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反銀英伝・設定検証編
10−B

軍事的に正しい銀英伝世界の戦術論(2)


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No. 3875
アスターテ会戦(作られた英雄たち)
パンツァー 2003/03/19 01:26
アスターテ会戦に見るヤンおよびラインハルトの天才性について、検討してみたいと思います。

銀英伝の冒頭におけるアスターテ会戦は、ラインハルトの天才性を描き出すための格好の材料として、設けられたものでしょう。
しかしながら、はっきり言って私は、ラインハルトの天才性に関して、この時点で躓いてしまった部分があります。これが天才なのか、と。
というよりもむしろ、作者(田中芳樹氏に限らず)が、天才と言うものを描き出すのが如何に困難か、ということを実感した次第でしょうか。
前置きはこのくらいにして、本論に入ります。

以下において、
参照すべき記載個所は、銀英伝1<黎明篇>の各章各節です。

☆1 戦闘開始前において
(1) 「退却」の必要性を認める帝国の将軍たち

アスターテ星域に赴く帝国軍において、
メルカッツ、シュターデン等の5人の将軍は、全軍の総司令官たるラインハルトに、意見具申します。

1章−1
<「戦いの正義は、(中略)ここは功にはやることなく、名誉ある撤退をなさるべきかと愚考するしだいです」>

つまり、帝国の将軍らは、自らの置かれた状況が「ダゴンの殲滅戦」の状況に似ているために、その再現を恐れて、「撤退」を検討しているのです。
繰り返すと、帝国の将軍らは、「撤退」するという選択肢に気がついているのです。

こんなことは当たり前だ、と思われる方もいられるかもしれませんが、銀英伝世界の人間にとっては、これが必ずしも当たり前ではないのです。

(2) 帝国軍「退却」の可能性を検討しない同盟の将軍たち

1章−5
<突然のどよめきが艦橋を圧した。(中略)「帝国軍は予想の宙域にあらず、急進して第四艦隊と接触するならん」「なんだと! そんな非常識な・・・・ありえんことだ」パエッタ中将の(以下略)>

少なくともパエッタ中将は、事前の段階において、「帝国軍は圧倒的に不利な状況にある」と認識していながら、その帝国軍が退却する可能性を検討していないのです。
帝国軍が「予定の宙域」にいる、と推測することは、敵が逃げもせず前進もしくは減速あるいは停止して戦闘態勢を取っている、と判断していることを意味します。

帝国軍が同盟軍3個艦隊を各個撃破にくる、とは予測し得ないとしても、「ダゴンの殲滅戦」を恐れる帝国軍が退却する可能性、くらいには思い至るものではないでしょうか。
少なくとも、帝国の将軍らは、「撤退」を検討しているのです。

ちなみに、他の同盟の2個艦隊の司令官に関しても、パエッタ中将と同様でしょう。
パストーレ中将<2章−1>、ムーア中将<2章−4>
括弧内の章の記載を参照すると。

つまり、
同盟の将軍たちは、帝国の将軍らよりも、能力の点において、二ランクくらいは劣るということなのでしょうか。

そして、以下で考察しますが、同盟の将軍たちが「帝国軍退却の可能性」を考慮に入れていれば、敵を逃さぬように、必然的に「敵情偵察とその分析」を重視して、敵の現在位置把握に努めることになるのです。その結果、敵の位置が把握されて、作中で描かれているような無様な各個撃破の憂き目に合うこともなかったはずなのです。

(3) ヤンの考察する敗北の理由

4章−4に、シトレ元帥に対してヤンが、アスターテ会戦敗北の理由を述べています。

1兵力の運用を誤った
2当初の予定に拘って時間を浪費した
3敵情偵察とその分析が不十分だった

ここで、特に重要なのは、3でしょう。
「敵情偵察とその分析」、これさえ出来ていれば、各個撃破を食らうことなどありえないのです。
敵が特定の艦隊に接近していることが探知できれば、その艦隊は速度を落とすか、逃げるかして距離を保ち、他の2艦隊は増速して敵艦隊に肉薄すればよいのですから。まさか、帝国軍が明らかに移動していることがわかってもなお、帝国軍が「予定の宙域」にいるはずだ、と考えるほどは、同盟の将軍たちも愚かではないでしょう(上で書いた同盟の将軍らの不見識を参考にすると、必ずしもそうとは言い切れないところが悲しい)。
少なくとも、絵に描いたような各個撃破を食らうことはないはずです。

(4) ヤンの提出した作戦案

<1章−5>の末尾に、ヤンがパエッタ中将に提出した作戦案が記載されています。
ここでは、同盟3個艦隊が、帝国軍1個艦隊を包囲しつつ疲労させる作戦が示されています。
しかし、敵がヤンの読み通りに、常に同盟のいずれかの艦隊に対して攻撃を仕掛けてくる、とは断定できないでしょう。帝国艦隊は、いずれかの艦隊に対して攻勢を行う代わりに、3個艦隊の艦隊間の間隙をついて、逃走するかもしれません。

そうすると、敵の逃走を防ぎつつ、ヤンの意図するように敵の包囲殲滅を行うためには、(3)で述べた「敵情偵察とその分析」が前提条件として必要なのです。敵の位置や移動方向が捕捉できて初めて、有効に包囲殲滅作戦を展開できるのです。

それに、「敵情偵察とその分析」さえできていれば、ヤンの「作戦案」に従うか否かに関わらず、同盟軍は各個撃破を食らうこともなく、どのようにでも帝国軍を料理できるのです。別に敵の疲労を待つまでもなく、3個艦隊が同時に帝国艦隊に突入して、一気に勝負をかけてもよいのですから。

つまり、ヤンの「作戦案」などは問題ではなく、はるかに重要なのは、「敵情偵察とその分析」なのです。

ヤンも、パエッタ中将に対して、自らの「作戦案」を披露する代わりに、「敵が退却する可能性」を示唆していたなら、積極果敢な中将なのですから、これを入れたかも知れません。
恐らくは、「ダゴンの殲滅戦」の再現を意図しているパエッタ中将なのですから、「圧倒的有利な状況」の中で、帝国艦隊を逃がしたいはずもないでしょう。敵を捕捉して逃さぬために、「敵情偵察とその分析」を是非とも徹底して欲しい、とヤンが具申すれば、案外すんなり受け入れられたかもしれません。

(5)戦闘前における結論

ヤンは、アスターテの戦場においては、もっとも重要な要素である「敵情偵察とその分析」を重視しておりません。
「敵情偵察とその分析」が出来ていれば、帝国艦隊に同盟3個艦隊が各個撃破されることもなかったのです。
そして戦闘前において、ヤンのしたことと言えば、「敵情偵察とその分析」の重視ではなく、先の「作戦案」の提出にとどまっています。

一方、ラインハルトは、同盟の将軍らが、「敵情偵察とその分析」を重視していないことを前提に、作戦を立案しています。「敵情偵察とその分析」が十分に行われているならば、ラインハルトが各個撃破を意図して、同盟のいずれかの艦隊に対して突撃を敢行しても、たちまち捕捉されて包囲殲滅されることになるでしょう。
同盟3個艦隊が帝国艦隊の位置を捕捉できてなかったからこそ、ラインハルトの各個撃破作戦が成立しえたのです。

さらに言えば、帝国の将軍らが皆気がついている「退却の必要性」を、同盟の将軍らは気がついていない、ことをラインハルトは知っていたかのようです。
同盟の将軍らが「帝国艦隊の退却の可能性」を考慮の内に入れていると、ラインハルトが認識していれば、自らの率いる帝国艦隊の位置が、常に監視下に置かれている、もしくは置かれようとしている、と判断するはずだからです。

ヤンは重視すべき点を間違えており、ラインハルトは非常に甘い見通しの中で作戦立案を行っています。
ラインハルトに関しては、あたかも猪武者が生兵法に基づいて突撃したら、敵があまりにも愚かで偶然うまくいってしまった、かのような印象を受けるのです。

