銀英伝考察3−P

銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威

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コンテンツの総収録投稿数626件の内、245〜255件目の投稿を掲載

収録投稿245件目
board4 - No.3682

Re:亜光速ミサイルシステム

投稿者:SAI
2003年02月18日(火) 13時21分

うーむ、どうやら逃げるしかないようだ。この時点での同盟の
衰勢はハードウェアは覆しようが無いみたいですね。
魔術師がもう一人いれば、あるいは何とかなるかもしれないけど
どうやらいないようだ(笑)

理想の亜光速ミサイルがあれば、戦術の幅がずいぶん広がりますね。
自力でワープできるならば、いろいろ使えそうだ。
移動要塞を狩るには最適ですね。数も万の単位でそろえられるし。

亜光速ミサイルの前には大きくて高価で、発見されやすく、機動性
が悪いものほど危険なので、艦艇も小型軽量で発見されにくく
機動性が高いものが将来的には主流になるでしょうね。
そうなればミサイルの方も、威力よりは機動性や誘導性を重視する
ことになり、戦術も変わってゆく。

イゼルローンのような人工天体や大気圏外の基地は、敵の攻撃に
さらされる前線では危なくて使えなくなるので、艦隊の基地は
大気圏内になる。それとともに戦略的要地も変わり、戦略も変わる。

技術の進歩によりこうして戦術戦略が変わってゆくのでしょう。

収録投稿246件目
board4 - No.3683

Re3674:諸々レス

投稿者:冒険風ライダー
2003年02月18日(火) 22時37分

<すでにラインハルトとヤンの行動を全否定して不当に貶めていた冒険風ライダーさんから、まさか「キャラクターを不当に貶めることに繋がる」などという言葉が出るとは思いもしませんでした。>

 その実例ならば、これまで私に対して「作中記述に基づかない現代世界の物理法則」とやらに拠って銀英伝を「擁護」しようとしてきた人達の言動の中にイヤというほど示されているでしょう。彼らのやってきたことは「作品擁護」と称しながら、実は銀英伝の作品設定と銀英伝という存在そのものを嘲笑しながら全否定し、かつ「作中キャラクターが支離滅裂なトンデモ電波言動に基づいた戦略構想を立てていた」と断じているも同然だったのですから。これが「作品やキャラクターを不当に貶めることに繋がる」以外の何であるというのでしょうか?
 これに比べれば、最初からずっと一貫して「批判」を行っている私の方が、はるかに「正当な」評価を「銀英伝という作品とキャラクター」に対して与えていると自信を持って断言できますね。たとえそれが、どんなに作中キャラクターの行動に対して全否定的な評価を下し、そのような行動を行っているキャラクターを「無能」「愚か」と断定するものであったとしてもです。

<5巻でヤンがユリアンに語った場面が、全くむなしくなりますね。冒険風ライダーさんにとっては、帝国の民衆を気に掛けるヤンは、むしろ惰弱が偽善だと映るのでしょうか。しかしヤンの言葉は紛れもない作中事実です。>

 もちろん私は、本来他国民でしかないはずの帝国の国民を気にかけるヤンの言動は惰弱かつ偽善だと思いますし、さらに付け加えれば「無責任」であるとすら考えていますよ。そもそも前にも述べたように、一国の政治家や軍人が自国の主権の及ばない他国の国民を守る義務など、法的にも道義的にも全く存在しないのですし、一国の政治家や軍人が本来守るべき「自国」および「自国の国民」が危機に直面している非常時に際して、自国や自国民の命運以上に他国民に対する配慮を示すなどという行為は、自国の国民と自らの職業に対して著しく無責任であるばかりか、下手をすれば「裏切り行為」とすら見なされるものでしかないのです。
 極端な事を言えば、自国の国民ひとりを救出するために他国の人間を全て皆殺しにしたとしても、民主主義の理念にも、国家が果たすべき責任と義務にも全く反しないばかりか、むしろそちらの方が正しいことでさえあるのです。その実例ならば、現実世界にもいちいち例示する必要もないほど無数に転がっていますよ。
 そしてヤン自身、民主主義を守るという目的のために、他国の国民を犠牲にする策をあえて考えて実行に移している「前科」が立派に存在するのです。たとえば銀英伝4巻では、「帝国のフェザーン侵攻に備え、フェザーン国民を扇動して帝国侵攻の防波堤の道具として利用する」などという「非人道的な」謀略構想を、ヤンはユリアンに話して(結果的に何の意味もなかったとはいえ)一部実行させてすらいましたし、銀英伝5巻のバーミリオン会戦時に際しても、ヤンはラインハルトを殺すことによって帝国が内戦状態に陥り、その結果帝国の民衆がどれほどまでの辛酸を舐めさせられることになるかを充分承知の上で、ラインハルトを直接対決で戦死させるための軍事作戦を遂行していたのです。
 もちろん、上記2つの事例は実行段階で失敗に終わったがために、「結果として」他国の国民が実際に犠牲となることはありませんでしたが、それは言うまでもなく「ヤンの行ったことが(他国の国民に対して)非人道的なものではなかった」事を意味するものでは全くありえません。もちろん私は「ヤンが考え出した謀略構想は、『民主主義および自国の国民を守るためには』当然かつ正しい選択であった」と考えていますが、そのヤンが今更、他国の国民を犠牲にすることによって民主主義を守る事を拒否するというのであれば、ヤンは偽善・惰弱かつ無責任、さらにはダブルスタンダードのご都合主義者であるとさえ評価されたとしても、文句を言われる筋合いなど全くないと思いますけどね、私は。

<敬愛する姉上が無事ならば、帝国民衆が少々死んだところであまりかまわないんじゃないですか。あとで少しばかり反省をして、自分にも責任はあるが、より多くの責任はヤンにある!とパフォーマンスでもすれば大丈夫でしょう。>

 それでは結局のところ、ラインハルトはルドルフ・フォン・ゴールデンバウムと同じでしかない、ということになってしまいますね。たかだかヴェスターラント200万人の民衆の虐殺を黙認した程度のことをアレほどまでに後悔する必要性など、全くなかったのではありませんか?

<イゼルローン移動要塞が帝国領の惑星を1つ攻撃するたびに、旧同盟領の惑星を1つ攻撃されたらどうするのですか? 帝都オーディンに照準を向けたとき、ハイネセンに帝国艦隊の照準が向けられたら。もはやどうしようもありません。互いに動けなくなるだけです。それともラインハルトが罪もない民衆を攻撃しないと信じて、移動要塞はオーディンを攻撃してみますか。
冒険風ライダーさんは、旧同盟領が報復攻撃にさらされても民主主義存続のためには必要最低限の犠牲だと言われるのでしょうか。ヤン側にとっては、旧同盟領を中心に民主主義体制を残さないといけないのに、これでは旧同盟市民にお前たちのせいで帝国軍の無差別攻撃を受けた、とむしろ恨まれるだけです。気まぐれな民衆とはそういうものでしょう。>

 すっかり忘れ去られているようですが、同盟崩壊後は旧同盟領といえども法的にも道義的にも立派な「帝国領」であり、旧同盟市民にもまた「帝国民」としての権利と義務が認められます。そして帝国政府には、旧同盟領と旧同盟市民を統治する権利と共に、領土と国民を守る義務もまた新たに課せられるのです。そんなところでわざわざ「自国民」を人質策の同等報復として虐殺するなどという選択は、今後の旧同盟領統治や旧同盟市民の人心掌握の観点から見て明らかに自殺行為でしょう。追い詰められた旧同盟市民側が各地で叛乱と武力闘争を頻発させることによって、今後の統治に重大な支障をきたすことにもなりかねません。帝国が旧同盟領を統治するのではなく、何もかも全て破壊するつもりなのであれば話は別でしょうが。
 それに、実は移動要塞側にとっては、帝国領はもとより旧同盟領でさえも、最悪の場合は切り捨てても一向にかまわない対象でしかありえないのですよ。「民主主義を擁護する」という観点から言えば、極端なところ移動要塞内に居住する人間を除く全ての人類を滅ぼし、誰もいなくなった荒野に改めて民主主義を再建しても、それで充分に目的は達成されるのですから。旧同盟領に対してはひたすら帝国に対する憎悪を煽る宣伝を行い続け、帝国と旧同盟市民を対立させ続ければ、帝国側もそうそう簡単に同等報復に出ることはできないでしょうし、やれば自殺行為となります。仮に帝国側が移動要塞を滅ぼしたところで、前述のように旧同盟領の今後の統治に重大な支障が生じるのは確実ですからね。
 また、仮に万が一そのような事情を黙殺してまで帝国側が「自国民」に対して同等報復を仕掛けてくるというのであれば、予め「旧同盟領の惑星に対して同等報復が行われたことが認められた場合、交渉を行う意志はないものと見なし、我々はすぐさま惑星攻撃を遂行するものとする」といった類の条件を、脅迫する際に一緒に提示しておけば済むことです。そうすれば、移動要塞側が惑星攻撃を行うことになる責任の全てを帝国側に押しつけることも可能となりますし、場合によっては帝国政府内や帝国の国民などから和平を求める声が出てくる可能性すらも出てきます。
 最終的には移動要塞のみを国家として機能させていけば良いだけの「身軽な」移動要塞側と、旧同盟領をも含めた広大な領域を全て「統治」していかなければならない帝国との差がここで出てくるわけです。この差は、彼我の戦力差や戦略的格差などを全て覆すだけの巨大かつ圧倒的な政治的格差たりえるのではないでしょうか。

<それではオーディンへの無差別攻撃を示唆して、対等?な和平交渉をしたとしましょう。果たしてどのような和平を結ぶのですか?
「旧同盟領の全面返還。フェザーンの中立化。移動要塞はこちらがそのまま保有する。不可侵条約の締結」 仮にこれで和平調印をしたとします。
といってもバーラトの和約を半年で破った帝国です。しかも脅しによって無理やり結ばされた和平条約を守る必要など、どこにもありません。準備が整い次第、すぐに復讐戦を挑む方が自然です。それとも不可侵条約を結べば、それをラインハルトが守ると思いますか?
そしてひとたび、同盟領に移動要塞が戻ればその戦略的価値は激減します。帝国領をゲリラ攻撃するからこそ、この上ない力を発揮できたのです。同盟領内に入れば、もはや防御拠点でしかありません。
また旧同盟軍はすでに壊滅しています。宇宙戦力は、移動要塞に収容できた2万隻だけです。
それに対して帝国軍は正規艦隊だけで10万隻以上の戦力です。
しかも本国の星系警備隊など雑多な戦力を合わせるとこれまた10万隻になります。イゼルローン・フェザーン両回廊の帝国側出口に、その戦力を各5万隻ずつ布陣させれば、エンジンに弱点を持つ移動要塞の回廊突破は不可能です。あとは、正規艦隊を再編成して第三次ラグナロック作戦を発動し、旧同盟領に雪崩れ込むだけです。
バーラト自治区だろうが、同盟領全域だろうが関係ありません。民主主義の苗床は、それこそ帝国の心次第でどうにもなります。もっとも皇帝の温情による和平と脅しによって押しつけられた和平。どちらがすぐに破れるかは火を見るよりも明らかですね。>

