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反銀英伝・思想批判編
4−C

ヤンが成すべきだった軍人としての責任(3)


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No. 561
ヤン・ウェンリー
藤澤 2001/08/10 03:55
 はじめまして。藤澤と申します。リンクを巡り巡ってお邪魔させて頂いております。どうぞ宜しくお願い致します。

 私も銀英伝に感動し、創竜伝で見限ったという感じですが、このHPの銀英伝に関する考察、まだ全てではありませんが、興味深く読ませて頂きました。
 昔から感じていた、主人公(敢えて言い切ってしまう)ヤン・ウェンリーという人物に対する、「尊敬できる部分は多々あるが、どうも好きになれない」鬱屈した感情の原因が分かったような気がします。

 歴史家志望であったヤンは、やはり後世の歴史家の目を常に意識していたように思います。シビリアンコントロール下での軍人の権限を逸脱する事を潔癖なまでに嫌った背景に、勿論彼の政治信条があった事は間違いありませんが、歴史上の悪名を恐れたという部分も大きいのではないでしょうか。
 しかしそういう人物には、やはり「自らが悪名を被ってでも、人民と民主主義を防衛する覚悟」や「歴史の転換期に、舞台に上がるにふさわしい才能を持って生まれた英雄の気概」は望むべくもないでしょう。そこが魅力でもあるのですが。

 ところで、既出のネタなら申し訳ないのですが、バーミリオン会戦において、ヤンが会戦の目的を達成しつつ、自らの政治信条に忠実な選択肢は、「敢えて停戦命令を無視してブリュンヒルトを撃墜、その後、命令違反の罪に服す」というものだと思うのですが、如何でしょうか。

 それでは長文、乱文失礼致しました。


No. 563
Re:ヤン・ウェンリー
ユウ 2001/08/11 12:27
>  はじめまして。藤澤と申します。リンクを巡り巡ってお邪魔させて頂いております。どうぞ宜しくお願い致します。
>  歴史家志望であったヤンは、やはり後世の歴史家の目を常に意識していたように思います。シビリアンコントロール下での軍人の権限を逸脱する事を潔癖なまでに嫌った背景に、勿論彼の政治信条があった事は間違いありませんが、歴史上の悪名を恐れたという部分も大きいのではないでしょうか。
>  しかしそういう人物には、やはり「自らが悪名を被ってでも、人民と民主主義を防衛する覚悟」や「歴史の転換期に、舞台に上がるにふさわしい才能を持って生まれた英雄の気概」は望むべくもないでしょう。そこが魅力でもあるのですが。
>
>  ところで、既出のネタなら申し訳ないのですが、バーミリオン会戦において、ヤンが会戦の目的を達成しつつ、自らの政治信条に忠実な選択肢は、「敢えて停戦命令を無視してブリュンヒルトを撃墜、その後、命令違反の罪に服す」というものだと思うのですが、如何でしょうか。

さて、それはどうでしょうか?ヤンは自由惑星同盟を守ることより民主主義の苗床を守るというつもりだったのではないでしょうか?彼の政治信条は民主主義は専制政治に勝るというものであって、自由惑星同盟が必ず存続しなければならないとは思ってはいません。すなわち先ほども述べたように噐ではなく中身を守ろうとしていたのです。それに歴史上の悪例をつくってしまうと後に軍人が政府の命令を守らなくとも場合によっては良いという例を作ってしまうのが彼には許せなかったのではないでしょうか?「軍人は常に政府の命令に従うべき」というのは彼の一貫しての考えであり、だからこそクーデター派と戦ったわけです。それに、歴史上、国家をすぐに統合してしまうのは支配される側の反感を招き支配する側に抵抗するという図式は第二次世界大戦の時にドイツが証明していますし、古代中国でもありました。すなわち、ヤンはラインハルトが聡明であるが故に、「国家統合をこの会戦の後にはしない」という事がわかっていたのではないでしょうか?その証明としてボルテックの人事やオーベルシュタインの台詞などの布石が見られます。


