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Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月20日(日) 13時48分
> > バーミリオン星域会戦の功績で大尉に昇進
> > イゼルローン要塞再奪取作戦の功績で少佐に昇進
> > アレクサンドル・ビュコック記念軍事大学入学に伴い中佐に昇進
> > 同大学卒業によって、大佐に昇進
> > 対フェザーン工作に功績をたて、少将に昇進
> > 上層部の政界転出に伴い、中将に昇進、宇宙艦隊総参謀長
> > 帝国再侵攻の危険性上昇に伴い、大将・宇宙艦隊司令長官に抜擢
> > というユリアンの履歴はいかがでしょう?
> についてはどうかと思います。帝国は大乱とそれからの国力の回復、同盟も国力回復にかかりきりで帝国・同盟間の大規模な戦闘もなく、武勲の立てようもないのに38歳で大将は昇進が早すぎると思います。アムリッツアの大敗と、ハイネセンの虐殺で指導層が払底した以上、ヤン・ファミリーによって軍、政府高官が占められるのは当然ですが、それはあくまで緊急避難的な処置でしょう。実戦で能力が測れない以上、高級軍人としての適性が不明なユリアンがこうもスピード出世すれば、同盟市民は「ヤン政権は世襲的な軍事独裁政権になろうとしているのではないか」と疑うに違いありません。それを避けるためにも、ユリアンは異例の武勲を立てなければなりませんが、それはイゼルローン再奪取以外ないのではないか、と思います。
ああ、ユリアンの昇進問題。これはヤンの養子だけに、問題になる可能性も。確かに戦闘がないと昇進が速すぎるかも知れませんね。
では彼は中将で昇進をストップさせ、同盟軍最強部隊である「ヤン」艦隊司令官にしてはどうでしょうか。独立運用可能の権限をヤン艦隊を与えておけば、ユリアン指揮のもと自由な作戦運用が出来ます。
> 付け加えてもう一言。実は拙僧にとってザ・ベストの中で一番インパクトがあったのは「真銀英伝」でした。ですから、ヤン政権の議会内でのライバルとしてはトリューニヒト2世よりも、ムライ提督を推したいと思います。
ワハハハハハハ。いや失礼しました。m(_ _)m
前スレで、私とイッチーさんとソルジャー大佐さんの3人とも、ムライ中将やパトリチェフ少将のその後を考えていなかったですね。
しかし20年後の設定ならば、ムライ中将とメルカッツ提督は確実に引退しているのではないでしょうか。
ところでパトリチェフですが、2通りのパターンを考えてみました。
・アッテンボローが政界に進出していた場合
パトリチェフは、統合作戦本部長に就任。
宇宙艦隊司令長官には、階級・序列から考えてマリノかザーニアルが就任するのでは。
・アッテンボローが軍に残っていた場合
ヤンと共に議員になり、自由紅茶党宣伝部長に就任。
こんなところでしょうか。
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- board4 - No.3132
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月20日(日) 18時12分
八木あつしさま・僧侶Tさま、レスありがとうございます。
3121では個人的なことでレスしてしまいましたが、八木さまにメールでご連絡すればよかったかもしれません。管理人さま、失礼しました。
さて、お二方のレス・設定ともども大変すばらしい出来なのですが、もっとも疑問に思うのは、同盟がイゼルローン要塞を再奪取するのに、帝国が分裂する必要があるのかということです。史実(笑)では、イゼルローン再奪取は割合簡単におこなわれています。たしかに、史実では帝国軍主力がマル・アデッタに力を振り向けていますが、銀英伝1.5部でも、ラインハルトが戦死し、帝国軍が混乱しているうえ、さらにフェザーンで暴動が発生している可能性が高い(トリューニヒトという手ごまを失った地球教がフェザーンの自治権回復をさしあたって目指す可能性が高いうえに同盟も工作するであろう)ので、イゼルローンは手薄となり、ヤンがすきいる余地は大きいと思います。シナリオとしてはこんなところでしょうか。
ラインハルトを失った帝国では今後の方針をめぐって提督たちの小田原評定が続いていた。国政はとりあえず、マリーンドルフ伯を宰相代理に任命して、混乱をおさえているが、フェザーンでは地球教徒を中心とする「自治権回復」を要求する暴動が発生し、人心は動揺していた。ロイエンタールは「今こそ、私が覇権を握って、帝国の動揺を抑えるべきだ」という決意を固めていた。ミッターマイヤーには事前に相談しなかった。ミッターマイヤーは賛成してくれるだろう。ロイエンタールはそう確信していたからだ。しかし、会議でロイエンタールが提案を始めようとしたとき、ミッターマイヤーが口を開いた。「フロイライン・マリーンドルフから提案があるそうだ」ラインハルト戦死の報を聞いて以来、自責の念にかられていたヒルダは帝国再建の方法を必死に考え、ミッターマイヤーに相談していたのだ。ヒルダの提案はジークフリードをカザリン・ケートヘン帝と婚約させ、結婚の際に、カザリン・ケートヘンから帝位を譲り受けさせ、事実上、ゴールデンバウム王朝を乗っ取ると言うものであった。ヒルダの提案が終わった直後、伝令が会議の席に飛び込んでくる。「大変です!イゼルローン要塞が叛乱軍に再び占拠されました!」ビッテンフェルトが立ち上がった。「もはや、我々には会議をおこなう時間など残されていない!フロイライン・マリーンドルフの提案にしたがって収拾をはかるべきだ!」他の提督たちもそれに賛同した。ロイエンタールもしぶしぶ賛同する。「今しばらくは天下を預けておいてやろう。しかし、ジークフリード殿下がその器に値しないときは・・・」
