初めまして よく読ませていただいていますが、
初カキコします
アルスラーンの12巻は皆様読まれましたでしょうか?
好きだったんですが、前の11巻の時に手には取るんですが
レジまで持っていけませんでした(笑)
正直間が開きすぎて読む気力がなくなってきてるので・・・
11巻の感想読ませてもらうと割りと良さそうなのですが
まだまだレジにはいけそうに無いです
皆様の12巻の感想など聞かせてもらって参考にしたいので
聞かせていただけますか?
でも買ったは良いがまた間が開いたらもう無理だな・・・・
ネタバレを含まない単なる感想を求めるだけならば、ここよりもアマゾンレビューを参照した方が良いのではないかと思うのですが↓
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ここだと感想を述べるにしても、結構ネタバレを含むことにならざるをえませんし。
それに私の感想が果たして「一般的な感想」たりえるかと言われると、私自身非常に疑問に思わざるをえないのですが(苦笑)、まあもしそれでよろしければアルスラーン戦記12巻の感想などを少し。
ここ最近の田中作品の中ではかなり高く評価できるのではないかと思います。どちらかと言えば「設定補完」「仕切り直し」的側面が強かった10巻・11巻と比べても、ストーリー面が充実していますし、やはり「創竜伝や薬師寺シリーズなどとっとと投げ捨ててこっちに専念してもらえれば……」と思わずにはいられませんね。
ただ、これまたやはり放置されていた時間が長すぎたためか、他ならぬ作者自身が過去の作品設定をすっかり忘却し去っている様が目立ちますね。いくつか実例を挙げてみると、
1.パルスの軍事制度改革のひとつ・高速連絡網の存在
アルスラーンの国王即位後、パルスではナルサスによる軍制改革が行われ、大陸公路に沿って烽火台と伝書鳩の連絡網が整備されています。
アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P43
<「国王アルスラーン陛下、ディジレ河畔においてミスル軍を破りたもう。敵の戦死は二万、名だたる勇将カラマンデスも、ふたたび陣頭に立つことなし」
その報がもたらされて、夜を迎えたパルスの王都エクバターナは歓喜の声につつまれた。ディジレ河畔からエクバターナまでは百二十ファルザング(約六百キロ)、大陸公路に沿ってナルサスが築いた烽火台と伝書鳩の連絡網により、わずか半日で報告はもたらされたのである。>
アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P56
<アルスラーンが行軍していく公路には、二ファルザング(約十キロ)ごとに烽火台が築かれていた。
外敵の侵攻があるときは、国境にもうけられた城塞群が住民を収容して固く門を閉ざし、ひたすら防御に徹する。一方、公路にそった烽火台が烽火をつらねて半日で王都エクバターナに急を知らせる。王都に駐留する騎兵部隊がただちに進発して国境に駆けつける。それが副宰相としてナルサスが考案した新王朝の軍事制度であった。現にミスルが侵攻してきたとき、この制度が生かされたのである。>
ところが、アルスラーン戦記12巻冒頭で行われたペシャワール城塞攻防戦では、この制度が全く生かされていないのです。正確には11巻最後まで遡るのですけど、
アルスラーン戦記11巻 P220下段~221上段
<さらにクバードは、とくに馬術にすぐれた兵士九名を選抜し、三名をひと組として、三組の急使を王都エクバターナへ走らせた。武器は剣と弓のみで、甲冑も着用しない。ひたすら西へ走り、中間点に近いソレイマニエあたりで馬を替える。ソレイマニエの宮衙からは八方に使者を飛ばして、各地方に警戒を呼びかけることになる。
城門を駆けぬける使者たちのあとに、芸香の香気がのこされた。服にも馬具にも、芸香がたっぷり塗りこまれているのだ。九騎のうち一騎でも、ソレイマニエまでは生きてたどり着かねばならない。彼らの任務は重大であり、眉宇には決死の色がたたえられていた。
西の城壁上に立って、クバードらは使者たちを見送り、無事を祈った。落日の時刻である。太陽は灼熱した赤黄色の円盤となって、下端を地平線に接している。>
アルスラーン戦記12巻 P35下段
<救援を求めるため、急使五騎がペシャワールから西へ奔ったのは、つい先刻のことである。大陸公路の要地ソレイマニエまで、どれほど急いでも三日はかかる。そこから王都エクバターナまで、さらに三日。何の妨害もなければ、合計六日という計算だが、王都に到着したときには人も馬も半死半生のありさまだろう。
王都では、国王の直属部隊がつねに東西国境の危急にそなえてはいる。一日か二日で緊急の出動態勢をととのえ、雄将ダリューンあたりが統率して東へと急行する。完全武装の軍隊がペシャワールに到着するのに、六日ではたりない。二日はよけいにかかると見るべきだ。
つまり、王都エクバターナからの援軍がペシャワールに到着するまで、最低でも十五、六日を必要する計算になる。>
……東西国境から王都エクバターナまで半日で報告を行うことができるという烽火台(と伝書鳩)を使った連絡網の存在は一体どこに行ってしまったのでしょうか? これを使えば、急使の9騎だか5騎だかにわざわざ半死半生になるほどの労力を払わせることなく、安全確実迅速に王都エクバターナへの緊急連絡が行えたわけですし、「王都エクバターナからの援軍がペシャワールに到着するまで」の時間を、すくなくとも全体で5日~5日半ほど短縮することができたというのに。
その後のストーリーでも、クバートがこの連絡システムを使わなかったことによる処罰等の描写がないことから、これは完全に作者の設定忘却によるものと考えられます。
2.復活した死者・ルトルド侯爵
アルスラーン戦記12巻の物語後半では、ルシタニア人の貴族というルトルド侯爵なる人物が現れ、その後のストーリーに少なからぬ影響を与えるわけですが、この人物名が出てきた時、私は首を捻らずにはいられませんでした。
というのもこの人物、実はとっくの昔に死んでいるはずの人間だからです。
アルスラーン戦記6巻角川文庫版 P227
<この日、ルシタニア軍の名だたる貴族や騎士が、数おおく戦死した。
ルトルド侯爵という人物は、馬にまで黄金の鎖甲を着せるという、はでな軍装が人目をひき、パルス軍の若い勇将イスファーンに追いつかれて、ご自慢の宝石飾りの甲ごと、槍につらぬかれてしまった。イスファーンは侯爵の首をとり、彼の部下は飛びちった宝石をひろい集めて思いもよらぬ報酬をえた。>
……何故6巻ですでに死んでいるはずの人間が12巻に登場しているのでしょうか?
