゼルローン要塞に戦力を集中し、籠城作戦を展開するつもりだろう」という憶測をさらに強める効果をも産み落とし、真の目的を隠匿するための手段として利用することができるという側面も併せ持っています。ただひたすら「ヤンと戦争がしたい」という妄念に取り憑かれていた当時のラインハルトなどは、ヤンの真の意図に全く気づくことなく「ヤン・ウェンリーも戦いを欲するか」などという見当ハズレな独語をのたまってくれることでしょう。>

この辺全くもって今までの議論が生かされていない気がするんですが。
さんざん皆さん技術面に対して異論を唱えてらっしゃったのに、結局出た結論は「自分が正しい、工事は簡単だ」だけなのでしょうか?
「外部からの干渉を完全に排除する」なんて軽く言ってますが、これもやっぱり「簡単」なんでしょうか?
「移動要塞の有無に関わらずやっておくべき処置」というのも違うと思います。
っていうか「回廊内だけに閉じこまらないように、エル・ファシル星系という回廊の出口をおさえて解放区とする」というのが共和革命戦略ですよね。
やっぱり移住させなかったのには意味があります。
これに対する反論もおありでしょうが、数度にわたってこういった発言をしているヤン艦隊の面々が、「エル・ファシルの住民を強制移住」なんてさせたら怪しまれない方が変なのでは。
ここも推測で「怪しまれない、気付かれない」とかってに決め付けていますが、「気付かれた場合」はどうするのでしょう。
「ラインハルトがヤンの真の意図に気付かない」などというのは、予測というよりたちの悪い願望だと思います。

<そして要塞の建造を急がせる一方で、水面下の謀略活動も積極的に行います。表向きにはロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部をひたすら前面に押し立てて帝国側と時間稼ぎの交渉を行わせつつ、裏では地球教・フェザーン勢力と連絡を取り合い、秘密同盟を締結するのです。
  (中略)
>  あと、できれば同盟国内に自分達の手足として働くレジスタンスをいくつか結成させ、水面下で反帝国活動を行わせます。これはボリス・コーネフ辺りに担当させるのが適任でしょうか。>

これもどなたかが反論していらっしゃったような気が・・・。
これまた「地球教は脅迫に素直に応じる」という推測、願望ですか。
というよりそれ以前に、「フェザーンの陰謀勢力や地球教と手を組んでまでして勝つ」という事になんの意味があるのでしょう。
冒険風ライダーさんの戦略によれば、移動要塞があれば帝国にかてるわけでしょう?
わざわざ後に攻撃されるようなウイークポイントを作る必要がないと思いますが。
特に地球教など、サイオキシン麻薬づけの狂信者達と手を組むなんて、そんな策を使ったらそれこそ「民衆が納得するはずない」ですよ。
ヤンは、「どんな手を使っても勝ちたいだけ」ではないはずです。
だからこそ同盟を捨てたわけですから。

<そして移動要塞が完成し、全ての準備が整った時、いよいよ行動開始です。と言っても、いきなり同盟領内に進出してヤンの提唱する「共和革命戦略」とやらを行うわけではありません。まずは反対方向、すなわち帝国本土方面への侵攻を行うのです。
>  当時の旧同盟領と帝国本土に配置されている戦力を検証してみると、実は圧倒的に旧同盟領に置かれている戦力の方が多いんですよね。当時はイゼルローン回廊帝国本土側出口にメックリンガー率いる1個艦隊、フェザーンにワーレン率いる1個艦隊しかそれぞれ配置されておらず、残りの諸艦隊はラインハルト親征の下、全て旧同盟領側に集結していました。ならばまずは移動要塞を使って、守りの薄い帝国本土側のメックリンガー艦隊を奇襲するのが筋というものです。移動要塞の存在が外部から完全に秘匿できれば、戦力的にも劣っているメックリンガー艦隊は最悪の形で機先を制され、いともあっさりと全滅を余儀なくされてしまうことでしょう。
>  その後イゼルローン移動要塞は、そのままヴァルハラ星系・惑星オーディンへの侵攻を開始します。目的は帝国要人の確保、特にラインハルトの実姉であるアンネローゼ・フォン・グリューネワルト大公妃殿下を捕縛することです。そして、その戦略をこれみよがしに全銀河に向けて見せびらかすように行動するのです。>