 そうですね、どちらも力の裏付けがなければ一瞬で破られる類の「和平」でしかないと思いますよ。しかし、一旦「和平」が破られた後、どちらが簡単に滅亡させられるのかに関しても、それこそ火を見るより明らかでしょう。もちろん、「皇帝の温情」に拠ってのみかろうじて成立していた民主主義体制は、その瞬間になす術もなく自動的に滅亡確定です。
 しかし力の裏付けがあるのであれば、たとえ「和平」が破られても自らを守ることは可能です。帝国側が「和平」を破って再び同盟領内に侵攻してくるのならば、銀英伝本編でも行われた「正規軍によるゲリラ戦」を移動要塞付で再び展開し、徹底抗戦を行う構えを全宇宙に見せつければ良いのです。徹底破壊ではなく、あくまで同盟領の占領・併合にこだわり続ける限り、帝国側は手足を縛られた戦いを余儀なくされることでしょう。またゲリラ戦に備えて首都機能を移動要塞内に移し、惑星ハイネセンの人口も各地に分散させてしまえばより効果的です。
 また、それほどまでに抵抗の激しい地域を無理矢理に併合して、一体何の利益が得られるのかという政治的・経済的問題もあるでしょう。銀英伝本編で「バーラト自治区」が認められた理由のひとつに、惑星ハイネセンで頻発した災厄を目の当たりにした帝国内務省が「難治の地」と評価していたという事情がありましたし、統治で得られる利益と統治にかかる手間と費用を天秤にかけて「マイナスになる」と判定されれば、それもまた敵の侵攻を断念させる理由のひとつにはなります。単に戦力を整えるだけでなく、徹底抗戦の意志を示すこと「自体」もまた、敵の侵攻を思い止まらせる極めて有効な武器となりえるのです。
 もちろん、これもかなりの無理と犠牲と問題が生じることはほぼ間違いないでしょう。しかしそれでもやらなければ、せっかく勝ち取った独立を守り、民主主義を温存していくことなどできないですから、どんなにきつくても防衛体制を整えなければならないはずでしょう。それがイヤなのであれば、最初から無駄な抵抗などせずにとっとと帝国に降伏でもしてしまえば良かったのです。それならば帝国の庇護下で安全は保障され、かつ一切の犠牲が生じることはなかったはずなのですから。その選択を捨て、戦う事を選んだ以上は、いかなる犠牲を払ってでも徹底的に戦い続けることこそが、民主主義と国民に対する責任および義務というものです。
 他者の力に依存せず、自らの力で自立すること。これこそが民主主義に限らず、国家が存続するためには最低限必要不可欠なことなのです。それもせずに「皇帝の温情」などを当てにする時点で、すでにそれは「敗北主義」であると評されても文句は言えないでしょうね。

 まあ個人的には、移動要塞を使った和平条件としては「我々は第二の長征一万光年を行うので、帝国側は一切の追撃を行わないこと」とするのが、一番話が手っ取り早く、かつ双方共に満足する和平条件になるとは思いますがね。これならば帝国側もあっさり飲むでしょうし、移動要塞側も長征先に未来への可能性を見出すことができます。
 これでも、あの勝算ゼロ・100%必敗確実だった「回廊の戦い」およびそれ以降の戦いをイゼルローン陣営が行うよりもはるかにマトモな選択だったことは間違いなかった、そう私は断言できますけどね。

収録投稿247件目
board4 - No.3684

「詭弁」「言いがかり」であることの明らかな根拠

投稿者:パンツァー
2003年02月18日(火) 22時50分

> 演繹:
> 銀英伝の記述を前提とし、そこから「それ以外には到達しようのない」結論へ到達する。
>
> 帰納:
> 銀英伝の記述から、恒久移動要塞の信憑性を増大させる記述を集めてくる。

ここに、Kenさんは二つの証明方法を提示しているわけですね。

☆Kenさんのいう「演繹」について

「演繹」の方ですがね、この証明方法が妥当だというのであれば、銀英伝に登場するテクノロジー一般について、「演繹」による証明ができることを、Kenさんが実証してみせる必要があるのですよ。
銀英伝に登場するテクノロジー一般について、Kenさんのいう「演繹」による証明ができなければ、それはすなわち、銀英伝そのものが「証明」できないものとなるのです。これも何度も言いますが、この立場は、銀英伝の全面否定なのですよ。
Kenさんは、銀英伝の全面否定には、賛成していないのでしょう?

何度も聞いていますが、未だ、一度として、「艦船の移動」に関する「演繹」による証明がなされないですね。
(少なくとも現時点では)この証明ができない以上、Kenさんは、証明方法として妥当でない方法を、しかも自分自身で妥当でないと(現時点での私の推測では)承知している方法を、冒険風ライダーさんに、強いたのですよ。

これを、「詭弁」で言わず、「言いがかり」と言わないで、なんと言いましょうか。
早く、自分の否を認めてください。

これが私の今回の一連の投稿における主要な目的でもあります。
作品の仮定の論証における方法論として、こんな方法が適用できるなどという結論が一人歩きされたのでは、たまったものではありません。このように考えている次第です。

収録投稿248件目
board4 - No.3685

細部までにわたる今回の回答

投稿者:パンツァー
2003年02月18日(火) 22時51分

☆以下のKenさんの記載に関して。

> でもそれには理由があります。今回の議論に対する私のスタンスは、「恒久移動要塞が可能と断じるにも、不可能と断じるにも、銀英伝の記述は不十分」というものです。これに対して、冒険風ライダーさんのスタンスは、恒久移動要塞の現実性やそのベースとなる「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されている、というものです。冒険風ライダーさんは、銀英伝世界では、恒久移動要塞や無限の自給自足システムができるかもしれないという「可能性」を指摘されたのではありません。それ以外に解釈のしようがない、と言われているのです。

1「これに対して、冒険風ライダーさんのスタンスは、恒久移動要塞の現実性やそのベースとなる「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されている」

私は今、銀英伝全10巻を読み進めているところですが、
例えば、銀英伝考察3で出てきた引用も含めて、以下のような記載があります。

A銀英伝1巻P190上段17行目
<第一、それはイゼルローンの食糧生産・貯蔵能力を大きく凌駕していた>
(生産能力を有している点に注意)

B銀英伝2巻P161下段13行目
<貴族のばか息子どもが、穴のなかにひっこんでいれば長生きできるものを、わざわざ宇宙の塵となるためにでてくるとはな>
(穴とは、ガイエスブルグ要塞を指す)

C銀英伝3巻P44上段10行目
<―かつて帝国軍が敵の勢力範囲の奥深く侵攻しえたのは、イゼルローン要塞を橋頭堡として、また補給拠点として利用できたからである。>

D銀英伝3巻P140下段7行目
<つまり帝国軍は、今度は艦隊を根拠地ごと、ここまで運んできたわけだな。>
(根拠地とは、ガイエスブルグ要塞を指す)

A・C・Dより伺えるのは、要塞(イゼルローン要塞とガイエスブルグ要塞とを区別しないが)は、補給源として機能しうる、ということですね。
特に、Aでは、イゼルローン要塞で負担しきれない補給を、ハイネセンに求めています。ということは、帝国軍が焦土作戦(生活物資の撤去)を取らなかった場合、同盟の艦隊は補給に窮することはなかったと推測されます。

また、Bに関連して、貴族連合軍の戦略を検討してみると、かれらは初めからオーディンを放棄して、ガイエスブルグ要塞を根拠地としているのです。もしも、ガイエスブルグ要塞が「半永久的な」補給源として機能しないのであれば、かれらは簡単に兵糧攻めを受けてしまうわけで、ラインハルト軍は、黙って待っていればよい、ということになります。

「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されていないとすれば、以上の「引用」と、明らかに矛盾することになります。
特に、「無限の自給自足能力」がないとしたら、貴族連合軍の戦略など、まったくバカですね。

2「銀英伝世界では、恒久移動要塞や無限の自給自足システムができるかもしれないという「可能性」を指摘されたのではありません。それ以外に解釈のしようがない」
もし、これを否定するとなると、上記4つの引用は、どのように解釈するのでしょうか?


> そして私は、私が「証明できない」と思う仮説を「証明できる」という人に、「それでは証明をお願いします」と言ったのです。

それが、例の「ピタゴラスの定理の証明」的な証明方法の要求でしたよね。
冒険風ライダーさんをはじめ、この掲示板の誰も展開しないような「議論の前提条件」を突き崩すような論旨だったのですから、話にならないではありませんか。

私の他投稿<「詭弁」「言いがかり」であることの明らかな根拠>
で述べたように、まず、Kenさんの展開する「ピタゴラスの定理の証明」的な証明方法が、実用的であるかどうかを、示して欲しいものです。
自分で何も証明できないような方法論を、人に押し付けるなど、言語道断ですよ。

☆「物理法則の適用を否定」って何?

> 証明方法としては、物理法則の適用を否定される以上、

これも具体的には、何を言っているのか、定かではありませんね。
「物理法則の適用」とやらによる「艦船の移動」の証明を、まずやって欲しいものです。

私は例えば、「無補給」=エネルギー保存則の違反、したがって、「無補給」はありえない。といった論理展開に反対するだけです。
例えば、星間物質の取り込みや、観察中・・・さんとの議論からの推論からならば、工作艦によるヘリウム3の捕獲なども可能性として検討できると考えています。
いずれにせよ、「無補給」を可能とするテクノロジーや方法は、存在すると考えられるのです。

☆「演繹」について

> 演繹:
> 銀英伝の記述を前提とし、そこから「それ以外には到達しようのない」結論へ到達する。

これに関しては、私の他投稿<「詭弁」「言いがかり」であることの明らかな根拠>で述べているので、ここでは省略します。

☆作品の仮定の証明方法について

> 帰納:
> 銀英伝の記述から、恒久移動要塞の信憑性を増大させる記述を集めてくる。

冒険風ライダーさんをはじめ、私も含め、この討論に参加している多くの討論者は、一つの「帰納」から、「結論」を導いているわけではありません。「帰納」によって導かれた「結論」を前提として、複数の「帰納」による「小結論」を「前提」として、「大結論」を導いているものです。これらの「小結論」の導出に際しては、「演繹」的に導かれている部分もあるでしょう。

「一つの帰納」によって、「大結論」(移動要塞論)が導かれないからといって、それは「作品の仮定の証明」ができない、ということを意味しません。
Kenさんが勝手に、根拠なく、一つの「帰納」により「結論」を導け、といっているだけです。

だから、「帰納法で証明するにはデータ不足」とか、いうことになりません。

☆「・・・かもしれない」式の疑義

<そこまでできなくても、せめて私が「再度整理しました」とタイトルをつけた#3579でいろいろ挙げた「・・・かもしれない」式の疑義の存在を一切許さない証明をです。

これも前に述べたと思いますが、「・・・かもしれない」式の疑義を認めるということは、「艦船の移動」に関しても、「・・・かもしれない」式の疑義を認める必要がある、ということです。

