- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2652
Re:銀英伝のダメなところ
- 投稿者:おじゃき
- 2002年09月03日(火) 16時46分
初めて投稿いたします。よろしくお願いいたします。
初めまして、深草の少将さん。
どこにレスとしてつけようか迷いましたが一応こちらに。
この後の一連のレスも含めて拝見してですが、宇宙にあるはずの広大な辺境とい
うべきものが本来あるはずで(またそこには多くの、様々な人間もいるはずで)そ
ういう世界を切り捨てて、単純な、ごく少数の英雄が思いのままに舞台を駆けめ
ぐる、そういった設定に無理を感じているのだろうかな、と読解しました。(他に
もいろいろ話題はありましょうがガンダムは見たことありませんし、軍事はトー
シロなのでパスです。)
で、私自身も、上に書いたような舞台設定には無理が多いと感じています。しか
しながらそう感じることによって面白さが色あせたという感覚は特にもっていま
せん。一方深草の少将さんにとってはだんだん色あせてきてしまっているのはど
うしてなんだろうな、となんとなく興味を持ってツリーを読んでおります。
(以降は深草の少将さんへのレスというより、たんなるつぶやきに
なっていまいますが…)
ところで作者の田中芳樹さんご本人はどうだったのだろうか、と考えると、やは
り無理を感じつつやっていたのだろうな、と感じています。それでもなによりも
アイデアの核に、二人の英雄が広大な宇宙空間に覇を競うというのがあってそれ
を実現するための設定だったのだろうと思います。(ご本人が無理を意識していた
のかどうかは分かりません。私はそう推測していますが。)
ただそういう単純な設定のお陰で痛快な、面白い話になったのだろう、とも思い
ます。
一方そういう、銀英伝では切り捨ててしまった部分はやはり作者としても心残り
で(あるいは技量の向上と共にそういう部分こそを書いてみたいと思ったか)、そ
れを「タイタニア」でやろうとしたのではないかな、と想像してます。「タイタ
ニア」は銀英伝的な面白さは減じているけれど、そのかわり、もうちょっと陰影
に富んだというか、襞を感じさせる面白さがあると感じています。
作家というのは、こういう進化というのは比較的よくあることなのではないかと
想像します。そんなにものを読んでいないので、ぱっと適切な例をあげられない
のですが…例えば小松左京の「復活の日」と「日本沈没」と「首都消失」とかか
な。あと妙な例ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの線画を見ていると、初期の
方が「流麗」というのが相応しく、後期にはそれが欠けていますが(そのせいか後
期の方が人気がない気がする)かわりに独特の味わい深さがあります。
(それでも結局、総合的にどっちがすぐれているか、みたいな話になると、こうい
うのって大体初期の作品に軍配があがりますが…)
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2653
Re:銀英伝のダメなところ
- 投稿者:深草の少将
- 2002年09月04日(水) 01時02分
> 初めて投稿いたします。よろしくお願いいたします。
>
> 初めまして、深草の少将さん。
> どこにレスとしてつけようか迷いましたが一応こちらに。
>
> この後の一連のレスも含めて拝見してですが、宇宙にあるはずの広大な辺境とい
> うべきものが本来あるはずで(またそこには多くの、様々な人間もいるはずで)そ
> ういう世界を切り捨てて、単純な、ごく少数の英雄が思いのままに舞台を駆けめ
> ぐる、そういった設定に無理を感じているのだろうかな、と読解しました。(他に
> もいろいろ話題はありましょうがガンダムは見たことありませんし、軍事はトー
> シロなのでパスです。)
>
>
> で、私自身も、上に書いたような舞台設定には無理が多いと感じています。しか
> しながらそう感じることによって面白さが色あせたという感覚は特にもっていま
> せん。一方深草の少将さんにとってはだんだん色あせてきてしまっているのはど
> うしてなんだろうな、となんとなく興味を持ってツリーを読んでおります。
>
> (以降は深草の少将さんへのレスというより、たんなるつぶやきに
> なっていまいますが…)
>
> ところで作者の田中芳樹さんご本人はどうだったのだろうか、と考えると、やは
