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No. 7694 | |||
創竜伝14巻刊行を巡る「らいとすたっふ」問題 | |||
冒険風ライダー | 2007/05/27 11:15 | ||
2007年5月19日〜23日にかけて、田中芳樹の出版物の版権管理等を行っている有限会社「らいとすたっふ」の社長・安達裕章氏(以下「社長氏」と表記)が管理しているブログ http://a-hiro.cocolog-nifty.com/ に対し、創竜伝についての意見投稿を行ってみました。 「らいとすたっふ」については、かつて管理人さんより「田中芳樹を撃つ!」サイトの告知メールが送信された以外は、かつてニフティの「らいとすたっふフォーラム」でタナウツサイトのURLが紹介されたことがあり、「らいとすたっふ」側は1999年9月頃にタナウツの存在を知った(ザ・ベスト【管理人からのメッセージ3−C「田中芳樹&ファンへの告知状(3)」】参照)という掲示板上での伝聞情報があった程度で、タナウツとは特にこれといった交流がありませんでした。 しかし「らいとすたっふ」は、田中芳樹に最も近い立場にあり、また田中芳樹作品の出版に際しては、執筆スケジュールの組み立てや再販・出版社の版権移動などを主導的に行っていることから、田中芳樹の桁外れに遅筆な出版事情などを語る際には外すことのできない要素であると言えます。今回、その関係から、ある問題点が浮き彫りとなったため、私が社長氏のブログに直接乗り込み、問題点の指摘と一読者としての意見を述べることとなったわけです。 まずは、その一連のやり取りが行われたURLおよびその内容をここに転載します。 問題のブログ http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2007/05/13_0a49.html
……とまあ、こんなやり取りがあったわけなのですが、正直、今回はステレオタイプな官僚答弁に無理矢理押し切られた感がありますね。どう読んでも最終回答としか言いようがない5月24日の返答を見る限り、これ以上こちらが何を言っても場を荒らすことになるだけで、言うだけ無駄だと判断せざるをえませんでしたし。 その返答と同日に掲載された「らいとすたっふ」社長氏のブログの新記事でも、今回の創竜伝続巻凍結の件について公式発表するつもりはさらさらないらしく、全く関係のないことが語られています。 http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2007/05/post_fa94.html 田中作品の刊行情報は、一読者である私にとっても「自分と全く関係のない他人事」として切り捨てられることではありませんし、田中芳樹にとっても「らいとすたっふ」にとっても、会社や作家としての信用というのは結構重要なものだと考えたからこそ、その辺りを辛辣な言葉でも良いから突いてみれば、今回の件についての背景事情を説明してくれるのではないかと内心期待してもいたのですが、いざフタを開けてみればこの通り。 そりゃ確かに仕事の都合上話せない裏事情や社外秘というのは存在するでしょうが、「然るべき情報公開が行われていなかった」「公式発表の場で自らの信用に関わるウソを結果的についてしまっていた」という状況においてさえ盾にできるほど、出版業界って機密が多く、かつ最優先で守られなければならないものなのですかね? 私はあのやり取りの中でも、その辺については可能な限り譲歩したつもりなのですが。 今回の件であえて収穫を挙げるとしたら、初めて誰でも閲覧可能な公の場で「タナウツVSらいとすたっふ」という形式での応酬になったことと、「らいとすたっふ」が客からの抗議に対してああいう態度を取る、ということを満天下に知らしめることができた、という点になるのでしょうか。まあ、ああいう抗議をしていた私自身が果たして他人にはどのように見られていたかで、「らいとすたっふ」への評価も変わってくるでしょうけど。 ところで、今回のやり取りは「らいとすたっふ」社長氏のブログという、ある意味田中芳樹の「お膝元」的な場所で行われたわけですが、今回の件について田中芳樹自身がどのような感想を抱いたのか興味がありますね。いくらネットに疎いであろう田中芳樹でも、「らいとすたっふ」社長氏のブログくらいは閲覧しているでしょうし、実際、過去のブログでは「明らかに閲覧している」とおぼしきやり取りも記録されているので、今回ばかりは「知らない」「閲覧していない」などとシラを切るわけにもいかないでしょう。 