翌日、帝国宰相代理・マリーンドルフ伯がテレビ画面に立ち、帝国国民に対し、新体制の発足を宣言した。カザリン・ケートヘン帝がジークフリード・フォン・グリューネヴァルト伯と婚約したこと。マリーンドルフ伯は宰相代理の地位を返上し、ロイエンタール元帥が新たに宰相職に就くこと。マリーンドルフ伯は国務尚書として、宰相を補佐すること。ヒルダが侍従長に就任し、カザリン・ケートヘンとジークフリードの教育につとめること。
新たに軍務尚書に任命されたミッターマイヤーは「叛乱軍はイゼルローン要塞を再奪取するのが限界で、そこから先に攻め込む力はない。イゼルローン周辺に軍を配置し、牽制すればよい。問題はフェザーンだ」として、フェザーン問題の処理を最優先とした。帝国軍はフェザーンに対し、「自治権を回復させる代わりに帝国軍が派遣した高等弁務官が国政を監視することを認めよ。この条件が満たされない場合、フェザーンを総攻撃する」と通告。フェザーンは申し入れを受け入れた。地球教はフェザーンの自治権回復に成功した。ルビンスキーは帝国軍の侵攻を防げなかったとして、政治的に抹殺された。ボルテックもまた一時フェザーンを裏切ったことで住民の支持を失った。地球教は新たにユーリ・ミハイロフ(仮)を自治領主に据えたが、帝国軍の監視の目は厳しく、思うように工作がすすめられなかった。地球教は帝国との新たな戦争に備え、自らの軍備を整えはじめた。
同盟ではヤン艦隊の支持のもとにジョアン・レベロを議長、ホワン・ルイを国防委員長とする新体制が発足していた。統合作戦本部長ヤン・ウェンリーの指示のもとにおこなわれたイゼルローン要塞再奪取作戦は成功し、シェーンコップが要塞司令官となった。また、この作戦で働き振りを認められたメルカッツも正式に同盟の市民権が与えられ、駐留艦隊司令官となった。ユリアンもまた要塞再奪取作戦で功績をあげ、大尉に昇進した。フレデリカにあこがれていたユリアンは彼女への思いを断ち切るためにイゼルローンに残ることを決め、シェーンコップの副官となった。その後、ユリアンはシェーンコップの娘、カリンと出会い、恋におち、結婚する。
カリンと家庭を築きはじめたユリアンに対し、国防委員会諜報部勤務の辞令がくだる。バーミリオン以後、地球教がトリューニヒトに協力していたため、地球教は同盟政府の監視対象となっていた。フェザーンから同盟に帰国する際、デグズビイより部分的な情報を与えられていたユリアンは、同盟政府よりその経験を買われ、地球教調査を依頼されたのだ。バグダッシュ部長のもと、地球教がラインハルトの覇権に協力し、同盟転覆をねらっていたことをつきとめたユリアンはその功績が認められ、少佐に昇進する。地球教は同盟国内で結社禁止となった。さらに、民間人に変装して、フェザーンに潜入したユリアンは地球教とフェザーンの関係を示す証拠を持ち帰った。バーミリオン以来、フェザーンに対して、債務の支払いを停止していた同盟政府は「同盟の転覆をはかる団体とつながりのある政府に払う金などない」として、債務の破棄を一方的に通告、ユリアンに対しては、中佐への昇進でその労をねぎらった。その後、ユリアンは「自分はスパイをやりたかったわけではない」として、艦隊勤務を希望。宇宙海賊討伐に功績をあげ、大佐・少将へと昇進した。
一方、帝国政府内では「同盟が債務支払いを逃れるための言い逃れ」として、ユリアンの報告を信じないものが多数存在し、地球教は監視されながらも、国内での布教が許されていた。しかし、地球教からの独立をはかるミハイロフ自治領主を暗殺したことから、足がつき、地球教の陰謀が明らかとなった。内務省尚書から報告を受けたロイエンタールは「ジークフリード陛下の器を試す機会が来た」として、皇帝に即位したばかりのジークフリードに言上した。ジークフリードの決断は早かった。「国内における地球教の布教を禁止し、信者をただちに捕縛せよ。地球に対してはハインリッヒ・ミッターマイヤー上級大将を司令官とする討伐軍を派遣する。また、フェザーンの自治権を剥奪する。余自ら軍を率い、フェザーンを攻略する。フェザーンをおさえ、地球教を壊滅せしめたのちは勢いにのって叛乱軍どもを血祭りにあげようぞ!」熱狂して「皇帝ジークフリード陛下万歳!」を叫ぶ兵士たち。「ふふふ。新帝のお手並み拝見といこうか」ロイエンタールはなにやらたくらみながらほくそえんだ。そんな盟友をミッターマイヤーは不安そうに眺めていた。
一方、同盟ではユリアンがアッテンボロー統合作戦本部長に呼び出されていた。
「ミンツ少将。君を中将に昇進させ、光栄ある第13艦隊司令官に任命する。この意味がわかるか?」
「年下にもかかわらず、本部長よりも先に結婚した恨みを今、はらそうというわけですか?」