No. 567
Re:ヤン・ウェンリー
クロイツェル 2001/08/13 15:05
>  はじめまして。藤澤と申します。リンクを巡り巡ってお邪魔させて頂いております。どうぞ宜しくお願い致します。

 初めまして。これからよろしくお願いします。

>  歴史家志望であったヤンは、やはり後世の歴史家の目を常に意識していたように思います。シビリアンコントロール下での軍人の権限を逸脱する事を潔癖なまでに嫌った背景に、勿論彼の政治信条があった事は間違いありませんが、歴史上の悪名を恐れたという部分も大きいのではないでしょうか。
>  しかしそういう人物には、やはり「自らが悪名を被ってでも、人民と民主主義を防衛する覚悟」や「歴史の転換期に、舞台に上がるにふさわしい才能を持って生まれた英雄の気概」は望むべくもないでしょう。そこが魅力でもあるのですが。

 私は、ヤンの行動の背景にあるものは、彼の責任を負う立場になることへの恐怖があるのではないか、と思います。これは、ヤンが無責任だと言っている訳ではありません。むしろ、責任の重さを知るがゆえにそういう態度に出ているのでしょう(本当に無責任な人は、責任ある立場につくことを躊躇したりしません)。
 おそらくヤンは、自分自身の決断が多くの人の運命を左右するという状況その物にストレスを感じるタイプだと思います。自分の指示のせいで他人が人生を誤ったりしたらどうしよう、と言う恐れですね。彼の出世欲のなさや「早く引退したい」というぼやきは、詰まる所そういう状況から抜け出したいと言う無意識の欲求から来たものではないでしょうか。そんな彼に、大軍を指揮する将器があったのは、まったくもって不幸なことだとしか言い様がありません。

>  ところで、既出のネタなら申し訳ないのですが、バーミリオン会戦において、ヤンが会戦の目的を達成しつつ、自らの政治信条に忠実な選択肢は、「敢えて停戦命令を無視してブリュンヒルトを撃墜、その後、命令違反の罪に服す」というものだと思うのですが、如何でしょうか。

 前期の考察が正しいとしたら、ヤンはこういう行動には決して出れないでしょう。基本的にヤンはやらなければいけない事・やった方がいい事はきちんとこなしますが、やった結果が吉と出るか凶と出るか判らないことには、吉と出る可能性の方が高くてもやるのを躊躇する傾向があると思います。布石はしっかり打っておくくせになにかと後手に回る事が多いのは、彼のそんな性格ゆえでしょう。外伝1巻において作戦案を無理に通そうとしなかった事や、本編2巻でクーデターを察知しながらも上に強く働きかけず、結局それがおきるまで止められなかった事などが傍証になると思います。そんな彼に、「歴史を動かす銃弾を撃つ」ことができるでしょうか?事実、彼にはできませんでした。その動機のほとんどは彼自身の政治信条だったのでしょうが、彼がそんな道を選んだ背景には、ラインハルトが失われる事による影響への恐怖、そしてその後の彼自身に伸しかかるであろう大きな権力への恐怖があったのではないでしょうか。
 言い方は悪いですが、上からの指示でやっている分には、ヤンに責任があるわけではないのでラインハルトを討つ事ができるでしょう。しかし、自分の意思でそれができるとは思えません。これがビュコック提督ならば、おそらくラインハルトを討ち果たす事ができたでしょう。結局ヤンには、指導者よりもむしろ参謀の役の方が相応しかったのではないでしょうか。
 と、いう訳で、私にとっての理想は、「ビュコック総司令官・ヤン参謀総長」なのです。


