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映画「ジャンゴ 繋がれざる者」感想

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映画「ジャンゴ 繋がれざる者」観に行ってきました。
レオナルド・ディカプリオが悪役として登場することで話題となった、クエンティン・タランティーノ監督製作のアクション映画です。
今作の日本公開は2013年3月1日のはずだったのですが、以前にも言及していたように熊本では4月6日からしか解禁されておらず、結果として1ヶ月遅れの観賞となりました。
まあ、たとえ遅れていてもきちんと地方で公開されているだけ、今作はまだマシな部類には入るのでしょうが、この映画の地域間格差は、地方在住の人間にとっては本当に泣けてくる話でしかないですね(T_T)。
なお今作は、作中に様々な拷問描写や流血シーンが満載のため、R-15指定されています。

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」の最初の舞台は、アメリカ南北戦争勃発から2年前となる1858年のテキサス州の荒野。
当時はまだアメリカにも奴隷制度が存在していた時代であり、映画の冒頭でもスペック兄弟という2人の奴隷商人が、奴隷市場から購入した5人の黒人奴隷を鎖に繋いで連行しつつ、テキサスの荒野を移動していました。
そんなある日の夜、野宿をしていた一行の前に、荷台の上に巨大な歯のような飾りを乗せた1台の荷馬車がやってきます。
その荷馬車の持ち主で、自分のことを歯医者と名乗ったキング・シュルツは、スペック兄弟に対し「ブリトル三兄弟のことを知っている奴隷が欲しい」と申し出ます。
「ブリトル三兄弟のことを知っているか?」というキング・シュルツの奴隷への呼びかけに対し、ひとりの黒人奴隷が名乗りを上げます。
その黒人奴隷の名はジャンゴ。
目的の奴隷が見つかったことで、その場でジャンゴを買い取ろうとするキング・シュルツでしたが、突然来訪して好き勝手言いまくるキング・シュルツにも、それに応えるジャンゴにも不快感を覚えたらしいスペック兄弟はこの申し出を拒否。
のみならず、2人に銃を向け、殺害を示唆する脅迫まで行ってきたのでした。
するとキング・シュルツは、予め隠し持っていた短銃でスペック兄弟を銃撃。
ひとりをその場で殺し、もうひとりを馬の下敷きにして動きを封じこめてしまうのでした。
相手を完全に無力化させたキング・シュルツは、奴隷を売買する契約書を適当にでっち上げると、その場でジャンゴの鎖を解き自由の身にします。
そして、残った4人の奴隷に対しては、スペックを60㎞ほど離れた街へ連れて帰るか、この場で殺して自由の身になるかの選択肢を提示し、ジャンゴひとりを連れてその場を後にするのでした。
もちろん、馬の下敷きになっていたスペックはその直後、解放された残り4人の奴隷達によって殺されてしまうことになるのですが(苦笑)。

ジャンゴを引き連れたキング・シュルツは、テキサス州西部にあるエル・パソの街に辿り着き、とある酒場へと入っていきます。
この街では、黒人が酒場へ入ることが法律で禁止されているらしく、ジャンゴの姿を見た酒場の店主は悲鳴を上げて郡保安官を呼びに店を飛び出して行ってしまいます。
そしてやってきた郡保安官を、不意を突いて突然射殺してしまうキング・シュルツ。
街はたちまちのうちにパニックに陥り、今度は郡保安官よりも上位の連邦保安官が、それも集団で酒場を包囲する形でやってくることになります。
しかし、包囲されたはずのキング・シュルツはそんな様子にも全く動じることなく、自分が殺した郡保安官が実は指名手配されていた賞金首であり、連邦判事が発行したという手配書も交えて自分達の正当性を堂々と訴え、さらには賞金の200ドルを払えとまで要求する豪胆ぶりを披露していました。
そしてキング・シュルツとジャンゴは、いよいよ本命の賞金首であるブリトル三兄弟を抹殺へと向かうことになるのですが……。

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」では、奴隷制度や黒人差別が大手を振ってまかり通っていた時代を扱っていることもあってか、白人達が黒人を「ニガー」という差別用語で呼んでいたり、大富豪が奴隷を酷虐に扱ったりするシーンなどが満載です。
特に「ニガー」については、日本であれば真っ先に言葉狩りに引っ掛かって自主規制を余儀なくされていたのではないかと思えるほどに、作中のあちこちで徹底して呼ばれまくっていました。
さすがにアメリカでも批判自体はあるようなのですが、それでも愚劣な言葉狩りの類に見舞われることのない辺りは、アメリカの良いところと言えるのではないかと。
当時のアメリカで「ニガー」という蔑称が普通に蔓延していたという歴史的事実は、差別意識の有無を問わず否定のしようがないわけですからねぇ。
まあ、アメリカにはアメリカで、日本とは全く異なる言論のタブーもあるでしょうし(特にポルノやアニメ・コミック関係の表現の問題とか)、一概にどちらが良いとは言えたものではないのでしょうけど。

