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アルジェリアの人質拘束事件における犠牲者の実名報道問題

アルジェリアの人質拘束事件で、遺族への取材で非公開を約束したはずの朝日新聞が約束を反故にして被害者の実名報道を行った問題が議論を呼んでいます↓

http://megalodon.jp/2013-0125-0103-42/www.rbbtoday.com/article/2013/01/23/101659.html
>  アルジェリア人質拘束事件について、犠牲者の実名を非公表とした日本政府に対し、朝日新聞が22日朝刊で実名報道を開始。メディア各社が追随したことに対し、論議を呼んでいる。
>
>  21日深夜、日本政府は同事件で日本人犠牲者がいたことを確認し、公表した。その会見の際に菅官房長官は、会社(日揮)、
ご遺族と相談の上、実名は公表しないことに決めたと、犠牲者の実名を明かさないことを表明した。
>
>  しかし翌22日、
朝日新聞は朝刊に犠牲者の実名と写真を公表。これを受けてテレビ、新聞各社も追随、実名が広く報道されることになった。
>
>  Twitterなどでは22日午前からこの実名報道に関するツイートが増加。トレンドにも「実名」が載ったほどで、そのほとんどは実名報道を非難するものだった。午後になり各社が追随し、記者やマスコミ関係者と思われる人からの「それが何よりの弔いになる」「事件を公的なものとして歴史に刻むため」といった論拠がツイートされたが、多くの反論が寄せられたようだ。
>
>  犠牲者の甥という本白水智也氏は23日になり、Twitterで
「朝日新聞の記者は2つ約束をしておりました。『実名は公表しない』『本白水さんの許可がなければ絶対に記事にしない』。この2つの約束を破りました」と朝日新聞記者とのやりとりの一部を公表。1000件を超えるリツイートがなされている。
>
>  本白水氏は、このほかにも
叔父の家庭近辺で過剰な取材があったことなどを明かし、「今回の約束を破って実名報道した朝日新聞には抗議文を書きまして、今回の実名報道されるまでのやりとりについての取材を受けます」と言明。実名報道に端を発した取材のあり方を今後も追及していくとしている。
>
>  新聞記者になると、まず初めにやらされるのが事件の際の被害者(場合によっては加害者)の写真集め。写真がないと叱られるといったこともある。こういった体質が実名報道を“是”とする傾向とつながっていないか。この実名報道、まだまだ論議を呼びそうだ。

今回の場合、何よりも問題なのは「政府が非公開と決めたことをマスコミが公開した」ことではなく、「取材対象が『非公開』を条件に応じた取材内容を無断で公開した」という点に尽きます。
政府主導による報道規制とは全く別の話となってしまうわけですから。
取材対象を詐欺同然に騙して取材を敢行し、その成果を本人の同意なしに無断公開するなどという行為が「テロの犠牲者への弔い」だの「権力に対する正当な監視行為」などと開き直れるとは、朝日新聞もどこまで堕ちているのやら。
まあ戦前から日本をミスリードし続けてきた、虚報と捏造の煽情報道を得意技とするアサヒる新聞にとって、取材対象との約束事など、最初から破り捨てるために存在するシロモノでしかないのでしょうけどね(苦笑)。

非公開を条件に取材をしているにもかかわらず、約束事を平気で破り捨てるアサヒる新聞は、言論統制を国是とする中国のような国であればともかく、民主主義国家における報道機関としては全く論外なシロモノでしかありません。
朝日をはじめとする日本の大手マスコミが主張する言論の自由というのは、「剣はペンより強い」とか「他者の圧力に屈することなく真実を報じる」などという崇高な概念などではなく、「報道で他人を傷つけ情報を操作し恣意的・捏造・虚報を垂れ流して責任を問われない自由」のことでしかないのでしょうが。
しかし、ここまで取材対象の意思を尊重どころか蹂躙すらする行為については、さすがに何らかの法的な対処が必要なのではないかとつくづく考えずにはいられないところですね。
言論の自由の概念を履き違えて好き勝手に振る舞いまくるアサヒる新聞をこれ以上放置していては、さらなる捏造と虚報と詐欺のテクニックを駆使した報道で、日本の国益どころか国民のプライバシーが蹂躙されることにもなりかねないでしょう。
アサヒる新聞が社是として敵視している安倍政権にとっても、今回のアサヒるの失態はアサヒるの息の根を止める好機にもなりえるのですし。
戦前から延々と続くこの「アサヒるの呪い」を、いいかげん断ち切るべき時期に来ているのではないのかと。


髪型が七・三分けばかりだから安倍内閣=七・三内閣?

安倍叩きを社是と公言して憚らない天下の朝日新聞が、ついに安倍内閣の閣僚達の髪型についてまでイチャモンをつけ始めました。
安倍内閣は、閣僚17人中15人の髪型が七・三分けになっている七・三内閣なのだそうで↓

http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201301040060.html
>  【山本奈朱香】安倍新内閣が始動。閣僚の顔ぶれを見て、何か気づきませんか。基本に忠実な世界基準の面々だというのだが、その理由は――。
>
>  
「女性2人を除くと17人中15人の髪形がほぼ七・三。いわば七・三内閣ですよ」
>
>  札幌市で美容室や理容室を経営する柳本哲也さん(48)は、そう指摘する。
>
>  ビジネスマンのための髪形ガイド「ビジ髪」の著書がある柳本さん。政財界トップの髪形を研究したところ、「七・三はグローバルスタンダードだ」と気づいた。
「国のトップは燕尾(えんび)服まで着こなさないといけない。一見、昭和の薫りがする七・三は、折り目正しい服装に合うフォーマルの最たるもの。世界で通用する髪形なのです」

安倍叩きを社是とする朝日のことですから、この記事も当然のごとく安倍叩きを意図して出してきたものなのでしょうけど、それにしてもレベルが低すぎて唖然とさせられるシロモノでしかありません。
髪型の七・三分けなんて世にありふれ過ぎていますし、今更安倍内閣限定でことさらに言及しなければならないシロモノなどではないでしょうにねぇ。
安倍叩きを意図しているのでなければ、一体何を目的にこんな記事をアップしたのか、論旨も意図もまるで意味不明ですし。
今時3流以下の週刊誌どころか、小学校の学級新聞でさえ、もう少しマトモな記事を書きそうなものなのですが(苦笑)。

民主党の外国人違法献金やカンガンスの原発対応等の論外な不祥事を報じる際にはやたらと寛大な態度を示す日本のマスコミは、相手が自民党になると何でもかんでも世界を揺るがす不祥事扱いですね。
カップラーメンの値段当てや漢字クイズ、ボールペンのキャップを口に加えた問題(笑)に3500円のカツカレーとして今度は七・三分けの髪型ときているわけで。
政権批判にしても、せめて民主党がやらかした不祥事の半分レベルでももう少しマトモなネタはないものなのですかねぇ(苦笑)。
まあ、そんなネタがないからこそ、朝日は社是たる安倍叩きのために何でもかんでもネタにするのでしょうけど。
こんな新聞が毎月3950円~4950円もの購読料を読者から徴収し、自社の社員に年収1300万以上も支払っているなんて、何かの冗談としか思えないところなのですが。
身内の庇い合いに終始して相互批判が全くないマスコミの構造改革は、絶対に必要不可欠であることを改めて思い知らせてくれる記事ですね。


第二次安倍内閣発足とマスコミの偏向報道との戦い

本日、第二次安倍内閣が正式に発足し、民主党から自民党への政権交代が正式に実現することとなりました。
3年3ヶ月にわたって民主党が食い荒らしてきた日本はボロボロの状態にあり、長期デフレの経済問題に外交問題と難題が山積している安倍内閣の前途は多難であると言えます。

その中でも最大の障害物は、やはり何と言っても大手マスコミによる偏向報道でしょう。
本日も、こんなおかしな記事が堂々とネット上に掲載されていたくらいなのですし↓

http://news.livedoor.com/article/detail/7266356/
> 大手スーパーが右に倣えと食料品や日用品の値下げに動くなど、個人消費をめぐる現場は値下げのオンパレードだ。12月16日の衆院選で大勝した自民党が「政権公約」に掲げたインフレターゲット(物価目標)を「実需が伴わない空論」(経済団体幹部)とあざ笑うように、小売り・外食各社は「価格破壊」を飛び越え、「価格崩壊」に一直線に突き進んでいる。
>
> 国内家具最大手のニトリは11月末、867品目の価格を10~40%の幅で引き下げた。同社がこれだけ大がかりな値下げに踏み切るのは、2010年10月以来、ほぼ2年ぶりだ。
「国民の役に立っていればデフレは悪くない」。似鳥昭雄社長は、所得環境悪化に歯止めがかからない現状で、一方的に物価上昇目標を掲げる政策を疑問視する。
>
> 小売業の値下げは、ニトリに限らない。鈍い個人消費を刺激しようと、イオン、ダイエー、西友などの大手スーパーは、すでに値下げ競争の真っ只中だ。秋以降、景気後退局面入りが濃厚になってきたことから、価格競争は一段と激化している。大手スーパーで“孤高”の値下げ慎重派・イトーヨーカ堂も売り上げ低迷で背に腹は代えられず、12月1日に食料品、日用品約1000品目の価格を10~40%引き下げ、値下げ合戦に参戦した。
>
> 値下げ競争が沈静化していた牛丼チェーンも、吉野家ホールディングスが運営する「吉野家」が牛丼並盛りを業界最安値250円で提供する新業態を出店したのを受け、最大手「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、12年4月以来の値下げキャンペーンを12月初めに実施し、値下げ競争が再燃しかねない。ファストファッションも、
ユニクロが看板商品の発熱保温肌着「ヒートテック」の価格を、昨シーズンから1~3割引き下げるなど、小売り・外食の現場はデフレモードに染まったままだ。
>
> 売り上げ低迷の中での値下げ合戦は、お互いの体力を消耗させる。しかし、冬のボーナスは前年を割り込み、企業の大量人員削減計画が相次ぎ、来春闘で賃金改善要求を見送る労組も出るなど、悪化する一方の所得環境に、小売りの現場は低価格を訴えるよりない。
実需につなげ、消費を上向かせる保証もない金融政策に頼ったインフレターゲットに、小売りの現場からは「脱デフレはほど遠い」「安倍晋三・自民党総裁の一人芝居」と冷ややかな声も漏れ聞こえてくる。

