田中芳樹の職業倫理
4−A

フィクション小説を巡る裁判問題(1)

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コンテンツの総収録投稿数20件の内、1〜9件目の投稿を掲載

収録投稿1件目
board1 - No.1429

フィクションと裁判

投稿者:はむぞう
1999年06月22日(火) 20時37分

今日のニュースで、小説における人権侵害についての裁判の判決がでているのを見ました。柳美里さんという作家の著作のなかで、ある女性が無断で自分がモデルにされた登場人物が出ているのは人権侵害だと訴えたということでした。

作者側は「これはフィクションだ」ということで対抗したそうだが、裁判所は「たとえフィクションでも、あきらかにモデルがわかる場合は人権侵害にあたる」と判断したそうです。損害賠償の支払いと、出版および映画化はできなくなるという判決です。

三島由紀夫以来の作者側敗訴の判決ということだったが、内容はちょっと違うものの「フィクションという看板」のところで思わず創竜伝を思い浮かべてしまいました。でも創竜伝だと誰か訴える可能性はあるのだろうか?

収録投稿2件目
board1 - No.1430

法的問題

投稿者:本ページ管理人
1999年06月23日(水) 01時21分

>フィクションと裁判

 やはり田中芳樹を批判するに当たっては「宴のあと」事件のことは考えずにはいられませんでしたね。法律的にはほぼ無学ですから、いままで触れずに来たのですけれど。

 創竜伝の場合は、キャラクターについて「明らかにモデルがわかる」といわれると微妙な感じがします。創竜伝の悪役描写は陳腐ですが、陳腐であるが故に訴えられて敗訴したらオオゴトになってしまいますね(この程度の風刺や揶揄は巷に溢れきっているから)。またモデルがどうこうと言うには、最大公約数的な描写をされているのではないかと思います。
 まあ、その程度のことを「発禁本だ!」と得意がっているから失笑を買うのですけれど。

 むしろ問題の部分は評論混じりの部分じゃないでしょうか。個人的には大韓航空機のくだりなど、かなりヤバイのではないかと思います。マハティール氏に対する評価も名誉毀損の可能性がある気もします(念為に言っておくと、評論としてならば余裕でノープロブレムな批評だと思いますが、フィクションとしてはマズいだろう…という感じに考えています)。冒険風ライダーさんの指摘でも、ずいぶん事実をねじ曲げていそうな部分が多数ありました。こういうのって訴えられたらどう申し開きをするのでしょうね。

 やはり法学的に無学なのが悔やまれます。誰か法的問題に詳しい人がいたら解説・検証してもらえないでしょうか。

収録投稿3件目
board1 - No.1432

いろいろ雑感

投稿者:Merkatz
1999年06月23日(水) 05時31分

>フィクションと裁判

確かにステレオタイプな悪役のモデルは特定できないでしょう。あ、でも元総理という明らかに中曽根元総理と分かる人もいたなあ。

ところで「宴のあと」事件ってなんですか?有名な事件なの?(銀英伝以外のことは疎いもので・・・)

収録投稿4件目
board1 - No.1433

判例・・・。

投稿者:satoko
1999年06月23日(水) 08時50分

判例そのものが必ずしも正しいものであるようには感じられないのですが、これが出た以上田中氏の作品中のものが訴えられれば間違いなく田中側の敗訴になると思います。はっきり覚えてはいないのですが、判例法って感じのものがあり、似たような裁判は前例の判決に習う場合が多いようです。もちろん今回の場合は、社会事件などで名前が公表されたりした人物ではなく、芸術家だそうですが有名な人ではないので、プライバシーの権利が優先されたとも取れなくはないので田中氏の創竜伝の中で書かれているものに今回のものが必ずしも当てはまるわけではないきもしますが・・・。

>Markatzさん
「宴のあと」事件は三島由紀夫の小説の中のモデルにプライバシー侵害を認められた判決が出た裁判の事だったと思います。(管理人さん違ったらすいません。)

