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トンデモ小説が売れる責任の所在
5−C

田中作品の魅力推論(3)


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No. 715
私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
2001/02/26(Mon) 15:21
こんにちわ、恵です。(^-^)
まず、冒険風ライダーさんの「私の創竜伝考察シリーズ(Act.35)」、今回もホントに切れ味鋭い評論で素晴らしい内容だと思いました(やっぱりすごい方です!)。私もここにお邪魔するようになってから、かなり疑いの目で田中氏の最新刊を読むようになったつもりだったのですが、やはりまだ無意識にストーリーを飛ばし読みしちゃってるみたいです(笑)。正直、前巻以前からの伏線とかまったく覚えていなかったので(^^;;)、あんなにストーリー構成・設定の破綻が進んでいるとは思いませんでしたが、冷静に全体の構成を眺めると色々なことが見えてくるんですね。(冒険風ライダーさん、今後も頑張ってくださ〜い!)

で、今回のお題は「私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)」です。これは、冒険風ライダーさんの創竜伝考察Act.35を読ませていただいて改めて思ったことなのですけど、創竜伝ってもぅどうしようもないくらいのストーリー破綻やとんでもない内容の社会評論が多々ありますよね。これは揺るぎようもない事実だと思いますが、ではなぜこんなひどい内容の小説がベストセラーになるのでしょうか?
何度も議論されてきたことを、今回あえて再検証しようと思ったのは、「創竜伝(12巻)が売れるにはそれなりの理由があるはず」ということを私なりにはっきりさせたいからです。田中氏の作品の場合、「熱狂的ファンが盲目的に購入している」という理由もあるとは思いますが、広告や販売促進の分野から見ると、やはりヒットする商品には理由があり、大きく分けると

1:商品力
2:広告・販促の成功
3:社会的な流行(口コミなども含みます)

となります。創竜伝の場合、2:と3:は無視できるレベルだと私は思います。媒体(TV・ラジオ・雑誌等)で派手に宣伝してるというわけでもありませんし、本屋さんでの販促ツールもそれほど特筆すべきレベルではないと言えるでしょう。また、流行っているから(周りのみんなが買っているから自分も)創竜伝を買ってみようかな、という話もあまり(少なくとも私は)聞いたことがありませんから。
ということは、必然的に1:の「商品力」によって創竜伝は売れているということになりますが、肝心のストーリー構成・社会評論の破綻ぶりは冒険風ライダーさんが考察シリーズでご指摘されている通りです。これは、常識的に考えれば理解しがたい矛盾ですが…、「創竜伝の商品力(魅力)がストーリーや社会評論ではない部分にあるとすれば?」…これが、今回の私の推論の大まかなテーマです。

とりあえず、ストーリー以外の要因で考えられる創竜伝の魅力は

1:「田中節」とも呼べる田中氏の独特な文体
2:登場するキャラクターたちの魅力
3:天野喜孝氏のイラスト

と、こんなところでしょうか?
ここからは、あくまで個人的な偏見や独断混じりの憶測になるのですが、創竜伝の魅力は2:と3:にあるんじゃないかなと私は思います。
2:については、もちろん主要キャラクター(=竜堂兄弟)の魅力ということになるんですが、12巻については特殊なケースとして、ラブリー(笑)な動物キャラが数多く登場している点が見逃せません。具体的には、
「胡仙(キツネ)、灰仙(ネズミ)、柳仙(ヘビ)、黄仙(イタチ)、白仙(ハリネズミ)、」の“五仙”と呼称される地仙たちです。(後半で黒仙(ネコ)が加わって“六仙”になるんですけどね(^^;;)
正直、初めて本屋さんで創竜伝12巻を見つけた時、白竜王の肩に乗る白いネズミのイラストが、あ〜んまりにもラブリーに見えたので(笑)それにつられて買ったという事情が、私にはあります。そして、ストーリー展開上でも白竜王と五仙の会話はほのぼのしていて、大いに私を和ませてくれました(*^-^*)。
例えば、

(創竜伝12巻 P23・下段より抜粋)

「いや、大哥を捜しだすまで、多くの試練があるだろう、と覚悟していたけど、どうやら最大の試練は乗りこえたな」
 キツネやヘビは顔を見合わせた。五仙は白竜王に対して絶対的に忠誠をつくすつもりではあるが、つい、「だいじょうぶかね、うちに大将は」といいたくなる。これからさき、どんな大きな戦闘に直面するか、
悪辣な宮廷陰謀に巻きこまれるか、邪悪な妖怪とわたりあうか、見当もつかないのに、うどん屋の早食いなんかを最大の試練と呼ぶようでは、さきが思いやられるというものだ。

とか、

(創竜伝12巻P147・上段〜下段)

 前にすすみ出た黄仙が、ネコたちに凄みをきかせた。
『無礼者め、ここにおわすお方を、どなたとこころえるか。頭が高いぞ、さがれさがれ』
 神仙語でどやしつける。
「いや、まあ、そんなに高圧的にならなくてもいいから。礼儀ただしくいこうや」
 白竜王は、おうように手を振ってみせたが、黄仙はさらにネコたちをにらみまわした。
『ここにおわす方は、天界にあっては水晶宮の四海竜王のおひとり、西海白竜王。人界にあっては安国鎮のうどん早食い王であられる。どうだ、おそれいったか!』
 白竜王はよろめいて、あやうく胡仙の尻尾を踏みつけそうになった。
「こら、黄仙、よけいなことをいわなくていい」
『え、どうしてですか。初対面の相手にハッタリかますには、肩書きが多いほうがよござんすよ』
「とにかくだまってろってば。だいじなところなんだから」

と、まぁこんな感じほのぼのとした笑いを誘ってくれています(^-^)。
こういう部分だけ取り上げて創竜伝を評価すると、ただのファンの礼讃になってしまいかねませんが(笑)、私は前半でも触れたようにストーリー・社会評論の破綻は全面的に認めていますので、「ファンの人ははどこが良いと思って創竜伝を買っているのだろうか?」の疑問を解き明かすヒントの一つと思っていただければ幸いです。こう見えても、私は一応、まだ創竜伝が好きという感情が残っていますから(笑)。

そして、3:については偉大なイラストレーター・天野喜孝氏の技量(センス)の魅力ですね。田中氏は、ふくやまけいこ氏に描いてもらうときは、巻末のあとがきなどで大はしゃぎされるのに(笑)、天野氏の場合はほとんどコメントされないみたいですね(私は聞いたことないです。アルスラーンの頃からお付き合いだというのにね…(--)。個人的に、天野氏のイラスト世界の独特な世界観は大好きなので、私にとっては天野氏がイラストを担当しているのは、かなりポイントが高いです。と、いうより、天野氏が小説における創竜伝の「映像」を担っておられるのですから、ある意味、創竜伝にっとてかなり重要なポジションではないかとも、私は思います。

※補足:文庫版のイラストはCL?なんとかというイラストレーターさんが描かれているみたいですが、文庫版は買ったことも、じっくり読んだこともないので批評は差し控えさせていただきます。今回はあくまで、ノベルズの12巻の魅力推論ということでご了承ください。

で、私なりの結論なんですけど、一般的にファンと呼ばれる人たちはストーリーや社会評論の破綻を大して気にせず、キャラクターたちの動向だけを見守っているのではないでしょうか。これは田中氏の遅筆に大きな原因があるんですが、あれだけ発刊の期間が空くと、どうしても前巻以前の流れや設定を忘れてしまうんですよね。(もしかしたら、田中氏自身も(^-^;;)で、自分にとってのお気に入りのキャラとラブリーな動物キャラがほのぼのとからんでくれているから、ストーリー自体はなんとなく飛ばし読みしてるけど、「創竜伝(12巻)、面白かったね」ということになるのでは?

