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No. 7351 | |
アムリッツァ会戦について | |
珍迷怪 | 2007/01/22 22:51 |
はじめまして。珍迷怪と申すものです。 最近、銀英伝のOVAを久しぶりに観て、少々疑問に感じた事がありました。皆様のご意見を頂ければ幸いです。 会戦中盤、ビッテンフェルトは突出しすぎてヤンに叩かれ、ラインハルトに救援要請を出します。それに対してラインハルトは『予備兵力なぞ無い!』と答えますが、これは妙じゃないでしょうか? この会戦に至るまでに、帝国軍は同盟軍をだいぶ叩いています。 同盟が当初投入した八個艦隊の内、3・7・11の三個艦隊は壊滅状態、9・10の二個艦隊は司令官脱落のためまともな戦力とはならず、5・8は三割程度の損害を喰らい、ヤンの13艦隊も一割程度は戦力を減らしていたでしょう。 それに対して帝国側は有利な態勢から攻撃を掛けた事から、それほど損害はでていないでしょう。多めに見積もっても一個艦隊分(10000〜15000隻ぐらい?)位でしょう。 つまり、会戦に臨む時点では帝国側はかなり戦力的に優越していると考えられるのです。にもかかわらず、予備兵力を準備しないというのはどういうことでしょうか? 予備兵力が無いと、攻勢の際には打撃力を欠き、逆に守勢の際には戦列に開いた穴を塞げず、戦線全体の崩壊を招きかねません(実際、そうなりかけました)。 兵力に余裕が無く、予備を抽出しようにも出来ないと言うわけでも無い(キルヒアイスに全体の三割を回して別働隊を組織している)のに予備を準備しなかったのは、明らかにラインハルトのミスではないでしょうか? |
No. 7352 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
独貧貴族 | 2007/01/23 00:39 |
> 兵力に余裕が無く、予備を抽出しようにも出来ないと言うわけでも無い(キルヒアイスに全体の三割を回して別働隊を組織している)のに予備を準備しなかったのは、明らかにラインハルトのミスではないでしょうか? 『予備兵力なぞ無い!』は予備兵力が無いのではなく、 「(貴様を救う)予備兵力なぞ無い!(自分で撒いた種だ自分で刈り取れ)」と私は見ました。その後、記憶がイマイチ曖昧ですが癇癪を治めた金髪の坊やがビッテンフェルトの救援を向けたと思います。 |
No. 7354 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
珍迷怪 | 2007/01/23 21:09 |
独貧貴族さま レス有難う御座います > 『予備兵力なぞ無い!』は予備兵力が無いのではなく、 > 「(貴様を救う)予備兵力なぞ無い!(自分で撒いた種だ自分で刈り取れ)」と私は見ました。その後、記憶がイマイチ曖昧ですが癇癪を治めた金髪の坊やがビッテンフェルトの救援を向けたと思います。 いや、その救援はキルヒアイスに命じて差し向けているんですよ。だから、あの時点でラインハルトの手元には予備兵力は無かったとおもうのです。(しかも、その救援もアムリッツァ恒星の急変で間に合いませんでした) 煎じ詰めて言えば、キルヒアイス隊に兵力を回しすぎなんですよね。キルヒアイス隊の任務は『同盟軍の側背を奇襲する』である以上、それ程大兵力は必要無いと思うのですが…… |
No. 7357 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
ケイ | 2007/01/24 10:42 |
こんにちは 思ったことをつらつら書かせて戴きます。 > それに対して帝国側は有利な態勢から攻撃を掛けた事から、それほど損害はでていないでしょう。多めに見積もっても一個艦隊分(10000〜15000隻ぐらい?)位でしょう。 > つまり、会戦に臨む時点では帝国側はかなり戦力的に優越していると考えられるのです。にもかかわらず、予備兵力を準備しないというのはどういうことでしょうか? 確かに予備兵力がないのはどうかなとも思いますが、 アムリッツァで開戦する段階で 同盟軍に予備・増援戦力が無いのは決定的でありますし、 同盟艦隊を完全殲滅を目的として 予備戦力も前線へ投入してたんじゃないかと私は思います。 もしくは本来の予備戦力をを キルヒアイスに回したのかもですね。 ラインハルトのミスか?に関しては 事実上圧倒的優勢ですので、予備兵力があったとしても そのまま待機させずに前線に投入するんじゃないのでしょうか? 同盟軍に挟撃される危険性がある等なら別ですが、 その可能性は限りなく0と言えます。 包囲し続け、同盟軍を疲弊・崩壊させるのなら なるべく多くの戦力を参加させた方がいいのではないかと。 私はミスだとまでは言えないとは思います。 それでも万一に備えるのが司令官なのかもしれませんが 「万一」を考慮する段階をクリアしてたのでは?と私は考えます。 ビッテンフェルトとラインハルトの感覚のズレが問題ですかね。 でもそこまで考えてたら ラインハルトは超人になってしまうような気がします。 |
No. 7360 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
珍迷怪 | 2007/01/24 21:09 |
ケイさま レス有難う御座います > アムリッツァで開戦する段階で > 同盟軍に予備・増援戦力が無いのは決定的でありますし、 > 同盟艦隊を完全殲滅を目的として > 予備戦力も前線へ投入してたんじゃないかと私は思います。 予備まで投入しての攻勢だとすると、会戦序盤での行動が消極的に過ぎると思います。特に、ビッテンフェルトの攻勢が開始され、アップルトンの第八艦隊を窮地に陥れた際に他の艦隊に指示を出して戦果を拡大するなり同盟他部隊に負荷を掛けるべきではないでしょうか? > もしくは本来の予備戦力をを > キルヒアイスに回したのかもですね。 私もそう思います。というか、キルヒアイスに兵力を回しすぎだと思いますよ。ビッテンフェルトの救援は結局、キルヒアイス隊から抽出させて差し向けているんですから。 > ラインハルトのミスか?に関しては > 事実上圧倒的優勢ですので、予備兵力があったとしても > そのまま待機させずに前線に投入するんじゃないのでしょうか? > 同盟軍に挟撃される危険性がある等なら別ですが、 > その可能性は限りなく0と言えます。 > 包囲し続け、同盟軍を疲弊・崩壊させるのなら > なるべく多くの戦力を参加させた方がいいのではないかと。 上で述べましたが、それだとラインハルトの指揮の消極性が説明出来ないんではないかと。私の見たところ、この会戦序〜中盤はただ漫然と攻撃させているように思えました。 > 私はミスだとまでは言えないとは思います。 > それでも万一に備えるのが司令官なのかもしれませんが > 「万一」を考慮する段階をクリアしてたのでは?と私は考えます。 > > ビッテンフェルトとラインハルトの感覚のズレが問題ですかね。 > でもそこまで考えてたら > ラインハルトは超人になってしまうような気がします。 ビッテンフェルトがポカをしなくても、例えば、同盟軍が局所的な優勢を作り、そこに攻撃を集中させて戦線の突破を図ると言うことも有り得るわけです。それに対応できる予備を準備していないのは私は明らかなミスであると考えます。 |
No. 7362 | |
『殲滅』は必要か? | |
珍迷怪 | 2007/01/24 22:37 |
