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反銀英伝・人物評論編
2−B

ラインハルトの政治的評価(2)


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No. 611
政治家ラインハルト
Terry 2001/08/27 22:13
 前々から思ってたんですけど、ラインハルトって政治の天才なんでしょうか?一般的な常識というか感覚というか、著しく欠如した人だと思うし、子供のころから敵をつくりまくる人で、性格自体はそのまんまで大人になったわけで、そんな人が天才政治家になれるものなんでしょうか。
 どなたかご教示ください。


No. 612
Re:政治家ラインハルト
優馬 2001/08/28 00:01
優馬です。

>  前々から思ってたんですけど、ラインハルトって政治の天才なんでしょうか?

うんうん、鋭いご指摘。
「戦争の天才」というのは、「物語上のお約束」なので疑わないとしても、「政治の天才」とはいえないでしょうね。
銀英伝テキストにも「政治の天才」とは書いてなかったような気がするのですが。(<このへん、年のせいで記憶がアイマイ)

>一般的な常識というか感覚というか、著しく欠如した人だと思うし、
>子供のころから敵をつくりまくる人で、性格自体はそのまんまで大人
>になったわけで、そんな人が天才政治家になれるものなんでしょう
>か。

あっはっは、いやほんと、おっしゃるとおりですね。
貴族連合軍にしても同盟にしても、彼の「敵」というと自分で勝手に自壊したようなものだし。ラインハルトが政治家としての力量を問われるようなシビアな状況というのはなかったような気がします。そのへんの市役所の市長さんの方が、よっぽどシビアな状況で政治していますよ。

前にも書きましたが、「葛藤」を回避するのが田中芳樹キャラの特性なので、真に葛藤的な政治状況というのは描かれていないようです。相手が自壊するか天才軍師が解決してくれるかで、主人公は本気で悩む必要がない。<このへんが、本質的にジョブナイルなところです。(それが悪いとはいいませんが。)

ところで、Terryさんは徳間のデュアル文庫で銀英伝を読まれたのでしょうか。あの文庫には、梶尾真治の「おもいでエマノン」「さすらいエマノン」が入っていて、これはお勧めなんですよ〜。(「叙情SF」の最高峰の一つだと思います。)


No. 614
Re:政治家ラインハルト
2001/08/28 01:02
> >  前々から思ってたんですけど、ラインハルトって政治の天才なんでしょうか?
>
> うんうん、鋭いご指摘。
> 「戦争の天才」というのは、「物語上のお約束」なので疑わないとしても、「政治の天才」とはいえないでしょうね。
> 銀英伝テキストにも「政治の天才」とは書いてなかったような気がするのですが。(<このへん、年のせいで記憶がアイマイ)


久しぶり書きます、槍です。

帝国内の全てのネットワークなどを統括したりかなりの権限を与えられる新設の工部省(記憶が曖昧です)にいい意味での野心家シルバーヴェルヒをトップに抜擢したり、彼に新帝都をフェザーンに建設するように命じたりしてトップに必要な人材を見抜き適材適所を行う能力がありました。
また、将来は工部省は縮小し、権限の大部分を民間に委託すべきだという、将来起こるであろう大省庁の権限によって引き起こされる社会弊害を懸念するような事を言っています。

こんな感じで、優馬さんの指摘とは違うかもしれませんがラインハルトが優れた内政家である事は事実だと思います。


No. 616
Re:政治家ラインハルト
Terry 2001/08/28 02:39
> こんな感じで、優馬さんの指摘とは違うかもしれませんがラインハルトが優れた内政家である事は事実だと思います。

 優馬さん、槍さんありがとうございます。

 アニメ化(パイロット版)の頃に読み始めたんで、正確にはおぼえてないのですが、統治には公平な税制(と何か‥忘れちゃいましたが)があればよい、それを知るところがラインハルトの天才の証、みたいな記述があったと思うのですよ。で、人材登用とかも的確であった、と。で、思うのは、そういうのって、原理というか原則というか、そんなものですよね。でも、例えば自動車の構造を知っているからといって、必ずしも巧く運転できるわけではないと思うのですよ。知らないよりは知っていた方がいいだろうけど。で、本編の場合でいうと、公平な税制が大事。それはいいのですが、現実問題として何が公平なのかって難問なわけです。直接税と間接税の比率とか、累進課税にするのか、するとしてどの程度の累進にするとか。もちろん、そんな細かいことは部下に任せるのかもしれないけど、任せっきりというのもラインハルトっぽくないような気もするし。