> り無理を感じつつやっていたのだろうな、と感じています。それでもなによりも
> アイデアの核に、二人の英雄が広大な宇宙空間に覇を競うというのがあってそれ
> を実現するための設定だったのだろうと思います。(ご本人が無理を意識していた
> のかどうかは分かりません。私はそう推測していますが。)
> ただそういう単純な設定のお陰で痛快な、面白い話になったのだろう、とも思い
> ます。
>
> 一方そういう、銀英伝では切り捨ててしまった部分はやはり作者としても心残り
> で(あるいは技量の向上と共にそういう部分こそを書いてみたいと思ったか)、そ
> れを「タイタニア」でやろうとしたのではないかな、と想像してます。「タイタ
> ニア」は銀英伝的な面白さは減じているけれど、そのかわり、もうちょっと陰影
> に富んだというか、襞を感じさせる面白さがあると感じています。
>
> 作家というのは、こういう進化というのは比較的よくあることなのではないかと
> 想像します。そんなにものを読んでいないので、ぱっと適切な例をあげられない
> のですが…例えば小松左京の「復活の日」と「日本沈没」と「首都消失」とかか
> な。あと妙な例ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの線画を見ていると、初期の
> 方が「流麗」というのが相応しく、後期にはそれが欠けていますが(そのせいか後
> 期の方が人気がない気がする)かわりに独特の味わい深さがあります。
> (それでも結局、総合的にどっちがすぐれているか、みたいな話になると、こうい
> うのって大体初期の作品に軍配があがりますが…)
>
初めましておじゃきさん。俺も実はタイタニアは結構嫌いじゃないぜ。
二次元的な艦隊戦は相変わらずだけど、銀英伝の「回廊」みたいにあまりにも不自然な設定はないし、ちゃんと複数の国家が存在するしゲリラも出てくるしょ。
それに勢力が二元化されていないから銀英伝よりも政治や外交、人間関係なんかがしっかり描けてると思う。
問題はタイタニアが未完だってことだな。ここに田中芳樹の作家としての「限界」があると思うんだけど。
- 親記事No.2620スレッドの返信投稿
- board4 - No.2654
Re:某巨大掲示板で議論されています
- 投稿者:古典SFファン
- 2002年09月04日(水) 03時27分
> ポール・アンダーソンを持ってくる辺り、話が合いそうですね(笑)。
アンダースンの作品でも有名な、「後に設定が破綻した壮大な宇宙叙事詩」『タウ・ゼロ』があります。
『タウ・ゼロ』の場合、その設定があまりにも出来すぎ、あまりにも
当時の物理学に合いすぎていたために、皮肉にも宇宙論の発展により
設定が崩壊してしまったのです。
(その種の例としては、例えばジェイムズ・ブリッシュの『時の凱歌』などもあります・・・)
しかし、『タウ・ゼロ』にせよ、『時の凱歌』にせよ、そんな事で
全ての読者を失う訳でもないし、読む価値を無くす訳でもない。
小説家の「作品」は(田中芳樹的表現?(笑)を試みれば)、
古風なレンガの家のようなものと思います。
設定の一つ一つは小さなブロックに過ぎない。
それを積み、隙を埋めるべき補足的な台詞や資料で埋めていく事で、
「レンガ」から「壁」や「天井」という形が作り出される。
何よりも、家の中で暮らすキャラクターたちに生命力がなければ、
その家を訪れる者は誰も居ないでしょう。
時が経てば、風化がレンガを蝕み、次々と壊していくかも知れない。
しかし、家全体がそれですぐに駄目になる訳ではない。
美しく瀟洒な家を訪れて、一杯の紅茶を喫していこうとする者は、
家が完全に壊れ死に絶えてしまうまで、数は減ってもきっと現れるものです。
・・・「家」そのものに魅力がなければ、これはもう仕方がないのですが・・・。
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2655
Re:辺境概念問題
- 投稿者:倉本
- 2002年09月04日(水) 03時36分
> > >確かヤン・ウェンリーのエル・ファシル脱出大作戦のとき、同盟軍の船団を帝国軍が隕石群と間違えて取り逃がしたって話しのってなかったか。
エル・ファシルのあれは帝国軍のヒューマン・エラーです。
脱出を図る船団はレーダーに探知されないように何らかの妨害を行うはずという先入観が帝国軍にはありました。
