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初代管理人の妄文
1990年代の全共闘


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初代管理人の本論AA
妄文 1990年代の全共闘


 ここで書くことは、すべて私の思いつきである。根拠は、はっきりいってあまり無い。しかし……!? という小文である。何はともあれ、読んでみていただきたい。
 もちろん、思いつきの根拠のない文だからといって、責任回避をするつもりは毛頭ない。遠慮のないご指摘を掲示板やメールでいただけるとありがたい。出来るだけ、返答はしたいと思っている。



 田中芳樹は全共闘である!
 この、よく考えれば当たり前の事に気が付いたのは、つい最近のことだった。
 田中芳樹が全共闘といったって、実際に彼が全共闘に所属しているのを確認したわけではないし、そもそも、私自身、田中芳樹という人格は、学生運動には参加しない種類なのではないかと推測している。それでも、なおかつ田中芳樹を全共闘だというのは、彼の作品と全共闘(の思想)の間に強いシンパシーを感じるからである。
 例えば……これも最近気づいたのだが……、「創竜伝」は、全共闘の夢を作品の中で叶えてしまっている作品である。

『…「反権力」をスローガンに、良心的な自衛官や警察官を「オルグ」って、「都庁や国会に突入」し、「資本の手下である政治家」や「悪の資本である大会社社長」を吊し上げる。しかも、それだけでは飽きたらずに「アメリカ帝国主義」の象徴「在日米軍基地」を破壊し、ホワイトハウスにも鉄槌を下す…この最中にソ連も巻き添えを食っているのだが、全共闘にしてみれば、コミンテルンも必ずしも正しい存在ではない。「創竜伝」の中で、ソ連がアメリカに較べると大した存在を受けていないあたりに、その辺の心情が読みとれる………』

 どうです? 何かピッタリとハマっているでしょ!?
 まあ、田中芳樹が全共闘にシンパシーを持つのは判らないでもない。彼の世代を考えればある程度当然のことだから。だけど、その本が今の若者の間でベストセラーになってしまうのはどういうことなのか?
 連合赤軍によるあさま山荘事件をクライマックスとして、左翼思想は−少なくとも学生の中からは−、行き詰まりを感じさせつつ、退潮していった。していったハズだし、していったことになっている。ところがどっこい、実は「田中芳樹の小説」という形になって、学生の中に脈々と生き残っていたではないか! しかも、学生層を主とする読者の支持により(大学生協や予備校購買での彼の本の売り上げを見よ!)、毎回ベストセラーとなっているのだ。
 …全共闘は死んでいなかった! 思想とそれの主体となる学生という意味に於いての全共闘は、当の本人達も気づかないくらい潜在化した姿で生き残っていたのである。
 これは、一体どういうことなのだろう。我々は二十数年間、何の変化もしてこなかったのか?
 げに悲しきは自分が無学者であることよ。私の足りない知識では、いくら考えても答えが出ない。これって、文化人類学とか民俗学とかの仕事だろうか? 誰か、このことについて研究してみませんか?
 ちなみに、無責任を承知で言えば、私は「創竜伝」を「大逆転シリーズ」の左翼版だと思っている。
 「大逆転シリーズ」とは、主に第二次大戦で枢軸国が連合国に勝つというアレで、田中芳樹あたりは大嫌いだと思うが(私も嫌いだ)、歴史をねじ曲げてまで日本を勝たすアレと、政治現状をねじ曲げてまで「リベラル(つまり潜在化した「サヨク」だ)」を勝たす「創竜伝」に何か違いがあるのか? しかも、「大逆転シリーズ」が日本軍の蛮行を隠蔽(というかそもそも眼中にない)するように、「創竜伝」も「反権力」に付き物のマイナス(セクト争いや内ゲバetc)を隠蔽しているのだ(というか、やはりそもそも眼中にない)。
 これを「伝奇」という形がカムフラージュになっていることを考えれば、もしかしたら本家の「大逆転シリーズ」よりも悪質かも知れない。
 最後に、余談。
 これも最近気づいたんだけど、「銀英伝」のジェシカって、実は往年のベトナム反対運動そのものだよね。
 やっぱりね。



補記
 掲示板にて、北村賢志氏から、
大逆転シリーズは檜山良昭氏の作品名であり、作品としてはここに書いてあるようなひどさはない
という指摘があった。これは、確かに当方の不注意であるが、ここでは仮想戦記小説の総称と言うことでご了承いただきたい。

補記2
 メールにて檜山良昭氏ご本人より、大逆転シリーズの作品名についてご指摘を頂いた。その内容については下記の「初代管理人の妄文 関連議論集1」にまとめたので、是非ご一読いただきたい。




田中芳樹を撃つ!初代管理人 石井由助







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