「ふふふ。君もヤン先輩に似て人が悪いな。君が主張していたように、帝国軍がフェザーン進駐を開始した。同盟への再侵攻も近いだろう。君には第1線で働いてもらいたいのだ」
ジークフリード対ユリアン、因縁の対決が今、始まる・・・。
ムライ(62歳)…最高評議会顧問(閣僚待遇)。軍の一線を退いた後は、ヤンの個人的な相談役となり、閣議への出席も許される。「ヤン議長は内心では自らの神格化を喜んでおられるのではないか?」などと辛らつな発言多し。自らを政権内の野党役と心得ている。
パトリチェフ(58歳)…宇宙艦隊司令長官。豪放磊落な性格でユリアンに対してはほぼ自由に行動する権利を与えている。ヤンのあとを追って、政界に転じようとしたが、「あんま、一度にたくさん、やめるのもどうかなー」というヤンの一言でやめた。(笑)
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- board4 - No.3133
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:僧侶T
- 2002年10月21日(月) 03時46分
どうも、僧侶Tです。イッチーさんにばかり反論するのもどうかと思いますが、これはしなければならないだろうと思いますので反論します。
> さて、お二方のレス・設定ともども大変すばらしい出来なのですが、もっとも疑問に思うのは、同盟がイゼルローン要塞を再奪取するのに、帝国が分裂する必要があるのかということです
拙僧が銀英伝第1,5部を提案した最大の理由は、「銀英伝第1部」終了時の帝国と同盟との国力差が大きすぎるというものです。確かにそれによって同盟のイゼルローン再奪取が容易になりますが、それはあくまでおまけ。最大の眼目は帝国の国力の低下です。いくらヤン政権の元同盟の国力が回復しても、あの差は埋まりそうにありません。何よりも同盟の正規艦隊がほとんど壊滅しているのが痛すぎます。そのために、大乱で帝国が分裂し、その国力が低下することが、銀英伝第2部の不可欠の前提条件になるはずだと考えました。何よりも、当時(?)の帝国はラインハルトの死によってその権威を大いに低下させ、分裂の兆候におびえていますが、その実力はいまだ同盟や地球教を圧倒しています。下手にイゼルローンを再奪取して一致団結され、即再進攻などということになれば目も当てられません。いまだ「実力者」に過ぎなかったラインハルトの、しかも傍系の幼児が権力を引き継げるのか、という不安定要素があるのですから、素直に帝国の内乱のドサクサ紛れにイゼルローンを再奪取したほうがいいと思います。
ただここまで書いていてがつきましたが、同盟のイゼルローン再奪取に対する責任のなすりあいが帝国大乱の原因とするてもあるかもしれません。
> ムライ(62歳)…最高評議会顧問(閣僚待遇)。軍の一線を退いた後は、ヤンの個人的な相談役となり、閣議への出席も許される。「ヤン議長は内心では自らの神格化を喜んでおられるのではないか?」などと辛らつな発言多し。自らを政権内の野党役と心得ている。
> パトリチェフ(58歳)…宇宙艦隊司令長官。豪放磊落な性格でユリアンに対してはほぼ自由に行動する権利を与えている。ヤンのあとを追って、政界に転じようとしたが、「あんま、一度にたくさん、やめるのもどうかなー」というヤンの一言でやめた。(笑)
実は銀英伝で拙僧が一番好きなキャラはムライ提督だったので、前スレでムライのその後の話がなかったことがかなり残念でした。
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- board4 - No.3134
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月21日(月) 09時49分
> 拙僧が銀英伝第1,5部を提案した最大の理由は、「銀英伝第1部」終了時の帝国と同盟との国力差が大きすぎるというものです。確かにそれによって同盟のイゼルローン再奪取が容易になりますが、それはあくまでおまけ。最大の眼目は帝国の国力の低下です。いくらヤン政権の元同盟の国力が回復しても、あの差は埋まりそうにありません。何よりも同盟の正規艦隊がほとんど壊滅しているのが痛すぎます。そのために、大乱で帝国が分裂し、その国力が低下することが、銀英伝第2部の不可欠の前提条件になるはずだと考えました。何よりも、当時(?)の帝国はラインハルトの死によってその権威を大いに低下させ、分裂の兆候におびえていますが、その実力はいまだ同盟や地球教を圧倒しています。下手にイゼルローンを再奪取して一致団結され、即再進攻などということになれば目も当てられません。いまだ「実力者」に過ぎなかったラインハルトの、しかも傍系の幼児が権力を引き継げるのか、という不安定要素があるのですから、素直に帝国の内乱のドサクサ紛れにイゼルローンを再奪取したほうがいいと思います。
