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反創竜伝・評論批判編
5−B

創竜伝の関東軍評価(2)


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No. 18
田中芳樹の明らかな嘘
平成の一軍人 1999/10/06 20:41:15
 創竜伝のデタラメさなら、拙者もどうしても言いたい事があるのです。
 なお、創竜伝は手元にないので、済みませんが記憶に頼って記述をさせて
頂きます。

1 日本軍に、部下を見捨てて指揮官と参謀が逃亡した例があったか
  創竜伝では「航空機で……いくらでもあった」と記述されていますが、真っ
 赤な嘘です。
  確かにないわけではありません。しかし、2,3の事例だけであって、こ
 れは「例外」と称するべきです。(いくらでもというなら、100や200
 あっても不思議ではない)
  私の知っている限りでは、第4航空軍司令官、富永恭次中将(参謀も連れ
 ていない)と、ビルマ方面軍司令官、木村兵太郎大将だけですな。他は、太
 平洋だろうが、南方だろうが、あるいは支那戦線だろうが、そんな例はあり
 ません。(逃げたくても、航空機そのものが既に乏しくなっていたのだが)
 他はガダルカナル、サイパン、ニューギニア、フィリピン、沖縄等何処の戦
 場でも、指揮官は責任を全うしています。

2 杉原代理領事だけが日本の名誉を救ったのか
  杉原代理領事の7000名のユダヤ難民に対するヴィザ発給をもって「こ
 ういう無名の人々が日本の名誉を救った」というけど、その前年に(田中氏
 自身が「最低の軍隊」と蔑む)関東軍隷下のハルビン特務機関長、樋口季一
 郎少将による、2万名ものユダヤ難民の満州への受け入れ(オトポール事件)
 は、どのように評価するのだろう。単純計算では、樋口少将は杉原領事の3
 倍も日本の名誉を救っているのだが(なお、私はよしりんが新ゴー宣に書く
 遥か以前からこの事件を知っている)。

 田中氏は、結局自分の幻想だけで日本史を語っているような気がします。

ps 「戦場に行かない者が、戦争を煽っている」という田中哲学は、非常に
  危険です。第1に、それなら実際に戦争に行った者であればどれほど無茶
  苦茶な政治も「俺は戦場に行ったんだ」という理屈で正当化できます。
   第2に、人には各個人毎に果たすべき役割があって、それを無視してい
  たら戦争に勝てません。先のペルーにおける日本大使館占拠事件において
  フジモリ大統領も、軍の首脳も別に現場で突入作戦に参加したわけではあ
  りませんが、だからといって田中式に彼等を「自分は安全な所にいて、他
  人を死地に追いたてている」と避難できる者がいれば、それは馬鹿の証明
  です。政治家には政治家の、将軍には将軍の役割・責務があって、恥ずべ
  きは、現場に出ないことではなく本来の責務を果たさない事です。
   フジモリ大統領は、やるべきこと、つまり決断を下した。だから、例え
  他人を死地に向かわせたところで、全く恥ずべき事はないのです。


No. 113
関東軍弁護論
平成の一軍人 1999/10/12 19:55:45
管理人殿>
 ザ・ベストから
 ”満州国の『中国人』の総理張景恵が「各都市に無防備都市宣言をさせれば、
ソビエト軍が略奪破壊をするときに国際法で処罰できる」と提案したのを関東軍
が蹴り、ソビエト軍が一般市民を暴行、略奪する間に自分たちが逃げ、さらに自
分たちが通過した鉄橋を爆破したために一般人が犠牲になった。だから、関東軍
は人類史上世界最悪の軍隊だ”

