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反銀英伝・思考実験編
8−A

半銀英伝・大日本英雄伝説?(1)


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No. 2313
半銀英伝?・大日本英雄伝説
イッチー 2002/07/15 05:27
1868年、明治新政府の方針に反発する江戸幕府・海軍副総裁、榎本武揚を中心とする旧幕臣たちは、蝦夷(現在の北海道)に渡り、蝦夷を支配していた松前藩を打ち破ると、榎本を総裁とする新国家を樹立した。総裁をはじめ、政府の閣僚は選挙で選ばれ、榎本の国は「蝦夷共和国」と呼ばれ、諸外国は事実上の独立国として扱った。蝦夷共和国の力の源泉は当時の日本で最強の旧幕府海軍を保有していたことにあったが、旗艦「開陽」が沈没したことで蝦夷共和国の海軍力は弱体化し、箱館戦争によって明治新政府軍が蝦夷を制圧すると、蝦夷共和国は消滅したのである・・・。

 しかし、もし、「蝦夷共和国」が消滅しなければ、近代の日本史は銀河帝国ならぬ大日本帝国と自由惑星同盟ならぬ蝦夷共和国との戦い・・・まさに銀英伝の世界となっていたのではないでしょうか?で、もしも「開陽」が沈没しなければ・・・。

1869年、蝦夷の制圧を目論む明治新政府軍(大日本帝国軍)は津軽海峡海戦で蝦夷共和国軍に敗退。蝦夷共和国は独立を確かなものとした。そして、明治維新に不満を持つ士族たちを吸収して、蝦夷共和国はますます国力を拡張させていった。1873年、征韓論をきっかけに西郷隆盛・板垣退助・江藤新平らが帝国政府を去るが、鹿児島に帰郷した西郷以外は蝦夷共和国に渡り、共和国建設に尽力した。帝国政府は何度も蝦夷を攻略しようとしたが、蝦夷の海軍力に圧倒された。初代総裁・榎本が亡くなると、蝦夷共和国は広大な石狩平野の真ん中に新首都・榎本市を建設し、榎本記念大学には巨大な「国父・榎本武揚」の像を建設した。
しかし、1930年代には蝦夷共和国の指導者たちは次第に建国の理想を忘れていき、腐敗していった。一方、帝国内部でも民衆の苦しみをよそに財閥・政治家たちは私利私欲におぼれていた。このとき、帝国に一人の軍人天才が出現する。姉を海軍指導者に妾として奪われた青年士官は友人とともに青年将校のクーデター計画に参加していく・・・。一方、蝦夷共和国でも一人の奇才が名の上げようとしていた。函館に上陸した帝国軍から民間人を救出し「函館の英雄」と呼ばれた男。この両名がその後の日本民族の歴史を大きく変えていくことになる・・・。

榎本武揚はアーレ・ハイネセンだったわけですね。(笑)そして、クラークの像の代わりには「国父榎本武揚」の像がかざってあるわけですね。(笑)ところで上記の設定でラインハルトにあたる人物とヤンにあたる人物については好きな名前をあてはめて続きを書いてください。(笑)


No. 2314
Re:半銀英伝?・大日本英雄伝説・補足
イッチー 2002/07/15 14:43
私が一見、関係ない大日本帝国と蝦夷共和国の話をしたのは、ローエングラム王朝が明治の日本に似ていると思ったからです。

・数百年続いた封建制を打破している点(鎌倉時代から数えれば700年におよぶ武士の支配を明治維新は打ち倒した。ラインハルトは500年続いたゴールデンバウム朝を倒した)
・下級の貴族や平民が「革命」の中心となっている点(明治維新はご存知のように下級武士が中心でした)
・旧来の支配階級の特権を廃止しているが、完全に支配権は否定していない(明治政府は武士の特権は廃止したが、華族・士族などの身分の呼称は残した。ラインハルトは門閥貴族の領地を没収したが、貴族制を否定したわけではない)
・皇帝と革命の功臣による独裁政治
・上からの革命
さらにローエングラム朝がユリアンの求めた憲法と議会を制定すると、皇帝専制を前提としたものがつくられると思いますが、それって大日本帝国憲法と帝国議会みたいなものじゃないでしょうか?ちなみに当時の自由民権運動家がつくった憲法草案では国民の権利は皇帝(天皇)によって保証されるとなっていたそうで、国民主権という考え方は明治時代の日本ではほとんど存在しなかったそうです。う〜ん、自由民権派って、銀河帝国の改革派に似た思考回路だったのだなあ。

田中芳樹はおそらく、戦前の大日本帝国を明治時代であっても否定する考えの持ち主で、司馬遼太郎とは相容れない思想の持ち主と思いますが、銀英伝の世界観が司馬史観に近づいているのは矛盾しているような気が・・・と思っていたところで、蝦夷共和国の話を思い出して、これって銀河帝国=大日本帝国に対する自由惑星同盟じゃないかと思い、投稿させていただいたわけです。


No. 2316
イッチーさんの補足
匿名希望 2002/07/15 18:04
> 帝国憲法下において、民主主義という言葉は使えませんでした

したがって、「民主主義」の同義語として「民本主義」という言葉を使っていました。
だから、民主主義という言葉がなかっただけで、思想的なものは存在していました。


No. 2317
Re:半銀英伝?・大日本英雄伝説
優馬 2002/07/16 00:47
優馬です。蝦夷共和国の話、とても面白いですね。
What if 型の仮想歴史SFとしても、着眼点が面白い!

 ただまぁ無粋を承知で申し上げるんですけど、もし「蝦夷共和国」が出来ていたとしたら、ロシアとの関係はどうなっていたのでしょう?

 独立間もない蝦夷共和国が、ロシア海軍をも撃破できたというのはさすがに考えにくい(バルチック艦隊までは投入されないにせよ)。そうすると、ロシアに奪られるか保護領とされるか。そうすると新生・明治日本の独立はアッという間に風前の灯火ですね。

もし小説にするのなら、榎本武揚がどんな権謀術数を用いてロシアの干渉をいかに斥けるかというあたりがうまく描けるかどうかということになりそう。

・・・やっぱり、大宇宙に国が二つ(フェザーン入れても3つ)というのは不自然なんでしょうなぁ。五胡十六国になってもヨイのに。


No. 2318
Re:半銀英伝?・大日本英雄伝説
イッチー 2002/07/16 03:11
> 優馬です。蝦夷共和国の話、とても面白いですね。
> What if 型の仮想歴史SFとしても、着眼点が面白い!