本日誕生したばかりの第二次安倍内閣に対し、それ以前から問題になっている経済事情を無理矢理重ね合わせ、時系列を完全に無視して批判してくるとは、よほどに頭の悪い記事としか言いようがないですね。
この記事が問題にしている「加速を続けるデフレ事情」は、むしろ今までの民主党政権がもたらした産物と言えるものなのですし、その問題を解消するためにこそ、安倍新総理は先の衆院選でデフレ脱却の経済政策を公約に掲げもしたのでしょうに。
そもそも、経済政策というのは効果を発揮するまでに時間がかかるものなのですし、今現状の経済問題の責任を、内閣が発足したばかりの政権に押し付ける神経はどうかしていると言わざるをえないでしょう。
こんな時系列を無視したバカげた記事を、それも内閣発足の日に掲載するという感覚は理解に苦しむものがあります。

これもまた、安倍内閣をバッシングすること自体を目的としたネガティブキャンペーンの一環なのでしょう。
現時点で既にこれなのでは、これから繰り広げられることになるであろうマスコミによる安倍叩きがどれほどまでに苛烈なものになるのか、先が思いやられると言わざるをえないですね。
またカップラーメンやカツカレーなどの類な挙げ足取りトンデモ報道が繰り広げられるのは既に目に見えているのですし。
安倍叩きを社是とする朝日新聞をはじめとするマスコミは、どんな巨大な不祥事を起こしても問答無用の寛大さを見せつけた対民主党報道とは180度掌を返して、如何なる些末な事象であっても世界を揺るがすかのごとき一大事件として報じてくれることでしょう。
国民の側も安倍内閣が推進する政策の実態を正しく理解すると共に、マスコミの偏向報道は常に疑いをもってかかり、その動向を常時監視する必要があります。
というか、今まで好き放題やりまくってきたマスコミの偏向報道を規制するための法体系の整備すら求めても良いくらいです。
マスコミによる偏向報道と「空気」の演出によって民主党による政権交代を実現させてしまった、2009年8月の悪夢の再来は御免被りたいものです。


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是々非々 (01/12 02:10) 編集・削除

マスコミの偏向に対して使えそうなネタです。
「反日既存メディアへお問い合わせしましょう」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19646201

放送法違反レベルの「安倍叩き」経済政策批判要請問題

テレビ局が番組の出演者に対して、安倍晋三自民党総裁の経済政策を批判するよう要請していたことが話題になっています。

http://matome.naver.jp/odai/2135401557625203401
> BSフジで毎週土曜に放送されている情報番組「BSフジLIVE ソーシャルTV ザ・コンパス」(http://www.bsfuji.tv/compass/)の連携ネット配信番組「ニコ生×BSフジ ニコニ(コ)ンパス」の2012/11/24の放送回の中で、駒澤大学准教授の飯田泰之氏が、テレビ出演の打ち合わせで「『なんとか、財政破綻とハイパーインフレでお願いします』」と、テレビ番組スタッフから依頼を受けたと告白した。飯田氏は、自民・安倍総裁の金融政策を支持しながらテレビに出続ける評論家の宮崎哲弥氏のことを「すげぇ」とも語っており、そのことから自民党の安倍総裁が打ち出した金融政策への反対意見を言うようにテレビ局側から要求されたのでは、と話題になっている。
>
> 現在ネット上に出回っている、発言の該当部分を切り取った動画では、自民党の政策を批判するように事前に要求したテレビ番組名は出てこないが、飯田泰之氏がテレビ朝日の情報番組『モーニングバード』の金曜日のレギュラーコメンテーターを務めていることから、動画投稿主は『モーニングバード』を名指しで批判している。
>
> しかし、飯田泰之氏はモーニングバード以外にフジテレビの情報番組「Mr.サンデー」にも11/25に、インフレターゲット政策の解説役として出演しており、この打ち合わせの件とも考えられる。

問題の動画

テレビ局はもう、公正中立を謳った放送法を守るつもりなど全くないようですね。
たとえどんな偏向報道をやらかしてでも、安倍&自民叩きをすること自体がすっかり至上命題と化しているようで。
マスコミの偏向報道自体は、安倍叩きを社是とする朝日のごとき新聞社まで存在するくらいなのですから今更驚くべきことでもないのでしょうが、放送法に真っ向から逆らうような言質を残して平然としていられるほどにまで堕ち果てているとはねぇ(-_-;;)。
民主主義国家において保障されている「言論・思想の自由」というのは、マスコミが偏向報道を行なったり「報道しない自由」を行使したり、挙句の果てには他者に自分達の意見を強要したりして良いものなどではありえないのですが。
日本のマスコミの病理は、もはや死ぬまで治ることはないのでしょうか?

マスコミがこんなことをすればするほどに、「(マスコミが)ここまでするからには自民&安倍総裁は逆に高く評価できる」と私などはますます確信を持って考えられてしまいますね(苦笑)。
民主党が論外なのはもちろんのこと、第三極の筆頭である日本維新の会をはじめとするその他の政党も、政策面および党の規模とまとまりなどの要素でイマイチ信用がおけないですし。
報道機関の名にも値しない日本の偏向マスコミ群に掣肘を加え、正しい報道のあり方を取り戻すためにも、安倍総裁率いる自民党には是非とも次回の衆院選で大量の議席を確保してもらいたいものです。


スーパーマンことクラーク・ケントを論う朝日新聞のエンタメ以下な体質

数日前の話になるのですが、朝日新聞2012年10月26日付天声人語が、アメコミの人気キャラクターであるスーパーマンことクラーク・ケントを論ってます。
その発端は、クラーク・ケントが最新コミックの中で、初登場以来一貫して勤務し続けてきた新聞社を退社する事実が明らかになったことにあります↓

http://sankei.jp.msn.com/world/news/121023/amr12102319560005-n1.htm
>  米コミックや映画でおなじみの「スーパーマン」ことクラーク・ケントが、勤務先の新聞社「デーリー・プラネット」を辞めることになった。24日発売のコミック最新号で、同僚の前で辞職する。作者のスコット・ロブデル氏がUSAトゥデー紙に明らかにした。
>
>  スーパーマンは、1938年にコミックとして初登場。ケントは同紙記者として描かれてきた。
辞職のシーンでは「ジャーナリズムがエンターテインメントになってしまった」と批判している。
>
>  ロブデル氏らは今後、ケントが新聞記者より「現代的なジャーナリズムの仕事」に就き、「ありのままの真実」を発信するとの筋書きも検討しているという。(共同)

これに対し、件の天声人語が以下のように取り上げたわけです↓

http://digital.asahi.com/articles/TKY201210250715.html(リンク先は有料会員のみ閲覧可)
>  華が足りないのか、新聞記者が主役の活劇は少ない。ささやかな誇りはアメリカンヒーローの重鎮、スーパーマンである。仮の姿のクラーク・ケントはデイリー・プラネット紙記者。編集局からの「出動」も多い▼その人が新聞社を辞めるという悲報にうろたえた。おととい米国で発売された新作で、上役に「スクープが少ない」と叱られ、こう息巻いて職を辞したそうだ。「新聞はもはや、ジャーナリズムではなく娯楽になり下がった」▼作者によると、退社後は「現代的なジャーナリスト」として独立し、インターネットでの発信に挑むらしい。「新聞で人助け」とか言っていたのに、そりゃないぜクラーク▼1938年に登場した正義の異星人。一貫して新聞記者の設定で、作者が代わっても勤め先は同じだった。「勤続70年」の転職である。同業の目には無謀と映るし、ひがみ半分、いわば副業だけに気楽なもんだとも思う娯楽だと嘆いたのは場の勢いだろうが、新聞の暗中模索は米国に限らない。メールも携帯小説も同じ文字文化だから、課題は活字離れではなく、紙離れだろう。小紙を含め、有料の電子版が競う世だ。空さえ飛べる男が時流に乗るのは道理かもしれない▼記者としての彼の難は、スーパーマンが降臨するほどの修羅場で「突然いなくなる」ことだった。体が一つしかないのは当方も同じ、あれもこれもの器用さは持ち合わせない。ひそかな自慢が業界を去っても、新聞という地味な人助けにこだわりたい。

クラーク・ケントの新聞記者という職が「副業」って、そりゃないぜ朝日新聞(笑)。
スーパーマンは別に人助けや悪との戦いで報酬を得ているわけではないのですから、クラーク・ケント的には新聞記者こそが「本職」だったのでしょうに。
第一、スーパーマンことクラーク・ケントが主張している「ジャーナリズムがエンターテインメントになってしまった」というのは、朝日新聞を含めた日本のマスコミにも多大なまでに当てはまる内容ではありませんか。
現在の自民党総裁である安倍元首相を罵り倒すことを「社是」と嘯いたり、カップラーメンやカツカレーごときのネタを持ち出して面白おかしく論う光景は、まさに「悪しきエンターテイメント」以外の何物でもなかったのですけど。
いや、戦前は部数至上主義から戦争を煽り、戦後は共産圏国家の手先として常日頃から偏向報道を続け、「朝日が報じるのと逆のことをするのが正しい」とまで言わしめている朝日新聞の場合は、エンターテイメントですらも過大な褒め言葉と言わざるをえないほどの有害廃棄物でしかありえないのですが。
にもかかわらず、クラーク・ケントの主張の核心部分にして新聞批判にもなっている退職理由については「娯楽だと嘆いたのは場の勢いだろう」の一言でお終いって、本当にそういう自覚が持ちえないバカなのか、それとも他者には過酷なまでに厳しいのに己には蜜のごとく甘く事実を直視しえないダブスタの産物なのか、いささか判断に迷いますね。
紙媒体でも読むに値する情報があれば需要も出てきますし、逆に今の新聞がネットに移行したところで新規購読者の開拓なんて絵空事もいいところなのですが。
朝日を見ていると、「そんな対応だからスーパーマンことクラーク・ケントにも見捨てられるんだよ」とでも言ってやりたくなってしまいますね(爆)。

今やマスコミは「人助け」や「庶民の味方や正義」などではなく、国家をも上回る傲慢な権力機構にしかなっていません。
自分達がクラーク・ケントの評価以下の存在にまで堕落している事実を、日本のマスコミが自覚しえる日というのが果たしてやってくるものなのでしょうか?


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S.K (10/30 00:15) 編集・削除

>自分達がクラーク・ケントの評価以下の存在にまで堕落している事実を、日本のマスコミが自覚しえる日というのが果たしてやってくるものなのでしょうか?

