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映画「ロックアウト」感想

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映画「ロックアウト」観に行ってきました。
映画「トランスポーター」シリーズや「アデル/ファラオと復活の秘薬」「コロンビアーナ」などの製作を手掛けたリュック・ベッソン監督による、近未来を舞台としたSF作品。
何でも、リュック・ベッソンが近未来を舞台としたSF映画を製作するのは、ブルース・ウィリス主演の1997年公開映画「フィフス・エレメント」以来15年ぶりのことなのだとか。

2079年の近未来アメリカ。
映画冒頭では、今作の主人公であるCIAエージェントのスノーが、殴られながらの尋問を受けている様子が映し出されています。
彼は、宇宙開発計画の重要機密を漏洩させた犯人を追っていた捜査官フランク・アームストロングを殺害した容疑で、NSA(国家安全保障局)の長官スコット・ラングラルからその罪と情報について厳しく尋問されていたのでした。
しかし、相手がNSA長官であるにもかかわらず、スノーは相手をバカにしきった不遜な態度で応対しており、尋問ははかばかしい成果が挙げられていませんでした。
このままでは埒が明かないと尋問役が交代し、スノーの諜報員仲間だったCIA調査官ハリー・ショウがスノーから情報を聞き出そうとします。
スノーは相変わらずな態度を披露して煙に巻いているかのように見せかけつつ、机の上で「MACE」という文字を描きます。
そのメースなる男は、一連の事件の真相が収められているアタッシュケースを持つ男であり、またそれは同時にスノーの無実を証明してくれる存在でもありました。
そのことを瞬時に察したハリーは、表面上は「これ以上話しても無駄だ」と席を立ちつつ、メースの行方を捜しに向かうのでした。

その頃、時のアメリカ大統領ワーノックの娘エミリーが、「MS-1」と呼ばれる刑務所を訪問していました。
「MS-1」は、地球外の宇宙空間上に存在する巨大な人工衛星で、「静止」と呼ばれるコールドスリープで囚人達を管理する上、ソーラーシステムで半永久的に稼働する設備と重火器を備えた、最新鋭の宇宙刑務所です。
その地理的条件と完璧な管理方法によって「脱獄成功率0%」を謳われる、完全無欠の刑務所であると言われていました。
現在は約500名(正確には497名)の囚人達がコールドスリープされており、将来的には50万人もの囚人達を収容する計画まであるのだとか。
しかし、「MS-1」で行われているコールドスリープが実は人体に少なからぬ悪影響を与えている可能性が人道活動団体によって指摘されており、エミリーはその真偽を確認すべく「MS-1」を訪れたのでした。
彼女は早速、囚人達に刑務所の実態を訪ねるべく、ハイデルという名の囚人とガラス越しでの面接を企図します。
ところが、エミリーの護衛のひとりが、本来武器の携帯を禁じられているはずの面会室に、ひそかに銃を隠し持って中に入っていたことが大きな仇となってしまいます。
ハイデルは護衛の一瞬の隙を突き、護衛の武器を奪取して発砲を開始。
そのまま刑務所の制御室へと向かい、その場にいた管理官を脅して全ての囚人達をコールドスリープから解き放たせてしまいます。
囚人達はその数と、何よりもハイデルの兄であるアレックスによって一部が統率されたことから、刑務所内を完全に制圧することに成功。
さらに刑務所内にいた職員やエミリーを人質として捕えてしまいます。
容易ならざる事態が発生し、しかも人質の中に大統領の娘がいることを知って驚愕・動揺せざるをえなかったアメリカ首脳部達。
しかしここで、先述のCIA捜査官ハリーが、元々「MS-1」へ囚人として送り込む予定だったスノーに、エミリー救出の任務を与えることを提案します。
上層部の面々はハリーの提案を即座に受け入れ、最初は拒絶していたスノーも「メースが捕えられてMS-1に送られた」とハリーに教えられたことから、しぶしぶながら依頼を承諾することに。
かくして、難攻不落の要塞と化した「MS-1」への潜入作戦が始められることになったのですが……。

映画「ロックアウト」は、「難攻不落」を謳われる要塞が実はいかに脆いシロモノでしかないのかを如実に示す作品であると言えますね。
「脱獄成功率0%」を謳われ、実際に限りなく不可能としか言いようのない設備と地理的条件を有していながら、しかし作中では一瞬の隙を突かれていともあっさりと囚人達に制圧されてしまっているのですから。
どんなに優れたシステムであっても、それを管理運用する人間に問題があれば簡単に潰されるばかりか逆に利用すらされてしまう、ということを極彩色に表現しています。
ちょっとしたアクシデントから崩れ去るのがあまりにも早かったですし。
もっとも、それは実のところ脱獄した囚人達にも言えることで、特にハイデルという「無能な働き者」が盛大に足を引っ張っていたが故に、彼らは半ば自滅したようなものだったのですが。
せっかくアレックスという、智謀も統率力にも優れた指揮官を見出すことができたというのに、ハイデルは彼が確保しようとしていたせっかくの優位を積極的に突き崩してばかりいる始末でしたからねぇ。
挙句の果てには、当のアレックス自身すらもハイデルに殺されてしまったのですし。
いくらハイデルがアレックスの実の弟だったからとはいえ、周囲の進言に従ってさっさと殺しておけば良かったのに、とは誰もが思わずにはいられなかったことでしょうね(T_T)。
駆け引きの要素もあったとはいえ、あれほどまでに思慮深く冷静さと残虐さを使い分けられるアレックスともあろう者が、たかだか「実の弟」というだけであそこまでハイデルにデカいツラをさせることを許すというのも、はなはだ理解に苦しむものがありましたねぇ。
まあ、あの弟も実は本来マトモな頭をしていたのが、コールドスリープの悪影響ですっかり狂ってしまっていたのかもしれないのですけど。

あと、主人公が救出するターゲットと目されていた大統領の娘エミリー・ワーノックも、最初は「大丈夫か?」と言いたくなるレベルで奇行が目立っていましたね。
1人乗りの脱出艇で悠々と刑務所を脱出することもできたはずなのに、「自分ひとりだけ助かることなんてできない、人質を全員助ける」などと笑えるレベルの綺麗事を主張して結局自ら残留していたり、にもかかわらず人質はハイデルによって皆殺しにされてしまっていたりと、序盤はとにかく「主人公の足を引っ張るための存在」でしかなかったのですから。
エミリーの真価は、脱獄犯達に囚われの身となり銃を突き付けられた状態から、大統領である自分の父親に向かって「刑務所を爆破して」と言い切ってみせた辺りから発揮され始めます。
ここからは逆に、今までのアマちゃんかつ足手纏いな部分がウソであるかのように主人公を助けるようになっていきます。
「MS-1」から脱出して以降なんて、逆に主人公は何もしていないに等しいのですし(苦笑)。
願わくば、その冷静な状況判断能力が序盤から発揮されていれば……とは考えずにいられませんでしたけど(^_^;;)。

全体的には、「MS-1」内におけるバトルよりも、主人公とCIAとNSAの間で繰り広げられる政治的駆け引きの方が見所はある作品ではありましたね。
アクション部分よりもミステリー的なストーリーにスポットを当てるべき映画と言えるのではないかと。


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