「不祥事に対して誰も責任を取らない」「信用を失う」ということに、以下に引用しているようなやたらと過敏な「ひきつけ」反応を起こす田中芳樹なのですから、自分の「お膝元」で起こった今回の件についても、何らかのリアクションがあって然るべきなのではないかと思うのですが。 創竜伝5巻 P127上段〜下段 <もともと日本は個人の責任というものが厳格に追及されることのない社会であるようだ。第二次大戦の指導者から、いじめの主謀者に至るまで、みんなが決めたことに自分はしたがっただけで自分に責任はないと主張する。その結果、「みんなが平等に悪かった、みんなで反省しよう」といいだす者が出てきて、責任の所在は不明になり、まともな反省もおこなわれず、事態もさして変わらず、誰も罰せられずに終わってしまう。五〇〇人以上の生命が失われた航空機事故でも、ついに誰ひとり刑事責任を問われずに終わってしまうのだ。> 創竜伝7巻 P128上段〜下段 <「残念だが、不正のない社会はない」 「ええ」 「だがな、すこしでも不正を減らそうと努力している社会と、そこに安住してかぎりなく腐敗していく社会とでは、歴史上に占める地位がまるでちがってくる。日本はどういうふうに語りつがれる国になりたいのだろう」 一九九〇年代に日本で続出した経済界のスキャンダルは、「日本は不正行為によって富を蓄積した」という諸外国の意見を、実証する形になってしまった。諸外国の経済界がすべて清潔で公正なわけでもないが、さまざまな不正行為をはたらき、暴力団と結託した企業が法的に罰せられることもなく、最高経営者が辞任もしない、というありさまは、諸外国から見れば、やはりまともではない。「吾々をヒステリックに追いつめると、日本経済がマヒする。そうなってもいいのか」といった大企業の会長がいる。不正行為をつづけねば日本経済はマヒするのだ、と、自分の口から告白しているである。 「どの企業が不正行為をはたらいたか、などということをしゃべるわけにはいかない。企業倫理に反する」とも。 つまり彼らの「企業倫理」とは共犯をかばうことであって、法律もモラルも良心も関係ない。ギャング団の掟と同じなのである。 こういうギャング団のボス同様の輩が、高級クラブで一本三〇〇万円のブランデーをあおりながら 「最近の若い奴らには国を愛する心も社会に奉仕する精神もない。奴らに中東の砂漠で血と汗を流させろ。でないと日本は世界の国から軽蔑されるぞ」 などと放言するのが、世界に冠たるニッポン財界の正体なのであった。> 創竜伝9巻 P150下段〜P151下段 <「申しわけございませんが、私どもではお役に立てません」 冴子の言葉を、南村警視正は、なさけない思いで受けとめた。 「警察を信用してはいただけんのでしょうか」 「信用したいのは山々です。でも、特に公安警察を信用する気にはなれません。法律を破り、裁判を侮辱するような組織が権力を持っていることに恐怖と困惑を感じます」 冴子がいったのは神奈川県警がおこした有名な盗聴事件のことだ。裁判所の出頭命令を警察は拒否し、ついに裁判所に姿を見せなかった。ようやく出廷した警察OBは判事の指示をことごとく拒絶して書類に名前も書かなかった。法律と裁判所に対して、あからさまに挑戦したのである。 警察の仕事は何か。市民に法律を守らせることである。だが公安警察が組織ぐるみで法律を破り、裁判を侮辱しているという事実が明らかになったいま、警察はどうやって市民に法律を守らせるつもりだろうか。公安警察の無法きわまる暴走で、もっとも迷惑をこうむっているのは、他の部局のまじめな警察官である。南村はそう思うのだが、他の部局でもこのところ失敗や不祥事があいついで、批判の的になっている。警察を市民が信頼しないのは、市民が疑い深いからではない。警察が市民の信頼を裏切ったからだ。 有名な盗聴事件で、警察側はいっさいの反省と謝罪を拒否した。これからも態度を変えないことまで明言した。有言実行というわけで、今後も違法行為をつづけるつもりであろう。南村は絶望的な心情になっていた。街のおまわりさん、田舎の駐在さん、それこそが警察の原点だ、と彼は思っている。それを忘れ、スパイまがいの盗聴などにうつつをぬかしていてどうするのか。> 創竜伝9巻 P183上段 <中熊はむなしく口を開閉させた。反論できなかったのである。冷然として、続は追いうちをかけた。 「汚職がなぜ悪いかというと、国家や政治に対する信頼を失わせるからです。二五〇〇年も往古に孔子がいってますよ。『信なくば立たず』とね。民衆の信頼が失われれば国は成り立たない、という意味です。いまごろ汚職を正当化するような人たちは、精神の発達が孔子より二五〇〇年ばかり遅れているんですよ」> 創竜伝10巻 P146上段〜下段 <うなずいて、始は、ほめられたと思っていいのだろうかと悩んでいる三男坊を見やった。 