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ロイエンタールの叛乱
その動機と勝算
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No. 1286
やっぱり無理筋だと思います
不沈戦艦 2000/8/19 20:08:32
冒険風ライダーさんは書きました
>
>  一応ロイエンタールの方には、
> 「皇帝が自分が出した新領土への招請に応じてもまだ油断はできない。オーベルシュタインやラングが自分を油断させるためにラインハルトを無理矢理新領土へと行幸させ、惑星ハイネセンにおいて自分を捕縛し、処断するつもりかもしれない」
> という不安がありましたから、実際にラインハルトに会わなければ噂の真相は分からない、と考えていたのではないでしょうか。何しろオーベルシュタインという人物は「ローエングラム王朝存続のためならば、ラインハルトをすらも犠牲にすることにためらいを覚えない冷血漢」と評価されていましたし、実際その通りに行動していましたからね。「オーベルシュタインならばどんな事だってやりかねない」とロイエンタールが考えていたとしても十分に理解できるものです。
>  また常にラインハルトの身近にいたロイエンタールは、ラインハルトがしばしば病に侵されていたという事実を知っていましたし、イゼルローン遠征の際にも最も重要な局面において病に倒れた挙句、多くの犠牲を出してようやく成功しかかっていた物量作戦を突然何の理由もなしに放棄して和平政策に転向した事例や、ヤンが地球教徒に暗殺された事によってラインハルトが気落ちしていたことも知っていました。そのような例をラインハルトの一番近くで多く見てきたロイエンタールにとって、
> 「ラインハルトが病弱になって判断力が衰えているのに乗じて、オーベルシュタインとラングが宮廷内において専横を振るっている」
> という流言は、オーベルシュタインに対する偏見と反感、そしてラングに対する蔑視などと合わせて「比較的信憑性の高い情報である」と判断できるものだったのではないでしょうか。ラインハルトの間近で仕事をする環境において、常に冷静な評価眼でラインハルトの本当の姿を観察していた事が、却ってロイエンタールの思考法に災いしてしまったというわけです。
>  そしてウルヴァシー襲撃事件の発生によってこの流言の是非の確認ができなくなってしまったため、ロイエンタールとしては「最悪の場合」すなわち「(ロイエンタールにとって信憑性の高いように判断される)流言が正解であった場合」を前提に行動しなければならず、そのためにあのような行動に出ざるをえなかったと考えるのですが、いかがでしょうか。
>

 いや、「ラインハルトが病弱で、オーベルシュタインとラングの専横を許している」のなら、何で「新領土総督から皇帝へ、新領土への招待」が受諾されて、ラインハルトが新領土へやってくる事になるんでしょうかね?「専横を揺るっているオーベルシュタインやラング」が疑いかつ陥れようとしているロイエンタールの手元に、掌中の珠である皇帝を渡してしまおうとする、なんて阿呆(かつ危険)な事態にする訳ないと思うんですけど。ラインハルトが新領土へ巡幸する、ということにロイエンタールの要請に応えて事態が動いたということ自体が、「ラインハルトはオーベルシュタインとラングの専横を許していない」ということの証明にはなりませんか?一応それ前提で話しているつもりなんですが、解りにくかったでしょうかね。



>  まず「一」ですが、ロイエンタールにとってミッターマイヤー軍は「最後の敵」ではなく、あくまでも「途中経過に立ちふさがる敵」であるという認識があります。そうである以上、ミッターマイヤー軍と正面から激突して消耗戦に陥る事だけは何としても避けなければなりません。この戦略的不利を打開するためにあえて「兵力分散による持久戦法」を考えていたのではないかと思います。
>  次にその分散させた戦力をいかにして活用するかについてですが、これはゲリラ的な攻撃を組織的かつ連鎖的に何度も繰り返す事によってミッターマイヤー軍を徹底的に消耗させ、行軍速度を鈍らせる事を狙ったものでしょう。「何重もの防御線」といっても何も敵に対して正面から攻撃を仕掛ける必要はなく、「側面攻撃」「後方攪乱」「一撃離脱」を複数の小艦隊が複数の方向から組織的かつ連鎖的に何度にもわたって行えば良いのです。これならばミッターマイヤー軍を少ない損害でもって消耗させる事も不可能ではありません。
>  具体的な運用方法としては、高速艦を中心とした1000隻規模の小艦隊を10〜15個ほど編成し、これを敵軍に悟られないように要所要所に隠して配置し、ミッターマイヤー軍の進撃に合わせて攻撃を行わせます。ミッターマイヤー軍が少しでも自分の方向に兵を差し向けてくればさっさと逃走を開始し、別の部隊に攻撃させる。ミッターマイヤー軍が別の部隊に矛先を向けたら、その側面ないしは後方を攻撃する。これを何度も繰り返してミッターマイヤー軍を疲れさせるわけです。ちょうど不沈戦艦さんが連載している「反銀英伝」のシュナイダー少将がキルヒアイス艦隊を翻弄している戦法を複数の部隊で連携して展開すると言えば分かりやすいでしょうか。
>

 えーとですね、「反銀英伝」のシュタイナー少将のキルヒアイス艦隊遅延戦術は、稼いだ時間はたったの3日です。まあ、あの話だと、キルヒアイス艦隊がリッテンハイム艦隊のオーディン到着までに追いつかなければいいだけなので、それで充分なんですが。本筋の新領土戦役の場合、3日稼げば充分だと思います?しかもシュタイナー少将に率いらせた部隊はたった一艦隊ですが、冒険風ライダーさんの案だと、複数(しかも多数)の部隊を連携して運用せねばなりません。それを率いる有能な司令官も何人も必要ですし、各部隊間の通信連絡も完璧にこなさねばなりませんよね。さすがにそれは、容易な事ではないと思います。レイテ沖海戦のような通信の齟齬から部隊指揮官が状況を認識できず判断を誤るようなことになってしまうんじゃないかなぁ?と思いますけど。その場合、小部隊ですから末路は悲惨ですよ。多数のミッターマイヤー艦隊に、一方的にいたぶられるだけでしょう。また、それくらいのことはロイエンタールなら、解っている筈では?とも思います。



>  次に「二」ですが、この「後方を遮断する」というのは「敵の補給線と退路を断つ」という意味にとれますから、これは戦術レベルではなく戦略レベルの問題でしょう。「後方遮断」については「一」でミッターマイヤー軍を翻弄した諸部隊に引き続きやらせれば良いのです。
>  しかしただ後方遮断を行うだけでは芸がなさすぎますし、ミッターマイヤー軍にその意図を悟られてしまう可能性が高いですから、一旦ハイネセン方面に撤退してロイエンタールの本軍に合流しようとしていると見せかけつつ、点在する同盟領の補給基地で補給を受け、大きく迂回してミッターマイヤー軍の後方に移動するという戦略を行う必要があるでしょう。この後方遮断によって敵領土に孤立し、さらに「一」のゲリラ戦法によって消耗を強いられたミッターマイヤー軍は後退せざるをえなくなります。
>

 上にも書いた通り、多数の部隊を有機的に完璧に運用できるとは思えませんので、これは絵に描いた餅なのでは。



>  あとは「三」に基づいて後方を遮断させた諸部隊を集結させ、ロイエンタール本軍と挟撃してミッターマイヤー軍を殲滅するだけです。
>  ロイエンタールが考えていた戦略構想というのはだいたいこんなものだったではないでしょうか。ロイエンタールが最初から周到に準備を行ってこの戦略を発動させていたならば、すくなくとも叛乱を長期戦に持ちこみ、ロイエンタールの勢力基盤を確立する時間を稼ぐ事ぐらいはできたのではないかと思うのですが。
>

 と、いうことで長期戦には出来ないと思われる訳です。長期戦に出来ない以上、勝ち目はないでしょうね。ロイエンタールのような有能な軍人なら、それくらいは最初から解っていたのでは。



>  アニメやゲーム、それに銀英伝の設定資料集とも言える「エンサイクロペティア銀河英雄伝説」などに載っている銀英伝世界のMAPを見てみると、だいたい同盟領は帝国領の5分の4ぐらいの領土は持っているように見えますし、惑星ハイネセンは同盟領のかなり奥深くに位置するように設定されています。そしてガンダルヴァ星系はファザーンとハイネセンのちょうど中間地点に存在している星系となっています。これから考えると、銀英伝における同盟領というのはかなり広い領域を持っていると見ても良いのではないでしょうか。
>  ラインハルトがなぜそれほどまでに大きい同盟領土を制圧し得たかと言えば、やはりフェザーンで入手した航路図が果たした役割が大きかったでしょうし、またフェザーン侵攻によって同盟側の意表をついた事や、同盟による帝国領侵攻作戦が行われた時のような徹底した焦土作戦が展開されなかった事、それにラインハルトの侵攻時に同盟側にマトモに敵の侵攻に対抗できるだけの戦力がなく、ランテマリオ星系において敵を迎撃する戦略を取らざるをえなかった事なども大きな要因でしょう。
>  「同盟による帝国領侵攻作戦」と「ラインハルトによる同盟領侵攻」とでは戦略的条件も政治的条件も全く異なりますから、両者の侵攻速度を単純に比較する事はできないのではないでしょうか。

 あの、物理的な広さがどうこう言う話ではなく、「航路図を入手している以上、帝国軍にとっては同盟領は狭い」という話なんですけど。それはご理解されていますか?航路図を入手していて迅速に行動できる以上、同盟軍とは違って地の利があまりあるとは言えない(地の利を得るには、駐留期間が短すぎます)総督府の所属軍が、「同盟領は狭く感じている」帝国軍に少ない兵力で挑むのはどう考えても不可能事ではないかと思いますわ。