一度「虚構(フィクション)」以外の全ての商業出版が
壊滅したら万が一くらいの確率で考えるかもしれません。

冒険風ライダー(管理人) (10/30 01:14) 編集・削除

>S.Kさん
あの手のマスコミの選民思想というのは、一度死んでみないと永遠に解けないものなのかもしれないですけどね(苦笑)。
場合によっては「死んでも悔い改めない」という可能性すらあるのですし(爆)。
朝日の場合、左右いずれの方向を向いても有害でしかないことは戦前戦後の報道を見ても一目瞭然なので、一刻も早く消滅してほしいところではあるのですが。

http://www.tanautsu.net/

「asahi.com(アサヒ・コム)」のニュースが有料化

朝日新聞社のニュースサイト「asahi.com(アサヒ・コム)」のブランド名が「朝日新聞デジタル」に統一されました。
これにともない、サイトのデザインが刷新された他、掲載記事が有料化されることになるのだとか↓

http://megalodon.jp/2012-0123-2115-09/internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120123_506735.html
>  朝日新聞社は23日、ニュースサイト「asahi.com(アサヒ・コム)」のブランド名を「朝日新聞デジタル」に統一した。トップページを刷新し、朝日新聞の有料電子版サービスへの申し込みページの導線を強化したり、有料記事を識別するための「+」ボタンを設置した。
>
>  なお、一部の記事は引き続き無料で閲覧できる。一方、「+」ボタンが付いている有料記事については、全文を閲覧するにはログインが必要。
>
>  有料版ではさらに、全国の地域面を紙面そのままのイメージで閲覧できるサービスをPC向けに開始した。全国6ブロック(北海道・東北、関東、東海・甲信越、近畿・北陸、中国・四国、九州)に分けて並べた地域面イメージを掲載する。紙面イメージは朝刊掲載日の午前10時30分をめどに配信し、翌日の地域面配信まで閲覧可能。紙面イメージの拡大機能や印刷機能も備える。

しかし、この手の「情報の有料化」というのは、カネを払ってもなお見るべき価値のある記事というものがないと、却って客離れを引き起こすことにもなりかねないと思うのですけどね。
既にネット記事の有料化を実施している日経新聞などは、経済に特化した記事があるのでまだその方面で独自性を出すこともできるでしょうが、朝日にそんなものがあるのかどうか、かなり疑問と言わざるをえないところなのですが。
社説などだとその社独自の思想や論調といったものがあるわけですが、それは逆に「有料化したらマズい」シロモノですし。
一方で、一般的な時事ニュースなどの記事だと、他の無償提供の新聞サイトで充分間に合うということにもなってしまいます。
一昔前の新聞とテレビが情報配信の大部分を独占していた時代ならばいざ知らず、今は新聞に代わる媒体なんていくらでもあるのですから。
そして朝日独自のスクープ記事となると、まずはその信憑性からして疑問符をつけざるをえないほどに胡散臭いシロモノでしかないことは、これまでの朝日が積み重ねてきた歴史が額縁付で証明しているわけですし(苦笑)。
独自に売りに出来る記事が、戦前から有名な超のつく偏向報道くらいしかないというのも、ある意味凄いことではあるのですけどね(爆)。

かつては栄華を誇った新聞も、テレビやネットに速報性で惨敗し、情報の公正さも疑問符だらけと、もはや衰退することが確定されたレガシーメディアと化しつつあります。
紙の新聞は今や、メインの購読層が60代以上という「老人のためのメディア」になってしまっていますし、このまま行けばジリ貧はまず免れないのですから。
無害ならまだしも、朝日は昔から有害極まりない偏向報道ばかり続けてきたのですし、そろそろ自身が日本国民に向けて説教しているがごとく、過去の己の醜行を直視し、全世界に謝罪と賠償の意を表してとっとと潰れて欲しいものなのですがね。


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党利スガリー (01/24 15:06) 編集・削除

ここには久しぶりの投稿になります。
この記事を読んで、インターネットで見た「想像力のないもの、それを馬鹿という」言葉を思い出しました。
おそらく彼らには、"客がいない状況"というものは考え付かないのでしょう。

冒険風ライダー(管理人) (01/24 19:28) 編集・削除

>党利スガリーさん
デジタル有料版のみ購読の月額料金を見ても、朝日の殿様商売ぶりが露呈していますからねぇ(苦笑)。
ネット配信は紙新聞と違って紙代も輸送費・配達費もかからないのに、何故か「紙新聞の朝夕刊セット(3925円)」に近い3800円もの月額料金がかかってしまいます。
ちなみに、紙新聞で朝刊のみ購読だと3007円だそうですから、これよりも高いことになります。
この料金設定がボッタクリの類でしかないことは、紙の新聞とデジタル版両方のセット購読だと「紙新聞料金+1000円」で購読できるというサービスがあるのを見ても明らかです。
ネット新聞の購読者を増やす気なんてまるで垣間見られない、それどころか紙新聞に購読者を追いやってしまおうという意図すら感じられる愚劣な料金設定としか言いようがありません。

朝日新聞デジタル 購読料金・お申し込みページ
http://digital.asahi.com/info/price/index.html

たかが朝日ごときの新聞を購読するためなどに、何が悲しくてそこまで高い料金を支払わなくてはならないのやら。
これで新聞の購読者が増え、ひいては収入も増やせるなんて一体どうやったら考えられるのか、全くもって理解不能なのですが。

http://www.tanautsu.net/

伸介 (05/25 13:55) 編集・削除

ニュースサイトについての話題を公開しています。
その気になるニュースとして、芸能界や政治の話題もあるので
気になる方はこちらまでhttp://saimuannews.com

http://saimuannews.com

アメリカの連邦最高裁が表現による販売規制について違憲判断

アメリカの連邦最高裁で、「人物を殺害したり手足を切断したり、性的暴力を加える映像」を含めたゲームの販売を規制するカリフォルニア州法が、表現の自由を保障した憲法修正1条に違反するとの判断を下しました。

http://megalodon.jp/2011-0629-0055-11/sankei.jp.msn.com/world/news/110628/amr11062809420003-n1.htm

アメリカ、というよりも日本以外の国々では、アニメ・マンガ・ゲームをはじめとするエンターテイメント分野において、日本をはるかに上回る表現規制が普通一般に行われています。
作中で犯罪を扱っていたり死体が出てきたりするだけでモザイクがかけられたりR指定されたりするという徹底ぶりで、実際、カナダでは「名探偵コナン」がR-15指定されていたりします。
アメリカでも1950年代に「コミックス・コード」と呼ばれる表現規制が大々的に施行されて以降、コミックの多様性が大きく損なわれ、結果として大手出版社が扱うスーパーヒーロー系の作品一色になってしまった経緯があります。
そのアメリカで、暴力表現の規制を違憲とする判決が出されたことは、これまで規制一辺倒とすら言えたアメリカのエンターテイメント界にとっては画期的なことであると言えるのではないでしょうか。
日本でも非実在青少年の表現規制実施が間近に迫っていますが、これまで「欧米を見習え!」とばかりに表現規制を推進してきた人達は、この判決について果たしてどう考えているのでしょうか?

ところで我らが田中芳樹は、この手の外国の表現規制についてどんな感想を抱いているのでしょうか?
田中芳樹もマンガ好きで有名なわけですし、薬師寺シリーズのようなマンガ丸パクリな作品を書いてすらいるくらいなのですから、まさか表現規制問題について無関心ということはないでしょう。
社長氏もTwitterやブログでたびたび表現規制問題について言及したりしているわけですし。
そして、日本をはるかに上回る表現規制が外国、特に欧米で大々的に行われているという事実は、田中芳樹にとっては非常に由々しき問題であるはずです。
というのも田中芳樹は、特にイギリスを礼賛するに際して「王室の悪口を言っても罰せられないくらいに言論の自由が許されている偉大な国」「そんな国が世界を支配できたのは当然だ」みたいなことをたびたび述べているんですよね。
ところが、こと表現規制問題に関しては、イギリスもアメリカや他のヨーロッパ諸国と似たり寄ったりな水準の規制が行われていて、世界に冠たる自由な表現が許されている国は何と日本になってしまうわけです。
となると、皇室や政府に対する悪口はもちろんのこと、表現についての規制も世界的に見て緩い水準にある日本は、田中芳樹の論法から言えば「世界を支配する」資格が当然のごとくあるということになります(爆)。
世界各国および今の日本における言論・表現の自由の実態について、田中芳樹の頭の中では一体どういう扱いになっているのか、是非とも知りたいところではありますね。


ネット規制を伴うコンピュータ監視法案を閣議決定した民主党

民主党がネット上の言論規制を強化する強硬手段に打って出ています。
菅直人ことカンガンス内閣は、捜査当局が裁判所の捜査令状なしでインターネットのプロバイダに特定利用者の通信記録保全を要請できるコンピュータ監視法案(正式名は「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」)を閣議決定しています↓

http://megalodon.jp/2011-0326-1139-25/www.pjnews.net/news/909/20110317_5
http://megalodon.jp/2011-0411-2217-23/zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110411-00000017-pseven-pol

ただ、上2つのソース元情報では「震災後に」閣議決定されたかのようなニュアンスですが、実際には「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたのは2011年3月11日の午前中なのだそうで↓

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2011/kakugi-2011031101.html

【震災前に】閣議決定されたコンピュータ監視法案は今後国会に提出され、審議される流れになります。

ただいずれにせよ、コンピュータ監視法案が問題だらけの法案である事実に変わりはないですね。
これは東京都青少年健全育成条例にも当てはまることなのですが、この手の規制は運用者の恣意的な判断ひとつで、本来規制されるべきではないはずのものまでもが規制対象になりかねないという問題があります。
しかも、これを閣議決定したのは「あの」民主党です。
もし万が一法案が国会を通過してしまおうものならば、自身に対する批判的な言動を封殺することを目的に、なりふり構わぬネット規制に打って出る可能性も否定できません。
組織犯罪に使用用途が限定される等様々な制約がある上に国会報告まで義務づけられている通信傍受法と比較しても、運用範囲が広すぎ&制約が少ないために濫用される恐れがあり、その点でも極めて危険な法案であると言えます。
民主党が法案の問題点を何も知らないで閣議決定したのであれば無能のそしりは免れませんし、知った上での所業だったのであればこの上ない悪党です。
原発問題も被災者救援もグダグダな対応に終始している民主党を叩き潰すと共に、震災のドサクサでこの問題法案が国会を通過しないよう、注視していく必要があるのではないでしょうか。