 どうなんだろう? と思ったわけです。


No. 617
Re:政治家ラインハルト
堅忍不抜 2001/08/28 06:24
> > こんな感じで、優馬さんの指摘とは違うかもしれませんがラインハルトが優れた内政家である事は事実だと思います。
>
>  優馬さん、槍さんありがとうございます。
>
>  アニメ化(パイロット版)の頃に読み始めたんで、正確にはおぼえてないのですが、統治には公平な税制(と何か‥忘れちゃいましたが)があればよい、それを知るところがラインハルトの天才の証、みたいな記述があったと思うのですよ。で、人材登用とかも的確であった、と。で、思うのは、そういうのって、原理というか原則というか、そんなものですよね。でも、例えば自動車の構造を知っているからといって、必ずしも巧く運転できるわけではないと思うのですよ。知らないよりは知っていた方がいいだろうけど。で、本編の場合でいうと、公平な税制が大事。それはいいのですが、現実問題として何が公平なのかって難問なわけです。直接税と間接税の比率とか、累進課税にするのか、するとしてどの程度の累進にするとか。もちろん、そんな細かいことは部下に任せるのかもしれないけど、任せっきりというのもラインハルトっぽくないような気もするし。
>
>  どうなんだろう? と思ったわけです。

そんなあなたに、バーミリオン会戦の時のラインハルトの台詞を
「なんのために中級指揮官がいるのか。各自で判断せよ」
みたいなことを言ってたような。うろ覚えスマ(^^;
天才かどうかはしらんが、あの時代随一の政治家なのは、確かでしょう。


No. 621
Re:政治家ラインハルト
倉本 2001/08/29 12:28
政治には内政と外交の二つの要素があるわけです。
ラインハルトは内政家としては優秀でも外交の方は優秀とはいえないと思います。
ただそのぼろが出る前に外交の相手がいなくなったから問題がなかっただけでしょう。
あの妥協しない性格は外交では問題を起こすだけだと思いますよ。
行政改革では妥協しないことはプラスでしょうけど。
妥協しないことが外交でどんな問題を起こすかはこの間の靖国問題を見てもわかると思います。
まあ日本政府はすぐに妥協しすぎなんですけど。


No. 622
Re:政治家ラインハルト
太郎 2001/08/29 20:52
久しぶりにこちらに書き込むのに、ちょっと全体的な考えがまとまっていないので、一行レスみたいな形になって申し訳ないのですが、

> 政治には内政と外交の二つの要素があるわけです。
> ラインハルトは内政家としては優秀でも外交の方は優秀とはいえないと思います。
> ただそのぼろが出る前に外交の相手がいなくなったから問題がなかっただけでしょう。
> あの妥協しない性格は外交では問題を起こすだけだと思いますよ。

これはどうでしょう?外交の目的によっても違ってくるのではないでしょうか。
つまり、現実の世界のようにいくつも勢力がある中で戦争をできるだけ避け自国の勢力を拡大していくということを外交の目的としていれば倉本さんのおっしゃるとおりですが、ラインハルトはそもそもそんなことを考えていないのでは?


No. 623
Re:政治家ラインハルト
Merkatz 2001/08/29 21:51
うーん、政治家として優秀というのはちょっと違うような?
例えば漢の劉邦は、政治をショウカに任せましたが、
これは劉邦が政治家として優れていたことにはなりませんよね。
人を見抜く目という英雄としての器量があったという話で、
彼自身に政治家としての才があったからショウカを見抜いたわけではない。
同様にラインハルトは誰がどこの役職に適役かを見抜く器量はありましたが、
実際に彼が大政治家といえるほど実務能力に長けていたかどうか。
政治の本質を公平な税制と司法だと捉えていたといいますが、
実際に法整備その他をやったのは、リヒターとブラッケです。
軍事と同様に政治家としても非凡だったというのは、
ちょっと違う気がします。


No. 624
Re:政治家ラインハルト
優馬 2001/08/29 22:57
優馬です。

実は、ラインハルトの「素」の性格=シスコン(純粋、非妥協的、未熟)と、「名政治家」に必要な資質(老練、人間理解)、というのがマッチせずに違和感があるんですよ。

作品世界の中では、そりゃ「銀河英雄」ですから、やることなすことうまくいくわけで・・・。そのへんの作劇上のご都合主義を除くと、けっこう矛盾したキャラではないかと思う次第。


No. 625
Re:政治家ラインハルト
太郎 2001/08/30 00:35
政治家としてのラインハルトを語る上で一番問題になるのは優馬さんも仰られてたとおり

> ラインハルトが政治家としての力量を問われるようなシビアな状況というのはなかったような気がします。

に尽きると思うんですよ。
要は相反する複数の命題をうまく凌ぎきったというのがないんですよね。ですから政治的に無能だったとは決して思いませんが、かなり未知数な部分が多くて、なかなか判断は難しいと思うのです。