銀英伝の作中での「艦船の移動」は、特殊事情により成立した特例であった「・・・かもしれない」と、することになりますよ。

そうすると、「艦船の移動」が一般に成立するとはいえない、となって、「銀英伝における仮定の一切」が否定されることになります。
「銀英伝における仮定の一切」が否定されれば、作中人物の行動も、仮定の許されないものとなって、前にも述べましたが、ヤンもラインハルトも台本に従って行動する舞台役者に過ぎなくなるのです。天才も愚劣も論じようがありません。

☆信用できないKenさんの態度

パンツァーの記載
> >ちなみに、艦船が(質量数万トン以下の構造物)であるっていうのは、作品中のどこかに記載されていますか。

Kenさんの記載
> どちらも輸送艦で、前者は20万トン、後者は10万トンです。艦船の質量に関して、これ以外の記述がある場合は、どうかご教授願います。ただ、これしか記述がないのなら、読者としては、艦船の質量はおおむねその程度と推測する以外にないだろう、と考えた次第です。

意図的かどうか知りませんが、記載事実を曲げるのは、歓迎できないですね。

<「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違する>に関して

> >したがって、単純に考えれば、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違するだけなのです。
>
> その「信頼性に値する理論」が、要塞の質量に至るまで通用するという証明はどこにあるのでしょうか?
>
> パンツァーさんの理論を展開すると、「ハンググライダーからエアバスまで、航空機には多種多様な質量があるから、10万トンの航空機でも飛ばせる」と言っているように思われます。

また、このような不適切な比較を用いて、反論を展開していますね。
航空機は、重力の影響をもろにうけるのですから、話が異なるでしょうが。
航空機は動力を用いて飛行するわけですよね。動力を用いないと、そもそも浮かんでいることすらできませんよね。
(静止)要塞は、墜落しますか?
まったく、ばかばかしい比較ですね。

もし比較するなら、せめて地上の構造物(例えば戦車とか)、海上の構造物ですね。

例えば、通常の艦船よりも大質量の浮きフロートなどが適当ですね。
正確な引用はできませんが、以前、砂漠の緑化を実現するための手段として、北極もしくは南極の大氷塊を、複数の船で牽引して、アフリカまで搬送するなどという計画がありました。
コストが見合うかどうか知りませんが、海上において、大質量の物体を船で牽引するというのは、原理的に不可能な話ではありません。

宇宙での話にもどりますが、宇宙では墜落や沈没の心配はないのです。
これだけでも、空中、海上との比較よりも、問題が容易化されるというものです。
そして、質量が重ければ、それに対応して、出力が必要となるだけです。
出力が不足すれば、加速に時間を要するというだけの話です。
こんなことは、あたりまえのことですよね。

銀英伝3巻P45上段13行目
<現在のワープエンジンの出力では、巨大な要塞を航行させることはできないので、一ダースほどのエンジンを輪状にとりつけ、それを同時作動させることになる。技術上の問題はなく、あとは指揮官の統率力と作戦実行能力の如何による・・・。>

これはシャフトの台詞ですが、「移動要塞論」を否定したいがために、「技術上の問題はなく」という台詞を否定しますか?
それこそ、銀英伝の否定ですよ。

繰り返しますが、質量が大きくなることで、加速時間を要する、ということだけが考えられる問題点です。
「現在のワープエンジンの出力では、巨大な要塞を航行させることはできない」
と書いてある所以です。

☆Kenさんの「帰納」法

> 恒久移動要塞を可能と帰納するための例証は、依然としてガイエスブルグしかありません。例証が一つしかないというのは、一般則を帰納する上で、重大な障害であると思います。

上で述べましたが、
「一つの帰納」によって、「大結論」(移動要塞論)が導かれないからといって、それは「作品の仮定の証明」ができない、ということを意味しません。

「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が、(質量の異なる)「艦船の移動」による帰納により証明されて、存在する上であれば、
既に「質量」を問わず、原理は確立しているのです。
上記のシャフトの台詞「技術上の問題はなく」も、無視しますか?

むしろ、ガイエスブルグ要塞という実例が存在することにより、「原理的に可能」が「実際的に可能」の段階まで高めれているのです。

また、イオンファゼカス号に関しても、Kenさんの「仮定」を用いても、少なくとも半光年くらいは移動したのだから、大質量体の移動が、「実際的に可能」とされた例となりますね。

☆「北朝鮮のミサイル」は比較例として適当か

> 40兆トンの質量を動かすことですか?40兆トンの質量を帝国本土からイゼルローンまで動かすことですか?それとも40兆トンの質量を恒久的に動かすことですか?
>
> 初めの二つが(ある条件のもとで)できたことをもって、三つ目も可能である、と断言できるのでしょうか?私が#3579で例に挙げたように、北朝鮮のミサイルが日本を攻撃できることを誰も疑わないことをもって、同じミサイルがアメリカまで届くことを自明であるとできるのでしょうか?

これも、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論を、飛行機の場合で比較しようとするのと同じく、相手の論旨を貶めることが目的だけの愚劣な比較ですね。
(飛行機の場合:「ハンググライダーからエアバスまで、航空機には多種多様な質量があるから、10万トンの航空機でも飛ばせる」と言っている)

ミサイルは、積んでいる燃料の分しか飛べないのは明らかではありませんか。
燃料満タンにした自動車が、燃料分走行したら、それ以後、二度と走行できないということになりますか?
自分の比較が、あまりにも馬鹿馬鹿しいことを、自覚してください。

飛行機を用いた愚劣な比較があり、上での艦船の重量に関する虚偽があります。こんなことをやっていると、相手を意図的に騙そう、としていると思われても、仕方がないでしょう。

例えば、太陽電池を積んだ電気自動車などが、比較の対象として適切でしょうね。
これも、「・・・かもしれない」式、で否定しますか?
太陽電池を積んでいるからといって、半永久的に走行させることはできないって。
(もちろん、自己修復機能のない太陽電池つき電気自動車では、装置が破損した時点で停止することにはなりますが。これに対して要塞は自己修復機能も有している)

「・・・かもしれない」式の否定を使うなら、上で述べたように、Kenさんの主張が、銀英伝の否定にあると、結論します。

☆Kenさんの「演繹」の論理展開の説明

>1の論理の展開が、まったくわかりません。これまでにも私は、演繹法は「前提」に対する「結論」が真であるのだから、まず「前提」が必要だ、と述べましたよね。
> どうやったら、そういう都合のよい「前提」が見つけられるのですか?
>
> 「前提」となるのは、銀英伝の記述でしょう。例えば、
>
> *ヤンはフレデリカよりも年長である。
> *フレデリカはユリアンよりも年長である。
> *ゆえに、ヤンはユリアンよりも年長である。
>
> というような形で証明ができれば、完璧です。

こんなこと、言われなくても、分かりますよね。

これまでの投稿で、「銀英伝の銀英伝に登場するテクノロジー一般」の話をしているのですから、例えば「艦船の移動」に関する証明が適切でしょう。

何度も何度も、「艦船の移動」に関する「演繹」(「ピタゴラスの定理の証明」的)による証明方法に関して、回答を求めていますが、未だ回答がないですね。
できないのだったら、できないで、さっさと、冒険風ライダーさんに対する「詭弁」「言いがかり」を認めたらいかがです。まあ、これは他投稿でも述べているので、ここまでにしておきます。

☆前回の投稿におけるKenさんの最後の主張

> もっとも、私個人に限っていうなら、とりあえず#3579で挙げた点を、完璧に論破していただければ、それでもかまいません。

「それでもかまわない」ということは、とりあえず、このスレッドで展開されている議論を優先する、という意味ですよね。
私は、Kenさんの投稿内容に関して、細部まで漏らさず回答したのですから、ぜひとも、私が納得いくような回答を期待しますよ。

「とりあえず#3579で挙げた点を、完璧に論破していただければ、」

こんな風に、直前の投稿に対する回答をすることなく、次々、あたらな問いを設定されるのには、もはや閉口しています。
是非とも、この私の投稿に対する回答を期待します。

それに今回の私の投稿も、部分的には、#3579に関する回答にもなっているでしょうし。

収録投稿249件目
board4 - No.3686

とりあえず

投稿者:パンツァー
2003年02月18日(火) 23時23分

この投稿に関しては、改めて回答することにします。
こればかりやっているわけにはいかないので。
とりあえず、以下に関して

> 繰り返しますが、冒険風ライダーさんは、無限の自給自足システムに基づく恒久移動要塞を、「ひとつの」可能性として提唱されたのではありません。「唯一」の可能性として提唱されたのです。そして、そのことを根拠にして、銀英伝の二人の英雄を「愚か者」呼ばわりされたのです。このような主張をされる以上は、自分の仮説が銀英伝の記述と矛盾しないことを論ずるだけでは不十分です。自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任があります。

「このような主張をされる以上は、」っていうのは、「銀英伝の二人の英雄を「愚か者」呼ばわり」することですよね。

しかし、主張の内容は関わりがないはずですよ。

Kenさんが、「銀英伝の二人の英雄」を擁護したいのはわかりますが、だからといって、論理をすりかえてもよい、ということにならないでしょう。
客観的な議論を放棄するのですか?

自分の動機は動機でもっていればよいだけの話です。自分の世界観に対する脅威だからといって、あまり無理な反論は止めたほうがよいのではありませんか?
「詭弁」だの「言いがかり」だのいうのは、きつい表現であることを承知していますが、はっきりいってKenさんの主張は、論理のすりかえにしか聞こえないのですよ。

それでも、「移動要塞論」を大筋では認める式の意見をKenさんが提示しているところから見て、大分態度は軟化したのではないか、と推測しています。

ですが、私も、「この種の言い逃れ」を許容したくないので、あくまで客観的に評価できる議論を前提として、反論を展開させていただきます。
もしも私の主張に、恣意的なものがあったならば、容赦なく指摘してください。非があれば、それは認めなければなりません。

「このような主張をされる以上は、自分の仮説が銀英伝の記述と矛盾しないことを論ずるだけでは不十分です。自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任があります。」

この主張などは、Kenさんの「思い」を表明しただけで、なんの根拠があるわけでもないでしょう。

例えば、「このような主張」をしない場合は、
「自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任」
がないのですか?