 この部分を見てどうにも納得できないので、一つ。
 軍事行動(攻撃、砲撃、爆撃等)の目標は、当時から「軍事目標主義」が取ら
れ、地上軍には敵が防守する都市には確かに無差別攻撃が許されていました。逆
にせざる都市は攻撃を免れる権利を得た。しかし、一方で防守せざる都市は占領
されることまでは免除されるわけではありません。逆に占領に(方法の如何を問
わず)抵抗すれば、その時から防守都市となって攻撃の対象になります。
 また、防守せざる都市となる(攻撃目標にならない)ための要件には、何ら「
宣言」は含まれていません。防御のための部隊をどかせば、その時点から無防備
の「防守せざる都市(地域)」になり、ソ連軍の直接の攻撃はかわせることになっ
たのです。この場合、都市内に部隊・施設があったとしても、実際の占領に支障
が出るほどの規模でなくては、防守しているとは言えません。(師団で包囲した
都市に、一個小隊の敵がいても、攻撃側は都市を「軍事目標」とする事はできな
い)
 また、防守都市(地域)であっても、戦闘遂行に無関係な略奪破壊が許される
わけではありませんから、無防備都市宣言をしようがするまいが、関係はありま
せん。もっとも、日本側が何を宣言しようが、ソ連軍が略奪や強姦をやらないわ
けがありませんが。
 なお、ソ連軍侵攻時、関東軍が邦人を置き去りにして自分たちだけの安全を図っ
たというのは、俗説です。真実ではありません。計画では一般邦人の避難が最優
先であり、満鉄もそのために避難列車を準備したのですが、急な侵攻を受けても
現地に居着いた邦人は避難に抵抗を示し、仕方なく直に動ける軍人の家族を避難
列車の最初の便に乗せたと言うのが実情です。
 また、撤退時に交通路を破壊して行くのは軍事上別に珍しい方法ではありませ
ん。確かに犠牲は出たでしょうが、破壊しなければもっと良い結果が出た訳では
ないでしょう。むしろ、ソ連軍の進撃速度が上昇しただけの結果に終った筈です。
朝鮮戦争時も、北朝鮮軍がソウルに迫った時点で、漢江にかかった橋が幾つか爆
破されましたが、発破の時点で多くの市民や軍隊が橋上にあり、多数の犠牲者を
出しています。(この事件は、爆破責任者が誤って行ったものとされ銃殺に処さ
れたが、後にやむを得なかったと判断され、名誉回復)

 昭和20年8月の悲劇において、関東軍の責任が軽いわけではありませんが、
聞きかじりの知識で「最悪の軍隊」と罵倒する田中氏に対して「関東軍が一度で
も、非武装の市民に対して発砲し、戦車で轢き殺した例があったか」と聞いてや
りたいところです。

 以下は蛇足です。
 本質的に軍隊は国家の主権を守るために存在するのであって、国民を守るのは
直接の任務ではありません。外地にあっては邦人の保護も二次的任務と考えられ
ますが、沖縄のような本土内では、一に内務・警察当局の仕事です。沖縄県民の
犠牲に責任を感じるべきは内務省であって、軍隊ではありません。


No. 117
Re: 田中芳樹の明らかな嘘
おきなわ 1999/10/13 05:24:00
どうも、はじめまして。
初めてここを読んで、少しだけ気になったので不慣れながら書かせて頂きます。
失礼な発言であればすみません。
(削除パス  SS)

平成の一軍人さんは書きました
>2,3の事例だけであって、こ
>  れは「例外」と称するべきです。(いく
 略
>  他はガダルカナル、サイパン、ニューギニア、フィリピン、沖縄等何処の戦
>  場でも、指揮官は責任を全うしています。

 他の戦場に関しては無知なのですが、沖縄戦に関しては、相当に異論があります。責任を全うするのは(将官)個人ですが、この時巻き込まれた民間人は、そうは思わないでしょう。米軍の策を読みきれず、相次ぐ連戦連敗で敗走を続けた沖縄戦。しかも、国が決めた(当時の軍部?)沖縄戦敗戦日のあとも、住民が逃げなければならなかったという事実。当時の玉砕戦法命令を残して自決(だったと思う)した牛島軍司令官の指令は、まぁ、どだいまともとは言えない思考形態の産物であるから、いずれにせよ誉められたものではないと考えます。つまり、将官としての仕事を全うされる方が、民間人をより多く殺す結果を生み出したという例でしょう。将官一人が個人の美学に酔うのは良いとしても、巻き添えにされた人々は残された現実があります。「いらんもん残しやがって(怒)」とか。

話がそれまくっていますが、つまり、田中芳樹氏が語られることが沖縄戦においては成立しなくても、「戦争の中では、こう言う事だってありえる」とのニュアンスから首肯できるのではないでしょうか?
本当はむしろ、まじめな軍人の方が恐ろしいですよね?
小説からはそういった部分だけを取り入れることの方が重要ではないでしょうか?

