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No. 8046 | |
同盟の諜報体制について | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/26 01:59 |
みなさん、はじめまして。 以前よりこちらはちょくちょく拝見させて頂いていたのですが、どうにも銀河英雄伝説について以前から疑問があり、もし宜しければその解決にお付き合い頂ければと思います。 一応、以前10巻まで通読したことはありますが、随分と昔のことなので記憶の欠落等もあり、また、今私の手元には創元SF文庫の1〜3巻(黎明篇〜雌伏篇)しかなく、しかも外伝を読んでいないのもので、そちらに何らかの解答があれば御指摘頂ければ幸いです。 私の疑問というのは、どうしてアスターテ会戦時点で、すでにヤンがあれだけラインハルトへ警戒心を持つに至ったのか、そしてその根拠は何なのか、ということです。 私が考える限り、同盟が帝国の情報を入手するには、フェザーン駐留の弁務官経由もしくは帝国からの亡命者あたりになるのではないかと思います。他にもフェザーンの商人からの噂話程度はあったかも知れませんが、少なくとも、フェザーン商人や亡命者にヤンが直接接触していたとは考えにくいですし、ヤンが手に入れられた情報というのは、あくまで同盟軍の諜報部門が必要だと判断し、そして弁務官が意図的に情報を入手しようと考えたものでしかないと思います。 しかしながら、このアスターテ時点では、同盟軍首脳も弁務官にもラインハルトを警戒する動きは毛ほども無かったみたいですし、ラインハルトに対する印象は、下手をすれば帝国門閥貴族の持つ“姉の七光り”という印象とほとんど違わないのではないかとも思われます。 つまり、同盟軍にはラインハルトを警戒する理由というか、ほとんど注目することも無かったのでは、ということも十分考えられますし、そうなればラインハルトにまつわる情報も、おざなりな通り一遍のものでしかなくなるでしょう。さらにそのフィルターの掛かった情報を与えられる立場でしかないヤンが、どうやってラインハルトへの警戒心を持つようになったのか、そして、アスターテでラインハルトの戦術を予測し得えるまで、彼を理解出来たのかという疑問が生まれました。 もちろん、同盟の諜報部門もフェザーン駐留の弁務官も、最低限の仕事はしていたということかもしれませんが、それでも、どうも喉に小骨が引っ掛かっているようで、何とも落ち着きません。 同盟の国家体制というものにも関わる疑問であり、あくまで私の個人的な動機に過ぎませんが、どうぞ御教示をお願い致します。 |
No. 8047 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
S.K | 2008/05/26 21:00 |
はじめまして。 > 私の疑問というのは、どうしてアスターテ会戦時点で、すでにヤンがあれだけラインハルトへ警戒心を持つに至ったのか、そしてその根拠は何なのか、ということです。 いや、アスターテでヤンが執拗に危惧していたのは「『連合艦隊分散』という、司令官の功績分配の政治的意味以外では極めてハイリスクな軍事行動」に対してのものだと思います。 「自分なら索敵を密にして各個撃破を考える。そう考える敵将がいないとどうして言える。ここは慎重に4万対2万で手堅く数の勝利を手にして帝国艦隊を撤退させるのが一番被害が少ないのでそうすべき」という事です。 上司のパエッタの、最悪どころかケアレスミスさえ気にしていない軽薄な楽観的姿勢もヤンの慎重さをより助長したんでしょう。 > つまり、同盟軍にはラインハルトを警戒する理由というか、ほとんど注目することも無かったのでは、ということも十分考えられますし、そうなればラインハルトにまつわる情報も、おざなりな通り一遍のものでしかなくなるでしょう。さらにそのフィルターの掛かった情報を与えられる立場でしかないヤンが、どうやってラインハルトへの警戒心を持つようになったのか、そして、アスターテでラインハルトの戦術を予測し得えるまで、彼を理解出来たのかという疑問が生まれました。 まあその「予想しうる最悪の敵将」が今回たまさか出征していてそれがラインハルトだった」という事です。 名前については、アスターテ終盤のヤンの逆包囲離脱に対する祝電まで、ヤンはラインハルト個人は知らなかったでしょうね。 |
No. 8048 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/26 21:41 |