それが妨害行動をとっていないから船団ではなく隕石群だろうという判断につながっただけです。
帝国軍がそう判断することを読んだヤンの作戦勝ちであって探知機の性能とは無関係です。
日本軍の真珠湾攻撃時にレーダーは日本軍の攻撃機を探知していたがB17が来るという情報を得ていたオペレーターがB17と判断して連絡をしなかったために日本軍の奇襲が成功したという話があります。
これをオペレーターのミスという人はいてもレーダーが役に立たないと言う人はいないでしょう。
エル・ファシルのあれは帝国軍が探知機の反応を隕石群と勘違いしたのであって探知機が隕石群と間違えたのではありません。
したがってあれを探知機の問題にするのは問題点のすり替えです。
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2656
もう一つの選択肢「ビュコックのレジスタンス」
- 投稿者:准提督
- 2002年09月04日(水) 03時52分
<あなたはどうも俺の言っていることをまったく誤解しているようだ。
俺が言っているのは「武装勢力による地方割拠」じゃない。「辺境星域および旧同盟本土も含めた広範囲なゲリラ戦」のことを言ってるんだよ。>
なるほど。了解しました。では2614の書きこみで「宇宙海賊とか反政府ゲリラ」の割拠を主張していることや、2619の書きこみで前段の「帝国にも同盟にも属さないアウトローの集団の割拠」と後段の「旧同盟軍によるゲリラ戦」を分けた上で併記していることは、見なかった事にしましょう。
<このような艦隊によるゲリラ戦っていうのは銀英伝5巻で実際にヤン・ウェンリーがやっているんだ。あんただって当然知ってるだろう。
1万隻以上の大艦隊があんな自由に動き回れるて、しかも帝国軍はそれすらも捕捉できなかったっていうんだったら、それ以下の数百隻規模の小艦隊ならなおさら言うまでもないと思わないか。>
宇宙の3分の2を占める帝国にも同盟にも属さない領域はさておき、「旧同盟領を舞台とした」ゲリラ戦の展開については、私も充分に検討に値すると考えます。「まったく余地ナシ」というつもりはありませんよ。
ただ、一晩考えた上で出てきた私の結論は
「実施の余地は多いにあり、実際同盟軍統合作戦本部でも検討されたであろう。ただし、その成功可能性は正面決戦(マル・アデッタのこと)と同じ位に低い。成功可能性がほぼ同じであったため、どちらを実施するかは宇宙艦隊司令長官たるビュコックの選択に任せられた。ビュコックは決戦を選択し、ゲリラ戦略は幻の作戦案として日の目を見なかった」
というものでした。
<俺の構想をまとめるとこうだ。
・数十隻から数百隻規模の小艦隊(旧同盟軍が主力)で、旧同盟諒や辺境星域を移動ながら各地にセクトを建設しつつ神出鬼没のゲリラ戦を行う。
・資金や物資、艦艇のメンテナンスなどの問題は支援者、特に旧同盟系の企業や地方都市の有力者などのバックアップを得られることによりある程度は解決する(例えば帝国系の輸送船だけを襲う見返りに同盟系の輸送会社から援助を受けるとかね)。それにそうしたかねや物資の流れを強圧的に取り締まろうとすれば当然市民の生活を圧迫し、帝国への不満は高まることになる。
・たとえ帝国郡の艦隊に発見されても、そのときはヤン艦隊のごとく逃げればよい。定刻軍にしたってすべての星域に大兵力を配備しているわけじゃないし、第一そんなことをすれば財政がパンクする。
・「辺境星域」を「帝国の支配が及んでいない声域」と仮定するならば全銀河系の3分の2に及ぶわけであり、旧同盟領とあわせて帝国よりもはるかに広大な領域を完全に「包囲」することなど不可能である。>
確かにこれならば、相当期間にわたって帝国軍を苦しめる事が出来ると思います。同盟軍が組織的に、既存の基地を用いて実行するのであれば、基地建設や人員調達、兵站などの問題はかなり解決されますから。
それに旧同盟領で活動するなら、諸々の支援者からの支援の受け取りも容易になるでしょう。辺境への脱出の場合ゲリラ側は旧同盟領における帝国軍の占領支配・管理の充実を指をくわえて遠くから見ているしかありませんでしたが、旧同盟領内でゲリラを行うのであればその占領政策そのものを妨害できますから。それに何といっても物理的距離が近い。
ただ、まずゲリラを行うにもあくまで一定の数の艦艇が必要です。それを間に合わせるためにはマル・アデッタでの決戦は回避して、その分の艦艇を各ゲリラ基地に分散配備しなければなりません。
