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映画「ツリー・オブ・ライフ」感想

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映画「ツリー・オブ・ライフ」観に行ってきました。
……しかしいきなりで何なのですが、この映画、製作者達が一体何をテーマにしたかったのかすらも意味不明な作品構成です。
一応公式サイト等の紹介によれば、1950年代のとある家族にスポットを当てた物語とのことなのですが、作中では何故か数十億年前の地球&生物の誕生、および進化の過程や恐竜などが描かれていたりします。
作中の登場人物がしゃべるセリフも非常に少なく、モノローグによる進行がメインだったりします。

この映画のストーリーはとにかく支離滅裂。
作中の冒頭は「(主人公の弟で)家族の次男が(不慮の事故か何かで)死んだ」という話から始まり、そこからしばらくは次男のものと思しき部屋や悲嘆に暮れる両親のシーンが描かれます。
そして、同じく悲報に接した壮年の男性ジャックが、高層ビルのエレベータに乗りながら昔を回想し始め、幼き日の思い出が映し出される……はずだったのですが、そこから始まったのは、この記事の冒頭で言及した数十億年前の地球&生物の誕生、および進化の過程や恐竜などだったりするわけです。
弟の死と地球創生に一体何の関係があるのかと目を皿のようにして注意深く映画を観賞していたのですが、その関連性は最後まで全く明らかになりませんでした。
もちろん、あれらの地球創生絡みの描写が、この後にメインで描写されることになる家族の話の伏線だったりキーワードだったりすることもありません。
この意味不明な描写の数々は物語終盤にも大量に盛り込まれていて、正直「何故こんな描写を入れなければならないのか?」と考えずにはいられませんでしたね。
作中では何度も聖書の文言がモノローグとして語られていましたし、おそらくはキリスト教絡みの神性を強調する意図でもあったのかとは思うのですが、それにしても抽象的かつ物語的な意味が無さ過ぎます。

しかも、その意味不明の描写を経てようやく始まった家族話自体、「次男の死」から始まっているにもかかわらず、肝心の次男についてのエピソードが圧倒的に少なく、メインの扱いには全然なっていないんですよね。
今では使用が禁止されている農薬・DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の屋外散布が象徴している1950年代のテキサス州を舞台に繰り広げられる家族話は、長男である主人公が生まれてから、父親の都合で他所へ引っ越すまでのエピソードが描かれているのですが、メインとなっているのは「何かと子供達に厳しく当たる父親との確執」だったりします。
しかも最後を締めるエピソードも「父親が子供達に厳しく接した理由の告白」と「父親との和解」みたいなシロモノでしたし。
これでは次男の死から回想を始めなければならない必然性自体がないとすら言えます。
冒頭の描写は、次男ではなく父親が死んだということにしていた方が、回想エピソードとの整合性が取れたのではないでしょうか?
しかも、物語を構成する各エピソードがあまりにも飛び飛び過ぎて、物語の全体像というものが非常に把握しにくい構成になっています。
まあ製作者的には「子供に厳しい父親」「それに耐える子供達」という構図を表現することを至上命題としていたのでしょうが、起承転結というものがまるでなっていないというか……。
ブラッド・ピットをはじめとする俳優さん達の演技そのものは決して悪いものではなかったのですが、意味不明な演出の数々とストーリーの支離滅裂ぶりは評価のしようがありませんね。

映画「ツリー・オブ・ライフ」は、カンヌ国際映画祭で最高の賞となるパルム・ドール賞を受賞しているとのことです。
しかし、作品としてのストーリーが全く成り立っていない感すらあったあの作品構成の一体どこに賞に値するものがあったというのか、個人的にははなはだ疑問に思わざるをえませんでしたね。
国際的な映画の評価基準というのは一体何をベースにしているのか、そもそもそういう評価自体本当に信用に値するものなのか、とすら考えてしまいましたし。

久々に「盛大にハズレている」映画を観てしまった、というのが率直な感想ですね。
私的に他人にオススメできる映画とは到底言えたものではありません。
今年観賞する映画どころか、これまでの映画観賞歴の中でもワーストクラスに数えられるであろう駄作とすら言えますね。


コメント一覧

KGR (08/17 11:24) 編集・削除

私にとっても何を言いたいのかよく判らない映画でした。

現在のショーン・ペンの葛藤が何かわからないし、そこから次男の死、少年時代の兄弟の挙動に結びつくものは感じられませんでした。

少年時代のエピにしてもなんであそこまであの時代にだけこだわるのかよく判らないし、
ラストの浜辺っぽい死者たち(?)との出会いの場面も意味不明。

判る人だけ判ればよい、そういう感じでした。

http://blog.goo.ne.jp/thiroi/

冒険風ライダー(管理人) (08/17 19:34) 編集・削除

宗教観たっぷりの地球創生関連ネタと家族話、2つの全く異なる物語を無理矢理一緒くたに詰め込んだ感がありありな作品でしたね。
どちらか一方に集中していればそれなりの作品になったでしょうに。
何故こんな作品がカンヌの賞なんて受賞したのか、全くもって理解に苦しみます。
カンヌで賞を受賞した作品、と聞いたことがこの映画を観るきっかけとなっただけに、詐欺にでも遭ったような気分にさせられましたよ。
あまりの「前衛芸術」ぶりが評価でもされたのでしょうかねぇ……。

http://www.tanautsu.net/

smoky (08/19 19:19) 編集・削除

久々にものすごい映画を見たと思いました。
嫁と見に行ったので泣かないように我慢していましたが、最後のヒマワリ畑のシーンあたりでもう涙が止まらなかったです。
テーマはおそらく「小さな愛の偉大さ」みたいなものなんじゃないでしょうか?
生々しい少年期の回想と、全く対照的な地球の歴史や宇宙の映像などが、最後のシーンで見事に完全に融合していて、ストーリーというより映像と音楽で力強くテーマを表現しきっていると感じました。