ありがとうございます。小説として売り出せばけっこう受けると思うのですが、誰か書きませんかねえ。(私はいささか自信がない)


>  ただまぁ無粋を承知で申し上げるんですけど、もし「蝦夷共和国」が出来ていたとしたら、ロシアとの関係はどうなっていたのでしょう?
>
>  独立間もない蝦夷共和国が、ロシア海軍をも撃破できたというのはさすがに考えにくい(バルチック艦隊までは投入されないにせよ)。そうすると、ロシアに奪られるか保護領とされるか。そうすると新生・明治日本の独立はアッという間に風前の灯火ですね。
>
> もし小説にするのなら、榎本武揚がどんな権謀術数を用いてロシアの干渉をいかに斥けるかというあたりがうまく描けるかどうかということになりそう。

もともと江戸幕府とフランスは良好な関係を持っていて、当時、フランスは幕府から受注されていた「甲鉄」という軍艦の建造をおこなっていました。しかし、「開陽」沈没の報を聞いて、明治政府に売ってしまいました。もしも、開陽が沈まなければ、フランスは蝦夷共和国に肩入れしていたかもしれません。それに当時はアメリカがアラスカをロシアから購入した時期で蝦夷に対する関心も高かったでしょう。フランス・アメリカの力を借りながらなんとなくロシアに対抗できないでしょうか。


> ・・・やっぱり、大宇宙に国が二つ(フェザーン入れても3つ)というのは不自然なんでしょうなぁ。五胡十六国になってもヨイのに。

宇宙開発がすすんでも、私も世界政府が誕生するとは思えません。日本系・アメリカ系・ヨーロッパ系・中国系・ロシア系の政府が宇宙につくられ、いつまでも対立していそうな気がします。


No. 2319
Re:イッチーさんの補足
イッチー 2002/07/16 03:22
> >>帝国憲法下において、民主主義という言葉は使えませんでした
> したがって、「民主主義」の同義語として「民本主義」という言葉を使っていました。
> だから、民主主義という言葉がなかっただけで、思想的なものは存在していました

「民本主義」というのは大正時代になってから出来た言葉ですね。自由党がフランス流の共和政治を理想に掲げるなど、明治時代は民主主義に対しても割合自由に論議することができました。それでも、「抵抗権」まで含めた最も過激な憲法草案とされた植木枝盛の憲法草案でも天皇はアメリカ大統領に擬せられ、強大な権利が付与されていました。ここからは、私見なのですが、江戸時代末期、日本にはナポレオンの存在が紹介され、閉塞化した社会を打ち破る英雄として知識人の間で崇拝されていました。明治時代になっても、ナポレオン=明治天皇として天皇の力で国民の権利を伸長させようという考え方が残ったのではないでしょうか?明治時代の日本人にとって、明治天皇はナポレオンであり、ラインハルトであったのです。(私は司馬史観に完全に与するものではありませんが・・・)


No. 2320
md
駆け出し 2002/07/16 03:40
駆け出しでございます。

横レスで失礼いたします。

イッチーさんの書き込み、興味深く拝読いたしました。

もし、蝦夷共和国が成立していたとしたら、希代の喧嘩屋・土方歳三はどうなっていたでしょうね?

戦略戦術家としての土方のすごみは、榎本をはるかにしのくとおもうのですが。いかがなものでしょうか?


No. 2321
蝦夷共和国
匿名希望 2002/07/16 06:15
ロシアの問題もさるものながら、フランスとイギリスの代理戦争のしんぱいもあるのでは


No. 2324
Re:md
イッチー 2002/07/16 22:11
> もし、蝦夷共和国が成立していたとしたら、希代の喧嘩屋・土方歳三はどうなっていたでしょうね?
>
> 戦略戦術家としての土方のすごみは、榎本をはるかにしのくとおもうのですが。いかがなものでしょうか?

駆け出しさま、初めまして。
実は私は、明治史に詳しいわけではなく、土方歳三についてもよくわからないのですが、調べてみると、土方は蝦夷共和国では陸軍奉行並(陸軍次官の意味か?)となっているのですね。しかし、共和国の基盤が固まれば、その名声からして、国防の責任者、あるいは総裁(国家元首)にも推されたのではないでしょうか?
蝦夷共和国の建国から描いても「大日本英雄伝説」の登場人物には事欠かないようですね。(すいません。土方については日テレの年末時代劇「五稜郭」で渡哲也が演じていたことくらいしか知らないのです・・・)


No. 2325
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/16 22:22
> ロシアの問題もさるものながら、フランスとイギリスの代理戦争のしんぱいもあるのでは

その心配はありますね。榎本は最初、朝廷に蝦夷地の開拓権を自分に与えるよう訴えていたそうなので、一番良いのは明治政府に勝利を収めた後に、蝦夷地の支配権を朝廷に返上する見返りに蝦夷地を自治区として、榎本自ら自治政府首班に就くのが良いのではないでしょうか?バーラト自治区みたいな感じで。鉱産資源に恵まれ、広大な土地を持つ蝦夷自治区の方がバーラト自治区より展望は明るいと思いますが・・・。
フランス・イギリスが介入するというシナリオはかなり複雑になりそうですね。しかし、すぐフランスは普仏戦争に突入して、プロイセンに敗れるので蝦夷共和国に介入する余裕はなくなるのではないでしょうか?


No. 2334
Re:蝦夷共和国
優馬 2002/07/17 20:36
優馬です。

> > ロシアの問題もさるものながら、フランスとイギリスの代理戦争のしんぱいもあるのでは

戊辰戦争も「フランスとイギリスの代理戦争」となっていた可能性、ありましたよね。
幕府側に肩入れしていたフランス、もし幕府から要請があっていれば出兵していた可能性がないわけではない。普仏戦争を控えてヨーロッパ情勢が緊迫していたという事情はあるにせよ。

英仏の介入→戊辰戦争泥沼化→英仏の本格介入→英仏軍の常時駐留

というシナリオは、「あり得た未来」だったと思います。
こうなると、インドと同じで植民地化一直線。

幕府も薩長も「列強の干渉を招かない」という危機意識は共通していたんですね。榎本武揚にも、当然その意識はあったと思います。蝦夷共和国が成立していても、どこかの時点で東京政府と攻守同盟を結んでいたのではないかと。あっ!「蝦夷共和国」がもし出来ていたら、安全保障上から言っても東京は前線に近すぎますね。とすると東京遷都はない。明治政府は「京都政府」になっていたかも??


No. 2339
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/19 02:19
> 幕府も薩長も「列強の干渉を招かない」という危機意識は共通していた
>んですね。榎本武揚にも、当然その意識はあったと思います。蝦夷共和国が成立していても、どこかの時点で東京政府と攻守同盟を結んでいたのではないかと。あっ!「蝦夷共和国」がもし出来ていたら、安全保障上から言っても東京は前線に近すぎますね。とすると東京遷都はない。明治政府は「京都政府」になっていたかも??

蝦夷共和国が明治政府に勝利しても、明治政府と榎本が共に外国の介入に対する危機感を共有していたならば、榎本が蝦夷を朝廷に献上→榎本が北海道自治区主席に任命され、北海道開拓の全権を与えられるという結果(銀英伝で言うところのバーラト自治区のような)で終わったかもしれません。銀英伝風に言うならば、明治政府との交渉に向かった榎本は、和平を望まないフランスの刺客に暗殺され、北日本は再び戦乱の渦に!という感じになるでしょうか(笑)そして、鹿児島で西郷隆盛が反乱を起こすと、蝦夷から東北に攻め込めと密使を送る。(笑)
蝦夷共和国が成立しても、明治政府は東北地方が蝦夷になびくのを恐れて、東北ににらみをきかせるために、東京遷都はおこなわれるのではないでしょうか?

