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田中芳樹の儒教理解度


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No. 118
田中芳樹は革命が好き
投稿者:不沈戦艦 1998/11/12 14:50:25
 管理人氏の意見では、「田中芳樹は儒教を理解していない」との事でしたが、私は彼は少なくとも一部分については儒教を肯定していると思いますよ。と、言うのは銀英伝のラインハルト、アルスラーン戦記のアルスラーン、どちらもやっている事は易姓革命でしょう。これは明らかに儒教思想から来ているものです。しかも、それをしつこいほど作中で繰り返しています。「ルドルフと同じ事が俺に出来ると思うか」「実力無き覇者など打倒されて当然」「よい政治をする王者が必要なのであって、血統ではない」。ラインハルト自身のセリフや未来の宮廷画家ナルサスによって何度も言われている事です。田中芳樹は易姓革命思想は正しいものだと思っている、という事を如実に現していると思われます。易姓革命を掻い摘んで説明すると、「臣下は君主には忠誠を尽くさねばならない。しかし、君主に徳が無くなった場合、打倒しても構わない。その場合は新たな徳の高い者が天子になればよい」というものです。

 どうも田中芳樹はこの易姓革命思想にあまりに無邪気に賛同しているように思われます。しかも単純すぎるレベルで。と、いうのは、この易姓革命思想には大変な問題があるからです。なぜなら、この天子の「徳」のレベルを、計るべき基準があいまい極まりないからなのです。「良い政治」をすればいいと考えるのは単純過ぎます。その「良い政治」は誰が判断するのでしょうか。庶民ですか?易姓革命思想には民主主義は全くありませんぞ。投票で決める訳ではありません。一人の絶対君主、皇帝による統治以外考えていないものなのです。しかも、地震や干魃などの自然災害も、天子の「徳」の無さによって発生すると考えられていた訳です(今と違って科学知識はあまりないもんね)。するとどうなりますか?実力のある者が次から次ぎへと叛乱を起こす社会になる、とは思いませんか。「今の天子には徳がない」と言い立てれば正当性を確保出来るのですから。

 弱肉強食、勝ったものが正しいという社会。「私の背中を撃って全てが手に入ると考える者は、やってみればよいのだ」とはラインハルトのセリフですが、そんな社会が本当に理想ですかね?国内で内戦が頻発し続け、庶民はその度に塗炭の苦しみを味わう・・・・易姓革命思想のマイナス面がまるで解っていないとしか思えません。実際中国の歴史はそれの繰り返しだったってのに。結局、「革命」の字面を表面だけで解ったつもりになっているだけ、ということでしょうか。田中芳樹が管理人氏の言われるように全共闘なら、「革命」は理想社会を築くものでしょう。そして、決して革命されない日本の天皇制に対しては相当な苛立ちを抱いている筈です。

 何のことはない、私が前「日本ちゃちゃちゃクラブ」で主張した通り、「確信犯の左翼」が田中芳樹ということになりますかな。


No. 121
RESです
投稿者:本ページ管理人 1998/11/13 00:01:20
>易姓革命
「武力革命は許されるか。正義を失った者は単なる卑しい人間に過ぎない。これを妥当したところで、天の摂理に反するものではない」(梁恵王下篇)
 孟子の言葉ですけど、これですね。ところで、孟子は次のようにも言っています。
「一番貴いものは、民衆である。次が、国土、民族性、文化である。一番軽いものは君主である」(尽心下篇)
 但し、ここで注意しなければいけないのは、孟子が民衆が一番貴いと言っている意味が「人間は一人一人平等で主権者で、それ故に一番貴い」とする近代民主主義思想に依るそれとは根本的に異なる思想だと言うことです。田中芳樹は、民主主義と全く別の思想である孟子に、勝手に民主主義(しかも随分と自分に都合の良い)を見いだしているのに過ぎない。思想の固有性というのが、どうも理解できていないみたいですね。あえて極端に言えば、ノストラダムスの予言を自分の都合の良いように引きつけて解釈しているトンデモな人たちと同じ精神構造を持っていると言えますね。


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