そして最大の問題は、帝国軍を苦しめる事は出来るだろうけど、最終的な勝利(別に帝国軍の撃滅に限らず、政治的な妥協を引き出すことも含めて)には至らないであろう、ということです。何故なら、同盟軍に兵力補充がないことには変わりないからです。一撃離脱の襲撃を繰り返すにしても、全く損害を受けないというわけにはいかないでしょう。そして損害の補充は絶望的です。いかに旧同盟領各地の有志の支援を受けても、それはあくまで「占領軍の目を盗んで」の調達になるはずですから。帝国本土から正々堂々次から次へと送りこまれてくる帝国軍の補充の数量に、最終的にはかないません。
ちなみに、松村元陸将補の『名将達の戦争学』(文春新書)によれば、ゲリラ作戦には
1.ゲリラ部隊を受け入れる民衆がある
2.退却できる聖域がある(敵正規軍が手出しできない地域、という意味でしょう)
3.陸続きに大国が武器支援してくれる
4.最終的に近代軍に成長して決戦する
の四つの原則が必要であるとのことです。これはあくまで地上世界でのゲリラの原則なのでそのまま当てはめるわけにはいきませんが、今回の場合1.は充足していても2.は難しく(帝国軍も各ゲリラ拠点に手だしは出来るでしょう)、3.で言わんとするところ、即ち潤沢な補充は達成不可能、4.は見こみ立たず、ということになるでしょう。
従って最終的には同盟軍ゲリラ部隊は帝国軍の数に飲みこまれて姿を消す、という末路になると考えられます。んで、帝国軍もそれがわかっている以上、ちょっと苦しくても我慢して戦い続ける、妥協はしない、と。
まぁ、それを言うならマル・アデッタの正面決戦も「大和特攻」と同レヴェルで、敗北が目に見えていたという点ではゲリラ戦略とどっこいどっこいだと思います。
んで、どっちを採用するかでビュコック元帥が「決戦」と言ったからマル・アデッタになり、ゲリラは実施されなかった、と。ただマル・アデッタの直前にビューフォート准将のゲリラ部隊が黒色槍騎兵艦隊の補給隊を襲撃したという記述がありましたから、案外ゲリラ戦略の方にも未練があったのかもしれません。
さて、これなら原作の記述を合理的に説明できたと思いますが、いかがでしょう。
それからもう一つの問題、単一政体問題については、
<それと単一政体云々という話についてだけど、ごく普通に考えるんなら「銀河帝国」なんて言う専制体制に対抗する政体が同盟だけって言うのも変な話し出し、ゴールデンバウム王朝がそんなに腐敗した国家だったっていうんなら、それこそ第2、第3の「自由惑星同盟」があったっておかしくないじゃない。>
うーん、これは「ごもっとも」と言わざるを得ませんね。ただ、自由惑星同盟の存在が確認されて以降は、帝国の亡命志願者達も「新しく自分達の国を創るのは面倒だから今ある同盟に逃げよう」と考えた、と解釈できます。
そして、ここからは作品の演出上の問題になりますが、作者としては「腐敗した民主主義と理想的な権威主義のどっちがよいか」という命題を描きたい以上、国家は二つでこと足りるわけで。3つ目(フェザーンを含むと4つ目)の国家を出すと、かえって読者にとって解りにくくなるだけだ、と判断したのでしょう。
この点リアルでない、と言われれば「その通り」としか答えようがありませんが、その分主題もハッキリして面白くなっているんだからヨシ、というのが私の個人的な意見です。この点は本当に個人的な好き嫌いの問題ですね。
さて。ここまで議論してきて、銀英伝もそれなりによく練られた話であることは深草の少将さまもご理解頂けたのではないでしょうか。もちろん、私も銀英伝が無謬だと思っているわけではありません。ケチをつけろといわれれば100や200、文句は出てきますよ。何で近代資本主義経済の同盟が封建的経済の帝国に国力で負けているんだ、とかね。でもそれでも銀英伝は「腐敗した民主主義か、清潔な権威主義か?」という主題や、戦略・戦術概念の理論と運用、シヴィリアンコントロールとは?、など、多くの示唆に満ちています。他にこうした示唆を突きつけてくる作品を、ライトノヴェルやらアニメやらゲームやらにおいては他に知りません。
あまり突き放さず、もう一度銀英伝に向き合って見れば、また何か発見があると思いますよ。
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2657
Re:単純に好みの違いでしょう。
- 投稿者:ガンダマー
- 2002年09月04日(水) 06時30分
>
> >