 ところで、私はゴールデンバウム王朝=江戸幕府、ローエングラム王朝=明治政府、リップシュタット同盟=奥羽越列藩同盟、イゼルローン共和政府=蝦夷共和国、自由惑星同盟=銀英伝発表当時の日本国に見えて、銀英伝が妙に日本的な話に思えて仕方がないのですが。(苦笑)ちなみに私は心情的には奥羽越列藩同盟派なのですが。


No. 2340
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/19 03:28
> 蝦夷共和国が明治政府に勝利しても、明治政府と榎本が共に外国の介入に対する危機感を共有していたならば、榎本が蝦夷を朝廷に献上→榎本が北海道自治区主席に任命され、北海道開拓の全権を与えられるという結果(銀英伝で言うところのバーラト自治区のような)で終わったかもしれません。

北海道自治区が成立するとした場合は、大英帝国とオーストラリアの関係、と言った方がしっくり来るのでは。
いわゆる反体制派を放りこむ自然の牢獄と言うような感じで。
独立するかどうかは別問題ですが。
独立する場合は誰か適当な皇族を天皇に立てて、南北朝として成立させる。
自治区の場合は天皇の宗主権を認めた自治区と言う形になるでしょうが。

さて蝦夷地独立の可能性ですが、立ち枯れる可能性が極めて高いと思います。
理由としては人口不足と資金不足があります。
当時日本人の領域は函館や松前を中心とした地域で、そこに少数しか住んでいないわけです。
あとはアイヌの土地で人口もそう多くは無いでしょう。
榎本が引き連れてきた人間はせいぜい数千人、とてもじゃないが足りないでしょう。
資金的には所謂小栗上野介の徳川埋蔵金でもあれば別ですが、
北海道を開拓に足る資金があるとは思えません。
軍事的には開陽ある限り当分新政府軍は蝦夷地には上陸出来ないでしょうが、
数年後に開陽以上の軍艦を入手し制海権を確保した時、榎本の壊滅は必至です。

やはり生き残るには新政府との講和が必要でしょう。
手段としては、蝦夷地に不平士族や移民を受け入れ、開拓に専念。
また受け入れの見返りに援助を入手、国力を高めていく。
つまり、日本のオーストラリアになるしか道が無いように思います。

独立の最悪のシナリオは、蝦夷地独立を某国が承認後、
某国に宣戦を布告され、蝦夷が敗北し某国の領土になる。
某国が何処とは確定できません、この時代は帝国主義の時代ですし弱い事は罪とされてましたから。



> 蝦夷共和国が成立しても、明治政府は東北地方が蝦夷になびくのを恐れて、東北ににらみをきかせるために、東京遷都はおこなわれるのではないでしょうか?

東京遷都の理由は第1候補の大阪は政府が無くても商業で立ち行くのに対して、
江戸は政府が無いと立ち行かなくなるからだったと記憶しています。
この事から考えますと東京遷都は行われたと思います。
行われない場合は不平士族が増え、蝦夷地への移民の増加により国力が高まる可能性がありますね。


戊辰戦争については柘植久慶氏が3冊のシミュレーション小説を書かれています。
自分としては悪い出来ではないと思いますので、読んでみるのも悪くは無いと思います。


No. 2342
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/19 23:19
> やはり生き残るには新政府との講和が必要でしょう。
> 手段としては、蝦夷地に不平士族や移民を受け入れ、開拓に専念。
> また受け入れの見返りに援助を入手、国力を高めていく。
> つまり、日本のオーストラリアになるしか道が無いように思います。

不平分子の吸収先として北海道自治区が存続していくという可能性は私も考えました。明治政府も不平士族(そしてその後は自由民権派や社会主義者)の吸収先として積極的に北海道自治区を利用していくというシナリオが一番可能性が高い気がします。そうすると、帝国対同盟という構図は近代日本には無理なようですね


> 独立の最悪のシナリオは、蝦夷地独立を某国が承認後、
> 某国に宣戦を布告され、蝦夷が敗北し某国の領土になる。
> 某国が何処とは確定できません、この時代は帝国主義の時代ですし弱い事は罪とされてましたから。

このシナリオは明治政府も榎本も避けたいところでしょうね。


No. 2343
Re:蝦夷共和国
S.K 2002/07/20 00:58
 途中参加、失礼します。


> 不平分子の吸収先として北海道自治区が存続していくという可能性は私も考えました。明治政府も不平士族(そしてその後は自由民権派や社会主義者)の吸収先として積極的に北海道自治区を利用していくというシナリオが一番可能性が高い気がします。

「蝦夷共和国」という恰好の「敵国」があって「不平士族」というカテゴリーが発生しうるでしょうか?
 明治政府にとって蝦夷共和国は
1.もともと日本の領土(まあアイヌ民族問題はさておいて)なのでどの外国の文句も無視できる。
2.あと一歩で維新の完遂を阻んだ怨敵
3.決して強くはない
といういたれりつくせりの敵国予定地ではないでしょうか。
 西郷隆盛もこの状況下なら「征韓論」より「東北戦争(丁度西南戦争と逆位置の「内乱」ですので)」を主張すると思いますし、この東北戦争であれば大久保利通以下明治政府首脳もそう強硬に反対はしないと思われます。
 明治政府にとっても対外的に「日本唯一の政権」となる実力を示す事は大いに外交上益のあることですし、それこそ士族をまとめて「屯田兵」にしてしまえば明治初期のいくつかの士族反乱は起らない可能性も否定できない筈です。
 加えて明治当時の屯田兵は一種の苦役ですが、これについても「自分達が勝ち取った領地」と思えば本来の屯田兵以上の高い開拓へのモチベーションを与えられるでしょう。
 よほど戊辰戦争で疲弊していない限り明治政府にとって蝦夷共和国は潰した方が認める以上の利が得られるのではないでしょうか。


> > 独立の最悪のシナリオは、蝦夷地独立を某国が承認後、
> > 某国に宣戦を布告され、蝦夷が敗北し某国の領土になる。
> > 某国が何処とは確定できません、この時代は帝国主義の時代ですし弱い事は罪とされてましたから。
>
> このシナリオは明治政府も榎本も避けたいところでしょうね。

 買えるだけの船と当座の武器・食料・資材を買って五稜郭を放棄、カムチャツカ・シベリアかアラスカに逃げてそこで再建国というのも一つの方法かも知れませんよ。
 ある程度まで開拓した時点で蝦夷共和国をロシアの属国もしくはアメリカ合衆国エゾ州として売り払い代わりにこの強国2国のどちらかの政治に食い込む権利を手に入れれば、努力次第では「大日本帝国」に勝利者として凱旋もない話ではないでしょう。

 この当りどう思われますか?


