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カテゴリー「映画概論」の検索結果は以下のとおりです。

最近のハリウッド映画ではセックスシーンが減っている?

ハリウッド映画からセックスシーンが激減したと、アメリカの雑誌で報じられているようです↓

http://eiga.com/news/20130320/14/
> [映画.com ニュース] ハリウッド映画からセックスシーンが激減していると、エンターテインメント・ウィークリー誌が報じた。
>
> 「氷の微笑」「ゴースト」「テルマ&ルイーズ」を例に挙げるまでもなく、
かつてハリウッド映画にセックスシーンがつきものだった。しかし現在、メジャー映画ではかなり減少しており、今年の第85回アカデミー賞作品賞にノミネートされた全9作品うち、セックスシーンが含まれているものはひとつもない。
>
> ジェニファー・ローレンスが、性に奔放なキャラクターを演じ主演女優賞を受賞した「世界にひとつのプレイブック」でも、濡れ場は皆無。ハリウッドのメジャースタジオの依頼で脚本分析をするメディア調査会社IPSOSの重役は、過去2年間で劇的にセックスシーンが減ったことを
「カットされることになると分かっているので、脚本家が最初から省くようになりました」と説明する。
>
> では、どのような理由でスタジオはセックスシーンをカットするようになったのか。それには、複数の理由が考えられる。まず、興行収入をアップさせるためには、若年層の動員が欠かせない。そのためには、
17歳以下の入場を禁止するR指定ではなく、R-13(13歳未満の子どもの鑑賞については保護者の注意が必要)に抑える必要がある。映画のレイティングを審査するMPAAは、暴力描写よりもヌードやセックス描写に厳しいことで知られていることもある。
>
> さらに、インターネットの普及によるヌードの価値低下が挙げられる。いまではオンライン上のアダルトサイトで容易にヌードを閲覧できるため、映画におけるヌードシーンが観客動員につながらなくなってしまったという。そして、VFXの躍進。VFXこそ観客動員の鍵となっているため、派手な映像に力を入れるようになったことも一因になっているようだ。もっとも、この傾向がみられるのはハリウッドのメジャー作品に限定されている。

しかし、そもそもハリウッド映画って、そこまでセックスシーンを大々的に売りにしていましたっけ?
昔からハリウッド映画に慣れ親しんでいた私でも、セックスシーンをそこまで売りにしている作品にはあまり心当たりがないのですが。
去年日本で公開され私が観賞した映画だけを見ても、セックスシーンそのものや婉曲な描写を持つ洋画作品は、ざっと思い浮かぶだけでもR-15指定の「ドラゴン・タトゥーの女」「ラム・ダイアリー」、名にも指定されていない作品でも「Black & White/ブラック&ホワイト」「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」「007 スカイフォール」とそれなりの数はあります。
ただ、これらの作品は別にセックスシーンが「売り」というわけではなく、物語の構成要素のひとつとしてたまたまセックスシーンが入っているだけという一面が強いでしょう。
そしてそれは、特にセックスや性の問題をテーマにした作品でもない限りは、ハリウッド映画のスタンダードなあり方でもあったわけで。
昔からアクションシーン等の派手な描写を売りにしてきたハリウッド映画に、セックスや性の問題を扱った作品が元からそこまで多かったわけでもないでしょうし、「激減」とまで言われるほどに数が減っているようにはあまり思えないところなのですけどね。

記事にもあるように、セックスシーンの有無はR-15&PG-12指定の問題とも絡み、ひいては興行収益にも多大な影響を及ぼすので、避ける傾向にあることは確かにそうでしょう。
ただ逆に、R-15&PG-12指定の作品だと、セックスやバイオレンスな描写が昔よりも過激になっている一面もありそうな感じなのですが。
言ってみれば、通常の作品とR-15&PG-12指定作品との「棲み分け」が進んだ結果、セックスシーンもしくはそれを匂わせる「通常の作品」が減ったのではないか、というのが実態に近いのではないかと。
実際、「テッド」のような下ネタ満載のR-15作品なども増えているわけですし。
先日観賞したPG-12指定映画「クラウド アトラス」でも、モロなセックスシーンが普通にあったりしましたからねぇ。
昨今の映画を見ても、セックスシーンを扱う作品は昔と比べてもそこまで減ってなどいないのではないか、という感触すら感じられるくらいなのですが、実際はどんなものなのでしょうか?

日本公開から1ヶ月遅れて上映される地方の映画格差

第85回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞の栄冠を手中にしながら、2013年3月1日の日本公開時点では僅か20都道府県でしか上映されていなかった映画「ジャンゴ 繋がれざる者」
しかしどうやら、2013年4月6日に新たに24都道府県で追加公開されることが決定した模様です。

「ジャンゴ 繋がれざる者」上映映画館
http://www.django-movie.jp/theaters/
3月6日現在
http://megalodon.jp/2013-0308-2320-42/www.django-movie.jp/theaters/

24都道府県の中には熊本県も含まれており、一度は涙を飲んで映画観賞を断念せざるをえなかった私としては朗報ではあります。
ただ一方で、3月1日時点で既に公開されていた20都道府県と、4月6日に追加公開となる24都道府県との間には、明確な映画格差が存在することがはっきりと浮き彫りになってしまっていますね。
さらに言えば、追加公開されてもなお対象外とされてしまっている3都道府県に至っては、もはや「ハブられている」レベルで論外な惨状を呈していると言っても過言ではないのですし。
映画製作者達も全く意図しない形で、映画の地域格差を象徴する作品となってしまっていますね、映画「ジャンゴ 繋がれざる者」は。
まあ、この手の地域格差が発生している映画自体は、別に「ジャンゴ 繋がれざる者」に限った話ではないのですが。
去年日本で公開されたフランス映画「最強のふたり」なども、熊本では1ヶ月以上遅れて公開されていたわけですし。
映画の地域間格差は「機会の不平等」をもたらすものでもあるわけですし、いいかげんどうにかしてもらいたいところではあるのですが……。

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」については、2013年4月6日以降に観賞する予定です。

相変わらず深刻な地域間の映画格差事情

第85回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞の栄冠を手中にし、日本でも2013年3月1日から劇場公開されている映画「ジャンゴ 繋がれざる者」。
この映画は熊本の映画館でも宣伝が行われており、映画館での映画の宣伝は「その映画館でいずれ上映されることになる作品」を意味するものでもあることから、私も当然のごとく公開に合わせて観賞する計画を立てていました。