☆2 戦闘開始後において

戦闘開始後に関しては、詳しく考察できない部分があり、以下の疑問を列挙するにとどめます。

(1)時間の経過の問題
 <1章−1>で、帝国艦隊が6時間で接触予定の第4艦隊に対して、急速接近したとしても、4時間も戦闘していながら、なぜ第2・第6艦隊は第4艦隊の戦場に到達できないのか。帝国艦隊が第4艦隊に対して6時間の位置の時点では、帝国艦隊に対して同盟3個艦隊はほぼ等距離
(2000光秒)の位置にいたのではなかったか。

(2)帝国軍の損害が皆無
 敵前で旋回して撃破されたエルラッハ中将以下2000隻を除き、なぜ、帝国艦隊には損害が見られないのか。
 側背から急襲された第6艦隊との戦闘では圧勝であったとしても、正面から戦闘したと思われる第4艦隊との戦闘は、消耗戦的部分があったのではないか。
 ランチェスター2次法則を適用すると、20000:12000の戦闘比であったならば、第4艦隊が全滅した際には、帝国艦隊に4000隻程度の損害があってもおかしくないのではないか。
 アムリッツア会戦におけるビッテンフェルトの失敗とやらも、なにかよく分からない理由ですし(銀英伝の艦隊戦における優勝劣敗の原則がまったく不明です。恣意的に作者が勝たせたいほうに勝たせているとしか思えない)。


つまるところ、私の印象としては、ラインハルトが天才とは、とても思えないのです。ラインハルトの甘すぎる見通しを補完するほど、(帝国軍の退却の可能性すら検討せぬ)同盟の将軍が愚かであったと言うだけであって。

ヤンにしても、後に「敵情偵察とその分析」の必要を反省するくらいなら、戦闘意欲旺盛なパエッタ中将を煽る形で、敵を逃さぬために「敵情偵察とその分析」が必要だ、くらいのことを言えばよいのです。そうすれば、無様な各個撃破など受けなくてすんだのですから。それとも単に、自らの作戦案とやらを提出することのほうが、はるかに重要だったのでしょうか。

ラインハルトもヤンも、稀代の戦術家、とは思えないと考える次第です。


No. 3877
Re:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
SAI 2003/03/19 18:11
> つまり、
> 同盟の将軍たちは、帝国の将軍らよりも、能力の点において、二ランクくらいは劣るということなのでしょうか。

劣るということでしょう。パンツァーさんが考察したとおり、
まともにやれば同盟は負けません。新戦術はいらない。同盟の最大の
敗因は帝国はここにいるはずだ、という何の根拠もない思い込みです

だが、こんなことは戦史にはよくあることです。敵情をよく調べもせず
思い込みだけで行動して大敗を喫した例はいくらでもあります。

でなんでそんなことやったかというと、数は敵の三倍以上、しかも
包囲している、もう勝ったも同然だ、と油断していたからです。
いつの時代、いかなる場所でもまず同じ理由です。


> ヤンも、パエッタ中将に対して、自らの「作戦案」を披露する代わりに、「敵が退却する可能性」を示唆していたなら、積極果敢な中将なのですから、これを入れたかも知れません。
> 恐らくは、「ダゴンの殲滅戦」の再現を意図しているパエッタ中将なのですから、「圧倒的有利な状況」の中で、帝国艦隊を逃がしたいはずもないでしょう。敵を捕捉して逃さぬために、「敵情偵察とその分析」を是非とも徹底して欲しい、とヤンが具申すれば、案外すんなり受け入れられたかもしれません。

むしろ、圧倒的有利な状況なんだからそんなことはする必要はない、と
却下されたと思います。戦史においても具申する人間はいるんです。
軍事の初歩ですから。だが時間が惜しいとか、割く戦力がない等
の理由で却下されるんです。そして大敗北を喫する。判で押したように
同じです。


> さらに言えば、帝国の将軍らが皆気がついている「退却の必要性」を、同盟の将軍らは気がついていない、ことをラインハルトは知っていたかのようです。
> 同盟の将軍らが「帝国艦隊の退却の可能性」を考慮の内に入れていると、ラインハルトが認識していれば、自らの率いる帝国艦隊の位置が、常に監視下に置かれている、もしくは置かれようとしている、と判断するはずだからです。

退却の可能性うんぬんは知らなくてもいいんです。ラインハルトが
知ってればいいことは、同盟の索敵網が粗く、自艦隊の行動をくら
ますことができるかどうか(そしてこれは索敵機の数等で判断できます)、
すぐに救援にかけつけてこれないほど同盟艦隊がはなれてるか
どうか(もっともアスターテのモデルになった例では、決して救援し
てこないとわかっていたからやったんですが)、敵艦隊がどこにい
るか、です。

もちろんラインハルトのやったことは博打ではありますが、博打でない
戦場なんて無いんです。ある決断が正しかったどうかは結果だけでしか
判断できないんです。そしてラインハルトは博打に勝った。
運もありますが、戦争が強い司令官の条件には強運というものも
あるんです。


> (2)帝国軍の損害が皆無
>  敵前で旋回して撃破されたエルラッハ中将以下2000隻を除き、なぜ、帝国艦隊には損害が見られないのか。
>  側背から急襲された第6艦隊との戦闘では圧勝であったとしても、正面から戦闘したと思われる第4艦隊との戦闘は、消耗戦的部分があったのではないか。
>  ランチェスター2次法則を適用すると、20000:12000の戦闘比であったならば、第4艦隊が全滅した際には、帝国艦隊に4000隻程度の損害があってもおかしくないのではないか。
>  アムリッツア会戦におけるビッテンフェルトの失敗とやらも、なにかよく分からない理由ですし(銀英伝の艦隊戦における優勝劣敗の原則がまったく不明です。恣意的に作者が勝たせたいほうに勝たせているとしか思えない)。

一応可能性が高い理由を考えると、この時点でまだ敵の数が多く、

撃破せねば生きて帰れない帝国の士気と、絶対的優位のはずが
突然考えもしなかった事態に陥った同盟との士気の違いでしょう。
さらに付け加えれば勝利したと思い込んでいたのに、突然敵が自分
たちの前に現れれば思考停止しパニックになります。
パニックになり浮き足立った軍というものはもろいものです。
簡単に崩れてしまう。正面からの戦闘でも一方的な戦闘になった例はいっぱいあります。


No. 3878
Re:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
パンツァー 2003/03/19 19:54
所用で、来週まで投稿できそうにありません。
皆さん、賛否両論お聞かせください。

以下、SAIさんの投稿に関して、簡単に。

まず、ヤンに対する弁護が一切ありませんが、ヤンの評価に関しては私の指摘に同意すると言うことでしょうか?


> むしろ、圧倒的有利な状況なんだからそんなことはする必要はない、と
> 却下されたと思います。戦史においても具申する人間はいるんです。
> 軍事の初歩ですから。だが時間が惜しいとか、割く戦力がない等
> の理由で却下されるんです。そして大敗北を喫する。判で押したように
> 同じです。

私がわざわざ「退却の可能性」を強調したのは、
「圧倒的有利な状況であってもする必要のあること」
を論じるためです。

圧倒的有利な状況にある同盟の将軍たちは、敵に敗北するとは夢にも思わず、むしろ、敵に逃げられることこそ、もっとも恐れていたことでしょう。
敵の2倍(実数は2倍のはずです)の兵力を持ちながら、敵を捕捉できずにむなしく帰還したとあったら、本国において決していい評価はされないでしょう。
折角の昇進や栄誉の機会が、一気に暗転して不名誉をきっかけになってしまうのです。

ぬけがけしてでも、自分の率いる艦隊こそが、もっとも戦果を上げようと努めることの方が自然です。

拠点防御の司令官が、警戒に専念すべく努力したって報われることがないから、圧倒的に有利な状況では、ついつい警戒を怠る、などという次元の話ではありません。
アスターテに望む同盟の将軍らには、昇進や栄誉の機会が待ち受けているのです。

もちろん、基本的に意欲のない司令官、あまりにも軍事に暗い司令官、の場合は、どんな状況であれ、警戒を怠って敗北を喫するものでしょう。
まあ、同盟の将軍の質が著しく低い、ということであれば、別に私も異論の立てようがありません。
(まあ、愚将ばかりの中にあれば、凡将でも名将、天才ということになってしまうわけです)

他の点に関しては、来週の時点で私が答える必要があれば、回答します。


No. 3879
政治的に正しい銀河英雄伝説
SAI 2003/03/19 21:13
> 所用で、来週まで投稿できそうにありません。
> 皆さん、賛否両論お聞かせください。
>
> 以下、SAIさんの投稿に関して、簡単に。
>
> まず、ヤンに対する弁護が一切ありませんが、ヤンの評価に関しては私の指摘に同意すると言うことでしょうか?

