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銀英伝のSF兵器理論
2−A

戦闘艦艇の危険性(1)


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No. 588
指揮官先頭?
投稿者:不沈戦艦 1999/1/17 22:20:34
 銀英伝の中で、ラインハルトが何度も「私は常に自ら前線に立ち戦ってきた。安全な後方から指示を出すだけの卑怯者には、決してならぬと誓って。」という趣旨のことを繰り返してしますわな。司令官が前線に立ち、戦況を把握しつつ指示を出すことはいいでしょう。でも、わざわざ目立つ艦を仕立てて、前線に繰り出すのは何のつもりでしょうか?ラインハルトの旗艦ブリュンヒルトはそれは目立つ艦ですよね。「回廊の戦い(反銀英伝ネタではない)」で、ヤンの不正規部隊はイゼルローン回廊内に現れたブリュンヒルトをすぐ識別(「カイザーのお出ましだ!」と言って)していますから、ブリュンヒルトは一発で解る目立つ艦なのでしょう。まあ、ヤンのヒューベリオンも、ロイエンタールがラグナロック作戦前にイゼルローンに攻めかかった時、囮艦として使われています(ヒューベリオンを囮にして、強襲揚陸艦をロイエンタールの旗艦トリスタンに接舷させてローゼンリッターが突入、ロイエンタールの抹殺を目論んだ作戦)から、これも目立つ艦のようです。

 しかしまた、何でそんなに目立つ艦ばかり使っているんでしょうか?まあ、「主人公のメカは量産モノではいけない。ハンドメイドの特注品でなければならない」ってのは古今東西問わずSF小説やアニメの約束事なのかもしれませんが(それを言っちゃあおしまいかな?)。実際のところは、前線に立つ指揮官の登場する艦船、戦車・装甲車、航空機などは、目立たないことが大原則ではありませんか。例えば沖縄戦の時の米第五艦隊司令長官レイモンド・スプルーアンス大将の旗艦は重巡インディアナポリスでした。目立つ空母でも戦艦でもありません。まあ、第三艦隊司令長官ウイリアム・ハルゼー大将はフィリピン戦の時、戦艦ニュージャージーを旗艦にしていましたから、司令官の性格(スプルーアンスは寡黙で不言実行型、ハルゼーは派手好きで暴れん防)もあるとは思いますが。でも、防御力の高い戦艦を旗艦に選んでいることは、司令官の安全をかなり考慮している、ということです。沖縄戦でインディアナポリスは特攻機の命中を受け、損傷して修理のため回航せざるを得なくなりましたが、これは偶然もいいところです。「スプルーアンスが乗っている」と知って攻撃した訳ではないですから。たまたま特攻機が突っ込んだのが旗艦だった、というだけの話です。アメリカは昭和18年に、暗号解読によって山本五十六連合艦隊司令長官搭乗機を撃墜し、長官暗殺を成功させています。よって、日本軍に同じ事を返されるのを極度に警戒していました。それが沖縄戦のスプルーアンスの旗艦選択にも影響していると思います。言うまでもないことですが、司令官が戦闘中に死ぬか負傷により指揮不能になったら、部下は大混乱になり、統制がつかなくなりかねません。

 長々と言ってきましたが、結局銀英伝世界では、ラインハルトやヤンは何の為に目立つ旗艦に乗っているのでしょうか?仮にラインハルトの旗艦が標準タイプの戦艦だったら、バーミリオン会戦はないでしょう。なぜなら、ヤンとしては仮にラインハルト艦隊との一騎打ちを実現させたとしても、どれが旗艦か解らないからです。バーミリオンのヤンの戦略目標は一点だけ。ラインハルトを戦死させて、帝国軍を撤退させることだけです。どの艦を攻撃すればラインハルトを殺すことが出来るのか全く解らなかったら、ヤンがこういった無茶な作戦行動に出ることはないと思います。「ラインハルトを戦場で斃すこと」の実現性がほとんど無くなり、実際やったとしても運任せ天任せもいいところになってしまいます。その場合、玉砕戦法はヤンの趣味ではありませんから、交戦を断念して降伏する、という選択肢になったんじゃないでしょうか。「戦術の積み重ねで戦略的不利を逆転させることは不可能」ですからね。

 「主要キャラの旗艦が目立つ艦なのは、小説だったら許されるお約束の設定」だと言われればそれまでですが、リアリティの面からは馬鹿馬鹿しい話なので、敢えて取り上げてみました。


No. 590
まだちょっと忙しい(T_T;
投稿者:本ページ管理人 1999/1/19 02:44:06
>指揮官先頭?