> ps 「戦場に行かない者が、戦争を煽っている」という田中哲学は、非常に
>   危険です。第1に、それなら実際に戦争に行った者であればどれほど無茶
>   苦茶な政治も「俺は戦場に行ったんだ」という理屈で正当化できます。
>    第2に、人には各個人毎に果たすべき役割があって、それを無視してい
>   たら戦争に勝てません。先のペルーにおける日本大使館占拠事件において
>   フジモリ大統領も、軍の首脳も別に現場で突入作戦に参加したわけではあ
>   りませんが、だからといって田中式に彼等を「自分は安全な所にいて、他
>   人を死地に追いたてている」と避難できる者がいれば、それは馬鹿の証明
>   です。政治家には政治家の、将軍には将軍の役割・責務があって、恥ずべ
>   きは、現場に出ないことではなく本来の責務を果たさない事です。
>    フジモリ大統領は、やるべきこと、つまり決断を下した。だから、例え
>   他人を死地に向かわせたところで、全く恥ずべき事はないのです。

そこは同感です。しかし、自ら考えることなくなんとなく戦争を喧伝する人間の意見に乗る事の危険を説いているだけで、別に過去の事象や現代の事件に即して書いているものとは思えませんが…? それ以前の部分(自ら考えるう)を説いているだけでしょう。
そうしている人からなら、「何を言っているんだ?」と思われるかもしれませんが。

         乱文失礼しました。(謝)

追記:兵士は何も考えない方が(戦術以外)
   扱いやすいのは事実で、その意味で
   世界の軍人は危険とも言えます。
   国防である以上、本当は色々な事を
   考えられる人のほうが好ましいと思
   いますが・・・。


 管理人さまへ

このようなホームページがあることを初めてしりました。一小説家についての考察は面白く、個人的には異論も多いのですが、『田中信者』とここで言われている人たちには、良い影響になるかもしれませんね。(しかし、そんな人がいるとは・…)
 それにしても、事実を部分的に利用して、デフォルメする手法という意味では某小林氏の漫画に似ているのだなぁと、ここを読んでいて感じました。最近は、正反対のことを書いている小説家と漫画家ですが、多くの人に良い影響を与えて、もう少し歴史や政治に関心を持って欲しいものです。(←偉そう(汗))

 月並みですが、ホームページの発展を祈っています。


No. 122
最悪の軍隊って
不沈戦艦 1999/10/14 01:04:34
 掲示板新装開店おめでとうございます。

(以下本題)

 普通に考えりゃどうやってもソ連軍になると思いますけど。略奪暴行やりたい放題どころかスターリンがけしかけていたし、味方を監視する政治将校なんぞがいて、何かあって摘発されたら運が良くてシベリア行き。懲罰部隊に組み入れられて地雷踏み(ソ連流の地雷掃討。歩兵に踏ませて爆発させ、地雷を除去する。当然踏んだ兵士は死ぬ)をやらされるかも、と味方すら信用できない状況で戦わなければならない、というソ連軍の方が最低最悪でしょう。イデオロギー抜きに見れば。

 ちなみに、ベルリン陥落の時、住んでいる女性の50%はソ連兵に強姦されたそうです。


No. 137
公平を期すために
平成の一軍人 1999/10/15 19:12:13
>  ちなみに、ベルリン陥落の時、住んでいる女性の50%はソ連兵に強姦されたそうです。

 一応言っておきますと、ソ連正規軍の暴行略奪虐殺ぶりは御承知の通りですが、第二陣として追及して来たNKVD(内務人民委員部)の部隊は、正規軍の軍紀を保つために、略奪等の非行兵は、その場で射殺するような方法を取っていたそうです。
 また、正規軍の将校の中には、部下の非行を見かねて、日本人を救うために射殺するような例もありました。
 事実、このお陰で難を逃れた在留邦人は、少なくないそうです。
 史実は直視して、「敵」であっても正当な評価をしないと、こちらに批判する資格がなくなります。


