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地方の道路事情を無視した警察庁の自転車規制強化方針

幅3m未満の歩道における自転車の通行を事実上禁止し、車道を走らせる方針を固めた警察庁。
自転車利用者のマナーの悪さに対する抜本的な対策、ということらしいのですが……↓

http://megalodon.jp/2011-1027-2346-52/mainichi.jp/select/wadai/news/20111026ddm001040017000c.html
>  自転車の交通ルール違反が後を絶たず、事故も多発していることから、警察庁は25日、自転車の原則車道走行を促すことを柱とする自転車交通総合対策をまとめ、全国の警察本部に通達した。自転車通行が可能な歩道を減らし、自転車レーンの整備を進めることにより、自転車と歩行者の分離を図り、悪質で危険な運転の取り締まりも強化する。歩道走行を事実上容認してきた従来の姿勢を転換した。
>
>  「自転車通行可」の標識がある歩道は全体の46%を占める。このうち
幅3メートル未満の歩道について警察庁は、自転車の走行を原則禁止する方向で検討するよう指示。ただし、幼児やお年寄りは除外し、車の交通量が多く車道走行が危険な場合なども例外と位置付ける。どの歩道を見直しの対象とするかは交通事情に応じて各警察本部が判断する。
>
>  また、自転車が通行しやすい環境を整備するため、縁石などで車道と区切られた自転車道や、自転車専用通行帯(自転車レーン)を増やすことも総合対策に盛り込んだ。
>
>  街頭での取り締まり強化も指示した。速度を上げて走る自転車は車道を走行するよう指導し、やむを得ず歩道を走る場合は徐行するよう注意する。注意に従わなかったり、ブレーキをつけないピスト(競技用自転車)など悪質な違反には交通切符(赤切符)を切って摘発する。
>
>  統計によると、昨年の自転車関連事故は15万1626件で交通事故全体の2割を占め、死傷者の3分の2にルール違反があった。
自転車利用者のマナーの悪さに対する批判も絶えず警察庁は抜本的な対策を検討していた。担当者は「今回の総合対策で自転車は『車両』であることを徹底し、ルール順守の意識を浸透させたい」と話している。【鮎川耕史】

東京などの大都会はともかく、自転車を走るスペースが車道にない上、歩道に誰ひとり歩いてない道路も少なくない地方で、こんな法規制を強化しても無意味どころか有害ですらあります。
ハイスピードで走行するクルマやトラックのすぐ真横を自転車で走行するなど、自殺行為以外の何物でもないのですが。
何故こんな現実と著しく遊離した方針を警察庁は打ち出したのでしょうか?

そもそも「自転車事故が増えた」とはいっても、その大部分は「【歩道における】歩行者との接触事故」ではありません。
自転車事故の75%は「自転車と自動車による【車道での】接触事故」であり、さらに22%はこれまた「自転車と自動車による【横断歩道での】接触事故」なのです。

http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info47.pdf
<当然のことながら、全体の75%は車道上で発生しています。その次に多いのは横断歩道上の22%です。>

歩道から自転車を締め出したところで、車道での事故が激増するだけでしかないことは、この自転車事故の内訳を見ても一目瞭然です。
東日本大震災の影響で自転車通行者が急増したと言っても、自転車と自動車の接触事故を凌駕するほどの勢いなんてないに決まっているでしょうに。
地方では自転車で歩道を走っていても、歩行者に出会うことすら珍しいくらいなのですよ?
全体で僅か3%前後しかない歩行者との事故を避けるために、その25倍以上もの(自動車を相手にした)リスクを、自転車通行者は背負わなければならないとでもいうのでしょうか?

また各自治体の道路行政を見ると、元々は自転車・自動二輪車専用の路線があったにもかかわらず、自動車の交通の便を良くするためにわざわざそれを潰して二車線の自動車道路にした事例も多々あったりします。
福岡市中心地から筑紫野市までを繋ぐ福岡県道31号福岡筑紫野線なんてまさにその典型例で、一部にかなり狭い二車線道があるのはその名残だったりするんですよね。
もちろん、自動車の渋滞問題を解消するという観点から言えば、その道路拡張には大いに理と利があったわけですが、その副作用で自転車や自動二輪車はかなり通りにくい道路になってしまっています。
自動車側の都合から自転車が安全に走れる環境を自ら潰しておきながら、その危険性を顧みることなく車道を走れというのは暴論もいいところでしょう。

今回の方針決定で警察庁は「自転車は『車両』であることを徹底し、ルール順守の意識を浸透させたい」などと主張しています。
しかし、そもそも現状の道路事情では「自転車は『車両』」とする道交法自体が現実離れしているとしか評しようがないんですよね。
現実と法律が合致していないのであれば、法律を現実に合わせて改正すべきはずなのですが、警察がやろうとしているのはその逆の「法に合わせて現実を変える」ですらなく、ただひたすら「現実を無視して法をゴリ押しする」行為でしかありません。
ただ自転車通行者を締めつけるだけの法規制を強化徹底することよりも、法そのものの改正や自転車交通環境の改善整備、自転車マナー教育の充実など、優先してやるべきこと&やれることはたくさんあるように思えてならないのですけどね。


コメント一覧

佐藤 (11/04 13:16) 編集・削除

本当にひどい話です。自転車で安全安心に走れる環境を整備せず、自転車バッシング、歩道走行を制限するなどとは、完全に狂っている。

こちらのブログでも、同様にマスメディアと警察の問題点を追求されています。ありがたいことです。同志は居ます。
http://d.hatena.ne.jp/delalte/

冒険風ライダー(管理人) (11/05 02:05) 編集・削除

>佐藤さん
自転車を車道に追いやったところで車道での事故が激増するだけでしかないのは、感覚的にも統計的にも明らかですからね。
自動車のマナーもお世辞にも良く出来たシロモノとは言えませんし、自転車側を締め付けるだけで状況が改善するわけもないのですが。

大量の人が行きかう都心部の歩道などといった局地的な取り締まりを強化するというのならばまだしも、歩道に人がいない道路が大多数な地方で自転車の取り締まりを強化して一体何が達成できるのかと。

http://www.tanautsu.net/

シライ (11/09 23:14) 編集・削除

ネットで検索すると、マスコミが二次的に流した情報で怒りを爆発させているサイトが7割で、警察庁の通達を精読して、その画期的内容に喚起しているサイトが3割と言ったところです。
多少手前味噌ではありますが、自身が三年前に上梓した本の内容に沿って、社会実験等がなされる過程で、警察庁も自身の本の内容を知るようになって、今回の方針転換につながったと考えています。
ウソだと思うなら、お近くの図書館等でご確認を。

http://asu-ho.jimdo.com/

774 (11/10 23:13) 編集・削除

まあ、海外だと普通に、自転車が車道を走っていますしね。
しっかりしてれば大丈夫かもね。

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