No. 583
Re:ヤン・ウェンリー
佐々木公彦 2001/08/20 00:15
>  はじめまして。藤澤と申します。リンクを巡り巡ってお邪魔させて頂いております。どうぞ宜しくお願い致します。
>
>  私も銀英伝に感動し、創竜伝で見限ったという感じですが、このHPの銀英伝に関する考察、まだ全てではありませんが、興味深く読ませて頂きました。
>  昔から感じていた、主人公(敢えて言い切ってしまう)ヤン・ウェンリーという人物に対する、「尊敬できる部分は多々あるが、どうも好きになれない」鬱屈した感情の原因が分かったような気がします。
>
>  歴史家志望であったヤンは、やはり後世の歴史家の目を常に意識していたように思います。シビリアンコントロール下での軍人の権限を逸脱する事を潔癖なまでに嫌った背景に、勿論彼の政治信条があった事は間違いありませんが、歴史上の悪名を恐れたという部分も大きいのではないでしょうか。
>  しかしそういう人物には、やはり「自らが悪名を被ってでも、人民と民主主義を防衛する覚悟」や「歴史の転換期に、舞台に上がるにふさわしい才能を持って生まれた英雄の気概」は望むべくもないでしょう。そこが魅力でもあるのですが。
>
>  ところで、既出のネタなら申し訳ないのですが、バーミリオン会戦において、ヤンが会戦の目的を達成しつつ、自らの政治信条に忠実な選択肢は、「敢えて停戦命令を無視してブリュンヒルトを撃墜、その後、命令違反の罪に服す」というものだと思うのですが、如何でしょうか。
>
>  それでは長文、乱文失礼致しました。


初めまして、佐々木と申します。
ヤンのバーミリオン会戦に於ける行動の理由はぶっちゃけた話小説だからです。全10巻の半分で主人公(ラインハルト)が死んではまずいからです。
そんな話をおいておくと、ヤンはラインハルトに好意を寄せているから殺せなかったとの結果になるでしょう、ヤンは自身の力において防げた、イゼルローン方面司令官として防ぐ義務のあったクーデターを個人的に好意を抱いている名前忘れたけど、宇宙艦隊司令長官にしか話してません(後ユリアン)彼が、将官以上にしか見れないレベルの文書を全軍に送っていればクーデターは防げました(将官を巻き込まないクーデターなどほかって置いても成功しません)また何よりその可能性は国家元首に最優先で送るべきであり、結局ヤンが己の義務より好悪の情を優先させたことにより同盟は致命的なダメージを被りました。
自国の将官なら絶対名将などとは呼びたくありません。(小説の主人公のライバルとしてはとても魅力的なのですが)
人物としては立派だけど軍人としてかなり重大な欠点を持っている。
もしかしてヤンは乃木大将に似てるのかな?


No. 584
ゴミ蒔き
S.Inoue 2001/08/21 22:26
> ヤンは自身の力において防げた、イゼルローン方面司令官として防ぐ義務のあったクーデターを個人的に好意を抱いている名前忘れたけど、宇宙艦隊司令長官にしか話してません

確かにこの手の話は宇宙艦隊司令長官に話してもしょうがないことで、国防委員長に話すべきですね。クーデターの話は国防委員長の指揮下にあります。
因みに、結果論ですが、実は国防委員長にそんな話をしてもやっぱり無駄だったと思われます。
この手の話は国防委員長からドワイト・グリーンヒルに行くからです。

> 彼が、将官以上にしか見れないレベルの文書を全軍に送っていればクーデターは防げました

結果論ですが、憲兵の親玉をやってる(多分そうだ)ドワイトが(書類の上では)先頭に立ってクーデターを起こしたから防ぐのは無理ではないですか?
(それともウェンリーのお話を聞いてドワイトは改心するか?)


No. 585
Re:ゴミ蒔き
佐々木公彦 2001/08/22 01:18
> > ヤンは自身の力において防げた、イゼルローン方面司令官として防ぐ義務のあったクーデターを個人的に好意を抱いている名前忘れたけど、宇宙艦隊司令長官にしか話してません
>
> 確かにこの手の話は宇宙艦隊司令長官に話してもしょうがないことで、国防委員長に話すべきですね。クーデターの話は国防委員長の指揮下にあります。
> 因みに、結果論ですが、実は国防委員長にそんな話をしてもやっぱり無駄だったと思われます。
> この手の話は国防委員長からドワイト・グリーンヒルに行くからです。
>
> > 彼が、将官以上にしか見れないレベルの文書を全軍に送っていればクーデターは防げました
>
> 結果論ですが、憲兵の親玉をやってる(多分そうだ)ドワイトが(書類の上では)先頭に立ってクーデターを起こしたから防ぐのは無理ではないですか?
> (それともウェンリーのお話を聞いてドワイトは改心するか?)


