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No. 1327 | |
私の創竜伝考察17 | |
投稿者:冒険風ライダー | 1999/6/08 18:20:09 |
大変長らくお待たせ致しました(って誰も待ってなかったでしょうけど(-_-))。約40日ぶりに「私の創竜伝考察シリーズ」を再開します。 今回よりスタンスを若干変更し、いつもの社会評論を引用して叩く「社会評論批評」を今までの半分(だいたい4〜6)ほどに押さえることに致しました。また、ランダムで創竜伝のキャラクター・ストーリー評論、創竜伝全体についての考察なども行いたいとも考えております。いつもネタがあるわけではないので、毎回展開するというわけにはいきませんが(^^;)。 さて、久しぶりの創竜伝考察、始めましょうか。 創竜伝7「黄土のドラゴン」 1991年9月5日 初版発行 P31上段〜下段 <「蒙古連合自治政府」とは、日本軍が中国を侵略していた当時、一九三九年に、内モンゴル地方に設立した傀儡政権である。いちおう政府ということになっているが、実体はその当時世界最大の麻薬シンジケートだった。日本軍はその「自治政府」の勢力圏で大量のアヘン、モルヒネ、ヘロイン等を生産し、中国から東南アジアにかけて売りさばき、多くの中国人を悲惨な麻薬中毒患者にしたてて、莫大な利益をあげた。その汚れた利益は侵略戦争の軍費や傀儡政権の予算にまわされた他、政治家や軍人の私腹をも肥やした。> こんなおいしいネタが本当にあったら朝日新聞が黙っているわけがないでしょうから、この「世界最大の麻薬シンジケート」という記述は明らかにウソでしょう。こんな問題が本当に実在したらとっくに国際問題になってますって。「蒙古連合自治政府」というのは本当に実在したようですけど、私がいくら植民地問題を調べても、この「蒙古連合自治政府の麻薬問題」について何も記されていなかったし、あれほど「過去の戦争責任」なるものを追及してくる中国も、「多くの中国人を悲惨な麻薬中毒患者にしたて」た責任について何も言ってこないではありませんか。日中平和友好条約締結の時だって話題に上がっていなかったし。 おそらくここはイギリスのアヘン戦争でもモデルにして意図的に作った虚構なんでしょうけど、これをこの先の社会評論で「日本軍の悪行」として引用しているんですよね〜。仮に事実であるならば参考にした資料を挙げてほしいものなのですが。 ところで、「蒙古連合自治政府」成立の経緯について詳しく知っている方はいますか? P61上段〜下段 <「で、黄大人の兄上というのはどういう人なんですか」 「私らも直接お目にかかったことはないのですが、抗日戦争と中国革命の英雄だったそうです。巧妙な遊撃戦でさんざん日本軍を悩ませたとか……」 李は口に手をあてた。竜堂兄弟が日本人であることをいまさら思い出したのだろう。 「気にしないで下さい。一九三一年から四五年にかけての日中戦争が、日本が一方的にしかけた戦争だということは歴史上の事実です。中国の勇気ある人々が侵略に抵抗したのは当然です。日本人のなかでも、私たちの祖父は愚劣な戦争に反対して投獄されました。誇りに思っています」 水が流れるがごとくいってのけたのは続で、(略)> 性悪説の時にはあれほど鳥羽靖一郎をネチネチ説教していた竜堂続が、現代史になるとここまで知識がないというのも驚きですね。彼は現代史をやっていないのでしょうか? これで得意教科が歴史であるというのも奇妙なものです。中国史だけで歴史の点数を稼いでいるとか(^^;)。 まず「一九三一年から四五年にかけての日中戦争」って、そもそも基本的事実そのものが違います。田中芳樹の頭の中では「満州は中国の領土」なんでしょうから(「白い迷宮」ではっきりと言ってました)そう思いたい気持ちはよく分かりますが、小中学校で教えられる普通一般で言う「日中戦争」といえば「1937〜1945」でしょう? これって小学生レベルの間違いではありませんか (^_^;)。それに満州問題では国民党と和解していましたし、当時満州事変を「侵略」などと言っていたのは中国共産党だけだったんですけど。 それから日中戦争は「日本が一方的にしかけた戦争」などではありません。盧溝橋事件は日本兵になりすました中国共産党員(劉少奇の部下)による策謀でしたし(日本軍と国民党を戦わせるため)、それも三週間ほどで一時収束したのですが、その後に発生した、中国人による日本人260人虐殺事件「通州事件」によって国民感情が強硬になっていったというのが真相です。まあずるずると戦争に引きずり込まれた日本軍にも非がないとは言いませんが。 それに日中戦争の原因追及は、かの東京裁判でも行なわれていません。理由は簡単で、これを深く追求すると上記の事情が判明してしまうからなんですけど。それと戦後は中国共産党が中華人民共和国を建国してしまいましたからね。だから中国共産党のプロパガンダが、あたかも「絶対の正義」であるかのごとく掲げられたという一面があることも忘れてはいけません。 後、「日本人のなかでも、私たちの祖父は愚劣な戦争に反対して投獄され」たから「誇りをもっている」という主張もねえ……。当時の日本は世界恐慌による不況による影響で日本は経済的に追い詰められていましたし、それによって失業者が増大していたんですよね。他国との貿易によって利益を得ようにも、ブロック経済政策によってそれができない状態だったし。当時の日本のやり方は確かに下手だったでしょうし、それについては弁護の余地もないかなとは思いますが、単に「戦争に反対したから偉いんだぞ」と言っているだけの竜堂続に政治的センスはゼロです。戦争に反対さえすれば不況問題や失業問題が一挙に片付いたし、戦争が回避できたとでも言うのでしょうか? 