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映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」感想

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映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」観に行ってきました。
カナダ人小説家のヤン・マーテル著「パイの物語」を原作とする冒険映画。
第85回アカデミー賞に11部門ノミネートを果たしている作品でもあります。
今作はあの忌まわしき3D映像が駆使された映画でもあったのですが、2D版も公開されていたので、スケジュール調整を行った末に、何とか3D版を回避することに成功しました(^^)。
映画料金節減の観点から言っても、無駄な労力を省きたいという視点から見ても、やはり可能な限り3D版は回避したいものですからねぇ(苦笑)。

今作は、映画の原作「パイの物語」の作者であるカナダ人作家ヤン・マーテル本人が、小説のネタを求め、インド人のパイ・パテルの元を訪れ、2人で会話を交わしているシーンから始まります。
このパイ・パテルが今作の主人公ということになるのですが、今作のストーリーは、パイ・パテルがヤン・マーテルに過去の自伝を語っていくという形式で進んでいくことになります。
パイ・パテルの語りは、そもそもの自分の名前の由来にまで遡ります。
パイ・パテルの本名はピシン・モリトール・パテルといい、これはパイと家族ぐるみで親交のあるママジという人物がよく通っていたフランス・パリのプールの名前から付けられたものなのだそうです。
しかし、彼が在住するインドでは、「ピシン」という単語に「尿」という意味が含まれているため、彼は名前が原因で幼少時からイジメを受けることとなります。
そのことに嫌気がさした彼は、11歳の頃、名前を現在のパイに改め、そのことを周囲に周知させるべく奔走することになります。
学校の授業毎に自分の名前の由来が円周率の「π(パイ)」であることを強調し、さらに円周率の数字を延々と黒板に書き綴っていく荒業まで見せたりしています。
そんな地道な努力が功を奏したのか、パイ・パデルの名は次第に周囲に認められていくのでした。

またパイ・パデルは、様々な宗教についても多大なまでの関心を持っていました。
元来信仰していた宗教のヒンドゥー教はもちろんのこと、キリスト教もイスラム教も一緒に信仰するという、ある意味節操のなさっぷりを発揮していたりします。
パイ・パデルの父親は「全ての宗教を信じることは、何も信じていないのと同じことだ」などとのたまっていましたが。
そんなある日、市から土地を借りて動物園を営んでいたパデル家は、市から援助を打ち切られ経営状態が悪化。
家の主であるパイ・パデルの父親は、動物をカナダに売り払い、新しい生活を始めることを決意し、結果、パデル家は動物達も含めた一家総出で日本船籍の船に乗り込むことになります。
パイ・パデルには当時、学校で知り合ったアナンディという恋人がいたのですが、結局彼女とは別れる羽目になり、彼は悲しみを抱いたまま、日本船籍の貨物船ツィムツァム号に乗り込むこととなります。
ところが、船が日本の南にあるマリアナ海溝へさしかかった時、巨大な嵐が船を襲います。
ちょうど深夜だったこともあり寝静まっていた船は、原因不明な理由でそのまま沈没してしまいます。
船の乗員乗客どころか動物達をも含めて生き残ったのは、人間のパイ・パデルと、同じ救命ボートに何かの偶然で乗り合わせていたシマウマ・オランウータン・ハイエナ、そしてベンガルドラの4匹のみ。
そしてここから、あしかけ227日間にも及ぶ、パイ・パデルの漂流生活が始まることとなるのです。

映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」は、人間だけでなく動物もまた、自身の生存のためならば他者を平気で殺す存在であるという、ごくごく当たり前の事実を再確認させてくれる作品ですね。
パイ・パデルを除く動物4匹のうち、シマウマは足の負傷に加えて飢えと乾きに苦しめられて早々に死亡。
するとハイエナが早々にシマウマの死骸を食べようと蠢動し始め、それに反応してオランウータンがキーキー喚き出すと、ハイエナはオランウータンを半殺しにしてしまいます。
そしてその直後、勝利の雄叫び?を上げたハイエナにベンガルトラが襲い掛かり、一瞬にしてハイエナの息の根を止めてしまったのでした。
こういう光景を見ると、よく環境保護団体辺りが主張する「動物は人間に比べれば理性のある知的な生き物なのです」などというスローガンも、完全に空しいものにしかなりえないですね。
今作を観ると、生物の中ではむしろ人間の方が知恵と理性がある分、他の動物よりもはるかに道徳的な存在なのかもしれない、という感慨すら抱きたくなってくるくらいです。
人間であるパイ・パデルなんて、自身の生命の危機すら招いている感すらあったベンガルトラを作中で何度も助けていましたし。
にもかかわらずベンガルトラは、飢えの苦しみからパイ・パデルを何度も襲撃してきましたし、ようやくメキシコの海岸に漂着して自由の身になった途端、パイ・パデルに目もくれずにさっさと森の中に消えてしまう始末。
アレだけ助け合ったのにと号泣していたパイ・パデルは少々お人良し過ぎる部類に入るのかもしれませんが、動物の無情ぶりをあれほど正面から突き付けられた描写というのはなかなか見れるものではなかったですね。
まあ、アレはあのベンガルトラ個体がそうだったというよりは、ベンガルトラがネコ科の動物で、かつ人にあまり懐かない部類の動物だったという事情もあるのかもしれませんが。

作中の映像は、さすがアカデミー賞にノミネートされるだけのことはあり、かなり綺麗かつ自然の美しさと脅威の双方を上手く表現するものではありましたね。
主人公が漂流しているという事実がなかったら、「ライフ -いのちをつなぐ物語-」辺りにでも普通に出てきてそうな自然風景が展開されていたりもしましたし。
ただ一方で、アレだけ嵐に遭遇する場面やトラとのにらみ合い等のシーンがありながら、アクション&SFX系映画で見られる爽快感をもたらす描写の類はまるでないので、その辺は余計な期待をしない方が良いかと。

全体的な構成としては、自然の雄大さと人間の無力さが前面に出ていて、かつ宗教的な要素が少なくないストーリーが展開されるので、観る人をかなり選びそうな作品ではありますね。
まあ、最終的に主人公は助かっているわけですし、自業自得的な結末で終わってしまった「パーフェスト・ストーム」などよりはまだマシな展開ではあるのですけど。


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