「信なくば立たず、という言葉を知っているだろう、みんな。政治に対する民衆の信頼がなければ国家は成立しえない、という意味だ。いったのは孔子、時代は二六〇〇年前」 終はほっとした。いつ誰がいったか答えてみろ、というハードな状況にならなかったからである。もっとも「孔子」と答えておけば半分ぐらいは的中するのだが。 「住専問題というのは、まさにそれだ。ひとりあたりたった五〇〇〇円じゃないか、という次元の問題じゃない。金銭で買えない信頼を、官僚は失ったんだ。しかも始末の悪いことに、いまだにそのことに気づいていない」 両手で新聞をたたみながら、続が兄に答えた。 「ですから、国民の血税を流用して住専を救おうとした大蔵官僚や、それを弁護する御用文化人は、精神の発達が孔子より二六〇〇年以上おくれているんですよ」> これだけ他人の不祥事について弾劾調かつ延々と書いておいて、他ならぬ自分自身の出版情報の不備について無視を決め込む、などということはまさかないはずでしょうし(苦笑)。 田中芳樹も「らいとすたっふ」も、こと田中作品の出版事情に関しては「金銭で買えない【読者および出版社の信頼】を致命的なレベルで失っている」という事実を少しは自覚すべきではないかと思うのですけどね。 |
No. 801 | |
久々に | |
八木あつし | 2007/05/26 21:37:04 |
ここに書きこむのは久々です。 冒険風ライダーさんが、某秘書のブログで軽快に某秘書と某作家の駄目さ加減を裁いていたので、ビックリしてこちらに書き込ませていただきました。 私自身も某秘書がさり気なく書いていた今年は書かないに驚いた口なので、冒険風ライダーさんの指摘に喝采を送っております。 それにしても某作家の執筆順番ですが、文庫版の座談会を書き下したことで順番は守ったと叫ぶ遅筆作家……が理由だったら最悪ですねぇ。まぁ某遅筆作家ならそう宣言してもおかしくない。華麗なる詭弁家ヨブ氏を超えます。 あと指摘なのですが、某有限会社の文庫本の作品紹介文ですが、あれは出版社側の編集が書いたのではないですかね。出版社のHPの作品紹介文と全く同じだったので、有限会社側はそれを載せたのでは。 まぁ紹介と内容に隔たりがある点は一緒なのですが。 まぁ仮に14巻が刊行されたとしてもイラク戦争の批判が延々と続く気がします。文庫版座談会でも愚痴愚痴と作中キャラに言わせていたので。 |
No. 808 | |
いろいろレス | |
冒険風ライダー | 2007/05/27 12:30:56 |
> 八木さん お久しぶりです(^^)。 八木さんもあちらのブログを閲覧しておりましたか。あちらのブログは常日頃から外部からの書き込み自体少ないし、今回の件でも当事者以外の誰からも書き込まれることがなかったので、「誰が見てるんだろ、このコメント欄(T_T)」とか思いながら投稿を続けていたのですが。 今回は「ストーカー紛いのたちの悪いクレーマー」「ブログ荒らし」と第三者に見られないことを常に意識して書き込みを行っていたので正直やりにくいところがありましたし、事情説明要求も結果的には完全に無視されてしまうことになりましたが、まあ「あるひとつの結果」が出せたという点では良かったかな、と前向きに考えるようにしています。私が主張していた「長期的には自社ブランドに対する大きなダメージとなって返ってくる」は、今後間違いなく「らいとすたっふ」に襲いかかってくるでしょうし。 <それにしても某作家の執筆順番ですが、文庫版の座談会を書き下したことで順番は守ったと叫ぶ遅筆作家……が理由だったら最悪ですねぇ。まぁ某遅筆作家ならそう宣言してもおかしくない。華麗なる詭弁家ヨブ氏を超えます。> さすがにそれは「らいとすたっふ」の社長氏が止めるでしょう(笑)。社長氏もそんな強弁は行っていませんでしたし、ただでさえ、その方面については全く信用がないのですから(爆)。 <あと指摘なのですが、某有限会社の文庫本の作品紹介文ですが、あれは出版社側の編集が書いたのではないですかね。出版社のHPの作品紹介文と全く同じだったので、有限会社側はそれを載せたのでは。> あと、文庫版裏表紙に書いてあったあらすじ文にも同じ文章が書かれていますね(これは後で確認したのですが)。 ただ、仮に出版社(今回は講談社)側が書いていたとしても、「らいとすたっふ」側はそれを刊行する前に事前チェックを行い、かつ修正要求を出すことくらいは版権会社としてできるはずなんですよね。ブログを見る限り、表紙のサンプルなどはかなり事前に連絡が行っていたりするらしいですし。 