QLOOKアクセス解析


田中芳樹と他の作家との比較検証論
9−A

福本伸行編(1)


このコンテンツの
全一覧ページへ

No. 351
田中芳樹と福本伸行はだぶるところがある
させゆう 2001/01/21(Sun) 00:02
どうやら、あの巨大掲示板に直リンされると例外なく荒らされますね。
それはともかくとして、その某巨大掲示板で高い評価をされている
「金と銀」「カイジ」の福本氏と田中氏は、表層的な部分で似ているところがありますね。


・ いろいろな作品に手を出して、どれもまともに終わらせない。
 福本氏の「金と銀」は休載のまま、それっきり。「アカギ」もすでに一年以上お休み。さらに、週間連載を2本抱えるという無茶をしたあげく、その無理がたたって片一方を一ヶ月休載するというファン号泣の展開。

・ 不得意な分野の作品をヒットさせている。
田中氏は軍事知識に関して言えば、さほどの造詣は深くないようですが、それでも銀英伝は面白いし、福本氏もあまり麻雀をやらないが、しかし、天やアカギは評価が高い。

・ 女性描写が下手。
田中氏は画一的な女性キャラしか書けないが、福本氏は画一的な女性すら書けない。

・ 最後のボス的悪役の造形が同じ。
福本氏の黒幕の悪役も、欲ボケした妖怪みたいな老人が多いですね。

・ しかし、中間管理職の悪役は魅力がある。
「カイジ」の利根川や「創竜伝」のタウンゼントは、魅力的な敵役でした。
二人とも末路は悲惨ですが。

・ どちらも熱狂的なファンが多数いる。
意外と傾向としては似ているかもしれない。
竜堂兄弟の社会批判を楽しみにするファン。
利根川らの説教を楽しみにするファン。


ただし、福本氏に関しては、作品の休載に対する批判は多くても、
作中で敵側の人間が語る「説教」に関しての、ここの掲示板のような
批判をする人間はいませんね。

「福本伸行を撃つ」
という掲示板があったら面白いと思いますが。

ちなみに僕はこんなことを書いておきながら、福本氏のファンです。
しかし、強いアンチもいて欲しいと思う曲がった根性の持ち主ですので・・・


No. 359
Re: それでも
不沈戦艦 2001/01/21(Sun) 03:32
> どうやら、あの巨大掲示板に直リンされると例外なく荒らされますね。
> それはともかくとして、その某巨大掲示板で高い評価をされている
> 「金と銀」「カイジ」の福本氏と田中氏は、表層的な部分で似ているところがありますね。
>
>
> ・ いろいろな作品に手を出して、どれもまともに終わらせない。
>  福本氏の「金と銀」は休載のまま、それっきり。「アカギ」もすでに一年以上お休み。さらに、週間連載を2本抱えるという無茶をしたあげく、その無理がたたって片一方を一ヶ月休載するというファン号泣の展開。
>
> ・ 不得意な分野の作品をヒットさせている。
> 田中氏は軍事知識に関して言えば、さほどの造詣は深くないようですが、それでも銀英伝は面白いし、福本氏もあまり麻雀をやらないが、しかし、天やアカギは評価が高い。
>
> ・ 女性描写が下手。
> 田中氏は画一的な女性キャラしか書けないが、福本氏は画一的な女性すら書けない。
>
> ・ 最後のボス的悪役の造形が同じ。
> 福本氏の黒幕の悪役も、欲ボケした妖怪みたいな老人が多いですね。
>
> ・ しかし、中間管理職の悪役は魅力がある。
> 「カイジ」の利根川や「創竜伝」のタウンゼントは、魅力的な敵役でした。
> 二人とも末路は悲惨ですが。
>
> ・ どちらも熱狂的なファンが多数いる。
> 意外と傾向としては似ているかもしれない。
> 竜堂兄弟の社会批判を楽しみにするファン。
> 利根川らの説教を楽しみにするファン。
>
>
> ただし、福本氏に関しては、作品の休載に対する批判は多くても、
> 作中で敵側の人間が語る「説教」に関しての、ここの掲示板のような
> 批判をする人間はいませんね。
>
> 「福本伸行を撃つ」
> という掲示板があったら面白いと思いますが。
>
> ちなみに僕はこんなことを書いておきながら、福本氏のファンです。
> しかし、強いアンチもいて欲しいと思う曲がった根性の持ち主ですので・・・


 福本作品は「(ギャンブルの)勝負の面白さ」が主題で、説教を作者の欲求
不満解消の為に垂れ流すのが目的とはあまり思えません。ストーリーに必然性
もなく、説教が入っているとも思えませんし。田中芳樹より遙かにマシでしょ
う。「カイジ」の利根川などは、「借金抱えてギャンブルに踊らされ、『会長』
の娯楽にされてしまっている馬鹿ども」を嘲笑する為の「説教」ではないでし
ょうか。それに、「利根川の説教」を楽しみにしているファンっているんでし
ょうか?