No. 1293
Re1286:ではこれでどうでしょう?
冒険風ライダー 2000/8/20 18:08:49
<いや、「ラインハルトが病弱で、オーベルシュタインとラングの専横を許している」のなら、何で「新領土総督から皇帝へ、新領土への招待」が受諾されて、ラインハルトが新領土へやってくる事になるんでしょうかね?「専横を揺るっているオーベルシュタインやラング」が疑いかつ陥れようとしているロイエンタールの手元に、掌中の珠である皇帝を渡してしまおうとする、なんて阿呆(かつ危険)な事態にする訳ないと思うんですけど。ラインハルトが新領土へ巡幸する、ということにロイエンタールの要請に応えて事態が動いたということ自体が、「ラインハルトはオーベルシュタインとラングの専横を許していない」ということの証明にはなりませんか?一応それ前提で話しているつもりなんですが、解りにくかったでしょうかね。>

 これについてはオーベルシュタインの性格からある程度の説明ができるのではないでしょうか。
 いくらオーベルシュタインがラインハルトを傀儡にしているといっても、オーベルシュタインに私心がなく、また自己の保身を図る事もないという事をロイエンタールは承知しています。そしてオーベルシュタインの忠誠心がラインハルトではなく「ローエングラム王朝」に向けられているという事もまたロイエンタールは察知しています。この事からロイエンタールは、
「オーベルシュタインはローエングラム王朝の存続を妨害するような邪魔者を始末するためならば、ラインハルトをすら平気で囮にするような男だから油断はできない」
と考えていたのではないでしょうか。ロイエンタールは常にオーベルシュタインをそのように評価していましたし、実際、ロイエンタールの死後になりますが、オーベルシュタインは地球教徒をおびき寄せるためにあえてラインハルトを囮にする謀略を使っています。したがってこの考え方は、すくなくとも「ロイエンタールにとっては」充分に説得力を持つものだったのではないでしょうか。
 また前述のように、オーベルシュタインには「自己一身の安全を図る」という発想がありませんから、
「ラインハルトを傀儡にしているならば、自分の手元で操るため、また(ローエングラム王朝存続における)邪魔者を油断させて排除するために、あえて危険を犯してでもオーベルシュタインは同行してくるはずだ」
ともロイエンタールは考えていたのでしょう。したがってロイエンタールとしては「ラインハルトにオーベルシュタインが同行しているか否か」で流言の真偽を確認しようとしていたのではないでしょうか。
 ロイエンタールのオーベルシュタインに対する過剰な敵意と「冷酷非常で手段を選ばない謀略家」という評価が、あの流言をロイエンタールが信じこんでしまい、しかも相手が「あの」オーベルシュタインであったがために、ロイエンタールは必要以上にラインハルトの反応に用心せざるをえず、その結果あのような叛乱に追い詰められたのではないかと考えるのですが、これで説明できないものでしょうか?


<えーとですね、「反銀英伝」のシュタイナー少将のキルヒアイス艦隊遅延戦術は、稼いだ時間はたったの3日です。まあ、あの話だと、キルヒアイス艦隊がリッテンハイム艦隊のオーディン到着までに追いつかなければいいだけなので、それで充分なんですが。本筋の新領土戦役の場合、3日稼げば充分だと思います?しかもシュタイナー少将に率いらせた部隊はたった一艦隊ですが、冒険風ライダーさんの案だと、複数(しかも多数)の部隊を連携して運用せねばなりません。それを率いる有能な司令官も何人も必要ですし、各部隊間の通信連絡も完璧にこなさねばなりませんよね。さすがにそれは、容易な事ではないと思います。レイテ沖海戦のような通信の齟齬から部隊指揮官が状況を認識できず判断を誤るようなことになってしまうんじゃないかなぁ?と思いますけど。その場合、小部隊ですから末路は悲惨ですよ。多数のミッターマイヤー艦隊に、一方的にいたぶられるだけでしょう。また、それくらいのことはロイエンタールなら、解っている筈では?とも思います。>

 やはりそこなんですよね、あの作戦構想で一番難しいのは。しかしここで簡単にダウンしてしまっては銀英伝における設定矛盾がそのまま残ってしまう事になってしまうので、苦しいながらも一応の擁護論を考えてみることにしますか。
 まず指揮官の方ですけど、一応同盟領を利用したゲリラ戦自体にある程度の効果があることはヤンが証明していますし、銀英伝7巻において同盟軍のビューフォート准将が少数兵力によるゲリラ戦法によってビッテンフェルト艦隊の補給戦を一時的ながら断つという戦績を上げています。同盟軍における無名の准将が孤軍でゲリラ戦を行ってさえそれだけの事ができるのですから、単にゲリラ戦を行うだけであるならば、帝国軍の少将・中将クラスでも充分に可能なのではないかと思います。
 もちろん、これを効率良く行うためには、不沈戦艦さんが仰るように情報・通信システムが整備されている事が絶対条件です。そこでこの作戦における情報・通信システムについて少し考えてみました。
 この作戦において一番重要な事は、いくら任期が短かったとはいえ、ロイエンタールが一応新領土総督に就任して同盟領を掌握する事ができた立場にあり、同盟領における旧同盟軍の補給基地や通信基地などを抑える事が可能であった事です。ロイエンタールのこの立場を利用すれば、同盟領内における部隊間の相互連絡は以外と簡単に行うことができるのではないでしょうか。
 銀英伝世界には「超光速通信」なるものが存在します。銀英伝の記述によると、この通信はイゼルローン−ハイネセン間の一万光年もの距離におよぶ交信をリアルタイムで行う事すらも可能としているようです。そこで連絡を行う艦艇が通信が敵側に傍受される危険性のない宙域まで移動し、そこから同盟領に点在している通信基地を使ってミッターマイヤー軍が存在する宙域を大きく迂回させて情報を伝達していけば、ミッターマイヤー軍に全く傍受・妨害される事なく、しかも限りなくリアルタイムに近い情報伝達が可能となります。「巨大な宇宙版インターネット・ネットワーク」のようなものだと言えば分かりやすいでしょうか。
 既存の通信基地だけでは不充分であるのであれば、超光速通信の中継拠点の要所要所に連絡用の艦艇を配置しておくという方法もあります。これならば移動も容易ですし、ミッターマイヤー軍に情報源を補足される可能性も限りなくゼロに近くなります。
 侵攻軍たるミッターマイヤー軍は、ロイエンタール軍による傍受の危険性からまともな超光速通信が行えず、自分達がいる宙域以外で何が起こっているかを把握する事ができない立場にあるのに対し、旧同盟領をとにかくも掌握し、かつこの作戦においてミッターマイヤー軍を常に監視することができる立場にあるロイエンタール軍には「旧同盟領そのものを利用した大規模な通信ネットワークが使える」という非常に大きな軍事的利点があります。この長所を大いに活用すれば、相手の手が届かない所で部隊間のリアルタイムな相互連絡を行うことができます。
 しかもこの通信ネットワークを使用すれば、ハイネセンにいながらにしてロイエンタールが前線の小艦隊群と連絡を取り合い、命令を伝達させることもできます。小艦隊群の統合運用の観点から言っても、ロイエンタールの部下に対する不安から言っても、これは大きな利点として作用する事でしょう。
 以上の事から、ロイエンタールが最初から周到な準備を行った上であの作戦を発動させていれば、すくなくともミッターマイヤー軍を少ない兵力で翻弄し、長期戦に持ち込む事ができたのではないかと考えるのですが、さてどんなものでしょうか。


<あの、物理的な広さがどうこう言う話ではなく、「航路図を入手している以上、帝国軍にとっては同盟領は狭い」という話なんですけど。それはご理解されていますか?航路図を入手していて迅速に行動できる以上、同盟軍とは違って地の利があまりあるとは言えない(地の利を得るには、駐留期間が短すぎます)総督府の所属軍が、「同盟領は狭く感じている」帝国軍に少ない兵力で挑むのはどう考えても不可能事ではないかと思いますわ。>

 あれ? 確かNo.1256において、

<何しろ、同盟領は帝国みたいに、奥深いようには見えないので。いかにフェザーンで入手した航路図があるとは言え、ラインハルト軍には簡単にガンダルヴァ星系まで来られてしまっていますからね。ハイネセンまでもそう難しくはないでしょう。領土の奥深さは、同盟がナチス・ドイツで、帝国がソ連という感じがしますけど。>

と「同盟領の物理的な広さ」について言及していませんでしたっけ? しかも「いかにフェザーンで入手した航路図があるとは言え」と航路図についてまで言及していましたし、ナチス・ドイツとソ連との比較まで行っていましたから、「これは同盟領の広さの事か」と解釈したのですが。
 それに銀英伝における世界設定を見てみると、イゼルローン−ハイネセン間の距離を走破するには、銀英伝世界における艦船を使用しても、移動にかかる時間がだいたい半月〜1ヶ月前後はかかりますし、フェザーン−ハイネセン間はこれよりもさらに長い距離があるようです。いくら精密な航路図があるとはいえ、片道移動だけでこれだけの時間がかかる広大な旧同盟領を「帝国軍が狭いと認識している」という事はちょっと考えられないのではないでしょうか。
 さらに同盟領における航路図を抑えている立場はロイエンタールも同様ですし、しかも彼は新領土総督の立場によってとりあえずは同盟領を掌握しているのですから、地の利はやはりロイエンタールの方にあるのではないかと思うのですけど。


