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銀英伝の人事問題
軍人の異常な出世速度の謎
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No. 700
設定マニアの功罪と苦労
坊主 2000/3/08 01:57:13
 私的には銀英伝内人物の昇進速度についてはどうしても好意的解釈が作れないんですよ。物語のメインとなるキャラ達はあくまで「若い将帥じゃないと映えない」という身も蓋も無い本音を、どうつじつま合わせるか考えると楽しいのですが、これは難しい。
 帝国については「皇帝や大貴族が自分の好みを無理やり人事権に反映させるから」って解釈でなんとかなると思うんです。平民のミッターマイヤーがラインハルトに会う前に将官になっちゃう事も。
 でも同盟は、ヤンやアッテンボローの「会戦1つ戦うと1階級上がる」みたいな異常な昇進の速さについて「ものすごい先物買いというか、超結果重視的実力主義」と解釈すると、じゃあなんで士官学校出てないとは言え、ビュコックがノロノロと、でも着実に元帥まで昇進していくのはどう説明すればいいのか、とか。


No. 707
Re: 昇進速度
Merkatz 2000/3/10 19:04:25
坊主さんは書きました

>  私的には銀英伝内人物の昇進速度についてはどうしても好意的解釈が作れないんですよ。物語のメインとなるキャラ達はあくまで「若い将帥じゃないと映えない」という身も蓋も無い本音を、どうつじつま合わせるか考えると楽しいのですが、これは難しい。
>  帝国については「皇帝や大貴族が自分の好みを無理やり人事権に反映させるから」って解釈でなんとかなると思うんです。平民のミッターマイヤーがラインハルトに会う前に将官になっちゃう事も。
>  でも同盟は、ヤンやアッテンボローの「会戦1つ戦うと1階級上がる」みたいな異常な昇進の速さについて「ものすごい先物買いというか、超結果重視的実力主義」と解釈すると、じゃあなんで士官学校出てないとは言え、ビュコックがノロノロと、でも着実に元帥まで昇進していくのはどう説明すればいいのか、とか。

一応考えてみました。
まず第一に約160年の長期にわたる戦争が継続した結果、高級士官が著しく不足していた。
第二にアスターテ会戦以降、特に将官の不足が甚だしくなった。
この2点が考えられます。
簡単に言うと、数が足りないから少しでも見込みのあるやつはさっさと昇進させてしまおうということ。
でもこれだとビュコック提督が昇進遅すぎますよね。
彼は戦歴が長いですから、途中で負傷して長く戦線を離れていたこともあったかもしれませんし、何より士官学校出ではありませんから、出世コースになかなか乗れなかったとしておきましょう(笑)。
実際、辺境の司令官を務めていませんでしたっけ?


No. 710
Re707: 昇進速度の問題
冒険風ライダー 2000/3/12 03:57:20
<まず第一に約160年の長期にわたる戦争が継続した結果、高級士官が著しく不足していた。
第二にアスターテ会戦以降、特に将官の不足が甚だしくなった。
この2点が考えられます。
簡単に言うと、数が足りないから少しでも見込みのあるやつはさっさと昇進させてしまおうということ。>

 これは少し違うのではないでしょうか。この説明では全然説明できないものがあります。
 それはヤン・ファミリーの人間以外の同盟軍人の昇進速度です。銀英伝ではヤン・ファミリー以外にも昇進速度の速い同盟軍人が何人か存在します。

・リン・パオ(銀英伝外伝「ダゴン星域会戦記」 36歳 中将)
・ユースフ・トパロウル(銀英伝外伝「ダゴン星域会戦記」 30代前半 中将)
・ブルース・アッシュビー(銀英伝外伝4巻 35歳 大将)
・アッシュビーを除く730年マフィアの全員(銀英伝外伝4巻 35歳 中将)
・アンドリュー・フォーク(銀英伝1巻 26歳 准将)
・ウィレム・ホーランド(銀英伝外伝1巻 32歳 中将)

 同盟軍中将クラスの平均年齢が40代半ば、シトレ元帥とロボス元帥の元帥昇進時の年齢が50代半ばほどである事を考慮すると、彼らは全員、同盟軍の中では昇進速度がかなり速い面々であるといえます。これらの昇進速度はどう説明するのですか?
 それに高級士官についても、士官学校が毎年1000〜2000人前後の卒業生を量産している上、ビュコックのような兵卒上がりの士官だってたくさんいるでしょうから、同盟軍の12個艦隊の司令部と作戦総司令部の陣容を満たし、かつ予備役将校が編成できるだけの数は充分にあるでしょうし、第一、艦隊に所属している艦長の人数が1個艦隊当たり12000〜15000ほどもあり、艦長の階級はだいたい大佐か中佐ですから、いざ大量の将官が不足する事態となれば彼らを将官に昇進させていけば良いだけの話です。ビュコックのように辺境星系の管区司令官(大佐・准将クラス)を昇進させて艦隊指揮に当たらせるという方法もありますし。
 おまけにアスターテ会戦までの戦争では、勝利の帰趨がどちらにあるかが明確であるケースが極めて稀であったこと、そして一回の会戦における戦争犠牲者の平均が常に30〜60万前後であったという事実を考えると、高級士官が慢性的に不足するという事態が果たして発生するのでしょうか?


<でもこれだとビュコック提督が昇進遅すぎますよね。
彼は戦歴が長いですから、途中で負傷して長く戦線を離れていたこともあったかもしれませんし、何より士官学校出ではありませんから、出世コースになかなか乗れなかったとしておきましょう(笑)。
実際、辺境の司令官を務めていませんでしたっけ?>

 それもあるでしょうが、これはそもそも同盟軍の作戦運営の欠陥と高級指揮官の人事問題に大きな原因が求められるのではないでしょうか。

銀英伝外伝1 P167下段
<自由惑星同盟軍の作戦運営の欠陥として、しばしば同格の艦隊司令官どうしが対立し、主導権をめぐって争うという点が挙げられる。また高級指揮官の人事が政治家のコネクションによって左右され、軍事活動それ自体が政治家の人気とりを目的として行われることも珍しくない。>

 この上記の事情から考えても、ビュコックの兵卒上がりであるという身分が政治的に相当不利に働いたであろう事は容易に想像がつきます。兵卒上がりであるということで政治的に軽んじられてしまうために軍事作戦指揮の主導権を握る事ができず、常に与えられた任務をただ忠実にこなすだけの立場にしかなれなかった事が、彼の昇進を著しく遅くしてしまった最大の原因でしょう。
 ビュコックが大将・元帥に昇進できたのは、アムリッツァ会戦の大敗北で多数の将官が死亡してしまい、作戦総司令部の面々も責任を取らされて辞任したり閑職に追いやられたりしたために人材が一時的に不足してしまったためで、そうでなければビュコックは中将で昇進が止まっていたことでしょう。銀英伝の中にもきちんとその事が書かれています(銀英伝1巻 P235)。

 ところで私の主張の中に、ヤンだけでなく同盟軍士官全員の昇進速度の謎を解く鍵があるのですが、それがわかる人います?


