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No. 1694 | |
自由惑星同盟は共産主義国家か? | |
イッチー | 2002/04/06 19:41 |
どうも初めまして。銀英伝でいろいろ検索したらこちらにたどりつきました。以後、よろしくお願いします。 早速ですが、「反銀英伝・思考実験編5−A」を拝見していたら、自由惑星同盟が一党独裁の共産主義国家であるということで結論付けられているようですが、私はこの結論にいささか疑問を覚えます。 なぜなら、同盟が一党独裁の共産主義国家なら、なぜ、政府の方針に反対するジェシカが代議員に選ばれたのでしょう?共産主義国家では選挙は党が推薦する候補を有権者が信任投票するだけです。ジェシカのように公然と反戦を唱える人間を党が候補に据えるとは思えません。さらに、不可解なのはアニメ版10話です。ここではジェシカら反戦派の対立候補(国民平和会議という政党の候補者)が登場してきます。アニメは小説とは違うと言ってしまえばそれまでですが、複数候補による選挙は中ソ・北朝鮮型の共産主義国家ではおよそ考えられません。 そこで、私は自由惑星同盟の政治形態は次のようなものではないかと考えます。 可能性1:柔軟な共産主義国家 ベトナムや中国では一部認められているようですが、支配政党(国民平和会議)以外の候補者も無所属としてなら認めて、ある程度自由に選挙させるというものです。もちろん、議会の多数は支配政党が占めるようにあらかじめしくまれていますが、たとえ少数でも支配政党以外の候補者を有権者に選ばせることによって不満のガス抜きをはかります。このような国では無所属から出馬するのも政府の許可が必要だったり、大変なようですが、ジェシカは父親のコネをつかってうまく出馬の許可を得たのでしょう。しかし、この制度ではサンフォードの「このままでは来年早々の選挙に勝つ事はおぼつかん。和平派と 最強硬派に挟撃されて、過半数を割る事は目に見えとる」というセリフが不可解です。 そこで、可能性2 一党優位体制を考えました。 日本は複数政党制で自由選挙が認められていますが、1955年以来、いくつかの例外を除いて自民党が政権を一貫して担い続けています。このように、自由選挙が認められているにもかかわらず、政権交代がほとんどおこらず一党支配が続く体制を一党優位体制といいます。 ここからは私の想像ですが、おそらく同盟を建国した人々は過去の歴史の反省や民主主義の理念をもとに三権分立などの制度を確立したと思われます。そして、おそらく現在の日本に近い政治制度をつくりあげたのでしょう。すなわち、有権者が代議員を選び、代議員の中で選挙を行って、最高評議会議長を選び、議長が閣僚(各委員長)を選んで、内閣を構成するという方式です。 ところがタゴン星域会戦によって帝国の脅威が認識されるようになると、当時の主要政党は「挙国一致」の名の下に合同して国民平和会議を結成し、議会のほとんどの議席を占める巨大与党が登場します。この結果、自由選挙を何度おこなっても国民平和会議が必ず多数を占めるので、選挙は事実上意味をなさなくなり、国民の政治への関心度は低下し、議会の審議も事実上形骸化し、議会の権限は低下します。政権交代が事実上起こらなくなった結果、権力は腐敗し、万年与党・国民平和会議の政治家たちと官僚・実業界・司法界・学術界の癒着がすすみます。しかし、帝国への戦争が長引くにつれて、国民平和会議の支持は次第に低下して、反戦派と強硬派が勢力をのばし、サンフォード政権の時代には与野党伯仲状態にまで与党の支持は低下していました。仮に与党が過半数割れしても、反戦派と強硬派が連立政権を組むことはありえませんから、国民平和会議の政権は比較第一党として存続しますが、サンフォードら現執行部に対する党内の批判は免れないでしょう。そこで、サンフォードは帝国領への侵攻を決意します。おそらく、このとき、国民平和会議内ではサンフォード派が主流派で、トリューニヒトとホワンは主流派の有力議員ということで入閣し、レベロは反主流派の代表として入閣していたのでしょう。そして、帝国領侵攻作戦が失敗したあと、トリューニヒトはサンフォードにすべての責任を負わせて、主流派を乗っ取り、まんまと与党党首=最高評議会議長の座を射止めたという解釈はどうでしょう?同盟が帝国に降伏した後は、与党主流派はトリューニヒト亡命のショックで分裂し、反主流派内で比較的勢力の大きかったレベロが党首=最高評議会議長に就任したと考えれば、小説の話しの流れと同盟の政治体制の整合性はつくように思うのですが・・・。他の方のご批評を期待します。 |
No. 1709 | |
Re:自由惑星同盟は共産主義国家か? | |
優馬 | 2002/04/11 00:56 |
優馬です。イッチーさん、いらっしゃい。(私も久しぶりなんですが) 私も、「同盟の政治は日本型」というご指摘に賛成です。 というか、田中芳樹とうちゃん、「悪い民主主義」のモデルとして日本の「55年体制」、イッチーさんのおっしゃる「一党優位体制」を考えていたフシがありありです。もちろん田中芳樹的バイアスはしっかりかかっていて、後年「創竜伝」で大ブレイクする「政治評論」は同盟の政治描写の中に胚胎していたと言えます。 例えば、 1.非常に感情的なもので政治が動く 2.マスコミが政府をチェックする機能が弱い 3.三権のうち国会と司法の力が弱い (戦争を始めるのに国会対策をする必要がないみたいですもんね。) 4.野党は吠えるが実質的には何も変わらない ・・・てなふうに、同盟の政治と自民党支配の日本政治は非常に似ていると思います。反戦政党ってきっと旧社会党みたいに政策は非現実的なんだけど根強い支持者がいるんでしょうね。 ん? そうするとジェシカ・エドワーズは辻元清美か?! ・・・それって結構イヤぁ!! |
No. 1711 | |
Re:自由惑星同盟は共産主義国家か? | |
本ページ管理人 | 2002/04/11 01:00 |
シチュエーション的に蒋経国あたりの台湾に似ている? たぶん、モデルにはなってないでしょうけど(笑) |
No. 1713 | |
Re:自由惑星同盟は共産主義国家か? | |
イッチー | 2002/04/11 01:56 |
> 優馬です。イッチーさん、いらっしゃい。(私も久しぶりなんですが) こちらこそよろしくお願いいたします。 > > 私も、「同盟の政治は日本型」というご指摘に賛成です。 > というか、田中芳樹とうちゃん、「悪い民主主義」のモデルとして日本の「55年体制」、イッチーさんのおっしゃる「一党優位体制」を考えていたフシがありありです。もちろん田中芳樹的バイアスはしっかりかかっていて、後年「創竜伝」で大ブレイクする「政治評論」は同盟の政治描写の中に胚胎していたと言えます。 > > 例えば、 > 1.非常に感情的なもので政治が動く > 2.マスコミが政府をチェックする機能が弱い > 3.三権のうち国会と司法の力が弱い > (戦争を始めるのに国会対策をする必要がないみたいですもんね。) > 4.野党は吠えるが実質的には何も変わらない > > ・・・てなふうに、同盟の政治と自民党支配の日本政治は非常に似ていると思います。反戦政党ってきっと旧社会党みたいに政策は非現実的なんだけど根強い支持者がいるんでしょうね。 > 優馬さんが私の意図を正確にとらえてくださって光栄です。同盟の政治を見ているとどうみても、現代日本政治(1955年体制)への批判にしか見えないんですよね。反戦派というのは日本でいえば革新勢力のことでしょうね。創竜伝は読んだことありませんが、他の作品を読んでいると革新派の人が言いそうな表現が散見されますしね。ただ、自分たちの国のあり方をもう一度再検討するという意味で同盟の政治ってけっこう興味深いとおもうのですが・・・。 > ん? そうするとジェシカ・エドワーズは辻元清美か?! > ・・・それって結構イヤぁ!! 田中芳樹は現代の日本について銀英伝を発表した時点では予想していなかったと思いますが、サンフォード=森・トリューニヒト=小泉・ジェシカ=辻元とあてはめるとけっこううまくあてはまってしまうのが面白いですね。ちなみに、帝国領侵攻を最も強行に主張したウィンザー女史に扇国土交通相を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか(笑)。 |