長々と書き連ねてしまいましたが、言及しなかった1:(田中氏の文体)も含め、一冊の本でもやはり人によって受け取り方は様々です。ストーリーと社会評論重視で読めば、創竜伝はどうしようもない駄作に映るかもしれませんし、キャラクターの魅力だけを見ていれば、人によっては最高に面白い小説として映っているのかもしれません。正直、私にとって、12巻の面白いと思えた部分を抜き出す作業は、複雑な気持ちを伴いました(何度も言いますが、創竜伝の根本的な欠陥は承知しているつもりなので)。管理人さんが常々おっしゃるように、「早く田中氏が正道に戻ってくれたらいいのに…」と思わずにはいられませんでしたから…。

今回の推論は、あくまで私見と偏見に基づいているので、皆様のご感想をぜひお待ちしております♪

ではでは。


No. 719
Re: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
てんてんdwp 2001/02/26(Mon) 21:43
てんてんdwpです。

実は私が銀英伝を読んだのは、S氏という奇人がおりまして。
この男は、ボードSLGやれば私と6:4くらいの割合で勝ち、マルチプレイゲームをやればまっさきに潰される(次が私)という男で、戦略・戦術を扱った本は論理的にその破綻を見つけずには、いられないという人物です。
銀英伝を読んだのはそのS氏が私に薦めたからなんですね。
で、読んでみてその戦略、戦術のあまりの酷さになんでS氏がこれを薦める?と思いながら最後まで読んでしまったわけです。そして面白いと思ってしまった。
これは恵さんと同じで、戦略・戦術重視で読めば銀英伝はどうしようもない駄作に映るかもしれませんが、キャラクターの魅力やその落ち(いまさらネタばらしにはならないでしょう。ヤンとユリアンのめざしていた職業のこと)の見事さを考えると、これは傑作なんだと思います。
だから、当時考えたのは田中芳樹氏はもしかして、当時流行っていた精密なようで穴だらけな戦略物SFのアンチテーゼとしてわざと稚拙な戦略・戦術を描き、それでもストーリだけで読ませるものはできる、と証明するつもりだったのではないか、ということです。
さすがに創竜伝ではわざと稚拙な・・・とは思いませんが(笑)。
結局創竜伝もそうですが、氏はキャラクターの魅力で充分読ませるだけのものが書けるのだから、思想なんざ適当でいい、と考えているのかもしれませんね。


No. 721
Re^2: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
2001/02/26(Mon) 22:23
てんてんさん、レスありがとうございます♪

> 結局創竜伝もそうですが、氏はキャラクターの魅力で充分読ませるだけのものが書けるのだから、思想なんざ適当でいい、と考えているのかもしれませんね。

創竜伝に関しては、そうかもしれませんね。はっきり言って、左寄りの思想(社会評論)がその場の思いつきにしか見えない代物だと感じるのは、きっと私だけじゃないはずです(笑)。
でも、私が銀英伝を初めて読んだとき、「民主主義VS専制政治」の構図と田中氏の歴史観はすごく新鮮に映りました。キャラクターの魅力とともに、政治や思想について、私自身が初めて真剣に考えさせられた小説だったと思います。
「思想が適当でいい」と感じてしまうのは、やっぱり近年の作品に見られる悪い傾向なんでしょうね…。


No. 726
創竜伝が売れるわけ。
KEN 2001/02/27(Tue) 00:58
> てんてんdwpです。
> これは恵さんと同じで、戦略・戦術重視で読めば銀英伝はどうしようもない駄作に映るかもしれませんが、キャラクターの魅力やその落ち(いまさらネタばらしにはならないでしょう。ヤンとユリアンのめざしていた職業のこと)の見事さを考えると、これは傑作なんだと思います。

銀英伝は、その主軸となる主張(思想)の対立がはっきりしてましたから、多少不備な点があっても何の問題もなく傑作といえると思います。戦略・戦術は場を盛り上げるための殺陣みたいなもんだと思いますから。

さて、問題は創竜伝の方なんですが、こちらで展開される思想って、
簡単に言ってしまえば、「マルクスかぶれの大学生」ぐらいのレベルしかないんですよね。企業献金に対する考え方とか、まんまそのままです。
良い悪いはともかく、わかりやすいんですよね。そして賢くなった気がする。
実際私自身もそんな気がしてましたし。(笑)
恐らくその点こそが創竜伝の売れる理由の一つではないかと思うんですよね。
キャラクタの魅力や作者の筆力ってのもあると思いますが、
あえてその社会批判に注目してみれば、その「単純さ」が
売れる理由ではないでしょうか?


No. 728
Re: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
日傘 2001/02/27(Tue) 00:58
 どうも、日傘です。少々感想をば。

 自分は単純に11巻を読んだファンの人たちが、そのまま12巻に流れているものと思いました。ミュージシャンなどと同様、田中氏には固定ファン層が割ときっちり存在しますし、私も経験がありますが、「好きな歌手(作家)が歌っているものはとりあえず抑えておく」という心理は無視できないと思います。ラブリーな動物が出ていようがいまいが、田中氏の書いたものなら固定層は購入するのではないでしょうか? 12巻だけが特別売れたわけでもないでしょうし。

 「ストーリーや社会評論の破綻を、ファンは気にしていない」という部分に関しては賛同します。恵さんが仰るとおり、ファンのニーズがそんなところにあるとは思えません。破綻に関しては、大方のファンは気づかない振りをしているのではないでしょうか? プロレスの八百長論みたいなものです。外部から見れば決定的に崩壊しているものでも、好きだからこそ目をつぶって騙されてあげる。まあ、中には本気で信じ込んでいる人もいますが。

 なにがそこまでファンを魅了するのか。無論、様々な要因が考えられます。キャラクターや挿絵も肯けますが、私自身の経験では恵さんが挙げられた2や3よりも、
> 1:「田中節」とも呼べる田中氏の独特な文体
 と、もう一つ
  4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性
 にあると思います。
 前者は田中氏の構成要素中もっとも独特のパーソナリティです。皮肉や毒舌のセンス、多少強引な比喩表現等は他の作家に真似のできない田中氏の個性と言えるでしょう。ここの辺りは好みの問題ですが。
 後者に関しては、どうも善悪の定義がころころ変わっていますが、少なくとも主人公の陣営は最終的な必勝を義務付けられていますしね。言い換えれば、主人公に感情移入する際に、敗北や挫折を考慮すること無しに読めるという、安心感を持つことができます。「創竜伝」は特にこの部分が肥大化し、プロットや評論がそれに従属するものに過ぎなくなっているからこそ、必然的に破綻をきたしている作品だと思います。活劇作品に安心感を求めている読者は、目をつぶる事ができる範囲なのではないでしょうか?

 ドタバタ芳樹の冒険活劇が大好きだったもので、やはりもう少しドキドキハラハラする田中作品が読みたい今日この頃……


No. 731
勧善懲悪もどきの創竜伝
2001/02/27(Tue) 02:13
レスありがとうございます、日傘さん♪

>  自分は単純に11巻を読んだファンの人たちが、そのまま12巻に流れているものと思いました。ミュージシャンなどと同様、田中氏には固定ファン層が割ときっちり存在しますし、私も経験がありますが、「好きな歌手(作家)が歌っているものはとりあえず抑えておく」という心理は無視できないと思います。ラブリーな動物が出ていようがいまいが、田中氏の書いたものなら固定層は購入するのではないでしょうか? 12巻だけが特別売れたわけでもないでしょうし。

そうですね、ここは日傘さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、今回の推論は冒険風ライダーさんの考察Act.35を読んで12巻の破綻を再確認してから、という動機がありましたから。別に、全巻を通じて12巻が特別売れた謎を解こう、というつもりはありませんでした。

>   4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性

日傘さん、創竜伝は勧善懲悪に徹しきれていないと私は思います。また、善悪がころころ変わるというよりも、「兄弟が無事に暮らせたらいい」というような主張したり、その自己保身の発想を全うするでもなく「50億人抹殺計画(でしたっけ?)」を感情論で阻止しようとしたりと、言っていることとやっていることの矛盾もかなり大きいです。(この辺の認識は、冒険風ライダーさんの受け売りですけど(^^;;)

購買層にもよるのかなぁ、とも思います。いろんな意味で、創竜伝の「単純さ」を純粋に信じ込めるのは中・高校生くらいじゃないんでしょうか?それより上の世代だと、とてもそんなにすんなり受け入れられる内容のストーリーや社会批判だとも思えないから、自分なりに「魅力推論」を書いてみたのですけど。
No.715の「魅力推論」を書いた動機の一つに、中・高校生層だけではとても創竜伝がベストセラーにならないんじゃないかなぁという思いがありました。さすがに、あのプロット無視のストーリー構成と破綻した社会評論だけではね…(^-^;;)


No. 734
創竜伝とファンタジーRPG
てんてんdwp 2001/02/27(Tue) 07:58
> >   4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性
>
> 日傘さん、創竜伝は勧善懲悪に徹しきれていないと私は思います。また、善悪がころころ変わるというよりも、「兄弟が無事に暮らせたらいい」というような主張したり、その自己保身の発想を全うするでもなく「50億人抹殺計画(でしたっけ?)」を感情論で阻止しようとしたりと、言っていることとやっていることの矛盾もかなり大きいです。(この辺の認識は、冒険風ライダーさんの受け売りですけど(^^;;)
>
> 購買層にもよるのかなぁ、とも思います。いろんな意味で、創竜伝の「単純さ」を純粋に信じ込めるのは中・高校生くらいじゃないんでしょうか?それより上の世代だと、とてもそんなにすんなり受け入れられる内容のストーリーや社会批判だとも思えないから、自分なりに「魅力推論」を書いてみたのですけど。
> No.715の「魅力推論」を書いた動機の一つに、中・高校生層だけではとても創竜伝がベストセラーにならないんじゃないかなぁという思いがありました。さすがに、あのプロット無視のストーリー構成と破綻した社会評論だけではね…(^-^;;)