No. 713
Re: Re707: わかりませーん(泣)
Merkatz 2000/3/12 22:22:09
あちゃー、やっぱり5分で考えたようなものでは穴だらけですな(笑)。
うーむ、さっぱりお手上げです。
よし、こうなったら全員、政治的に意図的に早く昇進させたとしておこう(笑)。


No. 718
Re713: 昇進速度の解答
冒険風ライダー 2000/3/15 02:02:33
<あちゃー、やっぱり5分で考えたようなものでは穴だらけですな(笑)。
うーむ、さっぱりお手上げです。>

 う〜む、Merkatzさんまで分からないとは。私の感覚では「答え」を書いて投稿したつもりだったのですが。
 どうもこれ以上待っても誰も解答してくれないようですので(T_T)、そろそろ私なりの答えを投稿する事にしましょう。
 私はNo.710で「私の主張の中に、ヤンだけでなく同盟軍士官全員の昇進速度の謎を解く鍵がある」と書きましたが、その鍵とは、

<アスターテ会戦までの戦争では、勝利の帰趨がどちらにあるかが明確であるケースが極めて稀であったこと、そして一回の会戦における戦争犠牲者の平均が常に30〜60万前後であったという事実>

 ↑これの事です。これこそが同盟だけでなく銀英伝全ての軍人の昇進速度の謎を解く鍵なのです。
 帝国と同盟との130年にわたる戦争の中で、実際に帝国と同盟が戦った会戦の数は330回前後にのぼりますが、その中で一方が圧倒的な勝利を収め、他方に壊滅的な被害を与えた例は数えるほどしかありません。これは帝国と同盟の指揮官の能力が拮抗していた事や、双方が一進一退の戦況を繰り返していた事などが原因として挙げられますが、このような環境下で抜群の戦功を立てたり、会戦を圧倒的勝利に導くような軍人は、当然ながら有能であるとみなされ、その分昇進も早いわけです。ブルース・アッシュビーや730年マフィアなどはその典型ですね。
 さらに、このような会戦の大勝利が政治的にも重要になります。会戦の大勝利の事実を大々的に宣伝し、英雄を称揚する事によって、国内の和平派を抑えたり、現政権に対する批判の矛先をかわすことができ、また戦争称揚宣伝も行いやすくなります。ヤンの場合のように「敗戦の事実」を覆い隠すためにも使用されますね。そしてそのような宣伝が行われれば、当然ながら「英雄を昇進させろ」という世論が沸き起こり、その圧力によって「英雄」を昇格させざるをえなくなるわけで、これも昇進速度が速くなる理由のひとつでしょう。ヤンも「エル・ファシルの英雄」として称えられた後、段階的な2階級昇進をしています。

 では特に優れた戦功があったとも思えないアンドリュー・フォークとウィレム・ホーランドの場合はどうか? 彼らの場合は士官学校卒業の際の成績が首席ないしは上位何位かであったこと(ブルース・アッシュビーも士官学校首席卒業です)、そして彼らが軍部内におけるロボス元帥の派閥に所属しており、ロボス元帥が彼らを重用していた事こそが、彼らの昇進速度を速めた最大の理由でしょう。この事情から考えても「士官学校卒業」というのは昇進の際の非常に重要な項目のひとつであるわけです。ビュコックの昇進速度が遅かったのも当然ですね。

 上記の事情と同じような事は帝国側に対しても言えますが、帝国側はそれに加えて、門閥貴族優先の人事と、第二次ティアマト会戦による将官の壊滅的な被害によって、ある程度平民に対しても将官になるチャンスを提供するようになったという事情が大きいですね。平民出身のミッターマイヤーなどが20代で将官になった理由も、これで説明可能でしょう。
 こう考えてみると、第二次ティアマト会戦の政治的意義は極めて大きかったといえるでしょう。ラインハルトの台頭も平民出身の将官を大量登用したことが大きな理由のひとつだったのですから、第二次ティアマト会戦なくしては成立しなかったとすら言えるかもしれません。

 さらにもうひとつ、昇進速度を語る際に無視できない問題があります。それは「同じ艦隊が立て続けに何度も戦うわけではない」という事情です。
 一例を挙げてみましょう。

第三次ティアマト会戦
第5艦隊(ビュコック中将) 第9艦隊(ウランフ中将)  第11艦隊(ホーランド中将)

第四次ティアマト会戦
第9艦隊(ウランフ中将) 第12艦隊(ボロディン中将) 第2艦隊(パエッタ中将)

アスターテ会戦
第2艦隊(パエッタ中将) 第4艦隊(パストーレ中将) 第6艦隊(ムーア中将)

 ↑上記の表を見ると分かるように、3回以上立て続けに会戦で戦っている艦隊は絶無です。銀英伝開始時点で同盟軍は12個の艦隊を持っていますが、一回の会戦で使用される艦隊はせいぜい3〜4個の艦隊でしかありません。ここから分かる事は、同盟軍は艦隊をローテーションで使用しているという事です。損害を受けた艦隊の再編成と兵力補充に時間がかかっているという事もあるでしょうし、人事バランスの問題も絡んでいるのでしょう。たったひとりの人間に戦功が集中すると他の軍人の反発を招きますし、何よりも宇宙海賊討伐の功績で名声を上げたルドルフのような軍人が発生してしまう可能性も考えられますから。銀河連邦の崩壊を知っている同盟の事ですから、それは何としてでも避けようと考えた事でしょうね。これから考えると、一回戦ったらその後何年も戦わない艦隊というのも存在するのではないでしょうか。これで軍人の階級の昇進速度をある程度鈍化させるのです。
 ヤン・ファミリーがあれほどまでに昇進速度が速かったのは、アスターテとアムリッツァの大敗北によって、同盟政府にそのような配慮を行う余裕がなくなってしまったこと、そして彼らが常に前線に立てる立場にあった事こそが最大の理由でしょう。ヤンのイゼルローン攻略も、アスターテの大敗北を挽回するためという政治的な理由が大きかったですしね。それにヤンの少佐から准将までの階級昇進はフォークなどと比べてみても実はそれほど速いというわけでもなく、士官学校出身である事と「戦闘に参加すると、2回に1回は奇功をたてた」(銀英伝1巻 P43)で充分に説明できる事です。