イゼルローンはヤンの奇形ならでは、被害も少なく占領できるのであって、帝国が再侵攻しようと思っても、逆に膨大な被害者が続出するだけでしょう。帝国もそれはわかっているはずですから、イゼルローンをへたに取り戻そうとはしないはず。さらにフェザーンでの暴動を長引かせ、フェザーンの入り口に同盟軍の多くを割いて、封鎖してしまえば、帝国は容易に同盟に再侵攻は出来ないでしょう。帝国国内ではラグナロック作戦の失敗で、民衆の間では厭戦感情が蔓延し、文官たちも「民力休養」を唱えて、戦争の一時中止を申し入れるでしょう。「弔い合戦」というのは軍人の発想であって、文官や民衆は戦争の中止とラインハルトの改革路線の継続を要求するのではないでしょうか。
> ただここまで書いていてがつきましたが、同盟のイゼルローン再奪取に対する責任のなすりあいが帝国大乱の原因とするてもあるかもしれません。
イゼルローン要塞司令官が自決すれば済む話です。ルッツには気の毒ですが・・・。
> 実は銀英伝で拙僧が一番好きなキャラはムライ提督だったので、前スレでムライのその後の話がなかったことがかなり残念でした。
前スレはユリアンから見たその後だったので・・・。
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- board4 - No.3135
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:僧侶T
- 2002年10月22日(火) 04時24分
どうも、僧侶Tです。再びイッチーさんに反論したいと思いますが、その前に拙僧も誤りを認めなければならないようです。拙僧はイゼルローンの早期再奪取は帝国の早期の再侵攻を招くと主張しましたが、確かにその可能性はまずありえません。しかし、それでもやはりヤン政権下の同盟はイゼルローンの早期再奪取はしないと思われます。
「ローエングラム公は独身であり、後継者となるべき男児も姉の子という傍系の、しかも2歳の幼児のジーク2世ただ一人。彼が死ねば、ローエングラム体制が動揺するのは間違いありません。部下たちの忠誠心と団結は求心力の弱まりによって空中分解するでしょう。彼らは誰のために戦うかを問いなおすために帝国へ帰還し、あわよくば後継者の座を巡って激しく対立するでしょう。」こうアイランズ国防委員長に語ったヤン新元帥はその戦略どうりラインハルトを敗死させることに成功したが、その副産物として「ハイネセンの虐殺」が起こり、同盟の指導層が抹殺されてしまう。そこでヤンは自ら国家元首となり、同盟再建という重責を負うことを決意する。
これが「銀英伝第1部」のラストのはずです。ヤンはラインハルトを倒すことで帝国に内乱が起こることを予想し、そのためにこそラインハルトを倒したわけです。しかし、イゼルローン早期再奪取を行えば、帝国はぼろぼろで、実質的にはないも同然の同盟の実力を過大評価し、その結果として帝国は団結してしまうでしょう。これは、ヤンの長期戦略に反することである以上、ヤン政権はイゼルローンの早期再奪取は行わないのではないでしょうか。
- 親記事No.3096スレッドの返信投稿
- board4 - No.3136
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月22日(火) 12時26分
僧侶Tさま、たびたびレスありがとうございます。どうも互いの議論がかみあわないのは認識のズレが原因のようです。
> 「ローエングラム公は独身であり、後継者となるべき男児も姉の子という傍系の、しかも2歳の幼児のジーク2世ただ一人。彼が死ねば、ローエングラム体制が動揺するのは間違いありません。部下たちの忠誠心と団結は求心力の弱まりによって空中分解するでしょう。彼らは誰のために戦うかを問いなおすために帝国へ帰還し、あわよくば後継者の座を巡って激しく対立するでしょう。」こうアイランズ国防委員長に語ったヤン新元帥はその戦略どうりラインハルトを敗死させることに成功したが、その副産物として「ハイネセンの虐殺」が起こり、同盟の指導層が抹殺されてしまう。そこでヤンは自ら国家元首となり、同盟再建という重責を負うことを決意する。
> これが「銀英伝第1部」のラストのはずです。ヤンはラインハルトを倒すことで帝国に内乱が起こることを予想し、そのためにこそラインハルトを倒したわけです。しかし、イゼルローン早期再奪取を行えば、帝国はぼろぼろで、実質的にはないも同然の同盟の実力を過大評価し、その結果として帝国は団結してしまうでしょう。これは、ヤンの長期戦略に反することである以上、ヤン政権はイゼルローンの早期再奪取は行わないのではないでしょうか。
私はバーミリオンでヤンがラインハルトを殺すことをためらったのは、ラインハルトが死んだ場合、帝国が分裂し、帝国人民が塗炭の苦しみを味わうという懸念があったと思っています。同盟市民と帝国市民をイコールで結び、どちらかが生き残るためにはどちらかが苦しみを負うのはやむをえないという考え方が出来なかったところがヤンの限界だったでしょう。ですから、無条件停戦命令が出たとき、これ幸いと攻撃を中止したのではないでしょうか。