No. 1300
お返事
不沈戦艦 2000/8/23 00:57:47
冒険風ライダーさんは書きました
>
>  これについてはオーベルシュタインの性格からある程度の説明ができるのではないでしょうか。
>  いくらオーベルシュタインがラインハルトを傀儡にしているといっても、オーベルシュタインに私心がなく、また自己の保身を図る事もないという事をロイエンタールは承知しています。そしてオーベルシュタインの忠誠心がラインハルトではなく「ローエングラム王朝」に向けられているという事もまたロイエンタールは察知しています。この事からロイエンタールは、
> 「オーベルシュタインはローエングラム王朝の存続を妨害するような邪魔者を始末するためならば、ラインハルトをすら平気で囮にするような男だから油断はできない」
> と考えていたのではないでしょうか。ロイエンタールは常にオーベルシュタインをそのように評価していましたし、実際、ロイエンタールの死後になりますが、オーベルシュタインは地球教徒をおびき寄せるためにあえてラインハルトを囮にする謀略を使っています。したがってこの考え方は、すくなくとも「ロイエンタールにとっては」充分に説得力を持つものだったのではないでしょうか。
>  また前述のように、オーベルシュタインには「自己一身の安全を図る」という発想がありませんから、
> 「ラインハルトを傀儡にしているならば、自分の手元で操るため、また(ローエングラム王朝存続における)邪魔者を油断させて排除するために、あえて危険を犯してでもオーベルシュタインは同行してくるはずだ」
> ともロイエンタールは考えていたのでしょう。したがってロイエンタールとしては「ラインハルトにオーベルシュタインが同行しているか否か」で流言の真偽を確認しようとしていたのではないでしょうか。
>  ロイエンタールのオーベルシュタインに対する過剰な敵意と「冷酷非常で手段を選ばない謀略家」という評価が、あの流言をロイエンタールが信じこんでしまい、しかも相手が「あの」オーベルシュタインであったがために、ロイエンタールは必要以上にラインハルトの反応に用心せざるをえず、その結果あのような叛乱に追い詰められたのではないかと考えるのですが、これで説明できないものでしょうか?
>

 いやしかし、新領土に行った皇帝がロイエンタールに拘禁されて(ロイエンタールが本気で叛乱起こす場合。ロイエンタールに野心は充分ある、とオーベルシュタインは判断していたと思いますので)、皇帝の名の下に新領土総督から命令が発せられるようになったら、どうする気なんでしょうかね?オーベルシュタインは。当然その場合、ロイエンタールは軍を率いてフェザーンに侵攻してきますが、その場合は皇帝を押さえられているので手も足も出せないでしょう。仮にオーベルシュタインが、「皇帝を攻撃する事になっても、新帝国の秩序維持の為にやむを得ない」と言ったところで、皇帝に銃を向けろというような命令を兵隊が聞く筈もないでしょう。銀河帝国軍の兵士は、基本的にラインハルトに心酔しているんですから。結局、戦わずして敗れ、オーベルシュタインとラングはロイエンタールに逮捕され、処刑される羽目に陥るのでは。その後に来るのは、ロイエンタールが好き放題に出来る独裁体制でしょう。

 そんなチャンスをオーベルシュタインともあろう者が、ロイエンタールに呉れてやる筈もないと思うんですけどね。つまり、皇帝が新領土へ巡幸する、ということは、その判断は完全に皇帝自身の意志であり、かつ健康上も差し当たっては問題なく、皇帝自身は新領土総督を信頼している場合、に限られるのではないでしょうか。それはロイエンタールも理解できる筈だ、とは思いませんか?



>
>  やはりそこなんですよね、あの作戦構想で一番難しいのは。しかしここで簡単にダウンしてしまっては銀英伝における設定矛盾がそのまま残ってしまう事になってしまうので、苦しいながらも一応の擁護論を考えてみることにしますか。
>  まず指揮官の方ですけど、一応同盟領を利用したゲリラ戦自体にある程度の効果があることはヤンが証明していますし、銀英伝7巻において同盟軍のビューフォート准将が少数兵力によるゲリラ戦法によってビッテンフェルト艦隊の補給戦を一時的ながら断つという戦績を上げています。同盟軍における無名の准将が孤軍でゲリラ戦を行ってさえそれだけの事ができるのですから、単にゲリラ戦を行うだけであるならば、帝国軍の少将・中将クラスでも充分に可能なのではないかと思います。
>  もちろん、これを効率良く行うためには、不沈戦艦さんが仰るように情報・通信システムが整備されている事が絶対条件です。そこでこの作戦における情報・通信システムについて少し考えてみました。
>  この作戦において一番重要な事は、いくら任期が短かったとはいえ、ロイエンタールが一応新領土総督に就任して同盟領を掌握する事ができた立場にあり、同盟領における旧同盟軍の補給基地や通信基地などを抑える事が可能であった事です。ロイエンタールのこの立場を利用すれば、同盟領内における部隊間の相互連絡は以外と簡単に行うことができるのではないでしょうか。
>  銀英伝世界には「超光速通信」なるものが存在します。銀英伝の記述によると、この通信はイゼルローン−ハイネセン間の一万光年もの距離におよぶ交信をリアルタイムで行う事すらも可能としているようです。そこで連絡を行う艦艇が通信が敵側に傍受される危険性のない宙域まで移動し、そこから同盟領に点在している通信基地を使ってミッターマイヤー軍が存在する宙域を大きく迂回させて情報を伝達していけば、ミッターマイヤー軍に全く傍受・妨害される事なく、しかも限りなくリアルタイムに近い情報伝達が可能となります。「巨大な宇宙版インターネット・ネットワーク」のようなものだと言えば分かりやすいでしょうか。
>  既存の通信基地だけでは不充分であるのであれば、超光速通信の中継拠点の要所要所に連絡用の艦艇を配置しておくという方法もあります。これならば移動も容易ですし、ミッターマイヤー軍に情報源を補足される可能性も限りなくゼロに近くなります。
>  侵攻軍たるミッターマイヤー軍は、ロイエンタール軍による傍受の危険性からまともな超光速通信が行えず、自分達がいる宙域以外で何が起こっているかを把握する事ができない立場にあるのに対し、旧同盟領をとにかくも掌握し、かつこの作戦においてミッターマイヤー軍を常に監視することができる立場にあるロイエンタール軍には「旧同盟領そのものを利用した大規模な通信ネットワークが使える」という非常に大きな軍事的利点があります。この長所を大いに活用すれば、相手の手が届かない所で部隊間のリアルタイムな相互連絡を行うことができます。
>  しかもこの通信ネットワークを使用すれば、ハイネセンにいながらにしてロイエンタールが前線の小艦隊群と連絡を取り合い、命令を伝達させることもできます。小艦隊群の統合運用の観点から言っても、ロイエンタールの部下に対する不安から言っても、これは大きな利点として作用する事でしょう。
>  以上の事から、ロイエンタールが最初から周到な準備を行った上であの作戦を発動させていれば、すくなくともミッターマイヤー軍を少ない兵力で翻弄し、長期戦に持ち込む事ができたのではないかと考えるのですが、さてどんなものでしょうか。
>


 もう一つの問題はどうします?「そんな複雑な兵力運用が可能なのか?」ということ。複雑怪奇な作戦を立てると、失敗する可能性は高くなりますよ。ミッドウェーで南雲艦隊に二重の目的(米機動部隊の撃滅とミッドウェー島の攻略)を与えただけでも、ものの見事に失敗しましたし、マリアナのスプルーアンスだって、兵力が絶大だから勝ったものの、これも「島の攻略と敵艦隊の撃退」の二つの任務を割り当てられ、実際のところはかなり混乱した戦闘指揮になってしまっています。機動部隊グループの一つは、日本の攻撃隊が上空に来たのに、島への攻撃隊に出してしまったので、味方の戦闘機が上空に一機もいない、ってな状況もあった程です。密雲が厚くたれ込めているので助かりましたが(レーダー無しの日本機には、密雲の下の米艦隊を発見することは出来なかったので)。

 多兵力でもこんなことになるのですから、少数兵力を分散させ、遠方から精緻にコントロールしようなど、無理筋もいいところだと思いますわ。実行し始めた時から計画から狂い初めて、ついに一度も計画通り行われないまま、兵力を無駄に損ない、「やらない方がマシだった。ランテマリオで全兵力で待ち受けていた方が良かった」ってな事になるような気がしますけど。本気でやったら。




>
>  あれ? 確かNo.1256において、
>
> <何しろ、同盟領は帝国みたいに、奥深いようには見えないので。いかにフェザーンで入手した航路図があるとは言え、ラインハルト軍には簡単にガンダルヴァ星系まで来られてしまっていますからね。ハイネセンまでもそう難しくはないでしょう。領土の奥深さは、同盟がナチス・ドイツで、帝国がソ連という感じがしますけど。>
>
> と「同盟領の物理的な広さ」について言及していませんでしたっけ? しかも「いかにフェザーンで入手した航路図があるとは言え」と航路図についてまで言及していましたし、ナチス・ドイツとソ連との比較まで行っていましたから、「これは同盟領の広さの事か」と解釈したのですが。
>  それに銀英伝における世界設定を見てみると、イゼルローン−ハイネセン間の距離を走破するには、銀英伝世界における艦船を使用しても、移動にかかる時間がだいたい半月〜1ヶ月前後はかかりますし、フェザーン−ハイネセン間はこれよりもさらに長い距離があるようです。いくら精密な航路図があるとはいえ、片道移動だけでこれだけの時間がかかる広大な旧同盟領を「帝国軍が狭いと認識している」という事はちょっと考えられないのではないでしょうか。
>  さらに同盟領における航路図を抑えている立場はロイエンタールも同様ですし、しかも彼は新領土総督の立場によってとりあえずは同盟領を掌握しているのですから、地の利はやはりロイエンタールの方にあるのではないかと思うのですけど。


 失礼。もともと、「物理的広さ」だけに言及したつもりじゃなかったんですけど、上の引用ではそう言っているように見えますね。最初から「航路図を手に入れていて自由に行動出来る以上、帝国軍に取っては同盟領は狭い」というつもりでした。しかしいくら何でも「地の利はロイエンタールにある」は無茶では?駐留軍が馴染む程、長期間駐留していましたっけ?同盟が崩壊してから。一年や二年では「馴染んだ」とはなかなか言えませんよね。五年、十年と過ごせば、そりゃそうでしょうけど。地の利はどちらにもない以上、兵力が大きい方が有利なのは、言うまでもないでしょう。

 それに広さはあるとしても、ヤン艦隊みたいに、ロイエンタールが「同盟領そのものを利用した不正規戦」を行える訳じゃないですよね。結局帝国軍がハイネセンに来る前に、ランテマリオで迎え撃たなければならなかった訳で。同盟領の広さを利して、新領土総督軍が逃げ回ったりしましたっけ?毛沢東の共産党の「大長征」みたいに。帝国軍にしてみれば、取り敢えずハイネセンに到達するのは難行ではない。後方の連絡線を脅かせる兵力も新領土総督軍にはない、相手が延々と逃げる訳でもない、となれば「楽」とは言わないまでも、負ける可能性はほとんどあり得ませんよ。将帥の能力も、ロイエンタールに匹敵するミッターマイヤーがいますし、それ以上の皇帝自身だっているのですから。逆に考えれば、ロイエンタールだってそれが判らない訳はありませんから、正気ならばあんな叛乱起こす筈もない、ということですね。