No. 2344
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/20 01:53
> 「蝦夷共和国」という恰好の「敵国」があって「不平士族」というカテゴリーが発生しうるでしょうか?


これは不平士族という表現が正確ではありませんでした。
つまり、会津藩を中心とした佐幕派諸藩の人間と言う意味です。
あるいは静岡藩の旧幕臣の人間などのことです。


>  明治政府にとって蝦夷共和国は
> 1.もともと日本の領土(まあアイヌ民族問題はさておいて)なのでどの外国の文句も無視できる。
> 2.あと一歩で維新の完遂を阻んだ怨敵
> 3.決して強くはない
> といういたれりつくせりの敵国予定地ではないでしょうか。
>  西郷隆盛もこの状況下なら「征韓論」より「東北戦争(丁度西南戦争と逆位置の「内乱」ですので)」を主張すると思いますし、この東北戦争であれば大久保利通以下明治政府首脳もそう強硬に反対はしないと思われます。
>  明治政府にとっても対外的に「日本唯一の政権」となる実力を示す事は大いに外交上益のあることですし、それこそ士族をまとめて「屯田兵」にしてしまえば明治初期のいくつかの士族反乱は起らない可能性も否定できない筈です。
>  加えて明治当時の屯田兵は一種の苦役ですが、これについても「自分達が勝ち取った領地」と思えば本来の屯田兵以上の高い開拓へのモチベーションを与えられるでしょう。
>  よほど戊辰戦争で疲弊していない限り明治政府にとって蝦夷共和国は潰した方が認める以上の利が得られるのではないでしょうか。


たしかに新政府としては蝦夷共和国などを認める理由はありませんが、
当時の状況を見ると簡単に榎本を潰せる状況ではありません。
当時の海軍力を見ると旧幕府艦隊を掌握していた榎本が圧倒的な優位にあります。
制海権が榎本にある以上、新政府は陸上戦力を上陸させる事が出来ないので榎本を潰す事は出来ず、結果的に蝦夷共和国が承認される流れになると思います。

当時日本に回航されつつあった甲鉄は、榎本が開陽を保有していた時点では、米国は言を左右してどちらにも引き渡されませんでした。
史実通り榎本が下手な使い方をして開陽を失わない限り、蝦夷の独立は成される思います。

確かに蝦夷共和国は仮想敵国としては最適です。
そこまで読んだ場合は新政府は潰す事を前提とした建国を認める可能性はあると思います。

ただ、シミュレーション小説を書く場合、この蝦夷共和国は美味しいネタになりそうですね。
榎本が海軍力を活かして通称破壊を行った場合、ものすごく早い時期で日本の体質改善を行う切っ掛けになりそうです。


>  買えるだけの船と当座の武器・食料・資材を買って五稜郭を放棄、カムチャツカ・シベリアかアラスカに逃げてそこで再建国というのも一つの方法かも知れませんよ。
>  ある程度まで開拓した時点で蝦夷共和国をロシアの属国もしくはアメリカ合衆国エゾ州として売り払い代わりにこの強国2国のどちらかの政治に食い込む権利を手に入れれば、努力次第では「大日本帝国」に勝利者として凱旋もない話ではないでしょう。

蝦夷地を離れるこのシナリオの場合は、逃亡した反逆者という烙印を押される可能性が高いと思います。
あるいは蝦夷地、アラスカ交換条約は成立する可能性はあるように思えます。
諸外国の反対をどれだけ抑えられるかにもよりますけどね。

蝦夷地を離れたからと言って生き延びられるかは微妙ですね。
滅びた時、下手に外国な分だけ厳しい状況に追いこまれると思います。


No. 2345
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/20 04:27
S.K氏・むつのかみ氏の分析を総合すると、こんなシナリオが描けるのではないでしょうか?

1869年、旧幕府艦隊から引き継いだ強大な海軍力に太刀打ちできず、津軽海峡海戦は蝦夷共和国の勝利におわる。しかし、蝦夷共和国側には北海道全域を開拓する人員も資金もなかった。明治政府は蝦夷共和国が開拓資金欲しさに北海道の利権を外国に売却することを恐れ、講和を呼びかけた。蝦夷共和国側もこれに応じ、東京で明治天皇と榎本武揚の間で講和条約が結ばれた。これによると、蝦夷を北海道と改め、北海道の支配権を榎本は天皇に返上する。ただし、天皇は榎本を北海道開拓使長官に任命し、開拓の全権を委ねる。榎本以後の長官は民選で選び、天皇はそれを任命するだけ。また、開拓の費用については明治政府から援助が与えるとした。
榎本は北海道に帰ると、北海道議会を創設し、開拓使の役職は議会での選挙にえらぶこととし、民主政治の考えを北海道に残していくことを明らかにした。この北海道には政府の勧めもあって、静岡藩の士族や東北諸藩の士族を中心に徳川方の士族たちが続々と移住していった。
一方、明治政府内では北海道が再び反旗を翻すことをおそれて、北海道に対抗する海軍の増強が強力にすすめられた。北の脅威が強調されたことで「征韓論」は巻き起こらず、明治政府の一体感は強固なものとなるでしょう。ただし、朝鮮を開国させるのは日本にとって必要なので、江華島事件はおこすでしょうね。
「北海道仮想敵」のため、日本の軍隊は海軍中心となるかもしれません。これは島国日本には都合が良いでしょう。
その後、北海道での民主政治の実態が帝国にも及んでくると、帝国でも自由民権運動が巻き起こり、板垣退助・大隈重信といった政府内部の高官もそれに同調し、帝国憲法・帝国議会の発足もかなり早くなっていた可能性があります。
帝国の海軍力がかなり増強されたころには、帝国本土と北海道自治政府間の対立は次第になくなり、むしろ対外へとむけられていく・・・。というものになるでしょうか。

そういえば、蝦夷は日本にとってのオーストリアになっただろうというご意見がありましたが、聞いたところでは、オーストラリアの人が銀英伝を見たら、帝国=イギリス 同盟=オーストラリアとみられるだろうと言ったそうです。


No. 2346
Re:蝦夷共和国
S.K 2002/07/20 08:20
 実は困った事に「旧幕府軍の海軍力」にどうしても懐疑的になってしまう訳です。
 そんな事で、イッチーさん、むつのかみさん、あるいはどなたでも結構ですので以下の点を何とかクリアしていただけないでしょうか。
 無論「榎本武揚が失策を起こさず『開陽丸』以下の幕府海軍力は健在」との前提を承知の疑問です。

1.実績に基づく明治政府軍の自信
「故人であるカリスマ天才の偉業」との断り書きは付きますが、第二次長州征伐で正に「圧倒的に強力な幕府海軍」は高杉晋作率いる奇兵隊と貧相な小型船「オテントサマ号」に惨敗した経緯があります。
 確かに蝦夷共和国には当時の幕軍にはない“窮鼠の覚悟”があるでしょうが、官軍には“連勝の自信”と“時流の勢い”があります。
 長州勢が高杉晋作を思い出した時、果たして旧幕府艦隊の必勝は有り得るのでしょうか。