弁護ってここ法廷じゃないですよ。それに同意するともしないとも
いってません。

それから、私はなぜしなかったかを説明したんです。
すべきだったのは当然です。してあたりまえのことを
しないから負けた、そう書いたたはずですが、
私の書き方がまずかったのですか?
もっと簡単に懇切丁寧にかいたほうがいいですか?


No. 3882
Re3877:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
パンツァー 2003/03/24 23:05
☆1 将軍らの具申を受ける接敵6時間前の時点

帝国艦隊が、偵察艇3隻の索敵により、自らを包囲しつつある同盟3個艦隊を発見したのは、「このままの速度」で同盟第2艦隊と接触する6時間前の時点です。以下、この時点を、(このままの速度で)「接敵6時間前の時点」とします。

これに対して同盟3個艦隊は、「接敵6時間前の時点」において、既に「包囲しつつある態勢」にあるのですから、「接敵6時間前の時点」よりもずっと前の時点で、帝国艦隊を捕捉しているのです。そして、その位置情報を元に、同盟3個艦隊が包囲態勢を取れるように移動を行っているわけです。

この作中事実をみると、同盟側が帝国艦隊の索敵に成功した際に、帝国側は自らが索敵されたことに気がついていない、ことが分かります。これに対し、帝国側が同盟3個艦隊の索敵に成功したのは、「接敵6時間前の時点」の直前でしょう。
もし帝国側が、事前(「接敵6時間前の時点」のずっと前)に索敵に成功していたなら、キルヒアイスが今更のように、偵察艇3隻の情報によると、同盟3個艦隊が三方より接近中、などと言わないでしょう。だいたい、ラインハルトが、同盟艦隊の各個撃破を目指すのであれば、同盟艦隊同士の連携がより不完全な時点で攻撃を仕掛けるほうがよく、わざわざ「接敵6時間前の時点」まで待つ必然性がないのです。時間が経過するだけ包囲は完成し、状況は不利になる一方なのですから。

つまり、作中事実において、索敵されたかどうかが帝国艦隊には必ずしも分からないことが示されています。したがって、帝国側が、同盟艦隊による索敵努力がどの程度かを予測することは、不可能です。

加えて、自らの知らぬうちに帝国艦隊は、「包囲されつつある態勢」に置かれてしまっているのです。したがってこの時点においては、同盟の索敵努力が帝国艦隊側の索敵努力を上回っている、と判断することの方が妥当でしょう。

1章−1
<「わが軍に対して敵の数は二倍、しかも三方向よりわが軍を包囲せんとしております。これはすでに交戦態勢において敵に遅れをとったことを意味します」>

シュターデンが、このように述べるのも、もっともなことです。

SAIさんの記載
> 知ってればいいことは、同盟の索敵網が粗く、自艦隊の行動をくら
> ますことができるかどうか(そしてこれは索敵機の数等で判断できます)、
> すぐに救援にかけつけてこれないほど同盟艦隊がはなれてるか
> どうか(もっともアスターテのモデルになった例では、決して救援し
> てこないとわかっていたからやったんですが)、敵艦隊がどこにい
> るか、です。

SAIさんが、索敵網の程度など容易に分かる、というのは、まったく根拠のない裏設定です。そのような裏設定が成立し得ない作中事実(同盟の偵察艇を発見できず、むざむざ包囲されてしまっているという事実)が、上のように存在しています。

☆2 天才性の証

作中において、用兵の妙は敵の心理を読むことにある、とあることからも
(作中の記載個所を失念したので、引用は出来ませんが)、
敵の思い込みを突き崩すような手に出ることが、天才性の証、となっています。

確かに、ヤンによる氷塊を用いた軍事衛星(アルテミスの首飾り)の破壊などは、このような天才性の証、としてもよいでしょう。

軍事衛星の運用側(クーデタ側)は、
「ヤンは艦隊により軍事衛星を攻撃するはずだから、損害もでれば時間もかかるはず」
という前提に基づいて策を立てていたところが、
「質量弾(氷塊)を用いた攻撃」
という想定外の奇策により、打ち破られてしまったわけです。

「軍事衛星の攻撃対象は敵艦隊」というのは、「軍事衛星」の製造目的から考えても、誰もが抱く前提であり、「質量弾攻撃」が晴天の霹靂であるのは、やむを得ないことと考えられます。

繰り返すと、銀英伝においては、相手の「前提」に対して、その前提を打ち壊すような「奇策」を用いることが、非常に有効な戦術であり、「天才性の証」となっているわけです。

それでは、アスターテ会戦においては、どうだったのでしょうか。

同盟側は、
「3個艦隊で三方より包囲すれば、帝国艦隊は包囲殲滅される」
という前提で戦場に臨んでいます。
これに対し、ラインハルトは、
「三方からの包囲」と言う前提を、同盟側の想定外である「各個撃破」という奇策で打ち崩そうとするわけです。作中事実では、この奇策が成功したことになっています。

そして、予想外の奇策を用いられた同盟側が、なすすべもなく破れることで、各個撃破戦術が成功したとされて、ラインハルトが天才である、ということになるわけです。

☆3 「天才性の証」に基づいた、ラインハルトのたどる道

しかし、もともと、同盟側が兵力を分散して帝国艦隊を三方から包囲しようとするのは、帝国艦隊を逃がさないためです。3個艦隊が合体して帝国1個艦隊に当たったのでは、包囲をすることができず、容易に逃れられてしまうことを恐れたものでしょう。

そうすると、帝国艦隊が三方から各同盟艦隊に2000光年の距離に接近された時点(「接敵6時間前の時点」)で、
「すでに交戦態勢において敵に遅れをとった」(1章−1)
と帝国の将軍たちが考えたのは、まったく自然なことです。
ここで、帝国の将軍たちは、
「同盟3個艦隊に三方より包囲されかけている=包囲殲滅を待つか、退却すべき」
という「前提」を立てているのです。
(同盟の将軍らに関しては、「退却」の検討すらしていないことは、何度も述べています)

そして、前記の「天才性」をラインハルトが発揮するためには、
ラインハルトは、帝国の将軍ら(加えて同盟の将軍ら)の考える「前提」を打ち破る必要があるわけです。
かくして、ラインハルトは天(作者)の要請により、「包囲殲滅を待つ」と「退却」のいずれでもない道、同盟3個艦隊の「各個撃破」の道を選択する羽目になるわけです。

ラインハルトが「各個撃破」を決断した「接敵6時間前の時点」で、同盟側の索敵努力が、(帝国側の索敵努力と比べても)希薄であると考える根拠がないことは、上(☆1)で示しました。
つまり、ラインハルトは、索敵努力の大きさなど、問題にはしていないのです。
ラインハルトは、単に同盟軍が各艦隊ごとに分散している状態だけを捉えて、各個撃破が可能、と判断したのです。
「包囲殲滅を待つか、退却すべき」の「前提」を打ち破る「各個撃破」の策をとることが、作中におけるラインハルトの天才性の証、というものです。