アムリッツァ会戦は結局、ビッテンフェルトのミスが祟って同盟軍を相当数取り逃がします。ラインハルトはこの事を非常に悔しがっていますが、私にはひとつ、疑問があるのです。それは、『この時点で同盟軍に大打撃を与えることは果たして妥当か?』と言うことです。同盟軍をこの時点で弱体化させすぎてしまうのは、ラインハルトにとって、無益どころか有害ではないでしょうか? この当時のラインハルトの立場は何によって担保さているのでしょう? ……よく知られている『皇帝の寵姫の弟』は勿論有ります。ですが、これは随分私的で儚い物です。専制君主の恣意は多少は公的な色彩を帯びずには済まされない性質のものである事は確かですが、恣意だけに、心変わりしてしまえばそれまでですし、心変わりしなくても意思を反映できない状態、つまり皇帝が死んだり重病に倒れてしまえば同じ事となります。このように、皇帝との繋がりだけに頼っていると立場の保全にははなはだ心もとなく、他に何らかの方策を探す必要が(社会的地位が上がれば、なおさら)有ります。 公的な必要性を他者に示すことが出来れば、彼を嫌い憎むもの達でも早々排除出来なくなります。では、彼の『公的な必要性』とは? 彼は軍人です。それも『飛び切り有能な』軍人です。さて、『飛び切り有能な』軍人が必要な状況とは? ……それは強力な『敵』、即ち同盟軍がいてこそ成立するのではないでしょうか? 『狡兎死シテ良狗煮ラレ、飛鳥尽キテ良弓蔵サル』という言葉が有ります。漢の将軍韓信は、西楚の覇王項羽との抗争に多大な貢献をしたのにも関わらず、項羽亡き後は疎んじられ、最終的には処刑されてしまいました。これと同じことがラインハルトにも当てはまるのではないでしょうか? もし、あの会戦で殲滅に成功した場合の帝国・同盟の戦力比はどうなっていたでしょうか。帝国は、ラインハルトが元帥に昇進した時点で18個艦隊有りました。その後、ゼークトの艦隊が壊滅し、アムリッツァ会戦でもいくらか損失を出したでしょう。大目に見積もって2個艦隊分としても残りは15。対する同盟は第一、第十一の2個艦隊のみです。戦力比は7.5:1。イゼルローンがあるといっても絶望的な差といわざるといえません。この状況で、『飛び切り有能』ではあるけれども、『危険』な軍人でもあるラインハルトは未だに必要であると、帝国中枢は考えてくれるでしょうか。しかも、会戦終了後には皇帝は死んでいるのです……。 ラインハルトがこの事に気付かなかったとしても、誰か指摘しなかったんでしょうか?これはオーベルシュタインが考えるべきことだったと思うのですが……。 |
No. 7365 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
独貧貴族 | 2007/01/25 01:29 |
確かに同盟軍をあの時点で殲滅させるのは得策とは言い難いです。 貴族達が優秀過ぎる将軍(ラインハルト)の排除に乗出すのは目に見えています。オーベルシュタインは事を指摘しなかったのは考えられる点として 1.貴族の派閥を利用してラインハルトの居場所を確保していた 2.貴族のラインハルト排除を期にしたクーデターによる帝国崩壊を目論んでいた(結果ラインハルトが失脚しても帝国さえ滅ぼせれば良い) 3.ラインハルトの激昂し易い欠点を過大に流し、貴族達にラインハルトの制御は可能と錯覚させた(平民、下級貴族とラインハルトを侮る所の多い貴族にそう錯覚させるのは容易いかも?) 4.その他 かもしれません。 |
No. 7366 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
ケイ | 2007/01/25 02:14 |
珍迷怪さま レスどうもです。 > 私もそう思います。というか、キルヒアイスに兵力を回しすぎだと思いますよ。ビッテンフェルトの救援は結局、キルヒアイス隊から抽出させて差し向けているんですから。 キルヒアイスへの戦力の偏りは確かにバランスを欠いているとは 思いますが、これはキルヒアイスのNo.2としての立場を内外に示したい という理由しか浮かびません。 戦力差は絶対的ですし大規模な包囲殲滅戦はラインハルトの好む戦術でもある。 別働隊をキルヒアイスを任せ、過剰気味な戦力を回すのは仕方ないことかもしれませんね。ただし大兵力が後背を付いた時に与える心理的効果、敗北感は相手側に深刻な打撃を与えると思うので有効であると考えます。 >ラインハルトの指揮の消極性が説明出来ないんではないかと。私の見たところ、この会戦序〜中盤はただ漫然と攻撃させているように思えました。 これも確かに優勢であるので、一気に攻めるべきかとも思います。ご指摘の通り漫然とというイメージはあります。 ただ元々同盟軍の士気・補給面がボロボロであるので、強引に攻めて損害を出すより、持久戦の構えを選択したのではないんでしょうか? 全ての戦線において間断無く戦闘継続することによって、同盟軍に立て直す余裕を与えず、なおかつ自軍に被害をなるべく出さずに勝とうとした。 で、帝国側は予備としていた戦力も順次入れ替えつつ戦えば疲労も抑えて延々戦い続けることができるかと思いますが。 犠牲を抑えて勝ちたいと考える理由としては強引でありますが 後に続く大貴族達との戦いを見据えてかもですね。 90%勝ちの決まった戦いで冒険を侵す必要も無い。挟撃が完成すれば同盟は崩壊するのだから無理せず攻めていけばよいと。 > ビッテンフェルトがポカをしなくても、例えば、同盟軍が局所的な優勢を作り、そこに攻撃を集中させて戦線の突破を図ると言うことも有り得るわけです。それに対応できる予備を準備していないのは私は明らかなミスであると考えます。 上のご指摘に関しては 「同盟が局地的優勢を作る」こと自体が無理ではないかと考えます。 総司令部が戦場不在で横の連携も取りづらく 各艦隊ごとに戦わざるを得ず、集結までに艦隊半壊や司令部全滅等、普通ならイゼルローン要塞まで引き 戦力再編せねば再戦もままならない状態の同盟軍が、 万全の状態の帝国軍に局地的とはいえ優勢を勝ち取るのは厳しいと思いますが。 予備兵力の有無に関して 小説によるとキルヒアイスの挟撃を悟らせないための攻勢を仕掛けねばならかったようです。キルヒアイスが全軍の3割を率いた以上、カモフラージュとして予備兵力すら前線に送る必要はあったと思います。 |
No. 7367 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
ろくでん | 2007/01/25 21:22 |
はじめまして。珍迷怪さん、ろくでんです。 戦場とは混乱と錯誤が交錯するところと聞きます。そのさ中に、たった一つのミスが戦線全体を危うくするような余裕のない作戦は立てる奴と裁可する奴が悪いと私も思います。ビッテンフェルトの罪は実行責任者の一人として、作戦の無謀さに気づかなかった点に限定されるべきでしょう。 |
No. 7368 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
珍迷怪 | 2007/01/25 21:37 |
> 珍迷怪さま レスどうもです。 いえいえ、こちらこそ有難う御座います > キルヒアイスへの戦力の偏りは確かにバランスを欠いているとは > 思いますが、これはキルヒアイスのNo.2としての立場を内外に示したい という理由しか浮かびません。 > 戦力差は絶対的ですし大規模な包囲殲滅戦はラインハルトの好む戦術でもある。 > 別働隊をキルヒアイスを任せ、過剰気味な戦力を回すのは仕方ないことかもしれませんね。ただし大兵力が後背を付いた時に与える心理的効果、敗北感は相手側に深刻な打撃を与えると思うので有効であると考えます。 単なるデモンストレーションの為に自身の軍事的優位を手放すとは思えないのですが…。 後、帝国・同盟の戦力差ですが、帝国優位なのは間違いないにしても『絶対的』と言える程かけ離れていないと考えられます。おそらく、キルヒアイス隊を含めた投入可能兵力比で1・43:1より大きく3:1よりは小さい、大体2:1前後ではないかと思います。理由は1.43:1より小さいとキルヒアイス隊に3割回してしまうとアムリッツァ正面で同盟軍と向き合う兵力が1:1以下になってしまい、 3:1以上離れていると正面で向き合う兵力比は2.4:1超。これだけ離れてしまえば、余程やむをえない事情が無い限り、同盟側は会戦に訴えることせずに撤退を選択するのではないでしょうか。 > これも確かに優勢であるので、一気に攻めるべきかとも思います。ご指摘の通り漫然とというイメージはあります。 > > ただ元々同盟軍の士気・補給面がボロボロであるので、強引に攻めて損害を出すより、持久戦の構えを選択したのではないんでしょうか? > 全ての戦線において間断無く戦闘継続することによって、同盟軍に立て直す余裕を与えず、なおかつ自軍に被害をなるべく出さずに勝とうとした。 > で、帝国側は予備としていた戦力も順次入れ替えつつ戦えば疲労も抑えて延々戦い続けることができるかと思いますが。 > > 犠牲を抑えて勝ちたいと考える理由としては強引でありますが > 後に続く大貴族達との戦いを見据えてかもですね。 > 90%勝ちの決まった戦いで冒険を侵す必要も無い。挟撃が完成すれば同盟は崩壊するのだから無理せず攻めていけばよいと。 はい、私もそう思います。帝国側の作戦は『同盟軍をアムリッツァ正面に拘置し、キルヒアイス隊が敵側背を突いた時点で全面攻勢に移行、包囲殲滅する』である以上、序盤が消極的なのは当然です。だとすると、ビッテンフェルトの突出は一体何なのでしょう? もし、おっしゃるような予備兵力全てを投入しての拘置作戦であった場合、彼の行動は陣形のバランスを崩し、作戦の継続そのものを危うくする危険な行動であると言わざるを得ません。何故、ラインハルトは彼を制止しないのでしょう? ……ビッテンフェルトのするに任せていたのだとしたら、作戦の指示徹底を欠いたラインハルトのミスでしょう。もし、ビッテンフェルトが制止を無視したんだとすれば……彼を厳重に処罰せねばなりません。