主張の内容によって、「立証する責任」の中身が変化するわけはないでしょう。

ともかく、無茶な反論を展開すれば、その矛盾を突かれて、よりいっそう困難な立場に自らを置く可能性があるということを、意識してみてください。

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board4 - No.3687

異議あり(逆転裁判風)

投稿者:RAM
2003年02月19日(水) 00時30分

こんばんは。RAMです。

すいません。無限の自給自足能力が立証されているとは思えませんので
書かせてください。

> 1「これに対して、冒険風ライダーさんのスタンスは、恒久移動要塞の
> 現実性やそのベースとなる「無限の自給自足能力」は銀英伝世界におい
> て、存在が「立証」されている」
>
> 私は今、銀英伝全10巻を読み進めているところですが、
> 例えば、銀英伝考察3で出てきた引用も含めて、以下のような記載があります。
>
> A銀英伝1巻P190上段17行目
> <第一、それはイゼルローンの食糧生産・貯蔵能力を大きく凌駕していた>
> (生産能力を有している点に注意)
>
> B銀英伝2巻P161下段13行目
> <貴族のばか息子どもが、穴のなかにひっこんでいれば長生きできるもの
> を、わざわざ宇宙の塵となるためにでてくるとはな>

> (穴とは、ガイエスブルグ要塞を指す)
>
> C銀英伝3巻P44上段10行目
> <―かつて帝国軍が敵の勢力範囲の奥深く侵攻しえたのは、イゼルローン
> 要塞を橋頭堡として、また補給拠点として利用できたからである。>

>
> D銀英伝3巻P140下段7行目
> <つまり帝国軍は、今度は艦隊を根拠地ごと、ここまで運んできたわけだな。>
> (根拠地とは、ガイエスブルグ要塞を指す)
>
> A・C・Dより伺えるのは、要塞(イゼルローン要塞とガイエスブルグ要塞と
> を区別しないが)は、補給源として機能しうる、ということですね。
> 特に、Aでは、イゼルローン要塞で負担しきれない補給を、ハイネセンに求めて
> います。ということは、帝国軍が焦土作戦(生活物資の撤去)を取らなかった
> 場合、同盟の艦隊は補給に窮することはなかったと推測されます。

以上の点だけで「無限の自給自足能力」があるといえるでしょうか?私はそうは
思いません。A・C・Dからもそうでなくても要塞が補給源として機能できる
とは思います。

しかし、現実世界での言葉の修辞としても例えば軍港は艦船にとっての補給地
(補給源)です。ですが、日本の場合は燃料を無限に供給することは出来ません。
石油自体が有限の物資だからというのであれば、仮に100年間補給出来るかと
いえば、日本自体が輸入をしなれば100年間は備蓄量から考えて無理でしょう。
結局、A・C・Dはレトリックでしかありません。本質的には日本における
輸入=要塞における生産能力によります。でしたら、生産能力が使用量と
同等もしくは凌駕しているという記述はあるのでしょうか?

補給を行ったという「記述がない」ことをもってそれを証明する事はできません。
記述が無いことは分からないと言うことであって、銀英伝世界の当時において
当たり前の事は記述しない可能性もあるからです。私達が日記に3食の内容を
書かなかったからと言って食事を取らないことの証明にはならないのと同様です。

> また、Bに関連して、貴族連合軍の戦略を検討してみると、かれらは初めから
> オーディンを放棄して、ガイエスブルグ要塞を根拠地としているのです。もし
> も、ガイエスブルグ要塞が「半永久的な」補給源として機能しないのであれば、
> かれらは簡単に兵糧攻めを受けてしまうわけで、ラインハルト軍は、黙って
> 待っていればよい、ということになります。
>
> 「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されていない
> とすれば、以上の「引用」と、明らかに矛盾することになります。
> 特に、「無限の自給自足能力」がないとしたら、貴族連合軍の戦略など、
> まったくバカですね。

ガイエスブルグの貯蔵量にもよると思いますけど…。Aの記述によると
イゼルローンの備蓄量は5000万人×180日より大幅に少ないと言うことです。
大雑把に半分の能力と考えて、篭った人員を500万人とすると約2年半ほど
篭城できます。

当時のラインハルトの戦略として同盟側にクーデターを起こしての時間稼ぎ
を行っていました。つまり、ラインハルト側には時間の制約があります。
ですので、ラインハルト側は兵糧攻めは出来ません。

また、その事を知らなくても2年半の時間が稼げれば攻城側の士気が落ちる
事も予想されるので貴族側にとって篭城戦は至極もっともな戦術になります。

つまり、時間制約のあるラインハルトが責め急ぐのは当然のことであり、
無限の自給自足能力がなくても貴族側が篭城する事は当然と考えられます。
勝手に打って出た貴族軍が愚かなのです。

Bの言葉は何もしなければ2年半は生き長らえたものを死に急いだな程度の
言葉でしかないと思います。

> 2「銀英伝世界では、恒久移動要塞や無限の自給自足システムができるかもし
> れないという「可能性」を指摘されたのではありません。それ以外に解釈のし
> ようがない」
> もし、これを否定するとなると、上記4つの引用は、どのように解釈するので
> しょうか?

以上の指摘ができるのですがこれでも「無限の自給自足能力」を持つとしか
考えられないのでしょうか?

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board4 - No.3691

Re:Re3661:勝算について

投稿者:Night
2003年02月19日(水) 16時01分

>  その「病気」だの「夢」だのといった「ラインハルトに和平を決断させた要素」自体が、「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという、「戦略構想」と呼ぶことすらおこがましいヤンの杜撰な発想とは全く無関係かつ想定外なところから出てきたものだからこそ「事前予測としてヤンに勝算はない」と評されるのだということがまだ分からないのですか? 「類稀なる僥倖」が起こった「結果」から逆算してヤンを過大評価しても、それは「ほめ殺し」となって却ってキャラクターを不当に貶めることに繋がるだけです。

 私が言いたい事は以下の通りです。

”ヤンは、以下のように事前推測した。
『帝国側にとって、この戦いに勝って得られるものは少ないのだから、自軍に多大な被害が生じれば、本来は暗愚な君主でない皇帝は、より良い事態解決のために講和を申し出てくる(もしくはこちらからの講和申し出を受け入れる)可能性が高い』”

 私は、このヤンの推測をおかしなものとは思いません。むしろ、ラインハルトの為人を良く分析した、妥当な推測と思います。
 勿論、ラインハルトは頑固な性格ですから、犠牲が出ても頑なさを固持して、講和にならない可能性だって充分ある。だから、あくまで「可能性が高い」なのだし、「それは賭けだ」とも前回申し上げました。
 ですが、その賭けの勝率は冒険風ライダーさんが言うところの0%ではなく、もっと高い確率です。それは、実際にヤンがこの賭けに勝ったことからも明らかでしょう。

 むしろ、冒険風ライダーさんが何故「病気」や「夢」にそんなにこだわるのか分かりません。それは単にきっかけに過ぎないと書いたつもりですが。
 重要なのは、ヤンの善戦の結果、ラインハルトが置かれた状況でしょう。ファーレンハイトとシュタインメッツを失い、数百万の将兵を死なせ、なお戦闘の推移はいつにない鈍重なものである。優秀な戦略家なら、講和を考えてもおかしくない状況です。
 そこでラインハルトが講和を決断するきっかけが何であるかなど、ヤンにとってどうだって良いわけです。それは、ラインハルトがペンダントをいじっていて、『キルヒアイスならどう言うだろうか』と考えることかもしれませんし、かつて自分が誓った『無益に兵士たちを殺すようなことはしない』という誓いを思い出すことかもしれません。ヒルダや双璧からの再度の諫言を受け入れるという形かもしれません。単にコーヒーを飲んだりトイレに行ってリラックスするという形かもしれません。他にもいくらだってあります。病気も夢もたまたまその内の一つだったと言うに過ぎません。
 もし、ラインハルトが夢を見ることがなく、上に書いたさまざまな形で講和を決断していたとして、その時も冒険風ライダーさんは批判されるわけですか。『ラインハルトがペンダントをいじって故人に想いを馳せるということなど、ヤンに予測できたはずが無い。全く類稀なる僥倖で、ご都合主義だ』『ラインハルトが過去の誓いを思い出すことなど、ヤンに予測できたはずが無い』『再度の諫言がなされるということなど、予測できたはずが無い』『コーヒーを飲むことなど予測できたはずが無い』『トイレに行くことなど……』
 このような批判に意味が無いことは明らかです。

>  そもそも、ラインハルトはバーミリオン会戦時に自軍がヤン艦隊に追い詰められて敗色濃くなった状況に陥った時でさえ、「一旦シャトルで脱出して再起を図るべき」という部下の助言を退けていましたし、かの「回廊の戦い」の時でさえ、ラインハルトは出征の際に「ヤンとその一党を討たない限り、オーディンにもフェザーンにも帰らない」などと堂々と宣言すらしていたではありませんか。ラインハルトは最初からヤン一党と「対等の交渉」を行うつもりなどさらさらなく、しかも自らの個人的矜持とプライドのために戦うこと自体が「楽をして勝つ」「自分や部下の身の安全」「帝国の安定」などといったことよりもはるかに優先されるべき最優先事項とすら化している始末だったのです。このような人間に対して「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという「戦略構想」を打ち立てること自体、すでに考え方の根本から誤っていると言わざるをえないでしょう。

 それはあまりにラインハルトの為人を曲解しています。はっきり言えば、不当に貶めているとしか思えません。
 確かに、ラインハルトには「皇帝の為人、戦いを嗜む」という一面や、頑固に意地を張り通して判断を誤るような一面がありました。しかし、それだけがラインハルトという人物の全てではないでしょう。
 ラインハルトが部下たちを信頼し、大切にしていたこと。それゆえ、彼らから常にない忠誠心を寄せられていたこと。帝国の安定と繁栄のために非常に精力的に働いたこと。それゆえ、民衆からも絶大な支持を受けていたこと。これらのことは、銀英伝全てにおける無数の作中事実から明らかです。(というか、どうしてそういう作中事実の方はまるっきり無視しちゃうんでしょうか)

>  また、これは以前にも述べたことなのですけど、「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」という戦略構想では、ヤンはバーミリオン会戦における唯一の勝機であった「ラインハルトを殺す」という選択肢を全く取ることができず、常に手足を縛られて戦わざるをえないのに対し、ラインハルトはヤンを殺す事もイゼルローン軍を壊滅させる事も可能という状況が出現してしまいます。この格差は、はっきり言って彼我の戦力差と戦略的格差以上に巨大かつ絶望的です。この状況ではヤンの側に一発逆転の可能性すらありえず、彼我の戦力差と戦略的格差によって押し潰される運命が待っているだけであるというのは誰の目にも明らかなのです。これではますますもって「対等の交渉」が行われる可能性は存在しえません。

 流れ弾が当たるなり何なりでラインハルトが死んでしまっても、ヤンは特に困らないと思います。帝国軍は体制建て直しのために一時撤退し、後はバーミリオンの時の仮想シナリオの展開になるでしょう。

 あと、冒険風ライダーさんはしきりに「対等の交渉」という言葉を使っていますが、そもそも交渉というものは、両者が対等でなければ全く成立しないものなんですか。現実世界でも、強大な組織/個人と弱小な組織/個人が交渉や取引をすることなどざらにあると思うのですが、その場合も冒険風ライダーさんは、弱小な勢力は強大な勢力にただ一方的にいいようにされるしかないという御意見なのでしょうか。
 ヤンは「同盟領を全部返せ」というような無茶を言いたいのではありません。「弱小勢力は弱小なりに宇宙の片隅で勝手にひっそり生きていきますので、その許可を頂きたい」というような、言うなれば彼の立場からして、おそらく「分相応」と思われる願いを聞いてもらいたいだけです。
 何故、ここでラインハルトと対等の立場に立たなければならないのか、私には全くわかりません。