No. 1714 | |
Re:自由惑星同盟は共産主義国家か? | |
イッチー | 2002/04/11 01:58 |
> シチュエーション的に蒋経国あたりの台湾に似ている? > たぶん、モデルにはなってないでしょうけど(笑) 初めまして。 むかし、銀河帝国・自由惑星同盟・フェザーンの関係って、中華人民共和国・台湾・香港の関係に似ていると思ったことがあります。 |
No. 1723 | |
銀英伝1巻刊行時の日本の政治状況 | |
イッチー | 2002/04/13 13:27 |
銀英伝1巻が刊行された1982年11月前後の日本の政治状況について調べてみました。 1955年の保守合同以後、国会の過半数を占め、政権を独占していた自民党の優位は1970年代に揺らぎ始め、1976年・1979年の総選挙では自民党は衆議院の過半数ギリギリしか占めない「保革伯仲状態」という結果に終わっていました。1974年には田中角栄の金脈問題がマスコミで追及され、1976年には田中がロッキード事件の容疑者として逮捕され、「政治とカネ」の問題がマスコミでとりあげられていました。 1980年、社会党が提出した内閣不信任案に自民党反主流派が同調し、衆議院は解散されました。選挙は当初、野党有利と思われていましたが、選挙中、ときの大平首相が急死したため、自民党に同情票が集まり、選挙は自民党の勝利に終わりました。後継の総理には「党内融和」の観点から大平派の実力者・鈴木善幸が選出されました。鈴木はもともと総理の器とは党内外で思われておらず、意外の印象を与えました。鈴木の後継の座を狙っていたのは、党内最大派閥・田中派の支援をうけた中曽根康弘、自民党ハト派三木武夫の後継者・河本敏夫、大平派と犬猿の仲の福田派の後継者・安部晋太郎、自民党タカ派の中川一郎でした。自民党総裁選の結果、中曽根が圧勝し、1982年11月、中曽根が首相に就任しました。当時、自民党内では改憲論や軍備増強論を要求する声が高まり、社会党代議士・石橋政嗣は1980年、「非武装中立論」を出版し、社会の右傾化に警鐘を鳴らしました。この本は30万部のベストセラーになり、革新勢力の根強い支持者がいたことを示しました。 ん?銀英伝1巻に描かれている同盟の様子に似ているような・・・。 銀英伝1巻によれば、同盟議長サンフォードは政争の渦中から湧き出た調整型の老政治家(鈴木善幸に似ている)で、国防委員長トリューニヒトはパフォーマンスの得意な政治家で後継者に目されている(中曽根康弘に似ている)と描写されています。政府与党は反戦派(革新勢力に似ている)と強硬派(自民党タカ派に似ている)に挟撃され、過半数を割る危機にさらされており(保革伯仲に似ている)、なんらかの戦果をあげる必要がありました。帝国領侵攻にはトリューニヒトのほかにレベロやルイといった良心的政治家(自民党ハト派のこと?)が反対しましたが、社会の大勢は主戦論に傾いていました。(当時の改憲論や軍備増強論に対するあてつけ?) 自由惑星同盟の描写は案外、当時の日本政治を戯画したものかもしれません。そういえば、同盟は財政赤字に悩んでいましたが当時の日本でも財政赤字は深刻な問題で行政改革の必要性が叫ばれていました。 |
No. 4509 | |
はじめまして | |
I.G | 2003/08/24 22:11 |
今日インターネットを始めまして、このページを見つけました。 単なる中傷や礼賛に陥らずに、冷静な批評を続けていることは、すばらしい事だと思います。 さて、銀英伝の設定で皆様にお聞きしたいことがありますので、もしよろしければ返答を、お待ちします。 1.最高評議会について いったいこれは、どのような組織なんでしょうか。 多分、行政府だと思うのですが、日本やアメリカの場合、行政府にこんな名称がついているのを聞いたことがありません。 日本でいう閣議のようなものかとも考えましたが、すると元首を最高評議会議長というのとつじつまがあわないと思いました。 思い当たるのは、イギリスで内閣を枢密院と呼ぶことぐらいです。 田中氏は、同盟の行政組織についてどこの国を参考にしたのでしょうか。 2.どうも帝国と同盟が何百年もほぼ互角に戦争を続けていたというわりには、同盟軍の兵力は少ないし、(アムリッツァ会戦時に、同盟12個艦隊、帝国18個艦隊だったかと)総力戦を遂行するための国力も、帝国にくらべてかなり低いように感じます。 作者の都合で考えれば、「同盟を負けさせるため」というので説明がつけられそうですが(笑)これらに、納得のいく説明はつけられるのでしょうか。 長々と駄文を失礼いたしました。 |
No. 4511 | |
Re:はじめまして | |
イッチー | 2003/08/25 00:38 |
はじめまして、イッチーと申します。 > 1.最高評議会について > いったいこれは、どのような組織なんでしょうか。 > 多分、行政府だと思うのですが、日本やアメリカの場合、行政府にこんな名称がついているのを聞いたことがありません。 > 日本でいう閣議のようなものかとも考えましたが、すると元首を最高評議会議長というのとつじつまがあわないと思いました。 > 思い当たるのは、イギリスで内閣を枢密院と呼ぶことぐらいです。 > 田中氏は、同盟の行政組織についてどこの国を参考にしたのでしょうか。 私は、最高評議会と聞いて、旧共産主義国家と思いうかべました。旧共産主義諸国では、プロレタリア独裁と言って、ブルジョワジー(資本家)の勢力が完全に駆逐され、理想の社会が実現するまで、プロレタリアート(労働者)が全権を握るべきだと考えられていました。そのため、西側民主主義国のような三権分立の考えはなく、労働者の代表に権力を集中させました。たとえば、旧ソ連では、最高ソビエト(最高会議)が全権を握り、ソビエト閉会中は最高ソビエトによって選出された最高会議幹部会が職務を代行しました。そして、最高会議幹部会の議長が対外的に国家元首の役割を果たしました。他の共産主義国では最高会議幹部会を最高評議会と言っている国もありました。実際には、最高ソビエトに議員を送れるのは共産党に限られたため、共産党の書記長が実権を握っていたわけですが、自由惑星同盟では反戦派にも政治活動が認められており、複数政党制が認められているものと思われます。そのため、旧共産主義諸国で象徴的な地位に過ぎなかった最高評議会議長が実質的な国家元首となっているのでしょう。その意味では、日本の議院内閣制にも似ています。 そのため、共産主義体制と議院内閣制のミックスが自由惑星同盟の政治体制と思われます。ただし、複数政党制が認められているとは言っても、サンフォード議長のセリフによると、同盟には、与党・反戦派・強硬派の3つしか政治勢力しかなく、反戦派と強硬派を足して、初めて与党と拮抗するということなので、おそらく自由選挙が認められながら、単一政党が長期にわたって政権を担う一党優位体制なのでしょう。(すなわち、限りなく日本に近い) > 2.どうも帝国と同盟が何百年もほぼ互角に戦争を続けていたというわりには、同盟軍の兵力は少ないし、(アムリッツァ会戦時に、同盟12個艦隊、帝国18個艦隊だったかと)総力戦を遂行するための国力も、帝国にくらべてかなり低いように感じます。 > 作者の都合で考えれば、「同盟を負けさせるため」というので説明がつけられそうですが(笑)これらに、納得のいく説明はつけられるのでしょうか。 帝国・同盟の戦争はおそらく総力戦ではなく、局地戦なのでしょう。両国でちゃんとした徴兵制が敷かれているのかどうかもあやしいものだと思います。人口規模に比べて、軍隊の規模が小さすぎます。私は選抜徴兵制度(くじに当たった者だけが軍隊に行く)をとっているのではないかと最近、考えているのですが・・・。 帝国・同盟戦争が長引いたのは、同盟が建国当初から帝国の襲来を想定して軍隊の準備をしてきたのに対して、帝国は当初、同盟の存在に気づかず、長い泰平の世をむさぼっている間に戦争の実戦経験を忘れて、軍隊が飾りになっていたため、帝国が国力・軍事力ともに圧倒的だったにもかかわらず、帝国が同盟を倒すことが出来なかった原因ではないかと考えられます。さらに、帝国軍は皇帝直轄領から徴収された将兵と大貴族の私兵の混成部隊で、全体の統率力にも問題があったと思われます。そのため、帝国と同盟は帝国が同盟の2倍の人口を持ちながら、こう着状態が続いていたと思われます。このこう着状態を打破したのが、ラインハルトの存在であり、ラインハルトが現われなければ、帝国はヤン率いる同盟軍によって不利な講和を結ばされて、両国並存状態が続いたと思います。ただし、ラインハルトが現われなければ、ヤンの出世は遅れたと思いますが。 |