> > ちなみに銀英伝の比較の対象としてガンダムを持ってきたのは多少俺の軽はずみな面もあったけど、でもね、ガンダムなんてそれこそ矛盾だらけなんだけどいつ見ても色あせないのに比べて、銀英伝は年を追うごとに作品の戦略的・戦術的な矛盾とか登場人物の偽善者振りとかが鼻につくようになってくるんだよね。この違いは何なんだろう。
>
> 銀英伝なんてそれこそ矛盾だらけなんだけど色あせても楽しめるのに比べて、ガンダムはハナっから作品の戦略的・戦術的平凡さとかハードウェア過大評価とかが鼻についていたんだよね。
>
> ・・・ガンダムファンの皆様、失礼しました。といっても私もガンダムは嫌いではありません。あれだけの世界を構築する営みには敬意を持っています。
> しかし、私個人としては銀英伝の方をやはり上にします。あくまで個人の好みの問題です。
> どうも深草の少将さまの話方だと、一般的にガンダムの方が優れている、というようにもとれたので、敢えて反論させていただきました。
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2658
Re:もう一つの選択肢「ビュコックのレジスタンス」
- 投稿者:深草の少将
- 2002年09月04日(水) 08時07分
> <あなたはどうも俺の言っていることをまったく誤解しているようだ。
> 俺が言っているのは「武装勢力による地方割拠」じゃない。「辺境星域および旧同盟本土も含めた広範囲なゲリラ戦」のことを言ってるんだよ。>
> なるほど。了解しました。では2614の書きこみで「宇宙海賊とか反政府ゲリラ」の割拠を主張していることや、2619の書きこみで前段の「帝国にも同盟にも属さないアウトローの集団の割拠」と後段の「旧同盟軍によるゲリラ戦」を分けた上で併記していることは、見なかった事にしましょう。
>
> <このような艦隊によるゲリラ戦っていうのは銀英伝5巻で実際にヤン・ウェンリーがやっているんだ。あんただって当然知ってるだろう。
> 1万隻以上の大艦隊があんな自由に動き回れるて、しかも帝国軍はそれすらも捕捉できなかったっていうんだったら、それ以下の数百隻規模の小艦隊ならなおさら言うまでもないと思わないか。>
> 宇宙の3分の2を占める帝国にも同盟にも属さない領域はさておき、「旧同盟領を舞台とした」ゲリラ戦の展開については、私も充分に検討に値すると考えます。「まったく余地ナシ」というつもりはありませんよ。
>
> ただ、一晩考えた上で出てきた私の結論は
> 「実施の余地は多いにあり、実際同盟軍統合作戦本部でも検討されたであろう。ただし、その成功可能性は正面決戦(マル・アデッタのこと)と同じ位に低い。成功可能性がほぼ同じであったため、どちらを実施するかは宇宙艦隊司令長官たるビュコックの選択に任せられた。ビュコックは決戦を選択し、ゲリラ戦略は幻の作戦案として日の目を見なかった」
> というものでした。
>
> <俺の構想をまとめるとこうだ。
> ・数十隻から数百隻規模の小艦隊(旧同盟軍が主力)で、旧同盟諒や辺境星域を移動ながら各地にセクトを建設しつつ神出鬼没のゲリラ戦を行う。
> ・資金や物資、艦艇のメンテナンスなどの問題は支援者、特に旧同盟系の企業や地方都市の有力者などのバックアップを得られることによりある程度は解決する(例えば帝国系の輸送船だけを襲う見返りに同盟系の輸送会社から援助を受けるとかね)。それにそうしたかねや物資の流れを強圧的に取り締まろうとすれば当然市民の生活を圧迫し、帝国への不満は高まることになる。
> ・たとえ帝国郡の艦隊に発見されても、そのときはヤン艦隊のごとく逃げればよい。定刻軍にしたってすべての星域に大兵力を配備しているわけじゃないし、第一そんなことをすれば財政がパンクする。
> ・「辺境星域」を「帝国の支配が及んでいない声域」と仮定するならば全銀河系の3分の2に及ぶわけであり、旧同盟領とあわせて帝国よりもはるかに広大な領域を完全に「包囲」することなど不可能である。>
> 確かにこれならば、相当期間にわたって帝国軍を苦しめる事が出来ると思います。同盟軍が組織的に、既存の基地を用いて実行するのであれば、基地建設や人員調達、兵站などの問題はかなり解決されますから。
> それに旧同盟領で活動するなら、諸々の支援者からの支援の受け取りも容易になるでしょう。辺境への脱出の場合ゲリラ側は旧同盟領における帝国軍の占領支配・管理の充実を指をくわえて遠くから見ているしかありませんでしたが、旧同盟領内でゲリラを行うのであればその占領政策そのものを妨害できますから。それに何といっても物理的距離が近い。