 しかし、こうやって改めて並べてみると、確かに傾向は似てますね。この二
人。これはちょいっと意外でした。


No. 360
少し異論を
日傘 2001/01/21(Sun) 05:12
 させゆうさん、はじめまして。
 田中氏と福本氏の類似点についてですが、部分的に異論がありますので、レスさせていただきます。

>・いろいろな作品に手を出して、どれもまともに終わらせない。

 この部分は全面的に賛同します。福本氏の著作ペースから言えば、週刊掲載自体が無謀のような気も……。どうもマガジンじゃ、一般受けしないみたいですしね。

>・不得意な分野の作品をヒットさせている。
>田中氏は軍事知識に関して言えば、さほどの造詣は深くないようですが、それでも銀英伝は面白いし、福本氏もあまり麻雀をやらないが、しかし、天やアカギは評価が高い。

 福本氏がもろもろ麻雀漫画で意図されたことは麻雀自体よりむしろそれに付随する心理戦ではないのでしょうか? 田中氏の大河ロマンも戦争より、政治闘争や思想闘争に重点をおいています。(銀英伝で言えば戦場の花であるはずのビッテンフェルトよりも、オーベルシュタインのほうがプロット上の重要度は高い)。二人とも、他の作家と同様、得意とする分野で達成されるべき成果をあげたのに過ぎないと思いますが。

> ・女性描写が下手。
> 田中氏は画一的な女性キャラしか書けないが、福本氏は画一的な女性すら書けない。

 これはそうかもしれません。もう一つ付け加えるならば、「ストーリー上どーでもいい雑魚キャラもまた、二人の筆にかかれば画一的なものになる」でしょうか。創竜伝の政治家の用心棒や、福本作品全般の黒服とかね。

> ・最後のボス的悪役の造形が同じ。
> 福本氏の黒幕の悪役も、欲ボケした妖怪みたいな老人が多いですね。
>
 キャラのインパクトはともかく、造形的には似通っているのは事実です。しかし田中氏の場合、悪役を地の文でこてんぱんにこき下ろすので、いまいちラスボスの威厳がないのが問題といえば問題です。創竜伝のラスボスであろうシユウですら、頭悪そうなイメージがぬぐえません。

> ・しかし、中間管理職の悪役は魅力がある。
> 「カイジ」の利根川や「創竜伝」のタウンゼントは、魅力的な敵役でした。
> 二人とも末路は悲惨ですが。

 すくなくとも敵役の造詣に関しては、田中氏よりも福本氏のほうが相当分があることは確実です。おそらく、敵役はできるだけ卑小にという田中氏の悪癖が原因でしょうが、六巻より向こうタウンゼントの矮小化は忍びないものがあります。私にはその手前の四巻で登場した大統領補佐官(名前ど忘れしました)とタウンゼントがかぶって仕方ありませんでした。田中氏はおそらくマキャベリストやピカロは心底軽蔑していらっしゃるのでしょう。無論のこと、現実的には大変結構ですが、それが最近では作品の質を貶めているのは大変残念です。

> ・どちらも熱狂的なファンが多数いる。
> 意外と傾向としては似ているかもしれない。
> 竜堂兄弟の社会批判を楽しみにするファン。
> 利根川らの説教を楽しみにするファン。
>
> ただし、福本氏に関しては、作品の休載に対する批判は多くても、
> 作中で敵側の人間が語る「説教」に関しての、ここの掲示板のような
> 批判をする人間はいませんね。

 というより、あの部分は説教というよりそのキャラクター独自の美学ですから、批判対象になりえないというのが実情ではないでしょうか。いかなる理屈をこねたところで、原田や利根川が翻意するとも思えないですし。
 あの世界観は登場人物ほぼ全員が徹底したピカロですから、常人に真似のできるものではありません。心理闘争が主題である漫画の欠かせないスパイスです。まさか、あれが福本氏の主観だと思う読者は少ないでしょう。読者に対する刷り込みが行われていない以上、田中氏を批判している土俵とは全く異なるものだと思います。

 長々と申し訳ありません。それでは。


No. 389
両者を比べてみて・・・
させゆう 2001/01/23(Tue) 21:24
レスありがとうございます。

さて、田中氏と福本氏の作品をあらかた読んでいる僕の思ったことですが、
二人のデビューに至るまでの人生航路が、作品に影響されていると感じられます。
田中氏の場合、大学院時代に銀英伝の連載を開始しただけあって、下積み体験は、おそらくゼロに等しかったでしょう。(もちろん、作品を書く苦労はありますが)
ある意味、銀英伝のような、大勢の死が描かれる物語でありながらも、陰惨に
ならない雰囲気が出せたのは、彼が社会の冷たい風に晒されていないためかも
しれません。
逆に、長い下積みの果てに銀英伝を執筆したとしたら、ヤンのような陽気な
スタンスで理想を語るキャラは生み出せなかったかもしれません。

福本氏の場合は、長い下積みを得て、ヒットを飛ばした漫画家で、その経験を
生かしてか、人間の醜さや汚い部分を上手く描いていると思います。
底辺でもがく人間のリアルさは、福本氏が身をもって体験したからこそ、書けたのではないでしょうか。

人生経験が作風に影響を与えるのは当然かもしれませんが、二人にとっては
結果として、作品のヒットに実を結んだと思います。


このコンテンツの
全一覧ページへ

トップページへ ザ・ベスト
全一覧ページへ
考察シリーズへ