しかし、幼児とはいえ、ラインハルトに後継者がいた場合、「帝国はジークフリードを後継者に据えざるを得ないであろう。しかし、新体制の確立に時間がかかる。その間、帝国と同盟に休戦状態が成立する」とヤンは考え、攻撃命令をくだすと思います。ハイネセン虐殺は当時の政権の閣僚と軍の高官に限定するくらいの配慮を帝国軍は持ち合わせているでしょう。ですから、野にくだっていたレベロやルイは被害を免れ、ヤン艦隊によって国家元首に祭り上げられると思います。しかし、議長職には任期があるでしょうから、レベロやルイだけでは20年はもたず、ヤンが担ぎあげられると思ったのです。フェザーンが帝国の支配下に組み入れられることで、同盟はフェザーンの債務を踏み倒すことが出来る上、フェザーン資本の企業なども同盟政府に回収することが出来、経済は再建に向かうでしょう。ただし、帝国との国力差は開いたままでしょうが、帝国軍はイゼルローン方面からは侵入できないでしょうから、フェザーン方面に同盟は軍のほとんどを配置し、決戦を挑みます。兵力の差はユリアンの知力で補います。バーミリオンや連戦も同じような構図でしたし、問題はないのでは。ダゴン星域会戦のときは帝国と同盟の国力はもっと開いていたのだし・・・。
>
- 親記事No.3089スレッドの返信投稿
- board4 - No.3137
Re:初めて書き込みします。
- 投稿者:黒神
- 2002年10月22日(火) 14時14分
> 以前からこちらの存在は知っており、コンテンツをいくつかは拝見させていただいてたんですが、その段階で田中芳樹という人物は、私にとって過去の人物だったんで、見るだけの状態でした。
> しかし、現在読んでいる翻訳小説に、ひょっこり彼の名前が出てきたんです。
> その小説は、
> ハヤカワ文庫、時の車輪シリーズの第二部第一巻「聖竜戦記1 闇の予言」ロバート・ジョーダン作 斉藤伯好訳
> です。
> 目次では、彼は解説ということになっております。
> しかし、そのタイトルというか前口上は、
>
> 竜とドラゴン、東と西。
>
> まったく、何かを思い出さざるを得ない言葉の羅列です。
> 正直、この小説「竜王」という単語は出て来るんですが、実は誤訳なのではと思うぐらい、竜の概念が出てきません。(私が読んでいるここまでの巻数では)
> ですから、この段階でこういう解説を繰り広げるのは、きっぱりと見当外れだと思われ、私も呆然と読んでおりました。
> 冒頭の自慢話もいつものことで、それぐらいならこちらに書き込みさせていただこうとは思わなかったのですが、ある部分に来て吐きそうになるほど気分が悪くなりました。
> 引用します。
>
> ドラゴンは翼の生えた竜の一種にすぎないのかもしれない。ヨーロッパがアジアの半島でしかないように。
>
> 彼はどういう人ですか?
> 私自身、決して公正でもなく、はっきりと偏見持ちの人間ですが、とてもこの意見には同意できません。
> コンテンツを見させていただくと、彼は間違いなくそういう主義の人間らしいとは思うのですが、これは文が短いだけにダイレクトに吐き気を催させます。
> 今まで、何となく危ないかなぁ、と感じていましたが、はっきりわかりました。本気で危ないです、彼。
>
> あと、ついでにもう一つ。
> 私、五年ほど前に代々木アニメーション学院ジュニアノベルズ科(現在はエンターテイメントノベルズ科という名称に変わっているようですが)というところに通っておりました。
> その時、田中芳樹氏の関係者と思われるライトスタッフのどなたかが一度だけ特別講師にやってきたんですが、彼の第一声はこうでした。
> 「皆さん! 田中芳樹の納税額は去年一億を超えました!」
> 開いた口がふさがりませんでした。
> そういう学科にいたわけですから、私も印税生活を考えていないとはいいません。しかし、第一声ではいいません。
> もちろん田中氏の発言ではないわけですが、彼の近くにいる人がこの調子では、本人も……と考えてしまっても仕方がないのではないでしょうか。
> 幸いにして、つい最近私も自分の本を出版することができましたが、こういう作家にだけはならないように注意していきたいと思っております。
>
> いきなりの長文、失礼しました。
> それでは。
人間は豊かになればなるほど堕落していくものです。歴史がそして某先生も証明しておられます。
初心を忘れず頑張っていってください。あなたに明るい人生が待っておりますように。
-
- board4 - No.3138
今更な話題ですが
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月23日(水) 15時33分
今日、本屋に行きました。
すると文庫コーナーに徳間デュアル文庫版・銀河英雄伝説外伝4の上巻が平積みになって置かれていました。
そこで私はあの間違いは直っているのかな、と思い手に取りページをめくりました。
間違いとは何か。
ヤンは民間人を無事エル・ファシルより脱出させた武勲として、大尉・少佐への時間差昇進をしました。
しかし、なぜか新書版の本編1巻と外伝4巻では、ヤンが昇進の辞令を受けた時刻が違っているのです。まぁ田中氏も外伝4の執筆を行ったとき、今更本編を読み返すこともしないだろうから、1巻でヤンの昇進辞令の時刻を書いたことを忘れていたんでしょう。(多分)
新書版10巻の後書きで田中氏は、文庫化するときは新書での間違いを修正すると言っていました。当然本編以降に出た外伝も、それは含まれているはずです。
さて直っているのかどうか!