> ただ、まずゲリラを行うにもあくまで一定の数の艦艇が必要です。それを間に合わせるためにはマル・アデッタでの決戦は回避して、その分の艦艇を各ゲリラ基地に分散配備しなければなりません。
> そして最大の問題は、帝国軍を苦しめる事は出来るだろうけど、最終的な勝利(別に帝国軍の撃滅に限らず、政治的な妥協を引き出すことも含めて)には至らないであろう、ということです。何故なら、同盟軍に兵力補充がないことには変わりないからです。一撃離脱の襲撃を繰り返すにしても、全く損害を受けないというわけにはいかないでしょう。そして損害の補充は絶望的です。いかに旧同盟領各地の有志の支援を受けても、それはあくまで「占領軍の目を盗んで」の調達になるはずですから。帝国本土から正々堂々次から次へと送りこまれてくる帝国軍の補充の数量に、最終的にはかないません。
> ちなみに、松村元陸将補の『名将達の戦争学』(文春新書)によれば、ゲリラ作戦には
> 1.ゲリラ部隊を受け入れる民衆がある
> 2.退却できる聖域がある(敵正規軍が手出しできない地域、という意味でしょう)
> 3.陸続きに大国が武器支援してくれる
> 4.最終的に近代軍に成長して決戦する
> の四つの原則が必要であるとのことです。これはあくまで地上世界でのゲリラの原則なのでそのまま当てはめるわけにはいきませんが、今回の場合1.は充足していても2.は難しく(帝国軍も各ゲリラ拠点に手だしは出来るでしょう)、3.で言わんとするところ、即ち潤沢な補充は達成不可能、4.は見こみ立たず、ということになるでしょう。
> 従って最終的には同盟軍ゲリラ部隊は帝国軍の数に飲みこまれて姿を消す、という末路になると考えられます。んで、帝国軍もそれがわかっている以上、ちょっと苦しくても我慢して戦い続ける、妥協はしない、と。
> まぁ、それを言うならマル・アデッタの正面決戦も「大和特攻」と同レヴェルで、敗北が目に見えていたという点ではゲリラ戦略とどっこいどっこいだと思います。
> んで、どっちを採用するかでビュコック元帥が「決戦」と言ったからマル・アデッタになり、ゲリラは実施されなかった、と。ただマル・アデッタの直前にビューフォート准将のゲリラ部隊が黒色槍騎兵艦隊の補給隊を襲撃したという記述がありましたから、案外ゲリラ戦略の方にも未練があったのかもしれません。
>
> さて、これなら原作の記述を合理的に説明できたと思いますが、いかがでしょう。
>
> それからもう一つの問題、単一政体問題については、
> <それと単一政体云々という話についてだけど、ごく普通に考えるんなら「銀河帝国」なんて言う専制体制に対抗する政体が同盟だけって言うのも変な話し出し、ゴールデンバウム王朝がそんなに腐敗した国家だったっていうんなら、それこそ第2、第3の「自由惑星同盟」があったっておかしくないじゃない。>
> うーん、これは「ごもっとも」と言わざるを得ませんね。ただ、自由惑星同盟の存在が確認されて以降は、帝国の亡命志願者達も「新しく自分達の国を創るのは面倒だから今ある同盟に逃げよう」と考えた、と解釈できます。
> そして、ここからは作品の演出上の問題になりますが、作者としては「腐敗した民主主義と理想的な権威主義のどっちがよいか」という命題を描きたい以上、国家は二つでこと足りるわけで。3つ目(フェザーンを含むと4つ目)の国家を出すと、かえって読者にとって解りにくくなるだけだ、と判断したのでしょう。
> この点リアルでない、と言われれば「その通り」としか答えようがありませんが、その分主題もハッキリして面白くなっているんだからヨシ、というのが私の個人的な意見です。この点は本当に個人的な好き嫌いの問題ですね。
>
> さて。ここまで議論してきて、銀英伝もそれなりによく練られた話であることは深草の少将さまもご理解頂けたのではないでしょうか。もちろん、私も銀英伝が無謬だと思っているわけではありません。ケチをつけろといわれれば100や200、文句は出てきますよ。何で近代資本主義経済の同盟が封建的経済の帝国に国力で負けているんだ、とかね。でもそれでも銀英伝は「腐敗した民主主義か、清潔な権威主義か?」という主題や、戦略・戦術概念の理論と運用、シヴィリアンコントロールとは?、など、多くの示唆に満ちています。他にこうした示唆を突きつけてくる作品を、ライトノヴェルやらアニメやらゲームやらにおいては他に知りません。
> あまり突き放さず、もう一度銀英伝に向き合って見れば、また何か発見があると思いますよ。