これ読んでふと思ったんですが。
たしかザベストの中で銀英伝の構図と似ているゲームの話ってのがあったじゃないですか。
創竜伝はもっと幅広く、実は量産コンピュータファンタジーRPGに似ているんですよ、そのプロットが。
不完全な勧善懲悪とか、主人公絶対無敵なんてのはもろにファイナルと言いながら10本も作っちゃうあれに似てるし(笑)。
竜堂家の食卓

>竜堂始 知的ハンサム。落ち着いた大人の魅力。家長の威厳。
>竜堂続 超絶ハンサム。貴族的な皮肉屋。始以外の権威は認めない。
>竜堂終 ショタコン・キャラ。超絶元気食欲魔人。
>竜堂余 最年少で「守ってあげたい」健気ショタコン・キャラ。

ってのがありましたが、これを無理矢理ファンタジーRPGに当てはめると、かなり歪んだ主観ではありますが
竜堂始  魔法使い
竜堂続  騎士
竜堂終  戦士
竜堂余  遊び人
鳥羽茉理 僧侶
ほーら、パーティが組める(笑)。

てんてん dance with penguin


No. 737
Re: 創竜伝とファンタジーRPG
2001/02/27(Tue) 12:18
> 創竜伝はもっと幅広く、実は量産コンピュータファンタジーRPGに似ているんですよ、そのプロットが。
> 不完全な勧善懲悪とか、主人公絶対無敵なんてのはもろにファイナルと言いながら10本も作っちゃうあれに似てるし(笑)。
> 竜堂家の食卓に
> >竜堂始 知的ハンサム。落ち着いた大人の魅力。家長の威厳。
> >竜堂続 超絶ハンサム。貴族的な皮肉屋。始以外の権威は認めない。
> >竜堂終 ショタコン・キャラ。超絶元気食欲魔人。
> >竜堂余 最年少で「守ってあげたい」健気ショタコン・キャラ。
> ってのがありましたが、これを無理矢理ファンタジーRPGに当てはめると、かなり歪んだ主観ではありますが
> 竜堂始  魔法使い
> 竜堂続  騎士
> 竜堂終  戦士
> 竜堂余  遊び人
> 鳥羽茉理 僧侶
> ほーら、パーティが組める(笑)。

ファンタジーRPGというと、私はずいぶん前によく読んだスニーカー文庫を思い出しちゃいます(ロードス島戦記とか)。
逆に、創竜伝はその手の純粋なファンタジー小説やRPGゲームとは違う種類のカタルシスがあると私は思っていましたので、てんてんさんのご意見には少し驚きました。やはり、人によって受け取り方は様々、ということなんでしょうね(^-^)。

あと、RPG設定なら、私としては

竜堂始  賢者
竜堂続  聖騎士(潔癖な?(笑))
竜堂終  遊び人(こっちでしょうね、性格的には)
竜堂余  勇者(見習い)
鳥羽茉理 女戦士

というキャストにして欲しいです♪


No. 740
Re: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
モトラ 2001/02/27(Tue) 16:38
>キャラクターの魅力
以前どなたかが同じようなことを言っていたような気もしますが、ファンの女子中高生にとっては、まずアイドルグループ「ドラゴンブラザーズ」としての竜堂4兄弟が存在し、「創竜伝」という「ドラマ」に、彼らが主役として出演している…みたいな構図もあるのでは。ストーリーの展開は二次的なもので、多少の破綻も「竜堂兄弟に責任は無いもん。それにあたしは○くんが活躍してくれればいいの☆」でチョン。
それと社会評論&中国史については、「勉強になりました」と作品内のそれだけで納得してしまい、向上心を持ってその先の知識を得よう(本当にそうなのか確かめよう)とは思わない。また親や先生に「そんなのばかり読んでないで、漱石や川端を手に取れ」と言われたとき「ちゃんと社会勉強にもなるんです!」と反論する材料になるという点も(たとえそれが噴飯モノでも、彼女らは真剣。また、サヨクにかぶれた教師なら説得されてしまったり^^;)
男性の場合…オイラのように、サヨク価値観の持ち主である手前のパーソナリティーを慰撫してくれる存在として(だからもう、自虐告白はヤメロって^^;)。


No. 741
Re715: 田中作品が売れる理由
冒険風ライダー 2001/02/27(Tue) 17:40
> とりあえず、ストーリー以外の要因で考えられる創竜伝の魅力は
>
> 1:「田中節」とも呼べる田中氏の独特な文体
> 2:登場するキャラクターたちの魅力
> 3:天野喜孝氏のイラスト
>
> と、こんなところでしょうか?

 実は私が初めて田中作品(アルスラーン戦記)を買ったきっかけというのが「3」でしてね。約10年ぐらい前、当時あまりメジャーではなかったFFシリーズから天野氏を知り、その関連で買ってみたら面白かったので、1年ぐらいかけてほとんどの小説を買いあさったというのが、私の田中作品閲読の歴史です。
 私は今でも「イラスト」を元にしてゲームや小説を買うということをよくやっています。この手のエンターテイメント作品に入りこむ最初のきっかけとして「イラスト」は結構重要な役割を持っていますからね。他の人達の購入動機を見ても、小説を読むきっかけが「イラスト」だったというケースはかなり多そうですし、やはり「イラスト」がダメだとその時点で引いてしまいますから(^^;;)。
 また、田中作品全般に見られる傾向として、メディアミックス展開や小説の再販を行う際に、妙に女性読者を意識したイラストレーターを起用するというのがありますね。マンガ版および再販版「銀英伝」の道原かつみ氏、マンガ版「アルスラーン戦記」の中村地里氏、そして創竜伝文庫本のCLUMPと、全て少女マンガ系雑誌で活躍している人達ばかりです。
 田中作品にはどうも女性読者が多いようなのですが、その原因のひとつに、上記のイラスト関連で女性読者が作品に入りやすい環境があることは間違いないでしょう。

 そして上記の「イラスト」関連その他のきっかけで田中作品に入ってきた読者が次に引きつけられるのが、やはり田中芳樹の文体と作中に出てくるキャラクターの「魅力」なのでしょうね。ただ最近は文体もキャラクター性も昔とは明らかに異なるスタイルで描いているように思うのですけど。
 上記の「イラスト」やメディアミックス展開でもそうなのですが、どうも最近の田中作品は明らかに女性読者をターゲットにして、小説の執筆や販売戦略が行われているように見えます。年を追うに従って作中にある女性描写の数が増えていますし、文体も銀英伝の頃と比べるとかなり女性を意識した柔らかい文体に変わってきています。つまり田中作品それ自体が女性読者に迎合するようになってきているわけです。このあたりにも創竜伝が爆発的に売れる理由が隠れているような気がします。

 それとストーリーの流れや作中の政治思想・主義主張などロクに読まず、キャラクターの魅力にのみ惹かれる読者が多いのは、別に田中作品に限らず、また小説に限定されるものでもなく、エンターテイメント作品全体に対して多かれ少なかれ当てはまる傾向のように思いますね。
 ネット上に存在する色々な作品や作家のファンサイトの掲示板などを見ていると、そこで主に出てくる話題というのは主にキャラクターの魅力や「キャラ萌え」についての雑談であって、ストーリー内容に関する話題や疑問が出てくるようなことはめったにないのですよ、これが。
 結局のところ、ストーリーをひたすら追いかけるよりも好きなキャラクターだけを語っていた方が「楽」なのですから、これはある程度必然的に起こる現象ではあるのでしょうが、田中作品の場合、この傾向がメディアミックス展開や女性読者に対する販売戦略、それに「田中芳樹」というブランド名と合わさって、最悪の化学反応を引き起こしているというのが実状なのではないでしょうか。


No. 742
Re: 勧善懲悪もどきの創竜伝
日傘 2001/02/28(Wed) 00:24
 ご丁寧にレスして頂いて有難うございます。しかし、いま少し解かりづらい点がありますので、再びお付き合い頂ければ有難いです。

> そうですね、ここは日傘さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、今回の推論は冒険風ライダーさんの考察Act.35を読んで12巻の破綻を再確認してから、という動機がありましたから。別に、全巻を通じて12巻が特別売れた謎を解こう、というつもりはありませんでした。