No. 159
第32軍に責任はない
平成の一軍人 1999/10/19 18:49:30
 沖縄戦の悲劇について、その責任の所在は改めて検討される必要があります。
一括りで「軍の責任」とばかり言われても、「現地軍の責任」と「大本営の責
任」では全然意味が違います。
 また、軍だけが全ての責任を負うべきではないのも当然です。
 例えば、現地軍には住民に対して強制的に立ち退かせる権限、疎開を命じる
権限があったでしょうか。ありません。戦前の法制度では、軍隊司令官にこの
ような権限を付与するのは、戒厳時だけに限られていました。戒厳令に基き、
戒厳司令官に任ぜられた場合のみ、軍隊司令官は戒厳令14条に基き住民にそ
の住所から退去させる事が出来ます。しかし、沖縄には戒厳が宣告されません
でしたから、そのような事は不可能でした。



>責任を全うするのは(将官)個人ですが、この時巻き込まれた民間人は、そうは思わないでしょう。

 ここでいう戦闘に民間人を撒きこんだ責任は、現地の第32軍司令官牛島中
将にあるのでしょうか。違います。住民の疎開・避難については、その責任が
挙げて内務省及びその下部機関であった沖縄県庁にありました。しかるに、そ
の重責を担う沖縄県知事は空襲が始まると所在をくらまし、挙句は内地に逃亡
までしました。内務省は懲戒にかけるどころか、この恥知らずを他県の知事に
発令することで塗糊し、後には住民を疎開させたくてもできない軍だけが残さ
れた。沖縄県民が恨むとすれば、内務官僚であって軍ではないのです。



>米軍の策を読みきれず、相次ぐ連戦連敗で敗走を続けた沖縄戦。

 米軍の策を読みきれずという責任を負うのは、大本営ではあっても、現地軍で
はありません。戦闘のレベルでは、日本軍の勇戦敢闘は太平洋の戦場でも屈指の
ものであって、「読みきれず」と言う表現は当てはまっていません。「相次ぐ連
戦連敗」どころか、決してバンザイ攻撃に出たりせず、陣地にこもって寸土を争
う戦闘を米軍に強要し、各地で米軍に大損害を出させ、地上軍司令官バックナー
中将も戦死しています。他の戦場とは異なり、徹底してスマートな作戦振りに、
戦後も米軍は「沖縄のやり方を徹底されたら参っていた」と語っています。



>しかも、国が決めた(当時の軍部?)沖縄戦敗戦日のあとも、住民が逃げなければならなかった
>という事実。当時の玉砕戦法命令を残して自決(だったと思う)した牛島軍司令官の指令は、
>まぁ、どだいまともとは言えない思考形態の産物であるから、いずれにせよ誉められたものでは
>ないと考えます。

 第32軍司令官が参謀長と共に自決したのは事実ですが、玉砕戦法命令なぞ、
出していません。おかしな事を言わないで下さい。降伏は命令しませんでしたが、
それは当時としては当然とされた事です。



>つまり、将官としての仕事を全うされる方が、民間人をより多く殺す結果を生み出したという例
>でしょう。将官一人が個人の美学に酔うのは良いとしても、巻き添えにされた人々は残された現
>実があります。「いらんもん残しやがって(怒)」とか。

 将官一人が美学に酔うというのは、沖縄戦の実相とはおよそかけ離れた感想
ですね。牛島中将とその参謀達は、最悪の条件下でおよそ世界最善の努力をし
ています。誰がやっても、あれ以上の結果はでなかったでしょう。沖縄の第3
2軍に科せられた任務が一日も長く米軍を沖縄に拘束して本土決戦のための時
間を稼ぐ事であったからには、敢えて巻き添えにしても心を鬼にして戦わなく
てはならないのです。でないと、沖縄県民は救われたが本土決戦が早まってよ
り多くの国民が死んだと言う結果を招いたでしょう。
 再度言います。沖縄の悲劇の責任は内務省にあって軍にはありません。


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