 これで銀英伝における昇進速度の問題は説明可能だと思いますが。


No. 720
Re718: ちょっと考えてみました
Merkatz 2000/3/18 23:20:05
ちょっと計算してみました。一般例として考えています。

とりあえず士官学校卒で少尉(20歳)、一年後に中尉へ昇進(これは士官学校卒は自動的にそうなる)、そこからどこかの艦隊に配属されたとして、年平均2〜3回の戦いに、艦隊のローテーションも考えると、だいたい1〜2年に一回の出撃になります。
そして中将(艦隊司令官)になるまでには7回昇進しなければなりませんから、毎回武勲を立てたとして最速で28歳で中将になります。
ですがヤンほどの人間でも「2回に1回は奇功をたてた」程度ですから、それと同じ程度としても35歳。もっと手こずれば40超えてしまいますね。
もっとも前線での武勲だけではなく、統合作戦本部勤務だとか、管区司令官とかありますから、そこでの昇進も考慮しなければなりません。
しかし、前線での武勲と違って、勤めて一年で昇進はあり得ないでしょう。少なくとも2〜3年は勤めないと功績とはならないはずです。

こう考えると、果たして同盟軍は本当に「昇進が速い」のでしょうか?
ヤンやアッシュビーは英雄という政治宣伝のために、意図的に昇進スピードを速める必然がありましたが、フォークやホーランドの場合、そこまで早く昇進させる必然性がありません。
別に30代後半で中将でも、上記概算では十分「速い昇進」になりますから。
また、仮に派閥人事ゆえとしても、役職にそうそう都合よく空きがあるとは限りません。中将になったはいいが、艦隊司令官に空きがなければそれまでです。作戦参謀その他の役職も然り。
同盟全体でこうも速い昇進が当たり前だとすると、次から次へと誕生する将官に対して、役職数が圧倒的に足りなくなるはずです。
したがって、「英雄」が速く昇進するのはよいとしても、他の士官(エリートとか派閥絡みとか)が英雄と「同じような」昇進スピードなのはちょっとおかしいのではと思います。

さらに速く昇進しすぎると、残りの期間はどうするのでしょうか。
例えば35歳で中将になったとします。定年を60歳と仮定すると、あと25年間も勤めるのにこの間の昇進はたったの2回。しかも元帥は滅多になれないのですから、実質一回。
これはそれまでの昇進スピードを考えるとあまりにアンバランスではないでしょうか。

ヤンのような英雄の昇進スピードは説明できても、その他の人間の昇進スピードの速さは無理があるように思います。


No. 722
Re: それよりも
不沈戦艦 2000/3/19 13:46:14
Merkatzさんは書きました
> ちょっと計算してみました。一般例として考えています。
>
> とりあえず士官学校卒で少尉(20歳)、一年後に中尉へ昇進(これは士官学校卒は自動的にそうなる)、そこからどこかの艦隊に配属されたとして、年平均2〜3回の戦いに、艦隊のローテーションも考えると、だいたい1〜2年に一回の出撃になります。
> そして中将(艦隊司令官)になるまでには7回昇進しなければなりませんから、毎回武勲を立てたとして最速で28歳で中将になります。
> ですがヤンほどの人間でも「2回に1回は奇功をたてた」程度ですから、それと同じ程度としても35歳。もっと手こずれば40超えてしまいますね。
> もっとも前線での武勲だけではなく、統合作戦本部勤務だとか、管区司令官とかありますから、そこでの昇進も考慮しなければなりません。
> しかし、前線での武勲と違って、勤めて一年で昇進はあり得ないでしょう。少なくとも2〜3年は勤めないと功績とはならないはずです。
>
> こう考えると、果たして同盟軍は本当に「昇進が速い」のでしょうか?
> ヤンやアッシュビーは英雄という政治宣伝のために、意図的に昇進スピードを速める必然がありましたが、フォークやホーランドの場合、そこまで早く昇進させる必然性がありません。
> 別に30代後半で中将でも、上記概算では十分「速い昇進」になりますから。
> また、仮に派閥人事ゆえとしても、役職にそうそう都合よく空きがあるとは限りません。中将になったはいいが、艦隊司令官に空きがなければそれまでです。作戦参謀その他の役職も然り。
> 同盟全体でこうも速い昇進が当たり前だとすると、次から次へと誕生する将官に対して、役職数が圧倒的に足りなくなるはずです。
> したがって、「英雄」が速く昇進するのはよいとしても、他の士官(エリートとか派閥絡みとか)が英雄と「同じような」昇進スピードなのはちょっとおかしいのではと思います。
>
> さらに速く昇進しすぎると、残りの期間はどうするのでしょうか。
> 例えば35歳で中将になったとします。定年を60歳と仮定すると、あと25年間も勤めるのにこの間の昇進はたったの2回。しかも元帥は滅多になれないのですから、実質一回。
> これはそれまでの昇進スピードを考えるとあまりにアンバランスではないでしょうか。
>
> ヤンのような英雄の昇進スピードは説明できても、その他の人間の昇進スピードの速さは無理があるように思います。


 こっちの方が気になります。同盟、帝国双方に言えるのですけど、艦艇数がどちらも10万以上(アムリッツァ前)あるのでしょうから、それだけの数の艦長職はある訳です。つまり、大佐や中佐(駆逐艦など)が、艦長職だけで10万人以上いる訳ですよね。それなのに、同盟で言えば艦隊司令官の中将は12人だけ。ま、その他に統合作本部や宇宙艦隊司令部勤務もあるのでしょうけど、それを加えても必要な中将は、二十〜三十人ではないでしょうか。要りもしない閑職を作らない限り。その間に戦隊司令官の准将や少将がいるにしても、無茶苦茶バランスが悪いのではないかと。

 士官学校を出ていれば、艦長クラスにまでなるのは難しくないが、司令官職に就くのは並大抵ではない、ということになりそうです。将官になるのは困難極まるのではないでしょうかね。