No. 4514 | |
はじめまして | |
I.G | 2003/08/25 02:04 |
イッチー様。ありがとうございました。 僕は今まで、同盟の政治機構をアメリカ式のものだときめてかっかていましたが、再考が必要ですね。 とりあえず未だに共産主義国家の中国をモデルに考えると、 同盟議会=全国人民代表大会(全人代) 最高評議会=常務委員会+国務院 最高評議会議長=首相+国家主席 となりますか。 これなら、同盟議会が異常なまでに存在が希薄なこともせつめいできます。(全人代のように拍手するだけが役割なんでしょう。) でも、もしこの仮定が正しいとすると、同盟は恐ろしい独裁国家ですね。中国でさえお飾りにすぎないにせよ、常務委員会という掣肘機関をおいているのに、同盟には飾りすらないようです。 違うところといえば、イッチー様の言うように一党独裁でないところでしょうか。 とすると、だれが行政府の独走を止めるのでしょうか。だれもとめられないんでしょうね。これではルドルフを生んだ銀河連邦の政治機構のほうが、よほどまともに思えてきます。 2の点について 「帝国はハイネセンを占領できるが、同盟はオーディンを占領することはできない。」 昔どこかで読んだ日米戦ものの、せりふを変えてみました。(帝国をアメリカに、同盟を日本にかえてみてください) 帝国は、思いついた時に同盟に侵攻し、同盟はそれを迎撃するだけ、というふうに何百年も続けていたのでしょうか。 帝国の戦略はアメリカのオレンジ計画の程度の低いものに思えてきました。 |
No. 4515 | |
Re:はじめまして | |
イッチー | 2003/08/25 04:28 |
> でも、もしこの仮定が正しいとすると、同盟は恐ろしい独裁国家ですね。中国でさえお飾りにすぎないにせよ、常務委員会という掣肘機関をおいているのに、同盟には飾りすらないようです。 > 違うところといえば、イッチー様の言うように一党独裁でないところでしょうか。 > とすると、だれが行政府の独走を止めるのでしょうか。だれもとめられないんでしょうね。これではルドルフを生んだ銀河連邦の政治機構のほうが、よほどまともに思えてきます。 田中芳樹さんは、どうも左翼思想にシンパシーを感じている方のようなので、一党独裁でない共産主義体制=理想的な政治体制とでも考えたのではないでしょうか?行政府に歯止めをかけるのは、おそらく議会内での反戦派が旧社会党のように与党と裏取引でもして、一定の妥協を引き出すとか、与党内の穏健派(レベロのような)が政府に注文をつけるとかしかないのではないでしょうか。そもそも、ハイネセンらが逃亡したのは、銀河連邦滅亡から164年も経っており、民主主義思想はかなりゆがんで伝えられていたと思われます。すなわち、我々が想定する英米流の民主主義思想に、共産主義的な革命思想(帝国政府に対抗するため、かなり過激な)が交じり合って、自由惑星同盟の思想となったのではないでしょうか。 > 2の点について > 「帝国はハイネセンを占領できるが、同盟はオーディンを占領することはできない。」 > 昔どこかで読んだ日米戦ものの、せりふを変えてみました。(帝国をアメリカに、同盟を日本にかえてみてください) > 帝国は、思いついた時に同盟に侵攻し、同盟はそれを迎撃するだけ、というふうに何百年も続けていたのでしょうか。 > 帝国の戦略はアメリカのオレンジ計画の程度の低いものに思えてきました。 ダゴン星域会戦のときは、「唯一人類の政体である銀河帝国が他の政体を認めるわけにはいかない」というそれなりにまっとうな理由が同盟侵攻作戦にあったのですが、いかんせん、帝国軍の将兵が泰平の世に慣れすぎていて大失敗しました。(元禄時代の武士と戦国時代の武士が戦うようなものです)その後のコルネリアス1世の親征も首都での政争で中止され、その後は同盟への攻撃中に帝位を奪われることを怖れた皇帝たちが同盟併合を断念して、国境線での戦いでお茶を濁す。一方、帝国領に侵攻する力のない同盟も局地戦での勝利でお茶を濁すという無意識的な両国の馴れ合い状態が百年も続いたのでしょう。 そう考えると、帝国領侵攻作戦は同盟軍の実力も考えない大愚策としか言いようがありません。イゼルローン要塞を占拠した後、周辺星域をちょっと荒らすか、フェザーン侵攻作戦をおこなえば、同盟有利で講和が結べたと思えます。トリューニヒトですら、そこまで考えがまわらなかったとは・・・。 |
No. 4516 | |
Re:はじめまして | |
I.G | 2003/08/25 14:45 |
> 田中芳樹さんは、どうも左翼思想にシンパシーを感じている方のようなので、一党独裁でない共産主義体制=理想的な政治体制とでも考えたのではないでしょうか?行政府に歯止めをかけるのは、おそらく議会内での反戦派が旧社会党のように与党と裏取引でもして、一定の妥協を引き出すとか、与党内の穏健派(レベロのような)が政府に注文をつけるとかしかないのではないでしょうか。そもそも、ハイネセンらが逃亡したのは、銀河連邦滅亡から164年も経っており、民主主義思想はかなりゆがんで伝えられていたと思われます。すなわち、我々が想定する英米流の民主主義思想に、共産主義的な革命思想(帝国政府に対抗するため、かなり過激な)が交じり合って、自由惑星同盟の思想となったのではないでしょうか。 確かに創竜伝には、老人に「天安門までは、中共を信じていた」 とか言わせていましたね。(多分田中さん自身の考えでしょう) たしか銀英伝は、天安門以前の著作なので当時田中さんは、小田実 か本田勝一のように「地上の天国」だと思っていたんでしょうか。 同盟の政治機構にやたらと「委員会」とつくことや、ハイネセンらの逃亡を「長征」(中共のように粛清はあったのでしょうか)ということからも社会主義に憧れをもっていたことが推察できますが、まさか同盟に「チェーカー」(全ロシア非常委員会)はないですよね。あったらそれこそ社会秩序維持局の権限の強い帝国の恐怖政治とかわらなくなりますから。 > そう考えると、帝国領侵攻作戦は同盟軍の実力も考えない大愚策としか言いようがありません。イゼルローン要塞を占拠した後、周辺星域をちょっと荒らすか、フェザーン侵攻作戦をおこなえば、同盟有利で講和が結べたと思えます。トリューニヒトですら、そこまで考えがまわらなかったとは・・・。 まったくそのとうりだと思います。 |
No. 4518 | |
Re:はじめまして | |
モーグリ | 2003/08/25 15:32 |
I.Gさんはじめまして、モーグリと言います。 > 帝国・同盟の戦争はおそらく総力戦ではなく、局地戦なのでしょう。 以前、この掲示板で古参の常連の北村賢志さんという方が「ラインハルトやヤンが登場するまでの帝国・同盟間の戦闘は年間双方100万人程度のKIA(戦死者)が出る程度だった。同盟軍の人口を現代の日本に置き換えると年間1万人程度のKIAで、両軍はそれほど激しい戦争をしていたわけではない」と書いていました(ザ・ベスト「銀英伝のエンターテイメント性3−A」参照)。 ただ『銀英伝』は未来世界の話なので、医療技術が現代より進んでおりWIA(戦傷者)の比率がKIAより圧倒的に高いのかもしれません(あくまで想像です) イメージとしては第一次大戦の西部戦線や朝鮮戦争後期の膠着した塹壕戦のような感じなんだと思います。 ちなみに史上初の総力戦となった第一次大戦では、主要国では総人口の10パーセントまで動員されています。(もしやる気になればここまで総動員できる、という話です) |
No. 4520 | |