「侵略」の背景を全く考えずに、当時の全ての日本人を愚か者呼ばわりする行為は止めてほしいものです。 P61下段〜P62上段 <「解放軍とは、かつてはたしかに正義の軍隊だったのですがねえ」 「匪」という名詞が中国語にある。「民衆に害を与える悪党」という意味だ。汚職をしたり、無実の人に冤罪を着せたりする役人を「官匪」という。法律を悪用すれば「法匪」であり、略奪や虐殺をおこなう軍隊が「兵匪」である。一九三一年から四九年まで、中国を荒らした兵匪とは日本軍や国民党軍だった。当時の人民解放軍は、兵匪を追い払う正義の軍隊で、当時アメリカの新聞は「アジアにこれほど高潔な軍隊が存在するとは」と驚きつつ感動していた。それが一九八九年には、武器を持たない市民を戦車でひき殺す権力者の走狗に堕落してしまった。海外にいて、祖国の復権と発展を応援してきた華僑たちは、激しい怒りと失望を禁じえなかったのだ。我々は、強制収容所に国民を放りこむような国の出現を望んでいたのではないと。> 当時の実情を一切考慮せず、日本軍と国民党軍を「中国を荒らした兵匪」とまで全否定し、「人民解放軍」を「兵匪を追い払う正義の軍隊」とまで礼賛するとはどういう神経をしているのでしょうね。「絶対的な正義は存在しない」というのは田中芳樹の持論じゃありませんでしたっけ? それに当時の「人民解放軍」が行ったのはゲリラ戦であり、民間人を巻き添えにしたという点では「中国を荒らした兵匪」以上だったんですけど。 そもそも「人民解放軍」が1989年に突然「権力者の走狗に堕落」したみたいな事を言ってますけど、彼らは一貫して侵略者および虐殺者であり、常に「権力者の走狗」だったんですよ。彼らの主な「侵略及び虐殺行為」を列挙してみると、 @ 満州の併合 A 朝鮮戦争の軍事介入 B チベット「解放」 C 文化大革命 D 中越戦争 私が知っているだけでもこれだけ並べられますし、さらには少数民族の独立運動や思想家の弾圧などは日常茶飯事です。間違っても「正義の軍隊」などではありませんね。そもそも「正義の軍隊」なんて比喩は銀英伝やアルスラーン戦記などでも一度として使用していないのに、なんで中国になると「客観的な評価」ができなくなるのでしょうかね? これらの事実を田中芳樹も知らないわけではあるまいに。 P64下段 <始は中国も中国人も好きだ。右手のカバンにわずかな資産を詰めこみ、左手に子供の手を引き、背中には万能調理具である中華鍋を背負って、中国人は世界中どこへでも旅だっていく。「おれの立っている場所こそが中国だ」と、わざわざ口に出してはいわないが、しっかりと大地を踏みしめ、異郷に根をおろし、いつかそこに街をつくりあげる。彼らの生命力、堂々たる生きかたは尊敬に値する。ただ一〇億人をはるかにこす中国人の全員が善人ではありえないのは当然のことだ。> またいつもの「中国は素晴らしい」論ですか。創竜伝は「伝奇アクション小説」と銘打っているのに、何でこうも非現実的な中国礼賛論ばかり聞かなければならないのでしょうか。創竜伝7はストーリー的に全く関係ない中国礼賛論ばかりで埋め尽くされていて、聞いててあきれるものがありますね。 それにしても日本人論と違って、田中芳樹の中国に対する愛情が滲み出ている文章ですな。記述にここまで差があると「そんなに中国は偉いんかい!!」ってツッコみたくもなってきますが。一応おざなりに中国批判もあるにはありますが「言論の自由がない」とかいったありきたりなレベルでしかありませんし(文革批判やチベット問題は?)、批判の数十倍もの文章で中国礼賛をしていますから、こちらが本音と見て間違いないでしょう。こんな一方的な礼賛で中国に対する理解が深まるとでも思っているのでしょうか。そんなことは70年代に朝日新聞が経験済みであるのに「過去の歴史から何も学ばない」とは恐れ入りますね。こんなんで孔子あたりを引用しているのも笑止な限りですが。 さらに、田中芳樹の悪い癖として「何かを貶める事によって褒め称える」などという性癖があるためか、創竜伝の社会評論はこの7巻が一番反日度が高いですね。あの癖はいいかげんにやめてほしいものです。聞いてて何の感銘も受けないんですから。 P70上段〜下段 <一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥をかかえながら、革命後の中国政府は、ともかくも外国の軍隊を国内から追い出し、イギリスから香港を回復し、そして食糧の自給を達成した。ひとつの政府が、一〇億をはるかにこす民衆を食わせてきたのだ。これは偉業といってもよいことで、だからこそ、民衆の政治的な不満がおさえられてもきたのである。だが、蝗が穀物を喰いつくし、飢餓が国をおおったとき、いったい何ごとが生じるか。 「外国の侵略も、黄河の大洪水も、蝗の害も、すべて中国は切りぬけてきた。今回のことでたとえ北京の政府が倒れても、中国自体はけっして滅びない」> 「北京の政府が倒れ」たら中国は滅びますって(^_^)。現在の中国の支配地域はかなり広大な上に、満州やチベット・内モンゴルなどは異民族が独自の文化を発展させてきた地域ですから、今の中国政府が倒れたらこれらの地域が独立し、中国は四分五裂の状態になる可能性が高いですよ。ソ連が崩壊した時のように。過去の中国政府が「侵略」に狂奔した報いでしょうけど。 そもそも「今まで無事だったから、これからもそうとは限らない」ってのは、アルスラーン戦記や銀英伝で散々強調していた田中芳樹の持論ではありませんでしたっけ? 「ローマも滅んだし、蒙古帝国も滅んだ。中国だけが永遠であるはずがない。」そうでしょう? 田中さん。 それからここに挙げている「偉業」とやらは相当に怪しいものですね。「外国の軍隊を国内から追い出し」はまあいいでしょう。