 なるほど。私も冒険風ライダーさんの考察には唸らされました。しかし恵さんが、矛盾や破綻は今にはじまったことではない(にもかかわらず毎巻ベスト1)創竜伝の魅力を論じるにあたって、敢えて12巻に限定された理由がいまいち呑み込めなかったのです。

>
> >   4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性
>
> 日傘さん、創竜伝は勧善懲悪に徹しきれていないと私は思います。また、善悪がころころ変わるというよりも、「兄弟が無事に暮らせたらいい」というような主張したり、その自己保身の発想を全うするでもなく「50億人抹殺計画(でしたっけ?)」を感情論で阻止しようとしたりと、言っていることとやっていることの矛盾もかなり大きいです。(この辺の認識は、冒険風ライダーさんの受け売りですけど(^^;;)

 まあ、客観的に見れば確かにそうなんですが、構造的にはまぎれも無い勧善懲悪作品ではないでしょうか? 以前恵さんも仰られていた通り、竜堂兄弟の言動は連中が何を言おうとも、内心では自分の正義を疑ってはいません。それこそ悪の定義は「俺たちに逆らうやつだ!」です。そして、善たる竜堂兄弟が敗れることはまずありえないことですから、勧善懲悪だと思ったわけでして。多少(?)言動が矛盾していようが、竜堂兄弟が勝利すること自体が人気の秘密ではないかと思ったわけです。逆説的に、勝つことによって竜堂兄弟の、ひいては思想を同じくする読者の正当性を認識できると言う背景もあるかもしれません。「正義は勝つ」ってのはエンターテイメントの王道ですからね。
 田中作品自体が元々そういった傾向にあるのですが、近年は感情を是とする主人公の正当性に固執する余り、理屈を歪めているだけの話で、田中氏のファンには十分許容範囲なのではないかと思います。


No. 744
Re^2: 創竜伝とファンタジーRPG
てんてんdwp 2001/02/28(Wed) 05:47
> ファンタジーRPGというと、私はずいぶん前によく読んだスニーカー文庫を思い出しちゃいます(ロードス島戦記とか)。
> 逆に、創竜伝はその手の純粋なファンタジー小説やRPGゲームとは違う種類のカタルシスがあると私は思っていましたので、てんてんさんのご意見には少し驚きました。やはり、人によって受け取り方は様々、ということなんでしょうね(^-^)。

えーと、例えばファンタジーRPGで遊んだ人間が、もろそのままのロードス島を読むでしょうか?
初めは読まれるでしょうが、RPGが量産されれば読まなくなりますよね。
となると欲しくなるのは「根底に流れているのは自分が親しんだ価値観」だけど「外面はまったく違ったように見える」本でしょう。
そういうニーズ(ようは隙間産業)にマッチしたのが創竜伝です。


> 竜堂始  賢者
> 竜堂続  聖騎士(潔癖な?(笑))
> 竜堂終  遊び人(こっちでしょうね、性格的には)
> 竜堂余  勇者(見習い)
> 鳥羽茉理 女戦士

これは、私も悩んだです(^^;;特に余君の扱いが・・・。

てんてん dance with penguin


No. 745
Re^2: 勧善懲悪もどきの創竜伝
2001/02/28(Wed) 13:13
日傘さん、こちらこそご丁寧で紳士的なレスありがとうございます♪

> > そうですね、ここは日傘さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、今回の推論は冒険風ライダーさんの考察Act.35を読んで12巻の破綻を再確認してから、という動機がありましたから。別に、全巻を通じて12巻が特別売れた謎を解こう、というつもりはありませんでした。
>
>  なるほど。私も冒険風ライダーさんの考察には唸らされました。しかし恵さんが、矛盾や破綻は今にはじまったことではない(にもかかわらず毎巻ベスト1)創竜伝の魅力を論じるにあたって、敢えて12巻に限定された理由がいまいち呑み込めなかったのです。

No.715でも言いましたけど、冒険風ライダーさんのタイムリーな12巻の考察が最大の動機でした。
また、「どうして創竜伝が売れるの?」の議論は過去ログで何度か拝読させていただいていたので、再び掘り起こして皆様に疑問を投げかけるには、今までとは違う尺度や価値観でもっての検証が必要だと感じからです。そして、あえて12巻に限定させていただいたのは、最新刊(一番新しい田中氏の傾向がわかる作品)ということと、わたしの手元にある創竜伝がこれだけだったからですね(^^;;)。偏見に満ちた推論とはいえ、全体の印象だけで「なぜ売れるの?」を解き明かすのはやはり無礼にあたると思い、ちゃんと引用ができる作品を選んだのですけど…。こういうこと、先にちゃんと言わないといけなかったかもしれません。日傘さん、わたしも言葉足らずで申し訳ありませんでしたm(--)m。

> > >   4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性
> >
> > 日傘さん、創竜伝は勧善懲悪に徹しきれていないと私は思います。また、善悪がころころ変わるというよりも、「兄弟が無事に暮らせたらいい」というような主張したり、その自己保身の発想を全うするでもなく「50億人抹殺計画(でしたっけ?)」を感情論で阻止しようとしたりと、言っていることとやっていることの矛盾もかなり大きいです。(この辺の認識は、冒険風ライダーさんの受け売りですけど(^^;;)
>
>  まあ、客観的に見れば確かにそうなんですが、構造的にはまぎれも無い勧善懲悪作品ではないでしょうか? 以前恵さんも仰られていた通り、竜堂兄弟の言動は連中が何を言おうとも、内心では自分の正義を疑ってはいません。それこそ悪の定義は「俺たちに逆らうやつだ!」です。そして、善たる竜堂兄弟が敗れることはまずありえないことですから、勧善懲悪だと思ったわけでして。多少(?)言動が矛盾していようが、竜堂兄弟が勝利すること自体が人気の秘密ではないかと思ったわけです。逆説的に、勝つことによって竜堂兄弟の、ひいては思想を同じくする読者の正当性を認識できると言う背景もあるかもしれません。「正義は勝つ」ってのはエンターテイメントの王道ですからね。
>  田中作品自体が元々そういった傾向にあるのですが、近年は感情を是とする主人公の正当性に固執する余り、理屈を歪めているだけの話で、田中氏のファンには十分許容範囲なのではないかと思います。

わたしも概ね同感です、日傘さん。冒険風ライダーさんのレスにもありましたが、ストーリーを読み飛ばしているファンとっては、創竜伝の矛盾や破綻はたぶん、どうでもいいことなんでしょうね。創竜伝が勧善懲悪物語としての構造を持っているというご意見にも賛同できます。
なぜなら、勧善懲悪という概念は、儒教・仏教の道徳思想や義侠の思想として古くから存在し、民衆が待望する理想的英雄像をつくる有効な小説原理でもあるからです。創竜伝の場合、あえて主人公たちの言動・思想を無視して結果だけを見れば、確かに「勧善懲悪物語」と言えるとでしょうね。
ただ、私が気になってしまったのは、日傘さんが

>   4:勧善懲悪に徹したエンターテイメント性

と書かれたからなんです。創竜伝は「勧善懲悪もどき」でしかないと、わたしは思うんです。あの数々の言動不一致がある限り、決して「徹している」と断言できるようなストーリー展開ではありませんから。
ただし、「勧善懲悪に徹した」というのは、あくまで「一般的なファンの主観」と日傘さんがおっしゃるなら、わたしも納得できるのですけど。

(読み方や受け取り方は人それぞれですから、どちらにしろ日傘さんのご意見を否定するつもりはまったくありません、念の為)


No. 746
Re^3: 勧善懲悪もどきの創竜伝
日傘 2001/02/28(Wed) 19:34
 こちらこそ言葉が足らずに申し訳ありませんでした。

 「勧善懲悪」という言葉を使った意図は、悪党の三分の理を考慮することなく読めるという意味で使用したのです。肝心の主人公の理が壊れているのは、私も承知しているのですが、あえて「エンターテイメント」として考えてみるならば、まさに構造自体は主人公が己の正義の元に悪人の陣営に組する人間を虐殺して回る、「勧善懲悪」に他ならないと思ったのです。諸々の田中作品で幾度となく批判対象にされてきましたけど。
 ですから、

>ただし、「勧善懲悪に徹した」というのは、あくまで「一般的なファンの主観」と日傘さんがおっしゃるなら、わたしも納得できるのですけど。

 と駄レスの真意を読んでいただけて、幸いです。私が漠然と思ったのは、
「田中節のキャラが悪党を叩きのめすから売れるんだろうな〜」
 と言うことでしたから。

>(読み方や受け取り方は人それぞれですから、どちらにしろ日傘さんのご意見を否定するつもりはまったくありません、念の為)