No. 1306
Re1300:だんだん難しくなってきた(T_T)
冒険風ライダー 2000/8/24 02:59:38
<いやしかし、新領土に行った皇帝がロイエンタールに拘禁されて(ロイエンタールが本気で叛乱起こす場合。ロイエンタールに野心は充分ある、とオーベルシュタインは判断していたと思いますので)、皇帝の名の下に新領土総督から命令が発せられるようになったら、どうする気なんでしょうかね?オーベルシュタインは。当然その場合、ロイエンタールは軍を率いてフェザーンに侵攻してきますが、その場合は皇帝を押さえられているので手も足も出せないでしょう。仮にオーベルシュタインが、「皇帝を攻撃する事になっても、新帝国の秩序維持の為にやむを得ない」と言ったところで、皇帝に銃を向けろというような命令を兵隊が聞く筈もないでしょう。銀河帝国軍の兵士は、基本的にラインハルトに心酔しているんですから。結局、戦わずして敗れ、オーベルシュタインとラングはロイエンタールに逮捕され、処刑される羽目に陥るのでは。その後に来るのは、ロイエンタールが好き放題に出来る独裁体制でしょう。
 そんなチャンスをオーベルシュタインともあろう者が、ロイエンタールに呉れてやる筈もないと思うんですけどね。つまり、皇帝が新領土へ巡幸する、ということは、その判断は完全に皇帝自身の意志であり、かつ健康上も差し当たっては問題なく、皇帝自身は新領土総督を信頼している場合、に限られるのではないでしょうか。それはロイエンタールも理解できる筈だ、とは思いませんか?>

 確かにその危険性は充分過ぎるほどありますし、オーベルシュタインもロイエンタールも簡単に察知する事ができるものでしょう。しかし、もしロイエンタールが人質にしたラインハルトが本物ではなく、影武者による偽者であったとしたらどうなるでしょうか?
 つまりロイエンタールの招請状を受け取ったオーベルシュタインは、この機会にロイエンタールを不意打ちによって処断するためにあえてラインハルトに招請に応じさせ、その上でラインハルトをどこか安全な場所に隠蔽し、自分がでっち上げた影武者を従えてハイネセンに向かうのです。もちろん外部にはその事を一切秘密にした上で。
 これならば万が一ロイエンタールが強行手段に訴えたとしてもオーベルシュタインにとっては痛くも痒くもありませんし、それを口実にしてロイエンタールを処断する事さえ可能になります。ロイエンタールが影武者に気づかずに黙って従えば、その時こそオーベルシュタインによって一方的に処断される運命が待っているだけです。ラインハルトをあえて囮にして油断と誘惑を誘った上で、ロイエンタールがラインハルトを操る危険性を完全に排除するために影武者を使い、邪魔者を始末する。これはむしろオーベルシュタインだからこそ却ってやりかねないような謀略でしょう。
 そしてロイエンタールもまたそのようなオーベルシュタインの手段を選ばない謀略家ぶりと、自分自身すらも犠牲にする事に躊躇しない性格志向を知り尽くしているからこそ、却って「オーベルシュタインは何をするか分からない」と考えて必要以上にオーベルシュタインの動向に注意せざるをえなくなったため、ハイネセンでラインハルトと会見することによって流言の是非を確認する必要性を感じていたのではないでしょうか。


<もう一つの問題はどうします?「そんな複雑な兵力運用が可能なのか?」ということ。複雑怪奇な作戦を立てると、失敗する可能性は高くなりますよ。ミッドウェーで南雲艦隊に二重の目的(米機動部隊の撃滅とミッドウェー島の攻略)を与えただけでも、ものの見事に失敗しましたし、マリアナのスプルーアンスだって、兵力が絶大だから勝ったものの、これも「島の攻略と敵艦隊の撃退」の二つの任務を割り当てられ、実際のところはかなり混乱した戦闘指揮になってしまっています。機動部隊グループの一つは、日本の攻撃隊が上空に来たのに、島への攻撃隊に出してしまったので、味方の戦闘機が上空に一機もいない、ってな状況もあった程です。密雲が厚くたれ込めているので助かりましたが(レーダー無しの日本機には、密雲の下の米艦隊を発見することは出来なかったので)。
 多兵力でもこんなことになるのですから、少数兵力を分散させ、遠方から精緻にコントロールしようなど、無理筋もいいところだと思いますわ。実行し始めた時から計画から狂い初めて、ついに一度も計画通り行われないまま、兵力を無駄に損ない、「やらない方がマシだった。ランテマリオで全兵力で待ち受けていた方が良かった」ってな事になるような気がしますけど。本気でやったら。>

 う〜ん、私が考えた情報・通信システムを使えば、常にミッターマイヤー軍に関する情報がリアルタイムにロイエンタールにもたらされ、それに基づいて分散させた諸部隊に対して命令や合図を臨機応変に出すことも可能になるわけですし、前線の諸部隊も「一」「二」「三」でそれぞれやる事がひとつに決められているのですから、それほど複雑な兵力運用を行うわけではないと思うのですが。諸部隊によって集められた情報に基づいてロイエンタールが全体的な戦局から見た戦略目標を決定して各部隊に命令を下し、現場はそれに基づいた戦術指揮と移動をのみ行えば良いのですから。
 第二次世界大戦時における日本軍やアメリカ軍の場合は、与えられた複数の任務の優先順位を「現場で」判断せざるをえなかったわけですから、ロイエンタールの作戦とは若干ケースが違うのではないでしょうか。


<しかしいくら何でも「地の利はロイエンタールにある」は無茶では?駐留軍が馴染む程、長期間駐留していましたっけ?同盟が崩壊してから。一年や二年では「馴染んだ」とはなかなか言えませんよね。五年、十年と過ごせば、そりゃそうでしょうけど。地の利はどちらにもない以上、兵力が大きい方が有利なのは、言うまでもないでしょう。>

 別に駐留期間に関係なく、ロイエンタール側には次のような有利な条件が付加されます。

1. ミッターマイヤー軍が「攻撃側」であるのに対し、
  ロイエンタール軍は「迎撃側」の立場にある
2. ロイエンタール軍は旧同盟領に点在している補給・通信基地を使用できる
3. 「1」と「2」の条件から、ミッターマイヤー軍が行軍する進路を事前に特定する
  ことができ、要路に監視・ゲリラ戦のための兵力を配置する事ができる
4. 旧同盟領そのものを使用した情報・通信ネットワークが使用できる。
5. 「3」と「4」から、ロイエンタール軍は情報戦略においてミッターマイヤー軍
に対して圧倒的優位に立つことができ、かつ、ミッターマイヤー軍を同盟領奥深く
に誘い込む事によって後方の補給線と連絡を遮断する事が容易にできる

 それからミッターマイヤー軍と後方の連絡を絶つことは実は非常に簡単です。超光速通信が絶対に使用できないように、ミッターマイヤー軍を妨害電波の網で包囲してしまえば良いのです。最初からミッターマイヤー軍の位置は補足する事が容易なのですから、要所要所を抑えて通信を封鎖する事もまた容易なことです。長期戦に持ちこめば、この「情報封鎖」がボディーブローのように効いてきますし、ニセ情報を流してミッターマイヤー軍を混乱させる事もできです。
 それとロイエンタール軍が短期間しか旧同盟領に駐留していなかったといっても、すくなくとも「旧同盟領における航路の安全確保」と「補給・通信基地の掌握」ぐらいは、統治の観点から言っても、帝国との連絡線を確保するためにも「最優先事項」として行っていたでしょうから、航路図を掌握している事と合わせて、さしあたって上記の5条件における戦略的優位を確保する事ぐらいは充分に可能だったのではないでしょうか。政治的優位を確立する事はさすがに難しいでしょうけど。
 ちなみにロイエンタールが新領土総督に就任してから叛乱に追いやられるまでの期間はだいたい3〜4ヶ月前後です。1年どころか、半年にも満たない短期間ですね。


<それに広さはあるとしても、ヤン艦隊みたいに、ロイエンタールが「同盟領そのものを利用した不正規戦」を行える訳じゃないですよね。結局帝国軍がハイネセンに来る前に、ランテマリオで迎え撃たなければならなかった訳で。同盟領の広さを利して、新領土総督軍が逃げ回ったりしましたっけ?毛沢東の共産党の「大長征」みたいに。帝国軍にしてみれば、取り敢えずハイネセンに到達するのは難行ではない。後方の連絡線を脅かせる兵力も新領土総督軍にはない、相手が延々と逃げる訳でもない、となれば「楽」とは言わないまでも、負ける可能性はほとんどあり得ませんよ。将帥の能力も、ロイエンタールに匹敵するミッターマイヤーがいますし、それ以上の皇帝自身だっているのですから。逆に考えれば、ロイエンタールだってそれが判らない訳はありませんから、正気ならばあんな叛乱起こす筈もない、ということですね。>

 このあたりはやはり「追い詰められた挙句、準備不足の状態で叛乱を起こさざるをえなかった」というのが大きかったでしょうし、ハイネセンを占領される事が政治的・戦略的にロイエンタールにとって致命的なマイナス効果(兵士の離反など)をもたらすという事情もあったでしょう。ハイネセンの弱点をクリアするには、それこそロイエンタールに時間がなさ過ぎましたし。
 また、ロイエンタールはイキナリ自分でも想定していなかった叛乱に追いやられたため、初期の戦略決定に際して、やや決断と精彩を欠いていたという事情もあったのかもしれません。


