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創竜伝のエンターテイメント性
6−A

創竜伝・悪役列伝(1)


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No. 223
悪役列伝(名無しの男/創竜伝最強の悪役)
優馬 2000/12/29(Fri) 18:52
どうも、ご無沙汰しておりました。優馬です。

 たまさか「創竜伝」第一巻を入手できたので、思いついたネタが「悪役列伝」。田中芳樹ワールドの悪役さんたちについて、みなさんと一緒に論じれたらいいな、と思って企画しました。
 「悪役」の定義は、基本的に「やられキャラ」。従って銀英伝のラインハルトとかは除きます。使い捨てにされる消耗品のザコキャラにも、それなりの視点で解析すれば、思わぬ発見があるやもしれません。
 お好みの悪役キャラについてスレッドを立てていただいて、それについてさらにコメントがある方はレスしていただくといいと思っております。
では、とりあえず拙文を。

名無しの男/創竜伝最強の悪役

創竜伝第一巻に登場。全巻を通じて「竜堂兄弟に言うことをきかせた」たぶんただ一人の悪役。「三十代半ばの、石のような質感をもった男」

>「御前のご命令で、あなたさまを賓客としておむかえにあがりました。
>自動車が用意してございます。どうぞ私とご同道いただきたく存じます
>が」
>「いやだと言ったら?」
> そう始が言ってみると、男は石のような顔に笑いに似た表情をたたえ
>た。
>「この場で私は割腹します。御前のご命令をはたせなかった以上、真正の
>日本人として当然のこと」
>「くだらない死にかただな」
> むしろ怒りをこめて始はつぶやいたが、相手の、いわば静かな狂気とも
>呼ぶ態度に、いささか気おされて、皮肉を言う気になれなかった。

 この人、船津忠巌の「次席執事補」なのですが、どうしてどうして、親分より貫禄がある。「御前」に対しては皮肉の言いたい放題の竜堂始が、この人には「気おされて」るんですから。
 「強い子分」を出して「親分はもっと強い」と言わせるのは、バトルものの常道ですが、その点、このキャラは良くその役割を果たしている。名前もつけてもらっていないワリには、やけに存在感があります。
 問題は、ここまで盛り上げてもらった船津忠巌が、あれよあれよと底を割ってしまうこと。というわけで、もう一つ、「悪役列伝(船津忠巌/田中芳樹にもっとも憎まれた男)」というのを書かせてください。
 それでは、みなさん、良いお年を!


No. 234
Re: 悪役列伝(謎のコーリャについて)
日傘 2001/01/10(Wed) 03:42
あけましておめでとうございます。日傘です。
 面白そうなスレッドですのでカキコさせていただきました。

>  「悪役」の定義は、基本的に「やられキャラ」。従って銀英伝のラインハルトとかは除きます。使い捨てにされる消耗品のザコキャラにも、それなりの視点で解析すれば、思わぬ発見があるやもしれません。

 創竜伝の悪役は作者の意向からか、どれもあまりに画一的で魅力を感じないものが多いです。たいてい国粋主義者の俗物か、その腰ぎんちゃくの俗物。印象に残るとすれば、田母沢くらいでしょうか? でもこいつ、巻を隔てて生き延びてますから、ボツですかね。

 私が田中作品でもっとも好きな悪役は、優馬さんの定義からは多少外れるでしょうが、田中芳樹初期の「白夜の弔鐘」の謎のコーリャです。設定こそベタベタなものの、徹底してピカロに徹する姿勢にあの独特の田中節がマッチして、なかなか味のあるキャラクターに仕上がっています。しかも珍しく主人公が誉める! もちろんラインハルトやらとは別の意味ですが。

 古き良き(笑)時代に、純粋に少しでも魅力的な悪役を作ろうと苦心している田中先生の姿が浮かびます。これに限らず、初期作品には敵役といえどもナイスなキャラが数多存在しますし。いい悪役が書けなくなったのは、幾度もこの場で書かれてきたことですが、作家田中芳樹の衰弱なんでしょうね。
 あの頃は良かったなあ……