No. 723
Re720:う〜ん、難しい……
冒険風ライダー 2000/3/19 17:49:59
<果たして同盟軍は本当に「昇進が速い」のでしょうか?
ヤンやアッシュビーは英雄という政治宣伝のために、意図的に昇進スピードを速める必然がありましたが、フォークやホーランドの場合、そこまで早く昇進させる必然性がありません。
別に30代後半で中将でも、上記概算では十分「速い昇進」になりますから。
また、仮に派閥人事ゆえとしても、役職にそうそう都合よく空きがあるとは限りません。中将になったはいいが、艦隊司令官に空きがなければそれまでです。作戦参謀その他の役職も然り。
同盟全体でこうも速い昇進が当たり前だとすると、次から次へと誕生する将官に対して、役職数が圧倒的に足りなくなるはずです。>

 いえ、私が言及している昇進速度の問題は、ヤンやアッシュビーなどのような「英雄」の場合と、フォークやホーランドのように「派閥」を利用するといった「特殊な人間」のみに限定していまして、別に「同盟軍全体の昇進速度が速い」とは一言も言っておりません。「少佐から准将までのヤンの昇進速度がそれほど速かったわけではない」というのは、あくまでもフォークなどと比較しての話です。
 実際、銀英伝における同盟軍中将クラスの平均年齢は40代半ばですし、シトレやロボスの元帥クラスやグリーンヒル大将などを見ても、同盟軍の「通常の」昇進速度はそれほど異常な速度であるというわけでもありません。Merkatzさんの昇進速度の計算は「通常のケース」で考えればまさにその通りであると思いますし、実際にそうなってもいるでしょう。

 ではフォークやホーランドの昇進速度が何故に速いのか? いろいろ考えてみましたが、銀英伝の記述を検証して見た結果、どうも「士官学校首席卒業」というところにある程度謎を解く鍵があるように考えられます。
 「士官学校首席卒業で昇進が速い」という人間のひとりに、銀英伝3巻外伝で戦死したマルコム・ワイドボーン大佐がいます。彼は「10年にひとりの秀才」などと言われていましたから、当然士官学校首席卒業でもあったでしょう。そして彼はヤンと同じ年(当時27歳)で大佐になっているのです。ブルース・アッシュビーなども士官学校首席卒業でしたし、これらから考えてみると、どうも同盟軍は士官学校を優秀な成績で卒業すると昇進速度も速くなる傾向があるように考えられます。
 で、この事情から私なりの裏設定を考えてみたのですが、同盟で士官学校を首席ないしはそれに近い成績で卒業すると、佐官になるまでは特に功績がなくても毎年昇進することができる制度があるというのはどうでしょうか? 士官学校を普通の成績で卒業して1年後に中尉になれるのですから、当然ながら士官学校首席卒業者にはそれ以上の特典があるというわけです。同盟は慢性的な予算不足とソフトウェアの弱体化で苦しんでいましたし、国力で勝っている帝国の侵攻を「人材の質」で食い止めるという大義名分から言っても、優秀に見える人材をある程度速く昇進させて即戦力にしようという考えがあったのではないでしょうか。佐官クラスであれば官職もたくさんあるはずです。
 これならば、特に目立った功績があったわけでもないフォークやホーランド、それにワイドボーンなどの昇進速度が速い理由も説明できますし、それだけでなくアッテンボローやキャゼルヌなどの昇進速度が速い理由なども説明できます。さらに将官以降になれば昇進速度が鈍化する事についても、同盟軍の出撃事情と合わせて充分に説明可能なのではないでしょうか。

 他に考えられる要因としては、フォークやホーランドがロボス元帥の政治力と無能ぶりを巧みに利用していたという可能性です。
 ロボス元帥は銀英伝で次のように評価されています。

銀英伝1巻 P191上段
<無能な男が元帥になれるはずはない。ロボスは前線で武勲をたて、後方では着実な事務処理の能力を示し、大部隊を統率し参謀チームを管理することのできる男だった。すくなくとも、四〇代まではそうだった。だが、今日では、衰えが目立っている。万事に無気力で、とくに判断、洞察、決断に関するエネルギーの欠如がみられた。だからこそフォーク准将の独走と専断を許してもいるのだろう。>

銀英伝3巻外伝 P207下段〜P208上段
<ロボス元帥は、ことさらヤン・ウェンリーという「まちがって軍人になった」青年を嫌っているわけではない。同盟軍の中枢にいるこの職業軍人は、一部の半ば個人的な幕僚を信頼しすぎるという悪評があったが、頑迷というほどでもなかった。>

 この事情から考えると、ロボス元帥がいかにフォークやホーランドにとって取り入りやすい人物であったかがよく分かります。「一部の半ば個人的な幕僚を信頼しすぎる」のですから、フォークやホーランドの意見などもあまり却下する事もなかったでしょう。自分が提出する作戦案が受け入れられやすく、しかもそれがすくなくともある程度は成功していくのですから、彼らの昇進速度が速かったというわけです。
 ヤンが「2回に1回は奇功をたてた」程度しか戦功を立てられなかった理由は、ヤンの上司がヤンを軽視し、ヤンの作戦案をあまり受け入れなかったためでしょう。実際、アスターテ辺りまでのヤンの評価は相当に低かったのですから、ヤンが過小評価される事はよくあったのでしょう。これから考えてみても、派閥に属する事がいかに昇進速度を速めるかが分かります。ましてや、ロボス元帥は非常に取り入りやすい人物なのですから、それがフォークやホーランドの昇進速度を加速させた事はほぼ間違いないでしょう。
 もちろん、特に大きな功績があるわけでもないのにここまで昇進できるというのは本来ならば大問題であるわけでして、それから考えると、フォークやホーランドの昇進速度はロボス元帥の無能に原因があった、と考えてもよいのかもしれません。


<さらに速く昇進しすぎると、残りの期間はどうするのでしょうか。
例えば35歳で中将になったとします。定年を60歳と仮定すると、あと25年間も勤めるのにこの間の昇進はたったの2回。しかも元帥は滅多になれないのですから、実質一回。
これはそれまでの昇進スピードを考えるとあまりにアンバランスではないでしょうか。>

 それを整合させるにはいくつかの方法が考えられます。

1. 官職を昇格させる(例:宇宙艦隊総参謀長―→宇宙艦隊司令長官―→統合作戦本部長)
2. 戦功に対して勲章と一時金を与える
3. 官職の昇格に合わせて、それまでその職にいた軍人を退役させる
4. 本人が退職金をもらって退役する