実行前に今度起きるクーデターは帝国の示唆によるものであり、同盟のためではない。そう言う意見が同盟軍上層部、政府首脳部に伝わっていれば、クーデターの大義を失うのでクーデターを起こすことは出来ません。
要は、公的な地位を持つ人の公式発言として帝国が同盟分裂のためのクーデタをたくらんでいると言えば、ラインハルトとは関係無いところで進められていたとしても実行できない訳です。


No. 587
クーデター
さんしろう 2001/08/22 02:39
はじめまして、さんしろう、と申しますm(__)m。
以前からちょくちょく拝見させていただいてましたが、面白そうなのでカキコします。

> 確かにこの手の話は宇宙艦隊司令長官に話してもしょうがないことで、国防委員長に話すべきですね。クーデターの話は国防委員長の指揮下にあります。
> 因みに、結果論ですが、実は国防委員長にそんな話をしてもやっぱり無駄だったと思われます。
> この手の話は国防委員長からドワイト・グリーンヒルに行くからです。

> 結果論ですが、憲兵の親玉をやってる(多分そうだ)ドワイトが(書類の上では)先頭に立ってクーデターを起こしたから防ぐのは無理ではないですか?

少なくとも小規模な国家ではなく、宇宙の1/3は統治している国家でいともたやすくクーデターが成功するのは、ちょっと考えにくいです。
なぜなら軍の憲兵隊以外にも、軍・及び政府の情報機関や、治安機構の公安部門などが相互監視をすることで、何らかの動きを察知されるのが普通だからです。
(ましてヤンやビュコックのような高級軍人が警戒していたのだからなおのこと)
上記の機構はその存在すら描かれていませんでしたが、数万もの将兵を動かすクーデターがまったく外部に察知されずに成功できるとは、自分には思えませんでした。

まあ田中芳樹氏のクーデター観というものがそうだから、といってしまえばそれまでですが。


No. 590
Re:クーデター
Merkatz 2001/08/22 20:50
> はじめまして、さんしろう、と申しますm(__)m。
> 以前からちょくちょく拝見させていただいてましたが、面白そうなのでカキコします。
>
> > 確かにこの手の話は宇宙艦隊司令長官に話してもしょうがないことで、国防委員長に話すべきですね。クーデターの話は国防委員長の指揮下にあります。
> > 因みに、結果論ですが、実は国防委員長にそんな話をしてもやっぱり無駄だったと思われます。
> > この手の話は国防委員長からドワイト・グリーンヒルに行くからです。
>
> > 結果論ですが、憲兵の親玉をやってる(多分そうだ)ドワイトが(書類の上では)先頭に立ってクーデターを起こしたから防ぐのは無理ではないですか?
>
> 少なくとも小規模な国家ではなく、宇宙の1/3は統治している国家でいともたやすくクーデターが成功するのは、ちょっと考えにくいです。
> なぜなら軍の憲兵隊以外にも、軍・及び政府の情報機関や、治安機構の公安部門などが相互監視をすることで、何らかの動きを察知されるのが普通だからです。
> (ましてヤンやビュコックのような高級軍人が警戒していたのだからなおのこと)
> 上記の機構はその存在すら描かれていませんでしたが、数万もの将兵を動かすクーデターがまったく外部に察知されずに成功できるとは、自分には思えませんでした。
>
> まあ田中芳樹氏のクーデター観というものがそうだから、といってしまえばそれまでですが。
>

同盟の政治体制とクーデターの関係はどうでしょうか。
いまいちはっきりしないんですが、自由惑星同盟は連邦制のようなものだったと思います。
で、そのような政治体制の国で首都を押さえただけでクーデター成功というのもちょっと不思議です。
他星系がすぐに屈服するとは思えません。
そりゃあ軍事力に格差はありますが、
最悪首都星系以外はすべてそっぽを向かれ、
兵糧攻め(首都星系との物流停止)されかねないでしょう。
(他星系でのクーデターが先立って行なわれていますが、
あくまで陽動作戦であり完全な制圧ではありませんでした)


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