しかし「イギリスから香港を回復し」は別に中国政府の功績ではなく、単に1997年にイギリスの香港租借期限が切れただけです。だからこれは「回復した」のではなく「返していただいた」が正しいでしょう。法的に言えばイギリス植民地支配の完全勝利です。さらに「食糧の自給を達成した」と「ひとつの政府が、一〇億をはるかにこす民衆を食わせてきた」というのは別に偉業でもなんでもなく、銀英伝のアレックス・キャゼルヌ曰く「善政の基本」に過ぎません。「民衆を飢えさせるような政府は滅んでも仕方がない」という田中芳樹の持論からいっても、この中国評価は大甘ですな。むしろ前半で挙げていた「一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥」の問題点を取り上げるべきでしょう。いくら大好きであるとはいえ、何で自分の正論を捻じ曲げてまで中国に肩入れするのでしょうか? P78上段〜下段 <「実際、新聞は事実を全て伝えるわけじゃない。どのニュースを載せるか、載せないか、どういう見出しをつけるか、その時点でもう情報のコントロールが行なわれるわけだ」 (中略) 水地が何か思い出したようである。 「そういえばプロ野球に関する記事だってそうだな。Aチームが負けてBチームが勝ったのに、見出しを見るとAチームの四番打者がホームランを打ったとか、遊撃手が好プレーをやったとかばかり書いて、敗戦の事実を隠すことがあるものな」 「悪かったな、うちの新聞のやりくちだよ」 国民新聞社の元記者は苦りきった。彼が勤めていた新聞社はプロ野球チームを所有しており、一方的な報道を流すことで有名だった。 プロ野球を記事などは苦笑してすませることができるが、文部省も教科書に対して同じようなことをやっている。「日の丸・君が代は法律でさだめられた国旗・国歌ではない」と事実を明記した教科書が、文章の削除を命じられた。言論を統制し、国民を洗脳するやりくちは、ナチス・ドイツも日本国文部省も同じである。一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠すのである。> またいつもの「ナチス・ドイツ」を持ち出したレッテル貼りですか。いつも同じことをしてよく飽きませんね〜(-_-;)。それに「一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」ってのはあんたの社会評論のやりくちでしょうに。 それにしてもこの文章、文部省の検定の実態を全く知らないとしか思えませんね。文部省は教科書会社が出した教科書に対しては「勧告」しかできません。そして教科書会社の方は、必ずしもそれに従わなければならないということもありません。1982年の教科書問題でも、「侵略という文字を文部省に強制削除された」のではなく「教科書会社が自主的に削除した」というのが事実だったのですから。おまけに、この時にできた「近隣諸国条項」なるシロモノのおかげで、文部省は教科書会社に対してあまり強硬意見を主張することができなくなってしまいましたからね。文部省の「命令」には全く強制力がないということが分かっているのでしょうか? 「積極的な嘘をついている」のはどっちですかね。 それに「日の丸・君が代は法律でさだめられた国旗・国歌ではない」っていっても、明治維新以来ずっと慣習によって「国旗・国歌」として扱われていましたし、諸外国も「日の丸・君が代」を「日本の国旗・国歌」として認めています。そういった事実を無視して「法律で定められていない(といっても法制化が決まってしまったからな〜、こっちも(^^;))」という側面だけを強調するのは、まさに「もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」ナチス・ドイツのやりくちそのものではありませんか。 ところで田中芳樹は、日本以外のほとんどの国が、「国旗・国歌を尊敬しなければならない」という「愛国心教育」を行っているという事実を知っているのでしょうか? これを知ったときの田中芳樹の顔が見てみたいものですが(^_^)。 なんか久々に批判を展開したので、カンが鈍ってしまっているような……(-_-)。 まあ完全無欠な批判ができるとは私も思ってはいませんが。 さて、次は何をしようかな〜。 |
No. 1329 | |
お待ちしておりました | |
投稿者:M野 | 1999/6/09 02:26:24 |
> 大変長らくお待たせ致しました(って誰も待ってなかったでしょうけど(-_-))。 ご謙遜を。私は長らくお待ちしておりました。 アルスラーンの新刊が近々出るらしいですが、もう話が何処まで進んでいるのか忘れてしまったし、 残念ながらこの7年(ですよね?)の間に、熱も冷めてしまいました。 やっぱり読者がアツくなっている間に出さないといけませんよ。 まあ、一応買って読んではみるつもりです。 >創竜伝7「黄土のドラゴン」 >1991年9月5日 初版発行 これ、本当に1991年の文章でしょうか。 まるで1970年代の朝日新聞みたいです。 >P70上段〜下段 <一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥をかかえながら、革命後の中国政府は、ともかくも 「ともかくも」で済ませちゃうんですか?凄いですね。 さすが悠久の中国大陸。文革で虐殺された自国民が、ナチスの虐殺したユダヤ人より遥かに多くても、 悠久の中国大陸では「ともかくも」で済んでしまうのですね。 >P78上段〜下段 <「実際、新聞は事実を全て伝えるわけじゃない。どのニュースを載せるか、載せないか、どういう見出しをつけるか、その時点でもう情報のコントロールが行なわれるわけだ」 それって、左派がよく使う手口なんですけど…。 特に、田中先生の大好きな中国を礼賛する報道で、頻繁に使われていたと思うんですけど。 朝日新聞は林彪の死の事実を隠蔽しましたが、まさにこれに当たります。 |