No. 1322
Re:ちょいっと矛盾があるのでは
不沈戦艦 2000/8/27 23:20:14
冒険風ライダーさんは書きました

>  確かにその危険性は充分過ぎるほどありますし、オーベルシュタインもロイエンタールも簡単に察知する事ができるものでしょう。しかし、もしロイエンタールが人質にしたラインハルトが本物ではなく、影武者による偽者であったとしたらどうなるでしょうか?
>  つまりロイエンタールの招請状を受け取ったオーベルシュタインは、この機会にロイエンタールを不意打ちによって処断するためにあえてラインハルトに招請に応じさせ、その上でラインハルトをどこか安全な場所に隠蔽し、自分がでっち上げた影武者を従えてハイネセンに向かうのです。もちろん外部にはその事を一切秘密にした上で。
>  これならば万が一ロイエンタールが強行手段に訴えたとしてもオーベルシュタインにとっては痛くも痒くもありませんし、それを口実にしてロイエンタールを処断する事さえ可能になります。ロイエンタールが影武者に気づかずに黙って従えば、その時こそオーベルシュタインによって一方的に処断される運命が待っているだけです。ラインハルトをあえて囮にして油断と誘惑を誘った上で、ロイエンタールがラインハルトを操る危険性を完全に排除するために影武者を使い、邪魔者を始末する。これはむしろオーベルシュタインだからこそ却ってやりかねないような謀略でしょう。
>  そしてロイエンタールもまたそのようなオーベルシュタインの手段を選ばない謀略家ぶりと、自分自身すらも犠牲にする事に躊躇しない性格志向を知り尽くしているからこそ、却って「オーベルシュタインは何をするか分からない」と考えて必要以上にオーベルシュタインの動向に注意せざるをえなくなったため、ハイネセンでラインハルトと会見することによって流言の是非を確認する必要性を感じていたのではないでしょうか。
>

 偽物のラインハルトですか?少なくとも、本物らしくする為には、小道具としてブリュンヒルトは必要ですよね。新領土に巡幸する時に。果てさて、そんなこと本物のラインハルトが許しますかね?仮にその時、本物は病臥していて、オーベルシュタインが好き放題できたとしても、「ロイエンタールを引っ掛ける為に、偽者のラインハルトをブリュンヒルトに乗せ、新領土へ行かせるのに勝手に使った」と後で回復した本物にバレたら、オーベルシュタインがただで済むと思います?何か知りませんけど、話の設定では、ラインハルトは異常なまでにブリュンヒルトが気に入っている、ってことだったと思いましたが。そのお気に入りのブリュンヒルトを、オーベルシュタインの勝手な謀略に使われて(しかも、ラインハルトとしてはその謀略に必要性は感じていない。「「これは必要なことだった」と、オーベルシュタインがラインハルトを説得できるとも思えません)、許すラインハルトでしょうか。いくら何でも、その場合は厳罰が待っているだけではと思いますけどね。

 また、現場レベルでも、ブリュンヒルトの艦長が素直にオーベルシュタインの指示を聞くかどうか。「皇帝の偽物を乗せて、新領土へ行け。総督のロイエンタール元帥を引っ掛ける為に」なんて言ったら、「皇帝陛下の勅命がなければやらない」と抵抗するのでは、と思いますが。また、偽物のラインハルトを「これが本物の皇帝陛下だ」と言って出したとしても、皇帝が常用している旗艦の艦長あたりが簡単に騙されるかどうか。

 それと、冒険風ライダーさんの意見では、「ロイエンタールは謀略に疎い」のではなかったのですか?その謀略に疎いロイエンタールが、「オーベルシュタインが皇帝の偽物を使用するかも」と思いつく、ってのはおかしな話だと思います。

 以上を踏まえて、この冒険風ライダーさんの意見には無理があると思いました。



>
>  う〜ん、私が考えた情報・通信システムを使えば、常にミッターマイヤー軍に関する情報がリアルタイムにロイエンタールにもたらされ、それに基づいて分散させた諸部隊に対して命令や合図を臨機応変に出すことも可能になるわけですし、前線の諸部隊も「一」「二」「三」でそれぞれやる事がひとつに決められているのですから、それほど複雑な兵力運用を行うわけではないと思うのですが。諸部隊によって集められた情報に基づいてロイエンタールが全体的な戦局から見た戦略目標を決定して各部隊に命令を下し、現場はそれに基づいた戦術指揮と移動をのみ行えば良いのですから。
>  第二次世界大戦時における日本軍やアメリカ軍の場合は、与えられた複数の任務の優先順位を「現場で」判断せざるをえなかったわけですから、ロイエンタールの作戦とは若干ケースが違うのではないでしょうか。
>
>  別に駐留期間に関係なく、ロイエンタール側には次のような有利な条件が付加されます。
>
> 1. ミッターマイヤー軍が「攻撃側」であるのに対し、
>   ロイエンタール軍は「迎撃側」の立場にある
> 2. ロイエンタール軍は旧同盟領に点在している補給・通信基地を使用できる
> 3. 「1」と「2」の条件から、ミッターマイヤー軍が行軍する進路を事前に特定する
>   ことができ、要路に監視・ゲリラ戦のための兵力を配置する事ができる
> 4. 旧同盟領そのものを使用した情報・通信ネットワークが使用できる。
> 5. 「3」と「4」から、ロイエンタール軍は情報戦略においてミッターマイヤー軍
> に対して圧倒的優位に立つことができ、かつ、ミッターマイヤー軍を同盟領奥深く
> に誘い込む事によって後方の補給線と連絡を遮断する事が容易にできる
>
>  それからミッターマイヤー軍と後方の連絡を絶つことは実は非常に簡単です。超光速通信が絶対に使用できないように、ミッターマイヤー軍を妨害電波の網で包囲してしまえば良いのです。最初からミッターマイヤー軍の位置は補足する事が容易なのですから、要所要所を抑えて通信を封鎖する事もまた容易なことです。長期戦に持ちこめば、この「情報封鎖」がボディーブローのように効いてきますし、ニセ情報を流してミッターマイヤー軍を混乱させる事もできです。
>  それとロイエンタール軍が短期間しか旧同盟領に駐留していなかったといっても、すくなくとも「旧同盟領における航路の安全確保」と「補給・通信基地の掌握」ぐらいは、統治の観点から言っても、帝国との連絡線を確保するためにも「最優先事項」として行っていたでしょうから、航路図を掌握している事と合わせて、さしあたって上記の5条件における戦略的優位を確保する事ぐらいは充分に可能だったのではないでしょうか。政治的優位を確立する事はさすがに難しいでしょうけど。
>  ちなみにロイエンタールが新領土総督に就任してから叛乱に追いやられるまでの期間はだいたい3〜4ヶ月前後です。1年どころか、半年にも満たない短期間ですね。
>

 あのー、この中ですら矛盾している、って気付いています?ロイエンタール軍はミッターマイヤー軍の通信を好きに妨害出来るのに、何でロイエンタール軍はフリーパスで通信できるんでしょうか?どっちかと言うと、銀英伝の艦隊戦では、「互いに妨害波を放つから、下手をすると戦場で下級指揮官に連絡するにも、通信が使えずシャトルを使用することもある」のが一般的だったのでは。冒険風ライダーさんの案では、交戦するまでは超光速通信で何とか連絡は付くでしょうけど、一旦交戦に入ったら、その後は通信途絶になる筈でしょう。その場合、後方からの指揮統制は不可能です。結果、兵力の少ない方が順当に負ける、という結果になると思いますね。

 それと1.ですが、単純に「攻撃側」「防御側」と切り分けているようですけど、この場合「攻撃3倍の原則」が当てはまると思いますか?宇宙空間に隠蔽された防御陣地があるでもなし、地雷原がある訳でもなし、鉄条網もない。要塞だったらイゼルローンのようなものはありますが、同盟領内にはありませんよね。銀英伝の艦隊戦は「歩兵がお互いの姿を認めつつ、無防備で撃ち合うだけ。但しその歩兵の防御甲冑の厚さと火器の威力、移動力に差があるもの」と捉えた方がいいと思いますよ。その場合、「攻撃3倍の原則」は通用しないと思いますけどどうでしょう。2.については、まあ有利な条件でしょうけど、補給基地の場所は、帝国軍も承知していると思われますので、ミッターマイヤー軍も同じように使用できますよね。優位なのは通信基地使用だけでしょう。3・4.は前に言った条件(一旦戦闘が始まったら、通信不能になる)であまり意味がありません。とすると、5.も実質不可能で、結局有利な条件はほとんどなくなると思いますわ。

 と、言うことで、順当にミッターマイヤー以下の勝利になりそうですね。それはロイエンタールも容易に予想できることだと思いますわ。



>
>  このあたりはやはり「追い詰められた挙句、準備不足の状態で叛乱を起こさざるをえなかった」というのが大きかったでしょうし、ハイネセンを占領される事が政治的・戦略的にロイエンタールにとって致命的なマイナス効果(兵士の離反など)をもたらすという事情もあったでしょう。ハイネセンの弱点をクリアするには、それこそロイエンタールに時間がなさ過ぎましたし。
>  また、ロイエンタールはイキナリ自分でも想定していなかった叛乱に追いやられたため、初期の戦略決定に際して、やや決断と精彩を欠いていたという事情もあったのかもしれません。


 その「自分でも想定していなかった叛乱」をロイエンタールのような男が行ってしまう、というのにストーリー的に無理があるんですよ。実質は追い詰められてもいなかったし、焦る必要もなかった。どうしてもロイエンタールに叛乱を起こさせる(作者の意志として)のなら、もうちょっとマシな条件で、ロイエンタール自身の意志(←ここ、ポイントです)で計画的に行わせるべきでしょう、と言っているのですが。他人が書いた杜撰なシナリオに考え浅く乗ってしまい、結果順当に負けて死んでしまう、ってのはいくら何でもあんまりなのでは。