>  しかも、仮に万が一その戦略でラインハルトが民主主義の価値を理解してくれたとしても、それによってラインハルトが自動的に和平を結んでくれると考えるのは、ヤンが全否定しているはずの一種の希望的観測ないしは精神論とでも評するべきものでしょう。ラインハルトにしてみれば、和平を結ばずにイゼルローンを陥落させればラインハルトの悲願である銀河統一が達成されるのであり、たかが「民主主義の価値を理解した」などという理由程度でその利益を放棄してヤンと和平を結ぶという事態は、普通ではとても考えられたものではありません。ラインハルト以外の人間であれば絶対和平に応じることなどありえなかったでしょうし、そのラインハルトでさえ、何度も言うようにヤンの杜撰な構想とは全く無関係かつ想定外なところから出てきた「類稀なる僥倖」が勝手に発現するなどという「ご都合主義的な事態」が起こらなければ、そのままヤンを一方的に葬り去っていたことでしょう。

 戦いを進めたとしても、ラインハルトは無償で銀河統一を得られる訳ではありません。さらに数十万、数百万の将兵の命と、おそらく数名の提督の命を支払わなければなりません。そして、実質的に得られるのは自己満足だけです。
 ラインハルトが停戦を申し出たことが、本当に「類稀なる僥倖」「ご都合主義的な事態」であるかどうかについては、もう上で説明したので繰り返しません。
 また、ヤンはラインハルトと戦ったのであり、他の誰と戦ったのでもありません。『ラインハルト以外の人間であれば絶対和平に応じない』(というのも怪しいと思いますが)というような批判は全く的外れです。
 敵がラインハルト以外の誰かであれば、ヤンはその誰かに応じた作戦を立てていたでしょう。それだけのことです。(というか、そもそもラインハルトでなければ、こんな親征は最初からしないでしょう)

>  さらに言えば、そもそもラインハルトがわざわざ回廊内に侵入して戦うなどという、あの時点で取りえた策の中でも一番の愚策としか言いようのない戦略など取らず、たとえばエル・ファシル本星を包囲・占領してヤンを回廊外へ誘い出すといった類の戦略を取ったりしたら、ヤンが前提としている「ラインハルト軍を回廊内に誘い込む」という戦略構想自体までもが破綻してしまい、バーミリオン会戦の二番煎じみたいな結末に陥った可能性は極めて高いでしょう。それを「結果として」ラインハルトがやらなかったのは、ラインハルト自身が愚かだったからであってヤンが懸命だったのではありません。そして、これに関する対策を何ら立てなかったこと自体、ヤンは愚かであったと評されて然るべきなのです。

 ですから、無防備の惑星を包囲占領してヤンを脅すと言うような作戦をラインハルトが良しとするなら、そもそもこんな親征は最初から不要なんです。
 ラインハルトは、堂々と実力で勝利を得たいのです。バーミリオンの時の二番煎じのような「卑怯な」手段で得た勝利など、何の意味もないんです。
 そういう固定観念に縛られたラインハルトは、確かに愚かです。ですが、そういうラインハルトの心理を読んだ上で作戦を立てたヤンまで愚か者にされてはたまったものではありません。

>  そして、これほどまでに最悪な状況で仮に万が一ラインハルトが交渉に応じたとしても、彼我の戦力差と戦略的格差のために、ヤン側はラインハルト側の要求を全て受け入れざるをえない状況に追い込まれることは火を見るよりも明らかですから、交渉は決して対等なものになどなりえず、最悪交渉が決裂する可能性も濃厚に存在します。たとえば「将兵全員を助命してやるから、今後二度と民主主義思想を掲げないこと」という提言が和平条件として出されたりしたらどうするのでしょうか? 断れば再び絶望的な戦いを行わなければなりませんし、受け入れれば民主主義は滅亡です。これではどちらにせよ、ヤンの目的が達成されることはありえません。こんな要求でさえ、生きるためには受け入れなければならないほどに、ヤンの力は圧倒的に弱小なのです。

 「対等の交渉」について書いたことの繰り返しになるかもしれませんが……
 交渉というのはそれを行うことによって両者に益があるから、行われるのです。少なくとも、それは強者が弱者に一方的に要求を押し付けて終わりというようなものではない。
 上のような会話が行われた結果、交渉決裂、再戦となった時、ヤンも死ぬかもしれませんが、ラインハルトもまた少なからぬ人命を支払わなければならない。しかし、それは、二人のどちらにとっても好ましくない事態でしょう。
 であればこそ、双方それなりに納得のできる妥協点を見つけあうわけです。その時、ヤンが提出する「内政自治権を有する民主共和制の一惑星の存在を認めて欲しい」という妥協案について、ラインハルトが妥当と思うか否かが、交渉の最大のポイントになるわけですが、これについては10巻でユリアンが交渉成立させているという作中事実もあるわけですから、それから考えれば、全くお話にならないということはないでしょう。というか、交渉成立になった可能性は、充分にあると思いますが。

>  上でも述べたように、ヤンの戦略構想の中には「ラインハルトが病で倒れ、夢の中でキルヒアイスに諌められる」などという予測などどこにも存在しなかったのですし、「病気」や「夢」のような要素は、ラインハルトの脳内妄想で自己完結的に出現したものでしかなく、ヤンの戦略構想とは全く無関係なものでしかありません。「結果」を逆算してヤンを過大評価するのは止めていただきたいですね。
>  これがヤンによってもたらされたと言うのであれば、「魔術師ヤン」が実は本当の魔術師で、何らかの魔術を使ってラインハルトの健康状態や深層心理をはるか遠方から操ってラインハルトを動かしていた、などといった類のトンデモ裏設定でも作成するしかないでしょう。もちろん、そんなものが一切成立しないことに関しては今更言うまでもないでしょうが。

 これについては、上で説明しました。
 別に、ヤンは『皇帝は中途で病に倒れるだろう。すると、夢の中にキルヒアイス提督が出てきて、皇帝を諌めてくれるだろう』などと推測したわけではありません。『この戦の意義を鑑みるに、戦況によっては、皇帝は講和を考えるだろう』と推測しただけです。

>  上記で挙げたようなことは、事前予測でも充分に把握することができるものです。ヤンの戦略構想や事前予測とは全く無関係かつ想定外の「類稀なる僥倖」がなかったら、絶対にヤンが敗北していたことは間違いなかったでしょう。だからこそ、事前予測として、ヤンには勝利できる可能性も、民主主義を残すことができる可能性も全くありえなかったと言わざるをえないのです。

 もう一度繰り返したいと思います。
 ヤンが事前予測したことは、『この戦の意義を鑑みるに、戦況によっては、皇帝は講和を考えるだろう』ということです。
 そして、ヤンの善戦により、その予測は現実になりました。また、ヤンは途中で暗殺されて実現こそしませんでしたが、会談の席上での交渉で、ヤンの提出する妥協案で交渉成立となった可能性も充分ありました。
 以上を考慮すれば、回廊の戦いの勝算は、決して0%ではないと言えます。

収録投稿252件目
board4 - No.3692

Re:亜光速ミサイルシステム

投稿者:古典SFファン
2003年02月19日(水) 20時57分

> うーむ、どうやら逃げるしかないようだ。この時点での同盟の
> 衰勢はハードウェアは覆しようが無いみたいですね。
> 魔術師がもう一人いれば、あるいは何とかなるかもしれないけど
> どうやらいないようだ(笑)

そりゃ、10万対1000でどうしろと(笑)。
それで敵の急所を直撃できたら文字通り魔術です。

> 理想の亜光速ミサイルがあれば、戦術の幅がずいぶん広がりますね。
> 自力でワープできるならば、いろいろ使えそうだ。
> 移動要塞を狩るには最適ですね。数も万の単位でそろえられるし。

大型ミサイル(戦艦級や重巡洋艦級)はそんなに数をそろえられないでしょう。
(戦艦と言うのは帝国じゃ将官のステータス・シンボルですしねえ♪
数万の1個艦隊の中に何百も居ないんじゃないでしょうか)
やはりこういう場合、財布の中身が(−−;;;。
盛大にミサイルとしてぶっ放せるほど戦艦を抱えていたら、もろそれで艦隊戦に勝てそうな。
が、中・小型ミサイル(軽巡洋艦や駆逐艦級)なら、おそらく数を揃えられますし、何なら専用に建造したって良いんじゃないでしょうか。

移動要塞に関する限り、長距離の探知や追跡が困難なあの世界では、
追いかけて狩るのはかなりしんどいでしょうが、この種のインスタントな
「対要塞ミサイル」
なら、およそ防衛隊が居る全ての恒星系に、あっという間に拝眉可能でしょう。
(何しろ、ある程度大きくて重くて無人化可能な宇宙船と、バサード・ラムがあれば何とかなりますから)
・・そして、移動要塞に関する限り、撃破する必要はなく、
「エンジンを1つか2つ、潰せばいい」
作中では12基のエンジンに、9万人の工兵が1ヶ月以上掛かっています。
その計算なら、1個破壊されたら数日は足止めできる。
必要なら動けなくなった要塞に、小型のミサイル(駆逐艦の10や20)を使って追い討ちをかけて置けば、効果的に修理を妨害できるかも。
あとは艦隊が大量の亜光速ミサイルと、必要なら小惑星を携えて来る
のを待ち、要塞主砲の射程外から、撃って撃って撃ちまくれば済むと。

足止めした移動要塞を破壊するのと、固定の要塞を破壊するのは基本的には同じ方法です。
要するに、要塞主砲は怖いし、装甲が分厚いので、
「主砲の射程外から撃てて、装甲を突破できるミサイル」
を使えばいいという事ですね。

防御側としては、逆に「その手を使わせない」のが防御戦術のメインとなるでしょう。
艦隊を使って要塞を防衛し、要塞主砲で惑星を狙うも良し。
先に艦隊を出して制宙権を奪っていれば、500〜1000光秒の
探知距離で亜光速ミサイルを探知し、FTLで通報出来るでしょう。
(FTLを妨害する防衛隊や艦隊を先に掃除して置けばよい)
いかに光速近いとは言え、位置が判っていれば要塞主砲を自動照準で発射し、撃破できる可能性は大いにあります。
レーダーを探知機とFTLに、機関砲を要塞主砲に変えた、宇宙スケールのファランクス・システムというわけです(笑)。

ただ、こういうところでは本当に、
「技術の進歩は戦術を変える」
「ハードウェアに頼り過ぎた戦術は盲点を生む」
という事情が相補的に効いてくるでしょう。

亜光速ミサイルと要塞は、ちょうど「矛と盾」のような関係とも言えます。
「それを使った戦術を非常に得意とする指揮官」が出て来ると脚光を浴びる類のもので、
便利と思って迂闊な使い方をすると、弱点を衝かれて足をすくわれると(笑)。
なかなか、面白い小道具を出して来てくれた事に感謝します:SAIさん。

