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自称SF作家の「サーラの冒険」シリーズ書評 前編

ずいぶん前に「いつか書きます」と宣言していながら長らく放置状態だったのですが、今更ながら、自称SF作家の駄本「サーラの冒険」シリーズの書評などを少し。

正直、これほどまでに読むのが億劫になる作品というのもそうはなかったですね(苦笑)。
ファンでもないのにウォッチ目的「だけ」のために作品を読むというのが、ああも苦痛でしかも時間の無駄に感じられるとは思いもしませんでしたよ(T_T)。
田中作品の場合は「アンチ」と同時に「ファン」という一面もありますし、長年読んでいるので耐性もパターンも習得済みなのですが、山本弘の小説は「何でこんな奴の駄本を読んでやらなければならないんだ?」的な自問を常に繰り返さざるをえませんでしたし。

「サーラの冒険」シリーズは4巻と5巻の間で10年近くも開きがありますし、その間に山本弘の立場や執筆スタイルも色々と変わってきていますので、感想も4巻までと5巻以降に分けて論じたいと思います。
今回は1巻~4巻までの感想です。

まず、文体的には結構読みやすい印象がありましたね。
シリーズ6巻&外伝1冊もあることもあって結構飛ばし読みをしていたのですが、そういう「捨て読み」的な用途には向いている文体です。
後年に見られるような「ストーリーの流れを阻害するウンチク」の大洪水も、この時期はまだそれほど目立つものではなく、あくまでも「補助的な位置付け」に留まっています。
良くも悪くも「手軽に読めるライトノベル」といった感じです。

その「ライトノベル」感をさらに補強しているのが「内容の薄さ」。
「サーラの冒険」は当初、一般的かつ等身大的な冒険者達の日常を描くスケールの小さな物語、というコンセプトで物語が執筆されていたことを山本弘自身が告白しています。
ところが実際の作中のストーリーは、同一の世界を舞台にしている「ロードス島戦記」辺りであれば1章分程度で終わる魔物退治イベント的な内容の話を、延々と引き伸ばして1冊の本にしているだけでしかないんですよね。
作中のストーリー展開が「ロードス島戦記」の魔物退治イベントとほとんど同じで、「ロードス島戦記」のスケールダウン版的な印象が拭えません。
しかも、山本弘が当初意図したコンセプト自体、3巻で撤回されてしまい、その後は「ロードス島戦記」にも見られたような「悪の黒幕を打倒するスケールの大きな物語」的な要素が後付で接ぎ木されています。
簡単に言えば、テンプレートに逆らおうとして失敗した挙句、テンプレート路線に戻ってしまっているわけで、他ならぬ山本弘自身が提唱していたアルマゲ理論から考えればまさに「頭が悪く志の低いバカ」としか評しようがありませんね(爆)。
ストーリーのコンセプトがその場凌ぎの行き当たりばったりで一貫性もない。これでは当然、内容も薄くならざるをえないところです。

あと、作品および作中キャラクターの主義主張全般で、程度が低すぎて逆にありえないレベルの幼稚さと世間知らずぶりが露呈しているのも大きなマイナスですね。
主人公サーラの主義主張があまりにも幼稚で世間知らずで妙に説教臭いのは、年齢設定や出身などから考えてまあ仕方ないことかと諦めるにしても、3巻で登場する「西部諸国で最高の盗賊」とやらの思考発想までもがそれと同レベル、というのは正直いかがなものかと。
何しろ、「西部諸国で最高の盗賊」ことバルティスなる人物は、「奴らは人間が思いつく中で最もおぞまじく、卑劣なこと」として「少女レイプ」を挙げていたりします。
平和な時代ならいざ知らず、万年戦国時代で治安も悪い中世ヨーロッパ的な世界で、しかも他ならぬ自分自身、盗賊ギルドでヤクザのシマ争いのようなことをしていながら、争いの過程で発生する略奪・暴行・虐殺の中に多かれ少なかれ含まれるであろう、ある意味「作中世界はもちろん、現実世界でさえもありふれた犯罪」に対する認識がそれって……。
あまりにも平和ボケ過ぎて、さすがに笑ってしまいましたね。

それと、これは物語本編に関するものではないのですが、3巻のあとがきで、当時はまだ結婚していない交際相手(今の奥さんらしい)の女性の名前を堂々と公開するというのは、個人情報保護の観点から見てさすがにどうなのでしょうか?
山本弘は奥さんだけでなく、自分の娘についても実名をネット上で公開している上、娘さんの名前を冠した同人本を刊行しあまつさえそれをブログ上で紹介するという行為にまで及んでいます。
当事者から「無断で実名を公の媒体に掲載した」と一方的に糾弾されても文句は言えないのではないかと他人事ながら思わずにはいられないのですが、大丈夫なのですかね、これって。

次回は5巻以降の感想を書きます。


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