 私も別に恵さんの意見を否定しようと思ってレスしたのではありませんよ。過程にあった疑問点を訊いてみたかっただけです。おおむね疑問は氷解しましたが、もし気分を害されたのなら謝罪します。申し訳ありません。


No. 752
Re: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
Merkatz 2001/03/01(Thu) 21:34
創竜伝がなぜ売れるかは、田中芳樹七つの謎の一つ(笑)でして、
ここでもいままで色々推測されてきたのですが、決定的な解明までには至っていません。
恵さんの挙げられた3つの魅力は有力な理由と思います。

皆さんの意見を総合して(美味しいとこ取りともいう)、まず読者層として

1.中・高校生
2.女性ファン
3.田中芳樹ファン

に分類されると思います。もちろん、重なる部分もあるでしょうが。
そしてそれぞれの読者層に対して、購読理由が違うのでしょう。

1.中・高校生・・・青臭い理想主義的主張が、若いときの大人への反抗心にピッタリくる。
2.女性ファン・・・イラスト・キャラ萌え
3.田中芳樹ファン・・・とりあえず集める

そして3者共通として、

・ストーリー矛盾・社会批評なんてどうでもよい。好きなキャラが活躍すれば面白く感じる。
・自分が面白く感じた部分しか印象に残っていない。

があると思います。

つまり、幅広い読者層のニーズにそれぞれ対応する商品訴求力が備わっていることが創竜伝の強みではないかなと。
どれか特定読者層しか受け入れないようなものであるなら、とっくに部数を落としていただろうと思います。

とすると、最近女性ファン向けに文体が変わったというのは、田中芳樹がそういう嗅覚に鋭い作家であることの証明なのでしょうか?


No. 756
Re: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
yasusi 2001/03/02(Fri) 14:34
どうもお初にお手紙します。

 私も、創竜伝12巻を読みました。といっても立ち読みですが。冒険風ライダーさんも指摘されている通り、よんでいて、「あんた、その比喩強引すぎ」とか「あの、論理的におかしいですけど」とか突っ込みたい部分が嫌というほどありました。しかし、結構おもしろかったと思います。

 恵さんも言われる独特の文体のテンポのよさ、(それにごまかされないように読むのが大変でしたが)は昔から好きでした。

 皆さんの言うところの勧善懲悪、(でもあくまで主人公の主観的な)は、ひごろいろいろ苦労の多い妥協しなければならない私らcにとっては、他人からどう見えてもそれを貫く強さを竜堂兄弟にあるのが、無意識にしても、自分と重ねて、快感を感じるのではないでしょうか。

 その前には、少々?のストーリーや論理の破綻なんて気にしないのではないでしょうか。言われて信じ込む歳でもないし。(ちなみに、23才)


No. 760
Re^2: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
2001/03/02(Fri) 14:34
>  どうもお初にお手紙します。

レスありがとうございます、yasusiさん♪

>  恵さんも言われる独特の文体のテンポのよさ、(それにごまかされないように読むのが大変でしたが)は昔から好きでした。

田中節って、一度はまっちゃうと何度でも読みたくなる、麻薬のような魅力があるんですよねえ(笑)。

>  皆さんの言うところの勧善懲悪、(でもあくまで主人公の主観的な)は、ひごろいろいろ苦労の多い妥協しなければならない私らcにとっては、他人からどう見えてもそれを貫く強さを竜堂兄弟にあるのが、無意識にしても、自分と重ねて、快感を感じるのではないでしょうか。

受け取り方は千差万別ですから、そういうカタルシスもあるでしょうね。今回のわたしの推論は、最初から、できるだけの多くの方々と考えてみたいと思っていました。人によって面白いとかつまらないの定義は違いますから、誰か一人が「創竜伝の魅力はこうだぞ!」といっても、それも「one of them」(by 田中芳樹(笑))、一つの意見でしかないと思ったんです(^-^)。

>  その前には、少々?のストーリーや論理の破綻なんて気にしないのではないでしょうか。言われて信じ込む歳でもないし。(ちなみに、23才)

そうそう、同感です。ただ、創竜伝の罪は、偉そうに歪んだ社会評論でいろんな人々を不当に貶めている点にもあると、わたしは思います。多かれ少なかれ、どんなフィクション小説にもストーリー破綻や矛盾は存在しますけど、あれだけストーリーと関係ない社会評論がてんこ盛りの伝奇小説も珍しいと思いますけど(^-^;;)。


No. 761
Re^2: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
2001/03/02(Fri) 19:14
レスありがとうございます、Merkatzさん♪♪

> 皆さんの意見を総合して(美味しいとこ取りともいう)、まず読者層として
>
> 1.中・高校生
> 2.女性ファン
> 3.田中芳樹ファン
>
> に分類されると思います。もちろん、重なる部分もあるでしょうが。
> そしてそれぞれの読者層に対して、購読理由が違うのでしょう。
>
> 1.中・高校生・・・青臭い理想主義的主張が、若いときの大人への反抗心にピッタリくる。
> 2.女性ファン・・・イラスト・キャラ萌え
> 3.田中芳樹ファン・・・とりあえず集める
>
> そして3者共通として、
>
> ・ストーリー矛盾・社会批評なんてどうでもよい。好きなキャラが活躍すれば面白く感じる。
> ・自分が面白く感じた部分しか印象に残っていない。
>
> があると思います。
>
> つまり、幅広い読者層のニーズにそれぞれ対応する商品訴求力が備わっていることが創竜伝の強みではないかなと。
> どれか特定読者層しか受け入れないようなものであるなら、とっくに部数を落としていただろうと思います。

かなり核心を突かれたご意見だと思います。そもそも、ベストセラーというものは特殊なケースを除けば、幅広いニーズに対応してこそ(それが結果的にだとしても)生まれるものですからね。そして、Merkatzさんがまとめられたそれぞれの購買層の共通傾向も、かなり正解に近いのではないでしょうか。

> とすると、最近女性ファン向けに文体が変わったというのは、田中芳樹がそういう嗅覚に鋭い作家であることの証明なのでしょうか?

あ、ここだけ素朴な疑問なのですけど、田中氏の文体が女性ファン向けに変わったのってどの作品から感じられたのでしょうか?『薬師寺涼子シリーズ』とか、『創竜伝』・『アルスラーン』の最新刊からそう思われたんですか?
なんだか、わたしは田中作品の文章のテンポや言い回しは、あまり変わったように感じないんですけど…f(^-^;)


No. 762
Re761: 田中作品の文体の変化について
冒険風ライダー 2001/03/02(Fri) 21:30
> あ、ここだけ素朴な疑問なのですけど、田中氏の文体が女性ファン向けに変わったのってどの作品から感じられたのでしょうか?『薬師寺涼子シリーズ』とか、『創竜伝』・『アルスラーン』の最新刊からそう思われたんですか?
> なんだか、わたしは田中作品の文章のテンポや言い回しは、あまり変わったように感じないんですけど…f(^-^;)

 これを言ったのは私ですよ。Merkatzさんは私の主張を引用していただけです。
 この「文体の変化」というのは、私が田中作品を読んでいく過程で、だんだん女性キャラクターの重要性や活躍の描写が増えていったことに漠然と感じていたものです。田中作品を時代順に追ってみれば、年を追うに従って女性描写が増えてきているのが分かります。
 実は女性キャラクターや女性描写が増えることで喜ぶのは男性読者ではなく女性読者なんですよね。女性読者にしてみれば、自分達が感情移入できるキャラクターが増えるわけですし、極楽大作戦のパクリである「薬師寺シリーズ」を読んだ時には特に感じざるをえませんでしたね。「明らかに女性読者に迎合している」と。元ネタを知っていただけになおさらそう思いましたよ。
 アルスラーン戦記読本で評論をしていた和田慎二などは、この女性描写の増加を喜ばしいものであると言わんばかりの評価を下していましたが、あの腐りきった女性描写が増えていったことのどこが喜ばしいことであるのか、私にはさっぱり理解できませんでしたね(笑)。

 「文体の変化」としては、他にも昔の作品と比べて「文章中に妙なカタカナ言葉を使った個所が多い」(「薬師寺シリーズ」全般)や「キャラクターのしゃべる口調が『だなあ』とか『だよなあ』とか『だったんだあ』などと言った『語尾を伸ばす表現』になっている描写が多い」(創竜伝12巻・アルスラーン戦記10巻)などといった細かい点も挙げられます。
 こんな細かいことが女性や中・高校生に受ける表現であるのかどうかは私は知りませんけど。