収録投稿253件目
board4 - No.3694

Re3691:勝算の実態

投稿者:冒険風ライダー
2003年02月20日(木) 00時21分

<"ヤンは、以下のように事前推測した。
『帝国側にとって、この戦いに勝って得られるものは少ないのだから、自軍に多大な被害が生じれば、本来は暗愚な君主でない皇帝は、より良い事態解決のために講和を申し出てくる(もしくはこちらからの講和申し出を受け入れる)可能性が高い』"
 私は、このヤンの推測をおかしなものとは思いません。むしろ、ラインハルトの為人を良く分析した、妥当な推測と思います。
 勿論、ラインハルトは頑固な性格ですから、犠牲が出ても頑なさを固持して、講和にならない可能性だって充分ある。だから、あくまで「可能性が高い」なのだし、「それは賭けだ」とも前回申し上げました。
 ですが、その賭けの勝率は冒険風ライダーさんが言うところの0%ではなく、もっと高い確率です。それは、実際にヤンがこの賭けに勝ったことからも明らかでしょう。
 むしろ、冒険風ライダーさんが何故「病気」や「夢」にそんなにこだわるのか分かりません。それは単にきっかけに過ぎないと書いたつもりですが。>

 だから何度も言っているように「類稀なる僥倖」という「『結果として』発生した偶発的要素」から逆算して「ヤンに勝算があった」と結論付けるのは間違っていますって。その「実際にヤンがこの賭けに勝った」という事実は、ヤンの戦略構想とは全く無関係かつ想定外のところから出てきたものでしかなく、しかもラインハルトはイゼルローン要塞に籠もったヤンの手強さも、「回廊の戦い」で自他共に多大な犠牲が出ることをも全て承知の上で、「ヤンを叩き潰す」と宣言して遠征を行っていたのですから、そんな相手と和平が成立しえると考えること「自体」がすでに根本から間違っているのです。
 それに前の投稿でも書きましたけど、バーミリオン会戦時におけるラインハルトの対応から考えても、戦いを続けることによってラインハルトとの和平が成立することなどありえなかったことは一目瞭然なのですよ。バーミリオン会戦でアレほどまでに追い詰められていた時のラインハルトは、ヤンの目的が自分の生命を絶つことによって帝国軍を退却に追いやる事を充分に承知しており、逃亡すれば再起を図ることが可能であることも知っており、さらには周囲からさえもそのように進言されていたにもかかわらず、それでもあくまで逃亡を頑なに拒んでいたではありませんか。敗北寸前の状態でさえこの有様では、自らの優勢を信じ、勝勢に乗っている時ではなおのこと、和平交渉を自分から提案してくるなどという事態など、本来ならば到底考えられないことなのです。実際、例の「病気」と「夢」がなければ、ラインハルトはそのまま戦いを継続してヤンを打倒してしまっていたことでしょう。
 それに、イゼルローン要塞に立て籠もって強大な戦力を保持しているヤンを打倒することがいかに困難であるかなど、別に今更戦わずとも当事者全員が簡単に認識できる程度の話でしかないでしょう。そんな「当たり前なこと」を目の当たりにしてもなお、ラインハルトは「自らの個人的矜持とプライド」を最優先してヤンに対して戦いを挑んできたのですから、ラインハルトはこれからの戦いでどれほどまでの犠牲が出るかも全て承知の上で戦いを挑んできているわけで、その時点で「余程の僥倖でもない限り、和平は絶対に成立しえない」と考えるのが自然ではないですか。
 繰り返し言いますが、例の「類稀なる僥倖」がなければ、ラインハルトがヤンに対して和平交渉を提案してくるなどという事態は、本来全くありえない話だったのです。結果から逆算してヤンを過大評価するのは止めて頂きましょうか。

 さらに言えば、もし本当に「帝国軍に多大な損害を与えることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという戦略方針を取るのであれば、そもそもイゼルローン要塞に立て籠もって防衛体制が完備した時点で、ヤン側から「我々は帝国と敵対するつもりはない、今後のことで話し合いたいので和平交渉の席を設けて頂きたい」といった類の提案を、自軍の軍事力を大々的に誇示しながら全宇宙に向けて発信することによって、ラインハルト以外の人間を動かせば良かったのです。
 周知のように、あの愚劣な「回廊の戦い」はラインハルトひとりが周囲の反対を押し切って強引に行ったものでしかなく、周囲はことごとくラインハルトの出征に反対していました。そこに「和平」という揺さぶりをかけ、ラインハルト以外の人間を動かし、下から意見を突き上げさせることによって最終的にラインハルトが「動かざるをえない状態」に持っていき、和平を実現させた方がはるかに効果的なのです。成功すれば全く戦わずしてそのまま和平交渉に入ることができますし、成功しなくても、ラインハルトの侵攻を遅らせる時間稼ぎ程度にはなったはずです。
 またこの策は、ラインハルト麾下の将兵の厭戦気分にも訴えることができます。ラインハルトはそうでなくても、実際に前線に出て戦う者たちにとっては、辺境の僻地にあるイゼルローン回廊などどうでも良いものでしかないでしょうし、ヤンの脅威を知る者も少なくはないのですから、「そこまでやる必要はあるのか」という感情を刺激することができるわけです。示威行為としては、実際に戦うことなどよりも、こちらの方がはるかに効果があります。
 それに対して、ただ単に戦うだけでは、ヤンの側も損害が出ますし、ラインハルトの戦闘意欲を悪戯に刺激することによって、戦い自体が泥沼化・消耗戦化する可能性も出てきます。それは必然的に自軍の弱体化をもたらし、ただでさえ圧倒的な戦力差を更に拡大させる結果にも繋がりかねないでしょう。それではますますもって「対等の交渉」が行われる可能性はなくなっていき、最終的な破滅の結末を迎えるだけです。
 武力とは政治的・外交的敗北を償う最後の手段であり、発動しないところにこそ価値がある。これは銀英伝の中でも語られている警句なのですがね。

<そこでラインハルトが講和を決断するきっかけが何であるかなど、ヤンにとってどうだって良いわけです。それは、ラインハルトがペンダントをいじっていて、『キルヒアイスならどう言うだろうか』と考えることかもしれませんし、かつて自分が誓った『無益に兵士たちを殺すようなことはしない』という誓いを思い出すことかもしれません。ヒルダや双璧からの再度の諫言を受け入れるという形かもしれません。単にコーヒーを飲んだりトイレに行ってリラックスするという形かもしれません。他にもいくらだってあります。病気も夢もたまたまその内の一つだったと言うに過ぎません。
 もし、ラインハルトが夢を見ることがなく、上に書いたさまざまな形で講和を決断していたとして、その時も冒険風ライダーさんは批判されるわけですか。『ラインハルトがペンダントをいじって故人に想いを馳せるということなど、ヤンに予測できたはずが無い。全く類稀なる僥倖で、ご都合主義だ』『ラインハルトが過去の誓いを思い出すことなど、ヤンに予測できたはずが無い』『再度の諫言がなされるということなど、予測できたはずが無い』『コーヒーを飲むことなど予測できたはずが無い』『トイレに行くことなど……』
 このような批判に意味が無いことは明らかです。>

 分かりませんでしたか? 「病気」や「夢」が全く別の事象であったとしても、それがヤンの戦略構想とは全く無関係かつ想定外のところから出てくるものである限り、全く同じ批判を私は当然行うに決まっています。それらはヤンの能力によってもたらされたものではなく、ラインハルトの自己完結的な思考に基づいて発生するものでしかないのですし、そもそも何度も述べているように、戦力差でも戦略的格差でも、さらには「ヤンがラインハルトを討つことはできない」という観点から言っても圧倒的優勢にあるラインハルトが、自分から和平提案を行うこと「自体」が本来全くありえない話だったのですから。
 バーミリオン会戦をはじめとするラインハルトの行動を見る限り、たとえ将帥の全てが戦死し、自分の身が危うくなる事態に直面してさえ、ラインハルトは降伏も逃亡も拒否して戦い続けることは明らかです。そんな相手と、しかも自軍が圧倒的劣勢下にある状態でわざわざ正面から戦ったところで、それはラインハルトの戦闘意欲を悪戯に刺激するだけなのであって、どちらかが完全に殲滅されない限り、戦いが終結することなど絶対にありえないのです。バーミリオン会戦でラインハルトと直接戦い、あそこまで実際に追い詰めた張本人であるヤンであればなおのこと、この認識に行き着いてもおかしくはないのですがね。
 それにヤン自身、かつてユリアンに対してこんなお説教を垂れていたはずでしょう↓

銀英伝外伝2巻 P101下段
<「戦略には、勘なんかの働く余地はない。思考と計算と、それを現実化させる作業とがあるだけだ。たとえば、ある方面に一〇〇万の兵力を配置するためには、兵力それ自体の他に、それを輸送するハードウェアと、一〇〇万人分の食糧と、それら全てを管理するソフトウェアが必要で、そういったものは勘からは生まれてこない。だから、職務に不誠実な軍人ほど戦略を軽視して、戦術レベルで賭けをしようとする。さらに無能で不誠実な軍人になると、精神論で戦略の不備や戦術の不全をごまかそうとする。食糧や弾薬を補給もせずに、闘志で敵に勝つことを前線の兵士に強要する。結果として、精神力で勝ったということはある。だけど最初から精神力を計算の要素にいれて勝った例は、歴史上にひとつもないよ」>

 「精神力」のところを「ラインハルトに対する希望的観測」に置き換えて考えてみると、上で述べられている「無能で不誠実な軍人」という評価は、まさに「回廊の戦い」におけるヤンに対してこそ当てはまるものでしょう。ラインハルトの胸先三寸が当てになるという「根拠のない勘」でもって「戦略の不備や戦術の不全をごまかそうと」し、勝算が全く存在しないはずの戦いに、あるはずもない勝利の幻想を見出していたのですから。全く「回廊の戦い」というのは、ヤンが否定していたところの「最初から精神力を計算の要素にいれて勝った」最初の実例となるのではないのでしょうかね。もちろん「類稀なる僥倖に恵まれた『結果として』」ですが。
 あの当時のヤンがラインハルトと戦うことで唯一の勝機を見出すことがあるとすれば、それはバーミリオン会戦と同様、ラインハルトを殺すこと以外にはありえないのです。そして、それが全く不可能事であることなど、さすがのヤンですら認識できていたことでしょう。だからこそ、あの当時のヤンに勝算などありえないのです。