☆4 ラインハルトの考える同盟側の「前提」

ラインハルトは、
同盟の将軍たちが「帝国艦隊は包囲殲滅を待つ」という「前提」を立てている、と考えています。
(「退却すべき」は含まれない)

これに対して、帝国の将軍らが「帝国艦隊は包囲殲滅を待つか、退却すべき」という「前提」を立てているのは、作中事実であり、ラインハルト自身が「将軍らの盲を開いてやる」などと言っていることからも、自らが重々承知していることです。

ラインハルトがなぜ、このように、同盟側が帝国艦隊の退却すら検討していないと考えるのか、まったく疑問ですが(「天才性の証」のための要請を除いて)、ともかくラインハルトはそのように考えているわけです。
つまり、帝国艦隊が予測戦闘宙域でただ「包囲殲滅を待つ」状態にある、と同盟側が考えていると、ラインハルトは判断しているわけです。これは、もちろん作中事実であり、同盟側は事実そのように行動したのですが、ラインハルトにこのように確信させるような材料は、作中に何一つ存在しないのです。
☆1でも述べましたが、「接敵6時間前の時点」において、同盟側の索敵努力が帝国側より上回っていると考えざるを得ない作中事実はあっても、これに反するような作中事実はないのです。同盟が包囲準備態勢を形成してから、「接敵6時間前の時点」まで、帝国側が自らが索敵されたことすら気がつかないことからも、敵方の索敵努力を必ずしも把握できないことも作中事実です。

繰り返しますが、退却の可能性を同盟側が検討しているとラインハルトが推測すれば、帝国艦隊の位置は常に監視下に置かれていると考えざるを得ないのです。
そして、「接敵6時間前の時点」まで同盟3個艦隊の接近を許した状態で、今更各個撃破に打って出ることが如何に無謀であるかを、認識せざるを得ないのです。

☆3の冒頭で書いたことを繰り返しますが、
同盟側が兵力を分散して帝国艦隊を三方から包囲しようとするのは、帝国艦隊を逃がさないためです。
同盟側は、その艦隊運動から判断すれば、「退却させないこと」を「前提」に策を立てているのです。帝国側においても、三方より包囲態勢に移っている同盟の艦隊運動を見れば、そのように判断せざるを得ないのです。
加えて、同盟側の索敵努力が帝国側より劣っていると推定できる作中事実は、何一つ存在しないのです。上回っている作中事実は存在しても。

これで、「各個撃破」が成功すると考えるのは、ラインハルト自身が、兵法の応用がまったくできない(つまり生兵法)ことを示す有力な証拠なのです。もちろん、応用ができないからこそ、迷いなく「各個撃破」を採用できて、偶然の勝利をおさめることが出来たわけですが。

SAIさんの記載
> もちろんラインハルトのやったことは博打ではありますが、博打でない
> 戦場なんて無いんです。ある決断が正しかったどうかは結果だけでしか
> 判断できないんです。そしてラインハルトは博打に勝った。
> 運もありますが、戦争が強い司令官の条件には強運というものも
> あるんです。

これは、「賭け」に出れるような状況ではありません。
黙って「降りる」のが、賢明な判断でしょう。

銀英伝においては、引くべきときに引くことができる、ことも名将の条件の一つに数えられています。つまりラインハルトは、名将ですらない、といえましょうか。

☆正面からの戦闘でも一方的な戦闘になった例?

SAIさんの記載
> 一応可能性が高い理由を考えると、この時点でまだ敵の数が多く、
>
> 撃破せねば生きて帰れない帝国の士気と、絶対的優位のはずが
> 突然考えもしなかった事態に陥った同盟との士気の違いでしょう。
> さらに付け加えれば勝利したと思い込んでいたのに、突然敵が自分
> たちの前に現れれば思考停止しパニックになります。
> パニックになり浮き足立った軍というものはもろいものです。
> 簡単に崩れてしまう。正面からの戦闘でも一方的な戦闘になった例はいっぱいあります。

ナポレオン戦争以降の国民皆兵制度下の軍隊は、絶対王政下の常備軍や傭兵に比して、軍隊に対する比類ない忠誠心(もちろん「逃げられない」というネガティブな意味も含めて)を持っています。
また、火器の発達は、少数部隊でも大部隊を撃破する望みを与えるものです。
さらに、通信手段の装備は、物理的に分散させられた状況にあっても、相互の連携を可能とし、将兵が容易に絶望することなく、全体の戦況を把握して戦闘を継続することが可能です。

2−3
<開戦後四時間。同盟軍第四艦隊はすでに艦隊と呼称できる存在ではなくなっている。(中略)
メルカッツから通信スクリーンを通じて報告がもたらされた。
「組織的な抵抗は終わりました。以後、掃討戦に移ることになりますが・・・」>

これを見ると、四時間の間は、組織的抵抗を継続していたわけです。
この間は、帝国艦隊は同盟第四艦隊の組織的抵抗を受けているわけですから、損害がでないことがおかしいのです。

SAIさんは、鉄砲出現以前の時代の戦闘のように、基本的に戦傷率が低く、士気崩壊した一方の軍が敗走時に追撃されて、多大な損害(と言っても全軍の3割程度だが)をうける例と、勘違いしているのではありませんか?
この時代の戦闘は、両軍が拮抗して戦闘している間は戦傷者の発生が少なく、一方の軍が壊走してその追撃時に戦傷者が多数発生するのですから、勝者に損害がほとんどない例は、ざらにあります。
しかし、この時代の戦闘を、銀英伝における戦闘と比較するのは、無茶でしょう。
社会体制(兵制)も、時代も、兵器の性能も、まったく異なるのですよ。

例えば、日本海海戦などは、近代戦において、一方の軍が圧倒的勝利をおさめた例ですが、これにしたところで事後的に検証を加えれば、日本海軍の勝因というものが抽出できるのです。
兵員の訓練度の違いは、砲弾の命中率の格段の差や、艦隊運動の優越(T字戦法の成功)となって現れ、黒海より長距離を遠征してきたバルチック艦隊の兵員の疲労も無視できません。さらに、火薬の威力が違うといった物理的要素の違いや、イギリスからの情報提供(バルチック艦隊の位置情報)なども、無視できません。

<正面からの戦闘でも一方的な戦闘になった例はいっぱいあります。 >

いっぱいあるんですから、三つか四つ、このような実例を示してもらいたいものですね。そのうち、一つくらいは、インターネットで検索でもすれば誰にでも調べることのできる有名な例を、入れておいて欲しいものです。


No. 3884
Re:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
パンツァー 2003/03/24 23:20
> 弁護ってここ法廷じゃないですよ。それに同意するともしないとも
> いってません。

私は、3875で、
「ラインハルトおよびヤンは天才とは言いがたい」という結論と、
その結論を導く根拠と、
を述べているのです。

私のあげた根拠に対する否定材料を、SAIさんが提示している以上は、私の結論に対する否定をやったことになるのですよ。お分かりですか?

「ラインハルトおよびヤンは天才とは言いがたい」の否定は、ラインハルトまたはヤンの弁護、ということになることが、分かりませんか?
「弁護」という語が問題なら、擁護でもなんでもよいですよ。


> それから、私はなぜしなかったかを説明したんです。
> すべきだったのは当然です。してあたりまえのことを
> しないから負けた、そう書いたたはずですが、
> 私の書き方がまずかったのですか?
> もっと簡単に懇切丁寧にかいたほうがいいですか?

だから、同盟の不手際を、なぜラインハルトが見抜くことができたんですかって、言っているわけですよ。
3882に書いたような理由で、索敵網うんぬんの話は、私には根拠があるとは思えませんのでね。

少なくとも、私が3878や3882のような反論を加えなければ、
「ラインハルトは天才とは言いがたい」
という結論を導く上で、障害となることは、理解していただけるでしょうか?
私の結論に対する障害を、私が除こうとするのは、自然な行動だと思いませんか?