しかも、12巻で記載されているルトルド侯爵の軌跡を見てみると、6巻の件と全く整合性が合わなくなることばかりが書かれています。
アルスラーン戦記12巻 P209下段~P210上段
<「ルトルド侯爵!?」
ドン・リカルドは自分の眼と耳が信じられなかった。髪も髭も伸びきり、垢にまみれ、臭気のただようボロをまとった四十歳前後の男が、ルシタニア屈指の大貴族だというのか。
カーセムが口を出した。
「この男はルシタニアの蛮人どもの頭目でな。四年前の春、手下どもをひきいてこの土地へ乗りこんできたんだそうだ。掠奪はもちろん、女は辱めるわ、見境なく人は殺すわ、家は焼くわ、悪事のかぎりをつくしたそうな」
ルトルド侯爵がうめき声をあげたが、パルス語に反応したわけではなかった。
「だが、そのころ王太子であられたアルスラーン陛下が、兵を集めて進軍を開始なさった。こいつの部隊は孤立し、あわてて逃げ出したのだが、何の、逃がしてたまるものか。この先の街道に罠を張って、みごとにつかまえたのさ」>
「そのころ王太子であられたアルスラーン陛下が、兵を集めて進軍を開始」したのはアルスラーン戦記4巻頃の話です。つまり、ここでのルトルド侯爵は、4巻時点ですでに虜囚の身となってしまっているわけで、これでは6巻でルトルド侯爵がギスカール軍の麾下として戦場に赴き、戦死することは不可能になってしまいます。ドン・リカルドが一目見ただけで人物を言い当てたことから見ても、当時のルシタニア軍内に同姓かつ同爵位の人物が2人存在するという可能性は考えにくいですし。
「皆殺しの田中」というあだ名は私もよく聞いたものでしたが、まさか「復活の田中」なる名称がここで冠されることになるとは思いもしませんでしたね。まあこれも、作者の設定忘却ではあるのでしょうけど。
田中芳樹自身、アルスラーン戦記がすでに20年以上続いてまだ完結しないことや、9巻以降の長期空白期間を気にしているのか、相当に昔の設定を見直している形跡自体は垣間見られるのですけどね。4巻で一度きり、名前しか出てこなかった歩兵隊の将軍シャガードとルッハームのエピソードが出てきた時は、「よくこんなところをフォローしたものだな」と感心もしたのですが。
やはり9巻→10巻の7年4ヶ月11日、10巻→11巻の5年9ヶ月24日もの長期空白期間が作品にも悪影響を与えているとは、今更ながらに言わざるをえないでしょうね。
冒険風ライダーさん、初めまして。
私も1は気がつきましたが、ルトルド侯爵については全く気がつきませんでした。冒険風ライダーさんは作者よりもアルスラーン戦記に精通されてますね。
ご指摘のように、空白期間が長すぎてこのような結果になってしまったのでしょうね。
私の感想は、想像上の生き物(魔物?)が多く出てきて、ファンタジー色が強くなったと思いました。今までは読み物としてナルサスの戦略やダリューンの活躍が楽しかったので、今回はそれが少なくて残念でした。でも、一番好きな登場人物のギーヴが結構活躍して、それが救いでした。
>冒険風ライダー さん
>アビ助 さん
どうもありがとうございますm(__)m
アマゾンも見てきました^^
でも単なる感想よりもネタバレ含んでる方が判りやすいですし^^
何より自分も銀英伝で田中芳樹にハマり途中からついていけなくなりましたから・・・・でもアルスラーンやタイタニア(でしたっけ?)、七都市物語、地球儀の秘密(田中芳樹が書いてくれよ)の続きが気になってましたが^^;
しかし七都市物語りは兎も角、放置や人任せは止めてほしいなぁ~
此処の方たちは同じような経験させてる方が多いので
そんな方々の濃い(?)感想が聞きたかったので
ましてや私はネタバレされても気にならず本の世界に入れる
特技(?)がありますから (笑
大変参考になります
やっぱりちょっと買おうかな
なんて考えてます^^
乱筆乱文失礼しましたm(__)m
> 2.復活した死者・ルトルド侯爵
この部分ですけど、この間書店で光文社版のノベルズの該当箇所を確認した所、「ルトルド侯爵」が「ロレンソ侯爵」に変更されていました。どうやらノベルズ版にする際に修正した模様です。