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No. 6918 | |
ドヴィリエの最後について | |
四誌 | 2006/06/15 00:50 |
初めて書き込みます。四誌と申します。 原作小説は熟読しました。(徳間ノベルズ) OVAをはじめて見たとき、疑問に思ったので書き込みました。 このサイトで既出かもしれませんが、地球教大司教ドヴィリエの最後に納得がいきません。つまり彼が危険を冒してまで自ら皇帝暗殺を実行した事が納得できないのです。OAVにて、彼が地球教徒になったのは。信仰なのではなく、自らの野心(自らの栄達でしょう)の為に教団を利用したこと。さらに総大主教が死んでも、替え玉を用意して他の信者には秘密にしていた狡猾さからして、わざわざリスクを犯して、皇帝を襲撃するとは思えません。 物語を完結する為に半ば強引に死んでもらった感がぬぐえません。 もっともルビンスキーの死や地球教の最後もかなりあっさりしていると思います。構想上、詳細に描ききれなかった(時間やページ数などで)のだと思います。 |
No. 6926 | |
Re:ドヴィリエの最後について | |
盗塁王赤星 | 2006/06/19 15:55 |
> 物語を完結する為に半ば強引に死んでもらった感がぬぐえません。 そのとおりだと思います。 ドヴィリエってヤン暗殺という大金星を挙げながら、結局ケレンが過ぎてなんにも出来なかった変なキャラクターですよね。 おっしゃるようにルビンスキーも、さらにはオーベルシュタインも、なんか歳末売り尽くしセール的にばたばたと死んでいって、最初に10巻を読んだときは「風呂敷畳むのに苦労してるなあ」と感じたものでした。 もっとも畳む気すらない最近の田中氏に比べれば随分良心的だったと思いますけど(笑)。 |
No. 6932 | |
Re:ドヴィリエの最後について | |
ケイ | 2006/06/23 21:43 |
> このサイトで既出かもしれませんが、地球教大司教ドヴィリエの最後に納得がいきません。つまり彼が危険を冒してまで自ら皇帝暗殺を実行した事が納得できないのです。OAVにて、彼が地球教徒になったのは。信仰なのではなく、自らの野心(自らの栄達でしょう)の為に教団を利用したこと。さらに総大主教が死んでも、替え玉を用意して他の信者には秘密にしていた狡猾さからして、わざわざリスクを犯して、皇帝を襲撃するとは思えません。 > 物語を完結する為に半ば強引に死んでもらった感がぬぐえません。 > もっともルビンスキーの死や地球教の最後もかなりあっさりしていると思います。構想上、詳細に描ききれなかった(時間やページ数などで)のだと思います。 確かにそれまでの己は表に出ないスタイルのドヴィリエにしては お粗末だったと思いますね〜。 個人的には本人は実戦に出たくなかったが策謀ことごとく失敗or裏目に出てるケースもあるし、残存信者を抑えきれるだけの力が無く嫌々前線に出ざるを得なくなったと考えたりしました。 |
No. 6938 | |
Re:ドヴィリエの最後について | |
S.K | 2006/06/24 22:00 |
> このサイトで既出かもしれませんが、地球教大司教ドヴィリエの最後に納得がいきません。つまり彼が危険を冒してまで自ら皇帝暗殺を実行した事が納得できないのです。 キュンメル事件で銀河統一帝国を成立させつつあるラインハルトに正面から公敵扱いされて艦隊や憲兵隊に掃討されまくる展開が6巻以降でしたから、正直『人材が払底した』と言われても多分に事実かと思われます。 心身の病人や麻薬中毒者までテロ活動に使用していた状況では、皇帝暗殺でさえドヴィリエ以外に実働指揮官がいなくてもそこそこ不思議もないのではないでしょうか。 『詰め込んだ所為で説得力に欠ける出来』という評価は多分正しいでしょう。 でも盗塁王赤星さんもおっしゃってましたが『勢いが大事な事象もあり完遂したのは立派』というのも確かです。 >OAVにて、彼が地球教徒になったのは。信仰なのではなく、自らの野心(自らの栄達でしょう)の為に教団を利用したこと。さらに総大主教が死んでも、替え玉を用意して他の信者には秘密にしていた狡猾さからして、わざわざリスクを犯して、皇帝を襲撃するとは思えません。 > 物語を完結する為に半ば強引に死んでもらった感がぬぐえません。 > もっともルビンスキーの死や地球教の最後もかなりあっさりしていると思います。構想上、詳細に描ききれなかった(時間やページ数などで)のだと思います。 この掲示板で一番顕著な例に挙がったのは9巻の『ロイエンタール成り行きで叛乱(しかも未練がましい)』でしょうか。 ルビンスキーあたりも『頭が病気の老犯罪者』で終わってしまって拍子抜けしたおぼえがあります。 |
No. 6940 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
不沈戦艦 | 2006/06/24 22:52 |