 他にも「順調に昇進していたが戦死した。もしくは捕虜にされた」などといったケースも考えられます。そういうふうにして同盟の人事バランスは保たれていたのではないでしょうか。


No. 730
Re:同盟の人事は複雑怪奇(笑)
Merkatz 2000/3/22 20:26:22
>いえ、私が言及している昇進速度の問題は、ヤンやアッシュビーなどのような「英雄」の
>場合と、フォークやホーランドのように「派閥」を利用するといった「特殊な人間」のみに
>限定していまして、別に「同盟軍全体の昇進速度が速い」とは一言も言っておりません。

おっとこれは勇み足でした。
同盟軍全体ではなく、一部の人間の昇進速度の速さでしたね。
「英雄」のそれはまったくよいと思うので、フォークなどの場合に限って進めます。

>で、この事情から私なりの裏設定を考えてみたのですが、同盟で士官学校を首席ないしは
>それに近い成績で卒業すると、佐官になるまでは特に功績がなくても毎年昇進することが
>できる制度があるというのはどうでしょうか? 士官学校を普通の成績で卒業して1年後に
>中尉になれるのですから、当然ながら士官学校首席卒業者にはそれ以上の特典があると
>いうわけです。同盟は慢性的な予算不足とソフトウェアの弱体化で苦しんでいましたし、
>国力で勝っている帝国の侵攻を「人材の質」で食い止めるという大義名分から言っても、
>優秀に見える人材をある程度速く昇進させて即戦力にしようという考えがあったのでは
>ないでしょうか。佐官クラスであれば官職もたくさんあるはずです。

そうだとしたら青田買いも甚だしいです。
第一、佐官クラスなら不沈戦艦さんの指摘によると「艦長職だけで10万人以上いる」訳ですから、あえて首席卒業に肩入れする必要はないのでは?
アッテンボローのように成績が中の上程度の人間でも、実戦で頭角を現すことがあるわけですから、実力主義を徹底しても何ら不都合はないはずです。実際、アッテンボローの昇進は紛れもなく実力によるものですね。
ですから「士官学校を首席ないしはそれに近い成績で卒業すると、佐官になるまでは特に功績がなくても毎年昇進することができる制度がある」というのは疑問です。

戦いが慢性化していたこと、帝国には無能な将官が相当数いたにもかかわらず同盟といい勝負だったことから、当初は実力主義だった同盟の昇進システムが、末期には官僚主義に犯されていたのではないでしょうか。
コネ、賄賂、学閥、などなど。そういった実力とは無関係な部分で昇進が決まっていたからこそ、フォークがヤンより昇進が速いという現象が生じたのでしょう。現にフォークは国防委員に独自の人脈を持っていて、それにより自身の作戦案を実現させることに成功していましたね。

年齢に関してはパス(笑)。こっちこそいよいよ分からないわ。一応、アスターテ前の各艦隊司令官の年齢をざっと見てみると、
50代以上 クブルスリー(第1艦隊)
       ビュコック(第5艦隊)
       ボロディン(第12艦隊)
30代〜40代 パエッタ(第2艦隊)
         ルフェーブル(第3艦隊)
         パストーレ(第4艦隊)
         ムーア(第6艦隊)
         ホーウッド(第7艦隊)
         アップルトン(第8艦隊)
         アル・サレム(第9艦隊)
         ウランフ(第10艦隊)
         ルグランジェ(第11艦隊)
30未満 ヤン(第13艦隊) ←アスターテ当時は艦隊司令ではありませんが参考までに
(注・原作には必ずしも年齢表記がありませんので、OVAのキャラの外見で判断しました)

やっぱり年齢構成がいびつですね。もうちょっと50代の人間がいてもよいと思います。

それより不沈戦艦さんの指摘によって、昇進スピードより問題ある部分が明らかになってしまいました(笑)。

>こっちの方が気になります。同盟、帝国双方に言えるのですけど、艦艇数がどちらも10万
>以上(アムリッツァ前)あるのでしょうから、それだけの数の艦長職はある訳です。つまり、
>大佐や中佐(駆逐艦など)が、艦長職だけで10万人以上いる訳ですよね。それなのに、
>同盟で言えば艦隊司令官の中将は12人だけ。ま、その他に統合作本部や宇宙艦隊
>司令部勤務もあるのでしょうけど、それを加えても必要な中将は、二十〜三十人では
>ないでしょうか。要りもしない閑職を作らない限り。その間に戦隊司令官の准将や
>少将がいるにしても、無茶苦茶バランスが悪いのではないかと。

同盟軍の艦隊編成がどうなっているかは分かりませんが、参考までに真珠湾奇襲時の第1機動部隊の編成は、

司令官 南雲中将
参謀長 草鹿少将
第1航空戦隊(空母2隻)
指揮官 南雲中将
第2航空戦隊(空母2隻)
指揮官 山口少将
第5航空戦隊(空母2隻)
指揮官 原中将
第3戦隊(戦艦2隻)
指揮官 三川中将
第8戦隊(巡洋艦2隻)
指揮官 阿部少将
(以下省略)

銀英伝における一個艦隊は一万五千隻前後ですから、かなりたくさんの戦隊によって構成されていると思われます。
でもこれだけ数が多いと、陸軍編成のように考えた方がスッキリするかも・・・。一個師団とか一個軍とか。
どちらにしても戦隊指揮官としての将官が必要ですから、必要な中将が二十〜三十人ということはないと思います。それから中将の下に同じ階級の者を配属できないことはないです。戦隊指揮官に中将を当てることは可能です。役職の上下と階級の上下は必ずしも一致しません。もっとも同盟軍がどのような人事システムになっているかは分かりませんが。