S.Kさんこんにちは。どうぞ宜しくお願いします。 > いや、アスターテでヤンが執拗に危惧していたのは > 「『連合艦隊分散』という、司令官の功績分配の政治的 > 意味以外では極めてハイリスクな軍事行動」に対しての > ものだと思います。 > 「自分なら索敵を密にして各個撃破を考える。そう考える > 敵将がいないとどうして言える。ここは慎重に4万対2万で > 手堅く数の勝利を手にして帝国艦隊を撤退させるのが一番 > 被害が少ないのでそうすべき」という事です。 > 上司のパエッタの、最悪どころかケアレスミスさえ気に > していない軽薄な楽観的姿勢もヤンの慎重さをより助長 > したんでしょう。 すみません、私の言葉足らずで誤解を与えてしまったようです。 ここで私が言いたかったのは、“分散”と“各個撃破”の部分ではなく、会戦の最終局面でラインハルトが勝利を決定的にするべく中央突破を図った、それを予想し得たという部分です。 もちろん、その都度状況によっても左右されるものなのでしょうが、ラインハルトの戦歴、戦術の癖、性格的なものをある程度知らなければ、最後に来るのが中央突破か包囲殲滅かなんて予想不可能だと思うんです。 > まあその「予想しうる最悪の敵将」が今回たまさか出征していて > それがラインハルトだった」という事です。 > 名前については、アスターテ終盤のヤンの逆包囲離脱に対する > 祝電まで、ヤンはラインハルト個人は知らなかったでしょうね。 ラインハルトが敵将であるということは、会戦前に判明しているようです。 1巻 P74より 「ヤン准将、現実は貴官の言うような計算だけでは成立せんのだ。敵の指揮官はローエングラム伯だ。若くて経験もすくない。それにくらべてパストーレ中将は百戦錬磨だ」 「司令官閣下、経験がすくないとおっしゃいますが、彼の戦略構想は・・・・・・」 という会話がパエッタとヤンの間でなされています。 ここで気がついたんですが、やはり、ラインハルトはそれなりに同盟軍の将官クラスには知名度はあるものの、しかしながら、ヤン以外の大部分は『若くて経験がすくない』という印象しか抱いていないということです。 つまり、そこまでラインハルトの能力を把握しておらず、後のフォークの暴挙にも繋がるのでしょうが、同盟軍の評価はあくまで“金髪の孺子”という程度だったのかもしれません。 ラインハルトに対し、そういった程度の評価しかしていない組織において、ラインハルトの戦略構想までも把握しているヤンのその智謀を支えた“情報”の出所が、どうにもうやむやなんです。 |
No. 8049 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
S.K | 2008/05/27 00:40 |
> S.Kさんこんにちは。どうぞ宜しくお願いします。 いえいえ、こちらこそ。 > すみません、私の言葉足らずで誤解を与えてしまったようです。 > ここで私が言いたかったのは、“分散”と“各個撃破”の部分ではなく、会戦の最終局面でラインハルトが勝利を決定的にするべく中央突破を図った、それを予想し得たという部分です。 > もちろん、その都度状況によっても左右されるものなのでしょうが、ラインハルトの戦歴、戦術の癖、性格的なものをある程度知らなければ、最後に来るのが中央突破か包囲殲滅かなんて予想不可能だと思うんです。 ここまで「名将」の常道で勝って来た相手(ラインハルト)がいきなり「奇策に走る」「発狂する」「急死する」という低確率の要素を省くと、残るのは当初の同盟の堅実策「数で押して確実に勝つ」でしょう。 ヤンは最悪の想定をしていたので「半減した代わりに、軽快になった機動力で一撃奇襲して帝国軍に痛手を与えると同時に抗戦か逃亡かの判断の躊躇を誘って逃げる暇を稼ぐ、という敗北サイドの『最善』を尽くしたに過ぎません(万一ラインハルトの勝利がまぐれなら適当に挑発して他艦隊哨星域におびきだす、という効果も期待できますし)。 > > まあその「予想しうる最悪の敵将」が今回たまさか出征していて > > それがラインハルトだった」という事です。 > > ラインハルトが敵将であるということは、会戦前に判明しているようです。 > 1巻 P74より > 「ヤン准将、現実は貴官の言うような計算だけでは成立せんのだ。敵の指揮官はローエングラム伯だ。若くて経験もすくない。それにくらべてパストーレ中将は百戦錬磨だ」 > 「司令官閣下、経験がすくないとおっしゃいますが、彼の戦略構想は・・・・・・」 > > という会話がパエッタとヤンの間でなされています。 そちらは失念してました、失礼。 しかしヤンは「あくまで『知らない相手』であって、『愚将』と断じて会戦ではなく鴨撃ち気分で戦いに臨むのはどうか」という感想ではなかったかと。 > ここで気がついたんですが、やはり、ラインハルトはそれなりに同盟軍の将官クラスには知名度はあるものの、しかしながら、ヤン以外の大部分は『若くて経験がすくない』という印象しか抱いていないということです。 > つまり、そこまでラインハルトの能力を把握しておらず、後のフォークの暴挙にも繋がるのでしょうが、同盟軍の評価はあくまで“金髪の孺子”という程度だったのかもしれません。 > > ラインハルトに対し、そういった程度の評価しかしていない組織において、ラインハルトの戦略構想までも把握しているヤンのその智謀を支えた“情報”の出所が、どうにもうやむやなよんです。 まあやっぱり期せずして「常勝の天才」が「不敗の名称」に「勝ったが完勝は阻まれた」構図の最初の一回目が成立していただけ、という所ではないでしょうか。 |
