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映画「レッド・ライト」感想

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映画「レッド・ライト」観に行ってきました。
超常現象を科学的に解明すべく奔走する主人公達が、稀代の超能力者として名を馳せるサイモン・シルバーと壮絶な心理戦を繰り広げる、異色のミステリー作品。

物語は、ポルターガイストとおぼしき超常現象に見舞われている家に、マーガレット・マシスンとトム・バックリーという2人の人物が訪れるところから始まります。
2人は、巷で評判の超常現象に懐疑的な立場から調査・検証を行うことを生業とする大学の物理学者で、マシスンが教授・バックリーが助手という関係にありました。
家主?の依頼で訪問した今回の家では、奇妙な物音が響き渡ったり、机が浮き上がるなどの現象が頻発しており、住人は引っ越しを検討すらしていました。
しかし、マシスンはポルターガイストの原因が家主のひとり娘にあり、かつ家の中で頻発していた超常現象も科学的なトリックによるものであることを喝破します。
ひとり娘にこれ以上イタズラをしないよう言いくるめ、2人はその家を後にするのでした。

その後、2人は大学の講義で、冒頭の家で発生した「机が浮き上がる」現象のトリックを解説しています。
サリー・オーウェンという若い女子学生がその講義の内容に興味を抱き、それが縁となってバックリーと恋仲になっていきます。
そして彼女は、バックリーとマシスンと共に、超常現象を調査するチームに入ることとなるのでした。
その頃、巷ではかつて「伝説の超能力者」と言われたサイモン・シルバーなる人物が、30年ぶりに復活を遂げるということで大きな話題となっていました。
バックリーは自分達の生業から言っても当然のごとくサイモン・シルバーを調査すべきと考え、上司たるマシスンに掛け合います。
しかしマシスンは、40年近く前にサイモン・シルバーと公開討論を行った際に彼のトリックを見破ることができずに撤退を余儀なくされた過去があり、「彼は危険だから近づくな」と全く取り合おうとしません。
しかし、サイモン・シルバーの弟子と称するレオナルド・パラディーノの超能力のタネも暴いたバックリーの、サイモン・シルバーの調査を行いたいという欲求は募るばかり。
ついに彼は、単独でサイモン・シルバーの調査を行うべく、サイモン・シルバーが公演を行っている劇場へと向かうのでした。
ところがそれ以降、バックリーの周囲では不可解な異常現象が次々と発生するようになり……。

映画「レッド・ライト」の大部分は、超常現象がどのようなトリックを駆使して展開されているのか、その種明かしを売りとしている感のある作品ですね。
机が浮き上がるトリックの解説とか、頻繁に変わる通信波を使用して観客のことを教える人間の存在とか、アレだけ超常現象の種明かしに終始している映画というのも珍しいのではないかと。
ただ、終盤近くまで続く科学考証至上主義的なストーリー進行自体が、ラストの大どんでん返しの伏線だったりもするのですが。
あの大どんでん返しは、確かに映画の予告編でもあったように「視点を変えてみる」にも合致しますし、ある意味作中の怪奇現象の謎を解くものでもあります。
あえてネタばらしをすると、サイモン・シルバーに関わって以降にトム・バックリーの周囲で発生していた超常現象は、全てトム・バックリー自身の超能力で引き起こしていたものだった、ということになるらしいのですが。
その結末を知った上でよくよく作中の描写を見てみると、トム・バックリーは最初から自分のことを「超能力者だ」と告白しているシーンもあって、「ああ、アレって社交辞令ではなく本当のことを言っていたのか」と納得することしきりではありました。
ただ、一応は「ミステリー」「超常現象への懐疑」を前面に打ち出しているはずの物語で、それを完全に否定する形での超能力を突然持ってくるという展開は正直どうなのでしょうか?
ミステリー作品の基本ルールと言われる「ノックスの十戒」にある「探偵方法に超自然能力を用いてはならない」「探偵自身が犯人であってはならない」にも、真っ向から反した結末となっていますし。
この辺りの構成は、やたらとミステリーな謎を予告編その他で協調しまくっていた映画「シャッターアイランド」と似たり寄ったりな雰囲気があって、どうにも微妙なイメージが否めなかったですね。

それと、アレのせいでサイモン・シルバー絡みの謎のひとつが、結果的に作中で明確に解明されることなく曖昧な形で残ったままになっていますね。
「サイモン・シルバーを非難する者は突然死をする」という謎は、結局作中ではどういう形での決着となったのでしょうか?
特に、1975年にサイモン・シルバーが引退するきっかけとなった、サイモン・シルバーに懐疑的な記者がショーの最中に死亡したという事件は、結局真相が如何なるものだったのかは何も分からずじまいです。
一応作中では、サイモン・シルバーの部下の男が、トイレで一緒に居合わせたトム・バックリーに襲い掛かり、半殺しにするという行為をやらかしているので、サイモン・シルバー
の一派が手を下していたという解釈は成り立たなくもないのですが、それにしても所詮は「疑惑」止まりでしかないのですし。
まさか、30年前の1975年の事件についてもトム・バックリーが関与していた、などというオチはいくら何でもないでしょう。
トム・バックリーは学生と恋仲になれる程度には「若い」という設定のようなのですし、マーガレット・マシスンと違ってサイモン・シルバーとは過去にこれといった面識もなかったようでしたからねぇ。
あそこまで科学にこだわるのであれば、せめてあの事件の真相についても「サイモン・シルバー関係者辺りの過去の回想」的な形で明確な答えを出して欲しかったところではあります。

基本的に超常現象に対する科学的なアプローチが延々と続く作品なので、全体的に派手な描写や手に汗握る展開といったものがなく、その点では万人向けの作品であるとは言い難いですね。
また、ミステリーの観点から言っても、ラストの展開は見る人によってかなり賛否が分かれそうな内容ですし。
超常現象懐疑論が好きな方にはオススメな作品と言えるかもしれませんが。
アメリカでも興行収益は製作費を下回ったほどに低調だったようですし、日本でも大ヒットは難しいかもしれませんね。


コメント一覧

ももこ (02/21 13:48) 編集・削除

管理人とほとんど同じ感想です。特に、シルバーに懐疑的な記者が死亡した事件は、結局真相が何も分からずじまいで、消化不良。恋人役もこれといって活躍の場面がないし、キレイでもない。マシスンのスプーンを曲げたのは誰?という疑問も残るし、トムは窓になぜ鳥を激突させるのか?極めつけは、あれだけトイレでやられれば、死ぬけど。超能力者は死なない??

冒険風ライダー(管理人) (02/22 00:40) 編集・削除

>ももこさん
やはり、「サイモン・シルバーを非難する者は突然死をする」は作中でも上位に入る謎のひとつであるだけに、明確な解答が欲しかったところではありますね。
ラストの真相で作中全ての謎を解消するのが、ミステリーの醍醐味でもあるのですし。
その点でも今作は、ミステリーとしては失格な出来と言わざるをえないかなぁ、と。

http://www.tanautsu.net/

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