Re:はじめまして | |
イッチー | 2003/08/26 03:54 |
> 同盟の政治機構にやたらと「委員会」とつくことや、ハイネセンらの逃亡を「長征」(中共のように粛清はあったのでしょうか)ということからも社会主義に憧れをもっていたことが推察できますが、まさか同盟に「チェーカー」(全ロシア非常委員会)はないですよね。あったらそれこそ社会秩序維持局の権限の強い帝国の恐怖政治とかわらなくなりますから。 たしか、一時期、同盟にも憲章擁護庁という役所があって、親帝国的な言動を取り締まっていたそうです。ドイツに憲法擁護庁という日本の公安調査庁にあたる役所があり、名前がにているところから憲章擁護庁というのは公安調査庁にあたる役所で、社会秩序維持局ほどの力は持っていなかったと思いますが、いろいろ考えると、同盟もかなり窮屈な社会のような気がします。 これまでの考えを総合すると、同盟は旧共産主義諸国よりは人権が保障され、政治活動の自由も認められているが、限りなく共産主義国に近い政治体制ということになります。(日本も昔は唯一成功した共産主義国家とか言われましたから、同盟と日本は案外似ているのでしょう) 一方、帝国は暗黒の専制政治のように描写されている割には500年も続いているので、かなり柔軟な専制政治であったと思われます。私は日本の江戸時代が一番近いと思うのですが・・・。 すると、帝国と同盟の間の戦争って、江戸時代が日本がそのまま現代化したような国と戦後の日本が戦争していたようなもの(あるいはロシア革命直前のロシア帝国とゴルバチョフ時代のソ連の間の戦争とでも例えるべきか)で、当時の人類にとってはどちらも大して選びたくなくなるような国ではなかったわけですね。1960年代の朝鮮半島で、金日成独裁下の北朝鮮か朴正熙独裁下の韓国を選べと迫っているようなもので、不毛な選択だなあ。(苦笑) こう考えると、積極的に同盟を守ろうとしなかったヤンの気持ちがわかってくるから不思議です。やはり、あの小説世界では専制政治も自由な共産主義も止揚して、ローエングラム王朝のもとで立憲君主制を樹立するというのが、もっともまともな政治体制をうちたてる選択肢だったのでしょうか? |
No. 4521 | |
Re:はじめまして | |
I.G | 2003/08/26 04:25 |
> たしか、一時期、同盟にも憲章擁護庁という役所があって、親帝国的な言動を取り締まっていたそうです。ドイツに憲法擁護庁という日本の公安調査庁にあたる役所があり、名前がにているところから憲章擁護庁というのは公安調査庁にあたる役所で、社会秩序維持局ほどの力は持っていなかったと思いますが、いろいろ考えると、同盟もかなり窮屈な社会のような気がします。 ところで同盟憲章とはどのような憲法なのでしょうか。教えていただければ幸いです。 > これまでの考えを総合すると、同盟は旧共産主義諸国よりは人権が保障され、政治活動の自由も認められているが、限りなく共産主義国に近い政治体制ということになります。(日本も昔は唯一成功した共産主義国家とか言われましたから、同盟と日本は案外似ているのでしょう) 日本と共産主義国家が似ているというのは、累進課税制度による過酷な税金の取立てが、ブルジョワを毛嫌いする(というより殺されていますが)ところによく似ていると、ゴルバチョフ氏が語ったことだと記憶しています。 この場合、日本と同盟の共通点は、他力本願的な反戦平和思想が横行しているところだとおもいます。 > すると、帝国と同盟の間の戦争って、江戸時代が日本がそのまま現代化したような国と戦後の日本が戦争していたようなもの(あるいはロシア革命直前のロシア帝国とゴルバチョフ時代のソ連の間の戦争とでも例えるべきか)で、当時の人類にとってはどちらも大して選びたくなくなるような国ではなかったわけですね。1960年代の朝鮮半島で、金日成独裁下の北朝鮮か朴正熙独裁下の韓国を選べと迫っているようなもので、不毛な選択だなあ。(苦笑) > こう考えると、積極的に同盟を守ろうとしなかったヤンの気持ちがわかってくるから不思議です。やはり、あの小説世界では専制政治も自由な共産主義も止揚して、ローエングラム王朝のもとで立憲君主制を樹立するというのが、もっともまともな政治体制をうちたてる選択肢だったのでしょうか? 帝国側にたつと、明治期の大日本帝国 同盟側にたつと、君主の戻ってきた東欧諸国(少し違いますが) を連想しました。 夜な夜な居間のPCの前に座って打ち込んでいます。(昼間だと怒られるので) |
No. 4525 | |
Re:はじめまして | |
イッチー | 2003/08/27 00:07 |
> ところで同盟憲章とはどのような憲法なのでしょうか。教えていただければ幸いです。 同盟憲章がどのような憲法なのか、原作にも具体的な描写はなかったと思います。ただ、手がかりはあります。 1、アスターテ会戦後の戦没者追悼式典で、ヤンが「ここは自由の国です」「答えない自由を行使します」というセリフを述べていることから、ある程度の自由権・黙秘権が認められていることがうかがえます。 2、帝国領侵攻作戦を審議するときに、サンフォードが与党が過半数割れするかもしれないと言っていることから、複数政党制や自由選挙が保証されていることがわかります。 3、コミック版ではヤンが救国軍事会議のクーデターを鎮圧しているときに、シャンゴ星の市長という人物が同盟憲章に抵抗権が規定されていると述べています。 4、バーラトの和約後、同盟政府が反帝国の言論を取り締まろうとして反対運動が起きました。そこから、言論の自由が認められていることがわかります。 以上から、文面上は我々が想定するような普通の民主主義国の憲法なのではないでしょうか。 |
No. 4526 | |
Re:はじめまして | |
I.G | 2003/08/27 19:19 |
> 以上から、文面上は我々が想定するような普通の民主主義国の憲法なのではないでしょうか。 ありがとうございました。 うろおぼえなので、さだかではありませんが、中国の憲法にも各種の自由(言論・結社・示威など)を規定してあったと思います。 つまり、共産党の規定のない中国憲法が、同盟憲章にあたるのではないでしょうか。 |
No. 4527 | |
Re:はじめまして | |
Ken | 2003/08/27 22:54 |
こんばんは! 銀英伝本文が「同盟憲章」の内容に言及しているのは、次の六ヶ所です。 「軍法会議はともかく、査問会などというものは、同盟憲章にも、同盟軍基本法にも規定がありません」(雌伏篇第五章−1。フレデリカ) 「それを知っていてこういう話をしたのはな、いまさら旗色をごまかすこともできんし、盗聴の記録が法律上の証拠になることもないからだ。逆にこちらが、盗聴による人権侵害を訴えることもできる。政府に同盟憲章を尊重する気があれば、だがね」(同・第六章−2。ビュコック) 彼らは同盟憲章の条文にある「抵抗権」――人民が権力の不正に対して実力で抵抗する権利まで持ちだして、しぶる青年司令官を押しきったのである。(野望篇第七章−2) (バーラトの和約)第六条においては、帝国との友好を阻害する活動を禁止する国内法の制定が義務づけられ、レベロは「反和平活動防止法」の法案を議会に提出するとともに、言論および結社の自由を保障した同盟憲章第七条の期限つき停止を宣告しなくてはならなかった。(飛翔篇第二章−3) 「しかし、それは筋がちがうだろう。ヤン元帥がメルカッツ提督を逃亡させた、それが事実としても、その時点では未だバーラトの和約も反和平活動防止法も成立していない。法の遡及適用は同盟憲章のかたくいましめるところだぞ」(同・第五章−3。ホワン・ルイ) 自由惑星同盟においてさえ、一時は「憲章擁護局」なる機関が反共和思想をとりしまっていたというではないか。(乱離篇第八章−1) もっとも六番目は、同盟憲章の精神を大きくそこなうものですね。 |
No. 4529 | |
Re:はじめまして | |
イッチー | 2003/08/28 01:12 |