ところが何と、この映画は土壇場で熊本県内の劇場公開予定が全て消失してしまい、熊本では観賞することすら完全に不可能とされてしまったのです。
「熊本の映画館で宣伝されていたのだから」と熊本での劇場公開を確信し、3月1日のファーストデイの公開に合わせて観賞する予定だった私の計画は簡単に頓挫(T_T)。
これまでの慣習から考えればありえない事実に驚愕し、すぐさま公式サイトの上映劇場一覧を確認した私は、この映画が熊本どころか、日本の47都道府県中わずか20都道府県でしか上映されていないという事実を知ることに。
熊本で公開する気がないのなら、そもそも最初から熊本の映画館でCMなんか流すなよ、と私は腹いせも兼ねて大いに地団太を踏む羽目となってしまったのでした(T_T)。

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」は、レオナルド・ディカプリオ等の大物スターが出演し、ジャンルもアクション映画、さらにはクエンティン・タランティーノ監督製作映画の中では最もヒットした部類に入るとされる作品です↓

http://www.cinematoday.jp/page/N0049501
>  [シネマトゥデイ映画ニュース] 映画『ジャンゴ 繋がれざる者』が、北米におけるクエンティン・タランティーノ監督最大のヒット作になったことが明らかになった。オープニング週末だけで3,000万ドル(約24億円)を超える興行収入を記録した同作は、18日までに1億3,012万ドル(約104億960万円)を稼ぎ出している。(数字はBox Office Mojo調べ・1ドル80円計算)
>
>  これまで最大のヒット作だったのは、2009年の映画『イングロリアス・バスターズ』。ブラッド・ピットとタランティーノ監督の初タッグ作となった同作は、北米で興行収入1億2,050万ドル(約96億4,000万円)を記録している。公開館数だけでいえば『ジャンゴ 繋がれざる者』は3,010館と、『イングロリアス・バスターズ』の3,165館には及ばなかったものの、
公開後1か月足らずでタランティーノ監督のキャリア史上最大のヒットとなった。
>
>  レオナルド・ディカプリオが残忍な悪役を演じていることでも話題の本作は、先日発表された第70回ゴールデン・グローブ賞を助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)と脚本賞(クエンティン・タランティーノ)の2部門で受賞。アカデミー賞でも作品賞を含む5部門でノミネートされており、脚本賞での受賞が有力視されている。(編集部・福田麗)

しかも日本での劇場公開は、ちょうど第85回アカデミー賞の発表直後ということもあり、タイミング的にもこれ以上ないほどのベストと言って良いポジションにもあったはずなのです。
ところが、そういった好条件が重なっていてさえ、前述のような公開状況でしかないということは、つまるところこの映画は、日本における映画配給会社の間では「ヒットしない」という評価が下されているということになるわけです。
事実がそうなのか、日本の映画配給会社の目が救いようのないレベルで明後日の方向を向いているのかは分かりませんが、こんなことが続くと、作品毎における「観賞機会の格差」、および都会と地方の映画格差は拡大する一方です。
カネをかけて大々的な宣伝がかけられる映画は全国公開されることでますます大ヒットする一方、知名度のない作品はたとえどんなに内容が優れていたとしても観賞する機会すら与えられずマイナーなままで終わる、という構図は、あまり良い環境とは言えないのではないのかと。
また、2012年の1年間で日本全国で公開された映画総本数が983本なのに対し、熊本県内で公開されたそれは150本にも満たない数値でしかないという事実が示すように、地方で公開されない映画の存在は地域格差を拡大させる元凶でしかありません。
製作サイドにとっても映画ファンにとっても害にしかならない、この金儲け至上主義な映画館事情とそれに伴う都会と地方の映画格差の拡大は、いいかげんどうにかならないものなのでしょうかねぇ(-_-;;)。

映画の原作マンガの原作使用料が安すぎる事実がもたらす弊害

総額58億円もの興行収益を稼ぎ、続編の製作も決定された映画「テルマエ・ロマエ」
ところが、その原作者が受け取った原作使用料が、わずか100万円程度でしかなかったという衝撃の事実が原作者本人の口から明かされ、話題となっています↓

http://megalodon.jp/2013-0227-0036-03/news.livedoor.com/article/detail/7442593/
> 23日、バラエティ番組「ジョブチューン ~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」(TBS系放送)で、映画「テルマエ・ロマエ」の原作者が登場して、衝撃の告白をした。
>
> 今回の放送では、阿部寛、上戸彩の出演で大ヒットした映画「テルマエ・ロマエ」の原作者・ヤマザキマリさんが登場。
ヤマザキさんは「映画の興行収入は58億円だったが、原作使用料は約100万円だった」「映画がいくらヒットしても私自身は全然儲からなかった」と衝撃の告白をしスタジオが騒然となった。
>
> 映画化の経緯としては、
ある日突然「原作使用料として100万円ぐらい入金されるからよろしくね」と出版社に言われ、金額も勝手に決められていたという。さらには原稿で忙しいなか、一日中映画の宣伝のため拘束されても全てノーギャラ。しかし周りからは「映画の大ヒットで儲かってるんですよね?」などと言われ困ったという。ヤマザキさんは自身の原稿料にも触れて「1ページ2万円弱の原稿を描いてたほうがまだ儲かる」と明かした。
>
> 過去には
漫画「海猿」の原作者・佐藤秀峰さんも、映画化で70億円のヒットとも言われたが、原作者としては250万円ほどしかもらえないと告白しており「漫画家はいい様に利用されていて、それでも映画化されると喜ばなきゃいけない。なめられてると思う」とツイートしている。佐藤さんはその後、映画の契約に関しては小学館(海猿は同社週刊ヤングサンデーで連載)に任せず、行政書士に協力してもらい自身で交渉。映画の3作目からは原作使用料が10倍以上にアップしたという。
>
> ヤマザキさんの告白に対して、ネット掲示板では「これは酷すぎるわ。原作者の意向なんてまるまる無視のひどい実写化が横行するわけだ…」「原作使用料が安いのは知ってたけど、具体的な金額はちょっとショッキングだった」と驚きの声が上がっている。2014年GWに公開が予定されている「テルマエ・ロマエ」の続編では、原作使用料はどうなっているのだろうか。