 これは、銀英伝が想定している戦闘の質が、近代戦ではなくて、武将が敵陣に乗り込んでいく戦国もののノリだからだと思います。ラインハルトが、戦い終わったあとの敵将に、「卿も我が傘下に入らぬか」というのも、「三国志」とか「水滸伝」のノリですよね。


No. 591
参考?元ネタ?パクリ?
投稿者:退谷屋 張網 1999/1/19 12:48:40
初めて書き込みさせていただきます。毎度このホームページを楽し
く拝見させてもらっています。
ところで、上の管理人さんの書き込みを見て思ったのですが、元々銀英伝は三国志を宇宙でやってみようとした作品だったのではない
でしょうか。
帝国、フェザーン、同盟は魏、呉、蜀ということで。友人にこの話をしたところ、「ラインハルトが曹操でヤンが孔明なのは分かるが、劉備がトリューニヒトじゃ同盟が滅ぶわけだ。しかしこれじゃ呉が弱すぎる。」と言われました。
田中氏には三国の拮抗を書ききれなかったのでしょう。しかし、そうするとルドルフが董卓でオフレッサーが呂布で、ロイエンタールが司馬ということになるんでしょうか。
同様にアルスラーン戦記はキャラを点在させて後にまとめるという点で水滸伝を彷彿とさせます。失敗ぎみでしたが。


No. 739
私的な感想と書きこみ
投稿者: 1999/2/15 08:25:14
僕は田中芳樹氏の作品のファンです。
面白いんです。このページ。
半日かけて過去ログに目を通しました。途中でやめるなんてもったいなかった。
たいした意見を持っているわけではないので恐縮なんですが、過去ログの中で一つ二つ意見が言えるものがあったので書き込みします。

どなたのログかまで覚えていませんが、ヤンや、ラインハルトの旗艦についてのお話です。

日本の戦国時代の武将(だけとは限りませんが)と同じ様な感覚なのではないでしょうか?
鎧(旗艦)を立派に飾り立てて「俺はココに居る」と敵と味方両方にアピールして、味方の士気の向上に努める。とか。

あ、後、創竜伝に関しては僕の場合唯の娯楽小説として読んでいます。

とりあえず、よろしく。でいいのかなあ?

以上(これは僕の趣味です)


No. 744
目立つ旗艦
投稿者:不沈戦艦 1999/2/15 21:01:34
 城さん初めまして。旗艦が目立つのがどうのこうのと言っていたのは多分私です。

 そうですね、戦国時代の感覚(あるいは古代中国か)とでも言えば解らないでもないかも知れません。でも、仮に戦国時代の武将の陣が目立つものだったとしても、安全は考えてやっているでしょう。例えば武田信玄は弟の信廉が容姿が似ているので、同じような陣を築くことによって味方ですらもどっちが「お屋形さま」の陣か解らなくなってしまったとか。その信玄でさえも、第四次(だったと思いますが)川中島合戦で山本勘助の啄木鳥の策が失敗し、一時窮地に立たされています(講談のように、上杉謙信と一騎討ちがあったかどうかは知りませんよ)。また、安心し切っていた今川義元が田楽狭間で織田信長の奇襲を受け、命を落としたのも人口に膾炙した話です。戦国時代といえども、大将の陣が攻撃されるのは悪夢以外の何でもないと思いますよ。指揮官の安全は、細心の注意を払うべきものであったんです。戦国時代の話ですらそうなのに、遥か未来の話で「目立つ艦を旗艦にし」、「指揮官自身が危険な先頭に立つ」ってのはどうも違和感ありますね。目立つ艦で兵の志気を高揚したいのなら陣頭に立つべきではないし、陣頭に立って指揮するのなら目立つ艦は使うべきではありません。以上のどちらかでしょう。「近代戦」の感覚が抜け落ちていると思います。