それにしても、東京都青少年健全育成条例といい、今回のコンピュータ監視法案といい、最近思想の左右を問わず言論統制に走ろうとする動きが多すぎて、何とも嘆かわしい限りですね。
言論の自由は責任と表裏一体であるべきで「言い逃げ」の類は確かに糾弾されなければならないでしょうが、それはあくまでも「言論」によって行われるべきものなのであって、その発言責任を完遂させるためにも「発言・表現の自由」自体は万人に保証されなければならないのです。
もちろん、そこにはデマやいかがわしい表現が流されるといったリスクも当然伴いますが、だからと言ってその大元である「発言・表現の自由」自体を規制してしまったら元も子もありません。
「発言・表現の自由」というのは【リスクと発言責任をも含めての自由】なのであって、リスクだけを事前に取り除くことなど不可能なのです。
リスクを犯して発言する自由、それこそが何物にも替え難い宝であるという基本中の基本に、誰もが一度立ち返ってみる必要があるのではないかと思えてならないのですけどね。


コメント一覧

多摩武蔵守 (04/12 21:55) 編集・削除

 法務省ホームページに改正案の全文が載っています。
 http://www.moj.go.jp/content/000072565.htm

 今回の件に該当するのはこの部分でしょうか?
「(刑事訴訟法)第百九十七条に次の三項を加える。
   検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、三十日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超えることができない。
 第二項又は第三項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。」

 これは別に、言論統制とは言えないと考えます。
 まず現行の刑事訴訟法197条は、
「第百九十七条  捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。
2  捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」
 と定められています。また改正案に出てくる「差押」という言葉ですが、刑事訴訟法上の「差押」とは、
「裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
2  裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。」(刑事訴訟法第99条)と定められていますから、結局裁判所が動くことには変わりありません。
 やろうと思えば現行の刑法・刑事訴訟法でも微罪や別件逮捕を駆使して「言論弾圧」はできます。しかしいくら民主党でもそんなことはしていません。
 またそんなことをしたら野党やマスコミ、誰より一般国民が黙っていないでしょう。それに自衛隊に対する「監視」すらバレバレになっていたほどお粗末な民主党に、そんな能力があるかというと、リアリティを持って受け入れられる話ではないと思います。
 私も民主党は大嫌いですが、法律の危険性は客観的に評価されなければならないと考えます。

多摩武蔵守 (04/12 22:59) 編集・削除

 上記のコメントに少し補足します。
 刑事訴訟法で証拠を集めるのは刑法に定める犯罪が行われたことを立証するためですが、ネットに関連する犯罪はどのようなものが考えられるでしょうか。
 まず考えられるのは名誉毀損罪・侮辱罪(刑法232条、230条・231条)ですが、これは親告罪なので、被害者からの申し立てがなければ告訴されることはありません。
 また脅迫罪(第222条)は、対象となる人物が被害者本人(同条第1項)か、「親族」(第2項)に限られます。
 しかも刑法では挙証責任は警察・検察の側に課せられるので、誰が誰を脅迫したのかを具体的に警察が立証しなければなりません。それができるかどうか怪しいネット上のあやふやな書き込みに裁判所が差押命令をどこまで出すかは疑問です。
 また刑法や刑罰法規は額面通り受け取ると、私達の生活全てが対象となってしまいます。たとえばファミレスのコンセントを勝手に使って携帯電話を充電したら、文字の上だけで言えば窃盗罪になります。
 しかし実際にはその程度で逮捕されたり、刑事告訴されることはありません。刑法は一般市民を片っ端から捕まえるための法律ではないからです。

冒険風ライダー(管理人) (04/13 02:05) 編集・削除

> また改正案に出てくる「差押」という言葉ですが、刑事訴訟法上の「差押」とは、
> 「裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
> 2  裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。」(刑事訴訟法第99条)と定められていますから、結局裁判所が動くことには変わりありません。

「差押」のための命令が【事前に】できる、という点がまさに問題なのではありませんか?
この法案が定める保全措置というのは、プロバイダ側やサイトを管理する企業などにとっては事実上の強制捜査が行われるも同然のことなのです。
保全措置から最大60日間は、個人のプライバシーも含めた情報が警察に丸裸で全て晒されることになりますし、そこから個人の弱みを捜査当局に握られた挙句、非合法的な脅迫や取引などが行われるといった形で悪用されないとも限りません。
それが「捜査の最終段階」ではなく「捜査の初期・中期の段階」で、しかも「特定対象」ではなく「無差別」に、さらには裁判所のチェックなしで好き勝手に行えるというのは大いに問題でしょう。
民主党ならやりかねない、というのも充分な懸念事項なのですが、こういったことが法的に行うことが可能になる、ということ自体が実は一番問題なのです。

> 刑事訴訟法で証拠を集めるのは刑法に定める犯罪が行われたことを立証するためですが、ネットに関連する犯罪はどのようなものが考えられるでしょうか。

例のコンピュータ監視法案では、ウィルスを作成・所持を罰する「ウィルス作成罪(不正指令電磁的記録に関する罪)」という規定が、刑法の一部として新規に創設されます。

第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
(不正指令電磁的記録作成等)
第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

(不正指令電磁的記録取得等)
第百六十八条の三 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第百七十五条中「図画」の下に「、電磁的記録に係る記録媒体」を加え、「、販売し」を削り、「又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する」を「若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する」に改め、同条後段を次のように改める。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
第百七十五条に次の一項を加える。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

しかし、コンピュータウィルスの感染に関しては、パソコン所有者が全く知らないうちに取得され、かつ他のパソコンに感染を拡大している、というケースも充分にありますよね。
この法律では、それも「罪」として裁かれる危険性があります。
これまで「ウィルス作成罪」が制定されなかったのもそのためなのです。
さらに「わいせつな電磁的記録」を「取得し、又は保管した」場合であっても罪に問われるとなれば、これはもう冤罪や表現規制を生みかねないシロモノとしか評しようがないでしょう。
そもそも、ここで挙げられている様々な「電磁的記録」「有償」の定義そのものも非常に曖昧で、いくらでも恣意的運用が可能ですし(エラープログラムやエロ画像・動画の類なども「所持した」だけで処罰の対象になりかねません)。
気に入らない言動をする人間に対し、コンピュータウィルスやわいせつメール等を送信し、「あいつは怪しいぞ」と称してコンピュータ監視法案を発動させ、「犯罪証拠」を握って逮捕に踏み切る。
個人のプライバシー暴露と併せ、こういう自作自演の類も構造的に可能になるわけですから、充分に問題であると言えるのではないでしょうか?

http://www.tanautsu.net/

多摩武蔵守 (04/14 01:00) 編集・削除

> 「差押」のための命令が【事前に】できる、という点がまさに問題なのではありませんか?
 それは「差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるとき」が条件で、かつ「必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない」ので、【「特定対象」ではなく「無差別」に】ということはないと考えられます。。
 また事件と無関係の情報まで警察の目にさらされるリスクは確かにありますし、差押えの際も広く対象を規定しがちです。しかしそれは「証拠物件については、警察官が捜索・差押の現場に行かないと、厳密な特定ができないことが多い」ためで、一定時間が経過すると古いものから順に消えてしまうタイプの電磁的記録ならなおさらでしょう。
 また裁判所が「被疑事実との関連性がないので差押の必要はない」と判断して顧客データの差押処分を取り消した裁判例がありますので、警察の調べにも一定の歯止めが掛けられていますし、調べを受ける側も弁護士を呼んで交渉したり、裁判所に準抗告をするなど、自らの権利を守る道は開かれています。

(参考)
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090708/333463/

> そこから個人の弱みを捜査当局に握られた挙句~限りません。
 法的には起こりえないことは上記で説明しましたが、実際に適用される際のリスクが大いにあるとするためには、警察が他のことでも微罪や別件逮捕を駆使するなど、権力を用いて市民を弾圧するという事例がなければなりません。
 たとえば、実際の住所と住民票の記載が異なる→電磁的公正証書原本不実記録罪の疑いで逮捕する、ホテルに宿泊する際に偽名を用いた→有印私文書偽造罪の疑いで逮捕する、子供の入浴写真を撮影した→児童ポルノ法製造罪の疑いで逮捕する、などです。
 しかし、このようなことがあちこちで行われているでしょうか。また「盗聴法」と非難された通信傍受法も違法な通信傍受は確認されていません。それとも警察は国会には虚偽の報告をし、こっそり盗聴しているとでも?

> コンピュータウィルスの感染に関しては、~それも「罪」として裁かれる危険性があります。
 いいえ。刑法では故意でない行為は罰しません。したがって「パソコン所有者が全く知らないうちに取得し、感染を拡大」は処罰の対象にはなりません。それに疑うに足る理由がなければ、裁判所は捜査や差押えの令状を出しません。

> 「電磁的記録」「有償」の定義そのものも非常に曖昧
「電磁的記録」は、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」(刑法第7条の2)を言います。
 また明治時代の立法とはいえ、刑法175条は「わいせつな」しか定義がありませんし、他にも名誉毀損罪・侮辱罪は曖昧です。それに比べると今回のウィルス作成罪は、かなり厳密な定義をしていると評価していいと思います。
「有償」は「有料」と解釈していいと思います。ですので意図しない所持はここでも排除されます。目的があるかどうかは警察・検察が立証しなければなりません。
 ちなみに内閣提出法案は内閣法制局の審査を通らないと国会に出せませんので、立法技術や合憲性などの面で最低限の審査はされています。
 何より刑法175条にせよ、名誉毀損罪・侮辱罪にせよ、他にも定義が曖昧とよく批判される児童ポルノにせよ、概ね違法なものとそうでないものを見分けることはできてきたことも考えるべきと思います。 

> コンピュータウィルスやわいせつメール等を送信し、~「犯罪証拠」を握って逮捕に踏み切る。
 これも故意の行為ではないので、処罰の対象にはなりません。
 そんなことをしたら野党やマスコミ、何より国民が黙っていないでしょう。

冒険風ライダー(管理人) (04/14 19:36) 編集・削除

> それは「差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるとき」が条件で、かつ「必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない」ので、【「特定対象」ではなく「無差別」に】ということはないと考えられます。

それは明らかに裁判所のチェックが入っていませんよね。
前の投稿でも述べたように「最初に差押を前提とした保全要請を行い、情報の閲覧を行った後、差押の必要なしとして要請取り消しを行う」というケースの場合、最大60日間、不特定多数の個人のプライバシーも含めた情報が丸裸で、しかも裁判所のチェックを経ることなく警察に晒されることになるのですが。
令状を取った上でそういう捜査が行われる場合であれば裁判所のチェックが入りますからそういう事態を事前に防止することもできるのですが、令状が不要となるコンピュータ監視法案では、行政単独で事実上の無差別強制捜査が行えるようになるのです。
そして、そういったところから得られた個人情報を警察が悪用することなど全くない、という保証なんてどこにもないでしょう。
そもそも、令状が不要でそういうことが行えること自体、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない」と規定されている日本国憲法35条に違反している疑いすらあります。
警察が暴走した場合のことを考えれば、相当に問題のある法案だと思いますけどね。