結局、徳間デュアル文庫版銀英伝においても、相変わらず本編1巻(上)と外伝4巻(上)に記述された、ヤンの昇進辞令の時刻は違ったままでした。
これは故意なのか、それとも間違いに気付かなかったのか? 一体どちらなんでしょう。
- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3139
それよりも
- 投稿者:佐々木公彦
- 2002年10月23日(水) 16時33分
間違いといえば、アンネローゼの初めての恒星間移動がハイネセンからフェザーンだったミスは文庫化で直したのでしょうか。
気になるな。
- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3141
そこの部分は見ていません
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月23日(水) 17時35分
> 間違いといえば、アンネローゼの初めての恒星間移動がハイネセンからフェザーンだったミスは文庫化で直したのでしょうか。
> 気になるな。
そんな誤植もありましたね。私はそこのところは未確認です。
ちなみに私がもう一つ確認しているのが、銀河帝国軍のアントン・フェルナーの階級です。
フェルナーは、新書版の第6巻第4章において階級が少将なのに、第5章になるとなぜか准将。第7巻第3章でまた少将に復帰したものの第8巻第8章においてまたも准将に逆戻り。最後の第10巻第3章では3度目の少将となり、第4・5章は何とか?少将でした。その結果、フェルナーの銀英伝完結時の最終階級は少将となっています。
間違いはもちろん、フェルナーの意味不明な昇格と降格です。いかにオーベルシュタインといえども、こんな階級人事はしないでしょう。
結局、文庫版の第6巻第4章でフェルナーは准将として登場し、最後の登場場面である文庫版第10巻第5章まで、その階級が准将に固定される形でミスが修正されていました。
フェルナーは昇進を止められた、ある意味可哀想なキャラクターになってしまいました。それなりに活躍しているのに。
私としては、第10巻の時点では、さすがに少将にするべきだと思いましたね。田中氏はその辺をどのように考えて決めたのだろう?
-
- board4 - No.3142
CLAMP版創竜伝ゴールデンで放送決定
- 投稿者:名無しさん
- 2002年10月24日(木) 06時39分
ttp://ex.2ch.net/test/read.cgi/news/1035434485/
【月曜19時】田中芳樹・創竜伝【新番組】
1 :番組の途中ですが名無しです :02/10/24 13:41 ID:/wxPvOEn
ソースは少女漫画板CLAMPスレ
3月で犬夜叉が終わり、講談社ノベルズ・文庫の作家田中芳樹
「創竜伝」がはじまるらしい。
絵はノベルズのFFの人のじゃなくて、文庫版のCLAMPの
絵柄らしい。
過去にレイアースが放送されていた時間帯で、サンデタイム
またも崩れる。
未完結作品をアニメ化とはなぁ・・・。
- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3143
Re:そこの部分は見ていません
- 投稿者:Ken
- 2002年10月24日(木) 13時26分
八木あつしさん、佐々木公彦さん、
アニメの方にもいくつかありますよ。「原作と合わない部分」ではなく、アニメ銀英伝の中だけで、矛盾している部分です。
(その1)キルヒアイスの生年
第103話「コズミック・モザイク」で、宇宙暦801年、新帝国暦3年3月14日に、ラインハルトが25歳の誕生日を迎えている。従って、彼の生年月日は宇宙暦776年、帝国暦467年3月14日である。そのラインハルトが、第82話「魔術師還らず」で、死んだキルヒアイスに「おれよりたった2ヶ月早く生まれたくせに」と話しかけている。したがってキルヒアイスは帝国暦467年1月生まれのはずである。ところが、第24話「さらば、遠き日」にはキルヒアイスの墓が登場し、「R.C.468-488」と彫られている。
[苦しい解釈]
親友を亡くしたラインハルトは気が動顚しており、キルヒアイスの生年を一年間違えて、墓を作った。
(その2)ルドルフの没年
第74話「ユリアンの旅、人類の旅」の中で、ユリアンの歴史ビデオはルドルフが帝国暦42年に死んだ、と言っている。ところが、第94話「過去と現在と未来と」では、封印を解かれたゴールデンバウム王朝の記録が、ルドルフの死は帝国暦46年だったと、言っている。
[苦しい解釈]
ルドルフの死後、できたばかりの帝国が動揺するのを避けるため、4年の間「喪を秘した。」ひょっとして、影武者がいたかも。