> > 物語を完結する為に半ば強引に死んでもらった感がぬぐえません。 > > そのとおりだと思います。 > ドヴィリエってヤン暗殺という大金星を挙げながら、結局ケレンが過ぎてなんにも出来なかった変なキャラクターですよね。 > > おっしゃるようにルビンスキーも、さらにはオーベルシュタインも、なんか歳末売り尽くしセール的にばたばたと死んでいって、最初に10巻を読んだときは「風呂敷畳むのに苦労してるなあ」と感じたものでした。 個人的には、オーベルシュタインの死は違和感ありまくりでしたね。「えっ!何でこのキャラを、唐突にここで殺さないといけないの?!」と、本気で思いましたもん。どっちにしたって銀英伝は10巻でおしまいで、ラインハルトは死んでもローエングラム王朝は生き残るという展開になるんですから、どんづまりの最後の局面でオーベルシュタインを死なせなければならない理由は特にないでしょう。未だに、この「オーベルシュタインの死」は、意味がないと思っているくらいですよ。 |
No. 6944 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
盗塁王赤星 | 2006/06/26 15:54 |
『オーベルシュタインはなぜ死なねばならなかったか』 これは考えてみるとちょっと面白いですね。 銀英伝が全12巻で、田中芳樹が収束部をもっと余裕をもって書くことができたとしても、小説的因果の帰結としてドヴィリエやルビンスキーは死なねばならなかったことは確実です。 一方オーベルシュタインはどうか? これは小説の展開の問題というより、田中氏の思想の問題のような気がするのですね。 田中氏はオーベルシュタインというキャラクターについて、その役割を大久保利通やKGB初代長官ジェルジンスキーに擬して、歴史上必要になることもあるといいつつも、「『国家にとって必要悪』と言ってしまえるほど僕は国家というものを信じていない」と述べています。(徳間デュアル文庫版、「回天編・下」巻末インタビュー) つまり本質的に田中氏はオーベルシュタインという人物の政治的な役割をあまり認めていない、というより好きになれないのでしょう。(キャラクターとして、ではなく) ところが、もしラインハルトの死後、オーベルシュタインが生き残ったとすると、下手をすると「銀河英雄伝説」という小説の最後の勝者はオーベルシュタインであった、ということになりかねない。 容易に予想できる展開として彼は術数を用いて皇后の政治的影響力を排除、幼帝を利用してより効率的で、公平無私で、冷酷非情な帝国を築き上げるでしょう。 バーラト星系自治政府は討伐されるか内部崩壊に導かれるか…もともと皇帝の義侠心と自尊心によってのみその存立が許されているような脆弱な政府ですから、オーベルシュタイン主導の帝国にとってその崩壊は容易いことでしょう。 かくて宇宙ははた迷惑な英雄たちのくびきから解き放たれ、平和な黄金時代を迎えることとなった…『伝説が終わり、歴史が始まる』(笑)。 まあオーベルシュタインには人望がありませんから、そんな展開にはならず逆に皇帝忠誠派から排除されるという可能性も大きいのですが、ただオーベルシュタインの場合、その政治思想がわりとはっきりしていてわかりやすいためにその後の展開が予想しやすいのですね。 ヒルダの…というよりラインハルトの政治思想というのは結局はっきりしなかったわけですから。 しかし田中氏としてはロマンあふれる天才たちがさんざん戦った挙句勝ち残ったのは「超現実主義」のオーベルシュタインであった、などという帰結は認められないものだったのでしょう。私だって嫌だ(笑)。 というわけで、オーベルシュタインはその活躍の舞台が銀河『英雄』伝説であったために夭折しなくてはならなかった、というところじゃないでしょうか。合掌 |
No. 6948 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
ナヴァロン | 2006/07/01 18:13 |
初めての投稿になります。 > 『オーベルシュタインはなぜ死なねばならなかったか』 > これは小説の展開の問題というより、田中氏の思想の問題のような気がするのですね。 思想性もあるかもしれませんが、あの状況でオーベルシュタインが存命していると新生銀河帝国が崩壊しちゃいそうなのが読者に容易に想像できてしまっうからじゃないでしょうか。 > 容易に予想できる展開として彼は術数を用いて皇后の政治的影響力を排除、幼帝を利用してより効率的で、公平無私で、冷酷非情な帝国を築き上げるでしょう。 > まあオーベルシュタインには人望がありませんから、そんな展開にはならず逆に皇帝忠誠派から排除されるという可能性も大きいのですが、 人望のないオーベルシュタインが幼帝を盾に専横を極めたら、間違い無く諸侯が反乱起こすと思います。そして再び動乱の時代に (笑) もともとラインハルト軍団はトップのカリスマで維持されていた集団ですから、ラインハルトが死んだらバラバラになりそうなことはバーミリオン海戦でのヤン構想からも明らかです。その後、子供が生まれはしましたが、能力主義で成り上がってきたメンバーなので息子が無能だったらどうなることか…。 ヴォルフが宰相になったラストは、秀吉死後に前田利家政権になったような状況ですかね。利家の場合は秀吉の後を追うようにすぐ亡くなり、家康が成り代わった訳ですけど。ロイエンタールを殺したのは、そういう展開を予想させたくなかったからなのかな。 > しかし田中氏としてはロマンあふれる天才たちがさんざん戦った挙句勝ち残ったのは「超現実主義」のオーベルシュタインであった、などという帰結は認められないものだったのでしょう。私だって嫌だ(笑)。 三国志の勝利者は司馬懿、源平は頼朝(北条氏か ?)、戦国時代も秀忠が勝利者ですからねぇ(家康は大坂の陣後、すぐ没)。現実にロマンがない分、創作物はロマン重視で構わないかと。 |