予想外な展開としては、レオナルド・ディカプリオが演じるカルビン・キャンディが意外なくらいあっさり退場していたことが挙げられますね。
映画の前宣伝でも当然のごとくメインキャストな扱いでしたし、カルビン・キャンディは最後の最後で倒れるラスボス的な役どころとばかり考えていたので、あのあまりにもあっけない最後は少々拍子抜けな感がありました。
逆に、ある意味本当のラスボス的な位置付けにあるスティーブンなんて、前宣伝ではえらい小さな扱いだった上に登場も遅いですし、カルビン・キャンディと比較しても小物過ぎる感がどうにも否めないところで。
観察眼はあるにせよ、単なる偏執狂的な執事以外の何物でもなかったですし、死に様も見苦しいシロモノ以外の何物でもなかったですからねぇ。
エンタメ作品的な視点から見ると、何でこんなのがラスボスだったのか実に理解に苦しむところがあります。
素直に三下的な役回りと退場を担わせておいた方が、作品的にも映えたのではないかと思えてならないのですが。

あと、今作の主人公であるジャンゴは、キング・シュルツに奴隷から解放されて以降、彼の手ほどきで正確無比な早撃ちガンマンへと変貌しています。
キング・シュルツがどちらかと言えば「敵の隙を狙い、不意を突いて奇襲する」タイプなのに対し、ジャンゴはそれにさらに早撃ち要素を追加した形です。
元々素質自体はあったのでしょうけど、キング・シュルツと一緒に修羅場を掻い潜ることでアレだけの実力を手にしたのでしょうね。
特に終盤は、敵が気づいた時にはもう撃たれている状態の早撃ちを披露していましたし、この辺りは単純なアクション映画としても充分な見応えがありました。
個人的には、2人がタッグを組んで賞金稼ぎとして敵をなぎ倒していく光景をもう少し見てみたかったところですね。
ジャンゴも、冬の間はキング・シュルツの手伝いとして少なからぬ指名手配犯と殺り合っていたようでしたし、こちらのシーンがもう少しあっても良かったのではないかと。

ところで、カルビン・キャンディが最期を迎える寸前、彼はキング・シュルツに握手を執拗に求め、それが生命取りになってしまったのですが、アレは結局何を意図して行ったものだったのでしょうか?
まさか、純粋に表層的な礼儀作法にあそこまでこだわったわけではないでしょうし、詐欺なやり取りを交わしたジャンゴとキング・シュルツとの間に本当の信頼関係が築けるなどというお花畑な思考が働いたわけでもないでしょう。
となると、カルビン・キャンディ的には何らかの意趣返しな意図があったと考えるのが自然なのではないかと思うのですが、それにしてはああいう行為をカルビン・キャンディがしなければならない理由がないんですよね。
カルビン・キャンディが殺害された後、外で待機していたであろう用心棒が大挙して屋敷を囲ったところを見ると、カルビン・キャンディは元々自分に恥をかかせたあの2人&ジャンゴの妻ブルームヒルダを五体満足に逃がすつもりなど最初からさらさらなく、遮蔽物も何もない屋敷の外で完全包囲してなぶり殺しにするつもりだったのではないかと私は疑っていたくらいだったのですし。
むしろ、作中で自身が殺害されてしまったように、わざわざ敵に隙を見せるような危険な行為を、何故カルビン・キャンディが自ら率先して行わなければならないのかと。
不愉快な人間に屈辱を与えることで精神的な満足が得たかった、的なしょうもない動機からくるものだったりするのでしょうかね、アレって。

アメリカ西部劇系やスピーディなアクション映画が好みな方には、文句なしにオススメできる一品です。


コメント一覧

スウ太郎 (01/25 09:04) 編集・削除

握手に対してそんなに深く考えなくてもいいのでは。あれは握手することやで、奴隷制度の現実性と商売性をドイツ人にわからせるという意味での握手です。商売が成立したと。
たしかにレオが意外と早く死にましたけど、スティーブンスを黒幕にもっていったのは、奴隷性に対するメッセージだけでなく、その制度からまた違う階級が生まれる、服従から違う服従に移植されるその怖さを伝えたかったのでは。ただのアクションやラスボス的な感じでみるのはもったいないかと。1919年国際連盟成立において人種差別撤廃を主張したのは日本人でした。それに多くの黒人も賛同しました。ただ、それは普遍的なものでもなく、日本人がすでに他の民族を支配もしてましたし、西洋の中における日本人に対する差別を撤廃することを念頭においてました。これを機会にたとえ、リンカーンが現れても、そのあとにつづく黒人差別、世界的にいまおこっている差別、そして民族差別など多くのことに興味をもたれたら、それこそニガーという単語が使われてるにもかかわらず、出演した黒人俳優たちの意図をくめるのでは。

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