ああ、だんだん手に負えなくなってきた(笑)。誰かスッキリとまとめてくれ〜(笑)。


No. 731
Re:複雑怪奇過ぎますがな
不沈戦艦 2000/3/23 00:43:04
Merkatzさんは書きました

> それより不沈戦艦さんの指摘によって、昇進スピードより問題ある部分が明らかになってしまいました(笑)。
>
> >こっちの方が気になります。同盟、帝国双方に言えるのですけど、艦艇数がどちらも10万
> >以上(アムリッツァ前)あるのでしょうから、それだけの数の艦長職はある訳です。つまり、
> >大佐や中佐(駆逐艦など)が、艦長職だけで10万人以上いる訳ですよね。それなのに、
> >同盟で言えば艦隊司令官の中将は12人だけ。ま、その他に統合作本部や宇宙艦隊
> >司令部勤務もあるのでしょうけど、それを加えても必要な中将は、二十〜三十人では
> >ないでしょうか。要りもしない閑職を作らない限り。その間に戦隊司令官の准将や
> >少将がいるにしても、無茶苦茶バランスが悪いのではないかと。
>
> 同盟軍の艦隊編成がどうなっているかは分かりませんが、参考までに真珠湾奇襲時の第1機動部隊の編成は、
>
> 司令官 南雲中将
> 参謀長 草鹿少将
> 第1航空戦隊(空母2隻)
> 指揮官 南雲中将
> 第2航空戦隊(空母2隻)
> 指揮官 山口少将
> 第5航空戦隊(空母2隻)
> 指揮官 原中将
> 第3戦隊(戦艦2隻)
> 指揮官 三川中将
> 第8戦隊(巡洋艦2隻)
> 指揮官 阿部少将
> (以下省略)
>
> 銀英伝における一個艦隊は一万五千隻前後ですから、かなりたくさんの戦隊によって構成されていると思われます。
> でもこれだけ数が多いと、陸軍編成のように考えた方がスッキリするかも・・・。一個師団とか一個軍とか。
> どちらにしても戦隊指揮官としての将官が必要ですから、必要な中将が二十〜三十人ということはないと思います。それから中将の下に同じ階級の者を配属できないことはないです。戦隊指揮官に中将を当てることは可能です。役職の上下と階級の上下は必ずしも一致しません。もっとも同盟軍がどのような人事システムになっているかは分かりませんが。
>
> ああ、だんだん手に負えなくなってきた(笑)。誰かスッキリとまとめてくれ〜(笑)。
>


 うーん、纏めるのは難しいですけど、日本海軍と比べられますかね?日本海軍には「軍令承行令」が有った訳で、同じ階級でも、海軍兵学校の卒業年度、同年の場合は卒業席次で、どちらが上級指揮官になるか決まってしまった訳で。平時はそれでもいいでしょうけど、戦時向きではない官僚化の極みですけどね。銀英伝読んでも、艦隊司令官の中将の下に、分艦隊司令官で同階級の中将がいる、というのは無かったような気が。どこかにありましたっけ?ローエングラム元帥の直属部隊に、中将クラスがついたのはあったような気がしますが。トゥルナイゼンとか。陸軍の師団編成なら、尚更のことではないでしょうか。大将の麾下に大将とか、中将の部下に中将とか、ほとんど聞きませんよ。

 同盟の艦隊司令官は基本的に中将で、宇宙艦隊司令長官や統合作戦本部長が元帥か大将、って編成でした。参謀長に中将もいたと思いましたが。それ以外に、中将がいる、というのが出てきた記憶がないので、それしかしないのだと思ったのですが変ですかね。

 そうだとすると、同盟軍は、膨大なポストがある佐官から、あまりにも数が少ない将官ポストに出世するのは、極めて困難である、ということにはなるでしょうか。一般の会社で、役付きの取締役になるより難しいかも。何だか、こんな状況では、出世するのは難しいから、覇気のない職業軍人ばかり士官学校で生産されそうです。ヤンの成績じゃ普通は無理ですね。帝国軍はもっと人事が滅茶苦茶(恣意が入りまくる大貴族支配下では)でしょうから、想像するだに恐ろしいですね。ミッターマイヤーやロイエンタールが、ロクに後ろ盾も無くよく30代そこそこで、将官にまで出世できたもんだ。


No. 736
Re730/731:私にも分からなくなってきた(T_T)
冒険風ライダー 2000/3/23 04:49:08
>Merkatzさん
<そうだとしたら青田買いも甚だしいです。
第一、佐官クラスなら不沈戦艦さんの指摘によると「艦長職だけで10万人以上いる」訳ですから、あえて首席卒業に肩入れする必要はないのでは?
アッテンボローのように成績が中の上程度の人間でも、実戦で頭角を現すことがあるわけですから、実力主義を徹底しても何ら不都合はないはずです。実際、アッテンボローの昇進は紛れもなく実力によるものですね。
ですから「士官学校を首席ないしはそれに近い成績で卒業すると、佐官になるまでは特に功績がなくても毎年昇進することができる制度がある」というのは疑問です。>

 これは同盟軍の階級システムからある程度説明できるのではないでしょうか?
 同盟に限らず帝国もですが、いくら実力主義で昇進するといっても、艦長ないしはそれなりの要職につくことができる佐官級ならばともかく、戦艦や駆逐艦の一構成員ぐらいにしかなれない尉官級レベルの階級では、そもそも実力主義に必要である肝心の「戦功をたてること」それ自体が全く不可能です。たとえば「通信オペレーター」とか「航法士」などになって、一体どうやって「戦功」をたてる事ができるというのでしょうか? 「将来有望な士官学校の優等生」を、そこら辺の地位でくすぶらせていても何の意味もありません。だから「佐官までは速く昇進させて、そこからは実力主義」というシステムにでもなっているのではないでしょうか?
 こうでも考えないと、同盟軍に20代の佐官級士官がたくさんいることが全く説明できないんですよね(スーン・スール少佐、ラップ少佐など)。いくら同盟軍に佐官級の人間が多いからといって、20代は速すぎますからね〜。そんなわけで「彼らの士官学校当時の成績は皆優秀であった」という前提の元にこの設定を思いついたのですが。実際、ヤンを除く20代佐官級士官は全員成績優秀者のようですしね。
 しかしアッテンボローの士官学校当時の成績が「中の上」というのははじめて聞いたような気がします。キャゼルヌの成績が「上の中」というのは知っていましたが、アッテンボローの成績の出典はどこでしょうか? これが事実だと私が考えた設定が完全に破綻してしまうので(T_T)、ぜひ教えてください。

 それから平時の同盟軍の将官クラスの階級別構成は、

統合作戦本部長・宇宙艦隊司令長官-----元帥
宇宙艦隊総参謀長--------------------大将
艦隊司令官--------------------------中将
1000隻単位の戦隊司令官-------------少将
100隻単位の戦隊司令官--------------准将

 とこうなっているようですね。それから艦隊の中に艦隊司令官と同格の人間はいません。第9艦隊アル・サレム「中将」の艦隊副司令官はモートン「少将」でしたし、アムリッツァ会戦の際にウランフ中将の指揮権を引き継いだのはアッテンボロー「准将」といったような展開でしたから、中将よりも上の人間は艦隊内にまずいなかったと考えてよいでしょう。