No. 772
女性の活躍=女性読者向け、ですか?
2001/03/04(Sun) 16:54
>  これを言ったのは私ですよ。Merkatzさんは私の主張を引用していただけです。

あ、そうだったんですか?では、冒険風ライダー様にご質問を。

>  この「文体の変化」というのは、私が田中作品を読んでいく過程で、だんだん女性キャラクターの重要性や活躍の描写が増えていったことに漠然と感じていたものです。田中作品を時代順に追ってみれば、年を追うに従って女性描写が増えてきているのが分かります。
>  実は女性キャラクターや女性描写が増えることで喜ぶのは男性読者ではなく女性読者なんですよね。女性読者にしてみれば、自分達が感情移入できるキャラクターが増えるわけですし、極楽大作戦のパクリである「薬師寺シリーズ」を読んだ時には特に感じざるをえませんでしたね。「明らかに女性読者に迎合している」と。元ネタを知っていただけになおさらそう思いましたよ。

まず、「極楽大作戦」って本当に女の子に人気があるんですか?その確証がないと、パクリとはいえ田中氏が女性読者受けを狙っているかどうかは断言できないんじゃないでしょうか?わたしの周りで、読んだことあるって子は一人もいないみたいですけど…(^-^;;)
それと、女性の活躍が増えたら女の子が感情移入できるという発想は間違っていませんが、田中作品の場合ってちょっと違うと思います。女の子が感情移入できる作品は、自分と登場人物(主人公)を重ね合わせて、憧れたり応援したりすることできる物語です。少女漫画のヒット作の定番もだいたいこれに当てはまります。でも、薬師寺涼子の活躍というのは男性が感じる魅力はあるかもしれませんが、女の子が共感できるような言動やライフスタイルではありません。十代の、そして普通の女の子とは目線がまったく違いますから(笑)。わたしとしては、ストーリーにもっと恋愛が大きく関わってくるようになったら、田中氏が女性読者を意識しはじめたとのご意見に賛同できるのですが、青龍王と大真王夫人の小学生的なお付き合いを見ていると(笑)、全然女の子を意識してないなぁと思います(というか、田中氏には根本的に無理なのでは?(T-T)。

>  「文体の変化」としては、他にも昔の作品と比べて「文章中に妙なカタカナ言葉を使った個所が多い」(「薬師寺シリーズ」全般)や「キャラクターのしゃべる口調が『だなあ』とか『だよなあ』とか『だったんだあ』などと言った『語尾を伸ばす表現』になっている描写が多い」(創竜伝12巻・アルスラーン戦記10巻)などといった細かい点も挙げられます。

カタカナ言葉の多用は薬師寺シリーズの特徴ですけど、あれって使う対象をおちょくるための表現技法じゃないんですか?女の子がカタカナ言葉を使うから、という意味合いでしたら、もっと「イケメン」とか今時の言葉に対してになると思います。薬師寺シリーズではたいがい、「オコガマシイ」というような、難しい単語をわざとカタカナにしてるだけなので、女性受けとは関係ないんじゃないでしょうか?

文体に関しては、冒険風ライダーさんのおっしゃる通り、微妙なマイナーチェンジはしているとは思います。でも、わたしなんかはほとんど気づきませんでしたから、これだけで女性読者を意識しているとは言い難いと思います。
もっと作風そのものが変わらないと、女性を意識しているとは言えないんじゃないでしょうか?


No. 773
Re772: 女性読者受けについて
冒険風ライダー 2001/03/04(Sun) 21:52
> まず、「極楽大作戦」って本当に女の子に人気があるんですか?その確証がないと、パクリとはいえ田中氏が女性読者受けを狙っているかどうかは断言できないんじゃないでしょうか?わたしの周りで、読んだことあるって子は一人もいないみたいですけど…(^-^;;)

 すいません、説明不足でした。「薬師寺シリーズ」が女性受けするというのは、むしろ逆に、極楽大作戦が「男性受け」するものであることから思いついた発想でして。「パクリ」であるがゆえに、却って「両作品の特徴の違い」がより一層際立って見えたと言えば分かりやすいでしょうか。
 と言っても、これに関してはどちらかというと理屈ではなく感覚的に感じているものなので、説明するのが非常に難しいのですが(^^;;)。


> それと、女性の活躍が増えたら女の子が感情移入できるという発想は間違っていませんが、田中作品の場合ってちょっと違うと思います。女の子が感情移入できる作品は、自分と登場人物(主人公)を重ね合わせて、憧れたり応援したりすることできる物語です。少女漫画のヒット作の定番もだいたいこれに当てはまります。でも、薬師寺涼子の活躍というのは男性が感じる魅力はあるかもしれませんが、女の子が共感できるような言動やライフスタイルではありません。十代の、そして普通の女の子とは目線がまったく違いますから(笑)。

 いや、薬師寺涼子に男性読者を惹きつけるような魅力などないでしょう。私などは薬師寺涼子を見ても不快感しか覚えなかったものでして(笑)。なまじパクリ元の極楽大作戦の雰囲気を詳細に知っていただけに、私は薬師寺涼子のあの性格破綻にウンザリしたわけなのですが。
 実は薬師寺涼子、ひいては「薬師寺シリーズ」全体の魅力というのは基本的に創竜伝とほとんど同じものなんです。つまり、主人公たちが権力者や資産家に対して偉そうに説教を垂れていきながら、自分達の基準で勝手に敵とみなした相手を無慈悲に叩き潰していく、という構図が読者受けしているわけです。「薬師寺シリーズ」はそれを竜堂兄弟ではなく、極楽大作戦的な女主人公とその下僕(笑)が行っているというのが特徴です。
 「薬師寺シリーズ」の本家たる極楽大作戦にもある程度そういった要素がないわけではないのですが、極楽大作戦にはそれ以外にも物語を面白くする要素がたくさん存在するのに対し、「薬師寺シリーズ」はほとんどこれだけでストーリーが成立していると言えます。早い話、「薬師寺シリーズ」という作品は「創竜伝的な発想と思想形態に基づいて行動する美神令子」がストーリーを引っ張っていると言っても過言ではないシロモノなのです(笑)。この辺りに私は女性読者受けの要素があるのではないかと感じたわけです。
 つまり、創竜伝とあまり(というかほとんど)違和感のない主義主張や単純明快かつ痛快(?)なストーリー原理、そして一連のストーリーを主導するのが男性ではなく女性であるという事実自体が女性読者受けしやすいものになっており、さらに従来の田中芳樹ファンや中・高校生なども作品に入りこみやすいようになっているというわけです。これだと「性格」も女性的ではなく、むしろ竜堂兄弟的かつ非現実的なものであった方が却って女性読者に受けるように思います。
 うろ覚えなのですが、以前「薬師寺シリーズには女性読者が多い」という話を聞いた事があるので、こんな推測を立ててみたのですが、どうでしょうか。


> わたしとしては、ストーリーにもっと恋愛が大きく関わってくるようになったら、田中氏が女性読者を意識しはじめたとのご意見に賛同できるのですが、青龍王と大真王夫人の小学生的なお付き合いを見ていると(笑)、全然女の子を意識してないなぁと思います(というか、田中氏には根本的に無理なのでは?(T-T)。

 いや、執筆者本人の主観的には充分に意識して書いている「つもり」になっているのではないかと思いますよ。ただそれがあまりにも小学生的であると言うだけで(笑)。
 でないと、年を追うに従って女性描写が妙に増えてきたことに対する説明がつかないんですよね〜。最近の田中作品にある女性描写を見るたびに、私は頭が痛くなってくるのですが(笑)。


> カタカナ言葉の多用は薬師寺シリーズの特徴ですけど、あれって使う対象をおちょくるための表現技法じゃないんですか?女の子がカタカナ言葉を使うから、という意味合いでしたら、もっと「イケメン」とか今時の言葉に対してになると思います。薬師寺シリーズではたいがい、「オコガマシイ」というような、難しい単語をわざとカタカナにしてるだけなので、女性受けとは関係ないんじゃないでしょうか?

> 文体に関しては、冒険風ライダーさんのおっしゃる通り、微妙なマイナーチェンジはしているとは思います。でも、わたしなんかはほとんど気づきませんでしたから、これだけで女性読者を意識しているとは言い難いと思います。
> もっと作風そのものが変わらないと、女性を意識しているとは言えないんじゃないでしょうか?