映画の原作者ともなれば、普通なら利益の3~5%程度の配当を受けても何ら不思議な話ではないはずなのですが……。
映画の場合、出演俳優への出演料にセット・衣装にかかる費用、ロケ地への移動・輸送費など、様々な用途で少なからぬカネがかかるのは分かりきっていますし、興行的にコケた場合のリスクの問題などもあるのでしょうが、しかしいくら何でも原作者への原作使用料が100万円程度でしかないというのは正直どうなのかと。
制作サイドや出版社が、原作および作者をあまりにも軽んじ過ぎているとしか評しようがないではありませんか。
「カネのなる木」に下手にカネを与え過ぎると自分のところから離れていくから、とにかく薄給でこき使い、自分のところに依存せざるをえないようにする、などというブラック企業的な発想でもあったりするのでしょうか?
興行的にコケて利益が出せなかった、とでもいうのであればまだしも、数十億儲かっておいてそれではねぇ(-_-;;)。

昨今の邦画の隆盛は喜ばしいことではありますが、だからこそ原作者には一定の敬意を払い、それなりの権利と利益は保証されるべきでしょう。
ブラック企業の発想でクリエイター達を奴隷のようにこき使い、他人の作品を自分のものであるかのごとく扱う行為が当然のことであるはずがないのですから。
大ヒットした映画の原作使用料が安すぎると、後発の大ヒット作品があってもそれが基準となってしまい、「あの作品でさえこの金額だったのだから……」として少額に抑えられてしまうケースも出てくることになりかねません。
経済の論理から言っても、大ヒット映画には多額の、コケた映画では少額のといった「歩合制方式」で、原作使用料というのは決められて然るべきなのではないのでしょうか?

日本映画の振興支援策と日本の映画料金の問題について

2011年の興行収入が前年比で2割近くも落ち込んだことから衰退の危機が囁かれる日本の映画業界。
その復活のカギは「政府の支援体制の拡充」にあるのだそうです↓

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121104-00000000-fsi-bus_all
>  2011年の興行収入が前年比17.9%減の約1812億円に落ち込み、衰退の危機がささやかれる映画産業に、明るい兆しが見え始めた。複数のスクリーンを持つシネマコンプレックス(シネコン)で娯楽作品が集中的に上映されることが多かった興行にも、個性的で質の高い作品を求める機運が出始め、目の肥えたファンが戻りつつある。10月下旬に開かれた東京国際映画祭は今年で25回を数え、世界で存在感を高めつつある。映画産業「復活」の鍵は欧米に見劣りする政府の支援体制にありそうだ。
>
>  「映画は時代を映す鏡。その力を信じたい」。10月28日に閉幕した東京国際映画祭の記者会見で審査員の一人、イタリアのエマヌエーレ・クリアレーゼ監督は、こう強調した。日本の映画興行を取り巻く環境は大きく変化している。
2000年ごろから、郊外のショッピングセンターなどにシネコンが急増。人気作を集中上映し、不人気だとすぐ打ち切る手法が定着した。そのため映画製作は、人気テレビ番組の続編や漫画を原作とするなど、一定の観客が見込める作品に偏った。
>
>  並行して個性的な作品を上映するミニシアターが激減。主に1980年代、欧州などの芸術性の高い作品をロングランヒットさせた役割は影をひそめた。また複製フィルムからデジタル素材による上映に移行しつつあり、設備投資の余裕がなく、閉館する地方映画館も増えている。
>
>  さらに、シネコンの成長も頭打ち状態だ。全国でシネコンを運営するユナイテッド・シネマ(東京都港区)は3月、経営不振のため親会社の住友商事から投資会社に売却された。さまざまな映像コンテンツがインターネットで入手できるようになり、映画館に足を運ぶ人も減っている。今後は「増えすぎたスクリーン数の淘汰(とうた)が始まる」(証券アナリスト)とされる。
>
>  とはいえ大量のコンテンツが出回るようになったことで、かえって「ファンの好みが多様化し、個性的な作品が受け入れられる土壌も戻ってきた」(映画祭関係者)との指摘がある。
大手映画会社の東宝は2013年2月期連結決算の最終利益は前期比32%増の130億円と見込む。大ヒットした「テルマエ・ロマエ」が収益を押し上げたほか、社会派作品の「終の信託」も手がけ、今後も「バラエティーに富んだ作品をそろえていきたい」(担当者)という。
>
>  
映画産業にとって、運営の見直しが迫られるシネコンが今後、国内外の質の高い作品をいかに取り込んで商業ベースにのせるかが大きな課題となる。今年の東京国際映画祭は、沖縄・尖閣諸島の国有化で日中関係が冷え込む中での開催となり、中国作品の「風水」が直前に不参加を表明するトラブルに見舞われた。だが「映画と政治は別」と上映に踏み切り、政治介入を拒んで存在感を高めた。中国の関係者からも称賛の声が上がったという。
>
>  今年の最高賞と最優秀監督賞を受賞した仏作品「もうひとりの息子」は、子供の取り違え事件を通じ、イスラエルとパレスチナの対立や人々の苦しみを描いた作品だ。映画祭関係者はこの作品の今後に期待をかける。昨年の最高賞は出品国の仏や欧州だけでなく、日本でもヒット作品となった。受賞作がヒットすれば次回以降に質の高い作品が集まり、映画祭の知名度も上がる好循環が生まれていく。
>
>  一方、
映画産業に対する政府の支援体制が不十分だとする声が少なくない。10月26日、都内で開かれた東京国際映画祭の分科会「国際共同製作を考えるセミナー」では、参加した仏のプロデューサーが、日本の映画について「米国のように『産業』なのか、仏のように『文化』なのか、性格が中途半端な点が成長を妨げている」と指摘した。
>
>  欧米では複数の国による「国際共同製作」を支援する仕組みが整っており、ロケの便宜を図ったり、経費の税額を控除して製作費を支援する制度がある。日本でも11年度から政府の支援が始まった。ただ予算は年間で約2億円、1作品当たりの支援は数百万円から数千万円にとどまる。海外の大作級の映画の製作費は数十億円から100億円単位にのぼるだけに、海外勢が日本と共同製作をしたくなる動機付けにはなりにくい。
>
>  縦割り行政への批判もある。映画製作は通常、企画立案から公開まで数年かかるが、「官庁は1年単位で担当が変わり、責任の所在もあいまいで交渉しにくい」と関係者は打ち明ける。東京国際映画祭の知名度はカンヌ、ベルリンといった伝統ある国際映画祭には遠く及ばず、当面の目標は「アジアのゲートウェイ」。だが、移民の多いカナダで毎秋開かれるトロント国際映画祭が似通う目標を掲げているほか、韓国・釜山や中国・上海の新興映画祭が政府の強力な支援も得て急速に台頭するなどライバルも少なくない。
>
>  
東京国際映画祭のイベントに参加した枝野幸男経済産業相は「『クールジャパン』を推し進めてきた中で、文化や芸術の力が最も大きく現れるのが映画」と持ち上げた。その力を、政府がどこまで引き出せるのかも問われている。(藤沢志穂子)