>不沈戦艦さん
<そうだとすると、同盟軍は、膨大なポストがある佐官から、あまりにも数が少ない将官ポストに出世するのは、極めて困難である、ということにはなるでしょうか。一般の会社で、役付きの取締役になるより難しいかも。何だか、こんな状況では、出世するのは難しいから、覇気のない職業軍人ばかり士官学校で生産されそうです。ヤンの成績じゃ普通は無理ですね。帝国軍はもっと人事が滅茶苦茶(恣意が入りまくる大貴族支配下では)でしょうから、想像するだに恐ろしいですね。ミッターマイヤーやロイエンタールが、ロクに後ろ盾も無くよく30代そこそこで、将官にまで出世できたもんだ。>

 ミッターマイヤーやロイエンタールの場合は、前にも言ったように第二次ティアマト会戦の影響が大きかったのでしょう。あの戦いで帝国側の貴族仕官が大量に戦死してしまい、貴族士官のなり手があまりいなくなってしまったので、平民の士官をある程度出世させるようにした、というわけで。
 帝国の場合、「元帥」と「大将」の間に「上級大将」があり、艦隊司令官が「大将」ですからね。少将ぐらいまでは出世させても支障はなかったのではないでしょうか?


No. 738
Re:結論、恣意的すぎて説明不可というのはどう?(笑)
Merkatz 2000/3/23 22:15:32
>不沈戦艦さん

>うーん、纏めるのは難しいですけど、日本海軍と比べられますかね?
>日本海軍には「軍令承行令」が有った訳で・・・(中略)・・・陸軍の
>師団編成なら、尚更のことではないでしょうか。大将の麾下に大将とか、中将の部下に
>中将とか、ほとんど聞きませんよ。

こりゃ申し訳ない。確かに日本海軍はそうでしたね。
ついドイツ陸軍を念頭に置いてしまった。
あと同盟軍もはっきりとは記述がありませんが、どうも日本海軍に近い雰囲気です。

余談ながら、ドイツ軍は軍集団麾下の軍に同じ階級の将官を当てることをしていますけど、一応、先任とか考慮しているんでしょうか?
例えばB軍集団、司令官ボック上級大将麾下、第6軍司令官ライヘナウ上級大将とかあります。ドイツ軍だけ特殊なのかな?(マンシュタイン上級大将に至っては更に下の軍団長をしているし)

>冒険風ライダーさん

>艦長ないしはそれなりの要職につくことができる佐官級ならばともかく、
>戦艦や駆逐艦の一構成員ぐらいにしかなれない尉官級レベルの階級では、
>そもそも実力主義に必要である肝心の「戦功をたてること」それ自体が全く不可能です。
>たとえば「通信オペレーター」とか「航法士」などになって、
>一体どうやって「戦功」をたてる事ができるというのでしょうか?
>「将来有望な士官学校の優等生」を、そこら辺の地位でくすぶらせていても
>何の意味もありません。だから「佐官までは速く昇進させて、そこからは実力主義」という
>システムにでもなっているのではないでしょうか?

気が付いたんですが、「士官学校卒」という大枠で区切るのはおかしいですよね。
だって士官学校と一口に言っても、戦史研究科もあれば戦略研究科あるし、砲術科や航法科もあるでしょう。
出身科によって配属先が違うのは当然でしょうし、また、そもそも士官学校に入ってくる人間すべてが、
軍人としての成功を志向しているわけではありませんし。
したがって戦略研究科出身とかのエリートが、速い昇進を遂げるのは官僚主義で説明がつくと思います。
問題は傍流の科を出た人間まで異常な早さで昇進していることですね。

>こうでも考えないと、同盟軍に20代の佐官級士官がたくさんいることが
>全く説明できないんですよね(スーン・スール少佐、ラップ少佐など)。
>いくら同盟軍に佐官級の人間が多いからといって、20代は速すぎますからね〜。

ラップは確かヤンと同じ戦略研究科転属組でしたね。スールは何科出身なのでしょうか?
何にしても「士官学校卒の通信オペレーターや航法士」まで(いろんな科があるのだから当然存在する)ひっくるめて、システム的に速く昇進させる必然性がどうもピンときません。
ようは戦略研究科出身のようなエリートだけ速く昇進させれば事足りるはずですから。

>しかしアッテンボローの士官学校当時の成績が「中の上」というのははじめて聞いたような気がします。
>キャゼルヌの成績が「上の中」というのは知っていましたが、アッテンボローの成績の出典はどこでしょうか?
>これが事実だと私が考えた設定が完全に破綻してしまうので(T_T)、ぜひ教えてください。

すいません、勘違いしていました。「中の上」はヤンの成績でした。(^^;;
で、探したんですが、「準優等生といってよい」というのを見つけました(外伝4巻)。
でもこれじゃ具体的にどの程度か分からないな・・・。
まあ「上の中」は優等生だろうから(キャゼルヌがそういう設定なのだから)、「上の下」くらいかな?

>それから艦隊の中に艦隊司令官と同格の人間はいません。
>第9艦隊アル・サレム「中将」の艦隊副司令官はモートン「少将」でしたし、
>アムリッツァ会戦の際にウランフ中将の指揮権を引き継いだのはアッテンボロー「准将」と
>いったような展開でしたから、中将よりも上の人間は艦隊内にまずいなかったと考えてよいでしょう。

不沈戦艦さんも書かれていましたが、どうもそのようです。
しかし中将以上は異常に少なくなりますが、少将以下はけっこう居そうです。
一個艦隊一万五千隻として、
准将=150人
少将=15人
12個艦隊分は
准将=1800人
少将=180人
これに参謀長とか補給艦隊司令官とかその他役職があるわけですから、准将・少将に限っては一万人くらいは居そうですね。

ところでアッテンボローの初登場はいつだかご存じですか?
実は2巻、名前のみのたった一行!
第11艦隊と戦うときの布陣説明の時に出てくるのです。
初のセリフは3巻から。
彼の後年の重用具合から考えると意外なことです。


No. 742
Re738:本当に説明不可能になってきた……
冒険風ライダー 2000/3/24 03:19:04
<気が付いたんですが、「士官学校卒」という大枠で区切るのはおかしいですよね。
だって士官学校と一口に言っても、戦史研究科もあれば戦略研究科あるし、砲術科や航法科もあるでしょう。
出身科によって配属先が違うのは当然でしょうし、また、そもそも士官学校に入ってくる人間すべてが、
軍人としての成功を志向しているわけではありませんし。>