Kenさん、ありがとうございます!ものぐさで記憶だけで書き込みしていましたが、きちんと調べて書いてくださってありがたいです。 > 銀英伝本文が「同盟憲章」の内容に言及しているのは、次の六ヶ所です。 > > 「軍法会議はともかく、査問会などというものは、同盟憲章にも、同盟軍基本法にも規定がありません」(雌伏篇第五章−1。フレデリカ) 普通、憲法に軍法会議の規定はないと思いますが・・・。司法権の独立のところで、軍人の司法権は軍法会議に属するとでも規定されているのでしょうか。 > 「それを知っていてこういう話をしたのはな、いまさら旗色をごまかすこともできんし、盗聴の記録が法律上の証拠になることもないからだ。逆にこちらが、盗聴による人権侵害を訴えることもできる。政府に同盟憲章を尊重する気があれば、だがね」(同・第六章−2。ビュコック) 少なくとも、「通信の秘密」の規定はあるということですね。 > 彼らは同盟憲章の条文にある「抵抗権」――人民が権力の不正に対して実力で抵抗する権利まで持ちだして、しぶる青年司令官を押しきったのである。(野望篇第七章−2) コミック版のオリジナルかと思っていたら、ちゃんと書いてあったのですね。 > (バーラトの和約)第六条においては、帝国との友好を阻害する活動を禁止する国内法の制定が義務づけられ、レベロは「反和平活動防止法」の法案を議会に提出するとともに、言論および結社の自由を保障した同盟憲章第七条の期限つき停止を宣告しなくてはならなかった。(飛翔篇第二章−3) 同盟憲章第7条=言論および結社の自由が規定されていることがわかります。 > 「しかし、それは筋がちがうだろう。ヤン元帥がメルカッツ提督を逃亡させた、それが事実としても、その時点では未だバーラトの和約も反和平活動防止法も成立していない。法の遡及適用は同盟憲章のかたくいましめるところだぞ」(同・第五章−3。ホワン・ルイ) 法の遡及適用まで規定するなんて、随分細かいところまで気の効いた憲法ですね。 > 自由惑星同盟においてさえ、一時は「憲章擁護局」なる機関が反共和思想をとりしまっていたというではないか。(乱離篇第八章−1) 「憲章擁護庁」ではなく、「憲章擁護局」でしたか。 まとめると、同盟憲章に規定されていることが確実な内容は次のようになります。 ・軍法会議の設置 ・通信の秘密 ・人民の抵抗権 ・言論および結社の自由(第7条) ・法の遡及適用の禁止 内容的には抵抗権を認めるなど、かなり進歩的な憲法であることがうかがえます。ただ、気になるのは憲法で規定されていたとしても、どこまで守られているかということです。北朝鮮の憲法でも集会・結社・言論の自由は認められているわけで、登場人物がたびたび同盟憲章を持ち出す背景には、逆に憲章の規定が空文化して実際には守られていないという事情が同盟にあるのかもしれません。すると、我々がイメージするようなアメリカのような社会ではなく、同盟は旧ソ連や管理教育の弊害が叫ばされたころの日本のような集団主義的な社会なのかもしれません。それはそれで息苦しい社会ですが・・・。案外、フェザーンあたりに住むのが一番伸び伸び出来るのかもしれませんね。 |
No. 4530 | |
フェザーン | |
どーもさん | 2003/08/28 07:22 |
> 案外、フェザーンあたりに住むのが一番伸び伸び出来るのかもしれませんね。 あそこはあそこで、古代ギリシャの様に 「握手したら指の数を数え」ないといけない位の 生き馬の眼をぶっこ抜く厳しい生存競争が待っているのではないかと。 |
No. 4531 | |
Re:フェザーン | |
イッチー | 2003/08/29 00:19 |
> あそこはあそこで、古代ギリシャの様に > 「握手したら指の数を数え」ないといけない位の > 生き馬の眼をぶっこ抜く厳しい生存競争が待っているのではないかと。 帝国・・・社会は安定しており、ある程度道徳的な社会だが、アホな皇帝や貴族によって人生が狂わされることもある。また、人権の法の裏づけがなく、集会・結社・言論の自由がない。 同盟・・・帝国より自由度は高いが、集団主義的で、無秩序一歩手前の状態。人権は保障されているが、どこまでそれが守られているかは不明。 フェザーン・・・生活水準は一番高く、地球教に歯向かわない限りは何をしても自由。ただし、毎日が競争の毎日で心が休まることはない。 どこに生まれても不幸になりそうですね・・・。(泣) |
No. 4532 | |
Re:はじめまして | |
I.G | 2003/08/29 02:01 |
Kenさん、イッチーさんありがとうございました。 これらを参考にして同盟憲章を考えてみたいと思っています。(モデルは中国で) ところで、同盟憲章はいつ制定され、また改正されたことはあるのでしょうか。 小説では同盟の退廃は、帝国戦役以後始まったとありますが、これは憲法を時代にあわせて改変することができなかったからか(戦後日本のように)それとも人的な問題からか、考える価値はあると思うのですが、いかがでしょうか。 いま、ヤンに対するアンチテーゼとしての同盟軍人の心の葛藤を主題にした反銀英伝を考えていますが、登場時期以前に、「なぜ戦うのか」「生きる意味とは」といったキャラの根元となる部分でつまずいています。 特にSFは、人物描写だけではなく、社会背景なども矛盾なく構築しなくてはいけないので、かなりの資料を当たる必要があって本当に大変です。銀英伝における田中さんの偉大さを実感しました。 |
No. 4537 | |
Re:はじめまして | |
SAI | 2003/09/04 00:29 |
> 小説では同盟の退廃は、帝国戦役以後始まったとありますが、これは憲法を時代にあわせて改変することができなかったからか(戦後日本のように)それとも人的な問題からか、考える価値はあると思うのですが、いかがでしょうか。 はじめまして。同盟の退廃ですが、そりゃ100年以上も戦争 やっていれば誰がどうやろうとも退廃します。理由はいっぱい ありますが、一番大きな理由は経済が破綻することです。 戦争が続く限り、インフレが亢進し、国民の実質所得は 減ってゆく。それでも軍事費は減らせない以上、税金は年々 重くなる、軍事費に国家予算が大半が食われるため、教育や福祉と いった分野は切り捨てられてゆく。だが、一部の政治家や、軍人、 軍需産業は肥え太り、国民の生活は貧しくなってゆく。 これで退廃しないほうがおかしいわけです。退廃をとめるには 法律や理念をいじくりまわしてもしかたがない。どんな形で あれ戦争をやめることしかないわけです。 帝国と同盟の戦争は不可避であったとは思いますが、そのご だらだらと100年以上も続けるというのは愚行でしかないわけです。 戦争をさんざんやってきたアメリカが、いま外国からの借金だら けで、予算が無いから学校の授業時間を減らさざるをえなくなり、 国内の産業は外国から高度な部品を買わねばなり行かない、 かつて世界一の経済大国であった国ですらそうなってしまう ものです。 |
No. 4550 | |
憲章の前文、基本権 | |
石田 | 2003/09/12 21:05 |
自由惑星同盟憲章 前文 全能の神の名において 自由の民たる、われら自由惑星同盟国民は、 銀河連邦より続く民主共和制に対する責任を自覚し、 民主共和制の伝統を後世に伝えるべく、この憲章を制定する。 第1章 基本権 第1条 [国家秩序の基礎、抵抗権] (1) 自由惑星同盟は、民主的かつ社会的同盟国家である。 (2) すべての国家権力は、国民より発する。国家権力は、国民により、選挙および投票によって、ならびに立法、執行権および司法の特別の機関を通じて行使される。 (3) 立法は、憲法的秩序に拘束され、執行権および司法は、法律および法に拘束される。 (4) すべての同盟国民は、この秩序を除去しようと企てる何人に対しても、他の救済手段が存在しないときに限り、抵抗権を有する。 第2条 [人間の尊厳、基本権による国家権力の拘束] (1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。 (2) 同盟国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、平和および正義の基礎として認める。 (3) 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。 