最後の枝野の発言には大笑いもいいところですね。
内容はともかく「お前が言うのか!」と。
そもそも日本の「文化や芸術」のみならず、必要不可欠な研究開発事業などを「事業仕分け」の名の元に根絶させようとすらしてきた元凶は、一体どこの政党だったのでしょうかねぇ。
これまでのゴタゴタの数々を鑑みても、民主党に映画を振興させられるような能力どころか意思すらもないことは、既に誰の目にも明らかではありませんか。
日本映画の振興は確かに大事なことではあるでしょうが、そのためにはまず、民主党が政権から滑り落ち、この世から消滅することが何よりの必須条件とならざるをえないでしょう。
民主党では文化振興どころか、日本の国益も国力も、下手すれば国の存続自体すらも危ういものにさせかねないのですから。
民主党が日本の映画振興に寄与したいというのであれば、自分自身こそがまずは消滅すべきですね(爆)。
どんな施策よりもそれこそが、映画のみならず日本全体のためにもなるのですから(笑)。

ところで、「2011年の興行収入が前年比で2割近くも落ち込んだ」というのは、映画の内容ではなく単に震災の影響が大きかったのではないのでしょうか?
震災直後は当然のことながら東北地方では映画自体がマトモに観賞できなくなったわけですし、計画停電で大騒動になっていた関東地方でもそれは同様だったでしょう。
またその他の地方も、「震災自粛」という名の愚かしい「空気」のせいで、映画のみならず全ての経済活動に多大な損壊が発生する始末でしたし。
「震災自粛」のせいで中止されたイベントなどは数知れず、その悪影響は震災から半年くらいは何らかの効力を持ち続けていたわけですから、映画の興行収入が落ちるのもそれはむしろ当然のことではないかと。
ああいうのって、個人や企業が個別に対処できるシロモノではないのですし。

映画の支援内容について私が是非推進して欲しいのは、やはり何と言っても劇場公開映画の地域間格差の改善ですね。
以前から何度かネタにしていますが、熊本の映画館で観賞可能な映画作品というのは、東京のそれの5分の1以下の数しかなかったりします。
九州第3の、それも政令指定都市を擁する熊本ですらそうなのでは、それ以下の規模しかない遠隔の地方と東京との格差はさらに悲惨なものがあるでしょう。
となると、地方の人間の場合はそもそも「観賞したくてもできない映画」や「最初から存在すら知ることができない映画(地方で上映されない映画はテレビやラジオで宣伝されることすらない)」がたくさんあることになってしまいます。
もちろん、今はレンタルによるビデオ観賞という最終手段がありますから「絶対に観賞できない」ということはないでしょうが、映画振興という観点から見れば、レンタル依存という形態は健全なあり方であるとは言えないでしょう。
これを是正し、どんな映画でも全国津々浦々での観賞が可能になれば、それは特に「興行収入は望めないが内容的に面白かったり特殊なテーマを追ったりしている映画」には大きな後押しとなるのではないでしょうか。
具体的には、映画の製作費が1億円以下の映画限定で「この映画を各劇場1スクリーン/2週間程度の期間限定で公開すれば、公開にかかった費用+αを全額負担する」的な「映画館への支援」を行うべきではないかと。
映画振興や人材発掘などの観点から見ても、優先的に支援すべきは「売上が見込める大作映画」ではなく「売上はでないかもしれないが今後の可能性に期待できるマイナー映画」でこそあるべきでしょうし。
即効性はまずないでしょうし、この手法でも駄作が貴重なスクリーンを占有する可能性が否めなかったりもするのですが、映画の支援というのはまずこの辺りから始めるべきではないかなぁ、と。

一方で「映画料金を改定して安くする」などといった誰でも考えそうな手法は、少なくとも現時点における映画業界の現状を鑑みる限りではあまり賛同はできないですね。
確かに日本の映画料金は世界的に見ても高いことで有名なのですが、本当に問題なのは「では何故そこまで日本の映画料金は高くなったのか?」ということにあるのです。
その理由は単純明快で、「映画を観る人&1人当たりの映画観賞本数が少ないから」これに尽きます。
映画を観る人が少なく、映画があまり観られることがないからこそ、安い映画料金では利益を上げるどころか元手を回収することさえもできず、結果どうしても単価を高くしなければならなくなる、それが日本の映画料金が高くなっている元凶なのです。
売れない商品は売上単価を上げざるをえず、結果ますます売れなくなる、という市場原理の悪循環が映画にもある、というわけです。
逆にアメリカでは映画料金が日本の半分以下と、日本の映画料金との比較でよく言われるのですが、アメリカの場合は日本の倍の人口に加えて1人当たりの映画観賞数も多く、そして何と言っても世界規模で自国の映画を上映できることから、利益回収が容易であるという事情が少なくないのです。
市場が日本国内限定で、たまに海外に進出する映画があるだけでニュースになるレベルの日本映画が真似できるような相手では、すくなくとも現段階ではありえないでしょう。
今の段階で映画料金を下げると、映画製作の現場ではますます売上至上主義的に傾斜したり、製作費をさらに切り詰めたりして、結果的に却って映画の品質が低下するリスクすらありえます。
そもそも映画料金を下げたところで、ちょっとやそっとの改定では「レンタルの方が料金も安いし面倒が少ないからそちらの方がマシ」となるだけで見た目的にも逆効果ですし。
日本の映画料金を下げるのは、日本の映画市場が今よりも拡大し、海外進出も当たり前の状態になった時であるべきなのではないかと。

日本映画の振興にはまだまだ多くの課題があるでしょうが、洋画と対等に肩を並べられるだけの勢力にまで台頭しえた今の状況は喜ばしい限りですね。
これからも、更なる発展と良作の提供を願いたいものです。