2.運用側の事情
 幕府海軍といえば海軍奉行勝海舟ですが、既に彼は投降し(流石にこれを改変すると江戸は火の海でしょう)彼の海軍塾生徒の主要人物の多くは明治政府側の人間になってしまいました。転じて明治政府側には海援隊経験者の陸奥宗光、伊藤博文らが今だ健在です。榎本武揚が史実の150パーセントの力で奮戦しても、どうも一般水兵の練度や艦船の運用ノウハウに関しては明治政府側が有利そうに思えるのですが。

3.大義名分
 明治政府は既に「朝敵征伐」でいいですが、蝦夷共和国側はこの点史実通りに「勝ってから考えよう」にならざるを得ないので、士気については「勝つか死ぬか」の窮鼠理論に多くを頼らざるをえないでしょう。
 それはそれで強いのですが、どうしても余裕のないものになるでしょうし、である以上長続きはしないでしょう。
 これで更に恭順済みの徳川慶喜が投降を呼びかけでもしたら、脱落者も洒落にならない数で発生する予感があるのですが。

 いや、「蝦夷共和国」むしろあった方が面白いんですよ。
 長岡藩に見切りをつけ五稜郭に入った河井継之介対村田蔵六の軍略合戦とか見てみたいですし。
 なのでかえって「勝てない理由」が気になっている次第です。


No. 2349
蝦夷共和国の外交力
匿名希望 2002/07/20 13:18
欧米諸国が蝦夷共和国を独立国として認証していたところをすると、外交力の高さは特筆すべきところだと思う


No. 2352
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/21 00:54
>  実は困った事に「旧幕府軍の海軍力」にどうしても懐疑的になってしまう訳です。
>  そんな事で、イッチーさん、むつのかみさん、あるいはどなたでも結構ですので以下の点を何とかクリアしていただけないでしょうか。
>  無論「榎本武揚が失策を起こさず『開陽丸』以下の幕府海軍力は健在」との前提を承知の疑問です。

いざ、明治政府と蝦夷共和国が海戦をおこなったら、「開陽」があっても、蝦夷共和国が負けるかもしれません。それならば、史実とほぼ同じようにその後の歴史がすすむでしょう。
しかし、自分で蝦夷共和国論を始めておいてなんですが、議論をすすめながら、最近、榎本らの目的は共和国建設より北海道を士族の楽園として、開拓権を朝廷から得ることにあったのではないかと思えるようになりました。そうならば、榎本はヤンやユリアンと同じように明治政府軍に対して自分たちの実力を示せるだけの勝利をおさめ、開拓権を委任してもらう方向にうまく交渉をすすめれば良いことになります。明治政府としては戦争が長期化して、蝦夷共和国側が外国と組むことを一番恐れていたでしょうから(フランス軍の士官が何名か蝦夷共和国側に参加していましたし)、戦争が長引くようなら、外国の介入を招く前に開拓権付与の方向に動くと思います。とりあえず、明治政府にしては明治天皇の宗主権を認めさせて、時間を稼いで海軍力を強化し、榎本の開拓政策が気に食わない場合はそのとき、改めて討伐すれば良いと考えるかもしれません。蝦夷共和国側も交渉を視野に入れて、初戦に集中すれば勝機も見えてくるのではないでしょうか?
ちなみに、諸外国が蝦夷共和国を事実上の政府と認めたのは外交交渉力のゆえではなく、その海軍力を評価したゆえのことだったようです。(匿名希望さんへ)


>  いや、「蝦夷共和国」むしろあった方が面白いんですよ。
>  長岡藩に見切りをつけ五稜郭に入った河井継之介対村田蔵六の軍略合戦とか見てみたいですし。
>  なのでかえって「勝てない理由」が気になっている次第です。

蝦夷共和国が反政府派の避難場および改革の実験場として存続すれば、帝国政府に対して常に改革を促し、近代日本史も修正されるような気がします。


No. 2353
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/21 02:40
>  実は困った事に「旧幕府軍の海軍力」にどうしても懐疑的になってしまう訳です。
>  そんな事で、イッチーさん、むつのかみさん、あるいはどなたでも結構ですので以下の点を何とかクリアしていただけないでしょうか。
>  無論「榎本武揚が失策を起こさず『開陽丸』以下の幕府海軍力は健在」との前提を承知の疑問です。
>
> 1.実績に基づく明治政府軍の自信
> 「故人であるカリスマ天才の偉業」との断り書きは付きますが、第二次長州征伐で正に「圧倒的に強力な幕府海軍」は高杉晋作率いる奇兵隊と貧相な小型船「オテントサマ号」に惨敗した経緯があります。
>  確かに蝦夷共和国には当時の幕軍にはない“窮鼠の覚悟”があるでしょうが、官軍には“連勝の自信”と“時流の勢い”があります。
>  長州勢が高杉晋作を思い出した時、果たして旧幕府艦隊の必勝は有り得るのでしょうか。


海戦は陸戦以上に兵器の質が勝敗を左右します。
これはたとえ高杉が指揮を取ろうが、射程以上に弾は飛ばないし
最高速度以上は速力は出はしません。
この軍艦の質で榎本艦隊が勝っている以上新政府は勝てないでしょう。
第2次長州征伐の件は詳しく知りませんが、沿岸であれば陸上砲台におびき寄せて叩く事も可能です。
あと函館戦争時の両軍の情報がありましたので参考にしてください
http://www.asahi-net.or.jp/~ub2s-yky/gunkan01.html
http://www.asahi-net.or.jp/~ub2s-yky/gunkan02.html


> 2.運用側の事情
>  幕府海軍といえば海軍奉行勝海舟ですが、既に彼は投降し(流石にこれを改変すると江戸は火の海でしょう)彼の海軍塾生徒の主要人物の多くは明治政府側の人間になってしまいました。転じて明治政府側には海援隊経験者の陸奥宗光、伊藤博文らが今だ健在です。榎本武揚が史実の150パーセントの力で奮戦しても、どうも一般水兵の練度や艦船の運用ノウハウに関しては明治政府側が有利そうに思えるのですが。

海軍塾生徒の主要人物が誰を指すかは分かりませんが、
榎本艦隊には荒井郁之助や沢太郎左衛門、甲賀源吾などがいます。
彼らは鳥羽伏見の頃からフネに乗っているので、
運用ノウハウについては問題無いと思います。


> 3.大義名分
>  明治政府は既に「朝敵征伐」でいいですが、蝦夷共和国側はこの点史実通りに「勝ってから考えよう」にならざるを得ないので、士気については「勝つか死ぬか」の窮鼠理論に多くを頼らざるをえないでしょう。
>  それはそれで強いのですが、どうしても余裕のないものになるでしょうし、である以上長続きはしないでしょう。
>  これで更に恭順済みの徳川慶喜が投降を呼びかけでもしたら、脱落者も洒落にならない数で発生する予感があるのですが。