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Re:同盟の諜報体制について | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/27 01:44 |
レスありがとうございます。 私のスタンスとして、銀英伝に関しては、「好き」と「嫌い(と言うより、処女作であるが故の甘さですか)」が同居しています。 都合により以前徳間の新書は全巻揃えたものの売り払い、最近文庫化されたものを購入した、という状況です(それにしても、新書よりも高い文庫って何なんでしょうね)。 ここで議論されていらっしゃるみなさんのように、シャーロキアン的な考察を出来ればいいのでしょうが・・・・・・。一層精進したいと思います。 我ながら少しばかり粘着質かとも思いますが、どうぞお付き合いをお願い致します。 > ここまで「名将」の常道で勝って来た相手(ラインハルト)が > いきなり「奇策に走る」「発狂する」「急死する」という低確率 > の要素を省くと、残るのは当初の同盟の堅実策「数で押して確実 > に勝つ」でしょう。 > ヤンは最悪の想定をしていたので「半減した代わりに、軽快に > なった機動力で一撃奇襲して帝国軍に痛手を与えると同時に > 抗戦か逃亡かの判断の躊躇を誘って逃げる暇を稼ぐ、という > 敗北サイドの『最善』を尽くしたに過ぎません(万一 > ラインハルトの勝利がまぐれなら適当に挑発して他艦隊哨星域に > おびきだす、という効果も期待できますし)。 度々すみません。私もヤンが会戦前の時点で、「最悪と言うかほぼ確実に他の2艦隊は各個撃破されて全滅するだろう。自分の艦隊が戦うのは最後になるだろうが、パエッタは多分その現実を受け入れられず、接敵した際に痛撃を食らうかもしれない」という部分まで予想を立てていたと思います。というか、そうでないと事前に艦隊を制御するプログラミングをするなんて矛盾しますしね。 私が言いたかったのは、ヤンが「自分の艦隊が痛撃を受ける」の後に、「ラインハルトが中央突破を図る」ことまで予測し得たという部分なんです。 これについては、接敵時の攻撃によるヤン艦隊の被害程度、ラインハルト艦隊の練度や士気(他の艦隊を破っているので高いはずでしょうが)、疲労度合いや残弾や燃料などの要素が絡み合った上で、ラインハルトが「よし、中央突破で行こう!」と思うか、「いやいや、いまいち被害も少なそうだし、手堅く半包囲で行こう」と思うかは、紙一重だと思うんです。 そして、その予測をより確実なものとするために必要なのが、ラインハルトの人となりやこれまでの戦い方や勝ち方などの“情報”だと思った訳です。 これらの“情報”は、アスターテ会戦時点での同盟に、取得する意思も無ければ、必要性も無かった。だが、ヤンはラインハルトが端倪すべからざる「名将」であることを理解し、さらにパエッタとの会話では、“戦略構想”があることにすら言及しています。 どう考えても、ミニマムな情報しか与えられないヤンを取り巻く環境の中で、ラインハルトが只者ではないという風に思えたとしても、「負けない名将」なのか、「勝ち易きに勝つ名将」なのかまでは判断出来ないのではないかと思うんです。 ただ、これに関しては、今さらですけど、「事前に数パターン用意していて、状況に合わせた結果」という可能性に思い至りました。 勝てないにしろ負けないようにするという方針は、パエッタに上申を否決された時点で、ヤンは最初から持っていたはずですから。 自分で疑問を持ち出しておいて、勝手に自己完結して申し訳ありませんでした。 > > ここで気がついたんですが、やはり、ラインハルトはそれなりに同盟軍の将官クラスには知名度はあるものの、しかしながら、ヤン以外の大部分は『若くて経験がすくない』という印象しか抱いていないということです。 > > つまり、そこまでラインハルトの能力を把握しておらず、後のフォークの暴挙にも繋がるのでしょうが、同盟軍の評価はあくまで“金髪の孺子”という程度だったのかもしれません。 > > > > ラインハルトに対し、そういった程度の評価しかしていない組織において、ラインハルトの戦略構想までも把握しているヤンのその智謀を支えた“情報”の出所が、どうにもうやむやなよんです。 > > まあやっぱり期せずして「常勝の天才」が「不敗の名称」に > 「勝ったが完勝は阻まれた」構図の最初の一回目が成立していた > だけ、という所ではないでしょうか。 ただ、やはり、これに関しては、ヤンのセリフである「彼の戦略構想は・・・・・・」の部分が引っかかります。 