准提督殿、丁寧なレスありがとう。俺も何べんも言っているように最終的に帝国軍に勝てるとは思っていない。ただ辺境星域や旧同盟領を股にかけた広範なゲリラ戦を展開すれば数年かうまく行けば10年やそこらは粘れるかもしれないってことを言ってるんだ。
それにゲリラ戦の原則とやらについてだが、例えば大国の支援もなければ近代的な装備もなかったソマリアのアイディード将軍一派が米軍を撃退したように、必ずしも実際の戦史に当てはまるかどうかはわからないと俺は考える(もっとも帝国群が当時の米軍みたいに腑抜けだとは俺も思わないが)。
-
- board4 - No.2659
森首相の今後について
- 投稿者:蜃気楼
- 2002年09月05日(木) 04時14分
創竜伝12巻においてついに、登場された蜃気楼こと森首相でありますが、現時点では名前も決まっておらず、おまけにまだ一言も発言していません。
今後の彼の運命はどうなるのか予想してみました。
1 今後も続投。
2 あっさりと小泉首相に交代。(首相が交代したと作中で描写されていないにもかかわらず、小泉に代わっている場合含む)
3 小泉との合成型になる。
4 創竜伝自体でない。
5 その他
しかし作者は自分が13巻を出すまで森政権が続くとでも思っていたのでしょうか?もしそうならいろんな意味で見通しが甘いと言わざるを得ません。
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2660
Re:辺境概念問題
- 投稿者:深草の少将
- 2002年09月05日(木) 07時55分
随分長々と論議をしてしまってたくさんの人たちに不愉快な想いをさせてしまったかもしれないが、結局この論争を通じて俺がなぜ「辺境」というものにこだわったかっていうと、最初に銀英伝を呼んだときに感じた、同盟軍にしろあるいは貴族連合軍にしろあまりにもあっさり滅びすぎる。ホントならもっと戦えるはずなんじゃないかっていう根本的な疑問があったからなんだよね。
たとえば門閥貴族にしたって500年間に渡って積み上げてきた歴史や伝統・それに地盤というものがあるだろうし、同盟にしたってたとえどれだけ腐敗していたにせよ、あの世界においては「民主主義」というものを代表する宇宙で唯一の政体なわけだろ。それが帝国からの侵攻を受けて、ここでも散々議論した辺境でのゲリラ活動とか市民のレジスタンスとかも含めて相当頑強な抵抗があってもいいはずだし、またそうした大規模な民衆反乱に直面したラインハルトやミッターマイヤーたちの困惑とか苦悩とかが描かれてもいいはずなのに、そうしたところがばっさり切り落とされてしまっているというのは、やっぱり小説としてみた場合「欠陥」であると思わざるをえないんだよね(また論争を蒸し返すようだけどさ)。
- 親記事No.2659スレッドの返信投稿
- board4 - No.2662
小泉首相の今後について
- 投稿者:吉良国 育生
- 2002年09月05日(木) 08時16分
十三巻が出るまで、小泉政権が持たないに一票
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2663
0792
- 投稿者:准提督
- 2002年09月05日(木) 12時55分
<随分長々と論議をしてしまってたくさんの人たちに不愉快な想いをさせてしまったかもしれないが>
少なくとも、私はお相手させていただいて楽しかったですよ。稼動停止状態だった脳ミソを久し振りに動かして、いい刺激になりました。
<結局この論争を通じて俺がなぜ「辺境」というものにこだわったかっていうと、最初に銀英伝を呼んだときに感じた、同盟軍にしろあるいは貴族連合軍にしろあまりにもあっさり滅びすぎる。ホントならもっと戦えるはずなんじゃないかっていう根本的な疑問があったからなんだよね。たとえば門閥貴族にしたって500年間に渡って積み上げてきた歴史や伝統・それに地盤というものがあるだろうし、同盟にしたってたとえどれだけ腐敗していたにせよ、あの世界においては「民主主義」というものを代表する宇宙で唯一の政体なわけだろ。それが帝国からの侵攻を受けて、ここでも散々議論した辺境でのゲリラ活動とか市民のレジスタンスとかも含めて相当頑強な抵抗があってもいいはずだし、またそうした大規模な民衆反乱に直面したラインハルトやミッターマイヤーたちの困惑とか苦悩とかが描かれてもいいはずなのに、そうしたところがばっさり切り落とされてしまっているというのは、やっぱり小説としてみた場合「欠陥」であると思わざるをえないんだよね(また論争を蒸し返すようだけどさ)。>