No. 3886
Re:Re3877:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
SAI 2003/03/25 00:52
まず最初に。銀英伝の記述を取り上げ、こんなことはありえない、
こんなことはおかしい、ばかげてる。だから登場人物は愚かだ。そう空想科学読本的つっこみをすることがあなたの目的なら、一人でやってください。あなたのページでね。


> この作中事実をみると、同盟側が帝国艦隊の索敵に成功した際に、帝国側は自らが索敵されたことに気がついていない、ことが分かります。これに対し、帝国側が同盟3個艦隊の索敵に成功したのは、「接敵6時間前の時点」の直前でしょう。

同盟がわかっていたのはその6時間前までです。その後はわかってません。物語は6時間まえからはじまったのであり、いつ帝国がつかんだのかはかいてませんが。
その後は帝国が一方的にわかってます。裏設定を考えずとも帝国側が同盟が自分たちの動きがつかんでないとわかることがひとつあります。同盟艦隊の動きです。
つかんでるなら、行動を開始すればそれに対応した動きに変わりますが変わらなかった。
はじめるときはそんなことわかってないというでしょうが、ラインハルトはくらます自信があった。だから実行した。
そしてくらましているかどうかは、同盟の艦隊の動きが教えてくれる。

同盟の偵察の規模そのものは帝国の偵察がつかむと。

偵察は6時間前までは同盟が勝ってたようですが、その後は帝国側
が勝ってます。

同盟が退却の可能性を考えてるかどうかなどどうでもいいことです。
私何回も繰り返してますけどね。ラインハルトにとって重要なことは、
自分の作戦を同盟が対応できるか否かです。そしてできないと
ふんで決断した。

さらにいえば、なぜラインハルトは同盟が、帝国が殲滅を待っていると
判断したか。それもまた同盟艦隊の動きが教えてくれます。
包囲網をさっさと縮めず、違う動きをしていたとの記述が本編にあります。
その動きから判断したとかんがえられます。それ以外の可能性を
考慮しているならさっさと包囲網を縮めてくる。しないから
そう判断した。


> これは、「賭け」に出れるような状況ではありません。
> 黙って「降りる」のが、賢明な判断でしょう。

それはあなたの判断です。指揮官の見解が分かれる点でしょう。
慎重かぐずなのかは、結果でしか判断はできませんがね。


> > 撃破せねば生きて帰れない帝国の士気と、絶対的優位のはずが
> > 突然考えもしなかった事態に陥った同盟との士気の違いでしょう。
> > さらに付け加えれば勝利したと思い込んでいたのに、突然敵が自分
> > たちの前に現れれば思考停止しパニックになります。
> > パニックになり浮き足立った軍というものはもろいものです。
> > 簡単に崩れてしまう。正面からの戦闘でも一方的な戦闘になった例はいっぱいあります。
>
> ナポレオン戦争以降の国民皆兵制度下の軍隊は、絶対王政下の常備軍や傭兵に比して、軍隊に対する比類ない忠誠心(もちろん「逃げられない」というネガティブな意味も含めて)を持っています。
> また、火器の発達は、少数部隊でも大部隊を撃破する望みを与えるものです。
> さらに、通信手段の装備は、物理的に分散させられた状況にあっても、相互の連携を可能とし、将兵が容易に絶望することなく、全体の戦況を把握して戦闘を継続することが可能です。

そういうばかげたことは言わないでください。反論するのもつかれ
ますから。この記述だけでも、あなたには戦術を語るに必要な最低限の
知識もセンスもないんだとわかります。そのあなたが戦術論をかたるのはどういう悪い冗談ですか?
もっと勉強してください。すればばかげたことを言ったんだとわかります。
それはそうであったらいいなあという理想であり、現実はそうではないんです。

ひとつだけ、言っておきます。戦争ははるか太古から人間がやるんです。戦術そのものは古代に完成しました。使う武器、その他はかわれど
人間はかわってません。

次に、自分から言ってるじゃないですか。条件さえそろえば、一方的な戦闘になることはあるのだと。自分で自分の論を崩壊させてますよ。

近代以降の戦いだけにしぼりましょうか。

アスターテの戦いのモデルになった
タンネンベルグ会戦。
6日間戦争
トラファルガー海戦
日本海海戦

ほかにも、第二次世界大戦中の独仏戦。マジの線だよりだった
フランス軍は、それが突破されたとき思考停止状態になり、
ドイツ軍に次から次へと撃破されました。
戦車の性能はドイツのほうが劣っていたにもかかわらずです。


人間意表をつかれればおそろしくもろい生き物です。
もう一度繰り返しますが、兵器はかわれど人間はかわらない。
かつて起こったことは今も起こるし、これからも起こる。

そんなことありえないというならどうぞお帰りください。
あなたの脳内世界における脳内戦争に基づいての議論は私
しませんので。


No. 3889
Re:Re3877:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
八木あつし 2003/03/25 04:03
> 1章−1
> <「わが軍に対して敵の数は二倍、しかも三方向よりわが軍を包囲せんとしております。これはすでに交戦態勢において敵に遅れをとったことを意味します」>
>
> シュターデンが、このように述べるのも、もっともなことです。
>
> SAIさんの記載
> > 知ってればいいことは、同盟の索敵網が粗く、自艦隊の行動をくら
> > ますことができるかどうか(そしてこれは索敵機の数等で判断できます)、すぐに救援にかけつけてこれないほど同盟艦隊がはなれてるか
> > どうか(もっともアスターてのモデルになった例では、決して救援し
> > てこないとわかっていたからやったんですが)、敵艦隊がどこにい
> > るか、です。
>
> SAIさんが、索敵網の程度など容易に分かる、というのは、まったく根拠のない裏設定です。そのような裏設定が成立し得ない作中事実(同盟の偵察艇を発見できず、むざむざ包囲されてしまっているという事実)が、上のように存在しています。

裏設定とパンツァーさんが言っておられるので一つ。

アニメ版銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲

ブラウンシュヴァイク公爵とフレーゲル男爵の企みで、ラインハルトに2万隻の艦隊で同盟領アスターテ星域征圧の任が下る。

ブラウンシュヴァイク公爵は、フェザーンのルビンスキーにこの軍事遠征の情報を流す。

ルビンスキーが同盟弁務官事務所にこの情報を流す。

同盟国防委員会に情報が入り、トリューニヒトから同盟軍統合作戦本部のシトレ元帥に帝国軍の倍である、4万隻の艦隊派遣を命令。

統合作戦本部が第2・第4・第6の3個艦隊の動員を決定。

同盟軍は帝国軍のアスターテ星域侵攻を始めから分かっており、尚かつその艦艇は2万隻だと知っていた。

そのためイゼルローン回廊から帝国軍がアスターテ星域に侵入するための航路は、大体予想ができる。

艦艇も倍ということから「ダゴン星域会戦」の再現を狙う余裕が出来た。

そして帝国軍の予想進路から包囲すべく、艦隊を3方向から向かわせた。

という風に、アニメではこんな感じとなっています。もっとも原作、そしてOVA以後に作られた劇場用アニメですから、色々と後設定が付いています。しかし、これをアスターテの裏設定と考えても良いでしょう。

このように最初から帝国軍の侵入目的・敵兵力が分かっていたからこそ、同盟軍の索敵行動がついおろそかになってしまった。
こう考えてみてよろしいのではないでしょうか?