No. 1331 | |
冒険風ライダーさんの分を読んで | |
投稿者:新Q太郎 | 1999/6/09 03:27:23 |
いくつか賛否含めて、感想を述べたいと思います。 P31上段〜下段 <「蒙古連合自治政府」とは、日本軍が中国を侵略していた当時、一九三九年に、内モンゴル地方に設立した傀儡政権である。いちおう政府ということになっているが、実体はその当時世界最大の麻薬シンジケートだった。 「こんなおいしいネタが本当にあったら朝日新聞が黙っているわけがないでしょうから、この「世界最大の麻薬シンジケート」という記述は明らかにウソでしょう」 ******************* いやあ、ちょっと待った。それが否定論の根拠と言うのは、あまりにも弱い。さすがに田中氏が根拠なしにこれを地の文章として書いたとは思えんぞ。それに蒙古自治政府云々は私もしらないが、麻薬を関東軍が扱っていたことは事実。「日章旗を麻薬販売所のマーク」と誤解した人もいた、というらしいから。 ただ、日本は台湾で「阿片中毒者は登録させ、必要最低の分だけ売ってやる」という施策で実際に中毒患者を減らした実績があるから、その延長線上に大陸占領地でも阿片販売を行ない、一部が暴走した可能性もある。私もあまり知らないで書いて申し訳ないが。 //////////////// 「気にしないで下さい。一九三一年から四五年にかけての日中戦争が、日本が一方的にしかけた戦争だということは歴史上の事実です。中国の勇気ある人々が侵略に抵抗したのは当然です。日本人のなかでも、私たちの祖父は愚劣な戦争に反対して投獄されました。誇りに思っています」 水が流れるがごとくいってのけたのは続で、(略)> まず「一九三一年から四五年にかけての日中戦争」って、そもそも基本的事実そのものが違います。田中芳樹の頭の中では「満州は中国の領土」なんでしょうから(「白い迷宮」ではっきりと言ってました)そう思いたい気持ちはよく分かりますが、小中学校で教えられる普通一般で言う「日中戦争」といえば「1937〜1945」でしょう? これって小学生レベルの間違いではありませんか (^_^;)。それに満州問題では国民党と和解していましたし、当時満州事変を「侵略」などと言っていたのは中国共産党だけだったんですけど。 ***************** 昭和15年戦争、という言い方もありますからねえ。このへんは事実関係の間違いと言うよりイデオロギーでしょう。 「中国」と「満州」で、中国が無条件に満州に権利を持つと考えるのも少し無理はありますがね。侵略戦争だとしても「満州事変」と「日支事変」に性質の差を認め、分けて考えるほうが実情にそってはいると思いますが。 ////////// 「それから日中戦争は「日本が一方的にしかけた戦争」などではありません。盧溝橋事件は日本兵になりすました中国共産党員(劉少奇の部下)による策謀でしたし(日本軍と国民党を戦わせるため)」 ************ うーん、これも一説だとは思いますがまだ確定は全然されていないと思いますが。今のところ「天智--天武非兄弟説」くらいの信憑性と考えたほうがいいのでは。 //////////P61下段〜P62上段 <「解放軍とは、かつてはたしかに正義の軍隊だったのですがねえ」 「一九三一年から四九年まで、中国を荒らした兵匪とは日本軍や国民党軍だった。当時の人民解放軍は、兵匪を追い払う正義の軍隊で、当時アメリカの新聞は「アジアにこれほど高潔な軍隊が存在するとは」と驚きつつ感動していた。それが一九八九年には、武器を持たない市民を戦車でひき殺す権力者の走狗に堕落してしまった。 *************** こおれはねえ・・・。 まあ一応、相対的には規律は正しいほうだったとは思いますがね。エドガー・スノーとかって基本的にシンパだから、当時の話はいいことしか書かないんだよね。「人民のものは針一本取らない」なんてのは「人民以外」の”階級の敵”を「人民裁判」にかけただけであってさ(笑)。けっこう長征時代は、やばい行為も多かった。 毛沢東はのちに、ソ連の指導者に「ひとつの村を(自分の手で直接)70人ほど殺した。もっと殺せば良かった」と語ってあきれさせているし(今年の産経新聞で当時の通訳証言。誰かしらべて)、「チャーズ」(上と下で一文字に子)では一町を封鎖し餓死に追い込むこともしていることが分かる。 ゆえにここは批判にも賛成。 ちなみにアメリカの新聞が「敵の敵」をいかに美化しがちかは、ムジャヒデーンやコントラを参照。ついでにこのときの欧米で、中国抵抗運動の一番のシンボルは毛でも周でもない、蒋介石のワイフ・マダム宋やんけ(笑)。 ///////// 海外にいて、祖国の復権と発展を応援してきた華僑たちは、激しい怒りと失望を禁じえなかったのだ。我々は、強制収容所に国民を放りこむような国の出現を望んでいたのではないと。> 「大躍進」で気付けっちゅうの(笑)。だから ↓↓ 「そもそも「人民解放軍」が1989年に突然「権力者の走狗に堕落」したみたいな事を言ってますけど」 これは田中氏が甘いよね。 ////////////P64下段 <始は中国も中国人も好きだ。右手のカバンにわずかな資産を詰めこみ、左手に子供の手を引き、背中には万能調理具である中華鍋を背負って、中国人は世界中どこへでも旅だっていく。「おれの立っている場所こそが中国だ」と、わざわざ口に出してはいわないが、しっかりと大地を踏みしめ、異郷に根をおろし、いつかそこに街をつくりあげる。彼らの生命力、堂々たる生きかたは尊敬に値する。ただ一〇億人をはるかにこす中国人の全員が善人ではありえないのは当然のことだ。