キルヒアイスが助命嘆願しようがお構いナシです。処罰せねば、軍隊を軍隊たらしめている背骨『指揮系統の徹底』を自ら否定することになってしまうのですから。 > 上のご指摘に関しては > 「同盟が局地的優勢を作る」こと自体が無理ではないかと考えます。 > 総司令部が戦場不在で横の連携も取りづらく > 各艦隊ごとに戦わざるを得ず、集結までに艦隊半壊や司令部全滅等、普通ならイゼルローン要塞まで引き > 戦力再編せねば再戦もままならない状態の同盟軍が、 > 万全の状態の帝国軍に局地的とはいえ優勢を勝ち取るのは厳しいと思いますが。 > > 予備兵力の有無に関して > 小説によるとキルヒアイスの挟撃を悟らせないための攻勢を仕掛けねばならかったようです。キルヒアイスが全軍の3割を率いた以上、カモフラージュとして予備兵力すら前線に送る必要はあったと思います。 上で述べましたが、戦力格差が絶望的なら、さっさと引き上げているでしょう。それをしないでアムリッツァに踏みとどまっているのは何らかの理由が有るからなんでしょう。……考えられるのは、帝国領内にいる敗残兵、及び同盟に亡命を希望する帝国人民がイゼルローン要塞の同盟側に逃げ込むまでの時間を稼いでいるんでしょう。ですが、これは程度問題で、『10000隻の敗残部隊を収容するために40000隻の艦隊が全滅する』では本末転倒で、適当なタイミングで引き上げる必要があります。そして、『適当なタイミング』を見極めるに必要な兵力はあったんでしょう。で、ソフト的に、つまり運用面で局地的優勢が作れるかどうかですが……、これは、確かに難しいでしょう。ですが、それは同盟の視点から見た場合であり、帝国側は知りようがありません。目の前の敵兵力を見て『局地的劣勢に陥るかどうか?』を判断し、予備兵力を準備して戦闘に臨むか、全部隊を投入して大攻勢をかけ一挙に覆滅を図っても安全かを決めることになります。その見積もりを誤ったとすれば、これはラインハルトのミスと言わざるをえないでしょう。 最後の、『カモフラージュとして予備兵力すら前線に送った』とのことですが、単なる見せ掛けなら、配置した箇所から外してビッテンフェルトの所に送っても問題ないでしょう。これ即ち『予備兵力』です。 |
No. 7369 | |
Re:アムリッツァ会戦について | |
珍迷怪 | 2007/01/25 22:02 |
> はじめまして。珍迷怪さん、ろくでんです。 こちらこそ、はじめまして。レス有難う御座います > 戦場とは混乱と錯誤が交錯するところと聞きます。そのさ中に、たった一つのミスが戦線全体を危うくするような余裕のない作戦は立てる奴と裁可する奴が悪いと私も思います。ビッテンフェルトの罪は実行責任者の一人として、作戦の無謀さに気づかなかった点に限定されるべきでしょう。 ケイさんへのレスで書いたことなんですが、全兵力を投入しての拘置作戦と言う可能性も有る事は有るので、無謀、とまではいえないかもしれません。ですが、その場合も作戦の指示徹底を欠いた訳ですからラインハルトのミスは指弾されるべきでしょう。 |
No. 7370 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
珍迷怪 | 2007/01/25 22:24 |
独貧貴族さま レス有難う御座います。 > 確かに同盟軍をあの時点で殲滅させるのは得策とは言い難いです。 > 貴族達が優秀過ぎる将軍(ラインハルト)の排除に乗出すのは目に見えています。オーベルシュタインは事を指摘しなかったのは考えられる点として > 1.貴族の派閥を利用してラインハルトの居場所を確保していた > 2.貴族のラインハルト排除を期にしたクーデターによる帝国崩壊を目論んでいた(結果ラインハルトが失脚しても帝国さえ滅ぼせれば良い) > 3.ラインハルトの激昂し易い欠点を過大に流し、貴族達にラインハルトの制御は可能と錯覚させた(平民、下級貴族とラインハルトを侮る所の多い貴族にそう錯覚させるのは容易いかも?) > 4.その他 > かもしれません。 1が最も同意できるんですが……、作中にそれと解釈できる部分が無いのが、どうも…。 2、だと、オーベルシュタインはとんでもないアナーキストとなってしまいます。地球教徒よりも性質が悪い…。 3は、むしろ逆効果ではないでしょうか? 怒りっぽく、何をしでかすか分からないような人は誰にとってもコントロールは難しいような気が… |
No. 7372 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
独貧貴族 | 2007/01/26 16:20 |
> 3は、むしろ逆効果ではないでしょうか? 怒りっぽく、何をしでかすか分からないような人は誰にとってもコントロールは難しいような気が… むっ、確かにそうです。1.と3.(ちょっと変更)の合わせ技で、 ラインハルトは知れ渡っているように重度のシスコンです。ラインハルトはお姉さんを握っている限り従順で制御が効く、お姉さんは皇帝を誑かすほどの傾城の美女で利用価値は高いと思い込ませれば、武権を持たない官僚派貴族と軍閥派貴族の対立に上手く乗る事が出来るかもしれません。 |
No. 7373 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
珍迷怪 | 2007/01/26 21:07 |
> むっ、確かにそうです。1.と3.(ちょっと変更)の合わせ技で、 > ラインハルトは知れ渡っているように重度のシスコンです。ラインハルトはお姉さんを握っている限り従順で制御が効く、お姉さんは皇帝を誑かすほどの傾城の美女で利用価値は高いと思い込ませれば、武権を持たない官僚派貴族と軍閥派貴族の対立に上手く乗る事が出来るかもしれません。 そうでした……。ラインハルトは姉(と、キルヒアイス)の事となると理も非もなくなる性格の持ち主でしたっけね……。 キルヒアイスは、まあ自分の手元にいるからいいとして、姉の身柄を押さえないことにはなんら決定的行動を取れないんでした……。 皇帝があのタイミングで死に、なんだかゴタゴタしてる間にうまい事身柄を確保したから良いようなものの、もう少し早死にしたり長生きしていたらどうなっていたんでしょう? |
No. 7376 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
ろくでん | 2007/01/28 16:50 |
珍迷怪さん、ろくでんです。 私としては全力ともいえる同盟軍の大攻勢に対して、戦争大好き全開少年の血が騒ぎ、政略レベルのことは「戦争ができる嬉しさ」のあまり飛び去っていたのではないかと思えます。 |
No. 7379 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
独貧貴族 | 2007/01/30 13:37 |
> 私としては全力ともいえる同盟軍の大攻勢に対して、戦争大好き全開少年の血が騒ぎ、政略レベルのことは「戦争ができる嬉しさ」のあまり飛び去っていたのではないかと思えます。 >ラインハルトがこの事に気付かなかったとしても、誰か指摘しなかったんでしょうか?これはオーベルシュタインが考えるべきことだったと思うのですが……。(by 珍迷怪氏) ラインハルト(戦争狂)はそれで済んでもオーベルシュタインかロイエンタール辺りが政略面の拙さを指摘しないのはどうかと思います。 ロイエンタールもオーベルシュタインもラインハルトが失脚した時は所詮はこの程度と見限るつもりだったとか。 ps. ラインハルトはキルヒアイスとアンネローゼが居なかったらヘルシングの少佐殿化していたかも。 ヤンとラインハルトは戦争のための大義名分を考える黒い兄弟的な面がありますし。 |
No. 7380 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
ろくでん | 2007/01/30 20:29 |
独貧貴族さん、ろくでんです。 2.はありえないと思うんですよ。ただ帝国を滅ぼすだけであればイゼルローン失陥のときに同盟に亡命してその軍事的才能を発揮した方が建設的です。オーベルシュタインには彼なりの理想の国家像があって、その実現のための駒としてラインハルト(ヒルダ言うところの「絵筆」)を利用しているのですから。 |
No. 7381 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
流浪の狂戦士 | 2007/01/30 20:34 |