メックリンガー艦隊をいとも簡単に全滅させるとはすごい。
それにしてもアンネローゼを人質に取るというのは、成功すれば確かに有効な戦略ですね。成功すれば。
それよりも私は、ヤンがオーディンに向かっていると聞いたラインハルトが逆上して、「要塞破壊」を行う可能性のほうがよっぽど高い気がしますが。
「移動要塞」がいとも簡単にできるわけですから、「小惑星爆弾」なんてもうとても簡単ですよね。
しかもまとまった兵力がいるわけではない。
イゼルローン回廊にとどまっていれば、ラインハルトの性格・目的上発動する事がなかった「要塞破壊」が実行にうつるわけです。
これの有効性については冒険風ライダーさんも語っておられます。
そして、イゼルローン要塞は迫りくる無数の小惑星によって破壊され、ヤン艦隊は根拠地と兵力の多数を失い、エル・ファシルの政府も解体され、かくしてめでたく民主主義の芽は完全に消えてなくなるわけです。
アンネローゼ云々以前に、移動要塞を実現するとラインハルトが「要塞破壊」を行ってくる確率が飛躍的に増えるという事です。
他にも、要塞のワープなどはかなり危険性が高い、という感じで銀英伝にも描写されています。
帝国は失敗しても大打撃ではありませんでしたが、ヤンは失敗したらもう打撃どころか一貫の終わりです。
これほど民主主義の芽が消えてなくなる危険性も高い賭けのような戦略を、あえてヤンがするとは思えません。
技術や政治面など、一つ一つの点に関しては確かに移動要塞を実現できる可能性もありますが、これだけ色々な点で危険性が集まったら、「移動要塞戦略を取らない」立派な根拠になるのではないですか?

<当然ラインハルトを含めた帝国首脳部は驚愕し、特にラインハルトは激怒しながら、時間稼ぎのために外交交渉に赴いていたロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部を激しく詰問した挙句、怒りに任せて彼らを一方的に処刑してしまうことでしょう。完全に虚を突かれ、回廊内に閉じこもる敵を余裕たっぷりにゆっくりと料理するどころか、一転して帝国本土を敵に蹂躙されてしまう事態に陥り、しかも姉が人質に取られるかもしれない危機にまで直面する羽目になったラインハルトにしてみれば、ロムスキーらは自分達を陥れた最大の主犯格な上、彼ら以外に自分の怒りをぶつける相手がいないわけなのですから、周囲がいくら反対しようが、感情の赴くままにロムスキーを処刑する道を選ぶことでしょう。
  (中略)
>  後は「イゼルローン移動要塞の無限の自給自足能力」および「ラインハルトの弱点であるアンネローゼ」という「2つの切り札」を巧みに使いながら全銀河をひたすら長躯しつつ、各地に分散配置された帝国軍を各個撃破し、帝国を政治的にも経済的にも軍事的にも徹底的にボロボロの状態にした上で、帝国に対して自分達に有利な和平を申し出、和平か破滅かの二者択一を帝国側に強要するだけです。>

ここからはもうあまりに推測や願望主体で論が進んでいるため、まともに反論する気さえ起こりません。
なんというか、うまくいったらいいですね、という感じです。

<どうです、移動要塞を駆使した私の戦略構想は?>

なんか本当に口調がフォークみたい(笑)

<まあ実際にはここまで上手く行くかどうかは分かりませんし、賭けの要素が全くないわけでもありませんけど>

ってか九割方賭けですね。

<すくなくとも銀英伝本編における「住民を残したままエル・ファシルを無防備状態にした上で、イゼルローン回廊で終結の当てがない防衛戦を、しかもイゼルローン要塞の主砲と外壁に頼ることなく延々と展開し(回廊の戦いでイゼルローン要塞は一度たりとも戦闘に参加しておりません)、最終的にラインハルトの私的感情にすがる形で和を請う」などという、勝算皆無かつあまりに絶望的なヤンの構想よりははるかにマシなシロモノでしょう。>

確かに「成功すれば」はるかにマシでしょうね。
ヤンの構想が絶望的な面をもっていることは認めますが、それでもなお「よりまし」だったのではないでしょうか?