> ***************** うーん、つっこみ所多し。 *ひとつの民族の生き方を強引に画一化して、尊敬に 値するかしないとか少なくとも私は言う気になれない。 *第一、「俺はこの村で育った。何があろうとここを 離れる気にはならないね。隣村にも十四歳のころ一度 行ったか・・・」という、動かざる農民もまた日本 以上に多いだろうに。 *華僑が、田中氏が嫌うはずの血族的結合、公私の 区別の曖昧な不定形の経済マフィア、そして何より 現地の文化に(あまり)同化せず、支配層(白人など) と非支配層(現地人)の中間で利益を得て大きく なったという歴史をどう思ったのか。 //////////////// <一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥をかかえながら、革命後の中国政府は、ともかくも外国の軍隊を国内から追い出し、イギリスから香港を回復し、そして食糧の自給を達成した。ひとつの政府が、一〇億をはるかにこす民衆を食わせてきたのだ。これは偉業といってもよいことで、だからこそ、民衆の政治的な不満がおさえられてもきたのである。 **************** まーずは、近代国家史上最大級の餓死者をだしたのはおそらく中華人民共和国であることを言っておく(大躍進--文革時ね)。おまけにこの時は対外的面子から、外国に援助を求めようともしなかった点で他の内乱、無政府による飢餓以下。 最低点である。 ただ、半分は私も田中氏の評価に賛成なのです。というのは私は、中華人民共和国時代を「毛沢東王朝」とそれを簒奪(笑)した「トウ小平王朝」に分けて考えておりまして、前者は人間が尊厳をかけて対決すべき「(北朝鮮のような)全体主義国”」後者はインドネシアや朴時代の韓国ような「開発独裁国家だとみなしています。さまざまな問題を抱えつつも、「共存可能な敵」として、また内政的にも合格点に近いものをトウ小平王朝は持っていると考えます。 //////////////// 「外国の侵略も、黄河の大洪水も、蝗の害も、すべて中国は切りぬけてきた。今回のことでたとえ北京の政府が倒れても、中国自体はけっして滅びない」 セルビアもロシアも日本も、人が生きてりゃどこも同じ。以上。 ///////////////// それからここに挙げている「偉業」とやらは相当に怪しいものですね。「外国の軍隊を国内から追い出し」はまあいいでしょう。しかし「イギリスから香港を回復し」は別に中国政府の功績ではなく、単に1997年にイギリスの香港租借期限が切れただけです。だからこれは「回復した」のではなく「返していただいた」が正しいでしょう。 **************** あっ、これは反論のほうが違う。香港は租借ですが、「香港島」は永久租借地だったから返さなくても英国はよかったんです。しかし硬軟まぜた中国の外交が成功し、全面返還にあいなったのです。その駆け引きはは彼らの見事な成功ですね。 ////////////// <「実際、新聞は事実を全て伝えるわけじゃない。どのニュースを載せるか、載せないか、どういう見出しをつけるか、その時点でもう情報のコントロールが行なわれるわけだ」 ・・・とりあえず冒険風さんの「田中こそそうだろう」というのに全面的に賛成。 「全体の感想」 しかし、黄土のドラゴンてこんなにひどかったかな?このへんから読む気しなくなってきて、斜め読みだったからなあ・・・。 |
No. 1332 | |
ようやく | |
投稿者:鳳 杏樹 | 1999/6/09 04:07:30 |
*冒険風ライダーさま 「日の丸・君が代」について、明治維新以来の慣習上でも、諸外国においても「国旗・国家」として 扱われているとのことですが、いまだ、反発する人間が多い事も事実です。「慣習」で片づけてしまうにはあまりにも大きな意味を「日の丸・君が代」は背負っていると思います。田中氏は、そこのところを曖昧にしたまま「義務化」や「法制化」に持っていこうとする動きが気に入らなくて批判しているんだと思います。 それから、田中氏が「法律で定められていない」という面だけを強調しているのが、「もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」ナチス・ドイツのやり方そのもの、というのも、私は違うと思うのです。いくら現実世界の事に結び付けて批判を展開しようが、「創竜伝」はあくまで田中芳樹という個人の書いた作品です。自分が書きたいものを書いているわけですから、作者個人の考え方や感じ方を強調して当然だと思います。そして、その作品を読む、読まない、共感する、しない、あるいは批判するは、読者個人に完全に委ねられています。 一方、ナチス・ドイツのやった事というのは、国家全体のレベルであり、批判や拒否の自由だの余裕だのは国民に与えられていなかったはずです。 一作家が作品に自分の思想を色濃く反映させるのと、国家、政府がひとつの思想を浸透させようとするのでは、影響の大きさは比べ物になりません。「批判の自由と余裕」が与えられるか否かは大きな違いです。ですから、田中氏の論法をナチス・ドイツのやりくちと同一視するのは、私は賛同できません。 |
No. 1333 | |
ところで、薬師寺何チャラっての買いなのか? | |
投稿者:仕立て屋 | 1999/6/09 04:25:34 |