<それはあまりにラインハルトの為人を曲解しています。はっきり言えば、不当に貶めているとしか思えません。
 確かに、ラインハルトには「皇帝の為人、戦いを嗜む」という一面や、頑固に意地を張り通して判断を誤るような一面がありました。しかし、それだけがラインハルトという人物の全てではないでしょう。
 ラインハルトが部下たちを信頼し、大切にしていたこと。それゆえ、彼らから常にない忠誠心を寄せられていたこと。帝国の安定と繁栄のために非常に精力的に働いたこと。それゆえ、民衆からも絶大な支持を受けていたこと。これらのことは、銀英伝全てにおける無数の作中事実から明らかです。(というか、どうしてそういう作中事実の方はまるっきり無視しちゃうんでしょうか)>

 この議論で論じる際に重要なのは、戦時におけるラインハルトの対応「だけ」であることがお分かり頂けていますか? そりゃ確かにラインハルトは平民や部下達からも慕われてはいたでしょうし、政治面では多大な功績を上げてもいたでしょうが、それはあくまでも政治家として評価した場合の話であって、戦時におけるラインハルトの愚劣な「凶行」の罪を覆すものなどでは全くありえません。
 実際、戦時におけるラインハルトは、それこそ「戦争狂」としか評しえないほどに戦争を追い求め続け、第8次イゼルローン要塞攻防戦、マル・アデッタ会戦、回廊の戦いと、明らかに「個人的矜持とプライドを満たす」という愚かしい理由などのために無為無用な戦いを自ら仕掛け、将兵を死地へ追いやってきたのです。そして、このような「凶行」に関しては、一般将兵の間からも「皇帝は戦いではなく流血をお好みあるか」だの「いつまで戦いを続けるつもりだ、もういいかげんにしてほしい」だのといった怨嗟を込めた不満が出てきていますし、オーベルシュタインもラインハルトの「戦争狂」的性格を「ゴールデンバウム王朝の門閥貴族とどこが違うのか」と批判していたではありませんか。その負の側面は決して肯定されるべきものなどではないのです。
 政治家としてのラインハルトの評価と、戦略家としてのラインハルトの「凶行」はこの際分けて考えてください。私が論じているのは後者の方なのですから。

<あと、冒険風ライダーさんはしきりに「対等の交渉」という言葉を使っていますが、そもそも交渉というものは、両者が対等でなければ全く成立しないものなんですか。現実世界でも、強大な組織/個人と弱小な組織/個人が交渉や取引をすることなどざらにあると思うのですが、その場合も冒険風ライダーさんは、弱小な勢力は強大な勢力にただ一方的にいいようにされるしかないという御意見なのでしょうか。
 ヤンは「同盟領を全部返せ」というような無茶を言いたいのではありません。「弱小勢力は弱小なりに宇宙の片隅で勝手にひっそり生きていきますので、その許可を頂きたい」というような、言うなれば彼の立場からして、おそらく「分相応」と思われる願いを聞いてもらいたいだけです。
 何故、ここでラインハルトと対等の立場に立たなければならないのか、私には全くわかりません。>

 外交に限らず、あらゆる交渉や取引においても、基本的には力の強い者が弱い者に対して主導権を握るのは、力の論理から言っても当然のことです。たとえささやかな要求であっても、相手を威圧できるだけの軍事力を背景に要求しなければ、足元を見られて更に値切られることは確実です。一般社会においても、力の源が軍事力ではなく経済力や特殊技術、あるいは商品価値などだったりするだけで、本質的にはこれと全く変わることがありません。
 そもそもラインハルトは、ヤンとその一党を全て滅ぼし、宇宙を統一することを望んでいたのでしょう? その望みの前では、「弱小勢力は弱小なりに宇宙の片隅で勝手にひっそり生きていきますので、その許可を頂きたい」などという「ささやかな要求」でさえ、本来ならば宇宙統一にとっては邪魔になるものでしかないのですし、将来的な禍根を残す可能性が全くないとは決して言い切れない「許されざる要求」なのです。ならばその「ささやかな要求」を押し通す「だけ」でも、相手を威圧し、自分達の要求を堂々と主張することができるだけの軍事力が必要になることは自明の理というものでしょう。ラインハルトの立場であれば、ヤンの「ささやかな要求」でさえも簡単に潰してしまうことができるのですから、「軍事力を背景にした対等の交渉」というのは、「ささやかな要求」を通すための最低必要条件でしかないのです。
 「ささやかな要求」ですら聞き入れられないかもしれないほどに、「回廊の戦い」時におけるラインハルト側は圧倒的優勢にあり、それに対するヤン側は見るも無残なほどの弱小集団でしかないのです。だからこそ、「対等の交渉」を行うためには、それなりの切り札や軍事力が必要となるのです。

<また、ヤンはラインハルトと戦ったのであり、他の誰と戦ったのでもありません。『ラインハルト以外の人間であれば絶対和平に応じない』(というのも怪しいと思いますが)というような批判は全く的外れです。
 敵がラインハルト以外の誰かであれば、ヤンはその誰かに応じた作戦を立てていたでしょう。それだけのことです。(というか、そもそもラインハルトでなければ、こんな親征は最初からしないでしょう)>

<ですから、無防備の惑星を包囲占領してヤンを脅すと言うような作戦をラインハルトが良しとするなら、そもそもこんな親征は最初から不要なんです。
 ラインハルトは、堂々と実力で勝利を得たいのです。バーミリオンの時の二番煎じのような「卑怯な」手段で得た勝利など、何の意味もないんです。
 そういう固定観念に縛られたラインハルトは、確かに愚かです。ですが、そういうラインハルトの心理を読んだ上で作戦を立てたヤンまで愚か者にされてはたまったものではありません。>

 前の方で引用した「ラインハルトの為人」を擁護していた箇所と、上記の引用文は内容が大きく矛盾しているように思えるのですが、上記の意見を採用するのであれば、ラインハルトは弁護の余地なく愚かな人間であったということでかまわないのですね? だとすると「ラインハルトとは交渉の余地が全くなかった」という私の主張は正しいということになってしまいますが。
 それと、あなたはどうもラインハルト「だけ」を見据えて相手をしてさえいれば良く、それ以外の予測など考えるにも値しないなどと本気で考えているようですが、ならばバーミリオン会戦時にラインハルトが追い詰められていた時に、ラインハルトの意向を無視したヒルダが独断でミッターマイヤーとロイエンタールを説得して惑星ハイネセンに脅しをかけさせ、ヤンの「戦術的賭博」を根底から覆してしまった事件は一体どう説明するのですか? ラインハルトだけを見ていれば良いわけではないことなど、この事例ひとつ取っても一目瞭然ではありませんか。「回廊の戦い」でまた同じことが繰り返されない、という保障などどこにもないのですよ?
 ラインハルト自身がエル・ファシル本星の制圧や回廊封鎖作戦などを考えなかったとしても、部下が全く考えないということはありえませんし、ラインハルトが部下の進言を受け入れる可能性だって考えられるでしょう。また、戦況が膠着状態に陥り、にっちもさっちもいかなくなった場合に、ラインハルトが事態打開の策としてエル・ファシル本星の制圧を決断する可能性もありえるのです。未来がどのように推移し、どのような事態が待ち構えているかなど誰にも分かるはずもないのですから、ヤンの立場であれば、起こりえる最悪の事態を全て想定し、可能な限りの対策を立てなければならないのは当然の事ではありませんか。
 ヤンが相手にするべき敵は皇帝ラインハルトだけでなく、政府も軍も全て含めた「帝国という専制国家」そのものなのです。そしてバーミリオン会戦でラインハルトひとりのみを見据えた「戦術的賭博」が、ヒルダによって見事に覆された前例があるにもかかわらず、相も変わらずただラインハルトひとりのみを見据えた「戦術的賭博」を行うこと自体、無能の証以外の何物でもないのです。

<交渉というのはそれを行うことによって両者に益があるから、行われるのです。少なくとも、それは強者が弱者に一方的に要求を押し付けて終わりというようなものではない。
 上のような会話が行われた結果、交渉決裂、再戦となった時、ヤンも死ぬかもしれませんが、ラインハルトもまた少なからぬ人命を支払わなければならない。しかし、それは、二人のどちらにとっても好ましくない事態でしょう。
 であればこそ、双方それなりに納得のできる妥協点を見つけあうわけです。その時、ヤンが提出する「内政自治権を有する民主共和制の一惑星の存在を認めて欲しい」という妥協案について、ラインハルトが妥当と思うか否かが、交渉の最大のポイントになるわけですが、これについては10巻でユリアンが交渉成立させているという作中事実もあるわけですから、それから考えれば、全くお話にならないということはないでしょう。というか、交渉成立になった可能性は、充分にあると思いますが。>

 ヤンにとっては確かに交渉の成立がその後の命運を左右するわけですし、目的を達成することができる唯一の手段なのですから、そりゃ必死にもなるでしょうが、一方のラインハルト側はというと、こちらは必ずしも交渉に行わなければならない必要性などないのですよ。ラインハルト側はヤンおよびその一党を殲滅してしまえば、それで銀河統一という目的を達成することができるのですし、仮に再戦となってまたダメージを受けたとしても、要塞に閉じ籠っている相手の戦力が再び回復するわけでもないのですから、あらゆる犠牲を覚悟で何が何でもヤンの首を取ってもかまわないわけです。というか、ラインハルト側にとってはむしろそちらの方がはるかに目的にかなっているのですし、将来発生するかもしれない問題の芽を事前に摘み取ることもできるわけなのですから、交渉を意図的に決裂させ、交渉決裂の全責任をヤン側に擦りつけて再戦に突入する、という手を使う可能性も充分に考えられるのですけどね。
 また銀英伝本編で交渉を申し込んだラインハルト自身、作中で次のような主張を展開しています↓

銀英伝8巻 P109下段〜P110上段
<皇帝ラインハルトは国政に無関心であったり無責任であったりしたわけではない。彼は良心的な為政者であったと、姿勢においても結果においても、評してよいであろう。しかし、彼はまず本質的に軍人であり、為政者としての彼が意識と努力の産物であったのに、他方の彼は無意識と天分とで構成されていた。したがって、彼の支配体制、彼の帝国においては、つねに軍略が政略に優先する。このとき、彼の精神の辺境には、ヤンとの会談を自身で否定する部分もたしかに存在した。
「予自身が不甲斐なくも発熱したという理由もあるが、将兵も疲労しているし、補給を待つ必要もある。ヤン・ウェンリーとの会談は、そのまま妥協を意味しない。再戦の準備をととのえるため時間をかせがなくてはならぬ」>

銀英伝8巻 P123下段〜P124上段
<ラインハルトは秘書官のヒルダ、ごく近い将来に大本営幕僚総監となるはずのマリーンドルフ伯爵令嬢に、つぎのように明言しているのである。
「予はヤン・ウェンリーに手を差しだすつもりだが、ひとたびそれを拒まれたときには、ふたたび握手を求めるつもりはない」
 ラインハルトの気性からいっても、皇帝としての尊厳からしても、それは当然のことであった。>