> 法的には起こりえないことは上記で説明しましたが、実際に適用される際のリスクが大いにあるとするためには、警察が他のことでも微罪や別件逮捕を駆使するなど、権力を用いて市民を弾圧するという事例がなければなりません。

警察が捜査過程で微罪や別件逮捕を使い、本命の事件の捜査に利用した事例は結構あるのですが。
オウム真理教の地下鉄サリン事件の際には、それこそどうでも良いレベルの微罪や別件逮捕が頻発していましたし、最近でも、覚醒剤取締法違反を摘発するために「求人情報誌を持っていたのに、職業に就く意思がないままうろついた軽犯罪法違反(浮浪)」で別件逮捕が行われ、しかも一審では有罪判決まで下った(二審で逆転無罪)という事例もありますし。

http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030301000794.html

そもそも、警察の冤罪事件というのは今話題の原発問題と同じで「起こったら終わり」という要素も色濃く存在します。
そのような警察の暴走を防ぐためにも、別件逮捕が合法的に行われかねないと判断される法律は、可能な限り事前に取り除く必要が十二分にあるのではないでしょうか。

> いいえ。刑法では故意でない行為は罰しません。
> これも故意の行為ではないので、処罰の対象にはなりません。

刑法は、誤りや失敗による「過失」についても処罰する規定が存在します。
交通死亡事故などはほとんどが過失で起こるものですが、故意性がなくても自動車運転過失致死傷罪で処罰されますし。
「不正指令電磁的記録に関する罪」についても、自分が知らないうちにウィルスをバラ撒いて甚大な被害を相手に与えた、という事態は容易に想定できますし、そういうケースは現行でも過失責任が問われるだけでなく、民事裁判で賠償が請求されることもあります。
これが刑法にも適用される、という事態は充分に考えられることですし、実際、「不正指令電磁的記録に関する罪」の条文には故意と過失を区分する文言が存在しません。
ウィルスを故意性なく所持していたとしても過失で処罰される危険性がある以上、私が挙げた事例は「実際に起こりえる問題」なのです。

また、裁判の際に故意か過失かを立証すること自体、実はかなり難易度の高い問題だったりします。
人間の意思というのは極めて主観的なものであって、それを客観的に立証するというのは相当なまでに困難なのですから。
裁判の場でも、原告と被告が故意性を巡って争うという事例はいくらでもありますし、その結果、検察側の主張が全面的に認められて有罪とされた冤罪事件もあったりしますよね。
よく話題になる痴漢冤罪の問題や、前の段で引用していた「求人情報誌を持っていたのに、職業に就く意思がないままうろついた軽犯罪法違反(浮浪)」なんてその典型例ですし。
故意か過失かの証明が極めて難しく裁判毎に判断も分かれる現実を鑑みれば、主観的に「故意ではないから」と安心できるものではないでしょう。
検察と裁判所がそう考えてくれるとは限らないのですから。

> また明治時代の立法とはいえ、刑法175条は「わいせつな」しか定義がありませんし、他にも名誉毀損罪・侮辱罪は曖昧です。それに比べると今回のウィルス作成罪は、かなり厳密な定義をしていると評価していいと思います。

「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」というのは、コンピュータウィルスだけでなくプログラムエラーやバグなども含まれかねないシロモノなのですが、これのどこが厳密な定義なのですか?
もちろん、プログラムエラーやバグで多大な被害が出る場合もありますし、やはり現行でも過失責任で賠償請求が行われることもありますから、刑事事件としても故意性など関わりなく罪に問われる事態も当然ありえます。
プログラムエラーやバグで摘発されるなんてことがあったら、IT業界は壊滅しますよ。
そればかりか、バグがあることが確実なフリーソフトやシェアウェア、さらには旧バージョンのWindowsやLinuxのパソコンを持っているというだけでも罪に問われる事態も起こりえるかもしれません。
セキュリティや安定動作の観点から外部からの通信を遮断している社内ネットワークサーバなどでは、旧バージョンのOSソフトがあえてそのまま使われていたりしますし。
法が定める定義が厳密とはとても言えない以上、別件逮捕や微罪による逮捕などの警察権の濫用が行われる懸念は否定できないのです。

http://www.tanautsu.net/

多摩武蔵守 (04/14 21:27) 編集・削除

> 不特定多数の個人のプライバシーも含めた~警察に晒されることになる それなら、差押え命令に基づく 証拠収集でもそのリスクはあるでしょう。裁判所から「返せ」と言われても、メモやコピーを隠れて取れば誰にもわかりませんし、それで脅迫することは可能です。しかしそのような事態が起きているでしょうか。
 ばれたらマスコミが、それこそ鬼の首でも取ったように警察を叩くでしょう。割に合わない話です。
 それに改めて考えてみたら、後述するように、その可能性は法的にも低いと考えられます。

> 警察が暴走した場合のことを考えれば
 警察が暴走したら、わざわざ法律を改正しなくても何でもやらかします。私があげたような事例や、微罪とか別件逮捕とか。そのような議論では、刑法・刑事訴訟法そのものが成り立たなくなります。

> 日本国憲法35条に違反している疑いすらあります。
 この改正案での保全は「消さないで取っておいてくれ」と要求するだけのもので、命令ではありません。
 また「内容を確かめてから保全を求める」との前提を置いているようですが、見ようと思ったら捜査・差押え令状が必要で、「内容を確かめてから保全を求める」ことはできません。したがってこの改正案は、「証拠があるかも知れないから、消さずに取っ手おいてくれ」ぐらいの意味だと考えられます。
 また保全は書面で求めるので、「不意打ち」されることはありません。
 なお前回も述べたように内閣提出法案は内閣法制局の審査を通らないと国会に出せないので、憲法上の問題はクリアした上で出されていると考えられます。

> 警察が捜査過程で微罪や別件逮捕を使い、本命の事件の捜査に利用した事例は結構ある
 挙げられた事例のどこが一般市民に対する弾圧なのでしょうか? 冒険風ライダーさんは「個人の弱みを捜査当局に握られ」るとか、「気に入らない言動をする人間に対し、~逮捕に踏み切る」とか、一般市民に対する弾圧を問題にしていたと認識しています。
 地下鉄サリン事件後に用いられた手法ということは、その関係者を逮捕するために用いていたのですし、覚醒剤取締法違反を摘発するためならば、一般市民の弾圧を目的としているとはとても言えません。

> 刑法は、誤りや失敗による「過失」についても処罰する規定が存在します。
 過失罪の場合はその旨が明記されますが、今回のウィルス作成罪には過失罪の規定はありません。したがって、意図しないのにウィルスを拡散させてしまった人が罪に問われることはありません。

> 裁判の際に故意か過失かを立証すること自体、実はかなり難易度の高い問題だったりします。
> 人間の意思というのは極めて主観的~客観的に立証するというのは相当なまでに困難
 故意の立証が難しい事件は確かに存在します。
 しかし今回の場合で言えば、ウイルスが入り込み、プログラムに従った活動をするのなら、故意と過失の判別は簡単でしょう。通信ログを分析すれば感染経路はわかるでしょうし(だから保全要求の追加が改正案でセットになっているのでしょう)、ウィルスの分析やデータの蓄積は、アンチウィルスソフトの会社が日々行っているのですから、なおさらです。

> よく話題になる痴漢冤罪の問題~冤罪事件もあったりしますよね。
 
「冤罪が生じるのは手続法‐すなわちどのように制度を運用するかについての法‐の問題であり、実体法‐すなわちこの文脈でいえば何を罪とするかについての法‐の問題ではありません。

そもそもここで例に挙げられている痴漢冤罪問題にしても、では世の中に強制わいせつ罪を廃止しろとか、強制わいせつ罪の対象から痴漢を除けとか、そのような主張をされている人がいるのでしょうか? 世の中広いですからゼロではないかもしれませんが、ほとんどは冤罪をできるだけ少なくするよう運用をきちんとしろという主張でしょう。冤罪のリスクがあるから罪とすべきでないというのは、痴漢冤罪でいえばこの「強制わいせつ罪を廃止しろとか、強制わいせつ罪の対象から痴漢を除けとか、そのような主張」に他なりません。痴漢冤罪問題でそうした主張が主流ではない以上、痴漢冤罪問題を引き合いに出すのは牽強付会でしょう。」

(上記は以下のブログより引用)
 http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080317/p1

> プログラムエラーやバグなども含まれかねないシロモノ~どこが厳密な定義なのですか?
 プログラムエラーやバグは立法趣旨から言えば含まれませんから、それが摘発される可能性は低いでしょう。
 法文は言葉の上での解釈だけでなく、論理的な操作を元にした解釈が要求されます。そこに立法趣旨を織り込んで解釈することは危険でも何でもなく、法文の普通の解釈です。
 児童ポルノ法で、規制反対派が「家族写真や水着の写真も摘発される」と非難していましたが、そうしたことにはならなかったのと同じです。
 加えて被告人に不利な類推解釈は禁止されていますから、ますますプログラムエラーやバグなどは含まれないことになります。
 またプログラムエラーやバグをウィルスと見分けることは可能でしょうし、故意に作ったわけではないので「故意犯でない」として処罰の対象にはならないでしょう。

冒険風ライダー(管理人) (04/16 00:10) 編集・削除

>  ばれたらマスコミが、それこそ鬼の首でも取ったように警察を叩くでしょう。割に合わない話です。

大阪地検特捜部の元主任検事が、厚生労働省の文書を改竄したとして問題になったことが以前ありましたよね。
この時だって「ばれたらマスコミが、それこそ鬼の首でも取ったように警察を叩く」ことなんて最初から分かりきっていたはずですが、それでも改竄事件は立派に起こりました。
しかもマスコミは行政の言い分を鵜呑みにして支持する傾向がありますし、件の改竄事件当初もマスコミはむしろ検察側が正しく被告が悪いことを前提とする報道に終始していました。
こういうことが実際にある以上、「割に合わない話」だからありえないと可能性ひとつ検討しないで良いわけがないでしょう。
それに一度不当な判決が下されたら、それを覆すのに被害者は最低数年、場合によっては何十年もの戦いを強いられることになりますし、すくなくとも最初の頃は大多数のマスコミからして敵に回ることもしばしばです。
そういう行政の暴走を止めることにこそ、法の存在意義があるのではありませんか?

