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田中芳樹と他の作家との比較検証論
3−A

塩野七生編(1)


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No. 397
田中芳樹と塩野七生
投稿者:小村損三郎 1998/12/14 20:33:53
たしか、塩野氏が「世界最強のモンゴル軍に勝ったのは日本人だけだ。」みたいなことを書いた(原文は未読ですが)ことに対して手厳しく批判してましたね。
塩野氏が本当にこう書いたのだとしたらたしかに認識不足ではあるでしょうけど、これをもって彼女がアジアを蔑視してるなんて言い立てるのは明らかに言い過ぎ(というかもう悪質な中傷)でしょう。

あと、「アジア人が初めて西洋に勝利したのは日露戦争、というのは歴史の歪曲だ」みたいなことを言ってベトナムでフランス軍に勝利した劉永福(だっけ?)の例を挙げていたけど、それこそ「単なる局地戦」じゃないのか、をい。

あ、あともう1つ、田中氏はたしか「(第2次大戦後、日本政府が)中国の国連加盟を妨害した」とか書いてたと思いますが、これは具体的にどのような事例を指して言ってるのでしょうか。詳しい方がいらしたら教えて下さい。


No. 398
そうだったのか
投稿者:本ページ管理人 1998/12/14 22:17:11
>たしか、塩野氏が「世界最強のモンゴル軍に勝ったのは日本人だけだ。」みたいなことを書いた(原文は未読ですが)ことに対して手厳しく批判してましたね。
>塩野氏が本当にこう書いたのだとしたらたしかに認識不足ではあるでしょうけど、これをもって彼女がアジアを蔑視してるなんて言い立てるのは明らかに言い過ぎ(というかもう悪質な中傷)でしょう。


 あれって塩野さんの事だったんですか(不勉強丸出し)。それにしても、自分の論理に自信があるのなら、否、責任をとる気があるのなら、「高名な女流作家」なんて曖昧な書き方をしないで、「塩野七生の書いた文章には唖然とした」と書けばいいんですよ。それなら、「悪質な中傷」であっても言論として許されると私は思います。私は、あの固有名詞のぼかし方は、言質を取られないようにするための卑劣な責任逃れだと思います。
 ま、それにしたところで、なんで「創竜伝」という「小説」でそんなことを論評しなくてはならないのか一切不明なんですけど。


>あと、「アジア人が初めて西洋に勝利したのは日露戦争、というのは歴史の歪曲だ」みたいなことを言ってベトナムでフランス軍に勝利した劉永福(だっけ?)の例を挙げていたけど、それこそ「単なる局地戦」じゃないのか、をい。

 これは私も同じ事を思いました。結局ベトナムは植民地にされてしまったし。戦術で勝っても戦略、政治で負けたら、それは敗北だと、銀英伝で論じたのは田中氏自身でしょう。


>あ、あともう1つ、田中氏はたしか「(第2次大戦後、日本政府が)中国の国連加盟を妨害した」とか書いてたと思いますが、これは具体的にどのような事例を指して言ってるのでしょうか。詳しい方がいらしたら教えて下さい。

 このように、具体例を述べないでイメージだけを植え付けるのは創竜伝の一八番ですからね。これは、情報操作と言われても仕方ありますまい。


No. 405
レスです。
投稿者:伏待 充 1998/12/15 15:34:44
>塩野氏が「世界最強のモンゴル軍に勝ったのは日本人だけだ。」
へーそーなんですかーしらんかった(べんきょ不足(T_T))
>彼女がアジアを蔑視してるなんて言い立てるのは明らかに言い過ぎ(というかもう悪質な中傷)でしょう。
塩野氏が、意識してアジア蔑視しているとは思いませんが、塩野氏的視点というのは、アジアが問題にならないほどヨーロッパが(イタリアが)好きである、というモノだと思います。
塩野氏がエッセイ集かなんかで、モンゴル、トルコなどの大帝国は、イタリアやヨーロッパに比べて、ほとんどなにも残していないぐらい文化的遺産が少ない、国の規模から言うと、おかしな話だ、なぜなんだろうね、とゆーよーな事を書いてますし。
これは、ヨーロッパ圏の贔屓のひきたおしで雪崩、と思いますけど(笑)
中国に関しても、塩野氏は「ほとんど知らない」というようなニュアンスの事を書いてますし>同エッセイ>たしか、男たちへ、か、イタリア遺聞、だとおもったけど…こんど調べてきます(T_T)
そこで、ヨーロッパ(キリスト教文化圏)が、嫌いと言えるほどの田中氏からすると、塩野氏の文が、アジアを蔑視している、と、とってしまっても仕方が無い、と思いまする。

管理人殿へ
>責任をとる気があるのなら、「高名な女流作家」なんて曖昧な書き方をしないで、「塩野七生の書いた文章には唖然とした」と書けばいいんですよ。
たしかに。
…その文、どの巻のどこでしたっけ?(爆)>高名な〜
田中氏にしても塩野氏は「高名」であったのですな(笑)
同じ大学だし(笑)
嫉妬?(爆)

では。
滅裂なカキコ失礼(T_T)