アメリカの3D映画ブームに終焉の傾向

日本映画から3Dが消え去ってそれなりの月日が流れましたが、とうとうアメリカでも3Dブームに陰りが出てきたようです。
3D映画1本当たりの観客動員数が下降線を辿っており、今後の3D映画製作本数も横ばいになる見通しなのだとか。

http://www.cinematoday.jp/page/N0046994
>  [シネマトゥデイ映画ニュース] 2009年の映画『アバター』がきっかけとなって世界中を席巻した3D映画ブームが、ついに終わることになるだろうという調査結果が発表された。今年公開のハリウッド映画のうち3D作品は31本であり、来年も同程度の本数になるものとみられている。
>
>  2009年末に公開された3D映画『アバター』は空前の大ヒットを記録。近年のハリウッドでの製作状況を見てみると、18本の3D作品が公開された2009年以降、2010年は23本、今年に至っては31本が公開(予定)となっており、『アバター』の成功がその後の映画製作状況に影響を与えていることがうかがえる。
>
>  だが、大手金融機関グループのモルガン・スタンレーの調査によると、2013年に公開される予定の3D映画は現時点で25本と、これからの増加分を考えても、ほぼ横ばい。そのことも踏まえ、
今後数年はこれまでのように3D映画の製作本数が爆発的に増えることはないだろうと予想されている。
>
>  製作本数がほぼ横ばいとなっている理由については、
3D映画1本あたりの観客動員数が下降線をたどっていることが挙げられている。つまり、3D映画というだけで観客を集められていた時代は終わったということであり、これは実質的な3Dブームの終了を意味する。また、アメリカ国内に限っていえば、大手映画館チェーンによる3D対応劇場の拡大展開も頭打ちになっているのだという。
>
>  ここ数年の間に、日本でもすっかり普及した3D映画。当初から3Dカメラで撮影したものもあれば、2Dで撮影したものを後に3D映像に変換したものもあるなど、一口に3Dといってもそのクオリティーはさまざまだった。製作本数がこれ以上増えないことで、1本1本のクオリティーが上昇するのならば、ブームの終わりは映画ファンにとっても朗報といえるかもしれない。(編集部・福田麗)

確かアメリカでは以前、「映画ファンの70%が3Dを好む」などという調査結果が発表されていたのではありませんでしたっけねぇ(苦笑)。
しかもその中身を見てみると、実際には「映画ファンの中で3年以内に3D映画を見たことがある人」の中での7割であって、前提条件となる人は調査対象の半分弱にしか達しておらず、調査対象全体の割合としては3割強程度でしかないというというオチがあったり(苦笑)。
あのスカスカな調査結果を正確に反映しているのが、今回のごときアメリカの3D映画離れなのではないのかと。
日本で見られるような「3D特別料金」などを搾取しておいて技術的な駄作ばかりを乱発する3D映画は、むしろ忌み嫌われない方が変というものです。
あの料金徴収制度を止めるだけで、3D映像を取り巻く環境は劇的に改善するのではないかと思えてならないのですが、映画製作者や映画配給会社側としては「金のなる木」な3D料金を止めるつもりなどさらさらないのでしょうね。
この不況および映画業界を取り巻く厳しいご時勢の中では映画料金などそうそう引き上げられるものではなく、その中での3D料金というのは「値上げの口実」として十二分に活用しえるものなのですから。

まあ日本映画の場合、3D自体の成功率はアメリカと比較しても絶望的なレベルにしかなっておらず、「これではカネにならない」とでも判断したのか、映画「貞子3D」以降はほとんど3D映画が登場しなくなってしまいましたが。
しかしアメリカの場合、なまじ成功体験があるが故に、カネがかかる上に費用対効果が低下していることが分かっていてもなお、3Dを捨てることがなかなかできないのでしょう。
いつまでその「痩せ我慢」が続くのか、他人事であればさぞかし面白い見物になったのでしょうが、その手の3D映画のためにしばしば無用な出費を余儀なくされる私としては、早いところギブアップして欲しいところではあるのですけどね。

TOHOシネマズが導入した映画チケット自動発券機の課題

2012年の4月頃から、全国各地のTOHOシネマズ系列のシネコンにて導入された、チケットカウンターの自動発券機。
既存のインターネットチケット販売「vit」と並ぶ、TOHOシネマズが繰り出した販売戦略の一翼を担うシステムです。
導入からそれなりの時間が経過していますが、今回はこの自動発券機の問題点について少し。

TOHOシネマズで導入された自動発券機は、映画館の戦略的には、発券窓口の人件費を削減すると共に、ともすれば閉じられがちな窓口を常時オープンさせ続けることで、客のチケット購入需要に常時対応可能にすることを目的にしたものと思われます。
客が列を作って並んでいるのに受付可能な窓口が1つしか開いていない、という事態も結構ありましたし、理屈の上で言えば、企業的にも観客的にも利益が出るものとなるはずです。
しかし、実際にチケットカウンターに並んでみると、自動発券機の設置数が増えたことで以前よりも多くの客が捌けるようになっているにもかかわらず、以前よりも却って流れが悪くなっているような感がどうにも否めないんですよね。

自動発券機でチケットを購入する客の様子を見てみると、自動発券機の前で戸惑っていたり、考えこんでいたりする光景がしばしば目につきます。
TOHOシネマズの自動発券機は、操作方法自体がコンビニのATM以上に煩雑で、初心者の場合は操作方法が分からず立ち往生してしまうことも珍しくなかったりします。
TOHOシネマズ側も、一応はそういう事態を想定してスタッフを常駐させているのですが、教えられながらのたどたどしい操作では、当然のごとく自動発券機の滞留時間も通常より長くなります。
そうなると、たったひとりの客が止まることで後ろがつかえてしまい、結果的に渋滞を招いて回転率が悪化してしまうなどという、観客的にも企業的にも望ましくない事態が発生することになってしまうわけです。
かくいう私自身、あの自動発券機は何度か操作したことがあるのですが、この手の操作に慣れている人間から見ても、操作の手順がかなり多い感は否めなかったところですからねぇ。
しかも、これがさらに家族などで複数分のチケット発券をひとりでやっていたりすると、さらに厄介なことになりかねないわけで。
家族全員がそれぞれシネマイレージカードを所持していたりする場合、作業を一括で行うことができないのですから。
それやこれやで、ひとりないしは一組の集団が自動発券機の前でモタモタしながら作業に没頭することによる渋滞が、人間のスタッフがやっていればありえない落とし穴として立ちはだかることになるわけです。

この手の自動発券機の操作方法に纏わる問題については、まだ導入して間もないことから「客側が慣れていない」という事情も当然あるでしょう。
何度も繰り返し操作していけば、やがて慣れていって操作時間も短縮されるのは間違いないのですから。
しかし、ただでさえ映画館の観客には「数ヶ月~1年に1度程度」の一見さんが少なくなく、あまり自動発券機に触れることのない彼らがこの手の自動発券機の操作に慣れるのはかなり難しいものがあります。
特に人気映画ともなれば、彼らの割合は飛躍的に増えることになるわけですから、慣れない操作による人の流れの停滞と渋滞の発生は無視できない問題になりそうです。
また、レディースディやシニア割引を見ても分かるように、映画館は女性層やシニア層を観客のメインターゲットに据えているところがあるのですが、それらの層はこの手の操作を特に苦手としている人達が少なくない層でもあります。
常連客であればそれでも慣れるのは難しくはないでしょうが、これが一見さんだったりすると一体どうなるのか……。
映画館の主要客層が交通渋滞の原因になる、というのは映画館側にとっても皮肉もいいところなのではないでしょうかねぇ。

TOHOシネマズのみならず、映画館の自動発券機の導入自体は「時代の流れ」と言える部分もあるのですが、それが問題も違和感もなく自然に受け入れられるようになるには、まだまだ少なからぬ時間が必要になりそうですね。

アメリカでは本当に3D映画が受け入れられているのか?