 まあ確かにあの「カタカナ言葉の多用」に関しては、創竜伝にも似たような使い方があるみたいですし、これは女性受けとは関係なかったかもしれません。
 ただ「昔だったらこんな文体は絶対に書かなかっただろうな」と思ったので、少しは参考になるかと考えてちょっと提示してみたのですけど。
 「女性を意識した作風の変化」となると、私が知っている限りでは女性キャラクターの活躍が増えたことと、「薬師寺シリーズ」に代表されるような「気丈な女性が男性相手に偉そうな説教を始め、それに相手が対抗できずに屈服する」といった描写が目障りなぐらいに増えたこと(特に「カラトヴァ風雲録」以降の作品)などがこれに当たるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。


No. 777
参考 文庫版創竜伝9巻あとがき対談より
本ページ管理人 2001/03/05(Mon) 00:16
文庫版9巻巻末の田中氏と垣野内成美氏対談から、参考になりそうな部分を抜粋しました。

田中 僕自身は男性だから、女性読者に贔屓にしてもらえる女性キャラをつくねのは一つの理想なんですけれど、さいわい薬師寺涼子は読者の方の反応が非常にいいんです。
垣野内 私も読んでいて楽しかったし、アシスタント陣もすごく喜んでいました。
…………
田中 女性の読者のお手紙で、「お涼を尊敬してます」(笑)というのが何通もありまして。尊敬までされるとちょっとまずいかもしれません(笑)婦人警官の方からもお手紙をいただいたんです。「泉田警部補のご心中をお察しします」って(笑)(後略)
…………
垣野内 薬師寺涼子は最初、みんながよけちゃうような厳しい女だと聞いたので、キツネっぽいイメージを抱いていたんですけれど、読んでいくうちに「女性からとても好かれる女性だ」と思いました。働く女性にとって「がんばってください!」って感じがするキャラクター。(後略)
…………
垣野内 田中先生の文章は優しい感じがします。女性が読みやすいですね。
田中 そのへん自分ではよくわからないのですが、「伝奇ものは女性が暴力を加えられる描写が多いので読まなかったのですが、『創竜伝』は違いますね」
と女性読者に言われたことがあります。『魔天楼』では女性が男性に蹴りを入れます(笑)
垣野内 それがいいんだと思います。


No. 786
Re^3: 私なりの創竜伝(12巻)の魅力推論(私見)
yasusi 2001/03/05(Mon) 10:52
> >  どうもお初にお手紙します。
>
> レスありがとうございます、yasusiさん♪

 どうもこちらこそ
>
> >  その前には、少々?のストーリーや論理の破綻なんて気にしないのではないでしょうか。言われて信じ込む歳でもないし。(ちなみに、23才)
>
> そうそう、同感です。ただ、創竜伝の罪は、偉そうに歪んだ社会評論でいろんな人々を不当に貶めている点にもあると、わたしは思います。多かれ少なかれ、どんなフィクション小説にもストーリー破綻や矛盾は存在しますけど、あれだけストーリーと関係ない社会評論がてんこ盛りの伝奇小説も珍しいと思いますけど(^-^;;)。

 まあ、珍しいですね。ここの人達が、このホームページやっているのもこれに尽きると言う気がしますが。

 私の周りだけかもしれませんが、結構みんな社会評論とか好きなんですよ。最近の森総理やKSDを出すまでも無く結構やな事理不尽な事が結構余の世のなかにある。でも、それを理論的に批判している難しい本を読む時間も無いし、難しいし、でも、創竜伝だと、笑いながら社会勉強が(あぶないあぶない)できるという側面があるのではないかと。世の中なんで悪い。政治家と官僚が悪いというのも一つの理解の方法だし。
 そこらへんは、石原慎太郎や小林よしのりとある意味で似ているのかもしれません。強引でも一つの理解の方法を提供すると言う点だけにおいて。


No. 787
「薬師寺シリーズ」の感想
2001/03/05(Mon) 11:23
> 文庫版9巻巻末の田中氏と垣野内成美氏対談から、参考になりそうな部分を抜粋しました。
>
> 田中 僕自身は男性だから、女性読者に贔屓にしてもらえる女性キャラをつくねのは一つの理想なんですけれど、さいわい薬師寺涼子は読者の方の反応が非常にいいんです。
> 垣野内 私も読んでいて楽しかったし、アシスタント陣もすごく喜んでいました。
> …………
> 田中 女性の読者のお手紙で、「お涼を尊敬してます」(笑)というのが何通もありまして。尊敬までされるとちょっとまずいかもしれません(笑)婦人警官の方からもお手紙をいただいたんです。「泉田警部補のご心中をお察しします」って(笑)(後略)
> …………
> 垣野内 薬師寺涼子は最初、みんながよけちゃうような厳しい女だと聞いたので、キツネっぽいイメージを抱いていたんですけれど、読んでいくうちに「女性からとても好かれる女性だ」と思いました。働く女性にとって「がんばってください!」って感じがするキャラクター。(後略)
> …………
> 垣野内 田中先生の文章は優しい感じがします。女性が読みやすいですね。
> 田中 そのへん自分ではよくわからないのですが、「伝奇ものは女性が暴力を加えられる描写が多いので読まなかったのですが、『創竜伝』は違いますね」
> と女性読者に言われたことがあります。『魔天楼』では女性が男性に蹴りを入れます(笑)
> 垣野内 それがいいんだと思います。

石井さん、ありがとうございます。わたし、こんなデータがあるとはちっとも知らなくて…(^-^;;)。
ただ、わたしの感覚的な意見ですけど、「薬師寺シリーズが女性受けしてる」って既存の田中ファンの女の子が、ってことじゃないでしょうか?あのシリーズから田中氏を初めて知ったということでしたら、女の子から反響があると判断できるんでしょうけど…。

*「薬師寺シリーズ」の個人的な感想*
ストーリー……田中氏が適当に書いてるんだってつくづく感じた上に、疑問点もたくさんありました。(石棲獣(?)が「オマエラミナゴロシダ」みたいなメッセージを電光掲示板に出していましたが、その謎には最後までまったく触れず終い。てっきり、知性がある怪物だと思っていたのに、ただの凶暴な蜘蛛のお化けで、読み終わってから「????」って感じでした(^-^;;;)

登場人物……泉田警部補は好きです(*^-^*)、優しそうな人だから(笑)。でも、お涼はかなり自己チューで嫌味な感じしかしませんでした。将来、あんな風になりたいとは思いませんし(お金持ちにはちょっとなりたいけど(笑))。もし田中氏が「こんな女性を活躍させれば女の子に人気出るだろうな」とか秘かに思っていたら、ちょっと許せないですね。わたしの目から見ても、お涼は相〜当に嫌味なキャラですから(笑)。むしろ、わたしは泉田警部補を応援したくなります(ひょっとして、それが狙い?!)。

う〜ん、「創竜伝の魅力」でも触れましたけど、この辺は結局、「人によって受け取り方の違い」ということになるんでしょうか。ただ、薬師寺シリーズって創竜伝ほど売れてるんでしょうか…?ちょっとだけ気になりますけど、この二者の共通点は「田中氏がストレス発散のために、(本人は)楽しんで書いている」ではないかと思います。これって、すごい病魔ですよねぇ…、ご本人に自覚がない分、特に(^-^;;;)。


No. 788
Re: Re772: 女性読者受けについて
2001/03/05(Mon) 13:24
>  すいません、説明不足でした。「薬師寺シリーズ」が女性受けするというのは、むしろ逆に、極楽大作戦が「男性受け」するものであることから思いついた発想でして。「パクリ」であるがゆえに、却って「両作品の特徴の違い」がより一層際立って見えたと言えば分かりやすいでしょうか。
>  と言っても、これに関してはどちらかというと理屈ではなく感覚的に感じているものなので、説明するのが非常に難しいのですが(^^;;)。

そうですね、冒険風ライダーさん(^-^)。例の「極楽大作戦」は、わたしも本屋さん(BOOK OFF)で少しだけ読ませていただきましたが、あちらは明らかに男性受けする作品だと思いました。似てる(パクリ?)と皆さんがおっしゃる理由もよくわかったつもりです。構図は、ほとんど「まんま」ですもんねえ(^-^;;;)。