収録投稿5件目
board1 - No.1434

あと付け加え。

投稿者:satoko
1999年06月23日(水) 09時31分

今思い出したんですが、以前法律科の先輩がおっしゃっていたんですが、社会的な問題に触れているものって事実があっての多少(?)の主観で述べられている程度では、名誉毀損は結構(法の精神はともかく現実として)難しいそうです。

もちろん完全に事実をねじまれてるのならだめでしょうけど(私自身があんまり大韓航空事件とかマハティールの事知らないのでなんとも言えないのですが)私が漠然と知ってる程度の事なので申し訳ないのですが、あの程度なら個人のとらえかたの問題と処理されてしまう気がします。

ほんとに無知なもので、外れた事をいってしまっていたらすいません。

収録投稿6件目
board1 - No.1435

続・法的問題

投稿者:本ページ管理人
1999年06月23日(水) 13時07分

「宴のあと事件」についてはだいたいsatokoさんのカキコミ通りです。

----------------------
もっとも、公共性のある事項についての表現は、国民の自由な政治的意思形成にとって不可欠であり、また、公人は批判にさらされることを甘受すべき立場にあると言うべきである.よって@公共の利害に関する事項について、A公益を図るためになされた、B真実の表現行為や、真実性を推測するに足る程度の相当の合理的根拠・資料に基づいてなされた表現行為は憲法上の保証の範囲内にあると考える.

少しも条件を満たしていない(笑)>創竜伝

収録投稿7件目
board1 - No.1436

裁判問題とガイドブック

投稿者:冒険風ライダー
1999年06月23日(水) 19時44分

>フィクションと裁判

 やはり皆さん目をつけていましたか(^^;)。
 創竜伝は明らかにモデルが特定できるキャラクターや組織がありますから、この問題と全く無関係ではないでしょう。創竜伝の場合、「明らかにモデルが分かるキャラクター」は二人いまして「元首相」(中曽根元首相)と「国民新聞社社長・稲垣」(渡辺恒雄・読売新聞社社長)がいます。組織でも「文部省」はあの文部省でしょうし、「国民新聞」はどう見ても読売新聞としか解釈できませんしね。全く同名の「国民新聞」もありますけど。
 さらに創竜伝6の座談会で散々罵倒していた「文部省のお役人」という人も、名誉毀損で訴える事は充分に可能でしょう。全部田中芳樹の創作でなければ、アレは充分にプライバシーの侵害にあたると思います。本人の許可は当然取っていないでしょうし。仮に創作であったとしても「文部官僚に対する根拠なき誹謗中傷による名誉毀損」ということになりますから「虚偽罪」ぐらいには問われても仕方ありませんね、あれは。

 社会評論部分も相当まずいでしょうね。どう考えてもあれは矛先が現実世界に向けられていますし、塩野七生氏やマハティール首相など対象が特定できる記述もかなりあります。読売新聞もかなり罵倒されていましたし、文部省の文部官僚なんて誹謗中傷の嵐ですから、充分に訴えられる余地はありますな(-_-;;)。
 創竜伝の社会評論は「どうやったらあんな解釈ができるんだ!」といわんばかりのものがありますし、メチャクチャなウソをついてまで対象を罵倒していますから、訴えられても文句はいえませんよ。その時は自業自得と諦めてもらうしかありませんね。そもそも「勧善懲悪もどき」の創竜伝に社会評論は必要なかったのですから。

 法的に言えば、かの判決が判例として決まってしまった以上、satokoさんの言う通り「訴えられたら田中芳樹敗訴」になる可能性大ですね。判例が覆った例もないことはありませんが、創竜伝では覆らないような気がします。「現実と虚構が織り交ぜられて読者に誤解を与える危険性が高い」という点では柳美里など比べ物にならないでしょうし(^^;;)。

収録投稿8件目
board1 - No.1443

名誉毀損

投稿者:フィル
1999年06月28日(月) 13時51分

初めて投稿させていただきます.
とはいえ,田中氏の著作は,銀英伝,アルスラーン,マヴァール,アップフェルラント,流星航路(短編集)くらいしか(幸か不幸か)読んでいません.

satokoさん:
>はっきり覚えてはいないのですが、判例法って感じのものがあり、似たような裁判は前例の判決に習う場合が多いようです。

判例は,それが出ることによって,社会への影響力を発生させます.