刑事ものらしいですが、イマイチ食指が伸びません。どんなもんだろか?ツッコミ甲斐があるのでしたら、立ち読みしてみようかと思うのですが、、、 あとそれから、「私の創竜伝考察17」を呼んでふと思ったのですが、氏の歴史観や思想が創竜伝にあるとおりとすれば、ちょっと別の意味で驚きですね。今のご時世、いくら左翼であってもあれほど、奇天烈な事実認識を持ってる方ってそうはいないのではないでしょうか?己の思想を物語りに織り込むってのはままあることですが、あそこまで、ある意味、トリップしてますと、氏がフィクションとされていることにも一理あるなと逆説的に思ってしまいます。つまり、今では夢物語となってしまった若き日の理想の残り香をひとり楽しむための作品という意味で。でなければ、氏ほどの大家がおおまじめにあのような記述をされるはずがなかろうかと思いますね。 |
No. 1336 | |
RE.1331 | |
投稿者:本ページ管理人 | 1999/6/09 06:05:34 |
)>ちなみにアメリカの新聞が「敵の敵」をいかに美化しがちかは、ムジャヒデーンやコントラを参照。 創竜伝でも言っているんですけどねぇ。アメリカはイ・イ戦争の時はイラク国内の人権侵害を無視してサダム・フセインを英雄のように言っておいて、湾岸戦争の時は悪魔であるかのように評価を変えたって。 |
No. 1338 | |
久々のまとめレス | |
投稿者:冒険風ライダー | 1999/6/09 20:14:59 |
う〜ん、久々の「私の創竜伝考察シリーズ」、いろんな返事が返ってきていますね。 これだけでも投稿に意義があったというものです。 >M野さん 大変お待たせしていたようで申し訳ありません。5月は結構忙しかったので書く暇がなかったものでして。それにスタンスもある程度変える必要もあるかと思いましたので、少し見直しをしておりました。 創竜伝7の中国礼賛は尋常なレベルではありません。5巻で天安門事件にふれて「非武装の市民を軍隊を使って虐殺するような権力体制が実在することを、世界の人々は思い知らされたのだ」と自分で言っておきながら、あんな礼賛記述をする神経は私には全く理解できませんね。今回は特に問題な部分だけを取り上げてみたのですが、様々なところで「これでもかっ!」とばかりに中国を礼賛しているのはちょっとねえ……。 創竜伝7は間違いなくあれのためにつまらなくなっているのですが。 >新Q太郎さん 私の投稿についての批評、そして間違いのご指摘、ありがとうございます。相変わらず鋭いですね。批判文も私の文章より説得力があります。まだまだ私も修行が足りんか(-_-;;)。 >P31上段〜下段 これはやはり弱かったか〜(T_T)。朝日新聞あたりがこれを見逃すはずがないと思ったので書いたのですが、蒙古連合自治政府については私もあまり知らなかったからな〜。引用だけに留めておけば良かったかな? それと関東軍が麻薬を扱っていたのは知りませんでした。勉強になります。 >P61上段〜下段 「1931〜1945」というのなら「15年戦争」ってきちんと言ってほしいものです。日中戦争ではやはり「1937〜1945」でしょうからね。普通はやはりそう解釈するものですよ。私も小学校でそう習ったし。 それと盧溝橋事件についての記述は渡部昇一氏あたりから引用してきたのですが、彼は「中国側の記録にも「劉少奇同志の命令でやった」と書いてある」とはっきり断言していますからね。田中芳樹に対するアンチテーゼとして書いたのですけど、事実はどうなんでしょうね? >P64下段 中国人を礼賛するやり方と、日本人を罵倒するやり方は全く同じなんですよね。画一的に評価するという点で。結果は全く正反対ですけど。 <ただ、半分は私も田中氏の評価に賛成なのです。というのは私は、中華人民共和国時代を「毛沢東王朝」とそれを簒奪(笑)した「トウ小平王朝」に分けて考えておりまして、前者は人間が尊厳をかけて対決すべき「(北朝鮮のような)全体主義国"」後者はインドネシアや朴時代の韓国ような「開発独裁国家だとみなしています。さまざまな問題を抱えつつも、「共存可能な敵」として、また内政的にも合格点に近いものをトウ小平王朝は持っていると考えます。> しかし田中芳樹の評価は全く逆なんですよ(^^;)。彼は毛沢東を7巻でヨイショしている一方、5巻では明らかにトウ小平としか思えない人物を「愛国心がどうのこうの」と非難していましたから。 私も毛沢東よりはトウ小平の方が評価できると思うのですけどね〜。トウ小平王朝2代目皇帝(笑)江沢民はどちらかというと毛沢東に近いような……。 <あっ、これは反論のほうが違う。香港は租借ですが、「香港島」は永久租借地だったから返さなくても英国はよかったんです。しかし硬軟まぜた中国の外交が成功し、全面返還にあいなったのです。その駆け引きはは彼らの見事な成功ですね。> うっ、これも知らなかった……(T_T)。以前イギリスと中国が香港問題でもめたという話は聞いた事があったのですが、それって「香港島」のことだったのですね。何をもめていたんだろうと考えていましたが。 それにしてもまぎらわしい名前ですね。「香港」と「香港島」ってのは。 <「全体の感想」 しかし、黄土のドラゴンてこんなにひどかったかな?このへんから読む気しなくなってきて、斜め読みだったからなあ・・・。> まだまだひどくなりますよ(^^;)。中国礼賛と反日評論では7巻が一番ひどいですからね。 黄老というキャラクターもいることですし。 >仕立て屋さん 「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズは一応刑事ものとありますが、実際の所は「極楽大作戦」のような「妖怪退治」です。1巻「摩天楼」の社会評論は創竜伝のアレをパクッてきただけでしかありません。2巻はほとんど社会評論はありませんがストーリー自体がくだらないし。まあその分ツッコミがいもあるでしょうが。 あのシリーズは「絵にだまされて買った」という苦い思い出があるんですよね(T_T)。あれのイラストを書いている垣野内成美氏は、かつて私がハマッたゲームソフトのキャラクターデザインを担当していたため、それにつられてつい買ってしまったらあまりにもくだらなかったという、懐かしい思い出が……。