ヤンには理解出来たラインハルトの“戦略家”の部分まで、果たして情報提供者たるフェザーン駐留の弁務官や亡命者達が認識し得たか、そもそも、諜報部門たる情報部(でしたっけ?)が“金髪の孺子”に対し、警戒という意味での興味を持っていたのか? 些細なことなのかもしれませんが、それがどうにも上手く説明出来ず、納得出来ないんです。 ヤンが「ローエングラム伯は名将です。(戦術的に)容易い相手ではありません」と言えばまだ解るんですが、「戦略構想は」の部分が、一准将たるヤンに情報として与えられていた可能性は限りなく低いのではないかと思った次第です。 実際の軍隊としてはどうなんでしょう。敵対国を含めた他国の有名な将官などが、その戦場での実績や出生、育ちや思想、戦術などの部分まで研究されるのは理解出来るんですが、逆にその情報はどこまでオープンにされるのでしょうか。 組織内部での情報の取り扱いについて、例えば参謀本部が恣意的に独占して門外不出の機密事項にしてしまうとか・・・・・・。 或いは、限りなくオープンにされ、勉強会や様々な情報として、一定レベルの将官には伝達されるのか。 少なくとも、組織として、「ラインハルトは若く経験が少ない」という認識がなされていたであろう同盟軍において、ヤンはどうやって「ラインハルトが壮大な戦略構想を抱いている」という部分にまで認識を昇華し得たのか。 諸葛孔明やナルサスのように、自らが主体的に情報取得への根幹部分に関われる立場にないヤンが、どうやってその認識を持てたのかということが、今のところ私の疑問の一つなんです。 ヤンが与えられた情報量は、そこまで多かったのでしょうか? |
No. 8051 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
S.K | 2008/05/27 22:45 |
> レスありがとうございます。 > 私のスタンスとして、銀英伝に関しては、「好き」と「嫌い(と言うより、処女作であるが故の甘さですか)」が同居しています。 > 都合により以前徳間の新書は全巻揃えたものの売り払い、最近文庫化されたものを購入した、という状況です(それにしても、新書よりも高い文庫って何なんでしょうね)。 こちらなぞ手元にないのを記憶と考察本を頼りに錯誤しつつ書いてる無様ぶりです、失礼多々お詫びしないといけない所と恥じ入っております。 > 度々すみません。私もヤンが会戦前の時点で、「最悪と言うかほぼ確実に他の2艦隊は各個撃破されて全滅するだろう。自分の艦隊が戦うのは最後になるだろうが、パエッタは多分その現実を受け入れられず、接敵した際に痛撃を食らうかもしれない」という部分まで予想を立てていたと思います。というか、そうでないと事前に艦隊を制御するプログラミングをするなんて矛盾しますしね。 いや、あのプログラムは「『三方から同数で』ならともかくわざわざ帝国軍の7割弱3部隊に即時合流が至難な距離に分散する愚将相手に『各個撃破』を選択する帝国指揮官がいたら勝てないだろう。うち(第二艦隊)が最初に襲われて痛撃されればこの手(挟撃機動離脱戦法)で逃げればよし、第四、第六艦隊はラップには気の毒だが運にまかせて各個の賢明な判断を期待するより他ない」という意図で、まあ「パエッタ中将じゃ勝てないだろう。万一私(ヤン)に艦隊の行動選択権が与えられる事態になった時少しでも死なない努力をしておこう」という「溺れた時に縋る藁を浮かべておく」程度の気持ちの保険ではないでしょうか。 > 私が言いたかったのは、ヤンが「自分の艦隊が痛撃を受ける」の後に、「ラインハルトが中央突破を図る」ことまで予測し得たという部分なんです。 > > これについては、接敵時の攻撃によるヤン艦隊の被害程度、ラインハルト艦隊の練度や士気(他の艦隊を破っているので高いはずでしょうが)、疲労度合いや残弾や燃料などの要素が絡み合った上で、ラインハルトが「よし、中央突破で行こう!」と思うか、「いやいや、いまいち被害も少なそうだし、手堅く半包囲で行こう」と思うかは、紙一重だと思うんです。 只でさえラインハルト艦隊の七割弱しかない第二艦隊が半減しているなら、なまじ包囲陣を布いて一か八かの強行突破の可能性のある薄い部分を作るより、2万隻まとめてガツンとぶつけた方が今度はラインハルトの損害が少なくなるでしょう。 「一瞬に左右に展開、帝国艦隊を挟撃して後方で再合流して撤退」というのは「クモの子散らすような撤退が最下策」と理解しているラインハルトにはかえって思いつかない対処だったというのはある話です。 > そして、その予測をより確実なものとするために必要なのが、ラインハルトの人となりやこれまでの戦い方や勝ち方などの“情報”だと思った訳です。 > > これらの“情報”は、アスターテ会戦時点での同盟に、取得する意思も無ければ、必要性も無かった。だが、ヤンはラインハルトが端倪すべからざる「名将」であることを理解し、さらにパエッタとの会話では、“戦略構想”があることにすら言及しています。 > > どう考えても、ミニマムな情報しか与えられないヤンを取り巻く環境の中で、ラインハルトが只者ではないという風に思えたとしても、「負けない名将」なのか、「勝ち易きに勝つ名将」なのかまでは判断出来ないのではないかと思うんです。 > > ただ、やはり、これに関しては、ヤンのセリフである「彼の戦略構想は・・・・・・」の部分が引っかかります。 > > ヤンには理解出来たラインハルトの“戦略家”の部分まで、果たして情報提供者たるフェザーン駐留の弁務官や亡命者達が認識し得たか、そもそも、諜報部門たる情報部(でしたっけ?)が“金髪の孺子”に対し、警戒という意味での興味を持っていたのか? > 些細なことなのかもしれませんが、それがどうにも上手く説明出来ず、納得出来ないんです。 > > ヤンが「ローエングラム伯は名将です。(戦術的に)容易い相手ではありません」と言えばまだ解るんですが、「戦略構想は」の部分が、一准将たるヤンに情報として与えられていた可能性は限りなく低いのではないかと思った次第です。 > > 実際の軍隊としてはどうなんでしょう。敵対国を含めた他国の有名な将官などが、その戦場での実績や出生、育ちや思想、戦術などの部分まで研究されるのは理解出来るんですが、逆にその情報はどこまでオープンにされるのでしょうか。 > 組織内部での情報の取り扱いについて、例えば参謀本部が恣意的に独占して門外不出の機密事項にしてしまうとか・・・・・・。 > 或いは、限りなくオープンにされ、勉強会や様々な情報として、一定レベルの将官には伝達されるのか。 > > 少なくとも、組織として、「ラインハルトは若く経験が少ない」という認識がなされていたであろう同盟軍において、ヤンはどうやって「ラインハルトが壮大な戦略構想を抱いている」という部分にまで認識を昇華し得たのか。 > > 諸葛孔明やナルサスのように、自らが主体的に情報取得への根幹部分に関われる立場にないヤンが、どうやってその認識を持てたのかということが、今のところ私の疑問の一つなんです。 > > ヤンが与えられた情報量は、そこまで多かったのでしょうか? 外伝で2,3回同盟との艦隊戦もありましたし、アスターテ会戦はトリューニヒトの軍閥形成の手助けにフェザーンから情報がリークされてる事からトリューニヒト閥のパエッタは部下に「敵はまぐれ勝ちで成り上がったあのラインハルトとか言う若造だ。こちらから勝ちに出るぞ」くらいの紹介はあったでしょう。 そこまであれば「いや、それなら私『嫌な事言って戦勝に水さした』で喜んで軍クビになりますけど、あれが実力だったら浮かれたこちらの足元掬える天才の功績ですよ、ローエングラム伯の経歴は」という判断はヤンに可能ではないでしょうか。 |
No. 8052 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/28 09:05 |
S.Kさんこんにちは。ご丁寧なレスありがとうございます。 > いや、あのプログラムは「『三方から同数で』ならともかく > わざわざ帝国軍の7割弱3部隊に即時合流が至難な距離に分散 > する愚将相手に『各個撃破』を選択する帝国指揮官がいたら > 勝てないだろう。うち(第二艦隊)が最初に襲われて痛撃されれば > この手(挟撃機動離脱戦法)で逃げればよし、第四、第六艦隊は > ラップには気の毒だが運にまかせて各個の賢明な判断を期待 > するより他ない」という意図で、まあ「パエッタ中将じゃ勝てない > だろう。万一私(ヤン)に艦隊の行動選択権が与えられる事態に > なった時少しでも死なない努力をしておこう」という「溺れた > 時に縋る藁を浮かべておく」程度の気持ちの保険ではないでしょうか。 そうですね、言われてみればその通りで、私は逆にヤンの無謬性を過信し過ぎていたようです。他の2艦隊が全滅するのまでは予想し得ても、いざ自分の艦隊が戦う際、自分に指揮権限が回ってくる可能性よりも、パエッタともども宇宙の藻屑となる可能性の方が高いでしょうからね。中途半端に負けた状態になったら、パエッタが降伏するか自殺するかまでは考える必要もないでしょうし。 > 只でさえラインハルト艦隊の七割弱しかない第二艦隊が半減して > いるなら、なまじ包囲陣を布いて一か八かの強行突破の可能性の > ある薄い部分を作るより、2万隻まとめてガツンとぶつけた方が > 今度はラインハルトの損害が少なくなるでしょう。 > 「一瞬に左右に展開、帝国艦隊を挟撃して後方で再合流して撤退」 > というのは「クモの子散らすような撤退が最下策」と理解している > ラインハルトにはかえって思いつかない対処だったというのはある > 話です。 こちらについても、おっしゃる通りだと思います。そうですよね、1艦隊同士で比べてみれば、帝国軍の方がもともと艦艇数は多いんでしたね。いやあ、何と言うか、これも私の勇み足だったようです。 > 外伝で2,3回同盟との艦隊戦もありましたし、アスターテ会戦 > はトリューニヒトの軍閥形成の手助けにフェザーンから情報が > リークされてる事からトリューニヒト閥のパエッタは部下に > 「敵はまぐれ勝ちで成り上がったあのラインハルトとか言う若造 > だ。