>  警察が暴走したら、わざわざ法律を改正しなくても何でもやらかします。私があげたような事例や、微罪とか別件逮捕とか。そのような議論では、刑法・刑事訴訟法そのものが成り立たなくなります。

同じ警察の暴走でも、「非合法的な暴走」と「合法のお墨付きが与えられた暴走」では脅威の度合いが桁違いです。
前者はまだ自分にかけられた汚名を返上するチャンスがありますが、後者はそれすら不可能なのですから。
暴走したらどうしようもないからといって、鬼(警察)に金棒(合法のお墨付き)を与えても良いと思っているのですか?

>  この改正案での保全は「消さないで取っておいてくれ」と要求するだけのもので、命令ではありません。
>  また「内容を確かめてから保全を求める」との前提を置いているようですが、見ようと思ったら捜査・差押え令状が必要で、「内容を確かめてから保全を求める」ことはできません。したがってこの改正案は、「証拠があるかも知れないから、消さずに取っ手おいてくれ」ぐらいの意味だと考えられます。

法律を根拠に「これはいずれ差し押さえる目的で要請しているものだから任意で提出して」と警察側がデータ保存している企業に求める危険性もありますよね。
そして企業側も、「どうせ差し押さえられるなら…」とその求めに応じてしまう事態も考えられます。
その後で「差し押さえる必要がないから要請を取り下げます」となった時、残るのは「企業側が任意で情報を警察に提供してしまった」という事実のみです。
「差し押さえ措置をちらつかせた要請」という、ある意味詐欺か虚構の類を警察が仕掛けてきた時、この法律は悪い意味での凄まじい威力を発揮する懸念があるのではないでしょうか。
刑事捜査で警察に協力しなければ、その後企業側が警察に目をつけられ何らかの不利益を被る事態も考えられますし、現行でさえ、警察の「任意要請」は事実上「強制」の隠語でしかないと言われているくらいですから、一種の「無言の圧力」の道具として使われる懸念もあります。
しかも差押の令状が発動されなければ警察内部だけで事は全て完結してしまう上に全て合法の範疇で行われるのですから、任意で情報を提供させられた被害者が警察を訴えるのは至難の業になります。
そういう「法の間隙」を駆使した悪用が行われる可能性など100%ない、そんなことをしたらマスコミに叩かれるのだからと、警察がこれまでに犯し続けてきた誤認捜査や捏造・冤罪事件の数々を見てもなおそう思えますか?
法というのは、悪意に満ちた運用が決してされないような文章と定義でとにかくガチガチに固める必要があるはずなのですが。

>  挙げられた事例のどこが一般市民に対する弾圧なのでしょうか? 冒険風ライダーさんは「個人の弱みを捜査当局に握られ」るとか、「気に入らない言動をする人間に対し、~逮捕に踏み切る」とか、一般市民に対する弾圧を問題にしていたと認識しています。
>  地下鉄サリン事件後に用いられた手法ということは、その関係者を逮捕するために用いていたのですし、覚醒剤取締法違反を摘発するためならば、一般市民の弾圧を目的としているとはとても言えません。

地下鉄サリン事件の件にせよ、私が挙げた覚醒剤取締法違反の事例にせよ、共に「微罪や別件逮捕で【一般市民】を摘発している」という事実に変わりはありません。
法的に言えば、裁判で有罪が確定するまでは誰もが「犯罪者」ではなく、逮捕されても「(推定無罪の)容疑者」、裁判中でも「(推定無罪の)被告」でしかないわけです。
そして、彼ら「一般市民」に対して行われた微罪や別件逮捕などは、それが裁判で勝訴し判例として有効であると保証されれば、そのまま別の「一般市民」に対しても同じように行われる事例となりえるのです。
オウム真理教に対する別件逮捕も、そういう観点から「一般市民にも同じことをやってくるのではないか」と懸念する声は当時から上がっていましたし、警察のそんな行為が正当化されたのは国民の支持があったからであって、もし自分達が非難されない&支持されるという確信があれば、警察がまた同じことを「一般市民に」行わないとは限らないのです。
覚醒剤取締法違反事件における別件逮捕の問題も、もしこれが判例として確立してしまっていたならば、別の「一般市民」に対しても全く同じことが行われるようになったでしょうし、その中から冤罪が発生する危険も起こりえたでしょう。
同じことをすれば判例によって裁判で必ず勝てることが保証されるのですから、最悪、自分の手柄と出世目的、あるいは自己満足な正義感のために「(主観的に決め付けている)犯罪者」の摘発手段として利用する輩も出てくるでしょうね。
警察の暴走というのはこういうところから始まるものなのですし、こういう恐ろしいことが現出しかねないからこそ、法の運用はいくら慎重になってもし過ぎることはないのです。

>  故意の立証が難しい事件は確かに存在します。
>  しかし今回の場合で言えば、ウイルスが入り込み、プログラムに従った活動をするのなら、故意と過失の判別は簡単でしょう。通信ログを分析すれば感染経路はわかるでしょうし(だから保全要求の追加が改正案でセットになっているのでしょう)、ウィルスの分析やデータの蓄積は、アンチウィルスソフトの会社が日々行っているのですから、なおさらです。

「通信ログを分析すれば」って、それでは通信情報の公開・閲覧が前提となってしまうではありませんか。
自身にかけられた嫌疑を晴らすために通信情報やパソコンの中身を公開しなければならない、というのであれば、結局プライバシーや通信の秘密が公権力によって侵される事態が招来してしまうのですが。
警察側にしてみれば、そういう容疑をかけるだけで他者の通信情報やパソコンの中身を、しかも「任意に」提供される形で合法的に閲覧できるわけですから、これほど美味しい話もないでしょうね。
さらに言うと、この法案における「保管」の定義というのは、物の「所持」とほぼ同じ扱いとされています(平成15年の法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会の第3回議事録)。
つまり「保管」の禁止は、麻薬などと同じく「所持」そのものを事実上禁止しているも同然である言って良く、そうなると故意か過失かに関係なく「不正指令電磁的記録」を「保管(所持)」しているだけで摘発が可能ということになってしまいます。
法がそう定義しているのに、警察や検察がそれを利用しないわけがないと思うのですが。

>  プログラムエラーやバグは立法趣旨から言えば含まれませんから、それが摘発される可能性は低いでしょう。
>  法文は言葉の上での解釈だけでなく、論理的な操作を元にした解釈が要求されます。そこに立法趣旨を織り込んで解釈することは危険でも何でもなく、法文の普通の解釈です。

バグだらけのフリーソフトやシェアウェアをアップデートした際、ダウンロードして意図せざる被害を被った使用者から「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」を公開しているとして訴えられるケースは十二分に想定されますよ。
特に被害者にWeb系の知識がない場合は、バグソフトもウィルスも同じものだとして訴えに出ることも考えられますし、その場合、警察もそれに同調するのは火を見るよりも明らかです。
すると、こういう事件が起こる可能性があるのではないかと↓

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20110123.html

ちなみに上の話の解説↓

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20110209.html
http://staff.aist.go.jp/takagi.hiromitsu/paper/jnsa-jijiworkshop-201101-takagi.pdf

法文が言葉の上だけで解釈され、本来の立法主旨を逸脱した使われ方をする事例は決して少なくありません。
歴史が古い法律であれば判例の積み重ねである程度是正することもできるかもしれませんが、出来立ての法律にそんな便利なものは存在しないですからね。
その間隙を突かれ、法を悪用されないためにも、誰も間違いようも曲解のしようもないガチガチの条文で法は構成されなければならないのです。
政治は結果が全てですが、法律は過程が全てなのですから。

http://www.tanautsu.net/

多摩武蔵守 (04/17 00:49) 編集・削除

 長々と議論につきあって下さり、ありがとうございます。この問題については今回をもって私の最後のコメントとし、あとは読者の判断に委ねたいと思います。

 長くなったので、ものすごくざっくりとしたまとめですが、最初に行っておこうと思います。

1「冒険風ライダーさん(以下冒):これは民主党が言論封殺をするための法律だ」
2「多摩武蔵守(以下多):民主党にそんな気があるとは考えられないし、言論統制のための法律でもない」
3「冒:事実上の強制捜査が行われるも同然だし、非合法的な脅迫や取引などが行われる恐れがある」
4「多:証拠保全を求めるだけ。警察が一般市民の弾圧を目的として悪用するというなら、他の法律もそうであるという事実がなくてはならない」
5「冒:警察が捜査過程で微罪や別件逮捕を使った例はある」
6「多:それのどこが一般市民の弾圧を目的としているのか」
7「冒:一般市民を摘発していることに変わりはない」

 私が一貫して求めているのは、今回の改正法が
(1)一般市民の弾圧を目的として作られて・または警察がそれに用いることの立証
(2)他の法律より悪用されるリスクが突出していることの立証
(3)他の法律より突出して立法技術に問題があることの立証
 です。

 それに対して冒険風ライダーさんが出してきた例である、
> 大阪地検特捜部の元主任検事が、厚生労働省の文書を改竄したとして問題になった
> 「微罪や別件逮捕で【一般市民】を摘発している」という事実に変わりはない
> 「提出して」と警察側がデータ保存している企業に求める危険性
> 警察がこれまでに犯し続けてきた誤認捜査や捏造・冤罪事件の数々
 はどれも「こういう可能性もある」「過去にこういう例もある」「別件逮捕で一般市民を摘発した例がある」「それでも悪用される可能性はある」「悪用されない保証はどこにもない」ということを述べているに過ぎないと考えます。
 ウィルス作成罪や冤罪リスクの話につきあったのは、せっかくの議論だからということであって、立証していないことに目こぼしをするわけではありません。

 上記を念頭に、以下、個別の論点に対して回答します。

> 合法のお墨付きが与えられた暴走
 捜査の過程で収集した情報を用いて脅迫や強要を行うのはれっきとした犯罪ですし、公開するのも民事上の責任を問われる恐れがありますから、合法とは言えません。

> 警察の「任意要請」は事実上「強制」の隠語でしかないと言われている
 ではどうして任意捜査を廃止しろという議論が出ないのでしょう? 国民が任意捜査を治安維持の上のリスクとして許容しているから、そして任意捜査が国民が許容できる範囲に収まっているからではないでしょうか?