まあその腐れ縁で2巻も購入してしまいましたが(^^;)。 あれは「スレイヤーズ」と「極楽大作戦」を読んだ後に読む事をお勧め致します。「ああ、ここはこれのパクリか」というツッコミができて面白くなりますから(というよりも、それ以外に面白くする方法はない)。 <氏の歴史観や思想が創竜伝にあるとおりとすれば、ちょっと別の意味で驚きですね。今のご時世、いくら左翼であってもあれほど、奇天烈な事実認識を持ってる方ってそうはいないのではないでしょうか?己の思想を物語りに織り込むってのはままあることですが、あそこまで、ある意味、トリップしてますと、氏がフィクションとされていることにも一理あるなと逆説的に思ってしまいます。つまり、今では夢物語となってしまった若き日の理想の残り香をひとり楽しむための作品という意味で。でなければ、氏ほどの大家がおおまじめにあのような記述をされるはずがなかろうかと思いますね。> アレが本気だったらホントに怖いけど、小早川奈津子の記述と違ってギャグが全く混入していませんから、その可能性も否定できないような……(^^;)。 それに仕立て屋さんの言う通りならば、「今では夢物語となってしまった若き日の理想の残り香をひとり楽しむための作品」などというシロモノを売り出さないでほしいものですけどね。 |
No. 1339 | |
鳳 杏樹さんへ | |
投稿者:冒険風ライダー | 1999/6/09 20:16:36 |
なるほど、確かに田中芳樹は書きたいものを書いているだけかもしれません。しかし私が取り上げているのは「フィクションの皮をかぶった、現実世界に対する社会評論」です。創竜伝はフィクションですが、私は創竜伝の社会評論は「ノンフィクション」とみなしています。そうであるならば「なぜそうなったのか」という「実証的検証」は絶対に必要ですし、少なくとも一方の観点だけから論じるのは不公平でしょう。ましてや「現実世界に対する社会評論」である以上、ウソをいってはいけませんし、フィクションの影に隠れて悪意に満ちた記述をするのは反則です。 かの社会評論でも「「日の丸・君が代は法律でさだめられた国旗・国歌ではない」と事実を明記した教科書が、文章の削除を命じられた」という点だけを強調し、いかにも「文部省=悪」のような記述をやっていますが、文部省が「文章の削除を命じる」ほどの権限を教科書会社に対して持っていない事、文部省がそんな行動に走らざるをえなかった理由のひとつに、教育現場で文部省以上の権力を持つ日教組が反日教育をしていることがあるということについては一言半句もふれていません。その態度が「一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」「ナチス・ドイツのやりくち」であると批判したのです。 ここでの「ナチス・ドイツのやりくち」というのは「一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠す創竜伝の社会評論のやりくち」を指しているのであって、それ以上の意味はありません。別に田中芳樹が言論弾圧をしているとは一言も言っていませんし、「批判の自由を奪っている」とも言っていません。 ただ、影響力という点では「読者に対する影響」というのは非常に大きいのではないでしょうか? 私もかつてはもろに影響をうけていましたし。影響力の大きさではともかく、影響をうけて田中芳樹の主張を鵜呑みにする人は結構いるのではないかと思います。以外に田中芳樹の影響力ってのは大きいものですよ。国家レベルではないにしても。 後、日の丸・君が代については、彼は存在自体を否定していると思います。別の社会評論でも、この「日の丸・君が代」を教えるということをことあるごとに否定していますし(創竜伝4 P168 & 創竜伝5 P148)、しかもこれらも「文部省の強制」というのだけを強調していますから。 それに100歩ゆずって鳳杏樹さんのおっしゃるような「まじめな問題提起」をしているとしても、それに乗じて文部省を「ナチス・ドイツと同じ」とまで酷評するのは言い過ぎでしょう。検証もしない上にこんな事を言っているのでは、建設的批判どころか「ただの誹謗中傷」ととられても仕方がないと思いますがどうでしょうか。 |
No. 1341 | |
薬師寺涼子>仕立て屋さん | |
投稿者:水野忠右衛門 | 1999/6/09 23:52:08 |
No.1333 仕立て屋さん、こんにちは。 「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズについて。 No.1338で冒険風ライダーさんが要約してますが、私なりの感想など。 あくまで感想なので、参考になるかどうかわかりませんが。 お話は、冒険風ライダーさんのおっしゃる通り妖怪退治物です。ただ、妖怪退治のくだりは、週間連載コミック1回分程度の薄い内容しかありません。 でも、私はこの作品結構好きです。サディスト薬師寺涼子女王様と、マゾヒスト予備軍泉田準一郎(下僕その1)のドタバタラブコメとして読んでですが。 私は「極楽大作戦」も「スレイヤーズ」も知らないのですが、なんとなく「押井守のうる星やつら」と「古畑任三郎」を足して2で割って創竜伝風スパイスをちょっぴりふりかけたという印象を受けました。 それと、小説を読んだというより、コミックを読んだような感じでした。田中芳樹作品のなかでは、創竜伝の次に「悪ノリ(もしくは手抜き)」小説であることは間違いないと思います。 |
No. 1342 | |
では、立ち読みが良しですね | |
投稿者:仕立て屋 | 1999/6/10 01:53:38 |