こちらから勝ちに出るぞ」くらいの紹介はあったでしょう。 > そこまであれば「いや、それなら私『嫌な事言って戦勝に水 > さした』で喜んで軍クビになりますけど、あれが実力だったら > 浮かれたこちらの足元掬える天才の功績ですよ、ローエングラム > 伯の経歴は」という判断はヤンに可能ではないでしょうか。 あの後、前後の部分をもう一度読み返してみたんですが、 1巻 P95より 戦意の高さが圧倒的な勝利によってもたらされたものであることは明白である。時分は名将の誕生する瞬間を見ているのかもしれない、という思いがヤンをとらえた。 智将と呼び、猛将と言う。それらの区分をこえて、部下に不敗の信仰をいだかせる指揮官を名将と称する――とヤンは史書で読んだことがあった。同盟軍にとっては脅威であり、帝国軍の旧勢力にとってもおそらくそうであろう。 どうもこの描写を見る限り、前言を翻すようで申し訳ないんですが、私個人の感想としては、やはりS.Kさんが前回おっしゃったように、 > まあやっぱり期せずして「常勝の天才」が「不敗の名称」に > 「勝ったが完勝は阻まれた」構図の最初の一回目が成立していた > だけ、という所ではないでしょうか。 ということなのかもしれないと思えて来ました。 あくまで、第四艦隊が接敵したタイミングで行われたパエッタとの会話の中での「彼の戦略構想は・・・・・・」という部分については、『“包囲殲滅”の危機を“各個撃破”の好機に発想の転換を行われるとまずい』という、ヤン自身が想定していた最悪の事態が起こった。目の前のローングラム伯は、少なくともそういった大胆な発想の転換を行える能力を持っているんだという意味で、上官に対し警鐘を鳴らしたということなのでしょうか。 重箱の隅を突くようで気が引けるのですが、では何を以ってヤンは「戦略構想」という表現をしたかが腑に落ちないんです。包囲殲滅と各個撃破の発想の転換というものは、「戦略」の範疇になるんでしょうか。私は、これはあくまで“戦術レベル”のものだと思っていたので、ひょっとするとヤンは会戦以前から“戦略家ローエングラム伯ラインハルト”の脅威を感じていたとばかり思っていましたが、これはむしろ私の誤読で、事実はS.Kさんの仰るように、単純に二人の天才の邂逅を描いただけであるのかもしれませんね。 また、外伝でラインハルトの戦歴に触れた部分があるようですが、以前友人から『実はヤンとラインハルトはアスターテ以前に戦っている』と聞き、私自身、それは眉唾物だと思っていたのですが、やっぱりそういう描写があるのでしょうか? もしくは、ヤンとは関係ない部分で、ラインハルトが天才的な能力を発揮するようなエピソードが記されているのでしょうか。宜しかったら御教授をお願い致します。 |
No. 8053 | |
失礼します | |
たかし | 2008/05/28 22:09 |
横から失礼します。 ちゃんぽん職人さん、初めまして。 > また、外伝でラインハルトの戦歴に触れた部分があるようですが、以前友人から『実はヤンとラインハルトはアスターテ以前に戦っている』と聞き、私自身、それは眉唾物だと思っていたのですが、やっぱりそういう描写があるのでしょうか? > もしくは、ヤンとは関係ない部分で、ラインハルトが天才的な能力を発揮するようなエピソードが記されているのでしょうか。宜しかったら御教授をお願い致します。 外伝の一巻での「レグニッツァ上空遭遇戦」でしょうか。 ラインハルトは惑星レグニッツァ周辺の偵察を命じられ、そこで遭遇したパエッタが指揮する第二艦隊と戦ってます。 この時、ラインハルトが採った作戦は「ガス状惑星の表面爆発を兵器として利用する」ことであり、ヤンも同じ事を考えていました。(百七十五項より) ラインハルトは旗艦ブリュンヒルドに乗っていたので、調べれば情報を得る事はできたと思います。 ヤンが知る限り帝国と同盟の戦いで「同盟にとって最悪なパターン」を演出しているのが常に純白の旗艦が率いる艦隊で、調べたらラインハルトという人物に辿り着いたという可能性はあると思います。 よくも悪くも目立ちますから。 アスターテ会戦で「ラインハルトが名将である」と確信するに至ったのかもしれません。 ファーレンハイトが作戦を聞いた段階で好意を持ち、第四艦隊を 破った時点でメルカッツが態度を改めたように有能な人物が一度 ラインハルトの指揮を直接見れば分かるのかもしれませんね。 「一流は一流を知る」という事で。 元帥となったラインハルトの下に集まった将は過去にラインハルトの指揮下で戦った事のある人物が割といたと思います。 ミッターマイヤー、ロイエンタール、ビッテンフェルト、メックリンガー、シュタインメッツ、ケンプ・・・辺りはあったかと。 間違ってたらごめんなさい。 |
No. 8054 | |
Re:失礼します | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/28 22:48 |