> 2−3
> <開戦後四時間。同盟軍第四艦隊はすでに艦隊と呼称できる存在ではなくなっている。(中略)
> メルカッツから通信スクリーンを通じて報告がもたらされた。
> 「組織的な抵抗は終わりました。以後、掃討戦に移ることになりますが・・・」>
>
> これを見ると、四時間の間は、組織的抵抗を継続していたわけです。
> この間は、帝国艦隊は同盟第二艦隊の組織的抵抗を受けているわけですから、損害がでないことがおかしいのです。
>
> SAIさんは、鉄砲出現以前の時代の戦闘のように、基本的に戦傷率が低く、士気崩壊した一方の軍が敗走時に追撃されて、多大な損害(と言っても全軍の3割程度だが)をうける例と、勘違いしているのではありませんか?
> この時代の戦闘は、両軍が拮抗して戦闘している間は戦傷者の発生が少なく、一方の軍が壊走してその追撃時に戦傷者が多数発生するのですから、勝者に損害がほとんどない例は、ざらにあります。
> しかし、この時代の戦闘を、銀英伝における戦闘と比較するのは、無茶でしょう。
> 社会体制(兵制)も、時代も、兵器の性能も、まったく異なるのですよ。

同盟軍が帝国軍の前に一方的に壊滅しても別に良いでしょう。銀英伝世界の宇宙戦争なのですから。
第一、それを言ったら、帝国領遠征作戦でいかに同盟軍が食糧難・相互連絡状況不備・総司令部不在という最悪の条件とは言え、総数20万隻(最大の誤植・文庫版でも直らず(笑))の 同盟軍が、約半数の10万隻の帝国軍によって、ヤンの第13艦隊以外がほぼ壊滅したという状況はどうします? そして帝国軍の主だった損害は、ヤンに敗れたビッテンフェルト艦隊のみです。
私だって、同盟軍はあと1〜2個艦隊は編成できるぐらいの艦艇は残ると思いますし、帝国軍だってもう少し損害を受けると思います。しかし結果として同盟軍はほぼ壊滅し、帝国軍はその戦力の大部分を残しました。
銀英伝世界の宇宙戦争は、一方的な展開が容易に起こりうる。つまり宇宙戦艦ヤマト的な部分もあると思えば良いのです。

追伸
出来れば「将軍」ではなく「提督」にして下さい


No. 3893
Re:Re3877:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
SAI 2003/03/26 19:05
>
> 同盟軍が帝国軍の前に一方的に壊滅しても別に良いでしょう。銀英伝世界の宇宙戦争なのですから。
> 第一、それを言ったら、帝国領遠征作戦でいかに同盟軍が食糧難・相互連絡状況不備・総司令部不在という最悪の条件とは言え、総数20万隻(最大の誤植・文庫版でも直らず(笑))の 同盟軍が、約半数の10万隻の帝国軍によって、ヤンの第13艦隊以外がほぼ壊滅したという状況はどうします? そして帝国軍の主だった損害は、ヤンに敗れたビッテンフェルト艦隊のみです。
> 私だって、同盟軍はあと1〜2個艦隊は編成できるぐらいの艦艇は残ると思いますし、帝国軍だってもう少し損害を受けると思います。しかし結果として同盟軍はほぼ壊滅し、帝国軍はその戦力の大部分を残しました。
> 銀英伝世界の宇宙戦争は、一方的な展開が容易に起こりうる。つまり宇宙戦艦ヤマト的な部分もあると思えば良いのです。

横レスですが、一応そういう例も無いわけではないです。戦史に
名高いカンネの戦いです。ローマは8万、対するハンニバルは5万
3千、ハンニバルはヌミディア騎兵を効率的に活用し、
ローマ軍を包囲撃滅しました。ローマ側の戦死者
は7万、ハンニバルは5千5百と伝えられてます。

ハンニバル以外だれもできた人間はいないので、よくあるとはいいま
せん。アムリッツアのような結果は限りなく不可能に近いとは
思いますが、不可能ではない。そうはいえます。


No. 3894
ラインハルトとヤンの天才性の評価に関して
パンツァー 2003/03/26 22:58
☆1 読解力のない投稿者?

> まず最初に。銀英伝の記述を取り上げ、こんなことはありえない、
> こんなことはおかしい、ばかげてる。だから登場人物は愚かだ。そう空想科学読本的つっこみをすることがあなたの目的なら、一人でやってください。あなたのページでね。

他でも述べましたが、なんでこうも、いいかげんな読解に基づいて、レスを返してくるんでしょうね。

3875で私は、
「戦闘開始後において」は、
「戦闘開始後に関しては、詳しく考察できない部分がある。」から、
「以下の疑問を列挙する」に留めている、
のですよ。

「以下の疑問」というのが、
「時間の経過の問題」や、ここで問題となっている「帝国軍の損害が皆無」の話になるわけです。

いいですか、
私は、「詳しく考察できない」理由として、「帝国軍の損害が皆無」の話を掲げているのであって、
「ラインハルトやヤンの天才性」に関する根拠を述べているのではないのですよ。

さらに言えば、
結論:「戦闘開始後において」に関しては、「ラインハルトやヤンの天才性」の評価に関して、「詳しく考察できない」
根拠:「時間の経過の問題」、「帝国軍の損害が皆無」
という構図です。

人に批判を加える前に、しっかりと文章をお読みなさい。

☆2 索敵状況とラインハルトの判断

> 偵察は6時間前までは同盟が勝ってたようですが、その後は帝国側
> が勝ってます。

> さらにいえば、なぜラインハルトは同盟が、帝国が殲滅を待っていると
> 判断したか。それもまた同盟艦隊の動きが教えてくれます。
> 包囲網をさっさと縮めず、違う動きをしていたとの記述が本編にあります。
> その動きから判断したとかんがえられます。それ以外の可能性を
> 考慮しているならさっさと包囲網を縮めてくる。しないから
> そう判断した。

(1)
この二点目の記載は、重要ですね。
その記載個所を是非とも教えていただきたいものです。
場合によっては、私の論拠に対する重大な脅威となります。
しかし、その記載個所を指摘できないのであれば、私としては、単なる「言いがかり」としか、みなしようがありません。

(2)
それから、
ラインハルトが生兵法の猪武者でないと言うためには、
ラインハルトが各個撃破に出る決断をした時点以前において、
索敵状況が帝国側に有利である根拠を示す必要があります。

私は、「接敵6時間前の時点」が、ほぼ、ラインハルトの決断時点と一致すると考えています。若干の時間のずれはあるにせよ。
ともかく、
ラインハルトの決断時点以前に、索敵状況が帝国側に有利であった根拠がないのであれば、
ラインハルトは、索敵状況など考慮せず、単に生兵法を適用(状況に関わり無く無前提に各個撃破は優れた兵法と判断)して、各個撃破に撃って出ただけの話です。

念のために書きますが(読解力に期待できそうにないので)、(2)が成立しないのであれば、(1)だけ示しても無意味ですよ。
索敵状況など考慮せず、各個撃破に撃って出た後に、同盟の動きが鈍いことを発見したからといって、ラインハルトの決断が優れているということにはなりません。それは、やってみたら、以外に抵抗が少なく、結局うまくいった、といった類の話なのですから。
ラインハルトが(戦略や戦術の能力を別として)単に強運の持ち主である、とかいう結論なら、同意しても良いですが。

(3)
そうすると、
「接敵6時間前の時点」から「ラインハルトの決断時点」までの間に、なにか、同盟の索敵に欠陥があることを証明するような、作中事実が必要です。

物語の展開は、素直に読めば、次のようなものでしょう。
1 偵察艇による同盟3個艦隊接近の発見
2 慌てた帝国の将軍たちがシャトルでラインハルトに接見
3 帝国の将軍たちを前に、各個撃破戦術を披露

軽く読み直して見ましたが、
特に、同盟の索敵に欠陥があるような作中記載は見当たらなかったですね。
ずっと、後の部分に、戦闘を回顧するような形で、その種の記載があったのでしょうか?

