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男女平等をグロテスクに表現した映画「スターシップ・トゥルーパーズ」

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1997年(日本では1998年)公開映画「スターシップ・トゥルーパーズ」。
「ロボコップ」「トータル・リコール」などの製作で知られるポール・バーホーベン監督が手がけたこの作品は、地球に侵略してきた昆虫型宇宙生物(アラクニド・バグズ)と戦う全体主義政権下の人類社会が皮肉たっぷりに描かれています。

この作品の大きな特徴のひとつとして、作中のあちこちで何度も展開されるニュース・CM等のTV番組の存在が挙げられます。
これは、作品世界内で起こった事件や出来事が作中世界のマスメディアでどのように報じられているかを表現するもので、作品内の世界観や未来世界のあり方をブラックユーモアも交えて解説する手法として、特に近未来世界が舞台となるポール・バーホーベン監督作品ではよく多用されています。
ところが、この作品のそれは全体主義的な軍事政権が人類社会を支配しているためか、やたらと過激でプロパガンダ的だったりするんですよね。
地球が襲撃されたことで国民の怒りを煽り、戦争に駆り立てていく報道などはまだ大人しい部類。
昆虫そのものに対する敵愾心を植えつけるためなのか、学生が学校の授業で砂カブトムシの解剖実習をするシーンが放映されたり、ラストでは勝利のプロパガンダとして、捕獲したアラクニド・バグズのボスキャラ的存在のバグにドリルを突っ込んで解剖するニュース報道が流されたりと、まあとにかくやりたい放題。

また、どう見ても重装甲で固められているとしか言いようのない見た目のバグ達に対し、ほとんど軽機関銃だけを武器に第二次世界大戦レベルの銃剣突撃を、しかも空(宇宙)からの支援もなしに敢行する、あまりにも非合理的な地球連邦軍の兵士達。
案の定、敵のバグ達に兵士達は次々と簡単にやられていくのですが、バグに兵士達が血祭りにされていくシーンはとにかく悲惨で残虐の一言。

作品製作側としては、あえてそういう手法を用いることで、全体主義、とくに「アメリカ帝国主義」に対する皮肉と風刺を意図していたとのこと。
そのためなのか「スターシップ・トゥルーパーズ」は、製作されたアメリカよりも日本の方が大ヒットしていたのだそうです。
実際、確信犯的に描かれたその手の報道描写や戦争描写のバカっぷりは、下手な反戦映画よりもはるかに「戦争の愚劣さ」というものを上手く痛烈に表現していますね。

ところで、この作品で地球を支配している政権下の社会では、完全な男女平等が実現されているという設定があります。
完全な能力主義が採用されており、女性であっても能力があれば高い地位に上れるし、そうでなければ男性でも最前線の平隊員。
実際、作中でも軍のトップは女性ですし、機動歩兵である男性主人公よりも、艦隊アカデミーに配属されたヒロインの方が軍内では地位が高かったりします。

しかし、この作品はそれでも男女平等を上手く表現できないと考えたのか、更なる「男女平等」を描写していきます。
男女の身体格差など無視して同一プログラムの軍事訓練が、しかも男女混合で行われる。
軍内の寝食も男女の区別は一切設けられず全て共同。
挙句の果てには複数の男女が「一緒かつ同室で」シャワーを浴びているシーンが、男女共に恥らう様子もなく当然のように描写される徹底ぶり。
特に男女同室のシャワーシーンは、作中で皮肉交じりに描かれている滑稽なプロパガンダ報道などよりも、「そこにある事実」と言わんばかりに否定も肯定もなく淡々と描写されているため、却って奇妙な迫真性が加わって衝撃的でしたね。

何でも監督であるポール・バーホーベンは、件のシャワーシーンを撮影するにあたり、裸になるのを嫌がる俳優達の前で自ら服を脱いでスッポンポンになり、俳優達に喝を入れたのだとか。
監督が何を意図していたかはともかく、「男女平等」という概念が抱える負の側面を最もグロテスクに表現するという点で、あのシャワーシーンは他に並ぶものがない秀逸な描写であると言えます。
私はあのシャワーシーンから、「男女平等」というものに対してこれ以上ないほどの気持ち悪さを覚えましたし、「ひょっとするこんな未来が本当に実現してしまうかもしれない」という奇妙なリアリティまで感じてしまったほどです。

何しろ日本には、「男女性差全否定」を掲げるジェンダーフリーなる過激で愚劣な思想を持つ勢力が、しかもよりによって小中高校の教育現場に実在し辣腕を振るっているわけですからね。
連中は男女混合名簿をはじめとする「男女性差全否定」を実施したり、また身体測定を男女混同で行ったり、体育の授業などの際に男女同室で着替えをやらせたりするなど、まさに「スターシップ・トゥルーパーズ」のシャワーシーンの実現が最終目的としか思えない教育指導を「実際に」行っています。
ジェンダーフリー教育がこのまま推進されれば、最終的には「スターシップ・トゥルーパーズ」におけるシャワーシーンが本当に日常生活の一部として現出する未来が実際にありえるわけです。
全く、あのシャワーシーンを「今後もありえない架空の絵空事」として一笑できるものならどんなに良かったか…。

かくのごとく、作中のあちこちに散りばめられたブラックユーモア&グロテスクな描写と、純粋な戦争アクションシーンの迫力を売りにして大ヒットした映画「スターシップ・トゥルーパーズ」。
この作品、一応続編も作られてはいるのですが、製作予算の規模が1に比べてあまりにも小さく、これといった話題にもなっていません。
1は色々と面白かっただけに、続編にも力を入れて欲しかったところです。


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