No. 1327
名将の理性と感情の不整合
平松重之 2000/8/28 15:21:36

 不沈戦艦さん

>  私の言いたいのは、「『名将ナポレオンが、特定の対象に対する憎悪や反感及び自身のプライドにより戦略的判断を誤らせた』のは、各条件を並べてみれば充分あり得た話だし、その失敗をやらかしても納得できる」が、「『名将ロイエンタールが、特定の対象に対する憎悪や反感及び自身のプライドにより戦略的判断を誤らせた』のは、銀英伝の記述通りだとすると、ロイエンタールというのは単なる阿呆であって、思考能力が無いのではないか。これのどこが名将だ。本当に名将なら、こんな馬鹿はやらかさない」ということですね。名将の筈のキャラクターがいきなり単なる阿呆になった、というのはストーリーとしては無理があると思いますわ。

 ロイエンタールもこの叛逆は無謀であったとは思っていたようです。九巻(ノベルズ版)のP150からP152にはエルスハイマーに彼が叛逆への荷担を拒否した事を明記した書状を手渡していますし、その後に自分でも「度しがたいな、吾ながら……」と言っています。いわば明哲な理性で押さえつけられていた激しい感情が「ウルヴァシー事件」を発端とする一連の事件で一気に開放されたという事であり、この図式は「人間が心の内部に抱え込んでいる矛盾の発露」の表現として受け入れられるのでは?単なる阿呆と決め付けるのはどうかと思いますが。


No. 1330
Re1322/1327:う〜ん、苦しい……(T_T)
冒険風ライダー 2000/8/29 02:40:28
>不沈戦艦さん
<偽物のラインハルトですか?少なくとも、本物らしくする為には、小道具としてブリュンヒルトは必要ですよね。新領土に巡幸する時に。果てさて、そんなこと本物のラインハルトが許しますかね?仮にその時、本物は病臥していて、オーベルシュタインが好き放題できたとしても、「ロイエンタールを引っ掛ける為に、偽者のラインハルトをブリュンヒルトに乗せ、新領土へ行かせるのに勝手に使った」と後で回復した本物にバレたら、オーベルシュタインがただで済むと思います?何か知りませんけど、話の設定では、ラインハルトは異常なまでにブリュンヒルトが気に入っている、ってことだったと思いましたが。そのお気に入りのブリュンヒルトを、オーベルシュタインの勝手な謀略に使われて(しかも、ラインハルトとしてはその謀略に必要性は感じていない。「「これは必要なことだった」と、オーベルシュタインがラインハルトを説得できるとも思えません)、許すラインハルトでしょうか。いくら何でも、その場合は厳罰が待っているだけではと思いますけどね。>

 これはすくなくともオーベルシュタインにとっては大した障害でもないでしょう。むしろオーベルシュタインの性格と志向から言えば、ラインハルトの処断を承知の上であえてブリュンヒルトを持ち出してでも自分の意見を貫き通し、「全ての責任を自分が負う」という形でロイエンタールを処断しようと謀ってもおかしくありません。オーベルシュタインには「自己保身」の発想がないですし、銀英伝8巻でもヤンを処断するために自ら「死間」の人質役を申し出たような人物です。そのような事例の数々を常に身近で見てきたロイエンタールが必要以上にオーベルシュタインの「特攻精神」を警戒しても不思議ではありません。
 ましてや、ロイエンタールは元々「オーベルシュタインがラインハルトをないがしろにしているのではないか」と考えてもいましたし、流言によってその考えが補強された形になっています。したがってロイエンタールは、
「ラインハルトの意向をあえて無視し、場合によってはラインハルトを拘束・幽閉してでも、オーベルシュタインは自らを犠牲にして自分を葬る策をなりふりかまわず強行してくるのではないか」
と考えていたのではないでしょうか。


<また、現場レベルでも、ブリュンヒルトの艦長が素直にオーベルシュタインの指示を聞くかどうか。「皇帝の偽物を乗せて、新領土へ行け。総督のロイエンタール元帥を引っ掛ける為に」なんて言ったら、「皇帝陛下の勅命がなければやらない」と抵抗するのでは、と思いますが。また、偽物のラインハルトを「これが本物の皇帝陛下だ」と言って出したとしても、皇帝が常用している旗艦の艦長あたりが簡単に騙されるかどうか。>

 このあたりはやはり「皇帝の権威」と「ハイネセン行幸の勅命」を盾にしてハイネセンまで騙し騙し航行させるしかないでしょうね。特に「勅命」さえあれば、仮にラインハルトを「偽者ではないか」と疑ったとしても、艦長や乗員を黙らせる事は充分に可能でしょうし、そもそも皇帝と軍務尚書相手に、艦長クラスの人間が直接疑問を述べるというのはかなり難しいのではないでしょうか。「納得しないが黙って任務に従う」という結果で落ちつくのではないかと思いますけど。
 まあこれは影武者の素質によってもある程度左右される問題ではあるのかもしれませんが。


<冒険風ライダーさんの意見では、「ロイエンタールは謀略に疎い」のではなかったのですか?その謀略に疎いロイエンタールが、「オーベルシュタインが皇帝の偽物を使用するかも」と思いつく、ってのはおかしな話だと思います。>

 いえ、私は「ロイエンタールが謀略に疎い」とは一言も言っておりません。おそらくこの発言の根拠はNo.1251のこの引用からのものだと思うのですけど。

銀英伝9巻 P103上段〜下段
<ロイエンタールは、かなり辛辣な政略的観察のできる男ではあったが、ラングがロイエンタールに「知らせる」ため、誇張と捏造をおこなっているとは気づかなかった。彼は本来、武人であって、叛乱が支配者にとってはマイナス要因であるという観念があった。最初から鎮定を条件とした叛乱の誘発――という発想はなじみにくいのである。そもそも、ロイエンタールは用兵には自信があったし、皇帝と自分との信頼関係を損ねようとする動きに平静でいられようもない。さらには、ラングという人物に対する先入観もある。ラングは皇帝を内心で尊敬してもおらず、ロイエンタールに対して害意をいだいている、という先入観である。しかも、その先入観は正しかった。ラングの策に、結果としてロイエンタールが乗せられたゆえんであった。>

 この引用から私は、
<ロイエンタールには「叛乱が勃発する事は支配者にとってはマイナス要素にしかならない」という考え方があって、そのために「ラングによる『意図的な叛乱の誘発』という陰謀を見抜く事ができなかった」>
 と述べていたのであって、これは「ロイエンタールが謀略に疎い」という事を意味しているわけではありません。
 ロイエンタールが危険視していたのは「自分に叛逆を誘発させる謀略」ではなく「自分が『叛逆者』としてのレッテルを貼られて一方的な理由で処断されてしまう」ことなのであって、オーベルシュタインを必要以上に警戒していたのも、そのような事態に陥る事を恐れての事なのです。前者は実際に叛乱が勃発するのに対して、後者は言いがかりによる粛清です。そしてロイエンタールの謀略対策は全て後者の警戒から出発しており、前者については「マイナス要因である」という発想から全く考えてはいないのです。これは「謀略に疎い」のではなく「相手との発想が違う」ことによって生じた問題でしょう。
 また、この考え方からいくと、ロイエンタールは「実際に叛逆を起こす」という手段を、むしろ「オーベルシュタインの謀略に対する最後の切り札」であるとさえ考えていた可能性もあります。だからこそ、ロイエンタールがマイナスであると考えている「叛乱の誘発」を意図していたラングの策に引っかかってしまったのではないでしょうか。


<あのー、この中ですら矛盾している、って気付いています?ロイエンタール軍はミッターマイヤー軍の通信を好きに妨害出来るのに、何でロイエンタール軍はフリーパスで通信できるんでしょうか?どっちかと言うと、銀英伝の艦隊戦では、「互いに妨害波を放つから、下手をすると戦場で下級指揮官に連絡するにも、通信が使えずシャトルを使用することもある」のが一般的だったのでは。冒険風ライダーさんの案では、交戦するまでは超光速通信で何とか連絡は付くでしょうけど、一旦交戦に入ったら、その後は通信途絶になる筈でしょう。その場合、後方からの指揮統制は不可能です。結果、兵力の少ない方が順当に負ける、という結果になると思いますね。>

 確かにその通りで、戦場内においてはミッターマイヤー軍も相手軍に対する通信妨害を行う事が可能ですから、ロイエンタールが指揮統制できるのは各部隊に戦闘開始命令を下すところまでで、一旦戦闘が開始されたら、戦っている部隊が安全圏まで撤収を完了したという報告を受諾するまでロイエンタールは何も情報を把握できなくなってしまいます。そのあたりにやや問題がないわけではありません。
 これを打開する方法としては、あらかじめゲリラ戦を行う諸部隊に本格的な交戦を避けるように徹底的に叩きこんでおく事、連絡用シャトルを大量に用意して部隊間連絡をやり取りする事、ミッターマイヤー軍を監視している別の待機部隊から戦況を報告させる事などが考えられますが、報告にタイム・ラグが生じたりシャトルが撃墜されたりする危険性もありますから、どれも決定打とは言えないのが実状ですね(T_T)。
 ゲリラ戦に関しては、とりあえず無能ではないであろう戦術指揮官の手腕に期待するしかなさそうな所が、この作戦最大の弱点であると言えますね。部隊間連携が取れるかどうかは非常に微妙な所です。


<それと1.ですが、単純に「攻撃側」「防御側」と切り分けているようですけど、この場合「攻撃3倍の原則」が当てはまると思いますか?宇宙空間に隠蔽された防御陣地があるでもなし、地雷原がある訳でもなし、鉄条網もない。要塞だったらイゼルローンのようなものはありますが、同盟領内にはありませんよね。銀英伝の艦隊戦は「歩兵がお互いの姿を認めつつ、無防備で撃ち合うだけ。但しその歩兵の防御甲冑の厚さと火器の威力、移動力に差があるもの」と捉えた方がいいと思いますよ。その場合、「攻撃3倍の原則」は通用しないと思いますけどどうでしょう。2.については、まあ有利な条件でしょうけど、補給基地の場所は、帝国軍も承知していると思われますので、ミッターマイヤー軍も同じように使用できますよね。優位なのは通信基地使用だけでしょう。3・4.は前に言った条件(一旦戦闘が始まったら、通信不能になる)であまり意味がありません。とすると、5.も実質不可能で、結局有利な条件はほとんどなくなると思いますわ。>