うーん、これはあくまで私の個人的な好悪の話ですが、この辺の記述がなかったとしても銀英伝は充分面白かった(実のところファン歴8年の間、つまらんと思った事は一度もない)ので、積極的には同意しません。「欠陥」とまでは言いません。
しかし、そういった話が付け加えられていたらもっと面白くなっただろうな、とは思います。
ぶっちゃけ、敵(という表現はいささか剣呑ですが)に塩を送るようで何ですが、このあたりガンダムがうらやましいですね。あの作品は1年戦争のメインストリームを本編でしっかり描いて、そして描き足りなかった部分は08小隊や0080できっちりフォローしている。おかげで一つの戦争を多角的に描く事に成功している。
要するに何が言いたいかと言うと、
「田中センセ、外伝書いてください。」
ということでして。
貴族連合の方は、あれ以上の抵抗は正直不可能だと思います。一度階級秩序の崩壊した軍隊は立てなおせないでしょうから。どこかに逃げてゲリラをやるにしても、下士官・兵がついてこないし、肝心の協力者がまず出てこない。いくら貴族が金を持っているとしても、買収に応じた企業・商人・個人は熱狂的にラインハルトを支持する民衆の監視の目に「密告」され、フクロ叩きにあうのは確実ですから。誰もそんなリスクを負ってまであんなしょーもない連中(復権の見こみの立たん連中)に手を貸したりはしません。
問題は先日来議論している同盟の抵抗です。こちらはまだ抵抗運動の発生する余地はある。金がないが、それを支援してくれる企業家や個人は出てくるでしょう。周りの一般人も取りあえずは(取りあえずは!)黙認するでしょうから。国家レヴェルでの抵抗は再起できないでしょうが(財政が破綻している)、反帝国レジスタンスは存在し得るでしょう。地上世界に留まる限り、それこそ100や200も。但し、本編で描かれなければならないほどの、歴史のメインストリームに影響を及ぼすほどにはなり得ないでしょうが。
そして、そういった同盟での、歴史に記述こそされないが(本編には登場しないが)、存在はした抵抗運動を「外伝」で描いてもらいたいわけですよ。素材としては深草の少将さまのおっしゃるように、書けば味のある作品足り得ます。
まぁ、ヘタすりゃ相当鬱な話になってしまいますが。何しろレジスタンスに勝ち目はありませんし、鎮圧側のミッターマイヤー達もひたすら義務感と罪悪感の板ばさみになる話ですから。誰も幸せになれません(^^)
- 親記事No.2595スレッドの返信投稿
- board4 - No.2664
Re:興味がおありでしたら
- 投稿者:不沈戦艦
- 2002年09月05日(木) 14時24分
>
> 貴族連合の方は、あれ以上の抵抗は正直不可能だと思います。一度階級秩序の崩壊した軍隊は立てなおせないでしょうから。どこかに逃げてゲリラをやるにしても、下士官・兵がついてこないし、肝心の協力者がまず出てこない。いくら貴族が金を持っているとしても、買収に応じた企業・商人・個人は熱狂的にラインハルトを支持する民衆の監視の目に「密告」され、フクロ叩きにあうのは確実ですから。誰もそんなリスクを負ってまであんなしょーもない連中(復権の見こみの立たん連中)に手を貸したりはしません。
> 問題は先日来議論している同盟の抵抗です。こちらはまだ抵抗運動の発生する余地はある。金がないが、それを支援してくれる企業家や個人は出てくるでしょう。周りの一般人も取りあえずは(取りあえずは!)黙認するでしょうから。国家レヴェルでの抵抗は再起できないでしょうが(財政が破綻している)、反帝国レジスタンスは存在し得るでしょう。地上世界に留まる限り、それこそ100や200も。但し、本編で描かれなければならないほどの、歴史のメインストリームに影響を及ぼすほどにはなり得ないでしょうが。
> そして、そういった同盟での、歴史に記述こそされないが(本編には登場しないが)、存在はした抵抗運動を「外伝」で描いてもらいたいわけですよ。素材としては深草の少将さまのおっしゃるように、書けば味のある作品足り得ます。
>
> まぁ、ヘタすりゃ相当鬱な話になってしまいますが。何しろレジスタンスに勝ち目はありませんし、鎮圧側のミッターマイヤー達もひたすら義務感と罪悪感の板ばさみになる話ですから。誰も幸せになれません(^^)
URLにリンク貼ってますので、読んでみて下さい。