<しかも上記における私が立てた戦略構想は、全てあの当時のヤンが知りえた情報を基にして立案したものですから、これを当時のヤンが行おうと思えば決して実現不可能なシナリオではなかったのです。
>  にもかかわらず、実際に銀英伝本編でヤンが採用した戦略はあんな愚劣なシロモノでしかなく、しかもそれでさえ数々の信じられないほどの僥倖に恵まれたにもかかわらず、最終的にヤンは地球教に暗殺されてしまったのですから、本当に救いようもないほどにバカな話としか言いようがないではありませんか。>

最後に、冒険風ライダーさんにある人物の言葉をお送りいたします。
うろ覚えですが(笑)

「右か左か、というのはナルサス流ではありません。右へ行ったらどうなる、左へいったらどうなるという所まで考えて、戦略をねるのです」

あまりご自分の定規だけで全てが考えられると思われないほうがよろしいのでは?


No. 1828
Re1820/1822:燃料問題と反銀英伝
冒険風ライダー 2002/05/02 01:56
>Zeroさん
<マル・アデッタ星域会戦の際、「エネルギーが尽きた」という
表現があります。
会戦自体は確か1日で集結しました。
つまり、無補給であれば艦船に搭載されるエネルギーは高々
それだけの内に使い切れるといえるでしょう。
勿論、この際、エネルギーは移動用の他に攻撃用にも使われ
ると思いますが、だからといって何ヶ月もの航行に耐えうる
エネルギー変換効率のよいエンジンを作れる技術があるのに、
攻撃用に使用すれば一日でなくなるというのはあまりにも
アンバランスだと思います。>

 「艦船に搭載されるエネルギー」が色々とごちゃ混ぜになってはいませんか? 宇宙航行に必要な推進機関に必要な燃料の問題と、艦船の攻撃能力はそれぞれ別個に扱うべき問題でしょう。
 あの戦いで同盟軍が「エネルギーをつかいはたした」(銀英伝7巻 P152)と書かれているのは、艦船の燃料が力尽きたわけではなく、帝国軍に対して数的劣勢を抱えていた同盟軍の戦線が伸びきってしまい、いわゆる「攻勢終末点」に達してしまったことを比喩的に表現したものでしょう。これは前線が著しく拡大しすぎて前線の維持が困難となったり、艦船を動かしている将兵の疲労度が著しく蓄積されたり、武器弾薬が欠乏し始めたりとかいった現象を指すのです。この類の表現であれば、バーミリオン会戦や回廊の戦いにも同じような描写があります。
 で、肝心の燃料の問題はと言うと、その「エネルギーが力尽きた」はずの同盟軍残存艦船が脱出の道を探っていたり、ビュコックの旗艦を中心に執拗な抗戦を続けて味方の脱出を援護したりしているわけですから、この状況に至っても艦船の燃料は全然力尽きてなどいないわけです。もし本当に艦船の燃料が力尽きていたならば、同盟軍の艦船はそもそも逃げることすらも不可能な状態に陥ってしまっていたことでしょう。
 それに銀英伝世界の艦船には、イゼルローン要塞と同じように内部に核融合炉を保有していますから、余程の事態でも起こらない限り、一応燃料を必要とするらしい推進機関はともかく、艦船の動力エネルギーが力尽きることはほとんどありえないでしょう。ただ、それをもってしても将兵の疲労度と武器弾薬の問題は如何ともしがたいからこそ、あのような描写が出てくるわけです。
 これで銀英伝世界における艦船の燃料の問題を語るのは無理があるのでは?