 同盟領を掌握している側がある程度有利に立てる例としてはマル・アデッタ会戦の事例があります。いくら航路図を掌握しているとはいえ、迎撃側があらかじめ自分にとって有利なところで待ち構えていたら、地の利は迎撃側に傾くという事をあの会戦は証明しています。特に「待ち伏せ」攻撃などについてはロイエンタール軍の方が先手を打つことができるのではないかと。ミッターマイヤー軍に「待ち伏せ攻撃」を警戒させれば、それだけである程度行軍を遅らせる事も可能ですし。
 補給基地についても同様で、あらかじめ先に掌握している側の方が補給物資を始めに使う事ができますし、相手側が補給基地を奪取しようとすれば、事前に補給基地を爆破して相手側に補給をさせないという事だってできます。
 ロイエンタールが行おうと考えていた作戦はゲリラ戦中心で行われるものですから「同盟領内における星系の地形を利用する事ができる」という事が重要なのです。ただ通信に関しては前述の通り「一旦戦闘が開始されたら間接把握までが限界である」という弱点があるのが実状なのですが。



>平松さん
<ロイエンタールもこの叛逆は無謀であったとは思っていたようです。九巻(ノベルズ版)のP150からP152にはエルスハイマーに彼が叛逆への荷担を拒否した事を明記した書状を手渡していますし、その後に自分でも「度しがたいな、吾ながら……」と言っています。いわば明哲な理性で押さえつけられていた激しい感情が「ウルヴァシー事件」を発端とする一連の事件で一気に開放されたという事であり、この図式は「人間が心の内部に抱え込んでいる矛盾の発露」の表現として受け入れられるのでは?単なる阿呆と決め付けるのはどうかと思いますが。>

 それだけではダメなのですよ。不沈戦艦さんがこのスレッドにおいて何度も言っているように、ただ単にロイエンタールが自らの個人的感情だけで周囲の状況を顧みず暴発したという理由だけでは「阿呆」と決めつけられてもやむをえないところです。私自身、ラインハルトの感情に基づく行動原理や、ラインハルトの感情をアテにしたヤンの「不確かな戦略」などを批判しているくらいですから、その点に関してはむしろ不沈戦艦さんと同意見なのです。
 ただしラインハルトの行動と違って、ロイエンタールの叛乱に関してはそれ以外の要素でもある程度の説明ができるのではないかと考えるからこそ、私と不沈戦艦さんとの間で論争が展開されているわけです。
 つまり一連の論争は「個人的感情に基づく暴走という動機だけではロイエンタールは阿呆でしかない」という前提のもとに、「それだけが動機ではないし勝算もある程度はあった」という事を論点として争っているわけですから、失礼ながら平松さんの仰っている事は少々見当ハズレなものではないでしょうか。


No. 1332
Re: 議論は難しいです
平松重之 2000/8/30 12:35:31

 冒険風ライダーさん

> それだけではダメなのですよ。不沈戦艦さんがこのスレッドにおいて何度も言っているように、ただ単にロイエンタールが自らの個人的感情だけで周囲の状況を顧みず暴発したという理由だけでは「阿呆」と決めつけられてもやむをえないところです。私自身、ラインハルトの感情に基づく行動原理や、ラインハルトの感情をアテにしたヤンの「不確かな戦略」などを批判しているくらいですから、その点に関してはむしろ不沈戦艦さんと同意見なのです。
 ただしラインハルトの行動と違って、ロイエンタールの叛乱に関してはそれ以外の要素でもある程度の説明ができるのではないかと考えるからこそ、私と不沈戦艦さんとの間で論争が展開されているわけです。
 つまり一連の論争は「個人的感情に基づく暴走という動機だけではロイエンタールは阿呆でしかない」という前提のもとに、「それだけが動機ではないし勝算もある程度はあった」という事を論点として争っているわけですから、失礼ながら平松さんの仰っている事は少々見当ハズレなものではないでしょうか。

 うーむ、したたかな横レスを喰らってしまいました(;_;) 。自分は不利を承知しているロイエンタールを「”単なる”阿呆と決め付けるのはどうか」と言っただけで「ぜんぜん阿呆ではない」とは言っていません。むしろそのロイエンタールの愚かさとそれを苦く認識しつつも前に進もうとする彼の理性の不整合がロイエンタールの人格表現に深みを与えていると思っています。自分としては「名将と呼ばれる人物は常に最終的な成功者・常に理知的であるとは限らない」という考えを前提としていたので、どうも「個人的感情に基づく暴走という動機だけではロイエンタールは阿呆でしかない」というお二方の前提とはうまく噛み合わなかったみたいですね。難しい…。


No. 1338
同感
Merkatz 2000/9/01 22:30:26
平松重之さんは書きました
>  うーむ、したたかな横レスを喰らってしまいました(;_;) 。自分は不利を承知しているロイエンタールを「”単なる”阿呆と決め付けるのはどうか」と言っただけで「ぜんぜん阿呆ではない」とは言っていません。むしろそのロイエンタールの愚かさとそれを苦く認識しつつも前に進もうとする彼の理性の不整合がロイエンタールの人格表現に深みを与えていると思っています。自分としては「名将と呼ばれる人物は常に最終的な成功者・常に理知的であるとは限らない」という考えを前提としていたので、どうも「個人的感情に基づく暴走という動機だけではロイエンタールは阿呆でしかない」というお二方の前提とはうまく噛み合わなかったみたいですね。難しい…。

理性と感情の不整合という指摘に同感です。
まさにロイエンタールはそこにこそ特徴があったと思います。
エルフリーデの件もそうですね。
理性では馬鹿げたことだと分かっている。
しかし感情面で止められない。自分で自分を貶めることを敢えてやってしまう。

まあ、謀叛に関しては「戦うからには全力を尽くす」と言っているので、
それが本当だったのかという検討になりますね。


No. 1358
Re: かなり無理があるのでは
不沈戦艦 2000/9/06 01:16:21
冒険風ライダーさんは書きました
>
>  これはすくなくともオーベルシュタインにとっては大した障害でもないでしょう。むしろオーベルシュタインの性格と志向から言えば、ラインハルトの処断を承知の上であえてブリュンヒルトを持ち出してでも自分の意見を貫き通し、「全ての責任を自分が負う」という形でロイエンタールを処断しようと謀ってもおかしくありません。オーベルシュタインには「自己保身」の発想がないですし、銀英伝8巻でもヤンを処断するために自ら「死間」の人質役を申し出たような人物です。そのような事例の数々を常に身近で見てきたロイエンタールが必要以上にオーベルシュタインの「特攻精神」を警戒しても不思議ではありません。
>  ましてや、ロイエンタールは元々「オーベルシュタインがラインハルトをないがしろにしているのではないか」と考えてもいましたし、流言によってその考えが補強された形になっています。したがってロイエンタールは、
> 「ラインハルトの意向をあえて無視し、場合によってはラインハルトを拘束・幽閉してでも、オーベルシュタインは自らを犠牲にして自分を葬る策をなりふりかまわず強行してくるのではないか」
> と考えていたのではないでしょうか。
>

 ちょっと論理が強引過ぎますよ。それに、「帝国の存立の為、何がなんでもロイエンタールを処断せねばならない」って、どこにその必然性があるんでしょうか?帝国に敵対しているヤンじゃないんですよ、ロイエンタールは。新領土総督の地位に就けているのですから、皇帝自身はロイエンタールを信頼している、って事はロイエンタールには解るでしょう。例え内心にラインハルトへの不満があるにしても。

「何が何でもロイエンタールを処断する必要があるのだ」と、オーベルシュタインが好き勝手をやった後に、ラインハルトを納得させる事は無理でしょうね。その場合、ラインハルトが回復したら「無用な混乱を起こした」と、オーベルシュタインは処刑されてしまう可能性が高いと思います。逆に考えれば、そんな無謀なことをするほど、オーベルシュタインは阿呆ではないから、する訳もない、ということになります。ロイエンタールも阿呆ではないのなら、その程度のことは解る筈です。「オーベルシュタインなら、我が身を犠牲にしても・・・」といったところで、まだロイエンタールを殺せない内に、皇帝が回復したらどうするのでしょう。その時点でオーベルシュタインは処刑。殺さなければならない筈のロイエンタールは生き残り、「無謀な企てを行ったオーベルシュタインは処刑した。卿の罪は問わぬので帰順せよ」と皇帝が命令したら、ロイエンタールは従うのではありませんか?大嫌いなオーベルシュタインはもういないんですから。この場合、ロイエンタールは殺せずにオーベルシュタインだけが殺されてしまうのですから、何にもなりませんよ。「オーベルシュタインは目的の為には手段を選ばない。自分の命さえも平気で費やそうとする」にしても、肝心の目的が達成できるかどうかが、「皇帝の健康」のみ(不健康な方が望ましい)にかかっているんじゃ、そういう企てをするオーベルシュタインは単に無謀なだけです。今度は「オーベルシュタインは救いようのない阿呆」って話になってしまうと思いますが。

 それと、「オーベルシュタインが皇帝の偽物を使うかも知れないと、ロイエンタールが邪推した」ってのも、根拠は全くない、冒険風ライダーさんの想像だけの話ですよね。オーベルシュタインがその手の謀略を行ったって実例が、銀英伝の中にありましたっけ?記憶にないんですが。「ロイエンタールの叛乱を肯定的に説明する為、無理な話を創作している」ようにしか思えないんですが、どう思います?