アメリカでは映画ファンの70%以上が2Dよりも3Dの映画を好む、という調査結果が発表されました↓

http://www.cinematoday.jp/page/N0041556
>  [シネマトゥデイ映画ニュース] 大作・話題作が軒並み3D公開されている現在、アメリカでは映画ファンの70パーセント以上が2Dよりも3D映画を好むという調査結果が発表された。
>
>  
今や3D公開されているのは当たり前であり、今年夏に公開される映画『ダークナイト ライジング』に至っては3D上映を行わないことがニュースになるほどだった。それは裏を返せば、3D映画がいかに観客に浸透しているかという証だろう。
>
>  それをデータとして裏付けるのが、インターナショナル3Dソサエティーと市場調査会社ORCインターナショナルが合同で発表した調査結果。
調査は18歳以上のアメリカ人1,011名を対象に行われ、内52パーセントが過去3年間に3D映画を観たことがあると回答。さらに、その内の71パーセントが2Dよりも3D映画を好むと回答した。
>
>  もともとは2Dカメラで撮影された映像を変換したものも多いため、3D作品に対する不満もよく聞かれる。だが、『アバター』を筆頭に、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』など、3Dカメラで撮影された作品はやはり3D作品でしか味わえない魅力がある。
一定数の観客が3D映画の方を好むと証明された以上、今後も3D映画は製作され続けるに違いない。(編集部・福田麗)

この調査結果は、一見すると確かに3D映画が大衆に受け入れられているかに見える内容ではあります。
しかしこれ、よく読んでみると「映画ファンに3D映画が受け入れられている」とはとても言えない内容が多分に含まれていることが見えてくるんですよね。
まず、この調査結果では、そもそも3D映画を観賞したことのある人自体が全調査対象者数の半分程度しかいないことが分かります。
そして、3D映画が2Dよりも好みであるという人は、その半分程度の観賞経験者のさらに7割程度しかいないという結果が出ているわけです。
つまり、調査対象者1011名の中で、実際に3D映画を2Dよりも好むという人の数は、

1011×0.52×0.71=373.2612

しかいないことになり、全体から見た割合は36.92%となるのです。
3分の1弱しか支持されていないのに、「3D映画が大衆に受け入れられつつある」などと言えるのでしょうか?

それに、3D映画の観賞経験だけをもって「映画ファン」と定義するのもいかがなものかと。
そもそも「2Dか3Dか」というのは必ずしも自分で選択できるものではなく、映画によっては3D以外の選択肢がないことも珍しくありません。
特に、普段は映画を観ない人がごく稀に映画を観るようなケースでは、選択の余地がない3D映画をほとんど自動的に観賞させられる事例も少なくないでしょう。
そうなると、映画は年に1本観に行くかどうかという人でも、件の調査の定義では「この人は映画ファンである」ということにされてしまうわけです。
また逆に、年に何回も映画を観ているものの、料金問題を嫌う等の理由から3D映画を避けている人は、何本映画を観ても「映画ファン」と換算されることがないのです。
これでは「映画ファン」の定義自体がおかしいと言わざるをえませんし、また映画館で映画をあまり観ない観客を多分に含んでいるであろう中で、確たる根拠と論理でもって「2Dよりも3Dの方が良い」と言える人が果たしてどれだけいるというのか、はなはだ疑問と評さざるをえないでしょう。
件の調査結果は、むしろ逆に3D映画があまり受け入れられていない事実を示すものである、とすら言えてしまうのではないでしょうか?

以前から何度も述べていますが、3D映画は料金問題ひとつ取っても敬遠されるに充分なものがあるはずなんですよね。
3D映画を選択するだけで2Dよりも高い料金が取られるとなれば、ただそれだけでも敬遠されない方が変というものです。
ましてや、3D映画自体の粗製乱造の結果、「どこに2Dとの違いがあるのか理解に苦しむ」的な3D映像がしばしば提供される事実まであるのですからなおのこと。
カネを払うメリットが少ないのにリスクが大き過ぎる、それが今の3D映画の実情なんですよね。

また、これは最近になって私も知ったことなのですが、3D映像というと「=飛び出す」というイメージ【だけ】で語られることが多いのも問題です。
そのイメージが3D映像の良さを宣伝するのに一番インパクトがあり客に理解させやすい、という事情もあるのでしょうが、それが結果として3D映像について誤解をばら撒くことにも繋がっています。
かく言う私自身、つい最近まで「何故ほとんど飛び出すことのない映像などのために余計なカネを払ったり専用メガネをかけたりしなければならないんだ!」と憤っていたクチでしたし(^^;;)。
最近の3D映像は「奥行き感」や「立体感」を重視しているのだそうで、そりゃ「スクリーンから飛び出す」というイメージと実態がまるで違ってくるのも当然です。
しかし、「では奥行き感や立体感というのは、通常の2D映像と比べてどこがどのように異なるのか?」と問われると、その説明は至難を極めるというのが実情だったりするわけで(-_-;;)。
2Dと3Dのスクリーンを両方置いてリアルタイムで直接見比べてさえも、両者の違いは理解しにくいものがあるのではないでしょうか?
TVがアナログから地上波デジタルへ移行する際によく喧伝されていた「画像が綺麗になる」でさえ、その違いが一般的に理解しにくいものがあった上に「何故そんなことのために…」という声が少なくなかったくらいなのですから。
「3D映像=飛び出す」という安易な宣伝を止めると共に、それに代わる宣伝文句&マーケティング戦略を新たに作りだす。
3D映画を一過性の流行で終わらせないようにするためには、その課題を避けて通ることはできないのではないでしょうか?