>  いや、薬師寺涼子に男性読者を惹きつけるような魅力などないでしょう。私などは薬師寺涼子を見ても不快感しか覚えなかったものでして(笑)。

実は、同感なんです、ここは(^-^;;)。お涼みたいなお金持ちになりたいとはちょっと思いますけど(笑)、あの嫌みな性格はちょっと…。

>なまじパクリ元の極楽大作戦の雰囲気を詳細に知っていただけに、私は薬師寺涼子のあの性格破綻にウンザリしたわけなのですが。
>  実は薬師寺涼子、ひいては「薬師寺シリーズ」全体の魅力というのは基本的に創竜伝とほとんど同じものなんです。つまり、主人公たちが権力者や資産家に対して偉そうに説教を垂れていきながら、自分達の基準で勝手に敵とみなした相手を無慈悲に叩き潰していく、という構図が読者受けしているわけです。「薬師寺シリーズ」はそれを竜堂兄弟ではなく、極楽大作戦的な女主人公とその下僕(笑)が行っているというのが特徴です。
>  「薬師寺シリーズ」の本家たる極楽大作戦にもある程度そういった要素がないわけではないのですが、極楽大作戦にはそれ以外にも物語を面白くする要素がたくさん存在するのに対し、「薬師寺シリーズ」はほとんどこれだけでストーリーが成立していると言えます。早い話、「薬師寺シリーズ」という作品は「創竜伝的な発想と思想形態に基づいて行動する美神令子」がストーリーを引っ張っていると言っても過言ではないシロモノなのです(笑)。この辺りに私は女性読者受けの要素があるのではないかと感じたわけです。
>  つまり、創竜伝とあまり(というかほとんど)違和感のない主義主張や単純明快かつ痛快(?)なストーリー原理、そして一連のストーリーを主導するのが男性ではなく女性であるという事実自体が女性読者受けしやすいものになっており、さらに従来の田中芳樹ファンや中・高校生なども作品に入りこみやすいようになっているというわけです。これだと「性格」も女性的ではなく、むしろ竜堂兄弟的かつ非現実的なものであった方が却って女性読者に受けるように思います。
>  うろ覚えなのですが、以前「薬師寺シリーズには女性読者が多い」という話を聞いた事があるので、こんな推測を立ててみたのですが、どうでしょうか。

なるほど、そうかもしれませんね。
ただ、男の子が創竜伝の「強さ」に憧れるのはわかる気がするんですが、わたしは「恋愛」に憧れるのが女の子だと思っているものですから。でも、これはあくまで自分の感覚なので、冒険風ライダーさんの仮説も間違っていないと思います。

>  いや、執筆者本人の主観的には充分に意識して書いている「つもり」になっているのではないかと思いますよ。ただそれがあまりにも小学生的であると言うだけで(笑)。
>  でないと、年を追うに従って女性描写が妙に増えてきたことに対する説明がつかないんですよね〜。最近の田中作品にある女性描写を見るたびに、私は頭が痛くなってくるのですが(笑)。

>  まあ確かにあの「カタカナ言葉の多用」に関しては、創竜伝にも似たような使い方があるみたいですし、これは女性受けとは関係なかったかもしれません。
>  ただ「昔だったらこんな文体は絶対に書かなかっただろうな」と思ったので、少しは参考になるかと考えてちょっと提示してみたのですけど。
>  「女性を意識した作風の変化」となると、私が知っている限りでは女性キャラクターの活躍が増えたことと、「薬師寺シリーズ」に代表されるような「気丈な女性が男性相手に偉そうな説教を始め、それに相手が対抗できずに屈服する」といった描写が目障りなぐらいに増えたこと(特に「カラトヴァ風雲録」以降の作品)などがこれに当たるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

ごめんなさい、少しわたしに誤解がありました。冒険風ライダーさんが田中氏の主観として「女性受け」を論じておられるのに、わたしは世間一般の評価として最近の田中作品が「女性読者に受けている」と、とらえてしまっていました。「女性受け」を狙っているかどうかの真相は、ご本人にしかわからないことかもしれませんが、確かに女性描写が増えたことは事実だと思います。勝手に誤解してしまって、本当に申し訳ありませんでした…m(-.-)m。
ただ、本当に「女性受け」を狙うなら、今までの(創竜伝の)「ハンサムボーイ」(笑)路線以外に、「恋愛」は外せない要素だとわたしは強く思っています。でも、その辺りは他の作家さんで満足させてもらっているので、あえて田中作品に求めるつもりはないですけど(笑)。
そういう、わたしたちが本当に求めているものの心理って、たぶん田中氏にはわかんないんでしょうね…(^-^;;;)


No. 801
Re: 「薬師寺シリーズ」の感想
日傘 2001/03/06(Tue) 03:17
 日傘です。横レス失礼します。

 私の教え子(家庭教師やってます)は結構お気に入りのようでしたが、本当のところはどうか分かりません。試しに銀英伝を貸してやったら、翌週には挫折しました。(字が多いらしいです。) どうもニーズが代わってきているとしか言いようが無いかもしれません。
 ただ、彼女の好みからして、身を刻むような恋というのはあまり最近では好まれないようで、喩えるなら接吻や交換日記が終着点のような、中学生のような恋愛に人気があるそうです。薬師寺×泉田のつきそでつかないのがうけてるのかもしれません。あんまり少女漫画は読まないんでよく分からないのですが。

>
> *「薬師寺シリーズ」の個人的な感想*
> ストーリー……田中氏が適当に書いてるんだってつくづく感じた上に、疑問点もたくさんありました。(石棲獣(?)が「オマエラミナゴロシダ」みたいなメッセージを電光掲示板に出していましたが、その謎には最後までまったく触れず終い。てっきり、知性がある怪物だと思っていたのに、ただの凶暴な蜘蛛のお化けで、読み終わってから「????」って感じでした(^-^;;;)

 そして火をかけられて死ぬと。二巻のミノタウロスもそうでしたが、ドラよけシリーズにはサービス精神が不足してますね(笑)。ロイエンタールを見習いなさいって言いたいです。
>
> 登場人物……泉田警部補は好きです(*^-^*)、優しそうな人だから(笑)。でも、お涼はかなり自己チューで嫌味な感じしかしませんでした。将来、あんな風になりたいとは思いませんし(お金持ちにはちょっとなりたいけど(笑))。もし田中氏が「こんな女性を活躍させれば女の子に人気出るだろうな」とか秘かに思っていたら、ちょっと許せないですね。わたしの目から見ても、お涼は相〜当に嫌味なキャラですから(笑)。むしろ、わたしは泉田警部補を応援したくなります(ひょっとして、それが狙い?!)。

 泉田警部補は標準的な田中キャラ(容姿も性格も)ですから、それなりに人気があるでしょうね。涼子の造詣に関しては、女性読者へのごますりではなく、単にストーリーを考えるのが面倒くさかったらじゃないでしょうか(笑)。話の大まかな外枠だけ考えておけば、展開の必然性なんか無視しても勝手に話はできるし。よくキャラが勝手に動くとは言いますが、最初から勝手に動いてもらうためにキャラ作りしているような印象をうけます。
 それを言えば、創竜伝もそんな感じがしますね。あっちは楽しんでではなく、どちらかというと使命感に燃えているような臭いを感じますが。


No. 817
ふーん
Merkatz 2001/03/07(Wed) 20:57
薬師寺シリーズはまったく読んだことがないのですが、極楽のほうは半分まで読んでいたので分かります。
美神的性格が女の子に受けるというのは、私にはちょっと理解できません。
「強い女性」が憧れの的となるのは分かりますが、極楽の美神はちょっと性格破綻が過ぎるかなあと。
それともあそこまで突き抜けたのもまた魅力なんでしょうか?
薬師寺涼子ってそんなに=美神なんですか。
今度立ち読みでもしてみようかな。


No. 822
Re: ふーん
2001/03/08(Thu) 14:46
> 薬師寺シリーズはまったく読んだことがないのですが、極楽のほうは半分まで読んでいたので分かります。
> 美神的性格が女の子に受けるというのは、私にはちょっと理解できません。
> 「強い女性」が憧れの的となるのは分かりますが、極楽の美神はちょっと性格破綻が過ぎるかなあと。
> それともあそこまで突き抜けたのもまた魅力なんでしょうか?
> 薬師寺涼子ってそんなに=美神なんですか。
> 今度立ち読みでもしてみようかな。

わたしも、ちょっとオリジナル(極楽大作戦)を読んだだけなんですが、「性格破綻」という部分は両ヒロインともよく似てるみたいですよ(^-^;)。
薬師寺シリーズの評価は、女の子の中でも年齢や好みによって違うと思います。あの完成度の低いストーリーを、テンポの良さだけで「読みやすくて面白い」と受け取るか、純粋に「完成度が低くてつまらない」と受け取るのか。ライトノベルに慣れ親しんだ中・高校生くらいの女の子なら、前者のような評価となるかもしれませんし、わたしのように20代で性格がスレてると(笑)後者の評価となるのかも。
この作品は「田中氏の悪ノリ」が全てであり、まっとうに評価するような小説じゃないよね、というのがわたしの正直な感想です。(^-^;;;)


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