たとえば鉄道の騒音・振動公害に関する民事訴訟について,最高裁で損害賠償が認められたと仮定します.この判決は当該事件について適用されるのはもちろんですが,判決の影響力はそれだけにとどまらず,鉄道路線の敷設計画を立てていたり,既存路線の高速化を図ろうとしている人々に対しても影響を与えます.
企業はこの判決を受けて,損害賠償請求を受ける事態を回避するために,騒音や振動の縮小に関する対策を行うでしょう.それは政府や地方自治体による法や条例の規制を待つまでもなく行なわれますが,やがては法制化されることもあるでしょう.

この例のように,判例はそれ自体で社会に大きな影響力を与えるので,めったなことでは判例変更は行なわれません.
もし判例が二転三転するようなことがあれば,社会の構成員はどのような行動が自分にとって結果的に「損」になるかわからなくなり,それが(逆説的ですが)秩序のない行動の横行を招くことになります(これを法経済学では,判例の「行動決定能力」「政策決定能力」と呼びます).

>もちろん今回の場合は、社会事件などで名前が公表されたりした人物ではなく、芸術家だそうですが有名な人ではないので、プライバシーの権利が優先されたとも取れなくはないので

今回の判例についてはそうですが,名誉毀損に関しては,ロス疑惑の三浦和義氏が何度も提起している訴訟が参考になります.週刊誌の三浦氏に関する記事について名誉毀損であるとして損害賠償をそのつど請求しており,このほとんどにおいて勝利をおさめています.

収録投稿9件目
board1 - No.1463

法的問題とヤン・ウェンリー

投稿者:satoko
1999年07月06日(火) 01時38分

フィルさんへ
いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。三浦和義ロス疑惑についていろいろ調べてみましたが、とても興味深かったです。m(−−)m

で、それを調べてから「宴のあと」事件また、柳美里の判決について詳しく調べてみた所、これらは名誉毀損とは違ったもののようです。ごめんなさい。
あと私の書き方が悪くて、冒険風ライダーさんやその他の方に誤解を与えてしまいましたが、判例法が適用されると思われるのは、民事裁判においてのことで、刑法の名誉毀損罪ではないのです。損害賠償を伴う民法上の名誉毀損で敗訴になる事は十分にあると考えられますが、刑法はあくまで、罪刑法定主義の狭義の法とされているので、表現の自由が憲法で保障されている中で名誉毀損罪が適用されるまで行くかどうかは・・・う〜んとおもってしまいます。その辺はもっと詳しい方の判断に委ねたいと思います。

で、柳美里や三島由紀夫の判決なんですが読んでみると名誉毀損ではなく、あくまでプライバシーの侵害というものが全面的に認められたもののようです。名誉毀損というものは、本人がどう思うかではなく、社会的にその表現が事実に基づいたものではなくその人物の評価を下げるものであった、というもの。プライバシーの侵害はあくまで本人が公に私事をばらされる事でどのように感じたかという事に重点を置かれています。

田中氏の文章は名誉毀損にはなっても、プライバシーの侵害には当たらないと思う。つまり、柳美里の判決が創竜伝で適用される事はないと考えます。(かさねがさね冒険風ライダーさんごめんなさい。)

ちなみに三浦和義氏が名誉毀損訴訟で勝訴になった大きな要因の一つに「氏を犯人であると決め付けることで世間の人に判決の方が間違っているのではないかという疑いを持たせるものであった。」というものがあります。ふ〜ん、なるほどね〜(にやっ)とする人いるかな〜(笑)

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