慶喜勧告の影響は読めませんが、士気を盛り上げる手段はあります。
有力皇族を盟主に頂けば、賊軍にならず心理的に楽でしょう。
その盟主は輪王寺宮以外はいないでしょう。
彼は孝明天皇の弟であり、奥羽列藩同盟の盟主にもなった方なので、
血統的には充分でしょう。
彼を頂いての南北朝が可能と思われます。


No. 2354
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/21 03:05
> いざ、明治政府と蝦夷共和国が海戦をおこなったら、「開陽」があっても、蝦夷共和国が負けるかもしれません。それならば、史実とほぼ同じようにその後の歴史がすすむでしょう。
> しかし、自分で蝦夷共和国論を始めておいてなんですが、議論をすすめながら、最近、榎本らの目的は共和国建設より北海道を士族の楽園として、開拓権を朝廷から得ることにあったのではないかと思えるようになりました。そうならば、榎本はヤンやユリアンと同じように明治政府軍に対して自分たちの実力を示せるだけの勝利をおさめ、開拓権を委任してもらう方向にうまく交渉をすすめれば良いことになります。明治政府としては戦争が長期化して、蝦夷共和国側が外国と組むことを一番恐れていたでしょうから(フランス軍の士官が何名か蝦夷共和国側に参加していましたし)、戦争が長引くようなら、外国の介入を招く前に開拓権付与の方向に動くと思います。とりあえず、明治政府にしては明治天皇の宗主権を認めさせて、時間を稼いで海軍力を強化し、榎本の開拓政策が気に食わない場合はそのとき、改めて討伐すれば良いと考えるかもしれません。蝦夷共和国側も交渉を視野に入れて、初戦に集中すれば勝機も見えてくるのではないでしょうか?

基本的にはその通りだと思います。
榎本の希望は蝦夷地を徳川旧臣や会津などの佐幕諸藩の新天地にとの想いでしょうから。
長期戦では勝ち目はありませんから、海軍力の優越を確保して講和が結ばれるでしょう。

土方カードを使えば別の流れも出てくると思いますがどうでしょうか?


> 蝦夷共和国が反政府派の避難場および改革の実験場として存続すれば、帝国政府に対して常に改革を促し、近代日本史も修正されるような気がします。

この修正は色々なパターンが考えられます。
平和裏に講和して榎本等が開拓権を確保するのも良いですが、
本格的に蝦夷地戦争が起こった方が影響は大きそうです。

それには榎本の平和共存路線は邪魔ですので、
土方のクーデターが起り、方針が徹底抗戦に変更させます。
作戦としては、優越な海軍力を使い江戸、大阪、下関、鹿児島等を攻撃し、海軍力の有利さを証明する。
陸上決戦では、ガトリング砲の活用により歩兵突撃の有効性の否定と、
火力の有効性を証明する。
おまけに、新政府軍指揮官として山県を戦死させてしまえば、藩閥を抑える事が出来、さらに彼の陸軍への悪影響を排除できます。
ぱっと思いついただけでこの位の事がでてきました。
シミュレーション小説のネタになりそうな感じです(笑)


個人的には、奥羽列藩同盟を維持する方向に持っていった方が、
より大きな修正の切っ掛けになるように思います。


No. 2356
Re:蝦夷共和国
S.K 2002/07/21 08:50
>イッチーさん
 回答有難うございます。
 しかし敗北即史実に準拠とは限らないと思います。
 同じ敗北でも、例えば五稜郭陥落までの期間が長期化するだけでも「士族反乱の集約化」「近代戦練度の上昇」「対外交渉の濃密化」など様々な変化があるのではないでしょうか。
 ただ、上の例だと「国力の疲弊」が辛いですが。

>むつのかみさん
 詳細な回答感謝いたします。


> 海戦は陸戦以上に兵器の質が勝敗を左右します。
> これはたとえ高杉が指揮を取ろうが、射程以上に弾は飛ばないし
> 最高速度以上は速力は出はしません。

 これは逆の発想。
 この時小型船「オテントサマ号」は夜陰に紛れ、戦力差に油断しきっている幕府艦隊の隙を突いて幕府側軍船の最低射程以下に近づき乱射をかけた訳です。
 結果、幕府艦隊は反撃弾が敵艦の頭上を通り過ぎ僚艦に命中、奇襲による士気系統の混乱の果てに味方同士で衝突など、「ヤマトと交戦したガミラス艦隊」ばりの惨状と相成った次第です。
 奇策と蛮勇が戦局を逆転させた少数例の一つです。

> この軍艦の質で榎本艦隊が勝っている以上新政府は勝てないでしょう。
> 第2次長州征伐の件は詳しく知りませんが、沿岸であれば陸上砲台におびき寄せて叩く事も可能です。

 そういう訳で「夢よもう一度」といくかはわかりませんが、正面決戦以外ではどうなるかは怪しい所でしょう。

> あと函館戦争時の両軍の情報がありましたので参考にしてください
> http://www.asahi-net.or.jp/~ub2s-yky/gunkan01.html
> http://www.asahi-net.or.jp/~ub2s-yky/gunkan02.html

 ありがとうございます、後程参考にします。


> 海軍塾生徒の主要人物が誰を指すかは分かりませんが、

 イメージ的には勝本人と坂本竜馬や望月喜弥太等よりによって幕府が海軍塾を取り潰したあの際の口実にされた薩長土肥の脱藩藩士勢です。

> 榎本艦隊には荒井郁之助や沢太郎左衛門、甲賀源吾などがいます。
> 彼らは鳥羽伏見の頃からフネに乗っているので、
> 運用ノウハウについては問題無いと思います。

 これは了解。


> 慶喜勧告の影響は読めませんが、士気を盛り上げる手段はあります。
> 有力皇族を盟主に頂けば、賊軍にならず心理的に楽でしょう。
> その盟主は輪王寺宮以外はいないでしょう。
> 彼は孝明天皇の弟であり、奥羽列藩同盟の盟主にもなった方なので、
> 血統的には充分でしょう。
> 彼を頂いての南北朝が可能と思われます。

 これも納得できます。
 ただ佐幕派士族最後の集合体に徳川家も「征夷大将軍」もなしというのはちょっと。
 輪王寺宮から将軍宣下を榎本でも誰でも貰えばいいのかもしれませんが、 流石に「お手盛り」の感はぬぐえないかと。

 という訳で2、3は概ね了解しました。
 1についてはいただいた資料も見てみますがまだ「実際の所は判らない。単なる質的戦力差なら充分逆転の余地はある」と思った方が順当で補給や増産などの底力は明治政府側に分があるとすると、やはりもう少し蝦夷共和国側に勝因が欲しい所です。


No. 2360
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/23 05:08
>  しかし敗北即史実に準拠とは限らないと思います。
>  同じ敗北でも、例えば五稜郭陥落までの期間が長期化するだけでも「士族反乱の集約化」「近代戦練度の上昇」「対外交渉の濃密化」など様々な変化があるのではないでしょうか。
>  ただ、上の例だと「国力の疲弊」が辛いですが。