No. 408
いろいろレス
投稿者:小村損三郎 1998/12/15 23:08:40
伏待さん、こんにちは

>>塩野氏が「世界最強のモンゴル軍に勝ったのは日本人だけだ。」
>へーそーなんですかーしらんかった(べんきょ不足(T_T))

あのー、もう1つ白状すると実は私塩野七生氏については殆ど知らない&読んでないんですよ。(「ローマ人の物語」位は実家に置いてあるけど未読)
では、何故その文(NO.397にも書いたけどこれも未読)を書いたのが塩野氏だと知ったのかというと、田中芳樹・塩野七生・司馬遼太郎等の掲示板があるサイトで「田中氏が塩野氏を批判してるの知ってますか?」という話題が出ていたので件の「高名な女流作家」が塩野氏だと知った訳です。(「ふたたび男たちへ」という本だそうです。)
実は陳舜臣氏との対談本か何かでも田中氏はこの話をしていて、そこでは「西洋史に詳しい方」と言っているので塩野七生あたりかな?と見当はついてたのですが、確認できたのはそのサイトを見てからです。

>中国に関しても、塩野氏は「ほとんど知らない」というようなニュアンスの事を書いてますし>同エッセイ>たしか、男たちへ、か、イタリア遺聞、だとおもったけど…こんど調べてきます(T_T)
>そこで、ヨーロッパ(キリスト教文化圏)が、嫌いと言えるほどの田中氏からすると、塩野氏の文が、アジアを蔑視している、と、とってしまっても仕方が無い、と思いまする。

う〜ん、そうなんですか。
しかし、「中国については殆ど知らない」と言いながら、「モンゴル軍に勝ったのは日本人だけ」なんて書いてたんだとしたら、これについては塩野氏の方が軽率だったということになりますかね。もしかしてモンゴルに侵略されたのはヨーロッパと日本だけだと思ってたとか・・・。

>塩野氏が、意識してアジア蔑視しているとは思いませんが、塩野氏的視点というのは、アジアが問題にならないほどヨーロッパが(イタリアが)好きである、というモノだと思います。
>塩野氏がエッセイ集かなんかで、モンゴル、トルコなどの大帝国は、イタリアやヨーロッパに比べて、ほとんどなにも残していないぐらい文化的遺産が少ない、国の規模から言うと、おかしな話だ、なぜなんだろうね、とゆーよーな事を書いてますし。
>これは、ヨーロッパ圏の贔屓のひきたおしで雪崩、と思いますけど(笑)

う〜ん、結局ベクトルがイタリアに向いてるだけの“女田中芳樹”だった訳ですか。そりゃ残念。


No. 420
塩野のミス、陳史観
投稿者:新Q太郎 1998/12/17 03:55:23
>田中芳樹・塩野七生・司馬遼太郎等の掲示板
>があるサイトで「田中氏が塩野氏を批判して
>るの知ってますか?」という話題が出ていた

これ、見てみたいですね。どこでしょう?
塩野が元寇について語った文で、私がしっているのを情報としてお伝えすると「男の肖像」(新潮文庫)収録「北条時宗」の章で少し書いていましたね。そこでは別に、日本だけが勝ったとは書いていないけど・・・。
でも、高校世界史程度でも「モンゴルを撃退したのは日本・ベトナム・マムルーク朝トルコ」と教わったのだが・・・彼女も不思議なポカをするものだ。
そういえば話に出てきましたが、田中氏の中国人物月旦・史観は、陳氏からの借用はかなりありますね。(テイ和、宋王朝、フランスに勝った将軍なども)まあ堺屋太一が司馬遼太郎を借用する率より少し少ないくらい。

勿論田中氏は陳氏に歴史観の師としての礼を尽くしているし、そのことをことさら隠そうともしていないから、それを批判する必要はなし。

ただ、陳舜臣の系譜に田中氏が居ることを知ると、結構構図が見えてきやすいのと、田中を経由して陳に至る(ついでに少数が宮崎市定に突き抜ける)というのは読書ずき高校生にとって結構理想的なコースじゃないかと思うので薦めたい、ということです。

(ただ、創竜伝のような作品を陳氏が書いていると言うことではないこと、これは陳氏の名誉の為に言っておく(笑)。ついでに言うと、俺陳作品は面白いし為になるけど、なんつうか「歴史の色香」が足りなくて司馬や塩野より好きにはなれない。ちょうど吉村昭作品も同じ感じ)


No. 421
山本・陳補足
投稿者:新Q太郎 1998/12/17 04:13:30
陳関係の補足ですが、彼のベストは実はノンフィクション「中国の歴史」(講談社文庫)ではないだろうか。あれはいい。資料的にも読み物的にも超一流。
それから数年前、朝日新聞に連載されていた「チンギス・ハーンの一族」はオゴタイとかバトゥとかハイドゥとかが出てきて、毎日面白かったなあ。スケールもまさに世界的だし。
ベトナムは出てきたかな?