おかしな調査結果を使って実体のない詐欺のような宣伝などを行うことよりも、料金体系と宣伝戦略の抜本的な見直しに着手する方が、3D映画にとっても有益になると思うのですけどね。

映画館で映画を安く観賞する方法

映画を映画館で観賞するに際し、誰もが一度は「映画料金が高い」と考えたことがあるのではないでしょうか?
通常、映画料金は1人1作品観賞につき1800円、3D版映画ではさらに追加で300円~400円の別途料金が徴収されます。
1993年からずっと固定され続けているこの料金は、物価の値下がりが続いているこの御時世からすると如何にも高いイメージがあります。
しかし、実は映画料金は、色々なサービスを利用することで「定価」よりもずっと安く観賞することが可能なのです。
生粋の映画ファンな方々にとっては何を今更な話になるでしょうが、今回はそんな映画料金に纏わる割引サービスについて少し。

映画館には、映画を観賞するための様々な料金割引サービスがあります。
テレビの台頭などで映画館から離れていった客を再び引き寄せることを目的に、映画館は1990年頃から様々な料金割引サービスを立案・実行していきました。
全国共通で行われているその手の料金割引サービスの有名どころとしては、以下のようなものが挙げられます。

全ての人に映画料金割引が一律で適用されるサービス
・ 毎月1日のファーストディ(映画の日、1800円 → 1000円)
・ 毎日20時以降から始まる映画を1200円で観賞できるレイトショー

特定層限定で1800円 → 1000円
・ 特定曜日の観賞で女性のみ1000円となるレディースディ
60歳以上の人は毎日1000円で映画を観賞できるシニア割引
どちらか一方が50歳以上の夫婦が2人揃って映画を観賞すると2人で2000円(つまり1人1000円)になる夫婦50割引
障害者が対象のハンディキャップ割引(障害者手帳の提示が必須)

この他、以前は高校生3人で映画を観に行けば1人1000円で観賞できる高校生友情プライスというサービスも全国規模で行われていたのですが、利用率が低く2008年に全国的なものは廃止され、現在は一部の地域限定のサービスとなっています。
シニア割引や夫婦50割引などは、年を取って映画が割引になることが良いのか否か、かなり微妙なところではあるのですが、この高齢化社会では割の良いサービスとなるのでしょうか。
今の高齢者は人口が多いですからねぇ(-_-;;)。

映画館独自の料金割引サービスもあります。
TOHOシネマズには、毎月14日(とうフォー)にファーストディと同じく一律1000円での映画観賞が可能となるTOHOシネマズデイがあります。
本来は2007年9月~2008年8月までの1年間限定のサービスだったのですが、期間が延々と延長され、もはや常態のサービスと化している感がありますね。
また同じくワーナー・マイカル・シネマズでも、毎月20日の観賞で1000円となるサービスディがあります。
ファーストディと併せ、一番安く観賞できるこの日を見逃す手はないでしょう。
もちろん、土日祝日などの休日と上手く重ならないとなかなか活用できないサービスではあるのですが、使える時には積極的に使っていきたいものです。

また、各映画館で会員登録を行い、会員サービスの特典を受けるという手も使えます。
会員登録して交付されるカードを使えば、カードをカウンターで提示したりネットでチケットを購入したりした際に会員割引が適用されることがあります。
TOHOシネマズでは、毎週火曜日がシネマイレージディとなっており、この日のみ会員カードであるシネマイレージカードを提示することで、通常より500円割引で映画を観賞することができます。
一方、ワーナー・マイカル・シネマズはイオンカードを、角川シネプレックスではシネプレックスカードを提示すれば、全ての日で200円~300円の料金割引を受けることができます。
さらに、会員カードを使って6本の映画を観賞すると、1本分の映画料金が無料になる特典もあります。
カード自体の割引よりも、最後の「6本観賞で1本無料」こそが一番使えるサービスですね。

さらにTOHOシネマズでは、通常の「6本観賞で1本無料」の映画観賞ポイントとは別に「マイル」と呼ばれるものが存在します。
マイルは観賞映画の上映時間1分につき1マイルで換算され、このマイルを貯めることで様々な特典を得ることができるのです。
300マイルと1000マイルでも特典があるのですが、一番の目玉商品は、6000マイル(一部映画館では9000マイル)貯めるともらえる1ヶ月フリーパスポートです。
この1ヶ月フリーパスポートは、申請から1ヶ月間は何回映画を観賞しても映画料金が全て無料になる(ただし3D料金は別)という優れもので、これが欲しいためにTOHOシネマズで集中的に映画を観賞する人もいるほどです。
ただし、当然のことながらこれを獲得するのは容易なことではありません。
映画観賞で得られたマイルは、得られた年の翌年12月31日にはゼロリセットされるため、2年以内に最低でも50本以上もの映画を観賞する必要があります。
年間10本程度のペースではまず獲得できないので、相当な映画ファン向けのサービスであると言えるでしょう。

あまり面倒なことをせず手軽に映画割引サービスを受けたいというのであれば、映画前売券を購入するという手もあります。
映画前売券は、通常の映画料金1800円よりも500円安い1300円で購入することが可能で、映画館だけでなくコンビニやネットでも購入することができます。
また、映画前売券は全国共通で利用できるものも売られているため、特定の映画館と懇意にする必要がありません。
さらに映画前売券は、ファーストディやレイトショーなどのように日時を気にすることなく、いつでも使用することが可能です。
そのため、いつでも確実に安く映画を観賞したいという場合には大変便利なサービスです。
ただ一方では、一度購入するとキャンセルが効かないため、たとえば映画観賞日がちょうどファーストディだったりしても1300円で映画を観賞しなければなりませんし、何らかの事情から映画を観に行けなくなったという場合は1300円をドブに捨てるも同然となるので、その辺については注意が必要です。
また、映画館やコンビニなどで売られている映画前売券は、全ての映画について用意されているわけではなく、場合によっては映画前売券が全く売られていない映画も存在します。
その点ではネット販売が優れているのですが、しかしこちらはこちらで送料がかかるという問題が無視できません。
その点では匙加減が難しいサービスであると言えるかもしれません。