始めまして、いつもこの掲示板を拝見させていただいています。 初めての書き込み失礼します。 私の考えでは、4その他 ですね。 怒ってしまう必要があった。 戦いに淡白な人物ならともかく、ラインハルトがあの場面で冷静だったら不自然ですよ。 「何らかの理由で手を抜いていたのではないか」 「止めを刺さなかったのは、同盟に通じているのではないか」 等といったことを、いいだしかねない貴族が何人もいたとか。 しかしラインハルトが怒りを表せば、一生懸命に戦ったが取り逃がしてしまったということになり。 このことを材料にしておとしいれようとするものがいなくなりますし。ラインハルトに反感を持ってる貴族にしたところで、悔しがっているのを見て「ざまあみろ」とガス抜きになるしで、オーベルシュタインにとっては却って好都合だったと思いますよ。 |
No. 7382 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
独貧貴族 | 2007/02/01 12:51 |
> このことを材料にしておとしいれようとするものがいなくなりますし。ラインハルトに反感を持ってる貴族にしたところで、悔しがっているのを見て「ざまあみろ」とガス抜きになるしで、オーベルシュタインにとっては却って好都合だったと思いますよ。 それだと、 同盟軍ほぼ壊滅で狡兎死して走狗煮られる、飛鳥尽きて良弓蔵さる。皇帝の寵姫の弟なので殺されはしなくても冷飯を食わされる事になるのはほぼ確実。同盟軍が壊滅しなかったらラインハルトの手抜き、同盟との内通の嫌疑を掛けられる。 アムリッツァで司令官を命じられた時点でラインハルトに逃げ場が無くなっていたと考えられます。クーデター起こす時に不敗の名将の箔が有れば兵の集まりが違うと思いますので、オーベルシュタインはアムリッツァでラインハルトの出征が決まった時点でクーデターを覚悟していたのでは、史実では皇帝が良いタイミングで死んでくれたので起こすには至りませんでしたが。アムリッツァの同盟の帝国侵攻はオーベルシュタインにとって予定外の事件だったかもしれません。 |
No. 7383 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
独貧貴族 | 2007/02/01 15:24 |
> 独貧貴族さん、ろくでんです。 > > 2.はありえないと思うんですよ。ただ帝国を滅ぼすだけであればイゼルローン失陥のときに同盟に亡命してその軍事的才能を発揮した方が建設的です。オーベルシュタインには彼なりの理想の国家像があって、その実現のための駒としてラインハルト(ヒルダ言うところの「絵筆」)を利用しているのですから。 オーベルシュタインも同盟に対する情報は集めていたと思います。 同盟の疲弊度(ライン作業の小さな事故でさえ大惨事に繋がる)から同盟はどう梃入れしても帝国を滅ぼすのは不可能と見切りを付けていたのではないでしょうか。国家として夕暮れに達し疲弊した同盟より若くて野心も有り性格にやや難が有るけど才能溢れるラインハルトに夢を託したとも考えられます。 その後も考えると彼の夢は帝国滅ぼせれば良いやとかの刹那的なものじゃなかったのは証明されています。第一に理想境の実現、それが叶わなかったら現体勢だけでも崩しておくと考えていたかもしれません。 ps. もし、オーベルシュタインが同盟に出奔していたらヤンファミリーが790年マフィアと化していたかも。 |
No. 7400 | |
Re:『殲滅』は必要か? | |
たかし | 2007/02/12 23:04 |
貴族達を侮っていたのではないかと思います。 アンネローゼを人質に取られるのは恐れていても、他の状況なら打破する自信があったのでは? 元々はクーデターで皇帝を殺すつもりのようでしたし。 あるいは皇帝が後継者を定めない間は大丈夫だと考えていたのかもしれません。 |
No. 7416 | |
『焦土作戦』は可能か? | |
珍迷怪 | 2007/03/08 22:45 |
所謂、帝国領侵攻作戦に対してラインハルトが取った戦略、『焦土作戦』。相手方のヤンは『見事な作戦』と評していましたが……、果たして、本当にそうでしょうか? 幾つかの点に分けて考証してみたいと思います。 @法的に可能か この作戦の対象となった辺境星区には、支配階層として『総督、辺境伯、徴税官、軍人』などがいたとあります。最後の軍人は良いとして……、個人資産の一時差し押さえor凍結となる総督・辺境伯、財務省の管轄下にあり、徴税行為を一時停止される徴税官などを有無を言わさず退去させ、作戦に協力させるような非常法を、いかにして一軍人にしか過ぎないラインハルトは手にしたのでしょうか? ……仮に、そのような非常法が存在したとして、一時的にせよ辺境星区の生殺与奪を握れるような強権を、帝国政府中枢が易々と与えるものでしょうか? A政治的に可能か この作戦でラインハルトの意図するところは『帝国人民を使って同盟軍の兵站能力に負担をかけ、疲弊させる』というものでした。つまり、帝国人民に相応の犠牲を強いるものです。……政治的には一軍人でしかないラインハルトに、このような行動が可能でしょうか? 門閥貴族側から『畏れ多くも皇帝陛下の赤子を叛徒どもの手に委ねるとは何事か』といった反論は出なかったのでしょうか? 『軍事的に必要不可欠である』という再反論が成り立ちそうにも見えますが、このような焦土作戦は、軍事的に相対的弱者の側が反攻態勢が整うまでの時間を稼ぐために、やむを得ず採る手段です。このケースでは当てはまらないでしょう。 B財務的に可能か 作戦中盤、前線部隊からの救援物資要請を受けた同盟政府は、そのあまりの膨大さに青くなる場面があります。……同じことが帝国側にも言えるのではないでしょうか? 一旦徴発した物資を、作戦終了後に元の持ち主に返しただけでは住民達は納得しないでしょう。何らかの形で“お詫び”が必要になります。……それに必要な資金は? 言わばこれは、軍事作戦とは直接関係の無い支出で、財務省の協力が不可欠です。……財務尚書ゲルラッハ子爵は、このような出費を認めてくれるでしょうか? C兵站能力的に可能か この作戦では、同盟軍の補給能力が破断界を越えた時=被占領地域の人民の我慢の限界、となっています。つまり、早急に同盟軍を撃退し、人民に食料を輸送しなければならない、となります。……これでは、兵站能力に過剰な負担が掛かるのでは無いのでしょうか? 同盟側は、単に占領地域に物資を届ければ良いだけだったのに対し、帝国側はそれとは別立てで撃退部隊への弾薬・燃料・負傷兵の後送・補充などを行わなければならないのです…。 Dそもそも、効果を期待できるのか @〜Cまでは、所詮は自分達の問題なので、努力しだいでは出来ないことも無いでしょう。しかし、これは戦争なので、当然相手のあることとなります。 この作戦の前提は『同盟側は自軍の兵站能力に負担をかけてでも帝国人民を救うために物資を輸送し、且つその方針をどんなことがあっても変えない』というものです。そうでなければリスクが大きすぎて発動できたものじゃ有りません。……こんな自分に都合のいい前提が成り立つものでしょうか? 同盟側が帝国側の意図に気付き進撃を停止した場合は? 防衛責任を放棄したラインハルトを政治的に追い詰めるために辺境星区住民を利用することは無いのか? イゼルローン失陥を知らないらしい帝国人民が動揺する可能性は? そもそも、同盟側の意図は帝国宇宙機動戦力の漸減に有り、辺境星区の占領など考えず、作戦そのものが不発に終わる事は無いのか? もし諜報活動によって同盟の意図が辺境星区の占領にあることが判ったとして、それが途中で変更されない保障は?それによって失われる地勢的優勢(回廊出口の制宙権を敵に委ねてしまうこと)をどのように回復するつもりなのか? 回廊出口を同盟に渡してしまい、そこから大量の仮装巡航艦を投入されるなどして帝国領内全域で通商破壊作戦などされたらどうするのか?また、工作員が入り込む心配は? ……色々、疑問が尽きません。 |
No. 7418 | |
Re:『焦土作戦』は可能か? | |
S.K | 2007/03/09 01:29 |