ただ政治も軍事と同様に結局は結果が全てということで言えば、ラインハルトはそのときに必要な政治課題をきちんとこなしています(旧弊を改め、新しいグランド・デザインを示しそれに必要な人材を配置している)ので、名政治家と言っても差し支えないんではないかなと思います。


No. 628
Re:政治家ラインハルト
クロイツェル 2001/08/30 02:15
 当時の帝国は、数世紀にわたる貴族社会の台頭の結果、ほぼ最悪の腐敗ぶりを示していましたよね。と、すると、例え凡庸な政治家であっても、普通に仕事をすれば十分に成果を出せる状況にあったとも言えます。そう言う意味では、ラインハルトはやることをやったというだけで、必ずしも名政治家とは言えないかもしれませんね。
 まあ、彼に外交センスがあったのは間違い無さそうですが。ただ、彼の場合、センスがあってもそれを稚気が打ち消しちゃってますからねえ。「対等な交渉相手」がいた場合、さぞかし周囲ははらはらすることでしょう(笑)。


No. 632
Re:政治家ラインハルト
2001/08/30 03:27
ちょっと思ったのですが、名政治家の定理っていったい何のでしょう?
私は取りあえず大雑把に考えて、後世に対して良い結果残した政治家だと思っています。
そう考えるとラインハルトは一流の政治家だと思うのですが。

またそれはやって当たり前と言う意見がありますが、その当たり前の事を行う事こそが非常に難しいのでは?

また、政治漫画『加治隆介の議』によると政治家の仕事は
『国内の平和』 『経済の安定の確保』 『国際社会の安全』
だそうです。
少なくともこの三つにおいて高水準の結果(あえてプロセスを無視しました)を出したラインハルト名政治家と言って良いのは。


No. 637
Re:政治家ラインハルト
S.Inoue 2001/08/30 23:51
> 実は、ラインハルトの「素」の性格=シスコン(純粋、非妥協的、未熟)と、「名政治家」に必要な資質(老練、人間理解)、というのがマッチせずに違和感があるんですよ。

実は軍人時代に兵長で終わった(という説があるがどうなんだ?)アドルフ・ヒトラーは経済政策で実は成功しました。
彼がドイツの総統を続けることができたのは凄い軍人だからじゃなかったのです。
(死ぬちょっと前は性格が壊れたようですが、ここでは彼が絶好調だった時の話をします。)
性格についてはトラップ一家物語を読む限り、彼は上品とはいえませんでした。
実は彼はシャハトという経済政策の天才に思う存分好き勝手をやらせたからです。
だから、名政治家は本人の性格が壊れていても凄い閣僚を揃えることができればそれでいいのです。
(人を見る目と人望が必要ですが。)
仮に銀英伝の外伝がちゃんと出るならば、経済政策関連の地味な話を読んでみたいなあ。


No. 638
Re:政治家ラインハルト
倉本 2001/08/31 08:36
> 実は軍人時代に兵長で終わった(という説があるがどうなんだ?)アドルフ・ヒトラーは経済政策で実は成功しました。

ヒットラーの軍隊時代の階級は伍長勤務上等兵でした。
これは旧軍の階級で言うと兵長に当たります。
この階級は上等兵の中から見込みのある奴に伍長の任務を任せるというやつです。
ですから伍長になったといっても間違いではありません。
給料は上等兵のままですが任務は伍長ですので。
ただ旧軍の階級で言えば兵長ですので兵長どまりと言っても間違いではないのです。
ややこしいですね。

> 性格についてはトラップ一家物語を読む限り、彼は上品とはいえませんでした。

あれは反ナチスの人の本でしょう。
そんな本の記述が客観的で当てになるとは思えません。
たぶん実態より酷く書いてると思います。
鵜呑みにするのはまずいのでは。

> 実は彼はシャハトという経済政策の天才に思う存分好き勝手をやらせたからです。
> だから、名政治家は本人の性格が壊れていても凄い閣僚を揃えることができればそれでいいのです。

ヒットラーは経済面ではそうかも知れませんが他の面ではどうです。
政治は経済だけではありません。
外交政策でヒットラーが閣僚に任せきりという話は聞いたことないんですが。
シャハトの話は私も知ってますが。


No. 647
Re:政治家ラインハルト
H2 2001/09/01 21:11
ラインハルト(作者)は裏切り者を嫌っているようですが、
それだと内紛などを期待できないのでは・・・

アルスラーン戦記でそういう状況になって、
アルスラーンはどう言うでしょう?


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