第3条 [人格の自由、人身の自由] (1) 何人も、他人の権利を侵害せず、かつ憲法的秩序または道徳律に違反しない限り、自らの人格の自由な発展を求める権利を有する。 (2) 何人も、生命に対する権利および身体を害されない権利を有する。人身の自由は不可侵である。これらの権利は、ただ法律の根拠に基づいてのみ、侵すことができる。 第4条 [法の前の平等] (1) すべての人は、法の前に平等である。 (2) 男女は、平等の権利を有する。 (3) 何人も、その性別、門地、人種、言語、出身地および血統、信仰または宗教的もしくは政治的意見のために、差別され、または優遇されてはならない。何人も、障害を理由として差別されてはならない 第5条 [婚姻、家族、非嫡出子] (1) 婿姻および家族は、国家秩序の特別の保護を受ける。 (2) 子の監護および教育は、両親の自然的権利であり、かつ何よりも先に両親に課せられた義務である。その実行については、国家共同社会がこれを監視する。 (3) 子は、親権者に故障があるとき、またはその他の理由で放置されるおそれのあるとき、法律の根拠に基づいてのみ、親権者の意思に反して家族から分離することができる。 (4) すべての母は、共同社会の保護と扶助を求める権利を有する。 (5) 非嫡出子に対しては、その肉体的および精神的発達ならびに社会におけるその地位について、立法により嫡出子と同じ条件が与えられる。 第6条 [信仰、告白の自由] (1) 信仰および良心の自由ならびに信仰告白および世界観の告白の自由は、不可侵である。 (2) 宗教的活動の自由は、保障される。 (3) 何人もその良心に反して、武器をもってする戦争の役務を強制されない。詳細は、同盟法で定める。 第7条 [表現の自由] (1) 何人も、言語、文書および図画をもって、その意見を自由に発表し、および流布し、ならびに一般に入手できる情報源から妨げられることなく知る権利を有する。出版の自由ならびに放送および放映の自由は、保障する。検閲は、行わない。 (2) これらの権利は、一般法律の規定、少年保護のための法律上の規定および個人的名誉権によって、制限される。 (3) 芸術および学問ならびに教授は、自由である。教授の自由は、憲法に対する忠誠を免除しない。 第8条 [集会の自由] (1) すべての同盟国民は、届出または許可なしに、平穏かつ武器を持たないで集会する権利を有する。 (2) 屋外の集会については、法律によって、または法律の根拠に基づいて、これを制限することができる。 第9条 [結社の自由] (1) すべての同盟国民は、団体および組合を結成する権利を有する。 (2) 目的または活動において刑法律に違反している結社、または憲法的秩序に反する結社は、禁止される。 (3)何人も、結社に加入し、または所属することを強制されない。 第10条 [通信の秘密] (1) 信書の秘密ならびに郵便および電気通信および恒星間通信の秘密は、不可侵である。 (2) 制限は、法律に基づいてのみ行うことができる。その制限が、自由で民主的な基本秩序の擁護、または同盟の存立もしくは安全の擁護のためのものであるときは、法律により、その制限が当事者に通知されないこと、および裁判上の方法に代えて、議会の選任した機関および補助機関によって事後審査を行うことを定めることができる。 第11条 [移動の自由] (1) すべての同盟国民は、同盟の全領域において移動の自由を有する。 (2) この権利は、法律によってまたは法律の根拠に基づいてのみ、かつ、十分な生活の基礎がなく、そのために公衆に特別の負担が生ずる場合、同盟の存立もしくは自由で民主的な基本秩序に対するさし迫った危険を防止するために必要な場合、伝染病の危険、自然災害もしくは重大な災害事故に対処するために必要な場合、または、青少年を非行化から守り、もしくは犯罪行為を防止するために必要な場合にのみ、これを制限することができる。 第12条[職業の自由、強制労働の禁止] (1) すべての同盟国民は、同盟の全領域において移転の自由を有する。 (2) 何人も、伝統的、一般的で、すべての者に平等に課せられる公共の役務の範囲内にある場合を除き、一定の労働を強制されてはならない。 (3) 強制労働は、裁判所で命ぜられる自由剥奪の場合に限り許される 第13条 [兵役義務と役務義務] (1) 男子に対しては、満18歳から軍隊、星系警備隊または民間防衛団における役務を義務として課すことができる。 (2) 良心上の理由から武器をもってする兵役を拒否する者には、代替役務を義務づけることができる。代替役務の期間は、兵役の期間を超えてはならない。 (3) 1項または2項による役務を課されていない兵役義務者に対しては、防衛事態において、法律によってまたは法律の根拠に基づいて、一般住民の保護を含む防衛の目的のための非軍事的役務の義務を労働関係において課すことができる。 (4) 防衛事態において、非軍事的衛生施設および治療施設における非軍事的役務給付の需要を志願に基づいて満たすことができないときは、満18歳から満55歳までの女子を、法律によってまたは法律の根拠に基づいて、この種の役務給付のために徴用することができる。 第13条 [住居の不可侵] (1) 住居は不可侵である。 (2) 捜索は、裁判官のみが、危険急迫のときは法律で定める他の国家機関も、命ずることができ、かつ法律の定める形式によってのみ行うことができる。 第14条 [所有権、相続権、公用収用] (1) 所有権および相続権は、これを保障する。内容および制限は、法律で定める。 (2) 所有権は、義務をともなう。その行使は、同時に公共の福祉に役立つべきものでなければならない。 (3) 公用収用は、公共の福祉のためにのみ許される。公用収用は、補償の方法と程度を規律する法律によって、または法律の根拠に基づいてのみ行うことが許される。補償は公共の利益と当事者の利益とを公正に衡量して決定しなければならない。補償の額に関して争いがあるときは、通常の裁判所への出訴が認められる。 第15条 [庇護権] 帝国において、政治的に迫害されている者は、庇護権を有する。 第17条 [請願権] 何人も、個人で、または他人と共同して、書面で、管轄の検閲および国民代表機関に対して、請願または苦情の申立てを行う権利を有する。 第18条 [防衛目的および代替役務に関する法律による基本権の制限] (1) 兵役および代替役務に関する法律は、軍隊または代替役務の所属員に対して、兵役または代替役務の期間中、言語、文書および図画によって意見を自由に表明・流布する基本権、集会の自由の基本権、ならびに他人と共同して請願や苦情を申し立てる権利を認める場合の請願権を制限する旨を定めることができる。 (2) 一般住民の保護を含む防衛のための法律は、移転の自由および住居の不可侵に関する基本権を制限する旨を定めることができる。 第18条 [基本権の喪失] 意見表明の自由、とくに出版の自由、教授の自由、集会の自由、結社の自由、信書、郵便および電気通信の秘密、所有権または庇護権を、自由で民主的な基本秩序を攻撃するために濫用する者は、これらの基本権を喪失する。喪失とその程度は、同盟憲法裁判所によって宣告される。 第19条 [基本権の制限] (1) この基本法が法律によって、または法律の根拠に基づいて基本権を制限することを認めている場合、その法律は、一般的に適用されるものでなければならず、個々の場合にのみ適用されるものであってはならない。さらに、その法律は、条文を挙示して基本権の名称を示さなければならない。 (2) いかなる場合にも、基本権は、その本質的内容を侵害されてはならない。 (3) 何人も、公権力によってその権利を侵害されたときは、出訴することができる。他の機関に管轄権がない限り、通常裁判所への出訴が認められる。 スイス憲法とドイツ基本法を元に考えてみました。 |
No. 4554 | |
Re:憲章の前文、基本権 | |
蜃気楼 | 2003/09/13 20:01 |
銀英伝世界では神はあまり信仰されていないと思うので、「全能の神の名において」というのは必要ないのでは?