 私も言われてみて始めて気づいた(笑)。
 そうなると、いよいよもって説明不可能なまでに難易度が高くなってしまいますね(T_T)。そもそも「士官学校首席卒業」というのは一体何を基準にしたものであるのかという疑問すらわいてきます。
 違う学科であれば当然勉強すべき教科自体も全く違ってきますし、成績を決めるテスト内容も全く違ってくるのですから、それで「士官学校の首席」を決めるのは難しいでしょう。戦史を研究する学科と、航法を専門とする学科とが比較できるわけがないですし。
 しかもヤンとラップを除き、昇進速度の速い人間の誰ひとりとしてどこの学科出身であるかが全く分かりませんから、追跡はほぼ不可能であると言うしかありませんね(T_T)。

<したがって戦略研究科出身とかのエリートが、速い昇進を遂げるのは官僚主義で説明がつくと思います。
問題は傍流の科を出た人間まで異常な早さで昇進していることですね。>

 まあここまで設定が複雑になってしまうと、その説明の方が簡単に謎を解明する事ができますから、それで良いかもしれませんね。
 あと出身学科の方は、どうせ誰ひとりとして出身学科は分からないのですから、速い昇進をしている軍人は皆ある程度のエリート学科出身であるとしておけば良いのではないでしょうか。具体的なエリート学科としては「戦略研究科」と「後方補給部門専門の学科」といったところでしょうか。

<ところでアッテンボローの初登場はいつだかご存じですか?
実は2巻、名前のみのたった一行!
第11艦隊と戦うときの布陣説明の時に出てくるのです。
初のセリフは3巻から。
彼の後年の重用具合から考えると意外なことです。>

 アッテンボローの設定は多分ストーリー延長の際の後出しでしょう(笑)。
 銀英伝は当初1巻か2巻かで終わるとか言われていましたからね〜。


No. 745
Re:結論、恣意的すぎて説明不可というのはどう?(笑)
チャバティー中山 2000/3/25 07:10:09
皆さん初めまして

Merkatzさんは書きました
> 気が付いたんですが、「士官学校卒」という大枠で区切るのはおかしいですよね。
> だって士官学校と一口に言っても、戦史研究科もあれば戦略研究科あるし、砲術科や航法科もあるでしょう。
> 出身科によって配属先が違うのは当然でしょうし、また、そもそも士官学校に入ってくる人間すべてが、
> 軍人としての成功を志向しているわけではありませんし。
> したがって戦略研究科出身とかのエリートが、速い昇進を遂げるのは官僚主義で説明がつくと思います。
> 問題は傍流の科を出た人間まで異常な早さで昇進していることですね。
>
銀英伝の記述が、どうなっているのか忘れましたが
士官学校と言うのは、士官としての基本等を学ぶ学校であって(防大が、それにあたる)専門の砲術科や航法科などは無いはずです

その手の専門の学校は、自衛隊の場合『術科学校』と呼ばれ
陸海空自衛隊それぞれ設置されています


No. 753
Re745:同盟軍の下士官養成学校
冒険風ライダー 2000/3/27 02:53:45
<銀英伝の記述が、どうなっているのか忘れましたが
士官学校と言うのは、士官としての基本等を学ぶ学校であって(防大が、それにあたる)専門の砲術科や航法科などは無いはずです
その手の専門の学校は、自衛隊の場合『術科学校』と呼ばれ
陸海空自衛隊それぞれ設置されています>

 それで思いだしましましたが、シェーンコップがそんな専門学校出身でした。同盟では「軍専科学校」と言うそうですが。
 シェーンコップの経歴はこのようなものです↓

銀英伝外伝3巻 P46下段
<ワルター・フォン・シェーンコップは、一六歳のとき同盟軍士官学校の入学試験に合格したが、入学はしなかった。「別に士官学校がきらいだったわけじゃない。士官学校の校則のほうが、おれをきらったんだ」とは、後年に至っての述懐である。かわって彼は、陸戦部門の「軍専科学校」なるものに入学した。これは二年制で、陸戦、工兵、航宙、飛行、通信、補給、衛生、整備などの各部門で第一線に立つ下士官を養成する学校である。学年中、九番の成績で卒業すると、シェーンコップは一八歳で伍長に任官し、すぐに戦場に出た。十九歳で曹長、二〇歳で准尉と、武勲をかさねて階級を進め、二一歳のとき士官の推薦を受けて第一六幹部候補生養成所にはいり、二二才のとき、そこを終了して少尉に任官した、このとき、下士官から士官への狭い関門をクリアしたわけで、はじめて「薔薇の騎士」連隊に配属され、小隊長として三九名の部下をあずかることになったのである。>

 これから考えると、艦隊の士官学校出身者が「通信オペレーター」や「航宙士(航法士ではありませんでした(^^;)」などになることはまずなさそうですね。
 そうなると、士官学校出身者は全てエリートという事で片づけてもよさそうですね。昇進速度の速い人間は全て士官学校出身者ですから、彼らは元々の昇進速度がある程度速く、それに戦功や派閥・成績などが絡み合ってあの昇進速度が実現した、ということで昇進速度の問題は完全に解決するのではないでしょうか。


No. 759
Re:事件は迷宮入り(笑)
Merkatz 2000/3/28 20:44:57
チャバティー中山さんは書きました
> 銀英伝の記述が、どうなっているのか忘れましたが
> 士官学校と言うのは、士官としての基本等を学ぶ学校であって(防大が、それにあたる)専門の砲術科や航法科などは無いはずです
>
> その手の専門の学校は、自衛隊の場合『術科学校』と呼ばれ
> 陸海空自衛隊それぞれ設置されています

へぇ、士官学校って科目別ではないんですね。
では銀英伝の記述は変ですね。ヤンは士官学校の戦史研究科に入学、その後、科そのものの廃止により戦略研究科に転科となっていますから。
士官学校に科目がないということを田中芳樹は知らなかったんでしょうか。

うーん、また一つ説明不可能な事実が明らかになってしまった・・・。(^^;;

あっ、ところで一巻に、「彼(ヤン)は同盟全軍を通じて16名しかいない20代の将官のひとりなのである」という記述があるのを見つけました。
やっぱり若い将官自体、特異な存在だということらしいです。


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