> 横から失礼します。 > ちゃんぽん職人さん、初めまして。 こちらこそ初めまして。これから宜しくお願いします。 > 外伝の一巻での「レグニッツァ上空遭遇戦」でしょうか。 > ラインハルトは惑星レグニッツァ周辺の偵察を命じられ、そこで遭遇したパエッタが指揮する第二艦隊と戦ってます。 > この時、ラインハルトが採った作戦は「ガス状惑星の表面爆発を兵器として利用する」ことであり、ヤンも同じ事を考えていました。(百七十五項より) > ラインハルトは旗艦ブリュンヒルドに乗っていたので、調べれば情報を得る事はできたと思います。 > ヤンが知る限り帝国と同盟の戦いで「同盟にとって最悪なパターン」を演出しているのが常に純白の旗艦が率いる艦隊で、調べたらラインハルトという人物に辿り着いたという可能性はあると思います。 > よくも悪くも目立ちますから。 > アスターテ会戦で「ラインハルトが名将である」と確信するに至ったのかもしれません。 > ファーレンハイトが作戦を聞いた段階で好意を持ち、第四艦隊を > 破った時点でメルカッツが態度を改めたように有能な人物が一度 > ラインハルトの指揮を直接見れば分かるのかもしれませんね。 > 「一流は一流を知る」という事で。 > 元帥となったラインハルトの下に集まった将は過去にラインハルトの指揮下で戦った事のある人物が割といたと思います。 > ミッターマイヤー、ロイエンタール、ビッテンフェルト、メックリンガー、シュタインメッツ、ケンプ・・・辺りはあったかと。 > 間違ってたらごめんなさい。 なるほど、そんなことがあったんですか。 やっぱりラインハルトに対し、ヤンはアスターテ以前から着目していたんですね。 それにしても、やっぱり外伝も読んどくべきでした。 お話を伺って、初めて銀英伝を手にした時の興奮が蘇るようです。 ありがとうございました。 |
No. 8055 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
S.K | 2008/05/29 22:50 |
> また、外伝でラインハルトの戦歴に触れた部分があるようですが、以前友人から『実はヤンとラインハルトはアスターテ以前に戦っている』と聞き、私自身、それは眉唾物だと思っていたのですが、やっぱりそういう描写があるのでしょうか? > もしくは、ヤンとは関係ない部分で、ラインハルトが天才的な能力を発揮するようなエピソードが記されているのでしょうか。宜しかったら御教授をお願い致します。 遅くなりまして失礼します。 たかしさんのご紹介以外ですと外伝3巻「千億の星、千億の光 」内、第6次イゼルローン攻略戦において「同盟軍を翻弄するラインハルト分艦隊と、その猛攻に痛撃を加えて辛うじて同盟軍の全面壊走を食い止めるヤンの戦術」の描写があったと思います。 もっともこの段階で「帝国側要塞防衛分艦隊司令」「同盟側要塞攻略軍司令部付参謀」程度なので、個人識別には至らず「根腐れした帝国を百余年かけて妥当できないへタレ集団だと思っていたができる奴もいるらしい。帝国を制覇した後には思う存分競いたいものだ」「『遮二無二総力戦で抗えば負けはしない』時代は終わったらしい。平和な年金生活には間がありそうなのに厄介な事だが、今人類全体の『旧弊』と言う奴を打倒しうる才能が生まれつつあるのかもしれない」という感慨どまりではあったようですが。 |
No. 8056 | |
Re:同盟の諜報体制について | |
ちゃんぽん職人 | 2008/05/30 21:12 |
S.Kさんこんばんは。 なるほど、ヤンとラインハルトは外伝でお互いの存在を知らないまま、それぞれ警戒すべき相手がいるということを感じていたんですね。 >「『遮二無二総力戦で抗えば負けは > しない』時代は終わったらしい。平和な年金生活には間があり > そうなのに厄介な事だが、今人類全体の『旧弊』と言う奴を > 打倒しうる才能が生まれつつあるのかもしれない」という感慨 > どまりではあったようですが。 外伝3巻を実際読んでいないので何とも言えないのですが、つまりヤンは、一戦してラインハルト(名も知らぬ帝国艦隊の司令官)の個性を相当に感じたみたいですね。 つまりは、「戦術」「戦略」云々ではなく、その区別すら境界線のないほどの「天才」、それをラインハルトに見たのでしょうか。 後々情報を整理し、あの時の司令官がローエングラム伯ラインハルトという固有名詞であったことにたどり着き、そして、アスターテで敵艦隊の司令官がそのラインハルトだと知ったからこそ、ヤンはあえてパエッタに警告をしたんでしょうね。 いや、おかげさまで疑問が幾許か解消した気がします。外伝でそこら辺の補完がしてあったとは、私の疑問も少し的外れだったかもしれません。 今思うと、戦没者集会で一人起立をしないヤンには「もっと大人になれよ」と言いたいですし、民主主義である同盟の方が実は帝国よりも画一的で硬直した世界であるという部分に、田中芳樹の「若さ」や「青さ」を感じないではありませんが、それでも銀英伝は「名作」に数えていいと思います。 