No. 236
悪役列伝…中国系は宝庫かも?
2001/01/10(Wed) 17:45
優馬さん、あけましておめでとうございます!今年も優馬ワールド(笑)とも呼べるあなたの独特な視点とご意見で私たちを楽しませてくださいね!(^-^)


>  たまさか「創竜伝」第一巻を入手できたので、思いついたネタが「悪役列伝」。田中芳樹ワールドの悪役さんたちについて、みなさんと一緒に論じれたらいいな、と思って企画しました。
>  「悪役」の定義は、基本的に「やられキャラ」。従って銀英伝のラインハルトとかは除きます。使い捨てにされる消耗品のザコキャラにも、それなりの視点で解析すれば、思わぬ発見があるやもしれません。
>  お好みの悪役キャラについてスレッドを立てていただいて、それについてさらにコメントがある方はレスしていただくといいと思っております。

面白いアイデアですね♪
ただ、田中氏の現代物の悪役さんって、ホントに三流以下の俗物で、魅力薄すぎのキャラが多いですよね?(近年の作品は特に!)
恵としては、中国物に登場する敵役はけっこう味がある人物が多いように感じるので、(暴君である隋の煬帝でさえ、それなりに魅力を感じますし)今度、ちゃんと読み返して“悪役列伝”(笑)に載せられるような人物を調べてみまーす♪


No. 244
悪役列伝(纐纈城の城主/纐纈城奇譚より)
2001/01/11(Thu) 14:08
早速、列伝に載せられそうな悪役さんを探してみましたッ!

〈纐纈城の城主/纐纈城奇譚より(このヒトもラスボスなのに、名無しの男です(笑)〉

以下、P166より抜粋

「善は悪、悪は善」
城主は半ば笑い、半ば歌っていた。
「生は死、死は生、明は暗、暗は明。現世にひとつてして確かなものがあろうか」
そういったのは問いかけではなかったらしく、すぐに城主は語をつづけた。
「人は人を喰うて生きるもの。ただ形を変えておるゆえ気づかぬだけではないか。官は税という形で民を喰い、富める者は貧しき者を喰い、貧しき者はさらに貧しき者を喰う。それが人の世と申すものではないか」
「だから、きさまが人を殺し、血を搾って布を染めてもよいとでもいうのか」
李績が烈しく睨みつけたが、城主は痛痒を感じたようすもなかった。
(中略)
「では汝らに問おう。善といい悪という。何をもって善といい、何を指して悪というのか、明快に答えられるか」
「無辜の民を殺すのは悪だ」
「何と単純な」
城主は笑った。嘲笑である。


纐纈城奇譚というお話は、「宇治拾遺物語」を素材にした中国・唐の時代の冒険活劇です。この物語の最大の悪役は「纐纈城の城主」とだけしか記されていない魔人なのですが、人の血を搾って布に染めて売り、さらにすの死体を食料にするという呪われた一族の首領でもあります。

以前、このサイトでも「人間の原罪」をテーマに議論されたのを記憶しているんですけど、纐纈城の城主は主人公たちにそれをストレートにぶつけているのが、それが今までの田中作品にない悪役キャラだなぁ、と少し感心したんです。あと、主人公の「無辜の民を殺すのは悪だ」という言葉も、「○○が正義だ!」ではなかったので、ほっとした覚えがありますね。(^^;)

でも、この「では汝らに問おう。善といい悪という。何をもって善といい、何を指して悪というのか、明快に答えられるか」をぜひ竜堂兄弟にも投げかけてみたいものですね〜。たぶん、速攻で
「おれたちの敵は悪だッ!」
なんて恐ろしい返事が返ってきそうですケド♪


No. 251
Re: 悪役列伝(纐纈城の城主/纐纈城奇譚より)
日傘 2001/01/11(Thu) 23:30
 纐纈城奇譚って、中国モノじゃ鬼っ子ですよね。出版当時、私の高校の図書室に入ったときには、藤田氏の挿絵にしか話題が集まりませんでした(笑)。
 思ったよりもちゃんと伝奇伝奇してたので私は好きでしたけどね。菊地夢枕がえげつなくてヤダ!っていう人向きかもしれません。