<普通に考えて、エネルギー補給は必要で、通常艦隊には補給艦
が随行し、その運用が確立しているから問題がある場合以外に
特に記述はしないし、作品中にその「問題がある自体」が発生
しなかっただけと考えた方が自然ではないですか?
戦艦の移動エネルギーは、食料・弾薬などと違って作品表面に
出しづらいから、あえて表面にださなかっただけでしょう。>

 いえ、銀英伝世界に限らず、移動手段としての蒸気機関が実用化された近代以降の世界では、むしろ「移動エネルギーの補給問題」こそが最も必要不可欠かつ重要な問題として認識されているのですけど。以前にも燃料補給の例に取り上げた真珠湾攻撃もそうですし、そもそもあの銀英伝世界の宇宙空間で艦船の燃料が欠乏してしまったら一体どういうことになると思います? 周囲を海に囲まれた絶海の孤島で救援もなく立ち往生する以上の恐怖が襲いかかってきますよ。
 後方からの補給が完全に途絶していたアムリッツァ会戦時の同盟軍などはもっと悲惨でしょう。たとえ食糧や武器弾薬が力尽きたとしても、燃料さえ健在であればすくなくとも逃げることはできるわけですが、燃料が尽きればそれすらもできなくなるのですから。しかも敵国領土の真っ只中でそのようなことになれば発狂する将兵すら出てきてもおかしくはありません。敵に「自分達を好きにしてくれ」と言っているようなものなのですからね。だから本来「補給の問題」でまず真っ先に論じられなければならないのは移動エネルギー関連の問題でなければならないのです。
 にもかかわらず、それが銀英伝世界では全く語られていないからこそ、私としては、

<「燃費問題に対して、技術的解決がなされている場合」>

↑というのを想定せざるをえなかったんですよね。そうでないと、同盟史上最初にして最後の(愚劣な)遠征となった帝国領侵攻作戦時に、その膨大な距離に配慮した「移動エネルギーの補給問題」が全く語られていない理由が説明できないですし、アムリッツァ会戦時にヤンが燃料問題について全く考えることなく食糧の問題ばかり考えていた理由や、最後まで戦場に残って殿を勤めながら、燃料の欠乏に全く遭遇することなく悠々と帰還できた理由も説明できません。
 以上のことから「銀英伝世界における艦船の航続距離は、長距離遠征の際にも全く問題にならないほど長い距離を誇っている」が私の結論となるわけです。


<それに、僕が気にしているのは「軍艦が宇宙を航行する際の燃費」
ではなく軍艦に比して何万倍という質量を有しているであろう
「移動要塞の燃費」です。
また、再三書いていることですが、「エネルギーの再蓄積」の
問題です。使ったものは貯め直さないといけません。>

 いえ、私があえて「軍艦が宇宙を航行する際の燃費」を取り上げたのは、軍艦(この場合は巨大戦艦)で使用するエンジンも移動要塞に使用するエンジンも、基本的には同一のものを使っているからでしてね。だから「軍艦が宇宙を航行する際の燃費」が軽ければ、たとえ移動要塞の推進で何倍もの燃費が必要になったとしても、掛け合わされる元数字が低い以上、必然的に移動要塞の燃費も軽くなるという道理ですから、それに合わせて出してみたまでのことです。
 また、同じエンジンを使っているのに、出力にそれほどの格差が存在するのかとも思いましたからね。確かに巨大戦艦に比べれば出力を常にフルパワー状態にしなければならないでしょうから通常よりも燃費は食うことでしょうが、最大出力に格差が存在せず、しかもそれで移動要塞が航行できている以上、せいぜい数倍のレベルで収まる範囲内ではないかとも考えたのですが。
 まあこの辺りは移動要塞の詳細な実態がなかなか分からない以上、いつまで議論して平行線であることは確かに間違いないでしょうね。お互いに一定の結論が得られたところで、この件に関しては私の方も退くことにしましょうか。