>
>  このあたりはやはり「皇帝の権威」と「ハイネセン行幸の勅命」を盾にしてハイネセンまで騙し騙し航行させるしかないでしょうね。特に「勅命」さえあれば、仮にラインハルトを「偽者ではないか」と疑ったとしても、艦長や乗員を黙らせる事は充分に可能でしょうし、そもそも皇帝と軍務尚書相手に、艦長クラスの人間が直接疑問を述べるというのはかなり難しいのではないでしょうか。「納得しないが黙って任務に従う」という結果で落ちつくのではないかと思いますけど。
>  まあこれは影武者の素質によってもある程度左右される問題ではあるのかもしれませんが。
>

 いかに似ている影武者を用意したところで、「獅子」と称されるような皇帝の偽物を、本物と思わせるのは先ず無理ですよ。特に、本人を良く見ている人間には。旗艦の艦長を騙すのは不可能だと思いますね。それに、ローエングラム王朝では、軍人の資質としては「自らの保身より、義務や忠誠の方を尊ぶ」という傾向があると思いますせんか?「皇帝の偽物と知りながら、見て見ぬフリをする」ような人物が、中枢にいるとは思えませんけど。「あれはおかしい。皇帝陛下ではない」と公言する人間ばかりになってしまうのではないでしょうか。オーベルシュタインがそれを解らない筈もありませんし、「偽物を使う」説は、これだけでも無理があると思います。



>
> 銀英伝9巻 P103上段〜下段
> <ロイエンタールは、かなり辛辣な政略的観察のできる男ではあったが、ラングがロイエンタールに「知らせる」ため、誇張と捏造をおこなっているとは気づかなかった。彼は本来、武人であって、叛乱が支配者にとってはマイナス要因であるという観念があった。最初から鎮定を条件とした叛乱の誘発――という発想はなじみにくいのである。そもそも、ロイエンタールは用兵には自信があったし、皇帝と自分との信頼関係を損ねようとする動きに平静でいられようもない。さらには、ラングという人物に対する先入観もある。ラングは皇帝を内心で尊敬してもおらず、ロイエンタールに対して害意をいだいている、という先入観である。しかも、その先入観は正しかった。ラングの策に、結果としてロイエンタールが乗せられたゆえんであった。>
>
>  この引用から私は、
> <ロイエンタールには「叛乱が勃発する事は支配者にとってはマイナス要素にしかならない」という考え方があって、そのために「ラングによる『意図的な叛乱の誘発』という陰謀を見抜く事ができなかった」>
>  と述べていたのであって、これは「ロイエンタールが謀略に疎い」という事を意味しているわけではありません。
>  ロイエンタールが危険視していたのは「自分に叛逆を誘発させる謀略」ではなく「自分が『叛逆者』としてのレッテルを貼られて一方的な理由で処断されてしまう」ことなのであって、オーベルシュタインを必要以上に警戒していたのも、そのような事態に陥る事を恐れての事なのです。前者は実際に叛乱が勃発するのに対して、後者は言いがかりによる粛清です。そしてロイエンタールの謀略対策は全て後者の警戒から出発しており、前者については「マイナス要因である」という発想から全く考えてはいないのです。これは「謀略に疎い」のではなく「相手との発想が違う」ことによって生じた問題でしょう。
>  また、この考え方からいくと、ロイエンタールは「実際に叛逆を起こす」という手段を、むしろ「オーベルシュタインの謀略に対する最後の切り札」であるとさえ考えていた可能性もあります。だからこそ、ロイエンタールがマイナスであると考えている「叛乱の誘発」を意図していたラングの策に引っかかってしまったのではないでしょうか。
>


 まあ、「ロイエンタールが謀略に疎い」は誤解だと解りましたけど、

>「自分が『叛逆者』としてのレッテルを貼られて一方的な理由で処断されてしまう」

 って、何を恐れているのか訳が解りません。何でも漢帝国成立後みたいに、功臣を次々と粛清する、って話になるばかりじゃないと思いますので。このような恐れを抱いているというだけで、ロイエンタールは阿呆としか言いようがないでしょう。何しろ、「実際に叛乱を起こせば、確実に粛清される」んですから。多分「まだ戦って死ぬ方がマシとロイエンタールは考えたのだ」と冒険風ライダーさんは反論するのでしょうけど、「叛逆者としてのレッテルを貼られて、一方的な理由で処断されてしまう」可能性はほとんどないと思われますので(皇帝の偽物があり得ない以上、皇帝が健康であって自主判断で動いているのはロイエンタールには解る)、理由としては無理筋です。



>
>  確かにその通りで、戦場内においてはミッターマイヤー軍も相手軍に対する通信妨害を行う事が可能ですから、ロイエンタールが指揮統制できるのは各部隊に戦闘開始命令を下すところまでで、一旦戦闘が開始されたら、戦っている部隊が安全圏まで撤収を完了したという報告を受諾するまでロイエンタールは何も情報を把握できなくなってしまいます。そのあたりにやや問題がないわけではありません。
>  これを打開する方法としては、あらかじめゲリラ戦を行う諸部隊に本格的な交戦を避けるように徹底的に叩きこんでおく事、連絡用シャトルを大量に用意して部隊間連絡をやり取りする事、ミッターマイヤー軍を監視している別の待機部隊から戦況を報告させる事などが考えられますが、報告にタイム・ラグが生じたりシャトルが撃墜されたりする危険性もありますから、どれも決定打とは言えないのが実状ですね(T_T)。
>  ゲリラ戦に関しては、とりあえず無能ではないであろう戦術指揮官の手腕に期待するしかなさそうな所が、この作戦最大の弱点であると言えますね。部隊間連携が取れるかどうかは非常に微妙な所です。
>

 それと、戦争ってのはなかなか予定通りに行くものではない、ということですね。精密なものであればある程。多数の部隊を、敵の進出予想ライン上に待機させ、次々と襲わせる、なんて精密過ぎる作戦ですよ。しかも指揮統制は遠方から行うのでは。

>部隊間連携が取れるかどうかは非常に微妙な所です。

 どころの話ではなく、ほとんど不可能時を成し遂げようとしているだけと思われます。



>
>  同盟領を掌握している側がある程度有利に立てる例としてはマル・アデッタ会戦の事例があります。いくら航路図を掌握しているとはいえ、迎撃側があらかじめ自分にとって有利なところで待ち構えていたら、地の利は迎撃側に傾くという事をあの会戦は証明しています。特に「待ち伏せ」攻撃などについてはロイエンタール軍の方が先手を打つことができるのではないかと。ミッターマイヤー軍に「待ち伏せ攻撃」を警戒させれば、それだけである程度行軍を遅らせる事も可能ですし。
>  補給基地についても同様で、あらかじめ先に掌握している側の方が補給物資を始めに使う事ができますし、相手側が補給基地を奪取しようとすれば、事前に補給基地を爆破して相手側に補給をさせないという事だってできます。
>  ロイエンタールが行おうと考えていた作戦はゲリラ戦中心で行われるものですから「同盟領内における星系の地形を利用する事ができる」という事が重要なのです。ただ通信に関しては前述の通り「一旦戦闘が開始されたら間接把握までが限界である」という弱点があるのが実状なのですが。
>

 マル・アデッタの件は、出してくるだろうと思ってましたよ。それに対しては「特殊例を一般化してはイケマセン」がお返事ですね。戦略的にも意味がない星系である、ってのは本編でも書かれていたと思いましたが、そうですよね。あの戦いは、ビュコックの命を掛けた挑戦に、ラインハルトが応じただけなんですから。「武人の意地」以外、特に戦う理由はなかったのですし。それに、そんなに「地形」を利用できる星系って、ありましたっけ?他に。ブラックホールをヤンが利用した戦いはあったとは思いましたけど、それ以外はちょっとねぇ・・・・・

 また、「待ち伏せ」に関しては、前方に警戒用の艦艇を配置していない艦隊があると思います?敵の領内で。通信途絶になっただけでも、本隊に警報を発する事ができる訳です。先ず「待ち伏せ」は難しいのではないかと思いますけどね。艦隊を隠す場所でもない限り。宇宙の話ですよ、これは。草むらは建物の中に潜んでいる訳ではなく。




>
>
> >平松さん
> <ロイエンタールもこの叛逆は無謀であったとは思っていたようです。九巻(ノベルズ版)のP150からP152にはエルスハイマーに彼が叛逆への荷担を拒否した事を明記した書状を手渡していますし、その後に自分でも「度しがたいな、吾ながら……」と言っています。いわば明哲な理性で押さえつけられていた激しい感情が「ウルヴァシー事件」を発端とする一連の事件で一気に開放されたという事であり、この図式は「人間が心の内部に抱え込んでいる矛盾の発露」の表現として受け入れられるのでは?単なる阿呆と決め付けるのはどうかと思いますが。>
>
>  それだけではダメなのですよ。不沈戦艦さんがこのスレッドにおいて何度も言っているように、ただ単にロイエンタールが自らの個人的感情だけで周囲の状況を顧みず暴発したという理由だけでは「阿呆」と決めつけられてもやむをえないところです。私自身、ラインハルトの感情に基づく行動原理や、ラインハルトの感情をアテにしたヤンの「不確かな戦略」などを批判しているくらいですから、その点に関してはむしろ不沈戦艦さんと同意見なのです。
>  ただしラインハルトの行動と違って、ロイエンタールの叛乱に関してはそれ以外の要素でもある程度の説明ができるのではないかと考えるからこそ、私と不沈戦艦さんとの間で論争が展開されているわけです。
>  つまり一連の論争は「個人的感情に基づく暴走という動機だけではロイエンタールは阿呆でしかない」という前提のもとに、「それだけが動機ではないし勝算もある程度はあった」という事を論点として争っているわけですから、失礼ながら平松さんの仰っている事は少々見当ハズレなものではないでしょうか。


「ただ単にロイエンタールが自らの個人的感情だけで周囲の状況を顧みず暴発したという理由だけでは「阿呆」と決めつけられてもやむをえないところです。」

 これは冒険風ライダーさんの言う通りです。平松さんの言いようでは、まるでロイエンタールは今どきの「キレル」中学生みたいじゃないですか。突然ナイフを振り回したりするような。「ストレスが溜まってそうなったのだから、理解してあげようよ」と言われても、「しつけと教育がなっていなかったからでしょ。それではタダの阿呆。それこそ戸塚ヨットスクールにでも放り込んで一から叩き直すべき」という以外、正直いって返す言葉がないです。


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