☆3 結論

ラインハルトの決断が、同盟の索敵の欠陥を前提にしている、といい得る根拠を示してください。
これができない場合は、SAIさんの意見は全般として、SAIさん自身の主観に過ぎず、なんら作中記載に基づいた客観的な根拠を持たないものとしか、いいようがありません。

☆4 「帝国軍の損害が皆無」

帝国艦隊と同盟第4艦隊との戦闘に関する議論は、別投稿に分離します。
テーマが異なりますので、分離することで、これ以上の誤解を招かないように致しましょう。


No. 3895
「帝国軍の損害の皆無」に関して
パンツァー 2003/03/26 22:59
☆1 二つの論旨

3875において、
「ラインハルトとヤンの天才性の評価」に関して論じる中で、
戦闘の展開をも加えた論を展開したかったのですが、
私には、個々の戦闘結果が、どうも作者による恣意的と思えるものばかりなので、戦闘を絡めた論を展開することを断念したのです。
そこで、どんな作中事実に関して、私が「恣意的と思える戦闘結果」と感じたか、を示す例として、「時間の経過の問題」と「帝国軍の損害が皆無」とを書いたのです。

言うなれば、
「ラインハルトとヤンの天才性の評価」に関する論が、
作品を前提とした批判論であるのに対し、
「恣意的と思える戦闘結果」に関する論(根拠の一つが「帝国軍の損害が皆無」)は、
作品自体に対する批判論です。

だから、これを一緒くたにして論じられても、私としては、批判者の読解力不足を指摘する以上のことができません。
今後の誤解を防止するためにも、この二つの論を分離します。

この投稿では、「恣意的と思える戦闘結果」に関する論、を展開します。
さらに付言すると、ここでの話は、「ラインハルトとヤンの天才性の評価」とは、一切関わりがありません。

☆2 「帝国軍の損害が皆無」について

(1)両軍の比較

3875の私の記載内容を再掲載します。
<(2)帝国軍の損害が皆無
 敵前で旋回して撃破されたエルラッハ中将以下2000隻を除き、なぜ、帝国艦隊には損害が見られないのか。
 側背から急襲された第6艦隊との戦闘では圧勝であったとしても、正面から戦闘したと思われる第4艦隊との戦闘は、消耗戦的部分があったのではないか。
 ランチェスター2次法則を適用すると、20000:12000の戦闘比であったならば、第4艦隊が全滅した際には、帝国艦隊に4000隻程度の損害があってもおかしくないのではないか。>

これに対する反例をあげようというのであれば、まずこの内容が、どうゆうものかを理解しないと駄目ですね。
SAIさんは、帝国軍と同盟軍の比較検討が、出来てないのではありませんか。
はあ、面倒なことだ。

(A)兵員の質
 帝国と同盟とで同程度
(B)兵器の質
 帝国と同盟で同程度
(C)数的比較
 帝国20000:同盟12000、帝国対同盟2倍弱
(D)指揮(指揮系統および指揮能力)
 帝国:ラインハルト+ラインハルトに対する信頼の薄い緒将軍
 同盟:パストーレ中将以下

(A)(B)に関しては、両軍で差はないと考えるのが自然でしょう。もし、如実な差が存在すれば、そもそも2倍の兵力差というものが、それほど大きな意味を持たなくなってしまいます。事前段階で、同盟が勝利を確信し、帝国がラインハルトを除き、敗北を予感する作中事実に反します。

そうすると、数的優勢と指揮の優劣のみが、問題となります。

(2)日本海海戦の引用

> 次に、自分から言ってるじゃないですか。条件さえそろえば、一方的な戦闘になることはあるのだと。自分で自分の論を崩壊させてますよ。

あのねえ、私がこれを引用したのが、自滅のためだと本気で思っているのですか?
あきれて物が言えないが。

私は、勝利側がほとんど損害を受けることなく勝利した例として、日本海海戦を挙げましたが、このような勝利は、背後に大きな勝因が潜んでいる、と言ったのです。

<兵員の訓練度の違いは、砲弾の命中率の格段の差や、艦隊運動の優越(T字戦法の成功)となって現れ、黒海より長距離を遠征してきたバルチック艦隊の兵員の疲労も無視できません。さらに、火薬の威力が違うといった物理的要素の違いや、イギリスからの情報提供(バルチック艦隊の位置情報)なども、無視できません。>

(1)で書いた、(A)兵員の質、(B)兵器の質が、そもそも違うんだ、と言っているんですよ。
だから、このような例を持ってきても、「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」の比較例にはならない、と言ったのです。
以下で検討しますが、SAIさんのあげた例で、日本海海戦以上に、「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」に近い例は、存在しませんね。
結論から言えば、日本海海戦ですら比較対象にならない以上、他の例など、まったくなんの参考にもなりはしない。

(3)SAIさんのあげる比較例

> アスターテの戦いのモデルになった
(イ)タンネンベルグ会戦。
(ロ)6日間戦争
(ハ)トラファルガー海戦
(二)日本海海戦
(ホ)ほかにも、第二次世界大戦中の独仏戦。

(イ)(ロ)(ホ)に関して
そらね、世界史の教科書などには、「タンネンベルクの戦い」とか「スターリングラードの戦い」とか、あたかも一つの戦闘のように書いてありますが、これは戦闘の集合体であって、一つの戦闘ではないのですよ。比較対象が「戦闘」なのに、戦闘の集合体を持ってきて、どうするのですか?

(イ)タンネンベルクの戦い
包囲殲滅戦であった「タンネンベルクの戦い」の場合であれば、
第一に、戦線の少なくとも二箇所において戦線突破攻撃が行われ、
第二に、異なる個所で突破に成功した部隊の合流が行われ、
第三に、突破部隊の合流による包囲網の完成と、包囲網内部の敵に対する掃討戦が行われるものです。
この各段階毎に異なる戦闘が発生するのです。
引用すべきは、「タンネンベルクの戦い」の戦いにおける何月何日の戦闘、とかいったものですよ。

ちなみに、十歩譲って、「タンネンベルクの戦い」を比較対象とすると、どうなるか。
<ロシア軍の捕虜は9万2千人に達した。また戦死者も2万人を越える。一方ドイツ側の損失は死者と捕虜をあわせ1万5千人以下にすぎない。>
http://www3.kiwi-us.com/~ingle/honbun/tannnenberg%20second.html

これを参考にすると、このような大勝利でも、勝利側の損害が皆無でないことが分かります。単純に比例させても、同盟第四艦隊を打ち破った帝国艦隊に、1000隻程度の損害が出ることになる。

(ロ)6日間戦争
こんなの、イスラエル軍の航空優勢という決定的なおまけもついているのですから、話にならんでしょうが。同盟第四艦隊が、イゼルローン要塞の要塞主砲にでも打たれた設定にでもしないと、論外ですよ。

(ホ)第二次世界大戦中の独仏戦
「戦車の性能はドイツのほうが劣っていた」なんてことを書いているくらいですから、「電撃戦」なるものの理解は一応あるのでしょう。
だったら、言うまでもないでしょうが。
戦車の集中運用と、スツーカ等の地上攻撃、後方重砲の集中支援、これらがミックスされて圧倒的な破壊力を発揮したのですから。わが国による航空艦隊重視思想と同様に、このとき、戦術上の大進歩があったのですよ。だから、電撃戦の正体がばれた後は、敵方にも応用されて、戦争自体が消耗戦に向かうわけでしょうが。
「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」に、そんな戦術上の大進歩が、ありましたか?

(ハ)トラファルガー海戦
イギリスがネルソン提督の死亡を除いて、艦隊にはほとんど被害がなかったのに対し、フランス・スペイン連合軍が壊滅的打撃を受けたわけですから、この点だけを見れば、日本海海戦と同様、「勝利側の損害が皆無」の例としてあげれそうですね。

しかし、
海上覇権を有し強力な海軍を有するイギリスと、イギリスに対抗するため、急ごしらえのフランスおよびスペイン海軍の連合の戦闘です。スペインは一時代前は海洋覇権国家でしたが、それは過去の話です。フランスなどは話にならない。
つまり、(A)兵員の質が第一に異なります。

また、フランスおよびスペインの連合であるため、(D)指揮系統に大きな問題がある。いわゆるバルジの戦いでも、米英の足並みが揃わず、ドイツ軍に隙を与える格好となっています。

また、
http://plaza4.mbn.or.jp/~tactic/tra.html
このページを参照すると、
(C)兵器の質、の違いも存在するし、
そもそも、ほぼ奇襲攻撃が決まって、側面をもろに突かれた、ことが分かります。

したがって、これなども全然比較の対象にならない。


あのね、劇的に勝利した例をあげればよい、わけではないのですよ。
第一に、「損害が皆無」のみに適する例を考えただけでも、(ハ)トラファルガー海戦、(二)日本海海戦、の二例くらいしか、該当しないではありませんか。
そして、(A)兵員の質や(B)兵器の質までを考慮に入れたら、たちまち不適切な例ばかりになる。

「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」と類似の状況で、劇的勝利をした例くらいはあるでしょう。しかし、主に兵力差が2倍弱の優越で、勝利側の損害が皆無な例が、たっぷりあるわけがないでしょう。

少なくとも現時点では、たっぷりどころか、一例も挙がっていませんね。

(4)戦争ははるか太古から人間がやるんです?