>はねだみずきさん
<移動要塞は確かに戦術的には無敵レベルの兵器でしょうが、所詮「点」(一星系)を制圧できる能力しかありません。「無限の補給能力」もその恩恵を受ける艦隊兵力があってこそ生きる要素でしょうが、ヤン側にはその艦隊兵力が欠けています。
そして、艦隊が無ければ幾つもの「点」とそれを繋ぐ「線」(補給線)を維持し、面(領土)を制圧する事ができません。
と言う事は、イゼルローン要塞がいるうちはその星系を完全支配下におけるでしょうが、要塞がいなくなれば帝国軍はすぐにその星系を奪還できる訳です。一時期一つの星系を確保しうるくらいの能力しかない兵器で、帝国軍が有する圧倒的優位を覆せると考えるのは楽観的過ぎではないでしょうか?>

 星系を支配下に置く必要などないのですよ。自給自足能力を持つ移動要塞を根拠地として補給の必要が全く存在しないのに、わざわざそんなことをしなければならない理由などどこに存在すると言うのでしょうか?
 序盤戦でオーディンを制圧するという策も、目的はあくまでもアンネローゼをはじめとする帝国要人を人質に取ることにあるのであって、その目的が終わったらもうオーディンに固執する必要などありません。惑星オーディン内に存在する重要な軍事拠点や生産拠点を全てトゥールハンマーで徹底的に破壊し、とっとと移動するのが筋というものでしょう。
 件の私の構想は、銀英伝5巻のバーミリオン会戦序盤戦でヤンが行った「正規軍によるゲリラ戦」を、今度は全銀河規模で、しかも移動要塞という巨大戦力兼無限補給基地を徹底的に活用することで逆転を図るというものですから、実のところ領土などあったところで却って邪魔なだけなんですよね。銀英伝5巻でミッターマイヤーとロイエンタールが行った「ハイネセン襲撃による降伏勧告」のような戦法が行われてしまう危険性がありますし。
 だから移動要塞を駆使した作戦は、基本的には「帝国の重要拠点に対する無差別破壊活動」を主軸に据えて行われることになります。現代の感覚で言えば「戦略爆撃」に近いものとなるでしょうか。
 そして帝国全土でこのような戦法を駆使していけば、

<逆説的な話ですが…戦わなければよろしい。要塞が来たらすぐに逃げるのです。戦略的要地が取られれば痛手かもしれませんが、致命傷を負うほどの事はないでしょう。要塞さえいなくなればすぐに取り返せるんだし。>

↑といった戦法を帝国側が使うこともほとんど不可能となってしまいますね。際限なく繰り返される帝国領内の戦略爆撃を放置すれば、国民の間から現帝国政権に対する強烈な不信感と怒りが湧き上がってきます。平民階級の圧倒的な支持を政権基盤としているラインハルトにとって、これは強烈な打撃とならざるをえないでしょう。
 しかもバーミリオン会戦前哨戦におけるヤンの艦隊がそうだったように、この移動要塞は神出鬼没で、どこに現れて攻撃を仕掛けてくるのかが帝国側には全く予測できない(先制攻撃の主導権は全てヤン側にある)ため、

<それに、イゼルローン要塞が無敵を誇ったのはイゼルローン回廊と言う特異な地形が極めて防御側有利だった事と、「破壊より占領」が重視された政略的要求からではなかったですか?回廊外に出れば地形的優位を自ら捨てる事になる上、この時点ではイゼルローンを破壊したくないと言う制約は無くなっているはずですから、どこかの星系に現れたところを大軍で包囲し、四方八方から小惑星爆弾でも投げつければイゼルローンを粉砕する事は容易だと考えますが。>
<そうやって相手の攻撃をすかしながら、せっせと小惑星爆弾や無人特攻艦などの「攻城兵器」を整えて、十分な準備が出来次第、要塞の現在地に攻撃を仕掛けるのです。>