冒険風ライダー(管理人) (08/19 22:08) 編集・削除

>smokyさん
確かに映像自体はよく出来ていましたし、登場人物達の演技なども悪くはなかったのですが、必要最低限の起承転結すら全くなっていないという作品構成が私には全く馴染めなかったですね。
カンヌでも「ツリー・オブ・ライフ」は拍手喝采とブーイングの両極端な評価に分かれたそうですが、私は確実にブーイング派です。
「観る」ことよりも「感じる」ことに重点を置いている映画なのでしょうが、「感じ方」なんて人それぞれですからねぇ。
極端に「人を選ぶ」映画であると言えそうです。

http://www.tanautsu.net/

N (09/13 23:44) 編集・削除

今年見た映画の中でも圧倒的に素晴らしい映画でした。
ところどころで涙があふれてきて胸が苦しくなりました。
決して難解な映画ではないです。
映画を見慣れていて、キリスト教についての基礎的なことがわかっていれば理解できるはずの映画です。

「観る」ことよりも「感じる」ことに重点を置いている映画ではありません。明確にストーリーは存在し、伝えたいテーマもあります。恐竜が出てくるのにも意味があります。
キリスト教(特に福音派)について学んだ上で考えながら見てほしい映画です。

感じるんじゃない。考えろ!

冒険風ライダー(管理人) (09/14 22:41) 編集・削除

いや、映画を見るためにそんな知識を事前に仕入れておかなければならないという時点でアウトなのではないかと。
キリスト教、ましてや福音派なんて、大多数の日本人にはすくなくとも欧米人よりは馴染みがないものですし、そもそもカンヌでさえ拍手喝采とブーイングの評価に分かれたことを考えれば、キリスト教信仰が当たり前であるはずの当の欧米人ですら全員が理解できるものでなかったことは確実でしょう。
同じ宗教的な世界観を披露する作品でも、「死後の世界」「人の死」をテーマにしていた「ヒアアフター」などは良く出来ていた映画だったのですけどねぇ…。

http://www.tanautsu.net/

kabumasa (12/11 17:21) 編集・削除

初めまして。「タンタンの冒険」のことにちょっと触れた
ブログ記事にトラックバックがあったので、覗いてみて、
少し記事を読んでみました。で、ちょっとコメント。

「ツリー・オブ・ライフ」確かに今年の駄作の1本ですね。
カンヌのパルム・ドール作品ってクズ作品が意外に多いんですよね。
カンヌということで審査員(米人も多い)が気取ってその手の作品を
選んでしまうのかな。テレンス・マリック作品なんてその典型。
初期の「地獄の逃避行」「天国の日々」は確かに出来が良いし、
「シン・レッド・ライン」はかなりいける。
しかし、「ニューワールド」「ツリー・オブ・ライフ」は
ただただ自己満足だけの「おれってこんなに深い哲学的な
映像が作れるんだよな」(実は全く浅薄なお笑いでしかない
妄想なんだが)的な映画でうんざり。監督は「シン・レッド・ライン」
で止めていれば晩節を穢さなかったのにね。映像で語る監督って
言われるけど、間違い。映像で語れないから無駄に饒舌なナレーション
を入れてしまって説明してしまう映画監督失格者。

http://onsen-kabumasa.cocolog-nifty.com/okirakunikki/

冒険風ライダー(管理人) (12/11 18:22) 編集・削除

>kabumasaさん
こちらこそはじめまして。
トラックバック承認、ありがとうございます。

「ツリー・オブ・ライフ」は観賞が終わった直後に「今年一番の駄作映画はこれで決まったな」と考えてしまったレベルのシロモノでしたからねぇ。
私がこの作品を観に行ったのは今年の8月で、その後も20本以上の新作映画を観賞しているのですが、その評価は未だに不動のままです(苦笑)。
おかしな地球創生絡みのシーンが延々と披露されていた箇所などは、観賞を続けること自体に退屈感どころか苦痛すら覚えたほどでしたし、あの辺りで席を立ってスクリーンから出て行った人も少なくはなかったでしょうね。

> カンヌのパルム・ドール作品ってクズ作品が意外に多いんですよね。
> カンヌということで審査員(米人も多い)が気取ってその手の作品を
> 選んでしまうのかな。テレンス・マリック作品なんてその典型。

「ツリー・オブ・ライフ」は作品自身のみならずパルム・ドール賞自体の評価をも確実に下げたでしょうね。
私の場合はさらに「そんな名のある賞を受賞したのならそこそこ良い映画だろう」と考えたのが観賞動機にもなったのですから、その期待が裏切られたダメージは小さくありませんでしたし(T_T)。
せめて「パルム・ドール賞は哲学的かつ前衛芸術な作品を高く評価します」という事実が周知されていれば、まだ警戒もできたのでしょうけどね。

http://www.tanautsu.net/

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