> 所謂、帝国領侵攻作戦に対してラインハルトが取った戦略、『焦土作戦』。相手方のヤンは『見事な作戦』と評していましたが……、果たして、本当にそうでしょうか? > 幾つかの点に分けて考証してみたいと思います。 > > @法的に可能か 帝国における皇帝は絶対者です。 その寵妃の弟が軍から拝命したのですから、ここでは何であれラインハルトに従わない帝国臣民が処罰されます。 > A政治的に可能か 帝国はフェザーンの密告でこの同盟の侵攻を知らされています。 そういう訳で「勝てば良し、負ければ金髪の儒子が二度とでかい面をできなくなる」というので好きにさせる訳です。 正味帝国臣民には首都居住の中流層と、教育のゆとりなく親から労働を受け継ぐか軍にでも入るかとい限りなく農奴に近い底辺層があるよう見受けられますので、皇帝の決済があればあとはラインハルトの要望通りという事ですね。 > B財務的に可能か > C兵站能力的に可能か 帝国の決定権のある人間は全員アスターテにおける同盟の大損害を知っている訳で、ひねりのない迎撃が半端ではない出費に繋がる事はいくらでも証明できる訳です。 フォーク准将でさえ「10万席が乗り込んで敵が迎撃戦に出てきたのならまず数万席単位の戦果が見込めるはずで、それを侵攻計画の落としどころとしよう」くらいの胸算用が能吏としてあったろうと思いますよ。 それらを考えて「ごくありふれた大貴族は平民の命になど何の価値も見出さない(後でヴェスターラントで証明される)」のでラインハルトに対する「やれるならやってみせろ」で十分作戦に着手できます。 で、結果は「『解放』の建前を守りとおした同盟がギリギリまでライフラインは負担してくれた上、『自分の生活』以上の視野なんか持っていない辺境の下層民には政治も戦争も別世界の話だったので『命がけで頼まれてもいない炊き出しに、しかも『量が少ない』と文句を言われにきたのか俺たち」と同盟将兵の士気がガタガタになり、かつ『全く始まらない会戦』という想定外の事態に参謀本部の見通しも総崩れになり、結果自国内で万全の補給を受け同盟の知らない周辺航路も知り尽くしているラインハルト貴下迎撃艦隊は消耗しきった同盟軍に『鴨撃ち』のごとき一方的な強襲が可能となった」でしたから、やらせた貴族はどんなに悔しくてもラインハルトの功績を認めざるをえなかったでしょう。 で、焦土化対象の辺境星域については「明日からまたカイザーがごはんをくれるよ、良かったね」で終わりです。 ラインハルトのためではなく自身の沽券の為に貴族階級は民衆に服従を強要するでしょうから。 帝国内での補給についてですが、2巻で帝国内にはさまざまな宇宙要塞が点在していて、同盟−イゼルローン間の航路についていくらでも退路ある襲撃ポイントを確保できると言えば帝国同盟どちらのスタミナが先に尽きるかかといえばそれは同盟になるでしょう。 > Dそもそも、効果を期待できるのか 上記参照。 > この作戦の前提は『同盟側は自軍の兵站能力に負担をかけてでも帝国人民を救うために物資を輸送し、且つその方針をどんなことがあっても変えない』というものです。そうでなければリスクが大きすぎて発動できたものじゃ有りません。 ここ勘違いしてます。 あれは『選挙にむけて箔を付けたいサンフォード政権と自身の優秀さを宣伝する看板が欲しいフォーク以下軍部主流主戦派の悪夢のコラボレーションの産物』以外の何者でもないです。 だから救国軍事会議、最低でも主宰グリーンヒル大将は「人類社会の未来と将兵の命がかかるのだからもっと真摯な姿勢で対帝国に取り組みたい」と願い行動してしまった訳です。 > ……色々、疑問が尽きません。 創作を楽しむにあたり、学習して想定してなお尽きぬ疑問だけ洗い出してみる事をおすすめします。 |
No. 7422 | |
『焦土作戦』は可能か? | |
珍迷怪 | 2007/03/09 22:52 |
おおう、この掲示板の重鎮であるS.K様よりレスを頂けるとは……。有難う御座います。 > > @法的に可能か > > 帝国における皇帝は絶対者です。 > その寵妃の弟が軍から拝命したのですから、ここでは何であれ > ラインハルトに従わない帝国臣民が処罰されます。 皇帝にお願いすれば、問題の非常法を出してもらうことは可能でしょう。……ですが、それでこの問題に関わる諸々の人々は納得してくれるでしょうか? 軍は『陛下の威をかさに着て、己が功名心の為にリスクが高くコストも掛かる迎撃作戦を実行しようとしている』、対象となる辺境星域の貴族達は『必要も無いのに我々の権利を侵害し、資産(この資産というのは単なるモノだけを意味しません……支配下の人民も、彼らにとっては“資産”です)を危険に晒している』と考えないでしょうか? > > A政治的に可能か > > 帝国はフェザーンの密告でこの同盟の侵攻を知らされています。 > そういう訳で「勝てば良し、負ければ金髪の儒子が二度と > でかい面をできなくなる」というので好きにさせる訳です。 勝ってくれなければ困るでしょう。ラインハルトが負け(最悪、全滅して)たら、勢いに乗った同盟軍と帝国領内で戦わなければならなくなるんですから。 > > B財務的に可能か > > C兵站能力的に可能か > > > 帝国の決定権のある人間は全員アスターテにおける同盟の大損害 > を知っている訳で、ひねりのない迎撃が半端ではない出費に繋がる > 事はいくらでも証明できる訳です。 『ひねりの無い迎撃』とは、例えば、同盟軍の侵攻があることをラインハルトが配下の提督たちに告げた際、ミッターマイヤーとビッテンフェルトが提示した『回廊の出口で同盟軍を押さえつける』ような作戦を指すんでしょうか? 私はこの案、最善では無いにしても悪くない(少なくとも、『焦土作戦』よりは)考えだと思うのですが……。 この案なら、前回私が終わりのほうで列挙した諸々の頭痛のタネからは解放されますし、それに同盟軍の行動を事実上3つにまでに極限できます。……敵の十字砲火の中を、屍山血河を築きながら前進するか、留まって睨み合うか、諦めて撤退するか、です。 それと出費の件ですが、それは焦土作戦を実行した場合の方が掛かるでしょう。艦隊への補給とは別立てで5000万人分の諸々の物資をあっちこっちに運ぶコストだけでも莫大なものになります。 > フォーク准将でさえ「10万席が乗り込んで敵が迎撃戦に出てきた > のならまず数万席単位の戦果が見込めるはずで、それを侵攻計画の > 落としどころとしよう」くらいの胸算用が能吏としてあったろうと > 思いますよ。 上記の迎撃作戦が実行された場合は、その見通しは随分甘いものになるのでは? 回廊の出口というのは、後の戦いを見る限り(8巻の『回廊の戦い』)大艦隊が悠々機動出来るようなアスターテのような地勢ではないでしょう。つまりフォークが望むような大会戦で戦果は得られないのでは? > それらを考えて「ごくありふれた大貴族は平民の命になど何の > 価値も見出さない(後でヴェスターラントで証明される)」ので > ラインハルトに対する「やれるならやってみせろ」で十分作戦に > 着手できます。 上で書きましたが、貴族達にとって人民は資産の一種です。それをむざむざ同盟軍に委ねてしまうような作戦を彼らが易々と肯じ得るとは思えません。 > で、結果は「『解放』の建前を守りとおした同盟がギリギリ > までライフラインは負担してくれた上、 同盟軍が侵攻した範囲の住民の生活の面倒を見てくれる保障はありません。相手は飽くまで戦争に来ているのであって、自国民の災害救助に出動しているのではないのです。ぶっちゃけていえば、同盟軍にしてみれば帝国人民が何万人餓え死のうとも知ったことではないでしょう。彼らを守る責任は帝国軍、つまりはラインハルトに有るのですから。 それに、同盟軍が『解放』の建前を愚直に最後まで守り通す保障も有りません。遅きに失したにせよ、最後の段階では占領地を放棄しようとしてたんですから。 大体、『民主主義国の軍隊は、圧政下にある住民を、自分達が餓えてでも救済しなければならない』という考えはおかしいでしょう。この理屈が通るなら、仮にアメリカと北朝鮮が戦争になった場合、米軍は自軍の兵站能力を破綻させてでも北朝鮮人民を救済することになるでしょう? > 『自分の生活』以上の > 視野なんか持っていない辺境の下層民には政治も戦争も別世界 > の話だったので『命がけで頼まれてもいない炊き出しに、しかも > 『量が少ない』と文句を言われにきたのか俺たち」と同盟将兵の > 士気がガタガタになり、かつ『全く始まらない会戦』という > 想定外の事態に参謀本部の見通しも総崩れになり、結果自国内で > 万全の補給を受け同盟の知らない周辺航路も知り尽くしている > ラインハルト貴下迎撃艦隊は消耗しきった同盟軍に『鴨撃ち』の > ごとき一方的な強襲が可能となった」でしたから、やらせた貴族は > どんなに悔しくてもラインハルトの功績を認めざるをえなかった > でしょう。 上と、前回書いたことの繰り返しになりますが、同盟側がラインハルトの思惑通りに最後まで行動してくれる保障は無いでしょう。第3次ティアマト会戦でのラインハルト自身のセリフを借りれば『相手のヘタなダンスに付き合う義理は無い』のです。 回廊の出口を明け渡した時点で、帝国側は主導権を失ってしまうのです。 > で、焦土化対象の辺境星域については「明日からまたカイザー > がごはんをくれるよ、良かったね」で終わりです。 > ラインハルトのためではなく自身の沽券の為に貴族階級は民衆 > に服従を強要するでしょうから。 仮に、同盟側が補給に負担の掛からない程度のところで停止し、そこに住む人民に手厚い給養を行っていたらどうなっていたでしょう? なけなしの物資を強制的に徴用する帝国軍&ラインハルトと、自愛に満ちた同盟軍……。