> そういう「法の間隙」を駆使した悪用が行われる可能性など100%ない
 私はそのような主張はしていません。その可能性は低いと言っただけです。少なくとも、他の法律より突出しているという議論は斥けられていると考えます。
 さらにそのリスクがあるとしても、どのくらいなのか、それは治安維持とのバランスで許容されるべき範囲内か、という議論もなされるべきと考えます。

> 警察側にしてみれば、そういう容疑をかけるだけで他者の通信情報やパソコンの中身を、しかも「任意に」提供される形で合法的に閲覧できるわけですから、これほど美味しい話もない
 以下のとおり、条文ではそんなことができるようには書かれていません。「「差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるとき」が条件で、かつ「必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない」。法文というのは厳密に書かねばならず、書いていないことが何の脈絡もなくできるようにはなりません。
 よしんば私の「取っておくことを要請できるだけで、事前に見られない」という解釈が間違いだったとしても、上記の結論は維持されます。
 それにやっぱり警察が悪逆非道で国民を弾圧することを前提にした話をしていますね。そんな証拠はないんでしょう?

> 最悪、~利用する輩も出てくるでしょうね。
 警察が悪逆非道で国民を弾圧することを前提にした話をしていたのに、いつの間に警察官個人の行きすぎに問題がすり替わるのでしょうか? それとて、他の法律に比べてそういうリスクが突出していることを立証するものではありません。
 捜査手法を巡る問題は、個別法の問題ではなく、警察のあり方全般にわたって論じられるべきもので、レベルの違うものを混ぜて議論すべきではありません。

> 悪意に満ちた運用が決してされないような文章と定義でとにかくガチガチに固める必要
> 法の運用はいくら慎重になってもし過ぎることはない
> 誰も間違いようも曲解のしようもないガチガチの条文で法は構成されなければならない
 他の法律より突出して立法技術上の問題と、悪用されるリスクが突出しているという立証ができていない以上、理想論に過ぎません。
 既存の法と同程度のリスクならば、許容するという選択もあろうと考えます。
 さらに以下の問題もあります。

「善悪問わず「弾力的な運用」が絶対にできないような条文は書けないし、人民の大多数が条文の通常の理解や立法趣旨を逸脱して法を運用することを国家権力に求めることもある。」
「人民の大多数の要求に条文は抵抗できないので、絶対の保障をそこに求めることはむなしい。」

「仮に国家権力が悪辣非道であってとにかく我々の表現を弾圧しようと意思を固めているのであれば、何故彼らが条文だけは守ろうとするのかがよくわからない。条文はあるが、誰も守らないという状態は多くの発展途上国において見られるし、国家の保有する集中された実力があればとりあえずあらゆる法規制を無視して意思を実現することは難しくない。あらゆる「悪用の危険」から原理的に逃れるためには国家権力のない場所に逃げるしかなく、おそらくそこに法規制の役割はないし、条文の表現を云々する意味もない。悪用の危険を指摘するなら、したがって、原理的な危険ではなく現実的な危険を示す必要がある。」
「実際の運用を問題にするなら、それを規制する政令・規則や人事・予算面でのコントロールについて具体的に検討すべきで、それをサボって抽象的な危険性だけを言い立てても問題解決にはつながらないし、説得力もない。」

(上記は以下のブログより引用)
 http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000515.html

> 「不正指令電磁的記録」を「保管(所持)」しているだけで摘発が可能
「前条第一項の目的で」と条件が付いています。だから、感染してしまった場合や、研究目的の場合は処罰の対象になりません。そして当然、そのことも検察側が立証しなければなりません。

> バグだらけのフリーソフトやシェアウェアをアップデートした際、~十二分に想定されますよ。
 高木氏のブログは私も読みましたが、「こういう危険がある」ということを述べているだけで、「警察が悪意を持って市民を弾圧する」とか、「だからウィルス作成罪を作るな」とは一言も書いていません。
 また、「行為者の主観として「不正指令電磁的記録としての実行」の意図の有無が、犯罪の構成要件となる。 そして、この「供用」の目的で作成する行為が「作成罪」となる。」
「法案起草者の趣旨(立法者意思)が、刑法学者に言わせると上記であることが明白」
 とも述べています。ただし故意犯だから犯罪にならない、という解釈を取るなら問題がある、とも述べています。それとても「運用面のコントロールについて具体的に検討すべき」という話でしょう。

> 被害者にWeb系の知識がない場合は、バグソフトもウィルスも同じものだとして訴えに出ることも考えられますし、警察もそれに同調するのは火を見るよりも明らか
 岡崎図書館事件の例をもってそう断定していいかどうかは、慎重な検討を要すると考えます。これについては以下のブログより引用します。

 http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000735.html
(引用はしていないが、参考)
 http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000738.html

「逮捕されてしまった開発者の行動にも「問題」(ベストプラクティスではないという意味でのね)はなかったかという点と、警察・図書館の行動にも「問題」はあったがその背景にある事情というものがある。」
「刑法上の因果関係というのは被害側に未知・予測不能の欠陥があったことが結果発生に寄与した場合でも切断されないという話があり、つまり誰にも問題のない・完全な状態でいる義務などというものはないので図書館のソフトウェアに問題がないことを軽信したことは「問題」」
「そのことを前提とすれば被害と因果関係という客観的な構成要件は揃っており、もちろんあとからわかったさまざまな事情を斟酌するとどうもまあ故意はなかったということでいいと思うのだが、捜査時点では~故意の妨害であることを疑わせる事情というのもあったわけで、最終的に逮捕から起訴猶予という結論になっても仕方がない。」

 またこの事件は警察の悪意に帰せられる問題ではなく、以下のような問題点が指摘できると思います(以下上記ブログより引用)。

「被害が発生する以前の・早期の段階で積極的に介入せよというのはストーカーなどの事例で国民自身が警察に対して要求し続けてきたこと」
「ベストプラクティスを実現できるだけの資源というのを与えていない状況で~完璧なふるまいを求めても無理です、自分たちの選択の結果を国民自身が引き受けてくださいとしか言いようがないところはある」
「再発を防止するというならどこかに十分なリソースを割り当てるという選択を社会全体としてする必要がある」

 岡崎事件が一般化するならIT業界にあまりに過酷で、社会全体にもたらすデメリットが大きいでしょう。しかし国民にデメリットが大きいと認識されていれば、一般化する可能性は低いでしょう(そのデメリットを許容してでもウィルスの問題解決を望むほど、事態が深刻化しない限り)。
 上記の例で見てきたように、警察・検察も民意を織り込んだ上で行動しているからです。

冒険風ライダー(管理人) (04/17 15:09) 編集・削除

>  それに対して冒険風ライダーさんが出してきた例である、
> > 大阪地検特捜部の元主任検事が、厚生労働省の文書を改竄したとして問題になった
> > 「微罪や別件逮捕で【一般市民】を摘発している」という事実に変わりはない
> > 「提出して」と警察側がデータ保存している企業に求める危険性
> > 警察がこれまでに犯し続けてきた誤認捜査や捏造・冤罪事件の数々
>  はどれも「こういう可能性もある」「過去にこういう例もある」「別件逮捕で一般市民を摘発した例がある」「それでも悪用される可能性はある」「悪用されない保証はどこにもない」ということを述べているに過ぎないと考えます。
>  ウィルス作成罪や冤罪リスクの話につきあったのは、せっかくの議論だからということであって、立証していないことに目こぼしをするわけではありません。

>  私はそのような主張はしていません。その可能性は低いと言っただけです。少なくとも、他の法律より突出しているという議論は斥けられていると考えます。
>  さらにそのリスクがあるとしても、どのくらいなのか、それは治安維持とのバランスで許容されるべき範囲内か、という議論もなされるべきと考えます。

前にも述べましたが、法の問題というのは原発問題と同じで「問題が起こったらその時点で終わり」という一面があります。
法が誤っていたり、条文に問題がある法が誤って運用されたりすることによって発生する社会的影響は計り知れません。
ですので、まだ制定されていない法の危険性を論じる際には、その法に起こりえる問題を想定した上で、それが実現する可能性が【あるかないか(ゼロより上かゼロか)】が問われることになるわけです。
多摩武蔵守さんが論じていたのは「可能性の高低」あるいは「100%かそれ未満か」で、低ければ問題ないという論理のようですが、私の視点からは「高い」も「低い」も「(可能性は)ある(ゼロより上)」と言っているのと何も変わりません。
児童ポルノ法や東京都青少年健全育成条例改正案なども、そういう「可能性が【ある(ゼロより上)】」からこそ問題になったのであり、「低い」であっても「ある(ゼロより上)」ことに変わりがないから反対の声が上がるわけです。
だから私は「可能性がある(ゼロより上)」ことを証明できれば危険性の立証は充分にできていると考えていますし、「低い」と言われても「それはある(ゼロより上)ってことじゃないか」としか言いようがないわけです。
この辺りが、両者の議論がすれ違った要因でしょうね。

>  以下のとおり、条文ではそんなことができるようには書かれていません。「「差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるとき」が条件で、かつ「必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない」。法文というのは厳密に書かねばならず、書いていないことが何の脈絡もなくできるようにはなりません。

「差押を前提とした保全要請」が行われることによる「保全要請された側」の影響や反応というものがあるでしょう。
「ああ、これは差し押さえられるんだな」と考えれば、強制措置が行われる前に情報を任意という形で提供することも考えられますし、警察もそれを見越して保全要請を仕掛けてくる可能性もあります。
しかもこれは当然「合法の範囲内」ということになりますから、それが捜査で有効かつ裁判でも勝てるということになれば、「任意提供」目的の保全要請が乱発されることもありえるでしょう。
今まで出来なかったことが出来るようになるのですし、実際に問題が起こってからでは遅いのですから、どういうことが起こりえるのかという問題はいくら考えても考えすぎということにはならないと思うのですが。

>  警察が悪逆非道で国民を弾圧することを前提にした話をしていたのに、いつの間に警察官個人の行きすぎに問題がすり替わるのでしょうか? それとて、他の法律に比べてそういうリスクが突出していることを立証するものではありません。
>  捜査手法を巡る問題は、個別法の問題ではなく、警察のあり方全般にわたって論じられるべきもので、レベルの違うものを混ぜて議論すべきではありません。

個人がやろうが組織がやろうが「警察の名の下に」行っていることには変わりありますまい。
判例が確立さえすれば、組織だろうが個人だろうが同じことが大手を振って行えるようになるのですからなおのことです。
警察に限らず、組織というのは個人に過重な責任を負わせないために全体としての責任を負うものなのですし、そもそも国民からして「組織に所属している個人の暴走=組織全体の問題」と見做すものでしょう。
個人の暴走を組織ぐるみで庇い立てしたり、個人の暴走に組織そのものが引き摺られたりする事例もあるのですし。
その個人の地位や実力が上であればあるほど、その傾向はどんどん強くなっていきます。
そしてもちろん、警察官個人であれ警察組織そのものであれ、暴走する可能性が「ある(ゼロより上)」のであれば、それは危険視しないわけには行きません。
というか、私は最初から「警察の暴走」に個人だの組織だのといった区別などつけてはいませんでしたし、「どっちが暴走しても被害者にとって結果は同じ」とも考えていましたけど。