> でも、この「では汝らに問おう。善といい悪という。何をもって善といい、何を指して悪というのか、明快に答えられるか」をぜひ竜堂兄弟にも投げかけてみたいものですね〜。たぶん、速攻で
> 「おれたちの敵は悪だッ!」
> なんて恐ろしい返事が返ってきそうですケド♪

 さすがにこれはないと思いますよ。本心はどうかは別にして。自分の行動すら社会評論で理論武装してからでないとできないような連中ですから、おそらく始あたりが、
「俺たちは別に自分たちを善と信じているわけではない。善悪を決めるのは後世の歴史家だ(ありゃ、こりゃヤンか)」
 などとのたまうことでしょう。
 竜堂兄弟は見たところ、義憤や感傷で発作的に行動しても、「なにが善でなにが悪か」などという本質的な命題は、巧妙にかわして沈黙を守っている感があります。というより其処まで深く考えていないような気がしますが……


No. 252
そりゃ違うでしょう
本ページ管理人 2001/01/12(Fri) 00:03
> でも、この「では汝らに問おう。善といい悪という。何をもって善といい、何を指して悪というのか、明快に答えられるか」をぜひ竜堂兄弟にも投げかけてみたいものですね〜。たぶん、速攻で
> 「おれたちの敵は悪だッ!」
> なんて恐ろしい返事が返ってきそうですケド♪

創竜伝のパターンは、

・敵のどう見ても小悪党な奴が「俺のやっていることは正義なのだ!」「ワシは愛国者なのだ!」と、異様にわざとらしい(ここ大事)セリフを吐く。
   ↓
・竜堂兄弟が「ほう、正義ね。正義の名の下にどれだけの人が殺されたか知っているのか」みたいな説教が始まる
   ↓
・場合によって、地の文に「人が残酷になるときは、正義を唱えて悪を撃つときだ」というような意味の田中芳樹の説教が入る。
   ↓
・竜堂兄弟が「悪」の名の下に「正義」を何の疑問も持たず容赦なく痛めつけて、すぐ前の説教が嘘であることを証明する(笑)

と定型化しているので、竜堂兄弟が敵を「悪」と呼ぶことはないはずです。

それにしても、ファシズムやスターリニズムの教科書に使えそうなくらい典型的なねじ曲がった思考ですね…


No. 264
なるほど、そうですね。
2001/01/12(Fri) 10:07
> > でも、この「では汝らに問おう。善といい悪という。何をもって善といい、何を指して悪というのか、明快に答えられるか」をぜひ竜堂兄弟にも投げかけてみたいものですね〜。たぶん、速攻で
> > 「おれたちの敵は悪だッ!」
> > なんて恐ろしい返事が返ってきそうですケド♪
>
> 創竜伝のパターンは、
>
> ・敵のどう見ても小悪党な奴が「俺のやっていることは正義なのだ!」「ワシは愛国者なのだ!」と、異様にわざとらしい(ここ大事)セリフを吐く。
>    ↓
> ・竜堂兄弟が「ほう、正義ね。正義の名の下にどれだけの人が殺されたか知っているのか」みたいな説教が始まる
>    ↓
> ・場合によって、地の文に「人が残酷になるときは、正義を唱えて悪を撃つときだ」というような意味の田中芳樹の説教が入る。
>    ↓
> ・竜堂兄弟が「悪」の名の下に「正義」を何の疑問も持たず容赦なく痛めつけて、すぐ前の説教が嘘であることを証明する(笑)
>
> と定型化しているので、竜堂兄弟が敵を「悪」と呼ぶことはないはずです。
>
> それにしても、ファシズムやスターリニズムの教科書に使えそうなくらい典型的なねじ曲がった思考ですね…

管理人さん、及び日傘さんのおっしゃる通りですね。ちょっと思いつきで適当な気持ちでシュミレーションを行ってしまいました。よくよく竜堂兄弟の性格と今までの言動・パターンを考えれば、管理人さんのフローチャートの方が正しいと思います。纐纈城の話と、本来関係のない創竜伝のネタを軽率に繋げてしまい、皆様に誤解を与えたことをお詫びいたします。m(--)m

ホント、自分の襟もしっかり正す気持ちでないとダメですねぇ〜(反省してます…)(--;)


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