↑という戦法も取ることができません。このような包囲作戦を行うためには、何か移動要塞を誘き出す策を考えなければならないのですが、しかしこれもバーミリオン会戦時のような「首都攻撃による無条件停戦命令でヤンの抗戦を断念させる」といった策が取れない以上、かなり厳しい状況となることは間違いないでしょう。この条件では余程敵味方共に度肝を抜く策でも立案されない限り、帝国側による移動要塞の捕捉殲滅は不可能に近いです。
 それから、いくらイゼルローン回廊の「狭さ」を利用したところで、圧倒的大軍に囲まれて苛烈な攻撃を続けられれば、「回廊の戦い」の戦闘過程自体が示しているように、どれほど敵にダメージを与えたところで、最終的には数に押されて敗北するのがオチですよ。それが「結果的に」救われたのは、何度も言うように「ラインハルトの病」が「たまたま」再発したことによって帝国軍に行軍停止が命じられたからであって、ヤンの智謀の功績でもイゼルローン回廊の地形的有利のおかげでもありません。「当時のヤンは類まれなほどに運が良かった」ただそれだけのことです。
 あと、小惑星爆弾を使った要塞破壊に関しては、むしろ固定要塞の方がはるかに危険でしょう。移動要塞ならばその機動力を使って小惑星爆弾をかわすことも不可能ではありませんが、固定要塞にそんなことはできないですから。むしろ私としては、このような小惑星爆弾のような戦術に対抗するためにも、移動要塞は推奨すべき存在だと考えたくらいなのですけどね。


<アンネローゼが人質にされて致命傷を負うのは「ラインハルト」であって「帝国」ではないと思います。仮にアンネローゼが人質にされた場合、ラインハルトには3つの選択肢があります。
(1):アンネローゼを見捨てる
(2):アンネローゼを救出するために特殊作戦を実施する
(3):アンネローゼを助けるためにヤンに従う
(1)や(2)の成功はその時点でヤンが最大の切り札を失う事を意味し、彼の破滅に繋がります。
(3)の場合、ラインハルトは失脚を免れないでしょう。「銀河統一の大義」を姉と引き換えにするような坊やについていく人間はキルヒアイスくらいのものでしょうし。
ただ、その後に登場する指導者(双璧のどちらか?)は人質を取るような「テロリスト」であるヤンに対して徹底的な強硬策でのぞむでしょうから、移動要塞以外に頼るべき物の無いヤンの最終的な敗北(しかも原作より悲惨な)は免れないかと思います。>

 あの当時の「ラインハルト」と「帝国」はほぼ一心同体の存在ですよ。後継者が存在しなかったあの当時のラインハルトが死ねば、ローエングラム王朝は完全に崩壊してしまい、将帥の軍閥による内戦が勃発する可能性すらあるでしょう。
 それから「3つの選択肢」に関しては、まず(1)はラインハルトの性格からして不可能でしょう。それができるような性格ならば、そもそもラインハルトはゴールデンバウム王朝を滅ぼしてなどいないでしょうし。(2)も至難の業ですね。神出鬼没の移動要塞を掌握するだけでも困難な話なのに、そこに潜入してなおかつ救出・脱出までするというのは、ほとんど神業的な作戦立案・実行能力を必要とします。救出ではなく暗殺(この場合、実行するのは多分オーベルシュタインでしょうが)を実行するとしても、移動要塞の内部潜入自体が容易ではないのですからこれも簡単には行かないでしょう。
(3)はどうでしょうね。これを行った場合、柔弱なラインハルトに対してロイエンタールが叛旗を翻すというのが一番ありえそうな展開ですが、この場合、ロイエンタールはむしろ「共通の敵であるラインハルト」を打倒するためにヤンと同盟を組みそうな気もします。ロイエンタール単体の戦力だけでは、ラインハルトを打倒することはできないでしょうし、彼にとってアンネローゼなどどうでも良い存在でしかないでしょうから。
 返答としてはこんなところでしょうか。


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