>  「前条第一項の目的で」と条件が付いています。だから、感染してしまった場合や、研究目的の場合は処罰の対象になりません。そして当然、そのことも検察側が立証しなければなりません。

感染したパソコンが見つかったり、そこからウィルスが流布されて被害が拡大したりした場合、所有者が「保管している」という容疑で強制捜査を受けたり逮捕されたりすることは充分にありえますよね。
別に意図していなくても、外部からは「人の電子計算機における実行の用に供する目的」を有しているようには見えるのですし、「人」というのは「使用者」を指すと同時に「使用者である自分自身」をも含むのですから。
「保管している」時点でとりあえずの容疑は構成しえますから、その意図を聞くにしてもまずは強制捜査を受けたり捕まったりすることになってしまうわけですし、その人はその時点で充分すぎるほどの社会的被害を被ることになるのですが。
第一、「前条第一項の目的」である「人の電子計算機における実行の用に供する目的」からして、字面だけを見れば「研究目的の場合」にも適用されかねない曖昧な条文ですし、「正当な理由がないのに」という文言に至っては警察独自の判断でいくらでも内容を左右できるという危うさと恣意性があります。
恣意性が働かせられる余地のある法律ほど、不公正で存在自体が許されないものはないのですが。

というか、一連の議論ですっと疑問に思っていたのですけど、多摩武蔵守さんは強制捜査・逮捕・起訴・判決に至るまでの「過程」における社会的被害というのを過小評価し過ぎているのではありませんか?
「強制捜査を受けた」「逮捕された」「起訴された」というだけでも、そのこと自体による社会的被害は相当なものがありますし、実のところそれは「判決で無罪になった」としても取り戻せないほどのダメージになることもしばしばです。
それどころか、時には当事者のみならず、社会そのものが「萎縮」して大きな負の影響を受けることもあります。
岡崎図書館事件でもその手の「萎縮」があったようですし、他にも福島県立大野病院事件のように、判決では無罪になったにもかかわらず、逮捕から訴訟までの過程「だけ」で医療崩壊レベルの危機まで誘発した事例すらあるのです。
法の問題は原発問題と同じで「起こったら終わり」というのはそういうことです。

http://www.tanautsu.net/

ジュリアン・アサンジの保釈&マイケル・ムーアの支援表明

イギリスのロンドン高等法院が、逮捕されていたウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジを、「居場所を明確にする」「パスポートは警察に預ける」等の条件付で保釈を認める決定を下しました。
保釈金は24万ポンド(約3200万円)。

http://megalodon.jp/2010-1217-0012-41/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101216-00000164-jij-int

まあ、逮捕容疑からして「コンドーム不使用でセックスをした」などというスウェーデン国内法限定、しかもそれでさえも最高刑が罰金刑でしかないという、別件逮捕のモデルケースみたいなシロモノだったわけですからねぇ。
よくもまああんな容疑で国際指名手配までして逮捕したものだと、呆れるのを通り越して逆に感心すらしたくらいでしたが。
インターポールとしては、いっそ「できちゃった婚」は全て国際指名手配をして摘発する、みたいな方針をこの機会に打ち出せば却って一貫性も出てくるのですけど、どうせあんな法律を適用して被疑者を逮捕するという挙に出るのは今回だけでしょうからねぇ(-_-;;)。
まあさすがのインターポールもそこまでヒマではないのでしょうが、機密を漏洩されたメンツを何が何でも挽回せんとするアメリカに付き合わされて、インターポールも迷惑な話だったでしょうね。

また、アメリカの映画監督マイケル・ムーアがウィキリークスへの資金その他援助の提供を表明し話題となっています。
ジュリアン・アサンジの保釈金の一部を肩代わりする他、サイト運営の援助までするつもりなのだとか。

http://www.cinematoday.jp/page/N0029047

マイケル・ムーアといえば、アメリカの社会問題や時の政府の政策に何かと批判的で、そのための映画を数多く製作している人物として日本でも知られています。
コロラド州ジェファーソン郡のコロンバイン高校で起こった銃乱射事件を題材にしたドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」や、アメリカ同時多発テロにおけるブッシュ政権の対応を批判した映画「華氏911」、アメリカの医療問題を取り上げた映画「シッコ」などが代表作とされます。
「ハリウッド映画はアメリカ礼賛ばかり」などという巷に溢れている偏見混じりなアメリカ映画評をひとりで覆しているような人物であり、その過去の経歴を見れば、ウィキリークスを支援する意思を表明するのも分かろうというものでしょう。
世界各国で検閲や経済封鎖等の圧力に晒され、孤立無援の状態となっているウィキリークスにとっては心強い援軍となるのではないでしょうか。

ところで、ウィキリークスもさることながら、田中芳樹はマイケル・ムーアについてどんな評価を下していたりするのでしょうか?
田中芳樹は、過去に映画「インディペンデンス・ディ」を引き合いに出して「アメリカ人のセンスを笑いのネタにしている」と公言したくらいの「ハリウッド映画はアメリカ礼賛ばかり」説の信奉者ですし、またディズニー映画を「創造性がない」「過去の名作作品の流用でしかない」などと罵り倒したりするなど、アメリカ映画に対して相当なマイナス感情を抱いていることが伺えます。
それに対し、マイケル・ムーアはどちらかと言えばアメリカに対し批判的な人物であり、ことアメリカに関しては田中芳樹とかなり近い思想的傾向を有する一方、その存在自体が田中芳樹のアメリカ映画評を正面から粉砕する人物だったりします。
田中芳樹的には「肯定的に評価したいが、かといって下手に評価すると自分のこれまでの発言の正当性が失われてしまう」という、何とも複雑な立ち位置にいる人物なわけです。
案外、自分の発言を正当化するために「存在自体なかったことにする」かもしれないですけどね(笑)。


東京都青少年健全育成条例改正案が成立

様々な物議を醸していた東京都青少年健全育成条例改正案が、都議会本会議で可決、成立しました。
来年7月までに施行されるとのこと。

http://megalodon.jp/2010-1215-1759-59/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101215-00000634-yom-soci

この条例は、規制対象の定義が曖昧で拡大解釈が可能なことから、過剰な自主規制をはじめとする出版業界の萎縮や言論統制に繋がるという指摘が数多く行われています。
2010年11月に東京都議会に提出された東京都青少年健全育成条例改正案の条文は以下のPDFファイルにまとめられているのですが↓

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/20101122seishounenjourei.pdf

ここで問題となっているのは、東京都青少年健全育成条例の第7条「図書類等の販売及び興行の自主規制」、第8条「不健全な図書類等の指定」、第9条「表示図書類の販売等の制限」の適用範囲に、以下の項目が追加されることです。

漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

まず、何故「実写を除く」という文言が入っているのかが意味不明です。
「青少年の健全な成長」を促したいのであれば、実際に被害者もいる「実写」をまず規制すべきであるはずなのに、それが最初から対象外になっています。
現実より空想を優先的に裁くかのごとき条文になっているのが、この条例に多大な反発が集まる大きな理由でしょう。

次に、この条文では「漫画、アニメーションその他の画像」内における「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為」に該当する表現それ自体を無条件に規制する内容となっています。
たとえば「ドラえもんにおけるしずかちゃんの全裸シーン」などは、作品内では一種のギャグとして描かれているもので、「青少年の性」を意識したものでは全然ないのですが、この条例では問答無用で規制の対象とされます。
また、少女マンガ等でよく描かれる同性愛・ボーイズラブな描写や、キスシーンなどが描かれている男女間の恋愛物を扱った作品も規制の対象たりえます。
さらには、たとえ不倫や売春を「悪」として糾弾するという主旨の作品であっても、その中で不倫や売春の描写を少しでも入れようものならば、その表現自体が「違法」とされて即座に規制されることになります。
こんなのが「青少年の健全な成長」とやらを助けるシロモノになるとは到底思えないのですけどね。

そして一番問題なのが、この条例における規制にするか否かについての判断基準が、東京都の恣意によっていくらでも左右されてしまうということ。
上で挙げた規制対象となりえる描写は、東京都が「規制する」といえば規制の対象となり、「規制の対象外」とすれば放置される、といった得手勝手な御都合主義が可能なのです。
これでは東京都の意向によっていくらでも拡大解釈が可能ですし、場合によっては出版社その他企業を脅したり、「袖の下」を要求したりするための道具として使用される危険性すら存在します。
そうでなくても、言論・思想の自由を規制する法律は、本来は共産主義者のみを規制するための法律だったはずの戦前の治安維持法が、いつのまにか宗教や右翼団体や自由主義者に対する弾圧にまで適用されていった例を見れば分かるように、とかく拡大解釈が付き纏うシロモノです。
また、法規制の適用を警戒するあまり、出版社その他企業側の方で法規制以上の自主規制が行われる可能性は極めて高く、またその弊害も大変大きなものがあります。
何故こんな問題だらけの条例をわざわざ通さなければならないのか、理解に苦しむものがありますね。

ところで、この東京都青少年健全育成条例改正案については、我らが田中芳樹が一体どのような態度を取ることになるかが注目されます。
かつての田中芳樹には、「マンガ読んでなかったら小説書く方には進んでなかった」と発言していたり、蔵書にマンガが1000冊以上あることが紹介されていたりと、とにかくマンガ愛好家であることを告白している過去がありますから、それだけを見ると今回の条例にも普通に反対しているように思われます。
しかし、同時に田中芳樹は薬師寺シリーズ8巻「水妖日にご用心」にて、自身の過去の発言を棚に上げて麻生太郎氏のことを「マンガしか読んでない人」などと罵倒していた前科もあり、マンガに対するスタンスが昔と異なっている可能性も完全には否定できないんですよね。
まあ、今回の条例は田中芳樹がさぞかし大嫌いであろう石原慎太郎東京都知事が鳴り物入りで推進していたという経緯もありますし、マンガに対する思い入れよりもむしろそちらに対する悪感情から反対を絶叫しそうな気もするのですが(苦笑)。
次の薬師寺シリーズ最新刊辺りでまたしても登場することになるのでしょうかねぇ>東京都知事。


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