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映画「ライジング・ドラゴン」感想

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映画「ライジング・ドラゴン」観に行ってきました。
ジャッキー・チェンが主演・監督を担う、中国・香港のアクション映画。
今作では、主演であるジャッキー・チェン自身が「自ら身体を張った本格アクション映画はこれを最後に引退」と述べていることでも話題となっています。
ただまあ、ジャッキー・チェンは過去に何度も自らの引退をほのめかす発言を行っていながら、都度発言を反故にしているわけですし、今回もあまりアテになるものではないのではないかと。

香港映画であることから、冒頭のプロローグでも当然のごとく中国語のキャスティング情報が飛び交う今作の物語の発端は、1860年のアロー戦争(作中では「第二次アヘン戦争」と呼称)にまで遡ります。
当時は清王朝が支配していた中国大陸では、円明園と呼ばれる離宮が建造されていました。
円明園では、十二支を模した動物の銅像が、それぞれ決められた時間毎に水を噴射し、正午には12の銅像全てから水が噴射されるという仕掛けが施されていました。
ところがアロー戦争時、清へ侵攻した英仏連合軍は、円明園に対し略奪の限りを尽くした上に徹底的に破壊してしまいます。
その際、十二支の銅像もまた、略奪を担った英仏連合軍によって首を切り取られ、国外に持ち去られていたのでした。
ちなみに、この銅像の中のひとつである龍の首の銅像が、映画のタイトル名の由来にもなっています。

時は流れ、この十二支の銅像のうちのいくつかがオークションに出品され、数百万ユーロという高値で落札されていました。
このカネになるオークションビジネスに、高額な秘宝や盗品の文化財を扱うマックス・プロフィット(MP)社が目をつけます。
MP社は、既に中国へ返還または寄贈されている6体を除く残りの十二支の銅像を手に入れるべく、今作の主人公である伝説のトレジャーハンター・JC(当然ジャッキー・チェンの略称でしょうね(笑))に銅像の探索と奪取の依頼を行うことを考えます。
その頃、当のJCは、どこかの山岳地帯にある軍事施設?へ潜入し、何らかの目的を果たした後に見つかってしまい、逃走を図っていました。
何故か全身でローラースケートが可能なスーツを身に纏い、文字通り地べたを這う奇想天外なアクションで敵の追手と包囲網を次々とかわしていくJC。
最後は通気口?の中へ逃げ込み、仲間に拾われて無事逃走に成功するのでした。
無事を喜ぶJCは、仲間達からMP社の依頼を聞かされることになります。
MP社は、十二支の銅像ひとつにつき100万ユーロ、さらに龍の銅像を見つけたら報酬を10倍にするという条件での探索と奪取をJCと仲間達に対し申し出てきます。
JCはこの依頼を快諾し、まずは十二支の銅像があるとされるフランスのマルソー城へと向かうことになるのですが……。

映画「ライジング・ドラゴン」のストーリーにおける重要なキーワードとなっている十二支の銅像は、その正式名称を「円明園十二生肖獣首銅像」と言います。
作中では、この「円明園十二生肖獣首銅像」がアロー戦争時に英仏連合軍によって略奪されたと、中国人の登場人物達が盛んに主張しているのですが、実はこれは空虚なフィクションもいいところなんですよね。
確かに円明園は、アロー戦争時にフランス軍によって略奪の限りが尽くされ、清軍の捕虜殺害に対する報復としてイギリス軍によって焼き払われた歴史的事実があります。
しかし「円明園十二生肖獣首銅像」については、アロー戦争時には略奪を免れ、英仏連合軍の円明園での略奪後も同じところにそのまま鎮座し続けていました。
「円明園十二生肖獣首銅像」は、アロー戦争後に当時の清王朝自身の手によって移設され、すくなくとも1930年頃までは中国国内に存在していたのです。
したがって、現在「円明園十二生肖獣首銅像」が世界に分散しているのは、アロー戦争時の英仏連合軍の手によるものなどではなく、全くの別人もしくは別勢力によって行われたことになります。
となると、被害者意識丸出しでフランス人達に「略奪された中国の文化財は中国に返すべきだ!」などとがなり立てている作中の中国人達の主張は、その正当性が180度完全にひっくり返されることになります。
彼らは、全く無実のフランス人達に冤罪を押し付けていることになりますし、その一方で自分達の同胞達の罪を不問に付していることになるわけなのですから。
そもそも、当時の中国を支配していた清王朝は漢民族が作った王朝などではなく、元々は女真族こと満州族が建国したものなのですし、当時はその版図の一部に組み込まれていたに過ぎない漢民族が、我が物顔で清王朝の文化財の所有権を主張するというのは滑稽もいいところでしかないのですが。
清王朝の文化財の本来の所有権者である現在の満州族は、中国国内の少数民族として消滅の危機に晒されている状態にある上、満州族本来の領土である満州もまた、清王朝末期頃から漢民族の大量流入によって席巻されている始末です。
満州族をそのような境遇に追いやった中国人というよりも漢民族の人々は、アロー戦争時の英仏連合軍よりも、まずは自分達の「侵略行為」についてこそ素直に反省し、満州族に対して謝罪でもすべきなのではないですかねぇ(苦笑)。
作中でココという女性が、中華思想丸出しな言動でフランス人女性に迫っていった光景は、私から見れば実に笑止な限りでしかなかったのですが。