 難癖ばかりつけているようですが、トンデモ兵器や作戦は可能な限り排除している「銀河英雄伝説」という作品にとっては「ヌケ」の部分ではないか、と考えた次第でした。


No. 746
細かいレスに感謝
投稿者: 1999/2/16 02:05:09
不沈戦艦さん。いきなりの私にレスをどうもありがとうございました

引用の仕方がわからないのでそのまま行きます。

派手な旗艦(笑)確かに危ない。
物語の中で行けばファーレンハイト辺りが言ったかもしれない「地味な艦をお使いになっては?……」
すると「指揮官が後ろに隠れていては面目にかかわる、これまでも私は…前線に立つことで……」
それ以前にブリュンヒルトってラインハルトが造らせたんでしたっけ?皇帝からの賜り物だとしたらどうしようもないのでは?んで、使ってるうちに愛着が……(このページはキャラクターの感情を計算に入れては行けないのでしょうか?)

もう一人の場合は官給品って事で。

それでだめなら田中芳樹氏を疑う。設定は未来だが、登場人物の考え方は中世ヨーロッパをモデルにしている。とかどうです?(近代戦の知識なんてある人のほうが珍しいと思うけどなあ?ブツブツ)


No. 748
RE.746 一応反銀英伝
投稿者:石井由助 1999/2/16 02:26:31
>それ以前にブリュンヒルトってラインハルトが造らせたんでしたっけ?皇帝からの賜り物だとしたらどうしようもないのでは?んで、使ってるうちに愛着が……(このページはキャラクターの感情を計算に入れては行けないのでしょうか?)
>
>もう一人の場合は官給品って事で。

 ブリュンヒルトは官給品のはずです。たしか、「黄金の翼」で艦長になったばかりのラインハルトが乗っていましたから。

 本当は目立つ艦を与えてそうそうと戦死させようという貴族の陰謀だったのかも? それをラインハルトが勘違いして士気高揚だと思ったのかも??????


No. 771
投稿者:NM-1 1999/2/22 07:58:57
748みて、あれ?と思ったのですが、
ブリュンヒルトの艦長ってラインハルトでしたっけ?黄金の翼に出てたのはエルムラントだったような?(確か)
ブリュンヒルトは外伝三巻で大将に昇進して初めてもらった(個人所有ではないが)戦艦だった気がするのですが。

以上、ちょっとした訂正でした。では。


No. 773
たぶん
投稿者:本ページ管理人 1999/2/22 23:36:59
>ブリュンヒルトの艦長ってラインハルトでしたっけ?黄金の翼に出てたのはエルムラントだったような?(確か)
>ブリュンヒルトは外伝一巻で大将に昇進して初めてもらった(個人所有ではないが)戦艦だった気がするのですが。

 おそらくその通りだと思います。本来は私が訂正するべきだと思うのですが、出先なもので現在確認が出来ません。
 確認出来次第、正式に訂正したいと思います。


No. 774
派手な戦艦
投稿者:ドロ改 1999/2/23 00:14:58
戦国時代の感覚、と言う説が出ていましたが、それを一歩進めて考えると「船」ではなく「鎧」なのだと思います。あの冷静に考えると滅茶苦茶な数の艦隊を見れば明らかなように、銀英伝では一艦=一人の感覚で戦術が描かれていると思われます。そう考えれば、派手な戦艦は大将の着用する象徴的な鎧なのではないでしょうか?目立つ鎧兜で先頭に立って突進。中世的な戦術ですが、技術が進みすぎて袋小路に入った結果、行きついた先がそう言う戦術だったとしたら…
そう考えると私はなんとなく納得できました。(メックウォーリアーみたいに政治・技術体制まで中世になってなくて良かった{笑})


No. 815
そんなことも…
投稿者:本ページ管理人 1999/3/04 01:20:02
 黄金の翼でラインハルトが乗っているのは確かにブリュンヒルトではないですね。ここに訂正します。


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