> > ナポレオン戦争以降の国民皆兵制度下の軍隊は、絶対王政下の常備軍や傭兵に比して、軍隊に対する比類ない忠誠心(もちろん「逃げられない」というネガティブな意味も含めて)を持っています。
> > また、火器の発達は、少数部隊でも大部隊を撃破する望みを与えるものです。
> > さらに、通信手段の装備は、物理的に分散させられた状況にあっても、相互の連携を可能とし、将兵が容易に絶望することなく、全体の戦況を把握して戦闘を継続することが可能です。

この記載は、
「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」の比較対象を探す上で、
「兵員の質」および「兵器の質」に関する限定を加えたものですよ。
戦国時代の合戦など間違っても引用されないように。

それとも、私がこういう限定を加えること自体に、ひょっとして、納得していないのですか?
こんなことも理解できないと言われたら、私も言葉を失ってしまうが。
下に書いた説明も参考にしてください。

> 人間意表をつかれればおそろしくもろい生き物です。
> もう一度繰り返しますが、兵器はかわれど人間はかわらない。
> かつて起こったことは今も起こるし、これからも起こる。

それは結構ですけどね、
「帝国艦隊と同盟第4艦隊の戦闘」においては、
四時間もの間、同盟第4艦隊は組織的抵抗を行ったんですよ。
帝国軍の突然の来襲に周章狼狽して、たちまち敗走したわけではないんです。
皆、踏みとどまって、戦力の大半を打ち減らされるまで、戦闘を継続したんですよ。これが、<ナポレオン戦争以降の国民うんぬん>を参考にせよ、と書いている理由なんですがね。
理解できないんですかね、SAIさんは。

(5)挑発および誹謗的発言について

> そういうばかげたことは言わないでください。反論するのもつかれ
> ますから。この記述だけでも、あなたには戦術を語るに必要な最低限の
> 知識もセンスもないんだとわかります。そのあなたが戦術論をかたるのはどういう悪い冗談ですか?
> もっと勉強してください。すればばかげたことを言ったんだとわかります。
> それはそうであったらいいなあという理想であり、現実はそうではないんです。

そういうのであれば、根拠を示しなさいよ。
何を持って、「戦術を語るに必要な最低限の知識もセンスもない」と言っているのですか?

はっきり言いますが、SAIさん、あなたは現時点において、何一つ説得力のある根拠を示してないのですよ。私は適宜、根拠を示していますよね。
客観的に評価に値する根拠を示した上で、それを用いた論を展開してください。


No. 3896
Re:Re3877:アスターテ会戦(作られた英雄たち)
パンツァー 2003/03/26 23:30
他投稿で大分消耗したので、簡単に回答します。ご容赦を。
それから、SAIさん宛ての投稿でも書いていますが、これは作品自体の批判に関する議論ですので、作品を前提とした人物評価の話と混同しないでください。


> このように最初から帝国軍の侵入目的・敵兵力が分かっていたからこそ、同盟軍の索敵行動がついおろそかになってしまった。
> こう考えてみてよろしいのではないでしょうか?

私もアニメ版は見ました。
いずれにしても、帝国艦隊が何時何分にどの経路を通過して、といったような詳しい情報は手に入りませんから、結局、しっかり索敵しないと捕捉できないはずです。
航路が限定されている、と言うわけでもないでしょうし。
また、帝国側にしてみれば、敵地への侵入ですから、どこになにが(例えば監視衛星が)潜んでいるかも分からず、索敵を重視しつつ、慎重に移動することになるでしょう。フェザーン占領において、「航路図」が重視される作中事実を考え合わせて見ても。


> 同盟軍が帝国軍の前に一方的に壊滅しても別に良いでしょう。銀英伝世界の宇宙戦争なのですから。
> (中略)
> 銀英伝世界の宇宙戦争は、一方的な展開が容易に起こりうる。つまり宇宙戦艦ヤマト的な部分もあると思えば良いのです。

宇宙戦艦ヤマトは、とにかく比類なく強力、で一貫していますから、それでよいのです。銀英伝の艦隊戦は、同盟と帝国に質的な差がなく、同盟が勝つ場合もあれば、帝国が勝つ場合(ほとんどかな)もあります。
したがって、艦隊戦において、どちらにも転びうる勝利の要素が、あると考えられるのです。

ビッテンフェルトを取り上げたのは、長距離用兵器から近距離用兵器に転換しようとした隙を突かれた、みたいな理由が挙げられていた点が、気になったのです。それが、「どちらにも転びうる勝利の要素」の一つかな、と。
しかし、ヤン艦隊は、兵装の転換をすることなく長距離用兵器で、「零距離射撃」まで行っているわけですから、おいおい、と思ったわけです。長距離用兵器から近距離用兵器に転換する必然性がないんではないの、ということです。


> 第一、それを言ったら、帝国領遠征作戦でいかに同盟軍が食糧難・相互連絡状況不備・総司令部不在という最悪の条件とは言え、総数20万隻(最大の誤植・文庫版でも直らず(笑))の 同盟軍が、約半数の10万隻の帝国軍によって、ヤンの第13艦隊以外がほぼ壊滅したという状況はどうします?

これに関しても、私は、全然納得がいかないんですよ。
食糧難ではあっても、艦隊の兵員に関しては、飢餓には陥ってないようですからね。
つまり、補給の不足とか、補給線の切断とかは、特に致命的要素ではないのです。
要は、単に、艦隊戦に敗れた、というだけの話ですね。
しかも、同盟の個々の艦隊は、ほぼ一個艦隊対一個艦隊の戦闘で破れた(一個艦隊の艦艇数が異なるにせよ)ようですしね。
恣意的としか、思えない。
せめて、散らばった同盟艦隊が、一個艦隊ずつ各個撃破されたとかいった展開にしてくれれば、納得がいくのですが。

それから、同盟は八個艦隊を動員したのではありませんでしたっけ。
同盟の一個艦隊が15000隻と仮定します。
また、アスターテ会戦の末尾の記載を見ると、一個艦隊につき大体100万人です。
そうすると、八個艦隊で1200万人。これに、星系占領用の陸戦部隊や後方部隊を入れて、3000万人、ちと、艦隊の人数が少ないかな。

帝国の方が戦力的に小さいとすると、ますます同盟の敗因が不明ですね。
しかもキルヒアイスの艦隊は別働隊として、同盟の艦隊の後方を突きにいってるわけで、正面戦力ではないし。
まったく不可思議ですよ。


> 追伸
> 出来れば「将軍」ではなく「提督」にして下さい。

一応、銀英伝では、一万から二万隻の一個艦隊を基準として、艦隊が定義されているように思います。そうすると、提督と呼びうる艦隊司令官は、アスターテ会戦では、帝国側では、ラインハルト一人ではないか、と思うのです。もちろん、メルカッツやシュターデン等の将官も、数千隻規模の艦隊を率いているのでしょうが。
つまり、将軍としている理由は、対象としている人物が中将だとか少将だとかいった将だから、この表現は少なくとも間違いがない、と考えるためです。
別に、是が非でも将軍でないと駄目だ、とか主張するつもりはありませんが。


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