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No. 4557 | |
Re:憲章の前文、基本権 | |
石田 | 2003/09/14 17:48 |
蜃気楼さん、はじめまして。 いぜんの「ザ・ベスト」で宗教についての考察をよんで、この点は迷ったんですが、今ほとんどの欧州憲法の前文には神の規定がありますし、銀英伝の世界でも(たとえ既存の宗教が廃れたとしても)地球教みたいな宗教がある以上、宗教の受け入れられる社会的下地はあるみたいなので、何らかの宗教が成立していると解釈しました。 具体的には既存の宗教的道徳がベースになったものだろうと考えました。これなら容易に人々に受け入れられると思うので。 |
No. 4560 | |
自由惑星同盟憲章前文(ソ連型) | |
イッチー | 2003/09/14 22:42 |
同盟は共産主義に近いという指摘があったので、こんな前文はどうでしょう?元ねたはソ連のブレジネフ憲法(1977年)です。→http://members.aol.com/Kanaiwww/LIB/Kenpo.html 銀河帝国内で不当な弾圧を受けていた民主共和主義者が、アーレ・ハイネセンの指導のもとになしとげた長征1万光年は、不当なる簒奪者・ゴールデンバウム家とその取り巻きたちの権力を打倒し、抑圧の鉄鎖を打ちくだき、民主共和主義者の権力を確立し、新しい型の国家であり、人類の自由獲得の不屈なる闘争の成果の防衛および民主主義と共和主義の建設の基本的手段である自由惑星同盟をつくりだした。封建主義から民主共和主義への人類の世界史的な転換がはじまった。 大祖国戦争(ダゴン星域会戦)で歴史的勝利をおさめた自由惑星同盟人民とその軍隊の不滅の偉業は、民主共和主義の力をかがやかしくしめした。この勝利は、自由惑星同盟の権威と全銀河における地位を強固なものにし、全銀河の共和主義、民族解放、民主主義および平和の勢力の成長のために、新しい有利な条件をつくりだした。 自由惑星同盟の勤労者はその創造的活動をつづけ、国の急速で全面的な発展と民主主義体制の改善を保障した。労働者階級、農民階級および人民的インテリゲンチャの同盟と、自由惑星同盟の諸民族と諸小民族の友好が強固なものになった。労働者階級を主導力とする同盟社会の社会的、政治的および思想的な統一が形成された。自由惑星同盟は民主共和主義者による独裁の任務をはたしおえて、全人民国家となった。 自由惑星同盟において、発達した民主共和主義社会が建設された。この、民主共和主義がそれ自身の基礎のうえに発展する段階においては、新しい体制の創造力と民主共和主義的生活様式の優位性が、ますます明白になり、勤労者は偉大な革命的達成の果実をますます広範に享受している。それは、強力な生産力および先進的な科学と文化がつくりだされ、人民の福祉がたえず向上し、個人の全面的発展にとり、ますます好ましい条件がつくられつつある社会である。 それは、成熟した民主共和主義的社会関係の社会であり、そこでは、すべての階級と社会的階層の接近およびすべての民族と小民族の法律上、事実上の平等とかれらの兄弟的協力にもとづいて、人びとの新しい歴史的共同体すなわち同盟人民が形成された。それは、愛国者であり、国際主義者である勤労者が高度の組織性、思想性および自覚をもつ社会である。それは、各人の幸福についての万人の配慮と万人の幸福についての各人の配慮が、生活のおきてとなっている社会である。 それは、真の民主主義の社会であり、その政治システムは、すべての社会的なことがらの効果的な管理、国家生活への勤労者のますます積極的な参加ならびに市民の現実的な権利および自由とかれらの義務および社会にたいする責任との結合を保障する。 発達した民主共和主義社会は人類史の発展法則にかなった唯一の社会である。 自由惑星同盟の最高の目的は、民主共和主義的自治が発達している無階級の単一人類社会の建設である。民主共和主義的全人民国家の主要な任務は、未だ銀河帝国を僭称する民主主義の敵対者たちを打倒し、彼らが不当に占拠する社会を民主共和主義的社会に改造し、民主共和主義社会の人間をそだて、勤労者の物質的および文化的な生活水準をかため、国の安全を保障し、平和の強化および国際協力の発展を促進することである。 自由惑星同盟人民は、 民主共和主義の思想にみちびかれ、その革命的伝統を忠実にまもり、 民主主義の偉大な社会的、経済的および政治的な成果に立脚し、 民主共和主義のいっそうの発展につとめ、 人類社会における単一の政治体制の建設という同盟の人類史的使命を考慮し、自らの人類史的責任を自覚し、 銀河連邦の思想と原則を継承し、 同盟の社会体制および政策の諸原則を確認し、市民の権利、自由および義務ならびに民主共和主義的全人民国家の組織原則および目的を確定し、これらをこの憲法のなかで宣言する。 |
No. 4561 | |
Re:自由惑星同盟憲章前文(ソ連型) | |
石田 | 2003/09/14 23:16 |
最高のパロディーですね。 僕も初め、中国憲法を元ネタに使おうと考えましたが、前文がすばらしすぎて(上のモノと似たようなものです。)僕の乏しい文章能力では改ざんできませんでした。 |
No. 4563 | |
自由惑星同盟憲章前文(中国型) | |
イッチー | 2003/09/15 01:15 |
中華人民共和国憲法でもやってみましたが、やはりソ連憲法よりやりにくいですね。日本語訳は、http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/4550/china-kenpou.html#前文に依りました。 自由惑星同盟は、人類全体を代表する唯一の国家である。同盟の諸民族人民は、輝かしい文化を共同で作り上げており、また、栄えある革命の伝統を持っている。 宇宙暦310年、銀河連邦は、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムをはじめとする簒奪者たちによって、息の根を止められた。これは同時に、民主共和主義の苦難の歴史の始まりであった。しかし、民主共和主義者たちは、個人の独立、民族の解放並びに民主と自由のために、戦友の屍を乗り越えて突き進む勇敢な闘いを続けてきた。 銀河連邦の消滅から百数十年がたって、全銀河には天地を覆すような偉大な歴史的変革が起こった。 アーレ・ハイネセンの指導する長征1万年光年の敢行は、民主共和主義再興の歴史の第一歩となるものであった。そして、ハイネセンの遺志を受け継ぐ、グエン・キム・ホアを中心とする民主共和主義者たちは、長期にわたる困難で曲折に富む闘争を経て、ついにバーラト星系へと到達し、宇宙暦527年、自由惑星同盟を樹立した。この時から、人民は、再び国家の権力を掌握して、国家の主人公になった。 自由惑星同盟の成立後、人が人を搾取する制度は消滅して、民主主義制度が確立した。そして、同盟人民及び同盟軍は、銀河帝国の侵略、破壊及び武力挑発に打ち勝ち、国家の独立と安全を守り、国防を強化した。経済建設では、大きな成果を収め、独立した、比較的整った工業体系がほぼ出来上がり、農業生産も著しく高められた。教育、科学、文化等の事業は、大きな発展を遂げ、民主共和主義思想の教育では、顕著な成果を収めた。広範な人民の生活は、かなり改善された。 ダゴン星域会戦における同盟の勝利と民主共和主義事業の成果は、真の民主共和主義者たちが同盟の各民族人民を指導し、民主共和主義及びアーレ・ハイネセン思想の導きの下に、真理を堅持し、誤りを是正し、多くの困難と危険に打ち勝って獲得したものである。我が国の根本的任務は、力を集中して民主共和主義現代化の建設をする事にある。同盟の各民族人民は、引き続き真の民主共和主義者たちの指導の下に、民主共和主義、アーレ・ハイネセン思想及びグエン・キム・ホア理論に導かれて、民主共和主義の道を堅持し、民主共和主義の各種制度を絶えず完備し、経済を発展させ、 民主共和主義的法制度を健全化し、自力更正及び刻苦奮闘につとめて、着実に工業、農業、国防及び科学技術の現代化を実現し、我が国を富強、民主的、かつ、文明的な民主共和主義国家として建設する。 我が国では、貴族階級は、階級としては既に消滅したが、なお一定の範囲で階級闘争が長期にわたり存在する。同盟人民は、我が国の民主共和主義制度を敵視し、破壊する国内の敵対勢力及び敵対分子と闘争しなければならない。 銀河帝国は、自由惑星同盟の神聖な領土の一部である。人類社会の統一の大業を成し遂げることは、帝国の同胞を含む全人類の神聖な責務である。 民主共和主義の建設という大きな仕事は、労働者、農民及び知識分子に依拠し、団結できるすべての勢力を団結しなければならない。長期にわたる革命と建設の課程で、真の民主共和主義者たちが指導し、民主的諸党派及び人民諸団体に参加する民主共和主義的勤労者並びに民主共和主義を支持し、あるいは人類社会の統一を支持する愛国者のすべてを一つにまとめた広範な愛国統一戦線が、すでに結成されている。