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映画「恋する歯車」感想

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映画「恋する歯車」観に行ってきました。
「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」シリーズで活躍してきた若手俳優達にスポットを当てる映画シリーズ「TOEI HERO NEXT」の第三弾。
今作では、「海賊戦隊ゴーカイジャー」に出演していた俳優達にスポットが当てられています。
同シリーズの第二弾「ぼくが処刑される未来」と同じく、上映される映画館も少なくマイナーな作品ではあるみたいなのですけどね(T_T)。
作中ではセックスを連想させる微妙な描写の他、血を流して死んでいる人間の描写等もあることから、PG-12指定されています。

今作の主人公で弁護士志望の大学院生・高岡祐市は、ある日突然両親を事故で失ってしまったことから、チンピラに喧嘩を売るなどの自暴自棄な生活を送っていました。
その日も、複数のチンピラ達にボコボコにされているところを、通りがかった警官に助けられる始末。
その警官は、元警察官であった死んだ父親の元部下だったということもあり、「いざという時にはここに連絡して」と高岡祐市相手に世話を焼くなどの親切ぶりを披露していました。
結果、高岡祐市はボロボロになった身でありながら、警察の世話になることもなく帰宅の途につくことができていました。
しばらく道を歩いていると、高岡祐市は、道路に飛び出したひとりの女性がそのまま道の真ん中で立ち尽くしている光景を目撃します。
さらにそこへ、お約束のごとく大型トラックがスピードを出し、女性めがけて突っ込んできました。
高岡祐市は女性を助けようと自分も道路に飛び出し、間一髪のところで女性を突き飛ばし大惨事を回避することに成功します。
助かった女性は自分の事情や自殺に至るまでの経緯については何も語ろうとしませんでしたが、自分を助けてくれたことについては、高岡祐市にキスし礼を述べることで応じるのでした。
その女性の名は藤島リサ。
これがきっかけとなり、2人は交際する関係となり、次第にその仲を深めていきます。

そんなある日、高岡祐市の両親の死後49日が経過したことから、高岡家では父母の生前の知り合いや親族等を集めて49日法要が行われていました。
その最中、高岡祐市は「両親の死に際しての事故報告書で、ブレーキ痕の形跡がない」という不審な内容に疑問を抱きます。
そこで彼は、法要を取り仕切っていた父親の元同僚で現職の警察官である曽根隆三に警察内部での調査を依頼。
また事故報告書によれば、両親が乗っていた車は、時速75㎞ものスピードで交差点の角に激突していたとのことだったのですが、高岡祐市が直接事故現場に赴いてみると、そこは極めて狭い道路の交差点であり、普通に運転していて時速75㎞ものスピードが出せるような場所ではなかったのです。
やがて高岡祐市は、両親の死そのものに対し疑問を抱くようになっていくのですが……。

映画「恋する歯車」は、派手なアクションなどの演出はおよそ皆無で、どちらかと言えばミステリーな謎解きが醍醐味な作品ですね。
最初はいくつもの謎が次々と出現しつつ、わけが分からないままに翻弄されるのですが、物語後半でちりばめられた謎がこれまた次々と解明されていくという構図が展開されています。
ただ正直、ミステリーとしてはあまりにも色々なものを詰め込みすぎている感が否めないところではあります。
25年前の事件を隠蔽するために、殺人はもちろんのこと、25年近くにわたって家を監視する警察とか、そのためにわざわざ恋人に偽装した監視役までつけるとか、当事者以外の人間が聞いたら誇大広告の陰謀論も甚だしいことを、しかし作中の公安警察は大真面目にやっていたりしますし。
警察もまあ、昔の汚点を隠蔽するためとはいえ、ずいぶんとまだるっこしいことをやっているなぁ、と見ているこちらの方がツッコミを入れずにいられなかったのですけどね。
元々作中の警察は、犯罪捜査や真実の隠蔽のためならば手段を問わず、殺人も拷問でさえも躊躇しない集団として描かれているのに、わざわざ25年も監視「のみ」を続けなくてはならない理由が必然性が一体どこにあったというのでしょうか?
あんなことをするよりも、25年前に事件の関係者一同を全員殺してしまっていた方が、事件の隠蔽という観点から言っても、面倒な手間やゴタゴタを事前に抑止するという観点から見ても上策だったでしょうに。
25年前に高岡祐市が高岡家に引き取られた理由も、養父たる高岡宏則の個人的な「罪滅ぼし」でしかなかったのですし、高岡祐市を殺してはいけない理由自体がないに等しいのですが。
そのくせ25年後になると、今度は高岡家の面々を殺すことに何の躊躇もないときていますし。
どうにも作中の警察は、悪逆な組織であるかのごとく描かれている割には、肝心なところで冷酷に徹しきれない中途半端ぶりが浮き彫りになっているとしか評しようがありませんでした。
物語のラストで高岡祐市に銃を発砲しその場で倒しておきながら、それを介抱していたリサも口封じに一緒に殺そうとしたのを制止した行為も意味不明でしたし。
主人公死亡?のためにほとんどバッドエンド的な終わり方になってしまったことも含め、あのラストシーンは映画の評価を大きく下げるシロモノにしかなりようがなかったですね。

また、日本に革命をもたらすために活動しているという、一昔前の左翼学生運動を髣髴とさせるテロ組織も、関口琢馬の狂人ぶりが前面に出過ぎていて、狂信的な過激派以上のものが今ひとつ伝わりにくいものがありますね。
一応彼らも、警察の陰謀論や監視の仕掛けを見破るだけの知識や能力は持っているわけですし、もう少し冷静沈着かつ警察に対抗しえるだけの存在として描く余地は充分にあったのではないかと思えてならないのですが。
ある意味「古典的」な警察の悪逆描写と併せ、昔懐かしい左翼思想のノスタルジアをベースに今作の脚本は制作されたのではないかとすら思えてしまうほどに、ストーリー構成や設定面については時代錯誤かつチープな内容もいいところでしたね。
それこそ25年前に今作が製作・公開されていたら、あるいは「時代のニーズと合致した作品」として大ヒットしえたのかもしれませんが(苦笑)。

ところで、細々とながらも上映されてきた「TOEI HERO NEXT」シリーズというのは今作で終了、ということになるのでしょうか?
前回のシリーズ作品である「ぼくが処刑される未来」では、エンドロール後に今作の次回予告みたいな特典映像が出てきていたのですが、今作にはそれが全くなかったんですよね。
となると、「TOEI HERO NEXT」シリーズは今作で打ち止め、という可能性も大いに考えられることになってしまうのではないかと。
まあ、劇場公開される映画館の数からして全国20箇所程度、しかも公開時期も2~3週間あるかどうかというレベルでは、興行収益的な観点から見ても採算が取れるようにはまるで見えないのですし、いつ打ち切りになっても何の不思議もないシリーズではあるのですが。
正直、次代の映画俳優を育成するための映画作品というコンセプト自体は必要な部分もあると思いますし、個人的にはもう少し続けてもらいたいところではあるのですけどね。


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