(その3)ヤン・タイロンの没年
第82話「魔術師還らず」で、ヤン・ウェンリーの時間は、宇宙暦800年に「33歳で停止した」ので、彼の生年は宇宙暦767年である。このことは、第66話「査問会」でヤンの経歴が読み上げられた時にも、確認されている。同じ査問会では、ウェンリーの父タイロンは、ウェンリーが16歳の時、事故で死んだと述べられている。よって、タイロンの死は、ウェンリーの783年と784年の誕生日の間に起こったはずである。ところが、第89話「皇帝万歳(ジーク・カイザー)」の中で、ボリス・コーネフが、ヤンと会うのはヤンの父の葬式以来17年ぶりだと言っている。この時点では宇宙暦799年なので、タイロンの葬儀は782年、つまり死の前年か前々年に行われたことになる。
[苦しい解釈]
宇宙商人コーネフは、数百回もワープ飛行をしたであろう。ある時、計算を間違えて次元震に巻き込まれ、時間を一年逆行してしまった。したがって、コーネフの認識では、宇宙暦783年は799年の17年前なのである。
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- board4 - No.3144
銀英伝1.5部または第2部・外伝
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月24日(木) 20時00分
同盟軍の砲列がまさにラインハルトの旗艦「ブリュンヒルト」をとらえた時、ハイネセンから無条件停戦命令がとどいた。一瞬、躊躇するヤン。そのとき、シェーンコップが叫んだ。「帝国人民のことを考えているのですか?ラインハルトには姉の子にして、親友の子であるジークフリートという後継者がいます。まだ幼年ですが、ラインハルト陣営の提督たちは彼を君主にあおがねば、自分たち自身の権力が瓦解することを知っているでしょう。帝国が分裂することはありません。しかし、ここであなたがためらったらどうなる?同盟は崩壊し、民主主義は永遠に失われるのです」ヤンは目をつぶった。ヤンのまぶたに帝国軍によるハイネセン・ポリス攻撃によって生じるであろう阿鼻叫喚の地獄絵図が浮かんだ。「心配することはありません。ロイエンタール提督もミッターマイヤー提督も紳士です。無辜の民衆を巻き込むことはないでしょう」シェーンコップが耳元でささやいた。「一斉攻撃!」ヤンはうめくように命令した。ここで自分がひけば、自分のために命を投げ出した将兵に申し訳がたたない・・・そう言い聞かせた。ビュコックとチェンの横顔が目の前に浮かんだような気がした・・・。
「なに?ヤン・ウェンリーが無条件停戦命令を無視!?ローエングラム候が戦死!?」バーミリオンからもたらされた報にロイエンタールとミッターマイヤーは驚愕した。ヒルダはその場で気を失ってしまった。「おのれ!叛乱軍め許せぬ!」ミッターマイヤーは叫んだ。しかし、ロイエンタールはそんな僚友を慰めるように言った。「やめろ。ミッターマイヤー。無辜の市民を血祭りにあげても、帝国軍の名に傷がつくだけだ。責任は政府と軍部の幹部にとってもらえばよかろう」ロイエンタールはトリューニヒト政権の閣僚とドーソン、ビュコック、チェンの逮捕を命じ、即日銃殺した。アイランズ、ビュコック、チェンの死に様は堂々たるものであったと伝えられている。ロイエンタールは市民の虐殺の禁止を部下に命じたが、一部の部隊がローエングラム候死亡の報に激昂して、無差別殺戮をおこなうのを止めることは出来なかった。帝国軍がハイネセンから撤退するまでの間、その犠牲者は200万人に達すると言われている。それはハイネセンの人口のわずか0.2%に過ぎなかったのだけれど・・・。
前財政委員長レベロ、前人的資源委員長のルイは野に下って、地方に疎開しており、難を逃れた。ハイネセンに帰還したヤン艦隊は彼らを擁立して、同盟の再建をはかった。レベロ政権は2期8年、ルイ政権もまた2期8年続いたが、ルイの後継者にレベロとルイはヤンを推薦した。ヤンは固辞したが、「ジークフリードの戴冠が迫る中で対帝国戦に備える政権が必要だ」という声に抗し得ず、やむなくヤンはエル・ファシル選挙区から出馬して、代議員となった。同盟議会は圧倒的多数でヤンを最高評議会議長に選出した。
そして、宇宙暦815年。ヤン政権下での初の戦没者追悼式典の日、ヤン議長暗殺未遂事件が起きた。
「無能者ヤン!」
それはかって、トリューニヒト議長が無条件停戦命令を発しようとしたとき、ヤンを評して言った言葉であった。むろん、その一語はバーミリオン以後、同盟では禁句となっており、同盟憲章違反に問われかねない。暗殺未遂という広大な池に一滴の一粒が加わっただけのことであるが。