この統一戦線は、引き続き強固となり、発展するであろう。自由惑星同盟最高評議会は、広範な代表性を持つ統一戦線の組織として、これまで重要な歴史的役割を果たしてきたが、今後、国家の政治生活、社会生活及び対外的な友好活動において、また、民主共和主義的現代化の建設を進め、国家の統一と団結を守る闘いにおいて、更にその重要な作用を発揮するであろう。真の民主共和主義者たちによる指導の下における多党協力及び最高評議会制度は長期にわたり存在し、発展するであろう。 自由惑星同盟は、全人類の諸民族人民が共同で作り上げ、統一した多民族国家である。平等、団結及び相互援助の民主共和主義的民族関係は、すでに確立しており、引き続き強化されるであろう。民族の団結を守る闘争の中では、大民族主義、主として大ゲルマン民族主義に反対し、また、地方民族主義にも反対しなければならない。国家は、全力を尽くして全国諸民族の共同の繁栄を促進させる。 同盟の革命と建設の成果は全人類の支持と切り離すことができない。同盟の前途は、人類の前途と緊密につながっている。また、帝国主義、独裁主義及び封建主義に反対することを堅持し、全銀河人民との団結を強化し、抑圧された民族及び星系が民族の独立を勝ち取り、守り、民族経済を発展させる正義の闘争を支持して、全宇宙の平和を確保し、人類の進歩を促進するために努力する。 この憲章は、同盟の諸民族人民の奮闘の成果を法の形式で確認し、国家の基本となる制度及び任務を定めたものであり、最高の法的効力を持つ。全国の諸民族人民並びにすべての国家機関、武装力、政党、社会団体、企業及び事業組織は、いずれもこの憲章を活動の根本準則とし、かつ、この憲章の尊厳を守り、この憲章の実施を保障する責務を負わなければならない。 |
No. 4565 | |
Re:憲章の前文、基本権 | |
蜃気楼 | 2003/09/15 23:46 |
> 蜃気楼さん、はじめまして。 > いぜんの「ザ・ベスト」で宗教についての考察をよんで、この点は迷ったんですが、今ほとんどの欧州憲法の前文には神の規定がありますし、銀英伝の世界でも(たとえ既存の宗教が廃れたとしても)地球教みたいな宗教がある以上、宗教の受け入れられる社会的下地はあるみたいなので、何らかの宗教が成立していると解釈しました。 > 具体的には既存の宗教的道徳がベースになったものだろうと考えました。これなら容易に人々に受け入れられると思うので。 「ほとんど」と言うのはどういった根拠で言っているのでしょうか? 何ヶ国中何ヶ国で神の規定があったのでしょうか? 手元にある「世界は「憲法前文」をどう作っているか」によると、 憲法前文に神の規定があるのはアイルランド、スイス、ドイツ、モナコ、リヒテンシュタインの5ヶ国。 グレーゾーンなのがポ−ランド、ギリシャの2ヶ国。 クロアチア、チェコスロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ユーゴスラビア、アンドラ、イタリア、スペイン、フィンランド、フランスの10ヶ国は規定がありません。 旧西側諸国に限っても、5対5で拮抗しています。 17国だけではサンプル数が不足しているとは思いますので、私が調べられなかった国についての調査結果をお持ちでしたらお教えください。 仏教国で、神仏について触れている例があるとのことですがどういった内容でしょうか?わたしが知る限りではただ単に仏教暦を使っている国しか有りません。 世界的に見ても前文に神の規定がある国はだいたい半分くらいです。 そしてこれらの国にはある共通点があります。 (1) 国教もしくはそれに準ずる国民の大多数が信仰する宗教がある。 (2) またその宗教はキリスト教かイスラム教である。 |
No. 4570 | |
Re:憲章の前文、基本権 | |
石田 | 2003/09/16 20:36 |
> 「ほとんど」と言うのはどういった根拠で言っているのでしょうか? > 何ヶ国中何ヶ国で神の規定があったのでしょうか? > 手元にある「世界は「憲法前文」をどう作っているか」によると、 > 憲法前文に神の規定があるのはアイルランド、スイス、ドイツ、モナコ、リヒテンシュタインの5ヶ国。 > グレーゾーンなのがポ−ランド、ギリシャの2ヶ国。 > クロアチア、チェコスロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ユーゴスラビア、アンドラ、イタリア、スペイン、フィンランド、フランスの10ヶ国は規定がありません。 > 旧西側諸国に限っても、5対5で拮抗しています。 > 17国だけではサンプル数が不足しているとは思いますので、私が調べられなかった国についての調査結果をお持ちでしたらお教えください。 僕が調べたのは、蔵書の「世界憲法集」(三省堂)に載っている10カ国だけでして、そのうち「神」や「創造主」といった言葉が使われていたのは4カ国だけでした。 この件について、「ほとんど」と言い切ったのは僕の間違いでした もし「ほとんど」と使いたければ、「憲法の条文に各国の文化(宗教を含む)が色濃く反映されている」とすべきですね。 蜃気楼さん、建設的な批判ありがとうございました。ところで「世界は「憲法前文」はどこの出版社から出ているんですか。 教えてください。 > 仏教国で、神仏について触れている例があるとのことですがどういった内容でしょうか?わたしが知る限りではただ単に仏教暦を使っている国しか有りません。 僕がしらべたのは、タイ・カンボジアの二カ国です。 タイ憲法の場合、蜃気楼さんのおっしゃるように、「仏」という言葉はありませんが、わざわざこの西暦全盛期の時代に「仏暦」とことわっていることから、「仏」の規定があると解釈しました。 カンボジアの場合、前文が無いのでいささかずれると思いますが、第13条に 「国王死去から7日以内に、王冠評議会が新国王を選ぶ。王冠評議会は、国会議長、首相、仏教界最高指導者2人、国会第1、2副議長で構成する。」 とありますので、国政に深く宗教がかかわっていることがわかります。 もっとも「前文」と限定した僕の方に非があると思いますので、憲法内にあると解釈していただければ納得していただけるかと。 > 世界的に見ても前文に神の規定がある国はだいたい半分くらいです。 > そしてこれらの国にはある共通点があります。 > > (1) 国教もしくはそれに準ずる国民の大多数が信仰する宗教がある。 > (2) またその宗教はキリスト教かイスラム教である。 > これは、おっしゃるとうりですね。 少なくとも、少数民族をたくさんかかえているロシアやインドには、「神」という言葉はまったく使われていません。 どうも「神」と聞くと、基督だろうと、アッラーだろうとアーリマンでもシバでもケツアコアトルでも、みんな「神」だからいいだろうと思ってしまうんですが、こんな無節操は通用しないんでしょうね。 |
No. 4572 | |
Re:自由惑星同盟憲章前文(中国型) | |
石田 | 2003/09/17 12:48 |
> 中華人民共和国憲法でもやってみましたが、やはりソ連憲法よりやりにくいですね。日本語訳は、http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/4550/china-kenpou.html#前文 に依りました。 イッチーさん、こんにちは。 完璧ですね。本当に笑えました。 でも、ヤン曰く、「ハイネセンが銅像を喜ぶとは思えない」とのことでしたが、ここまで彼を神にするとヤンはどう言うか。 考えると面白いです。 |
No. 4576 | |
Re:自由惑星同盟憲章前文(中国型) | |
イッチー | 2003/09/18 02:11 |
> でも、ヤン曰く、「ハイネセンが銅像を喜ぶとは思えない」とのことでしたが、ここまで彼を神にするとヤンはどう言うか。 > 考えると面白いです。 朝鮮半島の某国のように、学校の科目に「アーレ・ハイネセンの革命思想」とかあれば面白いのですが。(笑) ところで、最近、議論の的になっている自由惑星同盟憲章前文ですが、本編中における宗教の記述が地球教を除いて極端に少ないことから、私も前文に神云々の記述はないと思います。おそらく、同盟では宗教の代わりにハイネセン崇拝や民主共和主義というイデオロギー自体が国民の道徳の基礎になっていると思いますので、冗談抜きで同盟憲章前文は社会主義諸国の憲法前文に近いものになっているような気がします。 |
No. 4578 | |
Re:憲章の前文、基本権 | |
蜃気楼 | 2003/09/18 22:04 |
> 蜃気楼さん、建設的な批判ありがとうございました。ところで「世界は「憲法前文」はどこの出版社から出ているんですか。 > 教えてください。 TBSブリタニカです。 |
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