士族の反乱といっても奥羽列藩同盟は瓦解していますし、反乱する勢力などは無いと思うのですが。

練度が幾ら上がっても補給が無ければ意味が無いでしょう、武器を自給できるわけではないですから。

対外交渉といっても交渉に使うカードが全く無いのでは?
元々逃亡勢力である榎本に充分な資金があるとは思えないので、
領土や権益を提供するしか方法は無いわけで、
外国を引き入れるような手段は有り得ないでしょう。

長期化により変化の可能性はあっても、それを大きく育てる手段を欠いていたわけで、制海権の喪失即滅亡は動かないと思います。


>  という訳で2、3は概ね了解しました。
>  1についてはいただいた資料も見てみますがまだ「実際の所は判らない。単なる質的戦力差なら充分逆転の余地はある」と思った方が順当で補給や増産などの底力は明治政府側に分があるとすると、やはりもう少し蝦夷共和国側に勝因が欲しい所です。

蝦夷共和国側の勝因が欲しいとの事ですが、私には敗因が無い様に思います。
開陽が健在である限り、制海権は蝦夷の物です。
陸軍で新政府が幾ら勝っていても、上陸しない事には勝てません。
その上陸が出来ないのだから、蝦夷共和国が負ける事は無く、独立は達成されると思うのですが。


No. 2365
Re:蝦夷共和国
S.K 2002/07/23 22:54
 むつのかみさん失礼します。
 こちらのレスも説明不足にせよ少々今回は誤読が多いですね。
 イッチーさんへのレスの部分ですが
>
> 士族の反乱といっても奥羽列藩同盟は瓦解していますし、反乱する勢力などは無いと思うのですが。

 あの、“蝦夷共和国”独立ではなく単に“箱館戦争”が長期化した場合の話ですよ?
 明治政府に不満をもつ佐幕派士族が奥羽列藩同盟内で皆殺しになっている訳はないでしょう?
 ほかに明治政府の“四民平等”による特権剥奪に不満な官軍方士族はいないと断言できますか?
 ですので“萩の乱”“神風連の乱”などは“箱館戦争”に統合されるのではと私は言いたいのですが?
 同じ反乱でも散発して事を起こすよりは普通最大の抵抗勢力に合流を考えた方が成功確率も高ければ理にも適っているはずですが?
 それは榎本武揚が開陽丸の無事をいいことに「蝦夷に近づく奴は皆殺し」と主張し実行していれば合流はないかも知れませんが、そこまで煮詰まった指揮官の軍はまず5年10年の継戦は不可能でしょう。
 何にしても明治政府に反乱勢力は事欠きませんよ。


> 練度が幾ら上がっても補給が無ければ意味が無いでしょう、武器を自給できるわけではないですから。
>
> 対外交渉といっても交渉に使うカードが全く無いのでは?
> 元々逃亡勢力である榎本に充分な資金があるとは思えないので、
> 領土や権益を提供するしか方法は無いわけで、
> 外国を引き入れるような手段は有り得ないでしょう。
>
> 長期化により変化の可能性はあっても、それを大きく育てる手段を欠いていたわけで、制海権の喪失即滅亡は動かないと思います。

 あのですね、こちらは「歴史の変化」を中心に“大日本帝国”すなわち明治政府の話をしているのですが。
 史実より遥かにしぶとく手強い五稜郭軍との戦いは大きく帝国陸海軍の練度の上昇の役立つと思いますよ。
 対外交渉も「箱館戦争」を口実に諸外国が介入して来ない様帝国外務省が行う物です。
 国の存亡を賭けた外交を黎明期に余儀なくされる訳ですから、「通商条約の不平等」が十年早く撤廃される位の事は期待したいですしできると思いますよ。


> 蝦夷共和国側の勝因が欲しいとの事ですが、私には敗因が無い様に思います。
> 開陽が健在である限り、制海権は蝦夷の物です。
> 陸軍で新政府が幾ら勝っていても、上陸しない事には勝てません。
> その上陸が出来ないのだから、蝦夷共和国が負ける事は無く、独立は達成されると思うのですが。

 あの、一つお伺いします。
 私は「榎本武揚の失策で開陽丸が失われる事はない」と言う仮定のみを肯定して話をしてきましたが、ひょっとしてむつのかみさんの御主張では「開陽丸は物理的疲弊は起り得ずいかなる危地をも物ともしない無敵のスーパー軍艦」なんですか?
 そうだとしたらとりあえず前提が違うという事で私とむつのかみさんの話はお開きにしましょう。
 私にしてみれば上陸くらい渡島半島の太平洋側と日本海側の二方向から同時進行して開陽丸艦隊と出くわした方が可及的すみやかに逃げればいいだけの話だと思いますし、その開陽丸にしたところで連戦を強要して疲弊させる、炎上する数隻の小型船を多方向から叩き付けるなど沈めようと思えば方法はいくらでもあると思いますしそのうちの一つ二つさえ実行できない程明治政府が困窮しているとは思えないですし。


No. 2367
Re:蝦夷共和国
イッチー 2002/07/24 02:58
S.Kさまへ

>  あの、“蝦夷共和国”独立ではなく単に“箱館戦争”が長期化した場合の話ですよ?
>  明治政府に不満をもつ佐幕派士族が奥羽列藩同盟内で皆殺しになっている訳はないでしょう?
>  ほかに明治政府の“四民平等”による特権剥奪に不満な官軍方士族はいないと断言できますか?
>  ですので“萩の乱”“神風連の乱”などは“箱館戦争”に統合されるのではと私は言いたいのですが?
>  同じ反乱でも散発して事を起こすよりは普通最大の抵抗勢力に合流を考えた方が成功確率も高ければ理にも適っているはずですが?
>  それは榎本武揚が開陽丸の無事をいいことに「蝦夷に近づく奴は皆殺し」と主張し実行していれば合流はないかも知れませんが、そこまで煮詰まった指揮官の軍はまず5年10年の継戦は不可能でしょう。
>  何にしても明治政府に反乱勢力は事欠きませんよ。

私は「箱館戦争」はそんなに長期化しないと思います。制海権を失った上に、政府軍が続々と箱館に上陸すれば、蝦夷共和国側はひとたまりもないでしょう。制海権さえおさえれば、明治政府軍は人員も武器もふんだんに補給出来るのに対し、蝦夷共和国軍の兵士や武器には限りがあります。仮に戦争が長期化しても、劣勢の蝦夷共和国軍を明治政府軍が包囲する形になって、箱館戦争は会津戦争のようにかなり悲惨なものとなるでしょう。榎本以下蝦夷共和国側の指導者や兵士は懲罰として処刑され、箱館の町は政府軍によって蹂躙されるでしょう。そうなるまえに、榎本が降伏すると思います。仮に強硬派が戦争を継続しても、全員玉砕の道が待っているだけです。そんな様子を伝え聞いて、反政府派はかえって萎縮するかもしれません。ですから、箱館戦争長期化の影響は近代史にかえって悪影響を及ぼすと思います。


