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映画「人生の特等席」感想

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映画「人生の特等席」観に行ってきました。
アメリカ大リーグの卵となる選手をスカウトする仕事を長年にわたって続けてきたプロでありながら「失明の兆候」を発症するという致命的な問題を抱えている老齢の男と、彼の娘で弁護士としての出世を夢見るキャリアウーマンの家族としての軌跡を描いた、クリント・イーストウッド主演作品。

物語の冒頭では、クリント・イーストウッドが演じる今作の主人公であるガス・ロベルが、老齢のためもあってか視力が衰え、排尿すらも不自由な体を晒すシーンが展開されます。
彼はアメリカ大リーグで活躍する名だたるプロの選手を次々とスカウトしてきた「その筋のプロ」なのですが、近年は老齢のためか新規の選手をまるで発掘できずにいました。
彼が所属するアトランタ・ブレーブスでも、パソコンを駆使して選手の見極めを行っているフィリップ・サンダーソンを中心に、ガスの手腕を疑問視する声が上がっている始末。
さらに彼は、妻には先立たれ、唯一の肉親である娘のミッキー・ロベルとは不仲もいいところで、せっかく一緒に外食をした際にもたちまちのうちに喧嘩別れするような関係にありました。
そんな中、アトランタ・ブレーブスでは、ノースカロライナ州の高校の野球チームで主力を担っているボー・ジェントリーという選手に注目していました。
アトランタ・ブレーブスは、ボー・ジェントリーの実力を確認し、彼がスカウトに値する選手であるかを見極めるべく、ガスにノースカロライナ州へ向かうよう指示。
出発の直前、ガスは亡き妻の墓参りへと向かい、娘が弁護士の資格を持妻でに至ったことを誇らしげに報告すると共に、娘との関係が上手くいっていないことを自虐混じりにことぼくのでした。

一方、ガスの長年の友人で同じアトランタ・ブレーブスの同僚でもあるピート・クラインは、ガスの娘のミッキーに対し、最近のガスの様子がおかしいことを報告すると共に、ガスと一緒にノースカロライナの試合会場を回って欲しいと頼み込むのでした。
当初、弁護士であるミッキーは、ちょうど自身の出世がかかっている重要な仕事の真っただ中にあったこともあり、取りつく島もなくこれを断ります。
しかし、ガスのことを診療していた医者にガスの容態を聞き、視力に異常があり早急な検査と手術が必要な体であるという情報を強引に聞きつけ、さらには出世の競争相手であるトッドに家族のことで嫌味を言われたこともあって、彼女は強引に数日間の休みを取得して父親の後を追うことになります。
かくして、ノースカロライナ州で再会し、ボー・ジェントリーのチームの試合を観覧して回ることになるガスとミッキーの2人。
ノースカロライナ州での旅は、2人の関係にどんな影響を与えることになるのでしょうか?

映画「人生の特等席」は、前半と後半で流れが大きく変わるストーリー構成ですね。
物語前半では、クリント・イーストウッドが演じるガス・ロベルの老衰ぶりと頑固親父ぶりがとにかく前面に出ていて、あまり未来に希望を感じさせない暗い展開が続きます。
逆に物語後半、特にガスがボー・ジェントリーの実力を見極めた辺りからは、明らかにロベル親子の風向きが変わったかのような雰囲気すらありました。
アレがガスの実力の本領発揮であることと、娘のミッキーが父親を見直す端緒となったのですから当然のことではあるのですが。
ただ、前半の暗い展開と流が結構長い時間続くことから、人によっては前半で評価を落とすリスクも否めないところではありますね。
前半の主人公は、色々な悩みや葛藤なども描かれてはいるにせよ、まるで良いところがないですし。

個人的に少々驚いたのは、前半で明らかに父親に隔意を抱いている様子を隠そうともしていなかったミッキーが、実はかなりの野球通であったことですね。
彼女は、物語中盤頃に出会うこととなるジョニー・フラナガンと、大リーグ絡みのトリビア話で相当なまでに盛り上がっていたのですから。
元来父親が嫌いだったはずのミッキーが、ああまで野球のことに詳しく、かつ楽しげに語っていたりするというのは少々意外な話ではあったのですが。
彼女、弁護士ではなく父親と同じスカウトの道を歩いていた方が、自分の趣味を生かせる天職でもあったでしょうし本人のためにも良かったのではなかったのかと。
実際、物語終盤では、全く無名のリゴ・サンチェスを見出すという、父親以上とすら言えるレベルのスカウトまでやってのけていたりするのですし。
弁護士としてもそれなりに有能ではあったようですし、そちらはそちらで彼女にとってはやりがいのある仕事ではあったのでしょうけど。
一方のジョニー・フラナガンも、かつてはガスに見出されて野球選手として活躍していたという経緯もあってか、大リーグ野球に関するこだわりはこちらも相当なものが感じられましたね。
大リーグ野球についてロクに知識もない私としては、次々と繰り出されるトリビアネタに、ただただ「凄いなぁ」と見ているしかなかったのですが(苦笑)。
この一種の「野球オタク」ぶりは、ジャンルは違えど映画「僕達急行 A列車で行こう」に登場する「鉄ちゃん」達にも通じるものがありますね。
ああいう「趣味の一致」で意気投合し親しくなっていくのは自然な流れではありますし、あの2人は友人にせよ恋人にせよ、なかなかに良好な人間関係を構築できそうな感じでした。
ああいう出会いと人間関係って、傍から見ていても羨ましいと感じられるものがありますねぇ。

物語終盤でミッキーがスカウトとしてその素質を見出していたリゴ・サンチェスは、一見すると唐突に出てきたような印象があるのですが、実は彼はその前に伏線としてチラリと登場してはいたんですよね。
ミッキーかガスがノースカロライナのモーテルでチェックインして部屋の鍵を受け取っていた際に、リゴ・サンチェスとその弟?の2人が野球だかキャッチボールだかをしに出かけようとしている描写があったのですから。
最初にリゴ・サンチェスが出てきた際には、「何故何の脈絡もなくいきなり出てくるの?」と一瞬訝しんだものの、すぐにあんなチラッとした描写が伏線だったと気づいて愕然とせざるをえませんでしたよ、私は。
この伏線の張り方は結構上手いものがあるのではないかと思いました。

これまで数々のアクション映画や人間ドラマ作品を提供してきたクリント・イーストウッドなだけあって、その「老練」な役者ぶりは確かなものがありますね。
彼のファンか、あるいは家族の絆をテーマとする作品が好きなのであれば必見の映画と言えそうです。


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