「あらすじのチェックを怠っていた」「間違った紹介文を、そのまま自社のサイトに掲載している」という点では、どの道版権会社としての「らいとすたっふ」の責任は免れないのではないでしょうか。 <まぁ仮に14巻が刊行されたとしてもイラク戦争の批判が延々と続く気がします。文庫版座談会でも愚痴愚痴と作中キャラに言わせていたので。> 創竜伝13巻ノベルズ版座談会で書いていた「イラクの大量破壊兵器疑惑」ネタが(結果的に)的中したことが余程嬉しかったのでしょうね(苦笑)。いつのまにか作中の時代が21世紀になっていたことをはじめとする、作中の様々な矛盾・問題点については完全にほっかむりを決め込んでいましたが。 |
No. 7695 | |
Re:創竜伝14巻刊行を巡る「らいとすたっふ」問題 | |
本ページ管理人 | 2007/05/27 15:16 |
>官僚答弁 安達氏の言動を見ていると、私が昔書いた、管理人の本論「小説だったら許される?」を思い出してしまいました。 まぁ、彼は自分から修羅の道に入っている訳だから自業自得以外の何者でもないですが、それでもこんな答弁をしなければならない心情を思うと惻隠の情を覚えてしまいますね(苦笑) 一度、安達氏に田中芳樹の社会評論についての感想を聞いてみたいものです。 |
No. 7702 | |
Re7695:続巻凍結の真相は如何に? | |
冒険風ライダー | 2007/05/29 22:41 |
<安達氏の言動を見ていると、私が昔書いた、管理人の本論「小説だったら許される?」を思い出してしまいました。> まあ今回の件に関しては、やはり田中芳樹自身の意向によって創竜伝の続巻凍結に至った、と見るのが自然でしょうね。元々「らいとすたっふ」側の当初スケジュールとしては創竜伝が優先だったのですし、内容を抜きにして単純に「売り上げ」だけを見るのであれば、新規に立ち上げる「月蝕島の魔物」シリーズよりも、既存シリーズで知名度が高く固定ファンもついている創竜伝の方が利益は見込めるわけですし。 あるいは「らいとすたっふ」と講談社の間で何か版権を巡ったトラブルでも発生したのかな、とも考えてもみたのですけど、それなら創竜伝13巻文庫版が講談社から出るわけがありませんし、最悪、講談社から他の出版社へ版権を移動させる、という切り札を持つ「らいとすたっふ」がそれを使わないわけがないですからね〜(現に他のシリーズ作品は頻繁に版権移動していますし(-_-;;))。 ちなみに、理論社ミステリーYA!のサイトで定期連載されている田中芳樹インタビューシリーズ「とっぴんぱらりのぷぅ」の連載第9回↓ http://www.rironsha.co.jp/Mystery_YA/tanaka/index.html の「連載第9回(07/05/10)」の記事 によると、「月蝕島の魔物」を執筆する企画が舞い込んできたのは2005年の秋頃だったとか。例の当初スケジュールがブログ上で公開されたのは2006年初頭ですから、実はこの企画は当初スケジュールに組み込まれることなく1年以上も放置されていたことになるわけです。 にもかかわらず、アルスラーン戦記12巻執筆後、如何なる理由から放置されていた「月蝕島の魔物」シリーズの企画を復活させ、逆に創竜伝14巻を凍結する方向へ旋回するに至ったのか、一読者としてはやはり「らいとすたっふ」側の公式発表から知りたかったところなのですけどね〜。 <まぁ、彼は自分から修羅の道に入っている訳だから自業自得以外の何者でもないですが、それでもこんな答弁をしなければならない心情を思うと惻隠の情を覚えてしまいますね(苦笑)> 「自社の情報公開の不備」「説明なしの突然の方針転換」という「身から出た錆」な状況を収拾する際にああいう官僚答弁などをやっていたら、自社および自社お抱えの作家の信用が失墜するという発想はなかったのですかね、あの社長氏には。 「発掘あるある大事典2」の納豆騒動の際には、以下の記事で責任を曖昧にごまかすことを批判していたというのに↓ http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2007/01/post_9962.html 今回の社長氏の対応および責任のごまかし方は、どう見てもこの時の関西テレビ以下なのですが。 まあ、真相を下手に公開しようものなら更なる非難と信用失墜が待ち構えている、という保身的な打算もあったのかもしれませんが、あの官僚答弁でも充分に致命傷たりえるのではないかと思えてならないのですけどね、私は。 |
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