奪回後の内政面での悪影響を考えたら、 ラインハルトも内務省も軽視できないのでは? > 帝国内での補給についてですが、2巻で帝国内にはさまざまな > 宇宙要塞が点在していて、同盟−イゼルローン間の航路について > いくらでも退路ある襲撃ポイントを確保できると言えば帝国同盟 > どちらのスタミナが先に尽きるかかといえばそれは同盟になる > でしょう。 と、なると、回廊出口での睨み合いを続けていても、先に根負けするのは同盟軍となるのでは? このほうが『焦土作戦』などをするより遥かに低コストですものではないでしょうか。 > > Dそもそも、効果を期待できるのか > > > 上記参照。 > > > この作戦の前提は『同盟側は自軍の兵站能力に負担をかけてでも帝国人民を救うために物資を輸送し、且つその方針をどんなことがあっても変えない』というものです。そうでなければリスクが大きすぎて発動できたものじゃ有りません。 > > ここ勘違いしてます。 > あれは『選挙にむけて箔を付けたいサンフォード政権と自身の > 優秀さを宣伝する看板が欲しいフォーク以下軍部主流主戦派の > 悪夢のコラボレーションの産物』以外の何者でもないです。 > だから救国軍事会議、最低でも主宰グリーンヒル大将は > 「人類社会の未来と将兵の命がかかるのだからもっと真摯な > 姿勢で対帝国に取り組みたい」と願い行動してしまった訳です。 私が言っているのは帝国側がクリアすべき前提であって、同盟側がどのような思惑を持っているかは考慮の外なのですが…。 > > ……色々、疑問が尽きません。 > > > 創作を楽しむにあたり、学習して想定してなお尽きぬ疑問だけ > 洗い出してみる事をおすすめします。 創作、というのは私が前回終わりのほう列挙したことでしょうか? あれは疑問であって、拵えごとをしたつもりはないんですが。 |
No. 7434 | |
Re:『焦土作戦』成功の仕組み | |
S.K | 2007/03/11 17:23 |
> おおう、この掲示板の重鎮であるS.K様よりレスを頂けるとは……。有難う御座います。 いやいや『掲示板にときたま徘徊する悪い犬』として恐縮至極です。 さて、多少前後しますが > 私が言っているのは帝国側がクリアすべき前提であって、同盟側がどのような思惑を持っているかは考慮の外なのですが…。 それではラインハルトは勝てません。 ソリティア(一人遊戯)をやっている訳ではないのでラインハルトは「20万隻の艦隊を擁する帝国本土に同盟軍は10万隻で何をやって勝ったと言いたいのだ?」という解答を出す必要があるのです。 密告者であるフェザーンにした所で『同盟の世情と遠征決定までの概要』くらいの色は付けて教えないと実りのある『感謝』は得られないくらいは商売人としても『実は悪の秘密結社の手先』としても判断するでしょうし。 となれば「ちょっと気の利いた物資収納システムを構築したのでノンストップでよければオーディンに10万隻を殺到させる目処がついた」訳でも「実はあと20万隻隠匿戦力があって今回の遠征は対帝国波状攻略の第一陣に過ぎない」訳でもなく「ありもしない体力で『10万隻』という巨大ハンマーを帝国に叩き付けて短期的に目に見える成果を出したい」のだという結論が出て不思議はないです。 そして『徹底的に勝つ』という事は相手に夢を見させて全財産を賭けさせてから1役上のカードを提示する事です。 > 皇帝にお願いすれば、問題の非常法を出してもらうことは可能でしょう。……ですが、それでこの問題に関わる諸々の人々は納得してくれるでしょうか? > 軍は『陛下の威をかさに着て、己が功名心の為にリスクが高くコストも掛かる迎撃作戦を実行しようとしている』、対象となる辺境星域の貴族達は『必要も無いのに我々の権利を侵害し、資産(この資産というのは単なるモノだけを意味しません……支配下の人民も、彼らにとっては“資産”です)を危険に晒している』と考えないでしょうか? さて、ラインハルトは現在の銀河帝国、中でも貴族階級を何だと思っていると思います?『姉と親友がそばにいる幸せな未来を迎える為に一度徹底的にヤキを入れるべき障害物』ですよ。 だから門閥貴族が何を思おうと成果を出すためにやりたい様にやれるなら「墓場にいくまで愚痴っていろ阿呆」で涼しい顔が出来るのです。 焦土化される辺境の臣民に対してはさほど過激な感慨もないでしょうが『ゴールデンバウム王朝も打倒できないくせに俺やキルヒアイスに銃口を向けてくる有害な役立たずである自由惑星同盟軍に致命打撃を与えるために使える囮の餌』にできるとあれば躊躇いもなくそうするでしょう。 真人間キルヒアイスはさすがに懊悩しましたがラインハルトにしてみれば「あいつらは姉上を助けない、俺はあいつらを助けないそれでおあいこだ。 それとも何か、お前は姉上と俺との幸福よりも『人命』というだけのあいつらを優先したいのか?もちろんお前だけは俺と姉上の為に何でもしてくれるだろう?信じてるぞ」と心の底から確信しているのでどうにもなりません。 > 勝ってくれなければ困るでしょう。ラインハルトが負け(最悪、全滅して)たら、勢いに乗った同盟軍と帝国領内で戦わなければならなくなるんですから。 実はラインハルトが負けた段階では困りません。 ラインハルトが預かっているのは8万隻、まだ帝国自体には余力がある上に、おしなべてゴールデンバウム王朝の門閥貴族というのは『有能な将帥を撃破した敵軍』に脅威するより『あの嫌な金髪の儒子が無能をさらして死んだ』事に祝杯を上げる思考回路だからです。 何回痛い目をみようが門閥貴族たちにはラインハルトは『将来しかるべき報いをくれてやる青二才』であり自由惑星同盟は『近日制裁されるべき叛徒ども』でしかないのです。 > 『ひねりの無い迎撃』とは、例えば、同盟軍の侵攻があることをラインハルトが配下の提督たちに告げた際、ミッターマイヤーとビッテンフェルトが提示した『回廊の出口で同盟軍を押さえつける』ような作戦を指すんでしょうか? 私はこの案、最善では無いにしても悪くない(少なくとも、『焦土作戦』よりは)考えだと思うのですが……。 その案ならむしろ上策です、主将がメルカッツならそうしたでしょう。 ただしラインハルトにとってその策は『帝国にほとんど被害を出さずに同盟軍を負傷させて退却に導く次善策』であって、今回は『同盟に腕の一本もくれてやって代わりに息の根を止める策』を取りたい訳です。 『同盟のほぼ全軍の壊滅』となれば400年の家門に政治的に拮抗するにふさわしい武勲ですし将来的にラインハルトとゴールデンバウム王朝と門閥貴族達との決戦に介入する邪魔物の先制排除にもなりますし、最大のポイントとして『同盟軍に差し出す生贄』はまだ『ラインハルトの財産』ではないのです。 ちなみに当方曰くの『ひねりのない迎撃』とは『遠征軍に泡を食ったり甘く見たりの混乱の中、適当に手近の2〜4万隻の編成での迎撃艦隊を散発させて有能な現場指揮官の迎撃までの間に1〜2回その小規模迎撃艦隊が壊滅しているような迎撃』の事でした。 ラインハルトのいない帝国でメルカッツの任務がオーディン防衛かフェザーン方面駐留だったら結構期待できたと思いますよ、『ダゴンの殲滅戦』を始めとする帝国軍の前科を鑑みるに。 > この案なら、前回私が終わりのほうで列挙した諸々の頭痛のタネからは解放されますし、それに同盟軍の行動を事実上3つにまでに極限できます。……敵の十字砲火の中を、屍山血河を築きながら前進するか、留まって睨み合うか、諦めて撤退するか、です。 まあラインハルトとしては相手にフォーカードぐらい配っておかないと自分の手札に仕込んだストレートフラッシュと全額賭けの勝負に出てもらえない訳ですから『大艦隊壊滅』とか『新同盟領獲得』とか甘い夢は盛大に見せてきますよ、この場合。 > それと出費の件ですが、それは焦土作戦を実行した場合の方が掛かるでしょう。艦隊への補給とは別立てで5000万人分の諸々の物資をあっちこっちに運ぶコストだけでも莫大なものになります。 非道前提で『ラインハルトの金』じゃない訳です。 さらに酷い事実としてどっちみち辺境領に好んで宝箱を隠すほど酔狂な貴族もまずいないので『帝国の屋台骨が傾く』心配も不要ですから。 >> 上記の迎撃作戦が実行された場合は、その見通しは随分甘いものになるのでは? 百余年をかけて『帝国軍=あほう』という公式を作り出した事をこのアムリッツァ会戦に繋がる一連の時期だけはラインハルトは『帝国の先人達』に感謝しても良かったかも知れませんね、 まずしないでしょうが。 > 回廊の出口というのは、後の戦いを見る限り(8巻の『回廊の戦い』)大艦隊が悠々機動出来るようなアスターテのような地勢ではないでしょう。つまりフォークが望むような大会戦で戦果は得られないのでは? イゼルローンを至近において10万隻が回廊内にいる訳ですから同盟軍としては帝国側回廊出口に防衛線を敷かれただけなら8巻回廊の戦いの逆バージョンで補給を受けながら帝国軍と小規模の削り合いを延々やる事もできなくはないのです。 > 上で書きましたが、貴族達にとって人民は資産の一種です。それをむざむざ同盟軍に委ねてしまうような作戦を彼らが易々と肯じ得るとは思えません。 大貴族でも上意で「やれ」と言われたら破産してでもイゼルローン要塞を建造しなくてはならないのが帝国の階級制度です。 そして重ねて言います、実行担当者である『ラインハルトの金』じゃないんです。 > 同盟軍が侵攻した範囲の住民の生活の面倒を見てくれる保障はありません。相手は飽くまで戦争に来ているのであって、自国民の災害救助に出動しているのではないのです。 ラインハルトの都合だけで言えばそれはそれでいいんです、 「酷いよな自由惑星同盟、何が人民解放か、さあとっとと侵略者どもを片付けて辺境の帝国臣民を助けに行くぞ」 と言えばそれは事実であり士気も上がるんですから。 >ぶっちゃけていえば、同盟軍にしてみれば帝国人民が何万人餓え死のうとも知ったことではないでしょう。彼らを守る責任は帝国軍、つまりはラインハルトに有るのですから。 > それに、同盟軍が『解放』の建前を愚直に最後まで守り通す保障も有りません。遅きに失したにせよ、最後の段階では占領地を放棄しようとしてたんですから。 アメリカは大義名分の薄い戦いは勝てない事を良く学習してるじゃないですか。 だからどんなに白々しくても正義を謳って大統領は羞恥プレイ寸前の演説をするんです。 兵隊は大抵ごく普通のモラルの持ち主なのでヒーローになりたくても人殺しとは呼ばれたくないのです。 > 大体、『民主主義国の軍隊は、圧政下にある住民を、自分達が餓えてでも救済しなければならない』という考えはおかしいでしょう。この理屈が通るなら、仮にアメリカと北朝鮮が戦争になった場合、米軍は自軍の兵站能力を破綻させてでも北朝鮮人民を救済することになるでしょう? そうですよ、そんなしち面倒くさい事をしないのは正義に反するから『あそこ』の『アレ』は『難民』『もう片方の民族的賠償請求』というババ札をアメリカ、日本、中国、ロシア他で押し付けあうエアポケット状態なのだろうと思いますが。 > 上と、前回書いたことの繰り返しになりますが、同盟側がラインハルトの思惑通りに最後まで行動してくれる保障は無いでしょう。第3次ティアマト会戦でのラインハルト自身のセリフを借りれば『相手のヘタなダンスに付き合う義理は無い』のです。 義理も何もなくヤン以外のダンスパートナーが格下なのが見えるだけの技量をラインハルトが持ちあわせているんですから好きに振り付けられて仕方ないでしょう。 > 回廊の出口を明け渡した時点で、帝国側は主導権を失ってしまうのです。 『責めきれない体力の相手が身の程もわきまえず自分の本拠地にしゃしゃり出てきた』、これを上回る主導権ってちょっとないんじゃないですか。 > 仮に、同盟側が補給に負担の掛からない程度のところで停止し、そこに住む人民に手厚い給養を行っていたらどうなっていたでしょう? > なけなしの物資を強制的に徴用する帝国軍&ラインハルトと、自愛に満ちた同盟軍……。奪回後の内政面での悪影響を考えたら、 > ラインハルトも内務省も軽視できないのでは? 別に良いんじゃないかと思います。 どっちみち財務相としてのレベロが煮詰まりつつある財政状況での遠征なぞ長続きはしませんので『同盟の資金力破綻』まで星域の3つや4つ貸しておいてもラインハルトにしてみれば最終的に得なんですから。 先に言ったとおりラインハルトは同盟の勝利条件と限界を知っているんです。 そもそも最も回廊に近い星域と回廊出口の間にはあのキルヒアイスがいるんです。 「やはり少しは勝っておかないと格好がつかないか、よしキルヒアイス、帝国の鹵獲品データで算出されている必需物資搭載量の消費限界期間まで奴らが動かなかったらその時点で回廊出口に陣取って俺達との挟撃を連携してくれ。何トールハンマーはここまでは届かないし回廊内ギリギリにいるお前の艦隊に一時に攻撃できる戦力ならお前の能力ならさばける範囲だし、何よりお前は俺と姉上を置いて死ぬわけがない、大丈夫だ」 という諒解の布陣ではないでしょうか、『補給線の切断』以外の意味合いとしてあれは。 > と、なると、回廊出口での睨み合いを続けていても、先に根負けするのは同盟軍となるのでは? > このほうが『焦土作戦』などをするより遥かに低コストですものではないでしょうか。 外道もいい所ですが『まだラインハルトのものじゃない帝国の致命的とは言えない損失』はラインハルトには痛手ではないんです。 そもそもまだ『支配者』としての知名度が『ゴールデンバウム王朝』『門閥貴族』と比べれば無名同然なんですから。 辺境の人々も『知らない人』を特定して恨んだり呪ったりはできないですよ。 さておき孫子の言うとおり、道を踏み外すのも金を払うのも嫌ならなかなか戦争なんてできませんよね? > 創作、というのは私が前回終わりのほう列挙したことでしょうか? > あれは疑問であって、拵えごとをしたつもりはないんですが。 「『銀河英雄伝説』という『創作』を購入したのなら疑問を抱えるより自分なりの解答を作って当てはめられた方がより有益ではないですか」という意味だったんですが誤解を招いた様で恐縮です。 |
No. 7438 | |
Re:『焦土作戦』成功の仕組み | |
珍迷怪 | 2007/03/12 00:16 |
S.K様 > いやいや『掲示板にときたま徘徊する悪い犬』として恐縮至極です。 こちらこそ恐縮です。レスを付けて頂けて本当に有難いです。 どうにも私は未熟で、どなたからかツッコミを入れて頂かないと自分の論を煮詰め切れないようでして。 ああ、最初から見事な立論が出来るこのサイトの重鎮の方々が羨ましい……。 > それではラインハルトは勝てません。 > ソリティア(一人遊戯)をやっている訳ではないので > ラインハルトは「20万隻の艦隊を擁する帝国本土に > 同盟軍は10万隻で何をやって勝ったと言いたいのだ?」 > という解答を出す必要があるのです。 どうも認識のズレがあるようです。私の説明不足でしょう。 私がNo.7416で言った“この作戦”というのは、所謂焦土作戦の方でして、つまりラインハルトが焦土作戦を発動するには『同盟にどのような思惑があり、同盟軍がどのような行動を採ろうとも、同盟軍は占領地に物資を運び続け、且つそれを最後まで変えない』という前提が必要である、と言いたかった訳でして『そんな都合のいい前提が成り立つのか?』という意味で、以下に『同盟側がこのような行動を採る可能性は無いのか?その根拠は?』と幾つかの疑問を列挙したのです。 > さて、ラインハルトは現在の銀河帝国、中でも貴族階級を何だと思っていると思います? > 『姉と親友がそばにいる幸せな未来を迎える為に一度徹底的にヤキを入れるべき障害物』ですよ。 > だから門閥貴族が何を思おうと成果を出すためにやりたい様にやれるなら「墓場にいくまで愚痴っていろ阿呆」で涼しい顔が出来る > のです。 無論、ラインハルトはそのように考えているでしょう。ですが、この『焦土作戦』というのは単なる一軍事作戦の枠に留まらず、多くの人を巻き込み、また理解・協力の必要な一大プロジェクトでして、その為に強権的な非常法が必要なのです。 で、その非常法を出してもらうに当たっても、作戦が持つ意義、成算、想定される危機への対処法、掛かる費用、期間などを皇帝だけでなく国務尚書、軍務省、財務省、内務省、門閥貴族などに説明し、その理解と協力を取り付けておかないと出してもらえる性質のものではなく、仮に出たとしても作戦の実行に齟齬をきたしまくりとなってしまうでしょう。 > 実はラインハルトが負けた段階では困りません。 > ラインハルトが預かっているのは8万隻、まだ帝国自体には余力がある上に、おしなべてゴールデンバウム王朝の門閥貴族というの > は『有能な将帥を撃破した敵軍』に脅威するより『あの嫌な金髪の > 儒子が無能をさらして死んだ』事に祝杯を上げる思考回路だからです。 > 何回痛い目をみようが門閥貴族たちにはラインハルトは『将来 > しかるべき報いをくれてやる青二才』であり自由惑星同盟は > 『近日制裁されるべき叛徒ども』でしかないのです。 む、これは確かにそうです。実際、ゲルラッハ子爵もそれに類することを言ってますし。軽率でした。 > 今回は『同盟に腕の一本もくれてやって代わりに息の根を止める > 策』を取りたい訳です。 > 『同盟のほぼ全軍の壊滅』となれば400年の家門に政治的に拮抗 > するにふさわしい武勲ですし将来的にラインハルトとゴールデン > バウム王朝と門閥貴族達との決戦に介入する邪魔物の先制排除にも > なりますし 以前、No.7362「『殲滅』は必要か?」で論じたことですが、私にはこの時点でラインハルトが同盟軍を殲滅してしまう必然性を見出す事が出来ないのです。