No. 424
ていせい〜(T_T)
投稿者:伏待 充 1998/12/17 10:22:37
えー
私が発言しました、塩野氏のエッセイにおける内容が明確になりましたので
先の発言を訂正させていただきまする(汗)
いやー、うろ覚えはやはりダメですな(T_T)

エッセイ、男たちへ、働き蜂なる概念について、328ページ

私は息子にこう教えることにしている。
「ギリシアもローマも、そしてルネサンス文明の花フィレンツェもヴェネツィアも、まず初めにお金をもうけたのよ。文化文明を創造したのは、その後のお話。お金がなければなにもできない。スペインだって、ウィーンを中心としたオーストリア帝国だって、フランスだって、イギリスだって、そして最近のアメリカだってまず最初にお金持ちになったのです。
ただ、忘れないでほしいのだけど、いままでお金持ちになった民族がみな他国に影響を与えるほどの文化文明を創造したかというとそれがそうじゃないのね。大帝国であったモンゴルもトルコも、たいしたものを残していないのよ。どうして、こういうちがいが生まれるのでしょうね」

イタリア遺聞、聖遺物余話、146ページ

仏教圏は、どうであったのだろう。私のようにこの方面に無知な者でも、まず仏舎利が頭にうかんでくる。お釈迦様が死んだ時にその遺灰は八つに分けられ、葬儀に参列した弟子たちに配分されたというのが、仏舎利信仰のはじまりなのであろう。

えー、働き蜂なる概念について、の、ほうは、まあ、あっていると言えないことはないと思いますけども(あってねーよ(爆))、聖遺物余話のほうは、ちぃと、拡大解釈がすぎたかなぁ(汗)

失礼しました(T_T)


No. 427
いろいろれすっす
投稿者:本ページ管理人 1998/12/17 18:46:05
>勿論田中氏は陳氏に歴史観の師としての礼を尽くしているし、そのことをことさら隠そうともしていないから、それを批判する必要はなし。

なんか対談本も出していましたよね。ただ、正直言って、田中氏には有意義だったかも知れなかったですけど、読者には読んでいて辛かったですね。それこそファンとセンセの問答集〜中国名将を題材にして〜みたいでしたから。


>ただ、陳舜臣の系譜に田中氏が居ることを知ると、結構構図が見えてきやすいのと、田中を経由して陳に至る(ついでに少数が宮崎市定に突き抜ける)というのは読書ずき高校生にとって結構理想的なコースじゃないかと思うので薦めたい、ということです。

 確かに、高校生で宮崎市定まで突き抜けられれば、かなり凄いですね。ただ、ここまで突き抜けちゃうと、絶対最初の田中芳樹には戻れないよ〜な。


>陳関係の補足ですが、彼のベストは実はノンフィクション「中国の歴史」(講談社文庫)ではないだろうか。あれはいい。資料的にも読み物的にも超一流。

 あっ、これは同感です。


 >私が発言しました、塩野氏のエッセイにおける内容が明確になりましたので
>先の発言を訂正させていただきまする(汗)

 すごく先走った無責任な極論だというのは判っているのですが、一言。名作家イコール名評論家というわけではないようですな。


No. 428
いろいろレス.その2
投稿者:小村損三郎 1998/12/18 00:17:40
>>田中芳樹・塩野七生・司馬遼太郎等の掲示板
>>があるサイトで「田中氏が塩野氏を批判して
>>るの知ってますか?」という話題が出ていた

>これ、見てみたいですね。どこでしょう?

すみません。今確認したら、「ふたたび男たちへ」ではなく、「男の肖像」北条時宗の章P64、だそうですm(_ _)m。


>陳関係の補足ですが、彼のベストは実はノンフィクション「中国の歴史」(講談社文庫)ではないだろうか。あれはいい。資料的にも読み物的にも超一流。

私は初版のハードカバー版しか読んでないんですけど、文庫版は若干内容が変わってるんでしょうか。
たしかにあれはすごく良い本です。思い入れ過剰でバイアスがかかりまくった田中氏の中国本よりはるかに分りやすく、素人にも理解しやすい。


>それから数年前、朝日新聞に連載されていた「チンギス・ハーンの一族」はオゴタイとかバトゥとかハイドゥとかが出てきて、毎日面白かったなあ。スケールもまさに世界的だし。
ベトナムは出てきたかな?

小説はまとめて読む人なので、連載中は読んでませんでした。未読の本も多数あるので文庫が出るのを待とうと思ってます。(←ケチくさい)
井上靖の「蒼き狼」はチンギス・ハーンの死で終わってるので(当たり前だけど)、後の代まで書いてるのがポイント高いですね。
でも「中国の歴史」を読むかぎりでは陳氏はチンギス・ハーンがあまり好きじゃないみたいだけど。(「文明の破壊者である面を多く持ったチンギス・ハーンは決してモンゴル民族の誇りとは言えません。」なんて書いている。)
耶律楚材が好きなのも、彼がチンギス・ハーンらの暴走を抑えて多くの文明を救ったという理由らしいし。
陳氏の小説では、まだ吉川&横山「三国志」しか読んでなかった頃に「秘本三国志」を読んでぶっとんだ記憶があります。


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