なおも叫び続けようとする口元に、ユリアンが平手打ちの一閃をたたきつけた。頚椎を捻挫するのではないか、と思われるほどの容赦のない一撃が、さすがに男をたじろがせた。
「不逞なやつめ。きさまも秩序の破壊をたくらむ帝国のスパイか」
「帝国のスパイなどではない」
切れた唇から、血と憎悪をしたたらせながら、男はうめいた。壮年の議長を焼き殺すかのように、眼光を集中させる。
「ハイネセンの虐殺を忘れたか。たった16年前の惨劇を、もう忘れたのか!」
男が口にした固有名詞は、石弓から放たれた無形の矢となって、ヤンの耳から心臓へと貫通した。
「ハイネセンの虐殺・・・?」
ヤンのつぶやきは、一瞬のうちに、議長の顔面から生気のかがやきを強奪していた。逆に暗殺者は、活気を回復し、糾弾を開始した。
「何が議長だ。ミラクル・ヤンだ。きさまの権力は流血と欺瞞の上に成り立っているのではないか。おれの妻子は、ハイネセン・ポリスで、帝国軍ときさまとのために、生きたまま焼き殺されたのだぞ!」
ふりかざされたユリアンの手が、こんどは空中で停止した。決断なり命令なりを求めるように議長を見やったが、かっての魔術師は、激烈な弾劾の前に、半ば茫然と立ち尽くすだけであった。
「さあ、おれを殺せ。惑星ハイネセンで帝国軍と共謀して無辜の民200万人を殺したように、おれを殺せ。きさまらに何ら害を加えたわけでもない子供や赤ん坊を、ビーム砲の劫火で生きながら焼き尽くしたように、おれを焼け!」
男の、生命がけの怒号に対して、ヤンは答えようともしない。発熱がひいたばかりの頬は、瞳の黒色が拡散したように黒ずみ、フレデリカは議長の身体をささえるように寄りそった。
「生きているやつらは、きさまの戦術の華麗さに目がくらんで、ハイネセンの虐殺のことなど忘れてしまっているだろう。だが、死者は忘れんぞ。自分たちがなぜ焼き殺されたか、永遠に憶えているぞ」
フレデリカの手に、議長の身体の、ごく微量な慄えが伝わってきた。そのとき、べつの声が彼女の耳に聴こえた。怒号を凍てつかせる冷静な声。
声の主は、国防委員長ワルター・フォン・シェーンコップ退役元帥であった。彼は弾劾の暴風から議長を守るように、暗殺者の前に立ちはだかって言明したのである・・・。
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- board4 - No.3145
Re:銀英伝1.5部または第2部・外伝
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月24日(木) 20時19分
「議長をお怨みするにはあたらぬ。無条件停戦命令を無視するよう、議長に進言したのは私だ。おまえは議長ではなく、私をねらうべきであったな。妨害する者もすくなく、ことは成就したであろうに」
剛毅と呼びうる、それは最低温度の声であった。
「きさまが!」
そうあえいだきり、男は絶句した。見えざる氷壁の前で、怒りと憎悪は、進むべき方向を失って乱気流と化したように見えた。
「バーミリオン星域会戦でローエングラム候を戦死させたことで、帝国軍は撤退した。ゆえに、民主主義は救われ、同盟は滅亡を免れた」
凍結した空気に、さらに冷気をくわえるような、国防委員長の語りようであった。
「もし、同盟が帝国に占領されていたならば、帝国の暴政によって1000万を下ることのない人々が虐殺されたであろう。あの会戦でローエングラム候を戦死させたからこそ、1000万人の死者は仮定の数字としてすんだのだ」
「きさまら権力者は、いつもそうだ!多数を救うためにやむをえなく少数を犠牲にする、と、そう自分たちを正当化するんだ。だが、きさまら自身がきさまらの親兄弟が、少数のなかにはいっていたことが一度だってあるか!」
男は足を踏みならし、靴のかかとで地を踏みにじった。
「人殺しのヤン・ウェンリー!無能者ヤン!きさまの権力は、血の海に浮かんでいるのだ。一秒ごとに、そのことを思い出せよ。ローエングラム候は、敗北と死によって罪をあがなった。きさまは生きているが、いつかは罪をあがわなくてはならんのだ。おれより手の長い者は宇宙に幾人もいるぞ。おれに殺されていたほうが幸福だった、と、遠からぬ将来に思い知るぞ」
「憲兵司令部につれていけ。私自身が後刻、尋問する。早くつれていくのだ」
ムライ大将がそう指示して、無限に続くかと思われる糾弾の奔流をたちきった。三個分隊を構成するにあたる人数の憲兵が、暗殺未遂犯をとりかこみ、ひきずるようにつれさった。あとには、濃くなりまさる夕闇と、議長一行が残された。フレデリカは、議長の黄色い手が、自らの頭の上に置かれるのを感じた。それは残念ながら、無意識の動作であるようだった。議長の瞳は、妻を見ていなかった・・・。