 これらの記述をどう読んでも、ラインハルトは会談による和平にそれほどの意義を見出していたようには見えないのですがね。また、仮にラインハルト自身が納得したとしても、ラインハルト麾下の将兵や将帥達、さらには帝国政府が納得しない、という事態も考えられるでしょう。ヤンとヤン一党は、ラインハルトを除く全ての帝国側関係者にとっては「帝国統一の障害」としてしか映らないでしょうし、今までの戦いで仲間や親兄弟を殺された怨みなどもあるでしょうからね。上の主張と併せ、ラインハルトがそのような部下や将兵の感情を蹴ってまで、ヤンに譲歩しなければならない理由があったようには到底思えません。
 銀英伝10巻でユリアンがラインハルトとの交渉を成立させることができたのは、皮肉なことにユリアンがヤンに比べてあまりにも未熟で、かつ戦力も問題にならないほど少なかったがために、却ってラインハルトの戦闘意欲を削いでしまい、温情を示す「余裕」が出てきたことが何よりの原因でしょう。そして何度も言われているように、バーラト自治区は帝国内務省でさえ「難治の地である」と匙を投げた地域であり、しかも「皇帝の温情」によってかろうじて成り立っている弱小政体、いつでも帝国側の意のままにできるという状態に置かれているわけです。はっきり言いますけど、その実態は「自治区」というのも哀れなほど惨めな隷属的存在でしかありません。
 結局のところ、本当の意味で民主主義の擁護を掲げるのであれば、自前の軍事力で自立し、敵を圧倒できるだけの体制を整えるしか方法はないわけです。その意味で、ラインハルトの胸先三寸に全ての命運が委ねられている「回廊の戦い」は、勝算ゼロ・100%必敗確実であると言わざるをえないのです。

収録投稿254件目
board4 - No.3695

移動要塞の技術問題について

投稿者:Night
2003年02月20日(木) 00時48分

 何回も繰り返している主張なのですが、誰からも反応が来ないので、もう一度書こうと思います。(しつこいと思われるかもしれませんが……)

>  確かに私が提案している移動要塞改造も、確かに失敗する要素は少なくないかもしれませんし、懸念される問題もたくさん存在するでしょう。しかしそれでも、成功する可能性は決してゼロにはなりえない以上、障害があるのであれば、ありとあらゆる策を使ってその障害を排除・消滅させる努力を行っていくべきなのですし、またそうしていくことこそが、将兵を指揮統率し、国民を守るべき最高司令官としての責任と義務でもあるでしょう。工員が足りないというのであれば工員を強引にでも調達する術を考えるべきですし、時間が足りないのであれば時間稼ぎの外交手段を模索するべきです。あの愚劣な「回廊の戦い」などで「滅びの美学」でも堪能したいというのでなければ、これこそがあの当時のヤンに与えられた唯一の可能性であり、何物にも勝る「ベター」なのです。

 結局の所、上で冒険風ライダーさんが主張しているようなことの根底には、一つの論理があります。つまり、『ガイエスブルク要塞を移動要塞化できたのだから、同じ要領でイゼルローン要塞も簡単に移動要塞化できる』というものです。
 上で冒険風ライダーさんが補足している事も、結局はその延長に過ぎません。要は、上の論理の末尾に『障害があったとしても、工員を余分に注ぎ込んだり、時間稼ぎをしたりといった努力さえすれば、実現できるはずだ』という文が追加されているだけです。

 上の論理の前半部は紛れもない作中事実であり、疑念を挟む余地はありませんが、後半部は自明の理ではありません。銀英伝の歴史上、移動要塞化が行われたのはガイエスブルク要塞ただ一機であり、その成功は、直ちにイゼルローンも移動要塞化できることが証明された事を意味しません。二つの要塞は必ずしも同じではないからです。

 それを明らかにするために、No.3603やNo.3635で、二つの要塞の大きさの違いを挙げました。ガイエスブルク要塞は直径45km、質量40兆トン。イゼルローン要塞は直径60km、質量不明(アニメ版では60兆トンだそうですが)。
 イゼルローン要塞は、ガイエスブルク要塞の3倍近い体積があります。全く同じように12基のワープエンジンと通常航行エンジンで移動要塞化できるでしょうか。
 すぐに問題になると思われそうな技術上の課題については、以前書いているので一々繰り返しません。問題は、冒険風ライダーさんが上の文に

> 成功する可能性は決してゼロにはなりえない

 と書いているところです。
 イゼルローン移動要塞化計画の成功確率など、あっという間にゼロになりえます。例えば、研究や実験の結果、以下に並べるような事実が判明するようなことがあれば、その瞬間に成功確率はゼロになり、計画そのものが頓挫します。そして、頓挫してしまったら、残されるものは未完成の移動要塞と、整備もろくに終わっていない傷だらけの艦隊だけです。

「イゼルローンをワープさせるには36基のワープエンジンの同調が必要ですが、現代の技術水準では、36基のエンジンの同調は不可能と分かりました」
「イゼルローンの場合、ワープエンジン、通常航行エンジンの出力を3倍にする必要があるのですが、現代の技術水準では材料の強度その他の問題があり、そのエンジンの作成は不可能です」
「エンジンの作成自体は可能と思うのですが、さらに3年ほどの研究が必要です」
「イゼルローンがワープ時に引き起こす時空震は非常に強大なものであり、中に住む生物は全て死滅してしまいます」
「イゼルローンがワープ時に引き起こす時空震は非常に強大なものであり、ワープしたとしても痕跡が残り、どこに行ったか容易に探知されてしまいます」
etc...

 『成功する可能性は決してゼロにはなりえない』と断言するためには、上に書いたような技術上の諸問題は一切起こりうる余地はない、ということを説得力をもって証明する必要があるのです。

>  繰り返し言いますが、「回廊の戦い」でヤンが勝てる可能性も、民主主義が生き残れる可能性も、どちらも一片たりとも存在する余地すらありません。可能性が全く存在しない「回廊の戦い」と、とにもかくにも可能性が存在する移動要塞戦略のどちらを取るべきだったか、答えは一目瞭然なのではありませんか?

 だから、私は冒険風ライダーさんに問いたいのです。
 ワープやエンジンについて、私と同様、銀英伝の作中事実しか知らない冒険風ライダーさんは、いかなる根拠や証明によって『成功する可能性は決してゼロにはなりえない』『とにもかくにも可能性が存在する』というようなことを断言しているのか。
 実の所、他のスレッドで演繹だの帰納だのと色々ともめているのも、このあたりの証明に隙なりあいまいさなりがあるのが原因ではないかと私は考えています。諸問題の整理のためにも、冒険風ライダーさんの考えの中ではどのような整理になっているのかお答えいただければ大変ありがたいです。

 できれば、他の皆さんの御意見も聞きたいと思っています。

収録投稿255件目
board4 - No.3697

Re:移動要塞の技術問題について

投稿者:a-ru
2003年02月20日(木) 05時24分

どうも、a-ruです。
私は、Nightさんの意見を支持して、
レスをたてていたんですけど。(笑)

私もNightさんの意見に概ね同意です。
作中の現実を元にした結果、可能性の高い推論だと思います。
私は別の視点で述べます。

私が、帰納法を用いるのは帰納法ならば結論が初めから出ているので、いろいろな可能性をあげてもほとんど問題は起こらないからです。演繹法だと結論が出ていない上に、可能性も無限大なわけですから、結局無数にある中のひとつの可能性の提示だけで終わるわけです。「必ずこうなる」という答えは出ないのです。
ですから、帰納法で出した可能性の中で、一番選ばれる確率高い方法を選び、それを元に演繹して、未来の可能性が高い方法を選ぶことが出来る範囲だと思います。もちろん低いものを選んでも良いわけですが、前提を決めなければ混乱が起こるでしょうね。(苦笑)

私の疑問は、ガイエスブルク要塞を移動させた事実が冒険風ライダーさんのいう 恒久的移動要塞と言えるのかと言うことです。
シャフト科学技術総監は「要塞砲に対して要塞砲で対抗する」という
(天才か、ド素人の発想だと私は思ってしまうのですが)ロマンあふれる面白い発想の元に計画しているわけで移動要塞を造る事が目的ではなく、要塞を移動させることだけが目的であると言えるのではないでしょうか。このことは、工期も一ヶ月程度で出来た原因の一つの可能性を示しています。
しかし、これ以上の考えは述べて無いわけで、そのような物であるからエンジン部に弱点を抱えたと言えるのではないでしょうか。
ラインハルトは兵器技術士ではない以上、分からなかったとしても無理はないでしょう。

そう考えると、作中には可能性としてはあるが移動要塞というのがあるとは言えないのではないでしょうか。
銀英伝のなかでこれこそ、移動要塞という兵器の存在がはっきりと分かるところがあるのならばぜひ提示していただきたいです。

また、ヤンやユリアンの言動を見る限り、逃亡する場合の話しではないですか。帝国でゲリラ行為をするという記述は全く無いですし、何とか自給できると言っていることから、戦闘行為が起こると自給に支障を来たす可能性もあります。自給が出来るからといって、消耗戦になれば間違いなく負けます。
そもそもゲリラ活動を行うには第一に、地の利をほぼ完全に把握していて、相手はあまり知らないという状況でなければあまり効果が無いです。第二に安全な航路の情報は持っている可能性は十分に考えられますが、危険宙域に関する情報は少なくとも帝国以上持っている可能性はゼロに近いのではないでしょうか。このことから結局行動範囲というのは限られる以上、民間船なども合わせれば、捕捉することは決して困難ではありません。発見され、追跡された時点で負けです。
第3に要塞内の統治方法にしても、独裁体制は軍事行動もする以上、ぎりぎり受け入られるでしょう。また、長期間になれば選民思想を取り入れることは維持のためには有効な手段と言えます。確かに、独裁官というのは民主主義の一形態としてありますけど、この体制は民主主義と言えるんですか?どちらかと言えば最近話題の近隣国といい勝負としか思えないですね。
また以前も申したのですが、恒久自給のどこが最強になり得るのかが分かりません。相手の補給に問題があるのならば有効な武器となり得るでしょうが、国力では千、万倍どころでないわけですし、補給路を確保すれば問題無いことです。それでも不安ならば自給可能な艦艇を製造すればいいだけの話しではないでしょうか。そもそも、イゼルローン要塞は帝国によって築かれたことをお忘れですか。

また、オーディン攻撃を実行するとき、はたして指揮官は実行できるのでしょうか?良くて拘束、悪くて銃殺のいずれかの可能性の方が高いと考えるのは自由惑星同盟人民を信用し過ぎですか?しかも反骨精神旺盛な方々がいらっしゃるのに。

そして移動要塞ことよりも、一番大きな問題は、ラインハルト、ヤンをこの一事で無能とすることが正当な評価といえるのかということです。そして、仮に彼らが無能だとしたら、彼らについてきた諸将は無能なのか?大衆は?そして、読者はどうなるのか?
と言うような疑問が沸いてきます。

彼らにも愚かしいことはありますし、矛盾もあります。しかし、長所と短所はコインの裏表、見る方向で評価も変わるものです。
そんなことは今も、昔も、大差ないからこそ歴史は面白いと思います。

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