大袈裟ですが、最初に銀英伝を手に取った当時を考えれば、私の青春時代の1ページであったことには変わりはありません。 「艦隊戦」や「戦略」といった単語が頻繁に見られるようになったのも、銀英伝の影響が多分にあったとも思えます。少なくとも、雨後の筍のように似たようなテイストの物語が多く派生したことは否めないと思います。 ただ、「大人」になった今の自分が、もしも田中芳樹の新シリーズが出た時に、果たして手にとってレジへと向かうか、そう言われれば首を横に振るしかありませんが。 いずれにしろ、S.Kさんにはこれまで私のこだわりにお付き合い頂き、大変有意義な議論を交わせたと自己満足しております。 また、機会があれば議論へ参加させて頂きたいと思います。ありがとうございました。 |
No. 8212 | |
ガイエスブルグ戦役での疑問 | |
つとめびと | 2009/07/06 23:16 |
初めまして、失礼いたします。 このサイトでは「銀河英雄伝説」について様々な考察が行われていますので、 件名に挙げた疑問について質問させていただくのをお許しください。 今回「銀河英雄伝説」を読み直していたところ、 査問会に呼ばれて惑星ハイネセンに召喚されていたヤンが、 援軍を率いてイゼルローンへの帰途についたくだりで、 ケンプ艦隊がイゼルローン駐留艦隊を封じ込め、 時間差をつけて援軍を攻撃に向かったのですが、 これはどう考えても、帝国軍は同盟領方向へ進軍しているはずです。 ヤン率いる援軍は回廊同盟側からしか来ないのですから。 要塞司令部も援軍到来の連絡を受けた様子がないため、 イゼルローン軍は、帝国軍の同盟方面への回廊通過を、 結果的に許してしまった事にならないでしょうか。 ガイエスブルグ駐留艦隊がヤン率いる援軍を突破すれば、 確固たる戦力を持たない同盟は抗する術はない、とまで書かれていましたし。 読み落としがないか確認しましたが、前述の結論に至ってしまいます。 私より遥かに「銀河英雄伝説」に精通していらっしゃる皆様に考察していただきたく投稿いたしました。 ぶしつけではございますが、よろしくお願いします。 |
No. 8214 | |
Re8212:リスクを背負ったリターンの獲得 | |
冒険風ライダー(管理人) | 2009/07/07 00:52 |
はじめまして。 こちらこそよろしくお願い致します。 <要塞司令部も援軍到来の連絡を受けた様子がないため、 イゼルローン軍は、帝国軍の同盟方面への回廊通過を、 結果的に許してしまった事にならないでしょうか。 ガイエスブルグ駐留艦隊がヤン率いる援軍を突破すれば、 確固たる戦力を持たない同盟は抗する術はない、とまで書かれていましたし。> これは敵側の作戦の意図を見抜いた上で「あえて」そうしているのですよ。イゼルローン側の選択は、確かに「帝国軍の同盟方面への回廊通過を、結果的に許してしま」うリスクを伴っていますが、同時に「敵を援軍と共に前後挟撃し、大打撃を与えられる千載一遇の好機」というリターンを獲得できる可能性があるものでしてね。 あの時点におけるイゼルローン軍は確かに「援軍到来の連絡を受け」てはいませんでしたが、援軍が到来するであろう時期については当初から予測されていました(移動要塞戦勃発時、「四週間耐えればヤンが帰ってくる」とキャゼルヌが明言していましたし)。そして、ちょうどその時期にさしかかったのと、敵側の不自然な動きから敵の意図および「ヤンの帰還および援軍到来」を察知したユリアンの発言が通った後、それに対する対処法として「【あえて】敵を援軍に向かわせ、その背後を討つ」という作戦がメルカッツによって考案・実行されたわけです。 そしてヤン側もまた、自分達が突破されると敵に回廊を通過されるリスクを充分承知の上で、イゼルローン軍と共同しての前後挟撃を前提とした作戦で敵を迎撃していたわけですし、その当時のヤンにもイゼルローン側にも、それ以上の作戦が行える戦力的・戦略的な余裕など無かったのですから、「価値あるリターンを獲得するために、ある程度のリスクを背負って作戦を実行していた」ということで、ここの描写は特に問題ないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。 |
No. 8215 | |
Re:Re8212:リスクを背負ったリターンの獲得 | |
つとめびと | 2009/07/07 05:31 |
早速の丁寧な御返事、ありがとうございます。 帝国軍の動きの不自然さとヤン帰還の予想期日が、相互連絡のない挟撃戦を成功させたのですね。 存在の確認できない味方を信頼するのは、仰る通りリスクは高いと思われますけど、それだけに大戦果が期待出来たのですね。 どうもありがとうございました。 |
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