No. 2368
Re:蝦夷共和国
むつのかみ 2002/07/24 04:10
私とS.Kさんでは長期化の解釈が違うように感じます。
私は長期化したと言っても1年程度しか持たないと思います。
この前提が違う以上噛み合わないように思います。


>  あの、“蝦夷共和国”独立ではなく単に“箱館戦争”が長期化した場合の話ですよ?
>  明治政府に不満をもつ佐幕派士族が奥羽列藩同盟内で皆殺しになっている訳はないでしょう?
>  ほかに明治政府の“四民平等”による特権剥奪に不満な官軍方士族はいないと断言できますか?
>  ですので“萩の乱”“神風連の乱”などは“箱館戦争”に統合されるのではと私は言いたいのですが?
>  同じ反乱でも散発して事を起こすよりは普通最大の抵抗勢力に合流を考えた方が成功確率も高ければ理にも適っているはずですが?
>  それは榎本武揚が開陽丸の無事をいいことに「蝦夷に近づく奴は皆殺し」と主張し実行していれば合流はないかも知れませんが、そこまで煮詰まった指揮官の軍はまず5年10年の継戦は不可能でしょう。
>  何にしても明治政府に反乱勢力は事欠きませんよ。


この件は長期化の概念が違うという事で良いのでは。
それに国内に「反乱勢力」がある以上特権廃止などは怖くて行えないのでは


>  あの、一つお伺いします。
>  私は「榎本武揚の失策で開陽丸が失われる事はない」と言う仮定のみを肯定して話をしてきましたが、ひょっとしてむつのかみさんの御主張では「開陽丸は物理的疲弊は起り得ずいかなる危地をも物ともしない無敵のスーパー軍艦」なんですか?

「開陽丸は物理的疲弊は起り得ずいかなる危地をも物ともしない無敵のスーパー軍艦」等とは言いませんよ(苦笑)
ただ、当時日本にあった軍艦の中では飛び抜けた性能を持っていると評価していますが。


> 私にしてみれば上陸くらい渡島半島の太平洋側と日本海側の二方向から同時進行して開陽丸艦隊と出くわした方が可及的すみやかに逃げればいいだけの話だと思いますし、その開陽丸にしたところで連戦を強要して疲弊させる、炎上する数隻の小型船を多方向から叩き付けるなど沈めようと思えば方法はいくらでもあると思いますしそのうちの一つ二つさえ実行できない程明治政府が困窮しているとは思えないですし。

開陽の任務は制海権の確保ですから、無理に戦う必要は無いでしょう。
逃げるのであれば放っておけば良いのですから。
連戦を強いるとしても、新政府が持つまともな海戦に堪えるフネは春日と富士山程度でしょう。
その富士山は旧幕府のフネなので急な投入は不可能ですので、実質春日一隻でしょう。
これでは疲弊させるどころか、貴重な春日沈没に繋がるだろうので海戦は起こり得ないと判断します。

私からの疑問ですが、S.Kさんは函館戦争当時の海軍力の差と言う物を御存知ですか?
海軍力の評価の違いが大きく違うような気がしてならないのですが・・・。


No. 2373
Re:蝦夷共和国
S.K 2002/07/25 07:15
> イッチーさん
> 私は「箱館戦争」はそんなに長期化しないと思います。

 まあ先の仮定は明治政府が持久戦、消耗戦で蝦夷共和国、特に開陽丸の疲弊を待ってきたときですので。


>政府軍が続々と箱館に上陸すれば、蝦夷共和国側はひとたまりもないでしょう。制海権さえおさえれば、明治政府軍は人員も武器もふんだんに補給出来るのに対し、蝦夷共和国軍の兵士や武器には限りがあります。仮に戦争が長期化しても、劣勢の蝦夷共和国軍を明治政府軍が包囲する形になって、箱館戦争は会津戦争のようにかなり悲惨なものとなるでしょう。

 ですのでそこに至るまでに「不平士族の流入」や「独自の生産、輸入体制(多寡の知れたものではあるでしょうが)」もあるだろうと思ったわけです。


>そんな様子を伝え聞いて、反政府派はかえって萎縮するかもしれません。ですから、箱館戦争長期化の影響は近代史にかえって悪影響を及ぼすと思います。

 一概には言えないと思いますよ。
 それに悪化という形にせよその時点で「史実通り」ではないでしょう。


> むつのかみさん
> 私とS.Kさんでは長期化の解釈が違うように感じます。

 その様ですね。
 この件についてはそれで相互了解という事にしましょう。


> それに国内に「反乱勢力」がある以上特権廃止などは怖くて行えないのでは

 これは説明しますと「だからこそ」特権廃止は敢行した方が良いです。
 農工商他の平民階級へのお題目「四民平等」の達成で彼等にまで不満を抱かせる事を避けられますし、士族の中の反乱分子の行動の制約にもなります。
 埋め合わせとしては軍人は多少権限や社会的地位を優遇して、その中の士族の志願者は俸給が何%か割が良い等実務にあまり関係ない好待遇を当初の数年の間の志願者に限り適用する等の手があるでしょう。


> 「開陽丸は物理的疲弊は起り得ずいかなる危地をも物ともしない無敵のスーパー軍艦」等とは言いませんよ(苦笑)
> ただ、当時日本にあった軍艦の中では飛び抜けた性能を持っていると評価していますが。
>
> その富士山は旧幕府のフネなので急な投入は不可能ですので、実質春日一隻でしょう。
> これでは疲弊させるどころか、貴重な春日沈没に繋がるだろうので海戦は起こり得ないと判断します。

 前記の前提を御納得頂けるなら、「出撃させればいい」んです。
 それだけで燃料も消費すれば船体も磨耗するんですし。
 あと御紹介の記事と自分で調べたデータの両方での話ですが、確かに開陽丸は強いですが速力は春日、富士山の方が上じゃないですか(笑)。
 風向、潮流を読み違えなければ充分ちょっかいだけ出して逃げられますよ、やっぱり。
 後はヘマをしない様に嫌がらせ出撃を繰り返し、開陽丸に重大な故障が起るのを待てばいいと思いますが。


> 私からの疑問ですが、S.Kさんは函館戦争当時の海軍力の差と言う物を御存知ですか?
> 海軍力の評価の違いが大きく違うような気がしてならないのですが・・・。

 そんな訳で一応調べました(開陽丸にこだわらなくても回天も充分怖いじゃないですか)。
 その上で「正面決戦を挑む気にはなれないが、官軍艦隊が壊滅されずに海上ゲリラ戦でダメージを蓄積させていく事は充分可能で回復力は元より官軍が上」と評価します。

 それで私が振った疑問にお付き合いいただいて何ですが、成立過程を詰める作業はこの当りで如何でしょう?
 私の疑念にした所で「絶対榎本は負ける。蝦夷共和国は有り得ない」と断言は不可能ですし元よりそれが目的でもないですし。
 そろそろ又成立後の蝦夷共和国の歴史と役割について考えていいかと思いますがどうですか。


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