軍人の巨大すぎる武勲というのは体制側の人間から見れば危険極まりないものですし、また、強力な外敵が消えてしまえばラインハルトのような有能すぎる人物は最早不必要なだけでなく邪魔です。 また同盟軍は、確かに門閥貴族との対決に際し邪魔者に成り得る存在ですが、使いようによっては協力者(無論、一時的にですが)にも成り得ます。 リップシュタット戦役に際し、リンチに命じて同盟内でクーデターを策したのは『介入させて状況を動かすには戦力が小さすぎるが、放置しておくのも目障り。ならいっそのこと内紛に陥らせて状況想定から外してしまえ』と考えたからで、同盟軍が健在ならまた別の選択肢(しかも、幅の広い)が有ったんじゃないでしょうか? > まあラインハルトとしては相手にフォーカードぐらい配って > おかないと自分の手札に仕込んだストレートフラッシュと > 全額賭けの勝負に出てもらえない訳ですから『大艦隊壊滅』とか > 『新同盟領獲得』とか甘い夢は盛大に見せてきますよ、この場合。 本論と関係ないことですが、ストレートフラッシュのほうがフォーカードよりも強いんですね……。今の今まで逆だと思ってました(汗)。 > 非道前提で『ラインハルトの金』じゃない訳です。 > さらに酷い事実としてどっちみち辺境領に好んで宝箱を隠すほど > 酔狂な貴族もまずいないので『帝国の屋台骨が傾く』心配も不要 > ですから。 はい、『ラインハルトの金』じゃないから、財務省の協力が必要なんです。その為に、作戦の必要性をゲルラッハ子爵に理解してもらう必要があります。……その必要性とは? 帝国政府がラインハルトに命じたのは、飽くまで『同盟軍の撃退』です。『撃滅』ではありません。平たく言えば、おとなしくお引取り頂ければいいんであって、万難を排して一人も生きて返さない、までする戦略的な必然性は無いのです。……出来るに越したことは無いでしょうが。 ですが、『撃退』に必要なお金が100、『撃滅』に必要なお金が10000なら、ゲルラッハ子爵はどちらを諒とするでしょうか? > イゼルローンを至近において10万隻が回廊内にいる訳ですから > 同盟軍としては帝国側回廊出口に防衛線を敷かれただけなら8巻 > 回廊の戦いの逆バージョンで補給を受けながら帝国軍と小規模の > 削り合いを延々やる事もできなくはないのです。 例の、ミッターマイヤー&ビッテンフェルトが言った『回廊出口で押さえつけ作戦』にはこう有ります……『半包囲態勢も可能』と。 ……半包囲態勢をとった相手に、頭から突っ込んでいけば、損耗率は同盟軍のほうが遥かに高いのでは? > 大貴族でも上意で「やれ」と言われたら破産してでもイゼル > ローン要塞を建造しなくてはならないのが帝国の階級制度です。 > そして重ねて言います、実行担当者である『ラインハルトの金』じゃないんです。 イゼルローンは全額その貴族(名前忘れました)が出費したわけではないでしょう。当初国費で建造していて、それでもアシが出てしまったのでその貴族が身代潰して完成させた筈です。 それに、イゼルローンは立派にそこに建造する戦略的な理由があり、だからこそ国費をつぎ込む理由も成り立ちますが、ラインハルトの『焦土作戦』は戦略的必要性を立証することが出来るでしょうか? > ラインハルトの都合だけで言えばそれはそれでいいんです、 > 「酷いよな自由惑星同盟、何が人民解放か、さあとっとと > 侵略者どもを片付けて辺境の帝国臣民を助けに行くぞ」と言えば > それは事実であり士気も上がるんですから。 いえ、ですからそれでは『焦土作戦』になっていないのですが。 もしかしたら帝国軍の士気はあがるかもしれません(自分達が人民の飢餓を引き起こしたことに薄々気付くでしょうから、怪しいものですが)が、同盟軍も全く疲弊しません。 > アメリカは大義名分の薄い戦いは勝てない事を良く学習してる > じゃないですか。 > だからどんなに白々しくても正義を謳って大統領は羞恥プレイ > 寸前の演説をするんです。 > 兵隊は大抵ごく普通のモラルの持ち主なのでヒーローになりたく > ても人殺しとは呼ばれたくないのです。 もしかして誤解が有るといけないのでお断りしておきますが、私は『焦土作戦』の道義的是非を云々し、ラインハルトを非難しているつもりは全く無いですよ。 極論すれば、ラインハルトが帝国人民を何万人犠牲にしようが知ったこっちゃ有りません。……勝利を得る為に、有効であるならば。 私は飽くまで「ラインハルトが行った『焦土作戦』は、現在我々が持っている既存の軍事的・政治的常識に照らせば不可解な点が多く、そもそも発動出来ないだろうし、仮に発動できたとしても効果が見込めるかは極めて疑わしい」ということが言いたいだけです。 さて、同盟軍兵士が人殺し呼ばわりされるかについてですが……、別に、直接銃の引き金引いて殺して回ってるわけじゃないんですからされないでしょ。単に『救いの手が回らない』ってだけに過ぎないんですから。 それに、相手は地上、こちらは宇宙空間にいるんですから、救援要請を適当に遮断してしまえば一般兵士達には帝国人民の苦境は知りようがなくなるでしょう。 > そうですよ、そんなしち面倒くさい事をしないのは正義に反する > から『あそこ』の『アレ』は『難民』『もう片方の民族的賠償 > 請求』というババ札をアメリカ、日本、中国、ロシア他で押し付けあうエアポケット状態なのだろうと思いますが。 ? すいません、抽象的すぎて、何についておっしゃっているのか判らないんですが。 > 義理も何もなくヤン以外のダンスパートナーが格下なのが見える > だけの技量をラインハルトが持ちあわせているんですから好きに > 振り付けられて仕方ないでしょう。 つまり、ヤン以外の同盟軍将帥はラインハルトが思うがままにコントロールできる、と? ……ならば、『焦土作戦』なんて七面倒くさい方法をとる必要が無いでしょう。何処か適当な星系に同盟軍を誘引し、そこに罠を張ってダゴンばりの殲滅戦を行えば済むハナシです。 > 『責めきれない体力の相手が身の程もわきまえず自分の本拠地に > しゃしゃり出てきた』、これを上回る主導権ってちょっとないん > じゃないですか。 いえ、ですから回廊の出口を明け渡してしまうと、No.7416の最後で私が列挙したような行動を同盟軍がとる可能性が出てきてしまい、ラインハルトは焦土作戦をやってる場合じゃなくその対応に追われるのでは?、と言いたいのです。 > 先に言ったとおりラインハルトは同盟の勝利条件と限界を知って > いるんです。 同盟の限界をラインハルトが知っているなら、なおさら回廊出口での睨み合いでもしてた方が良いでしょう。先に申し上げた通り、ラインハルトの本来の任務は『撃退』です。極端なハナシ、両軍に一人の戦死者も出ない場合、引き分け、では無いのです。……戦略的勝利はラインハルトのモノになります。同盟側の意図(何らかの戦果を得る事)を潰したのですから。 ぶっちゃけ、フェザーンからの密告をえて、回廊出口の制宙権を押さえられる時点でラインハルトは勝ったも同然、と言うことになります。 > 外道もいい所ですが『まだラインハルトのものじゃない帝国の > 致命的とは言えない損失』はラインハルトには痛手では > ないんです。 > そもそもまだ『支配者』としての知名度が『ゴールデンバウム > 王朝』『門閥貴族』と比べれば無名同然なんですから。 > 辺境の人々も『知らない人』を特定して恨んだり呪ったりは > できないですよ。 > > さておき孫子の言うとおり、道を踏み外すのも金を払うのも > 嫌ならなかなか戦争なんてできませんよね? はい。私は上で申し上げた通り、『焦土作戦』の道義的是非を云々つもりは一切有りません。飽くまで、軍事的に可能か、有効であるかを論じたいだけです。 > 「『銀河英雄伝説』という『創作』を購入したのなら疑問を > 抱えるより自分なりの解答を作って当てはめられた方が > より有益ではないですか」という意味だったんですが誤解を招いた > 様で恐縮です。 つまり、所謂『上級シャーロキアン』の如く、好意的解釈をすれば?ということでしょうか? ……もしかして、このサイトではこのような形での作品批判はご法度なのですか? もしそうなら、以後一切の書き込みを停止し、以前行った書き込みも全て削除いたします。 |
No. 7440 | |
Re:『焦土作戦』成功の仕組み | |
独貧貴族 | 2007/03/12 00:45 |
結論としてラインハルトはアホウだったが、長い戦争で人材を使い潰した同盟はラインハルト以上のドアホウになっていた。 ラインハルト躍進の原動力は戦争で人材が枯渇しドアホウだけになった人類社会!? ・・・平和の尊さが良く解ります。 |
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