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映画「東京家族」感想

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映画「東京家族」観に行ってきました。
「男はつらいよ」シリーズなどで知られる、山田洋次監督が手掛けた81作目の映画作品となるファミリー・ドラマです。

2012年の5月。
東京の郊外にある診療所・平山医院を営んでいる平山家では、瀬戸内海にある島のひとつ・広島県の大崎上島からはるばる新幹線で上京してくる予定の一組の老夫婦を迎えるべく、準備が進められていました。
老夫婦の長男で家主の平山幸一に代わり、料理を用意したり、2人の子供達に文句を言われながらも老夫婦の宿泊部屋を確保したりと、奥さんである平山文子は大忙し。
久々に両親に会えるということで、同じく東京郊外で理髪店を営んでいる長女・平山滋子も平山医院を訪れ、迎えに行った次男・平山昌次と共に帰ってくるであろう老夫婦との再会を待ちわびていました。
ところが何か手違いがあったのか、平山昌次は迎えに行くべき駅を間違え、本来老夫婦が降車する予定の品川駅ではなく、東京駅で待機していることが判明。
駅の間違いを指摘された平山昌次は、すぐさまイタリア製のオンボロ車・フィアットを駆使して東京駅へと向かいます。
しかし、品川駅で平山昌次を待ち続けていた老夫婦の夫である平山周吉は、これ以上待たされることに我慢が出来ず、妻の平山とみこを連れてタクシーで平山医院へと向かうことになります。
結局、タクシー代に1万円以上もかけたらしい老夫婦は、2人だけで平山医院へ到着することになります。
自分達にとっては孫に当たる、長男の子供達と挨拶を交わす平山周吉&とみこの老夫婦。
そうこうしているうちに、結果的には何の目的を果たすこともできなかった平山昌次も平山医院に到着。
久しぶりに家族一同が揃った平山家では、ささやかな歓迎の夕食会が行われることになったのでした。

翌日。
老夫婦を泊めていた平山家の長男は、自分の子供と一緒に老夫婦を東京観光へ連れて行く計画を立てていました。
ところが今まさに出かけようとしたその時、かねてより平山医院へ掛かっていた患者の容態が悪化したとの連絡が入り、長男はそのまま往診へ行くことを決断します。
当然、東京観光は取り止めとなってしまいました。
予定が立ち消えとなってしまった平山とみこは、父親と一緒に出掛けることを期待していた次男の勇と一緒に公園へ散策に出かけることに。
まだ9歳でしかない勇はすっかり人生を諦めてしまっており、平山とみこはその様子に溜息をつきながらも父親を引き合いに出して諭し続けるのでした。
その後、老夫婦は今度は長女の平山滋子の家で世話になるのですが、こちらは常日頃から理髪店の仕事が忙しくて老夫婦にかまっている余裕がなく、また天候にも恵まれなかったことから、2人は狭い家でただ佇んでいるありさま。
平山滋子は苦慮の末、次男の平山昌次に両親を連れて東京観光へ連れて行くよう依頼します。
平山昌次は、とりあえず東京観光用の遊覧バスに2人を乗せはしたものの、自分はバスの中で居眠りをこいて過ごすというやる気の無さを披露していました。
元々平山昌次は、何かと自分に厳しく当たってくる父親に隔意を持っており、老夫婦の子供である3人の中では一番父親を歓迎していなかったのでした。
そんな中、仕事の都合から両親の面倒を見ることが難しい長女・平山滋子は、同じ境遇にあった長男・平山幸一と相談して、2人を東京都内の高級ホテルに宿泊させることを思いつきます。
かくして2人の老夫婦は、一泊10万円近くもするらしい高級ホテルに宿泊することとなるのですが……。

映画「東京家族」に登場する家族および登場人物達は皆、どこにでも普通にいるような存在ですね。
特殊技能を駆使するスパイやヒーローというわけではなく、辣腕をふるう政治家や悪党というわけでもありません。
ストーリー自体も、手に汗握るスリリングな展開があるというわけでもなく、一応大きな事件は起きるものの、全体的にはそれすらも含めて淡々とした展開が続いていきます。
PG-12&R-15系な描写は何もないにもかかわらず、内容的には議論の余地なく大人向けの作品以外の何物でもないですね。
今作のストーリーは、平山周吉と平山昌次を中心に回っており、実質的にはこの2人が主人公ということになるでしょうか。

今回個人的に注目していたのは、やはり何と言っても平山周吉の平山昌次を巡るやり取りですね。
長男と長女は、父親に対して敬意は払いつつもどこか一歩距離を置いていたような態度に終始していたのに対し、次男は結構本気で父親を毛嫌いしているところがありましたし。
まあ、作中でも明示されていたあの父親の頑固一徹な態度に幼少時から晒され続けていれば、そうなるのも当然ではあったかもしれませんが。
あの父親は、今で言うならば「毒を持つ親(毒親)」に近いものが、平山昌次にとってはあったわけですからね。
あの2人の関係は、ストーリー中盤までは母親の平山とみこが、終盤30分ほどは恋人である間宮紀子が間に入ることで何とか成立していたようなものでしたし。
平山周吉も、次男のことを全く愛していなかったわけではないのでしょうが、父親のあの性格と息子の反感具合から考えると、あの2人だけでは永遠に和解する日など決してくることはなかったでしょうね。
ただ、母親の葬儀後、父親の世話や話し相手を全て恋人に押し付けていた平山昌次の対応は、さすがに正直どうかと思わなくはなかったのですが(苦笑)。
平山昌次の主観的には当然の選択肢であったにしても、厄介事を押し付けられた間宮紀子にしてみれば、「何故私が全く赤の他人の世話などをしなければならないのか?」と疑問に思わない方が不思議な話なのですから。
間宮紀子も、よくもまあアレだけのことを後悔しつつもやってのけたものだと、第三者的に見てさえも考えずにいられなかったですからねぇ。
まあ、そのことを当の父親本人に堂々と言ってのけた辺りは、彼女も相当なまでの「正直者」ではあったでしょうけど。

今作は2011年3月11日に発生した東日本大震災およびその影響をある程度意識して製作されたと聞いていたのですが、作中でそれが反映されていたのはたった2箇所程度でしかなかったですね。
ひとつは、平山周吉の友人宅で、家政婦さん?らしき女性の母親が東日本大震災で発生した津波の犠牲になったというエピソード。
もうひとつは、平山昌次と間宮紀子の出会いが、東日本大震災のボランティア活動がきっかけであったということ。
震災話はもう少し前面に出てくるものとばかり考えていただけに、「たったこれだけ?」という印象を抱かずにはいられなかったですね。
まあ、この映画が最初に企画されたのは東日本大震災発生前で、震災発生をきっかけに撮影を延期したとのことだったので、震災エピソードを大量に挿入する余裕もあまりなかったのでしょうけど。

アクション映画やVFX作品のごとき派手な演出も、ミステリー的な頭脳戦も皆無な作品なので、観る人をかなり選びそうな作品ではあります。
どこか響く物語であることは確かなのですが……。


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