No. 6950 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
S.K | 2006/07/02 14:34 |
> > 『オーベルシュタインはなぜ死なねばならなかったか』 > > これは小説の展開の問題というより、田中氏の思想の問題のような気がするのですね。 > > 思想性もあるかもしれませんが、あの状況でオーベルシュタインが存命していると新生銀河帝国が崩壊しちゃいそうなのが読者に容易に想像できてしまっうからじゃないでしょうか。 キャラクター描写の側面もあるのではと思いますね。 他人がどう思っていようと当人的にはラインハルトの部下である事で 人生をやりつくしたと考えたとか。 『公の人』である事は疑いないでしょうがゴールデンバウム王朝が憎い と断言したりフェルナー相手にミッターマイヤーの高潔さを評価してみ せたり『私』が絶無な人間でもなかったでしょうから。 > しかし田中氏としてはロマンあふれる天才たちがさんざん戦った挙句勝ち残ったのは「超現実主義」のオーベルシュタインであった、などという帰結は認められないものだったのでしょう。私だって嫌だ(笑)。 ファンも多いんですけどねえ参謀長閣下(笑)。 |
No. 6961 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
不沈戦艦 | 2006/07/17 21:56 |
> キャラクター描写の側面もあるのではと思いますね。 > 他人がどう思っていようと当人的にはラインハルトの部下である事で > 人生をやりつくしたと考えたとか。 > 『公の人』である事は疑いないでしょうがゴールデンバウム王朝が憎い > と断言したりフェルナー相手にミッターマイヤーの高潔さを評価してみ > せたり『私』が絶無な人間でもなかったでしょうから。 「オーベルシュタイン生き残り」で「新銀河帝国崩壊」って、どんなシチュエーションになるんですかね?人望がないということで生き残った重臣全員に反対派に回られてしまい、自分が理想とする政策が行えないような状況になってしまった場合、オーベルシュタインならあっさり見切りをつけて引退してしまうのではないかと。オーベルシュタインの人生を賭けた目的は「ゴールデンバウム王朝の滅亡」であって、「新帝国の建設」ではないですからね。 > > しかし田中氏としてはロマンあふれる天才たちがさんざん戦った挙句勝ち残ったのは「超現実主義」のオーベルシュタインであった、などという帰結は認められないものだったのでしょう。私だって嫌だ(笑)。 > > ファンも多いんですけどねえ参謀長閣下(笑)。 「作者が嫌っている」っつーだけですか。それもあまりに気の毒な気が。 |
No. 6966 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
四誌 | 2006/07/29 22:39 |
オーベルシュタインの死の必然性について結構議論されてますね。劇中オーベルシュタインが言ったように「光には影がしたがう」、彼の存在はラインハルトのアンチテーゼだと思うのです。ラインハルトの行動はドラマスティックですが、多数の人間を死地に追い込んでいる事実に変わりはありません。オーベルシュタインの言動はラインハルトの言動のツッコミであったのだと。作者の注釈でもあったとおもいます。別の角度で見るとこうなるのだと。その意味で光が消えれば影は無くなるのは自然だと思います。
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No. 6967 | |
Re:オーベルシュタインの最後について | |
S.K | 2006/07/30 03:54 |
> 彼の存在はラインハルトのアンチテーゼだと思うのです。 「アンチテーゼ」と言うよりは「現実性」だと思います。 >ラインハルトの行動はドラマスティックですが、多数の人間を死地に追い込んでいる事実に変わりはありません。オーベルシュタインの言動はラインハルトの言動のツッコミであったのだと。作者の注釈でもあったとおもいます。別の角度で見るとこうなるのだと。 ラインハルトに知らなかったと言わせない事で、ラインハルトを無責任 と断罪される事から救っている側面もあるでしょう。 |
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