冒険風ライダーさん、水野さん、ご返事ありがとうございます。 「極楽大作戦」ってGS美神のことですよね。それを聞いて滅茶苦茶 イメージ想像できますよ。これで、ラブコメ+妖怪退治でしかも妖怪退治 の部分が薄っぺらいってことですので大方の予想はつきます。あと、うる 星やつらと古畑任三朗を足して2で割った上に創竜伝をのエッセンスを加える となるとアヤシ度200%ですね。うる星やつらってのはやはり桜先生(だっけ ?)が古畑と言うわけですな。あ〜〜キャラ萌ェ〜ってことですか?ヒヒヒ〜。 まぁ、田中研究?のつもりで読んでみます。案外おもしろいかもしれんし( だが、金は出さぬ〜)。 |
No. 1376 | |
あえて言うならば | |
投稿者:鳳 杏樹 | 1999/6/16 01:50:01 |
*冒険風ライダーさん ちょっと遅くなりましたがNo1339の書き込みへのレスです。 創竜伝が「フィクションの皮をかぶった、現実世界に対する社会評論」であるというご意見には、私もうなづけるものがあります。また、文部省に関する記述など、「真面目な問題提起」ではすまないような、かなり一方的な面があるのも承知しています。しかし、田中氏のファンとして、これだけは言っておきたいと思います。 創竜伝の面白さの一つに「とにかく主人公たちが敵役を容赦なくなぎ倒していく」というものがあると思います。(これを面白さととるか否かはまた個人で違うでしょうが) それこそ「容赦なく」ですから、倒される相手は当然「いかにも」という感じの敵役であった方が面白い。 したがって、竜堂兄弟に危害を加える、あるいは彼らと相容れない存在は、出来る限り卑小に、権威を振りかざすような、どうしようもない「悪役」へと脚色に脚色を重ねられているのではないでしょうか。 ただ、「創竜伝」が現代を舞台にしていること、さらに、現実の出来事に促した記述が盛り込まれていることがやはり問題になってきます。しかし、正直なところ、体制側がボロクソに描かれているのは無責任ながら痛快に感じるもので、おそらく作者もそのあたりを狙って書いたのでしょう。これがまた、「売れ筋ねらい」が批判の対象にはなるんでしょうけれど。 結局、いかに売れ筋を狙おうが、一方的に決め付けるような表現を多用しようが、はたまた遅筆だろうが、私は田中芳樹氏の作品が、「創竜伝」や「薬師寺涼子の事件簿」を含め、今でも好きであるということです。 思えば氏の作品とは10年来の付き合い、しかも思春期真っ只中を、氏の作品を呼んですごしてきたわけで、私の価値観の中に、田中氏の作品の世界が一種「聖域」になってしまっているのだと思います。この点、田中氏の影響は確かにかなり強いです。 かといって、書いてあることをすべて鵜呑みにするわけでもありません。いかに影響が強かろうと、本はあくまで「その作家の、個人の価値観、考え方」でしかありませんから。 そいうわけで、田中氏への、特に「創竜伝」への数々の批判になるほどと思いながらも「ちょっと言い過ぎではないか」とかばいたくなるのです。 |
No. 1400 | |
RE1376 | |
投稿者:冒険風ライダー | 1999/6/18 01:47:55 |
>鳳 杏樹さん まあ「私の創竜伝考察シリーズ」がかなり攻撃的になっているのは確かですし、あの姿勢から「田中芳樹を全否定しているのではないか」という考えを持たれても仕方がないかと思いますが、私も田中芳樹作品は好きなものの方が多いんです。私が作品として嫌っているものは「創竜伝」「クラン」「薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ」の3つだけですから(最近の中国ものは読んでませんが)。 私は「現代物における3流評論家・田中芳樹」と「最近の田中芳樹」は嫌いですけど、「架空世界小説作家・田中芳樹」には敬意を払っています。銀英伝やアルスラーン戦記は面白いし、現代物や中国物でも「夏の魔術シリーズ」と「風よ、万里を翔けよ」なら評価できるのですけどね。むしろこれらが名作であるからこそ、創竜伝などが著しく嫌いになったという一面もありますし。 これらを評価する新シリーズを今考えているのですけど、どういうスタンスで評価すべきかで今悩んでいる所です。 小説は面白ければ良いという考え方は私も賛成ですけど、私があげた上記3つはそもそもストーリー自体も面白くないんですよね。私が創竜伝を嫌いになったのもストーリーが面白くなかったからでして。まあこれは人それぞれで違うのでしょうが、どうも社会評論やりたさに肝心のストーリー設定をおろそかにしているような気がしますね。ストーリーを破壊しかねない致命的な矛盾が多すぎるし。双方の陣営で反日評論を展開しているために、竜堂兄弟と四人姉妹の対立原因が全くわからなくなっているのもそのひとつです。 それに創竜伝は勧善懲悪に徹するには変なコメントが多すぎです。「おれたちは別に正義のために戦っているわけではない」とか「人を思いやる想像力が大事だ」とか言いながら、あそこまで一方的に敵を追い詰めるのは矛盾しているような気が……。それに敵もワンパターンな連中ばかりだし、叩き潰した後のあの説教は必要ないと思うのですが……。 まあストーリーの面白さは人それぞれですし、これが気に入っている人もいるのは理解できますが。 「私の創竜伝考察シリーズ」にしても、絶対的に正しい事を主張しているわけではありませんし、その思想を強制するものではありません。「創竜伝の社会評論に対するアンチテーゼ」と捉えてくれればそれで結構です。 それにしても「私の創竜伝考察シリーズ」を読んで田中芳樹(ないしは創竜伝)弁護に走ってしまう人って多いんだろうな〜(^^;;)。 |
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