また他にも、「円明園十二生肖獣首銅像」には結構面白いエピソードがあったりします。
2009年4月に、「円明園十二生肖獣首銅像」の中の兎と鼠の銅像が、フランスのオークションで出品されるという出来事がありました。
フランス在住の中国人達がパリ地方裁判所に競売差し止め請求を行ったものの却下され、2つの銅像は出品されることになったのですが、それを落札したのが中国人の蔡銘超。
彼は3143万ユーロという大金を提示して2つの銅像を落札したのですが、何と彼はその後「カネを払うつもりはない、中国人としての責任を果たしただけだ」と支払いを拒否したんですね。
ということは、彼は最初からパフォーマンスを意図して虚偽の落札を行ったのでなければ、詐欺的な意図をもって銅像を手に入れようとしていたことになります。
これだけでも笑えるところなのですが、当然のごとく銅像の受け渡しを拒否した出品者ピエール・ベルジェの発言がまた振るっていて、彼は「中国が人権を守り、ダライラマ14世がチベットに帰還出来るなら中国政府に銅像を引き渡してもいい」などと述べていたりするんですよね。
当然、そんな切り返しをされた中国政府は、人権問題について反省するどころか鼻で嘲笑い、せっかくの引き渡しのチャンスを棒に振っています(苦笑)。
出品者は、中国の厚顔無恥かつ強欲な性格を大変よく理解していらっしゃるようで(爆)。
痛烈な皮肉で返された中国の態度も、いっそ清々しいほどに自分の面子と欲求に忠実なシロモノですし、中国人および中国政府の性格を理解するのにこれほどふさわしいサンプルも、そうそうあるものではないですね。

さて、少々脱線したので映画の方に話を戻します。
今作では、ジャッキー・チェンが主演ということもあるのでしょうが、銃撃戦を活用したアクションシーンはあまりなく、どちらかと言えば身体を張った格闘戦がメインに展開されていますね。
銃器類が使用されるシーンもあるにはあるのですが、ほとんどコメディタッチなノリで登場しているだけでしかありません。
物語中盤の海賊と対峙するシーンなどはその典型例で、海賊がぶっ放したロケットランチャーや、フランス人女性キャサリンが銃を乱射しまくるシーンでその場にいた全員がビックリ仰天していたり、蔓に絡まっていたロケットランチャーの砲弾が空中をブラブラしていた際は全員が行方を追っていたりと、明らかに笑いを取る進行で物語が進んでいました。
終盤の戦いに至っては、銃をぶっ放せる局面がいくらでもあったにもかかわらず、敵味方含めてほとんど銃を使うことがありませんでしたし。
この辺りは同じアクション映画でも、欧米と中国系で大きな違いがあると言えるのではないでしょうか。
中国系の映画で銃器類がメインで大活躍するような作品というのは、まるで見たことがないですしねぇ。

ジャッキー・チェンのファンの方々にはオススメの映画ではあるのでしょうが、個人的には少々微妙な出来かなぁ、といった評価ですね。


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