また、コンビニやネットで売られている前売券などでは、ネットで座席を予約する仕様にはなっていないため、事前に座席を取るのが難しくなるという問題もあります。
そういう事態に対応するため、最近ではネット購入にも対応したムビチケカードという形態のカード型前売券も出てきています。
ネットの座席予約画面で、ムビチケカードに書かれている暗証番号を入力すると座席の予約とチケット購入ができるという前売券で、前売券とネット予約の利点を融合したようなサービスとなっています。
ただムビチケカードは、映画にもよるのですが通常の映画前売券と比べて100円~200円ほど購入価格が高いケースがあったりします。
ムビチケカードを買ったは良いが、スクリーンの座席状況がスカスカで買う意味が全くなかった、では無駄もいいところです。
映画毎の購入価格と混雑予測も含めて買った方が良いカードではあるでしょうね。

映画を安く観賞する際の奇策としては、試写会に手当たり次第に応募してみるという手も有効です。
試写会に当選し、かつ時間が上手く合いさえすれば、3D料金も含め映画料金を全く支払う必要なく、しかも全国劇場公開予定日よりも前に映画を観賞できます。
もっとも、試写会に当選するという条件自体が結構な関門だったりしますし、試写会は大抵の場合は平日の夕方から上映されるのが常なので、色々と誓約も多いのですが。
私個人の感覚では、試写会に当選する確率はだいたい20%~30%の間といったところになるでしょうか。

映画館での映画観賞がレンタルDVDでのそれよりも優れている利点としては、大迫力の映像が楽しめることと、レンタルDVDよりも先に作品が観賞できることが挙げられます。
何かと問題視される高い映画料金ですが、これまで紹介してきたような安く観賞できるサービスを駆使して、映画館で映画を観賞してみるのはいかがでしょうか?

ジェームズ・キャメロン監督が語る「3D映画への熱い思い」の矛盾

映画「タイタニック」3D版の日本公開に合わせて来日したジェームズ・キャメロン監督が「2Dで撮影した名作は3Dに変換するしかない」と3D映画への熱い思いを語っています↓

http://www.cinematoday.jp/page/N0040756
>  [シネマトゥデイ映画ニュース] 超メガヒット大作を3D化した映画『タイタニック 3D』のプロモーションで来日したジェームズ・キャメロン監督が30日、都内で行われた記者会見に出席し、3D映画へのこだわりについて熱く語った。監督の来日は映画『アバター』以来、2年半ぶり。この日は製作のジョン・ランドーも出席した。
>
>  会見でキャメロン監督はまず『アバター』での来日後に起きた東日本大震災に触れ、「多大な被害にお見舞いを申し上げたい。そして、その後の日本人の強さと、見事に立ち直ったことに敬意を表したい」とコメントした。
>
>  次いで、オリジナルの発表から15年後に改めて『タイタニック』を3D化することの意義を説明。タイタニック号の悲劇から100年ということもあり、「タイタニックの事件に再び注目を集めたいと思った」と明かすと、
3D化については「2Dで撮影した名作は3Dに変換するしかない」とフィルム・メーカーとして自身の考えを展開した。
>
>  
「わたしは3Dが好きだ。3Dになると、俳優の演技がよく見え、観る側により臨場感を与えることができる。今回も3D化したことで、本作のドラマ性をより高めることができた」と熱弁を振るうとともに、60週間の変換作業には計300人ものスタッフがかかわり、費用にして1,800万ドル(約14億4,000万円・1ドル80円計算)が掛かったことを明かした。
>
>  オリジナル映像の全フレームを改めてチェックするなど、完ぺき主義者として知られるキャメロン監督のこだわりが随所に見られる本作。今後の予定について、キャメロン監督は代表作『ターミネーター』などの3D化についても「やる気はある!」と断言。3D映画の可能性を追求するキャメロン監督の姿勢が印象に残る会見となった。(福住佐知子)

しかしジェームズ・キャメロン監督は以前、「2Dで撮影した映画を3Dで公開するなど、まったくの無意味」とも語っていたのではないのでしょうか?

http://www.cinematoday.jp/page/N0025070
>  後処理で3Dにした映画を観ると、往々にして画像が暗く、鮮明な立体感にも欠けるという違いが表れます。ちなみに日本でも大ヒットしたティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』も後処理で3Dにしたものです。後処理決定を下したバートン監督に対して、『アバター』のキャメロン監督は、「2Dで撮影した映画を3Dで公開するなど、まったくの無意味」と公の場で厳しく批判し、話題になりました。

映画「タイタニック」の3D版を試写会で観賞した限り、ジェームズ・キャメロン監督がかつて主張した「2Dで撮影した映画を3Dで公開するなど、まったくの無意味」の方に理があるとしか思えず、「2Dで撮影した名作は3Dに変換するしかない」とはとても言えたものではないのですけど、ジェームズ・キャメロン監督はいつから趣旨換えしたというのでしょうか?
今の主張がジェームズ・キャメロン監督の本心だというのであれば、すくなくとも自身が以前批判したティム・バートン監督には「あの批判は完全に間違っていた」という謝罪の一言くらいはあって然るべきではないのかと。
これではティム・バートン監督は、いい面の皮としか言いようがありませんね(T_T)。

それに、旧作映画の3D版が劇場公開されると、有限である映画館のスクリーンがその分取られてしまい、結果として本来観賞できるはずの新作映画が上映されなくなるという問題もあります。
現状でさえ、地方の映画館では、都会で上映される作品数の半分以下、下手すれば3分の1以下の映画本数しか上映されないという地域格差の問題があるのに、旧作3D映画の台頭はその傾向をさらに悪化させかねません。
しかも旧作映画は既にレンタルDVDなどでも観賞可能であり、「どの媒体よりも先んじて観賞できる」という元来映画が持つ強力な売りのひとつが存在せず、かつ現状の3D映像では「観賞費用が無駄に高いだけ」にしかなっていないわけです。
旧作映画のファンでさえ、映画館まで行く手間と映画料金の高さを鑑みれば「レンタルDVDで充分」と考える人は決して少なくないでしょう。

「スターウォーズ」や「タイタニック」に限らず、旧作3D映画が下手に大ヒットでもした日には、新作を製作する意欲が映画制作者達から失われてしまい、それが旧作3D映画の乱造という形になってますます新作が上映されなくなり製作も至難となり、さらにそれが映画制作者達の……という負のスパイラルまでもが発生しかねず、最悪、映画産業衰退の引き金を引いてしまうことにもなりかねません。
何しろ、映画の製作工程という観点から見れば、1から映画を製作するよりも3D化する【だけ】の方がはるかに容易かつ費用も抑制できることは間違いないのですから。
旧作3D映画が一時の泡沫の流行で終わってくれることを、映画ファンのひとりとしては心から願わずにはいられませんね。

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